JP2006516385A - コバラミン生合成に関与する遺伝子に対する転写活性化因子遺伝子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、コバラミン生合成に関与する遺伝子に対する転写活性化因子遺伝子に関する。より正確には、本発明は、組換えDNA技術により、コバラミンの産生、より詳細には補酵素B12の産生を増大させるためのプロセスに関する。

Description

本発明は、コバラミン生合成に関与する遺伝子に対する転写活性化因子遺伝子に関する。より正確には、本発明は、組換えDNA技術により、コバラミンの、より詳細には補酵素B12の産生を増大させるためのプロセスに関する。
ビタミンB12はコバラミンと呼ばれる分子のメンバーであり、その構造は、具体的には国際公開公報第91/11518号に記載されている。これは悪性貧血、神経疾患、メチルマロン酸尿症などを治療するための薬剤、ならびに家禽および家畜用の飼料添加物として用いられている。化学合成法によるビタミンB12の工業的生産は、その複雑な構造のため困難である。工業的生産のための発酵工程では、シュードモナス・デニトリフィカンス(Pseudomonas denitrificans)、プロピオニバクテリウム・セルマニ(Propionibacterium shermanii)およびプロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)より選択される微生物を用いる。ビタミンB12の複雑な生合成経路は、特にP.デニトリフィカンス(P. denitrificans)、P.セルマニ(P. shermanii)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)および巨大菌(Bacillus megateriutn)において詳細に研究されている。コバラミンの生合成には22種を下らないcob遺伝子が関与している(国際公開公報第91/11518号)。しかし、コビリン酸(II)(cob(II)yrinic acid)a,c-ジアミドの還元を触媒する酵素の遺伝子はクローニングされておらず、cobE、cobWおよびcobXによってコードされるポリペプチドの機能は同定されていない。
(R)-1-アミノ-2-プロパノールまたは5,6-ジメチルベンズイミダゾール(DMBI)といったコバラミンの構成要素の生合成に関与する他の遺伝子は、そのような遺伝子が光合成細菌ロドバクター・カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)では単離されている(米国特許第6,156,545号)が、P.デニトリフィカンスでは同定されていない。R.カプスラタス(R. capsulatus)の染色体の189kbセグメント(この菌株における類似性により複数のcob遺伝子として特定されており、これらはクラスター化もしている)に関しては複数の報告があり、1-アミノ-2-プロパノールおよびDMBIの合成に関与するblu遺伝子が大きなクラスター内に見いだされている。
古典的な変異誘発法およびランダムスクリーニングの繰り返しにより、P.デニトリフィカンスのビタミンB12産生能力は0.6mg/lから60mg/lに徐々に改善した。P.デニトリフィカンスによるビタミンB12産生プロセスは、プロピオン酸菌による嫌気的発酵または嫌気的条件から好気的条件への周期的発酵とは異なり、発酵が最初から最後まで好気的条件下で起こることを特徴とする。加えて、P.デニトリフィカンスにおけるビタミンB12の過剰産生のためにはグリシンベタイン(ベタイン)が不可欠な物質であるように思われる。ベタインは一般に浸透圧保護物質(osmoprotectant)として知られているが、これはP.デニトリフィカンスでは、リゾビウム科に関して報告されているように、N源、C源およびエネルギー源として代謝される。ベタインはベタインホモシステインメチル基転移酵素によってメチル基がホモシステインに転移することにより、ジメチルグリシンおよびメチオニンへと変換される。メチオニンから合成されたS-アデノシルメチオニンは、ビタミンB12合成におけるコリン環への8つのメチル基の導入においてメチル基供与体として用いられる。一方、ベタインから合成されたジメチルグリシンは、サルコシンを経てグリシンへと変換され、これはおそらくジメチルグリシンデヒドロゲナーゼおよびサルコシンオキシダーゼによると思われる。グリシンは、ヘムおよびビタミンB12に共通の前駆物質である5-アミノレブリン酸(ALA)を、C4経路(シェミン経路)においてスクシニル-CoAを用いて合成するために用いられる。このため、ベタインはビタミンB12合成に関する前駆物質であると考えられる。しかし、[Me-14C]ベタインからコバラミンへの放射能の取り込みは間接的であったため、コバラミン過剰産生におけるベタインの真の役割は調節的な性質を有する可能性がある。さらに、ベタイン代謝の阻止により、ビタミンB12の産生が向上した。ベタイン代謝に関与する遺伝子を含むDNA断片は同定されているが、これらの断片中の遺伝子は同定されていない。したがって、これらはもはや、ベタインホモシステインメチル基転移酵素、ジメチルグリシンデヒドロゲナーゼまたはサルコシンオキシダーゼといったベタイン代謝に関与する酵素の構造遺伝子だけに限られなかった。構造遺伝子に対する調節遺伝子またはベタイン取込みに関与する遺伝子も同じく候補の一つである。
本発明は、P.デニトリフィカンスにおけるビタミンB12生合成に関与する遺伝子に関連してCobRと命名された転写活性化因子をコードする、cobRと命名された遺伝子、および、ビタミンB12の産生を向上させるため、またはビタミンB12合成に関与する遺伝子のスクリーニングのための、この遺伝子またはポリペプチドの使用を提供する。
本発明はさらに、ベタイン代謝に関与する遺伝子に対する転写活性化因子としてのCobRの使用も提供する。
cobRはP.デニトリフィカンスにおけるベタイン代謝のための必須遺伝子であることが判明しているが、cobRの制限部位からは、cobRが米国特許第5,691,163号に開示された断片に含まれないことが示唆された。したがって、本発明により、ベタイン代謝を低下させることなく、cobRの適切な発現によってビタミンB12の産生を向上させることが可能になった。
上記の通り、P.デニトリフィカンスにおけるビタミンB12合成に関与する大部分の遺伝子は発見され、特徴が詳細に解明されているが、まだ発見されていない遺伝子もいくつかある。このような遺伝子を発見するために、本発明者らはランダム変異誘発法を行い、ビタミンB12を産生することができない変異体をいくつか入手した。これらの変異体の中に、ビタミンB12を産生せずベタインも利用しない特徴的な変異体CEEX6があった。この変異体を用いることにより、本発明者らはP.デニトリフィカンスにおける新規遺伝子cobRを見いだしたが、これはCEEX6にビタミンB12を産生させるとともにベタインを消費させることが可能であった。CEEX6はcobRに点変異を有し、cobR遺伝子を破壊するとビタミンB12の産生もベタインの消費も生じなくなることは、cobRがビタミンB12合成およびベタイン消費のための必須遺伝子であることを表している。これらの結果から、CobRがビタミンB12合成およびベタイン消費に関与する遺伝子に対する転写活性化因子である可能性が示唆されたが、AraC/XylSファミリーにはこのような遺伝子に対する転写活性化因子の例はない。そこで本発明者らは、ビタミンB12合成に関与する遺伝子の一部であるcobEオペロンのプロモーター活性を、レポーター遺伝子を利用して決定することにより、CobRがビタミンB12合成に関与する遺伝子に対する転写活性化因子であることを示した。CobRはcobE、cobQおよびcobFの上流領域とも相互作用する。cobRの適切な発現により、P.デニトリフィカンスにおけるビタミンB12産生は増加する。
