JP3486028B2 - 洗浄液 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、洗浄剤に関するも
のであり、特に皮膚および毛髪に対して刺激がなく、起
泡性、洗浄性、使用感、保存時の外観に優れた洗浄剤に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、人体の皮膚や毛髪と接触して
使用される洗浄用組成物、或いは人体の粘膜や皮膚に接
触する物を洗浄するための洗浄剤として、シャンプー、
ボディーシャンプー、洗顔用洗浄剤、シェービングフォ
ーム、食品及び食器用洗浄剤等が知られているが、これ
らの洗浄剤においては、使用する界面活性剤の表面張
力、乳化力、可溶化力、起泡力等の界面活性能ばかりで
なく、安全で皮膚への刺激が少ないことが要望されてい
る。しかし、従来の洗浄剤は必ずしもこのような要件を
充分に満たしていないのが実状である。例えば脂肪酸の
アルカリ金属塩（石鹸）は、使用時に水の存在下で脂肪
酸とアルカリ金属の水酸化物に解離するためアルカリ性
を示し、皮膚を荒らすので好ましくない。またアルキル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム等の合成陰イオン性界面
活性剤は洗浄力は強いが、人体、環境に対しては必ずし
も穏やかではない。他方、ポリオキシエチレンアルキル
エーテルの非イオン性界面活性剤のみでは皮膚に穏やか
であるが洗浄力・起泡力において不十分である場合が多
々あり、安全で皮膚に刺激が少なく、かつ洗浄性能に優
れたものの開発が望まれていた。

【０００３】一方、長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル
塩は、陰イオン性界面活性剤であり、食品や化粧品の乳
化剤、洗浄剤を構成する界面活性剤などの用途に有用で
あることが知られている（特開昭４９−７３４０４、特
開昭５４−１３４７１、特開昭６４−６２３７、特開平
４−２３９００号各公報）。しかしながら、その場合、
化粧品や洗浄剤においては助界面活性剤として、あるい
は洗浄後の皮膚、毛髪の感触を好ましいものに整えるコ
ンディショナーとして、他の界面活性剤とともに比較的
少量が使用されており、しかも該乳酸エステル塩を製造
する際の原料である脂肪酸等を含んだままの反応生成物
を用いるにとどまっていた。

【０００４】即ち、従来、長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エ
ステル塩は、長鎖脂肪族カルボン酸または長鎖脂肪族カ
ルボン酸クロライド等の反応性誘導体と乳酸または乳酸
塩とを反応させて長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステルを
生成し、これと塩基性物質とを反応させて製造され、こ
の反応混合物そのままが用途に供されていた。それは長
鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩の精製法として工業
的に適用しうる方法が知られておらず、また長鎖脂肪族
カルボン酸乳酸エステル塩に及ぼす共存物の影響が十分
に解明されていなかったためと考えられる。しかしなが
ら、このような長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩の
反応混合物水溶液は、高純度長鎖脂肪族カルボン酸乳酸
エステル塩の水溶液に比べて水溶液のクラフト点が高
く、洗浄力や起泡力が不十分であるという問題があっ
た。クラフト点は界面活性剤の界面活性能を左右する要
因であり、クラフト点未満の温度では洗浄力、起泡力、
乳化力等の界面活性能が充分に発揮されないので、界面
活性能の低下に結びつくクラフト点の上昇は好ましくな
かった。

【０００５】また、反応混合物は着色やカラメル臭を伴
っていることが多く、反応混合物水溶液やこれを用いた
製品において、その外観と臭いに好ましくない影響を与
えることも大きな問題であった。他方、ショ糖脂肪酸エ
ステルは、非イオン界面活性剤であり、食品、化粧品等
の乳化や油脂等の改質効果において有用であることが知
られている（特開平５−２１９８８５、特開平６−２７
１４２０、特開平６−１５３７９８号各公報）。しかし
ながら、この界面活性剤は、安全性が極めて高く、皮膚
に対して穏やかで生分解性も良好であるが、洗浄剤とし
て用いた場合、単独では洗浄性、起泡性の点で満足され
なかった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、弱酸性ない
しは中性で皮膚および毛髪に対する刺激が少なく、かつ
起泡力、洗浄力、耐硬水性等の洗浄性能および使用感に
優れ、しかも着色や臭いがなく外観も好ましい洗浄剤組
成物を提供することを目的としてなされたものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するために検討を重ねた結果、特定の純度、即ち
純度８０モル％以上の長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステ
ル塩とショ糖脂肪酸エステルとを併せて用いると、優れ
た洗浄性能を持ち、しかも安全で使用感が良好な洗浄剤
が得られることを見いだし、本発明を達成した。即ち、
本発明の要旨は、純度８０モル％以上の長鎖脂肪族カル
ボン酸乳酸エステル塩と、ショ糖脂肪酸エステルを含有
する洗浄剤に存する。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル
塩における長鎖脂肪族カルボン酸としては、長鎖方向に
少なくとも８つの炭素原子を有するカルボン酸であり、
通常炭素数８〜２０、好ましくは１０〜１８、より好ま
しくは１０〜１４のものが用いられる。この長鎖カルボ
ン酸は飽和でも不飽和でもよく、また直鎖状でも分岐鎖
状でもよい。分岐鎖状の場合には、最長鎖の長さが炭素
数８以上であるのが好ましい。また場合によっては水酸
基を有するヒドロキシルカルボン酸でもよい。これらの
長鎖脂肪族カルボン酸としては、カプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、アラキジン酸、オレイン酸、エライジン酸、リ
シノレイン酸、２−ブチルオクタン酸、２−ヘキシルデ
カン酸、２−ヘキシルウンデカン酸、２−オクチルデカ
ン酸、１０−ヒドロキシオクタデカン酸、２−ヒドロキ
シデカン酸等があげられる。これらのなかでもカプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等が洗浄性の面から特に
好ましい。これらの長鎖脂肪族カルボン酸は、任意の割
合からなる２種以上の混合物であってもよい。

【０００９】長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩にお
ける乳酸としては、発酵法または合成法のいずれで製造
されたものでもよく、Ｄ体Ｌ体の区別を問わない。純度
８０モル％以上の長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩
を得るための方法は特に限定されず、いかなる手法でも
よい。通常、公知の製造法により得られた反応生成物を
なんらかの手段により精製するのがよい。通常、長鎖脂
肪族カルボン酸乳酸エステル塩は、長鎖脂肪族カルボン
酸、または長鎖脂肪族カルボン酸クロライド、長鎖脂肪
族カルボン酸塩、長鎖脂肪族カルボン酸エステル等の反
応性誘導体と、乳酸または乳酸塩とを反応させて得られ
る。反応は通常、温度１００〜２５０℃、２〜１０時間
でおこなわれ、ピリジン等の塩基性溶媒の存在下でも非
存在下でも行うことができ、特に塩基性溶媒中で長鎖脂
肪族カルボン酸クロライドを用いる場合は、５０〜９０
℃、１〜３時間で行うことが可能である。

【００１０】公知の方法で製造した長鎖脂肪族カルボン
酸乳酸エステル反応液には、長鎖脂肪族カルボン酸乳酸
エステル塩の他に長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル、
未反応の長鎖脂肪族カルボン酸またはその塩、乳酸また
はその塩、ポリ乳酸またはその塩、長鎖脂肪族カルボン
酸ポリ乳酸エステルまたはその塩、および溶媒を用いた
場合には溶媒が存在している。また、しばしば着色して
いたり、何らかの臭いを持つことが多い。このとき、溶
媒を除いた反応生成物中における長鎖脂肪族カルボン酸
乳酸エステルまたはその塩の含有量は、反応に供した長
鎖脂肪族カルボン酸と乳酸との比率によっても異なる
が、通常、長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステルまたはそ
の塩、未反応の長鎖脂肪族カルボン酸またはその塩、乳
酸またはその塩、ポリ乳酸またはその塩、および長鎖脂
肪族カルボン酸ポリ乳酸エステルまたはその塩の合計量
をベースにして３０〜７０モル％程度である。本発明に
使用する純度８０モル％以上の長鎖脂肪族カルボン酸乳
酸エステル塩は、該エステル化反応混合物を通常の精製
手法で精製することにより取得することが出来る。

【００１１】また、純度８０モル％以上の長鎖脂肪族カ
ルボン酸乳酸エステルを生成し、さらに未反応原料等が
残存しないように純度８０％以上の長鎖脂肪族カルボン
酸乳酸エステル塩を生成してもよい。純度８０％以上の
長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステルを得る方法の例とし
ては、反応混合物をｐＨ５．０以下で水性溶媒と有機溶
媒とで液−液抽出して、長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エス
テルに富む有機溶媒相と乳酸に富む水性溶媒相とを生成
させて両相を分離し、次いでこの有機溶媒相の長鎖脂肪
族カルボン酸乳酸エステルを、共存する長鎖脂肪族カル
ボン酸から晶析により分離することにより、あるいは、
反応混合物にｐＨが３．０より低くなるまで酸水溶液を
添加して長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステルを油状物と
して析出させ、この油状物を分取して有機溶媒に溶解し
て溶液とし、この溶液から長鎖カルボン酸乳酸エステル
を晶析して取得する方法である。

【００１２】より具体的な例としては、塩酸または硫酸
水溶液を添加後の水溶液に占める溶媒を除く反応物の合
計量（固形分）が３〜４０重量％となるように、また、
添加後の水溶液のｐＨが２−４となるように添加し、つ
ぎにヘキサン、クロロホルム等の水に難溶でかつ長鎖脂
肪族カルボン酸乳酸エステルに大きな溶解力を示す有機
溶媒を、水相に対して通常０．３〜２容量倍加え、液−
液抽出を行い、得られた有機溶媒から固形分５〜１５重
量％で分別晶析を行って長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エス
テルを回収し、必要に応じて晶析操作を繰り返して純度
８０モル％以上の長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステルを
得る方法である。

【００１３】得られた純度８０モル％以上の長鎖脂肪族
カルボン酸乳酸エステルに、水溶液中あるいはエタノー
ル等のアルコール性の水溶液中で塩基性物質をモル比
（長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル／塩基性物質）１
／０．９〜１／１．３で加えて反応させると純度８０モ
ル％以上の長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩が得ら
れる。長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステルと塩基性物質
とのモル比は、さらに好ましくは１／１〜１／１．２で
あり、モル比をこの範囲に保つことで、経時的な加水分
解の抑制及びクラフト点の上昇の抑制、即ち界面活性能
の低下を抑制することができる。塩基性物質のモル比が
大きいと、長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩水溶液
のクラフト点が上昇し透明性が低下したり長鎖脂肪族カ
ルボン酸金属塩（石鹸）等が沈澱生成のために常温で不
均一状態を呈す。この原因としては、塩基性物質の増加
によって長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステルの加水分解
が促進されて長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩が減
少し、石鹸及び乳酸比率が増加するためと考えられる。

【００１４】また逆に、塩基性物質のモル比が小さ過ぎ
る場合においても、水溶液のクラフト点は上昇する。こ
れは長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステルの加水分解率は
低いが塩基性イオンが少ないために界面活性能が低下し
ているので、加水分解で生じた長鎖脂肪族カルボン酸や
乳酸が僅かであってもクラフト点が上昇するばかりでな
く、乳化力、起泡力、洗浄力といった界面活性能が低下
すると考えられる。上記のように所定のモル比で中和し
た、高純度の長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩を用
いることにより、長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩
を含む洗浄剤は、中性のｐＨ領域において著しく優れた
性能を示す。塩基性物質としては、アルカリ金属もしく
は、アルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩、アンモニ
ア、エタノールアミン等のアルカノールアミン、トリブ
チルアミン等の低級アルキルアミンがあげられる。中で
も洗浄剤としては、カリウム、ナトリウム、トリエタノ
ールアミン塩等が皮膚刺激が無く、かつクラフト点が低
く洗浄力、起泡力が優れており好ましい。

【００１５】 ショ糖脂肪酸エステルにおいては、脂肪
酸の炭素数が、通常炭素数８〜２４、好ましくは１０〜
１８、より好ましくは１０〜１４のものが用いられる。
この脂肪酸は飽和でも不飽和でもよい。また場合によっ
ては水酸基を有するヒドロキシカルボン酸でもよい。こ
れらの脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
アラキン酸、オレイン酸、エライジン酸、リシノレイン
酸等が挙げられる。なかでもカプリン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸等が特に優れており好ましい。これらの脂
肪酸は任意の割合からなる２種以上の混合物として用い
ることもできる。工業的にはヤシ油、パーム油、牛脂等
から得られる混合脂肪酸を製造原料とするのが好適であ
る。またこの様な脂肪酸から構成されるショ糖脂肪酸エ
ステルの中で、モノおよびジエステルの合計が８０重量
％以上、あるいはＨＬＢ値が９以上であるものがより好
ましい。モノエステルおよびジエステルが少なく、トリ
エステル以上のエステル体が多いと、ショ糖脂肪酸エス
テルの水溶性が低くなり、洗浄性能が低下することがあ
る。

【００１６】本発明の洗浄剤において用いられる長鎖脂
肪族カルボン酸乳酸エステル塩およびショ糖脂肪酸エス
テルは、通常洗浄剤全量に基づき１〜９０重量％、好ま
しくは１０〜６０重量％、特に好ましくは５〜５０重量
％の範囲で含有される。また、長鎖脂肪族カルボン酸乳
酸エステル塩及びショ糖脂肪酸エステルの含有重量比は
９０／１０〜１／９９、好ましくは８０／２０〜５／９
５、さらに好ましくは６０／４０〜４０／６０の範囲で
含有される。長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩ある
いはショ糖脂肪酸エステルをこの範囲をはずれて用いた
場合は、洗浄剤の起泡力が十分でなかったり、泡のきめ
細かさが不足し、さらに洗浄後の皮膚や毛髪への感触が
良好とならないことがある。

【００１７】本発明洗浄剤においては、洗浄力を充分に
発揮するために、キレート剤を配合してもよい。このキ
レート剤を用いることで、カルシウム、マグネシウム等
を含有する硬水中でスケールの発生による硬水水溶液の
白濁を防げるばかりでなく、硬水中での洗浄力、起泡
力、泡の感触を保つことができる。このようなキレート
剤としては、特に限定されず従来と同様のものが用いら
れ、具体的にはクエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、グ
ルタミン酸塩、ピロリン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリ
マレイン酸塩、グルコン酸塩、ニトリロトリ酢酸塩、ア
クリル酸−無水マレイン酸共重合体塩、無水マレイン酸
−メチルビニルエーテル共重合体塩、無水マレイン酸−
オレフィン共重合体塩、無水マレイン酸−メタクリル酸
共重合体の塩、無水マレイン酸−酒石酸縮合体、ゼオラ
イト、トリポリリン酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸
（ＥＤＴＡ）、エチレンジアミン等が例示される。

【００１８】これらの中でも特に、クエン酸塩、リンゴ
酸塩、酒石酸塩、グルタミン酸塩、ピロリン酸塩等は、
人体への安全性が高く、環境汚染が無く、一緒に用いる
長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩およびショ糖脂肪
酸エステル、さらに洗浄剤を構成する水、アルコール等
と相溶性が高く、洗浄力、汚れ分散力、起泡力、泡の感
触も優れているので好適に用いられる。これらの群より
選ばれる一種または二種以上のキレート剤は、０．０１
〜５０重量％、好ましくは１〜３０重量％本発明洗浄剤
に含有される。

【００１９】この他にも、本発明洗浄剤には、本発明の
目的が損なわれない範囲で、通常の洗浄剤に慣用される
添加成分の中から任意のものを選択して添加してもよ
い。このような添加成分としては、例えば、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、
モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ
ステル、脂肪酸アルカノールアミド、あるいはカルボキ
シベタイン型、イミダゾリニウム型、スルホベタイン
型、アミノ酸系界面活性剤などの人体に対して穏和な界
面活性剤、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化ナト
リウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム等の無機ビ
ルダー、グリセリン、エタノール、プロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール等の流動性向上剤、カルボ
キシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等
の増粘剤、さらには香料、着色剤、保湿剤、殺菌剤、酵
素、抗炎症剤などが挙げられる。

【００２０】また本発明洗浄剤は、皮膚・毛髪洗浄剤用
あるいは食品・食器・厨房器具等の洗浄など、皮膚と接
触する機会の多い種々の洗浄剤として用いることができ
る。この際の形態も、液体状、ペースト状、固形状のい
ずれであってもよい。

【００２１】

【発明の効果】本発明の洗浄剤は、安全性が高く、弱酸
性ないしは中性で皮膚に対する刺激が少なく、かつ洗浄
力や起泡力、耐硬水性等の洗浄性能および使用感に優
れ、しかも好ましくない着色や臭いがないことから、特
に食品・食器用洗浄剤、シャンプー、ボディーシャンプ
ー、洗顔剤、ハンドソープ等の皮膚・毛髪用洗浄剤とし
て好適である。

【００２２】

【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例に限定されるものではない。

【００２３】実施例１〜７及び比較例１〜６ 長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩及びショ糖脂肪酸
エステルを表−１に示す割合で含む液体洗浄剤を調製
し、その機能を評価した結果を併せて表−１に示した。
なお、表中の高純度および低純度ラウリン酸乳酸エステ
ル塩は、公知の製造法で得たラウリン酸乳酸エステルを
原料に用いて生成した。ラウリン酸乳酸エステル製造は
公知の例に準拠し、ラウリン酸１２０ｇ，乳酸（純度９
０％）７２ｇ，炭酸カリウム２５ｇを窒素気流下２００
℃で５時間反応させることにより実施した。得られたラ
ウリン酸乳酸エステルは、ラウリン酸乳酸エステルおよ
びラウリン酸ジ乳酸エステルを計６１モル％、ラウリン
酸３０モル％、および乳酸、乳酸重合体を含有するもの
である。

【００２４】高純度ラウリン酸乳酸エステルカリウム
は、公知の方法で得たラウリン酸乳酸エステルを液−液
抽出、次いで晶析により精製した純度９９モル％以上の
ラウリン酸乳酸エステルを、当量の水酸化カリウムで中
和して得た純度９９モル％以上のラウリン酸乳酸エステ
ルカリウムである。また、比較例に使用した低純度ラウ
リン酸乳酸エステルカリウムは、公知の製造法で得たラ
ウリン酸乳酸エステルをそのまま原料に用いて生成し、
純度４４モル％で得られた。また、ショ糖脂肪酸エステ
ルは、脂肪酸がラウリン酸で、モノエステルとジエステ
ルとの合計が全体の９５重量％以上を占めるものであ
る。

【００２５】洗浄剤の評価は、次のようにして行った。 １．外観；２５℃における洗浄剤原液の外観を自然光の
もとで観察した。 ○ 無色透明 △ わずかな濁りまたはわずかな着色 × 濁りまたは褐色の着色

【００２６】２．臭い；２５℃における洗浄剤原液の臭
いを評価した。 ○ 無臭 △ わずかなカラメル臭 × 強いカラメル臭 ３．起泡力；洗浄剤水溶液（０．１重量％水道水溶液）
１０ｍｌを５０ｍｌ目盛り付き試験管にいれ、市販大豆
サラダ油２．５ｍｇを添加し、２５℃、２００回／分で
１分間上下振盪したのち３０秒静置後の泡容量を測定し
た。 ４．耐硬水性；洗浄剤水溶液（０．２５重量％水道水溶
液）の、２５℃における濁りの有無をもって評価した。 ○ 無色透明 △ わずかな濁り × 濁り

【００２７】５．ｐＨ；２５℃における洗浄剤原液のｐ
Ｈを測定した。 ６．使用時および使用後の手の感触；水道水に濡らした
手に、洗浄剤０．５ｍｌをとり、１分間手をこすり合わ
せて洗った。この生じた泡のキメ細かさを目視で評価し
た。１分後流水で１５秒間手をすすぎ、乾いたタオルで
手の水分をよく拭き取った後静止し、６０分以内の手の
皮膚のカサつきまたは違和感の有無、および手の皮膚の
ツッパリ等の違和感の有無を評価した。なお、これらは
気温・水温とも２５℃の条件下で行った。 洗浄時の泡のキメ： ○ 泡のキメが細かくクリーミー △ 泡のキメがやや粗い × 泡のキメが粗くパサついた感じ。 カサつき感： ○ 手肌にカサつきが無くしっとりとしている。 △ 手肌がややカサつく。 × 手肌がカサつく。 違和感： ○ 手肌につっぱりや刺激がなく穏やかな感じがす
る。 △ 手肌にややつっぱりまたは刺激を感じる。 × 手肌につっぱりまたは刺激を感じる。

【００２８】機能評価試験の結果、純度８０モル％以上
の高純度長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩、ショ糖
脂肪酸エステル及びキレート剤を含有する液体洗浄剤
は、無色、無臭で起泡力に優れ、泡がキメ細かく、単独
系には見られない使用感の好ましさが見いだされた。こ
れはショ糖脂肪酸エステル（ＳＥ）と高純度長鎖脂肪族
カルボン酸乳酸エステル塩との組み合わせに見られる特
徴であり、同じ陰イオン性界面活性剤でも、ＳＥと石鹸
を併用する場合は、泡のキメが粗く、使用感が好ましく
なかった。また、公知の方法で製造した未精製の長鎖脂
肪族カルボン酸乳酸エステル塩、すなわち純度８０モル
％未満の長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩を含有す
る液体洗浄剤は、褐色の着色とカラメル臭があり、起泡
力、泡のキメ、使用感のすべての点で純度８０モル％以
上の長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩を用いた洗浄
剤におよばなかった。

【００２９】

【表１】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ Ