JP3488924B2 - ベタインの異化に関して改変された細胞、それらの調製、および特に、代謝産物または酵素の生産のための使用 - Google Patents
ベタインの異化に関して改変された細胞、それらの調製、および特に、代謝産物または酵素の生産のための使用Info
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Description
それらの調製および特に、代謝産物および/または酵素
の生産改良のための使用に関する。本発明は、また、ベ
タインの異化に関する遺伝子を担持するDNA断片に関す
る。
は、一般に、その浸透防御性について知られており、そ
れは、細菌において浸透ストレスに対する寛容を与える
(Csonka,1989)。この性質の由来を説明するために、
水の活性に対する、またエシェリヒア・コリ(Escheric
hia coli)の細胞質の浸透圧に対するグリシンベタイ
ンの分子効果が、それが置き換わる溶質の分子効果より
も重要であることが、提案されてきた(Cayley et al,1
992)。さらに、また、その浸透防御力に加えて、グリ
シンベタインは、酵素の(JP8,260,709)、または、ア
ミノ酸(JP202703);抗生物質(豪州特許第825513号)
およびビタミン(White et al,1971)のような代謝産物
の、生産を促進できるということも報告された。しかし
ながら、シアノバクテリアおよびその他のCO2固定原核
生物を除くほとんどの細菌は、植物によって主に合成さ
れるグリシンベタインを合成しない。それ故、それは、
発酵槽中の生産培地に添加されねばならず、工業的製法
においてコストの付加を生じる。本発明は、この問題に
対する解決を提供する。
ンの異化を改変することにより、工業的発酵条件下で、
細胞の増殖速度、その生存率などに影響を与えることな
く酵素または代謝産物の生産において、この化合物の効
果を発揮させ得ることを、実際に証明した。また、本発
明者は、ベタインの異化に関与する遺伝子を担持するDN
A断片を同定し、単離し、そして特徴化したが、その断
片を用いて、ベタインの異化に関して特異的に改変さ
れ、その改変が、細胞分裂に安定であり非可逆的である
細胞を、特に作製することを可能にした。また、これら
の断片は、適切な酵素活性の増幅によってベタインの異
化を促進することを可能にした。それ故、本発明は、ベ
タインの効果を高め、それによってこの化合物を、工業
的発酵工程において経済的に使用するることを可能なら
しめた。
に関与する遺伝子に関して、少なくとも一つの改変を現
す改変細胞に関する。
は、問題の遺伝子において1つまたは複数塩基の置換お
よび/または欠失および/または挿入をもち、ベタイン
を徐々に分解する(即ち、未改変細胞に比べてベタイン
の分解はさほど早くない。)いかなる細胞をも表す。そ
のような改変は、試験管内(ベタインの異化に関する遺
伝子をもつ単離されたDNA上で)で、またはインサイチ
ュー(in situ)で、例えば、遺伝子工学技術の方法に
よって、さもなくば変異誘発剤による処理に該細胞を曝
すことによって得られる。
γ−もしくは紫外線およびそれに類するもの)のような
物理的因子、またはDNA塩基の種々の官能基と反応し得
る化学薬剤、および例えば、アルキル化剤[メタンスル
ホン酸エチル(EMS)、N−メチル−N'−ニトロ−N−
ニトロソグアニジン、N−ニトロキノリン 1−オキシ
ド(NQO)]、ジアルキル化剤、挿入剤およびそれに類
するものが挙げられる。
すると理解される。これは、特に、コード領域の、およ
び/または転写のプロモーター領域の全部または一部
の、一定部分であってもよい。
り最初に記された方法による遺伝子破壊によっても得る
ことができる。この場合には、好ましくは、その遺伝子
の全部または一部が乱されて、試験管内で作製された非
機能的もしくは変異配列によって、野生型ゲノム配列を
相同組み換えにより置換させられる。
伝子の発現および/または転写調節に関与する領域に位
置されてもよい。該細胞がベタインを分解できない(全
部もしくは一部)ということは、構造的もしくは立体配
座的改変に因る不活性な酵素の生産、または生産の欠
如、または損なわれた活性をもつ酵素の生産、あるいは
また弱められたレベルにおけるかまたは要求された制御
様式による自然の酵素生産、のいずれかによって明らか
にすることができる。
ば、細胞分裂に先立つDNAの複製の間に、細胞機構によ
って、本来、修正もしくは弱められる。この場合には、
そのような遺伝的改変は、それからもたらされる表現型
の性質が完全には安定ではないので、工業レベルにおい
ては有益性が限定される。今、本発明により、ベタイン
の異化に関する遺伝子を担持するDNA断片の同定に因っ
て、該改変が細胞分裂上安定であり、および/または非
可逆的である改変細胞を作製することが可能である。そ
のような改変を発現する細胞は、代謝産物および/また
は酵素の生産のための細胞宿主として特に有用である。
胞は、ベタインの異化に関与する少なくとも1つの遺伝
子が増幅され、その結果として、ベタインをより速く分
解する細胞である。
るDNA断片を細胞中に導入することによって得ることが
できる。この断片は、好ましくは、ベクターの一部であ
り、自律複製するベクターでも組み込まれたベクターで
もよい。さらにDNA断片は、改変細胞との関係において
相同でも非相同でもよく、すなわち、増幅された遺伝子
は、該細胞由来の遺伝子でも、また、他の細胞起源から
得られ、同種の活性をコードしている遺伝子であっても
よい。ベクターおよび増幅される断片の起源の選択は、
目的の細胞および考えられる応用に依存する。DNA断片
は、細胞に外来DNAを導入させるどんな方法によって
も、その細胞中に導入することができる。これは、特
に、形質転換、エレクトロポレーション、接合、プロト
プラスト融合、または当業者により既知のどんな他の技
術でもよい。
て実際に実施された研究によれば、グリシンベタインの
分解は、3段階の連続する脱メチル化(図1参照)によ
って、低浸透性の培地において行われる。第1段階は、
ベタインホモシステイン・メチルトランスフェラーゼE.
C.2.1.1.5.によって触媒され、ジメチルグリシンを生
じ;第2段階は、ジメチルグリシン・デヒドロゲナーゼ
E.C.1.5.99.2によって触媒され、モノメチルグリシンも
しくはサルコシンを生じ;最後に、第3段階は、サルコ
シンデヒドロゲナーゼE.C.1.5.99.1によって触媒され、
その反応生成物は、グリシンである(Smith et al,198
8)。
ベタインの異化の最初の2段階の一つ、または場合によ
り、二つの最初の段階に同時に影響を与える。
は酵素を生産する細胞である。この点において、それら
は、また、代謝産物および/または酵素を生産する組み
換え細胞、すなわち、それらの生産能力を改善するため
に、組み換えDNA技術によって改変された細胞であって
もよい(特に、WO91/11518,EP 346000,参照)。さらに
なお、好ましくは、本発明の細胞は、シュードモナス
(Pseudomonaas)、ストレプトミセス(Streptomyce
s)、アクチノミセーテス(Actinomycetes)、プロピオ
ニバクテリウム(Propionibacterium)、コリネバクテ
リウム(Corynebacterium)、バチルス(Bacillus)、
エシェリヒア(Escherichia)、サルモネラ(Salmonell
a)、リゾビウム(Rhizobium)、アグロバクテリウム
(Agrobacterium)、ロドシュードモナス(Rhodopseudo
monas)、キサントモナス(Xanthomonas)、クロストリ
ジウム(Clostridium)およびメタノバクテリウム(Met
hanobacterium)属の細胞から選択される。
きる、ベタインの異化に関与する少なくとも1つの遺伝
子の改変を示す細胞を作製する方法に関する。本発明
は、実際には、ベタインの異化に関与する遺伝子を含む
DNA断片の同定、単離、そして特徴化を記述する。今
や、これらの断片は、ベタインの異化に関して特異的に
改変された細胞を作製することを可能にした。事実、上
記のDNAを試験管内で改変して、それらを非機能的に
し、それらを特定の細胞に再導入することを可能にした
が、その細胞において、断片は、対応する機能的ゲノム
のコピーについて二重相同組み換えによって、置換され
ているであろう。また、このように単離された断片を基
に、目的の細胞のゲノム、特に対応する遺伝子中に、組
み込まれるであろうプローブを作製することが可能であ
る。
遺伝子を、試験管内で改変されたバージョンによって置
き換えることにおいてなる。
なくとも1つの遺伝子を担持するDNA断片に関する。
リシンベタインの異化を遮断された変異株、およびサル
コシンへのジメチルグリシンの異化を遮断された変異株
を相補するシュードモナス・デニトリフィカンス(Pseu
domonas denitrificans)由来のDNA断片、すなわち、
ジメチルグリシンへのグリシンベタインの、およびサル
コシンへのジメチルグリシンの分解に関与する遺伝子を
含むDNA断片の単離および特徴化によって例証される。
ードモナス・デニトリフィカンス菌株CS510から単離さ
れた(米国特許第3,018,225号)。これらの断片は: (i)ベタインの異化を遮断された変異株の作製。既に
上述された種々の技術が、この目的に使用され得る。変
異株の選択は、適切な培地上での培養、および当業者に
は慣用の技術に従い、ベタインもしくはその異化産物の
アッセイによって行われる。
これらの変異株の相補、(iii)それ故、ベタインの異
化に関する遺伝子を担持する相補的変異株の選択、次い
で、この相補を可能とする核酸の単離および特徴化、 によって得られた。
当業者は、特にハイブリダイゼーション実験によって、
他の細胞起源由来のベタインの異化に関する遺伝子を単
離し、クローン化できることは明らかである。
イン−ホモシステイン・メチルトランスフェラーゼをコ
ードしている遺伝子であって、それに関する本発明によ
る改変は、細胞中で、ベタイン−ホモシステイン・メチ
ルトランスフェラーゼ活性の低下を引き起こす。好まし
くはなお、問題の遺伝子は、ジメチルグリシン・デヒド
ロゲナーゼをコードしている遺伝子であって、それに関
する本発明による改変は、細胞中で、ジメチルグリシン
・デヒドロゲナーゼ活性の低下を引き起こす。
変された、代謝産物もしくは酵素を生産する細胞を、生
産条件下で培養することによって、該代謝産物もしくは
酵素を生産し、次いで該代謝産物もしくは酵素を回収す
るための改良法に関する。
化に関与する遺伝子に関して、少なくとも1つの改変を
現し、徐々にベタインを分解する。
細胞分裂上安定であり、および/または非可逆的であ
る。
異的欠失および/または挿入である。
生産細胞の少なくとも1個の遺伝子が、増幅され、該細
胞は、より急速にベタインを分解する。
れらの誘導体もしくはそれらの前駆体のような代謝産物
の生産のために特に好適である。
タミンB12の生産を改良することができる。
は、例示であり、制約のないものとして考慮されるべき
である。
プラスミドDNAの調製的抽出、塩化セシウム濃度勾配に
おけるプラスミドDNAの遠心、アガロースもしくはアク
リルアミドゲルにおける電気泳動、電気溶出によるDNA
断片の精製、タンパク質のフェノールもしくはフェノー
ル−クロロホルム抽出、エタノールもしくはイソプロパ
ノールによる塩溶液中でのDNA沈殿、エシェリヒア・コ
リ等における形質転換は、当業者にとって周知であり、
広く文献に記述されている[Maniatis T.et al.,“Mole
cular Cloning,a Laboratory Manual",Cold Spring Hab
or Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.,1982;Ausubel
F.M.et al.,(eds.),“Current Protocols in Molec
ular Biology",John Wiley & Sons,New York 1987]。
くはPharmaciaによって生産され、供給先の指示に従っ
て使用される。
である(Bethesda Research Laboratories)。
はアクリルアミドゲルの電気泳動によってそれらのサイ
ズに従って分別され、フェノールもしくはフェノール/
クロロホルム混合液を用いて抽出され、エタノールを用
いて沈殿され、次いで供給先の指示に従ってT4ファージ
のDNAリガーゼ(Boehringer)の存在でインキュベート
される。
示に従ってE.コリのDNAポリメラーゼI(Boehringer)
のクレノウフラグメントを用いて行われる。突き出た3'
の末端の破壊は、製造者の指示に従って使用されるT4フ
ァージのDNAポリメラーゼの存在で行われる。突出5'末
端の破壊は、S1ヌクレアーゼによるコントロール処理に
よって実施される。
部位特異的変異誘発は、Taylor et al.[Nucleic Acids
Res.13(1985)8749−8764]により開発された方法に
従って実施される。
eaction,Saiki R.K.et al.,Science 230(1985)1350−
1354;Mullis K.B.and Faloona F.A.,Meth.Enzym.155(1
987)335−350]によるDNA断片の酵素的増幅は、製造者
の説明に従って、“DNA thermal cycler"(Perkin El
mer Cetus)を用いて実施される。
tl.Acad.Sci.USA,74(1977)5463−5467]により開発さ
れた方法によって実施される。
ルグリシン HPLC:高圧液体クロマトグラフィー DMG:ジメチルグリシン kb:キロベース 図の説明 図1:グリシンへのグリシンベタインの分解経路。3回
の連続的脱メチル化が起き、グリシンベタインは、ジメ
チルグリシンに異化され、それがサルコシンに分解さ
れ、それ自体がグリシンに分解される。
ifr、および変異株G3728およびG3900は、炭素源として
グリシンベタインの存在下で最少M培地で培養され、そ
れらの増殖が、ml当たりの細胞数としてX軸に、また時
間の関数、日としてY軸に表される。
るP.デニトリフィカンス由来のDNA断片のマッピング。
制限酵素部位、および対応する変異株G3728、G3899およ
びG3900のトランスポゾンの挿入位置が、そのDNA断片上
に示される。その変異株を相補するために使用されたプ
ラスミドpXL2100、pXL2101、pXL2105およびpXL2107の挿
入は、断片の下に表される。+ 相補性、− 非相補
性。
ィカンス由来のDNA断片のマッピング。制限酵素部位、
およびトランスポゾンG3738の挿入位置は、そのDNA断片
上に示される。その変異株を相補するために使用された
プラスミドpXL19E2、pXL17A10およびpXL13C5の挿入部
は、断片の下に示される。+ 相補性、− 非相補性。
デニトリフィカンス変異株の単離 この実施例は、ジメチルグリシンおよびサルコシンへ
のグリシンベタインの異化を遮断されたシュードモナス
・デニトリフィカンス変異株の単離を述べる。これらの
変異株は、トランスポゾンTn5SPrが、シュードモナス・
デニトリフィカンス菌株SBL27 Rifrのゲノムに挿入さ
れる変異株のライブラリーから単離された。このライブ
ラリーは、次の方法で作製された:プラスミド、pRK201
3::Tn5Sprは、プラスミドpHP45Ω(Prentki et al.,198
4)の由来のスペクチノマイシン耐性遺伝子Sprを、プラ
スミドpRK2013::Tn5(Ditta et al.,1980)中にクロー
ン化されたトランスポゾンTn5(Berg et al.,1983)のB
amH I部位中に挿入することによって構築された。次い
で、接合が、SBL27RifrおよびE.コリMC1060(pRK2013::
Tn5Spr)の指数増殖期の培養物を混合することによって
実施された。トランスコンジュガント(transconjugan
t)RifrSpr株は、30℃で5日間培養後、受容細胞当たり
10-8クローンの頻度で得られた。導入されたプラスミド
が、実際に失われており(そのプラスミドDNAは、作製
され、次いで形質転換によってE.コリ中に導入された;
そのプラスミドの耐性を担持するクローンは、得られな
かった)、そしてトランスポゾンTn5Sprが、SBL27Rifr
のゲノム中に実際に組み込まれたことは、12クローンに
ついてチェックされた(実施例2に記載のサザン法によ
って)。
のグリシンベタインである固体(Difco寒天15g/l)最少
M培地(NH4Cl 1g/l,Na2HPO47g/l,KH2PO43g/l,NaCl
0.5g/l,1mM MgSO4,0.1mMCaCl2、サイアミン10g/l)上
で再び単離され、次いで30℃で3日間培養された。次
に、ベタイン、ジメチルグリシンおよびサルコシンが、
HPLC(カラム:Shodex Ionpak S801P、長さ50cm,直径8
mm;温度:70℃;移動相:0.01Mナトリウムアジド)による
分別、示差屈折法による検出で、培養上澄液についてア
ッセイされた。
いことが分かったが、それらは、G3727〜G3731,G3733〜
G3742、およびG3897,G3899およびG3900である。
n et al.,1989)に従って、PS4培地10ml中で、30℃5日
間培養された場合に、ベタイン、またはジメチルグリシ
ンもしくはサルコシンが、HPLC分別、示差屈折法検出に
よって、培養上澄液中に測定され得る。ベタインは、変
異株G3728,G3736,G3897,G3899およびG3900のブロス上澄
液中に検出される(初発培地中に含有されたベタインの
53〜98%)が、一方、変異株G3727,G3738およびG3742に
ついては、それはジメチルグリシンであり(初発培地に
含有されるベタインの約88〜97%);変異株G3729,G373
0、G3731,G3733,G3737およびG3741については、それは
サルコシンであり(培地に導入されたベタインの約64〜
75%);他の変異株G3734,G3735,G3739,G3740および非
変異株については、3種の生成物のいずれも観察されな
い、表1参照。
3897,G3899およびG3900のみが、炭素源がジメチルグリ
シン(10g/l)である固体最少M培地で増殖する。炭素
源がグリシンベタイン10g/lである液体最少M培地での
培養は、次のように行われる:高栄養LB培地(Cameron
et al.,1989)での再単離により出発して、その菌株
は、LB培地5ml中で、30℃12時間培養され;この前培養
の細胞が、最少M培地中で洗浄され、次いで種菌0.2%
が、炭素源がグリシンベタイン(10g/l)である最少M
培地25mlを含む8個の250ml容エルレンマイヤーフラス
コ中に植菌され、30℃で250rpmの撹拌で培養される。3,
4,5,6,10,14,21日目に、エルレンマイヤーフラスコに含
まれる細胞が、炭素源がグリシンベタインである固体最
少培地にプラテンされ、増殖された後、計数される。変
異株G3728およびG3900は、炭素源がグリシンベタイン10
g/lである液体最少培地で培養される場合には、最初の
3日間は、増殖が観察されないのに対して、菌株SBL27R
ifrについては、既に定常増殖期に達している、図2参
照;しかしながら、6日目には、SBL27Rifrのそれに匹
敵する定常増殖期が、観察される。この結果は、PS4培
地に含まれるベタイン(10g/l)のすべてを必ずしも分
解しない変異株、表1参照は、ベタイン10g/lを含む最
少培地中の炭素源として、それを資化できないが、3日
の誘導期の後は、非変異株に匹敵することを示してい
る。これらの生理学的データは、シュードモナス・デニ
トリフィカンスSBL27Rifrにおけるジメチルグリシンお
よびサルコシンへのグリシンベタインの分解の経路を証
明することを可能にしたが、この場合: 1)ジメチルグリシンへのグリシンベタインの分解段階
は、変異株G3728,G3736,G3897,G3899およびG3900におい
て遮断(または部分的遮断)され; 2)サルコシンへのジメチルグリシンの分解段階は、変
異株G3727,G3738およびG3742において遮断され; 3)サルコシンの分解段階は、変異株G3729,G3730、G37
31,G3733,G3737およびG3741において遮断される。
フィカンス変異株の遺伝的特性 この実施例は、変異株を、それらのトランスポゾンを
使って分類し、特徴化することを可能とする分子生物学
的実験を記述する。各変異株の遺伝子型は、次のように
サザン法(Maniatis et al.,1982)によって解析され
る:各変異株(G3727〜G3731,G3733〜G3742、およびG38
97,G3899およびG3900)のゲノムDNAが、作製され、次い
で、その一部のものが、制限酵素EcoR Iで消化される;
このようにして得られた断片は、アガロースゲル上での
電気泳動によって分別され、次いでBiodyne膜上に転移
される;次に、この膜が、α32P−dCTPでラベルされた
次に示すプラスミドの1つとハイブリダイズされる。こ
れらのプラスミドは、pT27,pT28,pT30,pT31,pT34,pT35,
pT36,pT37,pT38,pT39,pT40,pT42,pT97,pT00である。こ
れらのプラスミドは、それぞれ変異株G3727,G3728,G373
0,G3731,G3734,G3735,G3736,G3737,G3738,G3739,G3740,
G3742,G3897,G3900のトランスポゾンTn5Sprを挿入され
る非反復(unique)ゲノムEcoR I断片のベクターpRK290
のEcoR I部位における挿入によって得られた。目的のEc
oR I断片を担持するプラスミドpTは、トランスポゾンに
よって付与されたそれらのスペクチノマイシンに対する
耐性によって選択される。例えば、プラスミドpT27と膜
とのハイブリダイゼーションにおいては、変異株G3727
およびG3728のゲノムDNAは、約16kbの分子量をもつEcoR
I断片に対応するただ一つの放射性バンドを示し、その
ことは、これらの変異株においては、トランスポゾン
が、同じ位置に挿入されることを示している。反対に、
非変異菌株については、ハイブリダイズする断片は、8k
bであり、すべての他の変異株とは、2つの断片がハイ
ブリダイズするが、一方は、非変異菌株のそれと同一移
動し、他方は、トランスポゾン(8kb)(de Bruijn,198
7;Prentki,1984)のサイズよりも大きい一定しないサイ
ズをもつ。プラスミドの各々との継続するハイブリダイ
ゼーションにより、1から12までのハイブリダイゼーシ
ョンのクラスによって、変異株をグループ分けすること
が可能になった、表1参照。
pT37,pT38,pT97,pT00は、既に述べた方法(Cameron et
al.,1991)に従って、トランスポゾンの挿入により得ら
れた変異株を、非変異菌株SBL27Rifr中に、二重相同組
み換えによって再導入するために使用された。このよう
にして遺伝子破壊によって得られた菌株に関して、その
遺伝子型が、すぐ前節で述べられたように、サザン法に
よってチェックされ、表現型は、実施例1に記載のよう
にPS4培地での培養の上澄液において検出された化合物
の分析により決定された。
伝子破壊により得られた菌株について、検出された化合
物の量が比較される、表1参照。これらの菌株は、次の
いずれかである: 1)ハイブリダイゼーション クラス5に属し、ベタイ
ンを蓄積する、 2)ハイブリダイゼーション クラス2に属し、ジメチ
ルグリシンを蓄積する、3)ハイブリダイゼーション
クラス4に属し、サルコシンを蓄積する。
ペクチノマイシン耐性カセットの挿入が、プラスミドpT
28を用いて実施された。表現型がサザン法(本実施例の
第1節に記載)によりチェックされた菌株は、ハイブリ
ダイゼーション クラス5に記載の菌株と同じベタイン
蓄積表現型をもつ。
断されたシュードモナス・デニトリフィカンス変異株の
相補 この実施例は、サルコシンへのベタインの分解に関与
する遺伝子を担持するP.デニトリフィカンスからのDNA
断片の単離を記す。これらの断片は、プローブとしてプ
ラスミドpT28またはpT38の挿入、ならびにpXL59中にク
ローン化されるP.デニトリフィカンスDNAのSau3A I断片
を含むプラスミドのライブラリーを用いて、ハイブリダ
イゼーション実験によって検出された(Cameron et a
l.,1989)。そのプローブとハイブリダイズするプラス
ミドの挿入が、制限酵素地図に表された。RSF1010(Cam
eron et al,1989)由来のベクターにおいて構築された
(Maniatis et al,1982)クローンおよびサブクローン
が、ジメチルグリシンへのベタインの異化を遮断された
変異株、またはサルコシンへのジメチルグリシンの分解
を遮断された変異株に、接合によって(Cameron et al,
1989)導入された。そのクローンおよびサブクローンに
よる変異株の相補は、実施例1記載のように、PS4培地
で培養されたトランスコンジュガント株の培養上澄液に
おける、ベタイン、ジメチルグリシンもしくはサルコシ
ンの蓄積の欠如によって決定された。
る遺伝子を担持するP.デニトリフィカンスからのDNA断
片。
シンへのベタインの異化を遮断された変異株G3728,G373
6,G3897,G3899およびG3900中に導入された。図3に提示
されるように、12kbのEcoR I断片に含まれた2種のサブ
クローンpXL2105およびpXL2107は、5種類中4種類の変
異株G3728,G3736,G3899およびG3900を相補する。サブク
ローンの一つpXL2105は、ベクターpXL435(Cameron et
al,1989)中にクローン化された3.4kbのSst I−Xho I断
片を含み、2つの変異株G3900およびG3899を相補し;他
のpXL2107は、pKT230(Cameron et al,1989)中にクロ
ーン化された4kbのBamH I−EcoR I断片を含み、変異株G
3728およびG3736を相補する。さらに、変異株G3827,G38
99およびG3900におけるトランスポゾンの挿入は、実際
に、この12kbのEcoR I断片上にマップされていたが、変
異株G3736には観察されない。この変異株の表現型は、
逆向き遺伝学により得られた変異株がベタインを蓄積し
ないことから、トランスポゾンの位置とは相関しないよ
うである、実施例2参照。その結果、少なくとも2個の
遺伝子が、ジメチルグリシンへのベタインの分解段階に
関与している。
する遺伝子を担持するP.デニトリフィカンスからのDNA
断片。
のジメチルグリシンの異化を遮断された変異株G3727,G3
738中に導入された。図4に提示されるように、ライブ
ラリーから得られ、14.5kbのEcoR I−EcoR I−EcoR I断
片上にマップされる2種のクローンは、G3727およびG37
38を相補する。サブクローンの一つpXL19E2は、6.6kbの
EcoR I断片を含み、他のpXL13C5は、14.5kbのEcoR I−E
coR I−EcoR I断片を含む。その結果、図4記載の断片
にマップされた少なくとも1つの遺伝子が、サルコシへ
のジメチルグリシンの分解段階に関与している。
ナス・デニトリフィカンス株におけるビタミンB12生産
の改良 この実施例は、ジメチルグリシンへのベタインの異化
に関与する遺伝子の破壊によって、コバラミンを生産す
る菌株におけるコバラミン生産の改良を例示する。変異
株G3728(またはG3900)の表現型に寄与する突然変異
が、EcoR I断片上にマップされるトランスポゾンによっ
て作出され、pT28(またはpT00)中にクローン化され、
そして実施例2に記載される。この突然変異は、コバラ
ミンを生産するシュードモナス・デニトリフィカンス菌
株SC510Rifr(Cameron et al,1991)中に、二重相同組
み換えによって導入された。逆向き遺伝学によって、こ
のようにして得られた両菌株CS510Rifr::pT28およびSC5
10Rifr::pT00について、表現型が、実施例2記載のサザ
ン法によってチェックされ、そして既に述べられた方法
(Cameron et al,1989)に従って、グリシンベタインが
2mg/lであるPS4培地25mlを含む250ml容エルレンマイヤ
ーフラスコにおいて、30℃で7日間増殖された菌株の培
養液に含まれるビタミンB12のHPLC(カラム:Asahibak
OD50,長さ:15cm、直径:6mm、移動相:アセトニトリル/
0.1Mシアン化カリウム)による分析および紫外線検出
(波長:365nm)によって、コバラミン生産が測定され
た。これらのアッセイの結果は、表2に示される。それ
らは、独立して行われた4実験の2培養について得られ
た平均値を表す。
のEcoR Iゲノム断片(そのDNAは、ジメチルグリシンへ
のベタインの異化に関与する遺伝子をコードしている、
図3参照)において変異された菌株では、SC510Rifr菌
株に比較して10倍増加された。これらの結果は、本発明
の菌株のベタインの異化を改変することによって、それ
らの代謝産物生産能が増大されたことを、明らかに示し
ている。
Claims (5)
- 【請求項1】a)コバラミンを生産するシュードモナス
・デニトリフィカンス(Pseudomonas denitrificans)
のゲノムDNAに由来し、かつ、グリシンベタインの異化
に関与するタンパク質をコードする遺伝子を含む下記の
制限酵素地の図式−Iに示される13kbのEcoR I−EcoR I
断片内に存在する少なくとも3.4kbのSst I−Xho I断片
もしくは4kbのBamH I−EcoR I断片、におけるヌクレオ
チド配列の破壊によりコバラミンを生産するシュードモ
ナス・デニトリフィカンスを遺伝的に改変し、次いで b)こうして得られる菌株をビタミンB12の生産条件下
で培養する、 ことを特徴とするビタミンB12の生産方法。 図式−I: - 【請求項2】ヌクレオチド配列の破壊が、トランスポゾ
ンの挿入によりもたらされる請求項1に記載の生産方
法。 - 【請求項3】ヌクレオチド配列の破壊が、相同組み換え
によりもたらされる請求項1に記載の生産方法。 - 【請求項4】コバラミンを生産するシュードモナス・デ
ニトリフィカンス(Pseudomonas denitrificans)のゲ
ノムDNAに由来し、かつ、グリシンベタインの異化に関
与するタンパク質をコードする遺伝子を含む下記の制限
酵素地の図式−Iに示される13kbのEcoR I−EcoR I断片
内に存在する少なくとも3.4kbのSst I−Xho I断片もし
くは4kbのBamH I−EcoR I断片、におけるヌクレオチド
配列が破壊され、ジメチルグリシンへのグリシンベタイ
ンの変換能が低下していることを特徴とするコバラミン
を生産するシュードモナス・デニトリフィカンスの組換
え改変株。 図式−I: - 【請求項5】該グリシンベタインの異化に関与するタン
パク質をコードする遺伝子の破壊が、挿入を伴う請求項
4に記載の改変株。
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