本発明は、ビタミンB12合成に関与する遺伝子に対する転写活性化因子CobRをコードするDNA配列(配列表に開示されている)を含むDNA配列、さらにはそれらの相補鎖、またはこれらの配列を含むもの、このような配列またはその断片と好ましくは標準的な条件下でハイブリダイズするDNA配列、および、遺伝暗号の縮重のためにこのような配列と標準的な条件下でハイブリダイズすることはないが全く同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列を対象とする。
DNA配列をハイブリダイゼーションの手段によって同定するためのプロトコールは当業者に知られている。ハイブリダイゼーションは、ストリンジェントな条件、すなわちプローブと標的配列(すなわちプローブで処理されるポリヌクレオチド)とが少なくとも70%同一であるハイブリッドのみが形成される条件下で行いうる。洗浄段階を含む、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、緩衝液の組成、温度および塩濃度を変更することによって影響される、または決定されることが知られている。ハイブリダイゼーション反応は、洗浄段階に比して相対的に低いストリンジェンシーの下で行うことが好ましい。
例えば、ハイブリダイゼーション反応のために5×SSCバッファーを約50〜68℃の温度で用いることができる。ここでプローブを、プローブの配列との同一性が70%未満であるポリヌクレオチドとハイブリダイズさせることもできる。このようなハイブリッド体は相対的に安定性が低く、ストリンジェントな条件下で洗浄することによって除去される。これは例えば、塩濃度を2×SSCに下げ、その後に0.5×SSC、温度を約50〜68℃とすることによって達成しうる。任意で、塩濃度を0.1×SSCに下げることも可能である。ハイブリダイゼーション温度を約1〜2℃の段階で段階的に上昇させることにより、ポリヌクレオチド断片、例えば、用いるプローブの配列に対して少なくとも70%または少なくとも80%または少なくとも90%〜95%同一なものを単離することができる。
本発明の文脈における「ストリンジェントな条件」とは、例えば5×SSC、0.1%(w/v)N-ラウロイルサルコシン、0.02%(w/v)SDS、1%ブロッキング試薬(Roche Diagnostics, Cat. No. 1096176)からなる緩衝液中で50℃で一晩ハイブリダイゼーションを行い、ハイブリダイゼーションの洗浄段階で、2×SSC、0.1%(w/v)SDSにより室温で5分間の洗浄を2回行い、その後に0.1×SSC、0.1%(w/v)SDSにより68℃で15分間の洗浄を2回行うことを意味する。
本発明はまた、SEQ ID NO: 1によるDNA配列またはその断片に対する同一性が少なくとも80%〜85%、好ましくは少なくとも86%〜90%であり、特に好ましくは90%を上回る、DNA配列も含む。
本発明はまた、本発明のポリペプチドの機能的誘導体も対象とする。このような機能的誘導体は、本発明のアミノ酸配列に基づき、このような配列の1つまたは複数のアミノ酸残基付加、挿入、欠失および/または置換によって定義され、このような誘導体はビタミンB12合成に関与する遺伝子に対する転写活性化因子の活性を依然として有する。このような機能的誘導体は、当技術分野で知られた化学ペプチド合成によって、または本明細書に開示されたDNA配列に基づく組換え手段により当技術分野の現状において知られた方法によって作製することができる。このような分子の活性を一般に変化させないタンパク質およびペプチドにおけるアミノ酸の交換は当技術分野の現状において知られている。最もよく起こる交換は以下のものである:Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/gly、ならびにこれらの反対。
さらに、本発明のポリペプチドには、SEQ ID NO: 2に記載のポリペプチド、特にコバラミン生合成に関与する遺伝子に対する転写活性化因子CobRの特に生物活性を有するもの、およびSEQ ID NO: 2に記載のポリペプチドに対する同一性が少なくとも80%〜85%、好ましくは少なくとも86%〜90%、より好ましくは少なくとも91%〜95%であり、および特に好ましくは95%を上回り、かつ上記の活性を有するものが含まれる。
cobR遺伝子または一般的に言ってCobR活性をコードするDNA配列を効率的に発現させるために、種々のプロモーター;例えば、cobR遺伝子の上流に存在する本来のプロモーター、Tn5のカナマイシン耐性遺伝子、pBR322のアンピシリン耐性遺伝子などの抗生物質遺伝子のプロモーター、および大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのプロモーター(lac)、trp-、tac-、trc-プロモーター、λファージのプロモーター、ならびに大腸菌、P.デニトリフィカンス、P.プチダ(P. putida)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、A.ラジオバクター(A. radiobacter)およびシノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)などの細菌を含む微生物、哺乳動物細胞および植物細胞からなる宿主において機能しうる任意のプロモーターを用いることができる。
上記の目的のために、コード配列が導入される宿主細胞において機能しうるシャイン・ダルガルノ(Shine-Dalgarno)(SD)配列(例えばAGGAGGなど、宿主細胞において機能しうる天然配列および合成配列を含む)および転写終結因子(宿主細胞において機能しうる任意の天然配列および合成配列を含む逆方向反復構造)などの他の調節エレメントを、上記のプロモーターとともに用いることが考えられる。
二本鎖DNAのクローニングには広範囲にわたる宿主/クローニングベクターの組み合わせを用いうる。クローニングベクターは一般に、複製起点、調節エレメント、マルチクローニングサイトを含むクローニング部位、および、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、スペクチノマイシンなどに対する耐性遺伝子を含む抗生物質耐性遺伝子などの選択マーカーを含む、プラスミドまたはファージである。
大腸菌における遺伝子の発現のためのベクターの例は、大腸菌で通常用いられる任意のベクター、例えば、pBR322、またはpUC18およびpBluescriptIIを含むその誘導体、pACYC177およびpACYC184ならびにそれらの誘導体、ならびにRK2およびRSF1010などの広宿主域プラスミド由来のベクターより選択される。P.デニトリフィカンス、P.プチダ、A.ツメファシエンス(A. tumefaciens)、A.ラジオバクターまたはS.メリロティ(S. meliloti)における対象遺伝子の発現のために好ましいベクターは、これらの微生物、ならびに大腸菌などの好ましいクローニング用生物において複製可能な任意のベクターより選択される。好ましいベクターは、コスミドベクター(pVK100およびその誘導体など)ならびにRSF1010およびその誘導体などの広宿主域ベクター、ならびにP.デニトリフィカンス、P.プチダ、A.ツメファシエンス、A.ラジオバクターまたはS.メリロティにおいて機能しうる複製起点と大腸菌において機能しうるもう1つの複製起点とを含むベクターである。ベクターのコピー数および安定性は、クローニングされた遺伝子の安定的および効率的な発現のため、ならびにクローニングされた遺伝子を保有する宿主細胞の効率的な培養のためにも、慎重に検討すべきである。Tn5などの転移因子を含むDNA配列を、対象遺伝子を好ましい宿主に、特に染色体上に導入するためのベクターとして用いることもできる。好ましい宿主から単離した任意のDNAを対象遺伝子とともに含むDNA配列も、所望のDNA配列を好ましい宿主に、特に染色体上に導入するために有用である。このようなDNA配列は、形質転換、形質導入、トランスコンジュゲーション(transconjugation)または電気穿孔により、好ましい宿主に移入することができる。
好ましい微生物としては、大腸菌、P.デニトリフィカンス、P.プチダ、A.ツメファシエンス、A.ラジオバクター、S.メリロティなどの前記の細菌、および組換えCobRを産生しうる任意のグラム陰性細菌が考えられる。前記微生物の変異体を本発明に用いることもできる。
本発明のCobRをコードするDNA配列を、当技術分野で周知の方法により、上記の宿主細胞において機能しうるプロモーターおよびリボソーム結合部位および転写終結因子などの調節領域を含む適したベクター中に連結し、発現ベクターを作製することができる。
発現ベクターを保有する宿主細胞を構築するためには、形質転換、形質導入、接合交配および電気穿孔を含む種々のDNA移入法を用いることができる。形質転換された宿主細胞を構築するための方法は、分子生物学の分野で周知の方法から選択しうる。大腸菌およびシュードモナスに対しては通常の形質転換システムを用いることができる。大腸菌に対して形質導入システムを用いることもできる。接合交配システムは、大腸菌、P.プチダ、S.メリロティおよびP.デニトリフィカンスを含むグラム陽性細菌およびグラム陰性細菌において広く用いることができる。
さらに、本発明は、SEQ ID NO: 2に記載のポリペプチド、特に前記の転写活性化因子活性を有するものを用いることによる、ビタミンB12合成に関与する遺伝子のスクリーニングのためのプロセスにも関する。転写活性化因子は、活性化される遺伝子の上流にあるDNAと相互作用することによって遺伝子の転写を活性化するため、転写活性化因子のポリペプチドを用いて、転写活性化因子と相互作用するDNA断片をゲノムDNA断片から単離することができる。SEQ ID NO: 2に記載のポリペプチドまたはDNA結合ドメインを含むそのC末端部分の親和性を用いることにより、すでに単離および同定が行われたcob遺伝子だけでなく、ビタミンB12合成に関与する遺伝子が単離されることが期待される。
以下の例は例示を目的として提供されるものであり、制限を目的とするものではない。
菌株およびプラスミド
シュードモナス・デニトリフィカンスPF1-48はMB580株(米国特許第3,018,225号)に由来し、ブダペスト条約に則ってDSMZにアクセッション番号DSM 15208として寄託されている。CEEX6株は、PF1-48に由来する、ベタインを消費しない上にビタミンB12も生産しない変異体であり、DSMZにアクセッション番号DSM 15207として寄託されている。実施例3-(1)で用いたプラスミドpGUS02は、以下の通りに構築した。プロモーターを含まないβ-グルクロニダーゼ遺伝子(gus)を、pBI101(CLONTECH Laboratories, Inc, CA)から、以下のプライマーを用いるPCRによって調製した;N-GUS:SEQ ID NO: 3(Sma I部位およびNde I部位を付加)およびC-GUS:SEQ ID NO: 4(Xho IおよびSac Iを付加)。続いて、gusのSma I-Sac I断片をpBluescriptII KS(Stratagene, La Jolla, CA)のSma I部位とSac I部位との間に導入した。最後に、Pst I部位、BamH I部位およびNde I部位を有し、SDおよび3通りのフレームにある3つの終止コドンからなるカセット(SEQ ID NO: 5およびSEQ ID NO: 6のアニーリング産物)を、Pst I部位と、結果として生じるプラスミドに構築されるNde Iとの間に導入した。
実施例3-(2)で用いたプラスミドpETcobRは、以下の通りに構築した。cobRの開始コドンにNde I部位を作製するために、pCRIIcobRB(pCRII::4.5kb BamHI)に対してプライマーCOBRNde: SEQ ID NO: 7およびCOBR135R: SEQ ID NO: 8を用いるPCRを行った。続いて、PCR産物からの0.1kbのNde I-Sph I断片をpUC18のNde I部位とSph I部位との間にクローニングし、正しい配列を有するクローンを選択した。次に、pCRIIcobRBからの0.1kbのNde I-Sph I断片および1.1kbのSph I-EcoR I断片を同時にpUC18のNde I部位とEcoR I部位との間にクローニングした。最後に1.2kbのNde I-EcoR I断片をこの結果得られたプラスミドから切り出し、EcoR Iリンカー: pGGAATTCCを用いることによってBamH I部位がEcoR I部位に変換された改変型pET11a(Stratagene)中にクローニングした。
接合
大腸菌ED8767株またはDH5α株およびP.デニトリフィカンス株との間の接合は以下の通りに三親(tri-parental)接合法によって行った。tra遺伝子を有するpRK2013を保有する大腸菌DH5株を、接合移入のためのヘルパーとして用いた。大腸菌の菌株は適切な抗生物質を加えたLB中にて37℃で培養し、P.デニトリフィカンスの菌株はLB中にて30℃で一晩培養した。大腸菌培養物の一部分を接種物のサイズの1%として、抗生物質を含まないLBに移し、6時間培養した。P.デニトリフィカンス、ドナー大腸菌およびヘルパー大腸菌の培養物を2:1:1の比で混合し、この混合物を、LB寒天平板上に置いたニトロセルロースフィルターに対してスポッティングした。交配のためにプレートを30℃で一晩インキュベートした。続いて、100μg/mlストレプトマイシンおよび200μg/mlのネオマイシンまたは2.5μg/mlのテトラサイクリンを含むLB寒天上にプレーティングすることによってフィルター上で増殖させた細胞から、P.デニトリフィカンスの接合完了体を選択した。
Gusアッセイ
培養液の一部分(4ml)から細胞を3,000×g、4℃で10分間遠心処理によって収集した。沈殿物を25mM Tris-HCl、pH 7.4を含む3mlの緩衝液で1回洗浄し、同じ緩衝液中に再懸濁した。細胞懸濁液のタンパク質濃度を、ウシ血清アルブミンを標準物質とするBCAタンパク質アッセイキット(Pierce, Rocklord, ILL)を用いて測定した後に、懸濁液をタンパク質濃度が1mg/mlとなるように緩衝液で希釈した。希釈した懸濁液をエッペンドルフチューブに50μlずつ分注し、-80℃で1回凍結した。凍結した試料を4℃で解凍し、0.64mlのZバッファー(60mM Na2HPO4、40mM NaH2PO4、10mM KCl 、50mM 2-メルカプトエタノール(2-ME)、1mM MgSO4・7aq(2-MEは使用直前に添加))および0.16mlのリゾチーム溶液(2.5mg/ml、Zバッファー中)をそれに加えた。1分間ボルテックス処理によって混合した後に、試料を37℃で5分間インキュベートした。続いて、8μlの10% Triton X-100の添加後にそれを1秒間混合し、氷上に置いた。次に、それを30℃で5分間プレインキュベートして、400μlのp-ニトロフェニル-β-グルクロニド(PNPG)溶液(4mg/ml、Zバッファー中)を添加した。それを30℃で2分間インキュベートし、反応を停止させるために200μlの1M Na2CO3を直ちに添加した。細胞片を除去するために反応混合物を12,000rpmで5分間遠心し、上清の415nmでの吸光度を測定した。p-ニトロフェノールの分子吸光係数は14,000であると推定される。1ユニットは、30℃で1分間当たり1nmolの生成物を生成する酵素の量と定義される。
HPLCによるビタミンB12のアッセイ
0.11% KCNおよび2.2% NaNO2を含む100μlの0.88M酢酸緩衝液(pH 3.5)を、2mlの蓋ロック(safe-lock)付きエッペンドルフチューブ内の1mlの培養液に添加した。ボルテックス処理によって十分に混合した後に、シアン化のために卓上型蒸気滅菌器による混合物のオートクレーブ処理を5分間行った。オートクレーブ処理を行った試料を12,000rpmで5分間遠心し、上清をHPLCアッセイに供した。試料10μlをKanto Chemical Mightysil RP-18GP(4.6mm×250mm、5μm)カラムに注入し、0.05M KH2PO4:MeOH(75:25)、pH 4.5により流速0.8ml/minで溶出させた。約10分間の時点で溶出したビタミンB12を361nmの吸光度によって検出した。
HPLCによるベタインのアッセイ
細胞を除去するための培養液の遠心処理の後に、上清をEkicrodisc 25(孔径0.45nm、Pall)によって濾過し、HPLCアッセイに供した。試料10μlをYMC-Pack PA(4.6mm×250mm、5μm)カラムに注入し、アセトニトリル:H2O(80:20)により流速2.0ml/minで溶出させた。ベタイン、スクロース、グルコースおよびフルクトースを反射指数検出装置RI8021(Tosoh Corporation, Tokyo, Japan)によって検出した。
ビタミンB12を産生させるための培地
ビタミンB12合成に用いる培地は、種培養のためには#688、主生産のためにはCCM-1とした。1リットルの#688(pH 7.4、1N NaOHで調整)は、ビート糖蜜(90g)、(NH4)2HPO4(3g)、(NH4)2SO4(1.5g)、MgSO4・7H2O(1.5g)およびZnSO4・7H2O(30mg)を含む。1リットルのCCM-1(pH 7.4、1N NaOHで調整)は、スクロース(40g), ベタイン(15g)、酵母抽出物Amberex 695AG(1g)、クエン酸(6g)、Na-グルタミン酸(1g), KH2PO4(2g)、(NH4)2SO4(2g)、MgSO4・7H2O(4g)、FeSO4・7H2O(60mg)、ZnSO4・7H2O(20mg)、CaCl2・2H2O(0.5g)、MnSO4-4-5H2O(10mg)、CuSO4・5H2O(0.5mg), Co(NO3)2・6H2O(250mg)および5,6-ジメチルベンズイミダゾール(70mg)を含む。実施例3でベタイン非含有培地として用いたCCM-IXは、ベタイン(0g)およびNa-グルタミン酸(10g)の含有量の点でCCM-1と異なる。
実施例1:P.デニトリフィカンスからのcobR遺伝子の単離
(1)P.デニトリフィカンスPF1-48のゲノムライブラリーの構築
P.デニトリフィカンスPF1-48から調製した染色体DNAをSal Iで部分的に消化し、部分的消化物の15〜35kbの断片を調製用アガロースゲル電気泳動(アガロース:0.7%)によって単離した;目的の断片を含むゲル片を切り出し、断片を40mM Tris-酢酸および2mM EDTAからなるTAEバッファー中に電気溶出させた。これと並行して、5μgのコスミドベクターpVK100(ATCC37156)をSal Iで完全に消化し、消化物をエビアルカリホスファターゼ(United States Biochemical Corporation, Cleveland, USA)により、供給元の推奨に従って処理した。脱リン酸処理を行ったpVK100(130ng)を、DNA連結キットver.1(Takara Shuzo, Co. Ltd., Kyoto, Japan)を26℃で10分間用いることにより、15〜35kb断片(33ng)と連結した。続いて、λインビトロパッケージングキット(Amersham Biosciences AB, Uppsala, Sweden)を供給元のプロトコールに従って用いて、この連結物をファージコートタンパク質によるパッケージングのために用いた。その結果得られたファージ粒子を大腸菌ED8767株の感染に用いて、約400個のカナマイシン耐性コロニーを得た。これらのコロニーを個別に培養し、増殖した細胞を使用時まで15%グリセロール中で-80℃で保存した。
(2)CEEX6を補完する遺伝子に関するゲノムライブラリーのスクリーニング
CEEX6をCCM-1培地中で培養すると、ビタミンB12の産生が起こらないため、培養液は赤褐色にはならない。CEEX6のこの特徴を利用して、CEEX6に赤褐色の色素を産生させる遺伝子に関してゲノムライブラリーをスクリーニングした。上記の約400個のコスミドクローンを、接合によって大腸菌ED8767株からCEEX6に個別に移入し、その結果生じた接合完了体(transconjugant)を、マイクロタイタープレートに入れた100μlのCCM-1中で振盪しながら30℃で1〜2日間培養した。その結果、pS4F6を有するCEEX6の1つのクローンが培地を赤褐色にすることができた。そこで、この接合完了体のCCM-1中でのビタミンB12産生能力を振盪フラスコ培養で評価した。pS4F6を有するCEEX6のビタミンB12産生およびベタイン消費はともに回復していた。
(3)pS4F6におけるCEEX6を補完する遺伝子のサブクローニング
CEEX6を補完する遺伝子、すなわちcobRのpS4F6における位置は図1に示されており、これはEcoR I部位とともに示されている。pS4F6からのサブクローンも、色素およびビタミンB12の産生ならびにベタイン消費に対するCEEX6の補完能力とともに示されている。各々のEcoR I断片(E1〜E6)は色素形成能力の点でCEEX6を補完しない(E7は検討しなかった)。B:BamH I、E:EcoR I、Et:EcoT22 I、H:Hind III、P:Pst I、S:Sal I、X:Xho I。
Sal IによるpS4F6の部分消化および再連結により、pS4F6からいくつかのSal I断片を除去した。pS4F6から切り出したEcoR I断片のうち6つ(E1:pVK100由来の5.5kbのEcoR I-Sal I断片を含む8kb、E2:5kb、E3:2.7kb、E4:1.8kb、E5:1.3kb、E6:1kb)を個別にpVK100中にサブクローニングした。E7(0.4kb)の存在はこの時点では認識されていなかった。約5kbの断片がEcoR Iでは切り出されずにベクター中に残っていると推定された。各EcoR I断片を有する、Sal IおよびpVK100により構築した欠失変異体のそれぞれをCEEX6に移入し、その結果生じた接合完了体をCCM-1中での色素産生に関して評価した。
その結果、いずれのEcoR I断片もCEEX6に色素形成能力を付与しなかった。これに対して、Sal Iによる欠失変異体の1つであるpS4F6ΔS94(これは約7kbのインサートを有し、内部にはEcoR I部位を1つしか有していなかった)は、CEEX6に赤褐色の色素を培地中に産生させることができた。しかし、pS4F6ΔS94とは1kb Sal I断片を欠くことに違いのあるpS4F6ΔS39は、CEEX6に色素形成能力を付与しなかった。そこで、pS4F6ΔS94からさらに欠失変異体を構築して分析した。1kb Sal I断片のみを有するプラスミドpS4F6ΔS110は色素形成能力を示さなかったが、1kb Sal I断片を、隣接する3.2kb断片とともに有するpS4F6ΔS132は色素形成能力を示した。したがって、CEEX6を補完する遺伝子はこの2つのSal I断片の間に存在するはずと考えられた。そこで、pVK100上のカナマイシン耐性遺伝子中の2つのEcoT22 I部位の間のpS4F6から、この2つのSal I断片を完全に含む6.5kbのEcoT22 I断片をクローニングした(pVKcobREt)。さらに、2つのSal I断片の間の1つのSal I部位を含む、4.5kbのBamH I断片、2.3kbのXho I断片および1.9kbのPst I断片を、3.2kb Sal I断片中のBamH I、Xho IまたはPst I部位を用いて調製した。この4.5kbのBamH I断片を、pVK100のcos部位を含む1.7kbのBgl II断片に置き換えて、pVKcobRBを構築した。Xho I断片およびPst I断片をそれぞれ、pVK100上のXho I部位、およびカナマイシン耐性遺伝子中の2つのEcoT22 I部位の間に導入し、pVKcobRXおよびpVKcobRPを構築した。これらのクローンをCEEX6に導入し、ビタミンB12産生能力およびベタイン消費活性に関してアッセイした。表1に示した通り、pVKcobRXおよびpVK100を有するクローンを除き、クローンのすべてが、CEEX6のビタミンB12産生およびベタイン消費を回復させた。
Figure 2006516385
(4)CEEX6を補完する遺伝子のヌクレオチド配列の決定
CEEX6を補完する遺伝子を明確にするために、CEEX6を補完する最も短い断片であったことから、1.9kb Pst I断片に対象を絞ってヌクレオチド配列を決定した。本発明者らは、C末端がPst I部位を幾分交差する、本発明者らがcobRと命名した遺伝子の1つのORFを見いだした。このORFは、334アミノ酸のポリペプチド(SEQ ID NO: 2)をコードする1002bp(SEQ ID NO: l:ヌクレオチド303位と1304位との間)からなる。1つのXho I部位がこのORFの内部に認められ、これはpVKcobRXがCEEX6を補完しなかったという事実に一致した。遺伝子産物CobRは、このファミリー内部で保存されているヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフ(GCG(Genetics Computer Group, University Research Park, WI, USA)のモチーフプログラムによって見いだされた)をC末端近傍に有していたため、AraC/XylSファミリーに属する転写活性化因子であると考えられた;Hth_Arac_Family_1モチーフ(K,R,Q)(L,I,V,M,A)x2(G,S,T,A,L,I,V)〜(F,Y,W,P,G,D,N)x2(L,I,V,M,S,A)x{4,9}(L,I,V,M,F)x2(L,I,V,M,S,T,A)(G,S,T,A,C,I,L)x3(G,A,N,Q,R,F)(L,I,V,M,F,Y)x{4,5}(L,F,Y)x3(F,Y,I,V,A)〜(F,Y,W,H,C,M)x3(G,S,A,D,E,N,Q,K,R)x(N,S,T,A,P,K,L)(P,A,R,L)が、CobRの277番目〜319番目の残基に(R)(L)x{2}(A)〜(F,Y,W,P,G,D,N)x{2}(L)x{6}(V)x{2}(V)(A)x{3}(G)(F)x{5}(F)x{3}(Y)〜(F,Y,W,H,C,M)x{3}(N)x(S)(P)として保存されていた。pVK100中の2つのEcoT22 I部位の間の1.9kb Pst I断片を有するクローンpVKcobRPでは、CobRのC末端の4アミノ酸(QMAR)がベクター配列由来の6アミノ酸(HHQEYG)に置換されていると考えられた。この改変型CobRはCEEX6を補完する機能を有する可能性がある。Blast(NCBI, Bethesda, Md. USA)を用いてcobRに対して行った相同性検索により、それがシノリゾビウム・メリロティ1021(アクセッション番号AL591688)のゲノム配列中の遺伝子SMc04169と相同であることが示された。cobRとSMc04169との同一性はヌクレオチドレベルでは86.6%であり、アミノ酸レベルでは93.7%であった。SMc04169の遺伝子産物の機能は転写活性化因子であると推定されたが、これがビタミンB12合成に関与する遺伝子に対する活性化因子となりうると考えることは困難であった。
実施例2:cobR変異とビタミンB 12 産生およびベタイン消費の欠損との関係の確認
(1)CEEX6由来のcobRにおける点変異の決定
cobR遺伝子の導入は確かにCEEX6を補完したが、このことは、CEEX6がcobRに変異を有することを厳密には意味しない。cobR変異が原因でベタイン消費およびビタミンB12産生が起こらないということを確かめるために、以下の通りに、CEEX6からcobR遺伝子をクローニングし、そのヌクレオチド配列を決定した。cobRの全ORFを含む2.1kb断片をPF1-48株の染色体からPCRによって増幅し、それをDIGで標識した後にプローブとして用いた。本発明者らはCEEX6中に4.5kb BamH I断片も存在することをサザンブロット分析によって見いだしていたため、上記のプローブを用いるコロニーハイブリダイゼーション法を用いることによってこの断片をクローニングした。続いて、本発明者らは、この4.5kb BamH I断片をpVK100により導入してもCEEX6が補完されないことを確かめた。CobRのN末端側半分を含む2.1kb BamH I-Hind III断片を、PF1-48のBamH I断片由来の対応する断片に置き換えたところ、その結果生じた断片も補完活性を示さなかった。このため、本発明者らは、CobRのC末端側半分をコードする残りの2.4kb Hind III-BamH I断片の内部に変異が存在すると予想した。実際に、本発明者らは、CEEX6のcobR遺伝子には、AraC/XylSファミリー転写活性化因子間で保存された領域内部のC末端領域に点変異があることを見いだした;CEEX6由来のcobR遺伝子ではCys299(TGC)がArg299(CGC)に変化していた。
(2)cobRを含む6.5kb EcoT22 I断片に対するランダムTn変異誘発
インビトロTn変異誘発キットGSP-1(New England BioLabs, Inc., Beverly, MA)を用いて、6.5kb EcoT22 I断片を有するpCRIIベクター(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)を、pGPS2.1(Tn中にCAT遺伝子がある)により変異させた。変異した試料から、Tnを含む8kb EcoT22 I断片を切り出してpVK100に導入し、大腸菌DH5αを形質転換させた。その結果として、本発明者らは、種々の変異断片を有する128個のCm耐性形質転換体を得た。続いて、色素形成の補完能力を検討するために、これらのプラスミドを個別にCEEX6に移入した。128個の接合完了体のうち13個は補完能力を示さなかった。図2にまとめたように、分析した13個のうち、pVKTn2、5、9、26、46または84を有する6個の陰性クローンはすべて、cobRのORF中にTnを有していた。これに対して、cobR ORFの周囲へのTn挿入、例えば、Tn30(81bp下流)、Tn28(cobRの約300bp下流、おそらく次のORFの内部)またはTn35(約340bp上流)などでは補完能力を失わなかった。例外的に弱い補完能力を示したプラスミドpVKTn3は、ちょうどPst I部位に挿入されていた。pVKcobRPにおいてC末端の4アミノ酸残基を6残基に置き換えることは可能であったが、2つ(AR)を他の8残基(WADNKVLN)に置換することは許容されなかった。
図2は、6.5kb EcoT22 I断片に対するランダム変異誘発法を示している:調べたTn挿入部位が6.5kb EcoT22 I断片上にマッピングされた。cobRのORFは白抜き枠として示した。pVK100上にTnを有する各断片のCEEX6に対する補完能力を、マッピングされたTn挿入部位の括弧内にプラスまたはマイナスとして表示した。B:BamH I、E:EcoR I、Et:EcoT22 I、H:Hind III、P:Pst I、S:Sal I、X:Xho I。
(3)cobR-ヌル変異体の構築
上記の通り、cobR中にTnを有するいくつかの断片を得た。cobRの中央部、Hind IIIおよびSal Iとの間にTn挿入を有するプラスミドpVKTn26(図2)をヌル変異体の構築のために用いた。pVKTn26由来のTnを有する1.9kb Pst I断片(合計3.3kb)を、プラスミド上のCAT遺伝子を破壊するためにpSUP202中のEcoR I部位の付着末端を充填することによって構築した自殺ベクターpSUP202ΔEのPst I部位に挿入した。 続いてSal I部位を用いて、自殺プラスミドにおけるTn内部のCAT遺伝子を次のSal I断片とともにゲンタマイシン(Gm)耐性遺伝子に置き換えた。この結果得られたプラスミドをPF1-48に導入し、Gm耐性cobR-ヌル変異体であるTn26を得た。Tn26株はCEEX6と同様に、CCM-1培地中でビタミンB12を産生しない上にベタインも消費しなかった。このことはcobRがP.デニトリフィカンスにおけるビタミンB12合成のための必須遺伝子の1つであることを意味する。
実施例3:cob遺伝子の活性化におけるCobRの関与の実証
ヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列の分析により、cobR遺伝子産物CobRがAraCファミリーに属する転写活性化因子でありうることが示唆された。cobR欠損変異体はベタインを消費できず、ビタミンB12を産生することもできないため、本発明者らは、ベタイン代謝およびビタミンB12合成に関与する遺伝子がCobRによって活性化されると予想した。さらに、ベタインがCobRに対するエフェクター分子である可能性もある。
(1)CobRおよびベタインの存在下または非存在下におけるcob遺伝子発現レベルの評価
本発明者らは、gusをレポーター遺伝子に用いて構築したプロモータープローブベクターpGus02を、cob遺伝子の発現レベルを評価するために利用した。本発明者らはcobEABCDオペロンをcob遺伝子の代表として選択したが、これはこのオペロン中のcobAがビタミンB12合成経路の第一段階反応を触媒する酵素をコードしているためである。さらに本発明者らは、cobRが自己調節されるか否かを知るために、cobR自体の発現レベルも調べた。cobEABCDオペロンに対するプロモーターを含む断片として、Crouzet et al.によりGenBankに登録されたcobEABCD遺伝子(アクセッション番号M59236)の配列中の59番目〜792番目のヌクレオチドに対応する0.7kb Bgl II-Hind III断片をカバーする0.7kb Hind III断片(cobEの5'非コード領域の約500bpおよびコード領域の約200bpを有する)を、pGus02のHind III部位に挿入した。一方、cobRの5'非コード領域の約0.9kbおよびコード領域の0.2kbを有する1.1kb Xho I断片を、cobRプロモーターを含むと思われる断片として用いた。この1.1kb Xho I断片を、pUC19由来のマルチクローニングサイトをpGus02のHind III部位とBamH I部位との間に挿入することによって構築したpGus02aの2つのSal I部位の間に挿入した。続いて、pcobE-gusおよびpcobR-gusの構成単位をそれぞれ2.6kbおよび3kbのXho I断片としてベクターから切り出し、pVK100のXho I部位に、プラスミド上のカナマイシン耐性遺伝子に対して逆向きに導入してそれぞれpVKpcobEgusおよびpVKpcobRgusを構築した。続いて、構築したプラスミドをPF1-48およびCEEX6に導入し、その結果生じた接合完了体をCCM-1(ベタインを含む培地)およびCCM-1X(ベタインは含まないがグルタミン酸を1g/1から10g/1に増量)(そこではB12は産生されないが細胞は良好に増殖する)中で培養した。2日間の培養後に細胞を収集し、gusアッセイに供した。表2に示した通り、本発明者らは、細胞をベタイン非含有培地中で増殖させた場合、またはcobR欠損株CEEX6においては、cobEプロモーターが抑制されることを見いだした。これに対して、cobRプロモーターはベタイン非含有培地中でもそれほど抑制されなかったが、その活性はCCM-1中のcobR野性株PF1-48で最も高かった。これらの結果は、cobEプロモーターは抑制されたがcobRはベタイン非含有培地中で発現可能であったことからみてCobRがベタインとともにcobEプロモーターを活性化したこと、およびCobRがベタインの存在下で自らのcobRプロモーターをある程度さらに活性化したことを示唆する。
Figure 2006516385
(2)ゲルシフトアッセイを用いることによるCobR機能の実証(CobRの大腸菌における発現)
前のセクションで述べた通り、プロモーター活性のアッセイによって、CobRがベタインとともにcobEプロモーターを活性化することが示唆された。cob遺伝子の活性化におけるCobRの関与に関してより直接的な証拠を得るために、本発明者らはゲルシフトアッセイを行った。
精製CobRの代わりに、本発明者らは、pETシステム(Stratagene)によりCobRを発現する大腸菌BL21(DE3)/pETcobRの無細胞抽出物(CFE)を、陰性対照としてのpETベクターのみを有する大腸菌のCFEとともに用いた。アンピシリンを加えた2×10mlのLB中で一晩培養した大腸菌細胞を2×200mlの同じ培地に移し、180rpmで振盪しながら37℃で4時間培養した。細胞を4,000×g、10分間の遠心処理によって回収し、50mM Tris-HCl(pH 7.5)、5mM MgCl2によって1回洗浄した。洗浄した細胞を、同じ緩衝液中に湿細胞0.2g/mlの濃度で再懸濁した。続いて、フレンチプレスによる処理を1500kg/cm2で2回行い、3,000×g、10分間の遠心処理により細胞片を除去することによって細胞懸濁液からCFEを調製した。その一方で、本発明者らは、PCRを用いることによってcobEの上流の290bp(開始コドンから18位〜307位)断片(cobEF1R1)を調製し、DIGゲルシフトキット(Gel Shift Kit)(Roche Diagnostics, Basel, Switzerland)に含まれるターミナルトランスフェラーゼによりその3'末端をDIG-11-ddUTPで標識した。
供給元によって推奨されているプロトコールに従い、標識断片およびCFEを用いてゲルシフトアッセイを行った。結合反応のため、1ngの標識断片を、15μlの20mM HEPES、pH 7.6、1mM EDTA、10mM (NH4)2SO4、1mM DTT、0.2%(w/v)Tween 20、30mM KCl、50ng/μlポリ[d(1-C)]、5ng/μlポリL-リシン中に1.2mgのタンパク質を含むCFEとともに室温で15分間インキュベートした。5μlの0.25×60%TBEバッファー、40%グリセロールを添加した後に、10μlの試料混合物をポリアクリルアミドゲル電気泳動(0.25×TBE中に6%アクリルアミド、ランニングバッファー:0.25×TBE、80Vの定電圧を2時間)にかけた。正荷電ナイロン膜(Boehringer Manheim GmbH Cat. No. 1209 299)に対するDNAおよびDNA-タンパク質複合体のエレクトロブロッティングを、0.25×TBEをトランスファーバッファーとして用いるTrans-Blot SD(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)により、25Vで45分間行った。膜にトランスファーしたDNA分子は膜を120℃で15分間加熱することによって膜に固定し、供給元により推奨されているプロトコールに従って検出した。その結果、本発明者らは、標識断片をCobRを含むCFEと反応させた場合にそれが遅延することを観察した。さらに、100倍過剰量の非標識cobEF1R1の存在によってこの遅延は阻害された。これに対して、ベクター対照によるCFEはDNA断片のシフトを引き起こさなかった。これらの結果は、CobRがcobEABCDオペロンの調節領域と直接結合してこのオペロンの転写を活性化することを強く示唆する。
(3)cob遺伝子の活性化におけるCobRの関与の実証(CobRのP.デニトリフィカンスにおける発現)
本発明者らは、CobRを含む大腸菌のCFEをゲルシフトアッセイに適用しうることを見いだした。このことは、CobRがcobEABCDオペロンの調節領域と直接結合することを本発明者らが実証できたことを意味する。続いて、P.デニトリフィカンス野生株PF1-48のCFEをゲルシフトアッセイに適用し、CEEX6(点変異を有するcobR)および陰性対照としてのTn26(cobR-ヌル変異体)のCFEと比較した。これらの菌株を200mlのLB中にて220rpmで振盪しながら30℃で16時間培養し、実施例3-(2)に記載した大腸菌細胞と同様にCFEを調製した。cobEABCDオペロンのほかに、他のcob遺伝子の上流の領域もさらに検討した。本発明者らは、cobFの上流の208bp(開始コドンのTからみて)断片(cobFF1R1)およびcobQの上流の281bp(開始コドンから10位〜290位)断片(cobQF1R1)を、Entrezに登録された配列(アクセッション番号A30008およびM62866)に基づくPCRによって調製した。これらの断片をターミナルトランスフェラーゼによりDIG-11-ddUTPで標識してゲルシフトアッセイに供した。
その結果、本発明者らは、cobEおよびcobQの上流領域由来の断片が、PF1-48のCFEによってのみ明らかにシフトすることを見いだした。これに対して、cobFの上流領域由来の断片はごく一部しかシフトしなかったものの、このシフトは10mMベタインを結合反応物に添加した場合に生じた。
実施例4:CobRに対する抗血清の調製のための切断型CobRの精製
cobRを大腸菌で効率的に発現させることは、AraC/XylSファミリーに属する他の転写活性化因子と同様に、PETシステムにおけるtacまたはT7などの強力なプロモーターを用いても困難であったが、本発明者らは、pCRII中に4.5kb BamH I断片を有するクローン(pCRIIcobRB)のHind III部位のN末端側を除去することにより(pCRIIcobRBΔH)、切断型CobRがマルチクローニングサイトに由来するLacZのN末端(20a.a.)と融合したもの(CobRΔNHd:20+186/334(CobR)=206a.a.、23.4kDa)を、IPTG誘導を行わずに封入体として効率的に発現させうることを見いだした。そこで、以下の通りに、CobRΔNHdを8M尿素による可溶化の後に調製用SDS-PAGEによって封入体から精製した。カナマイシンを添加した1LのLB培地中で培養することにより、本発明者らは湿細胞にして3.3gの組換え大腸菌を得た。この細胞を50mM Tris/HCl、5MM MgCl2(pH 7.5)からなる16.5mlのバッファーA中に懸濁し、懸濁液のフレンチプレス処理を1500kg/cm2で2回行った。次に、3,000×g、10分間の遠心処理によって封入体を細胞片とともに溶液から回収した。沈殿物をバッファーAで1回洗浄し、その後に100mM NaH2PO4、10mM Tris、8M尿素(pH 8.0)からなる2.5mlのバッファーBと1時間穏やかに混合することによって可溶化した。可溶化したタンパク質を3,000×g、10分間の遠心処理によって回収した。最終的に2.5mlのバッファーB中にある125mgのタンパク質を入手した。2mgのタンパク質を調整用SDS-PAGE(15%アクリルアミド)に供した。CobRΔNHdの主なタンパク質バンドをゲルから切り出し、ゲルスライスを用意してウサギ抗CobR抗血清を調製した。
実施例5:切断型CobRのDNA結合能
AraC/XylSファミリーに属する転写活性化因子はC末端近傍に2つのHTHモチーフを有する。第1のHTHモチーフの配列保存性は低く、互いに大きな違いがあるが、第2のHTHモチーフにはこのような差異はない。第2のHTHモチーフの保存配列は、転写活性化因子をAraC/XylSファミリーに分類する決定要因である。当然ながら、CobRはこのモチーフをC末端に有し、このため、CobRのC末端側半分を有するCobRΔNHdはこのDNA結合モチーフを保持している。バチルス・サーモグルコシダシウム(Bacillus thermoglucosidasium)Hrcリプレッサーに関しては、任意の種のDNAの添加が再生(renaturation)のために有効と思われることが報告されており、Hrc結合部位を含むDNA(CIRCE;シャペロン発現に対する制御性逆方向反復配列(controlling inverted repeat of chaperon expression)は他の非特異的DNAよりもはるかに有効であった。そこで、実施例4において8M尿素により可溶化したCobRΔNHdを、CobR結合領域を有するDNAの存在下でリフォールディングさせた。この種のDNAとして、本発明者らは、pCRIIベクター中にcobEA遺伝子を含み、2.3kb Bgl II-EcoR V断片を有するpCRIIcobApdを調製した。100μlの20mM Tris-HCl(pH 7.5)、5mM EDTA、3M尿素中にある80μgの可溶化CobRΔNHd、5μgのpCRIIcobApdを、20mM Tris-HCl(pH 7,5)、5mM EDTAに対して透析した。透析物を50mM Tris-HCl(pH 7.5)、5mM MgCl2で1%に希釈した(8μgタンパク質/ml)。実施例3-(2)に記載した結合反応において、実施例3-(3)で調製したCFEおよび標識cobQF1R1の代わりにこの溶液1μlを結合反応に用いて、ゲルシフトアッセイを行った。その結果、本発明者らは、再生したCobRΔNHdによる断片の遅延を観察した。この結果は、N末端切断型のCobRまたはCobRΔNHdもcob遺伝子の調節領域に対する結合活性を有することを示唆する。
実施例6:cobRが増幅されたPF1-48によるビタミンB 12 産生
pVKcobRBを有するPF1-48およびpVK100を有するPF1-48を種培養液#688中にて30℃で2日間培養した。種培養液の一部分(1ml)を、500ml EMF内にある30mlのCCM-1培地中に接種した。これらの主発酵を回転振盪器により30℃、220rpmで4日間行った。第2日にスクロース450g、ベタイン120g、 MgSO4・7aq 3gおよび5,6-ジメチルベンズイミダゾール0.105g/Lからなる5mlの追加培地(feed medium)を添加し、培養をさらに2日間続けた。補酵素B12のシアン化の後に、産生されたビタミンB12の量をHPLCにより測定した。その結果、前者の株が産生したビタミンB12の量は後者よりも6%多かった。
CEEX6を補完するcobR遺伝子のpS4F6における位置を、EcoR I部位とともに示す。pS4F6からのサブクローンも、色素およびビタミンB12の産生ならびにベタイン消費に対するCEEX6の補完能力とともに示す。各々のEcoR I断片(E1〜E6)は色素形成能力の点でCEEX6を補完しない(E7は検討しなかった)。B:BamH I、E:EcoR I、Et:EcoT22 I、H:Hind III、P:Pst I、S:Sal I、X:Xho I。 6.5kb EcoT22 I断片に対するランダム変異誘発法を示す:調べたTn挿入部位が6.5kb EcoT22 I断片上にマッピングされた。cobRのORFを白抜き枠として示す。pVK100上にTnを有する各断片のCEEX6に対する補完能力を、マッピングされたTn挿入部位の括弧内にプラスまたはマイナスとして表示する。B:BamH I、E:EcoR I、Et:EcoT22 I、H:Hind III、P:Pst I、S:Sal I、X:Xho I。

Claims (9)

  1. 以下からなる群より選択される、ビタミンB12合成に関与する遺伝子に対する転写活性化因子であるCobRをコードするヌクレオチド配列を含む単離されたDNA:
    (a)SEQ ID NO: 1またはその相補鎖により同定されるDNA配列;
    (b)(a)に定義されたDNA配列に対して相補的なDNA配列またはその断片とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつビタミンB12合成に関与する遺伝子に対する転写活性化因子CobRの活性を有するポリペプチドをコードするDNA配列;
    (c)(a)または(b)のDNA配列によってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列;
    (d)SEQ ID NO: 2のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAに対して少なくとも80%の程度で同一なDNA配列;
    (e)SEQ ID NO: 2のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAに対して少なくとも90%の程度で同一なDNA配列;
    (f)SEQ ID NO: 2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の程度で同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、ビタミンB12合成に関与する遺伝子に対する転写活性化因子CobRの活性を好ましくは有するポリペプチドをコードするDNA;
    (g)SEQ ID NO: 2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の程度で同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、ビタミンB12合成に関与する遺伝子に対する転写活性化因子CobRの活性を好ましくは有するポリペプチドをコードするDNA。
  2. 請求項1の(a)〜(g)のいずれか一項記載の単離されたDNAを含む、ベクターまたはプラスミド。
  3. 請求項1の(a)〜(g)のいずれか一項記載の単離されたDNAによる、または請求項2記載のベクターもしくはプラスミドによる、形質転換またはトランスフェクションを受けた宿主細胞。
  4. 請求項1の(a)〜(g)のいずれか一項記載の単離されたDNAによってコードされるポリペプチド。
  5. ビタミンB12合成に関与する遺伝子に対する転写活性化因子の活性を有する請求項4記載のポリペプチドの産生のためのプロセスであって、請求項3記載の宿主細胞を前記ポリペプチドの産生を導く条件下で培養する段階を含み、宿主細胞がシュードモナス・デニトリフィカンス(Pseudomonas denitrificans)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、大腸菌(Escherichia coli)およびシノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)からなる群より選択される、プロセス。
  6. コバラミンの生物生産のためのプロセスであって、請求項1の(a)〜(g)のいずれか一項記載の単離されたDNAを適切な宿主生物に導入する段階、宿主生物をコバラミンの産生を導く条件下で培養する段階、および培養物からコバラミンを回収する段階を含むプロセス。
  7. 宿主生物がシュードモナス・デニトリフィカンス、アグロバクテリウム・ラジオバクターまたはシノリゾビウム・メリロティである、請求項6記載のプロセス。
  8. 宿主生物が、シュードモナス・デニトリフィカンスCEEX6またはシュードモナス・デニトリフィカンスPF1-48(いずれもブダペスト条約に則ってDSMZに寄託されている)である、請求項6記載のプロセス。
  9. ビタミンB12生合成遺伝子に対する請求項4記載のポリペプチドの結合活性を用いることにより、ビタミンB12生合成に関与する遺伝子を発見するためのプロセス。
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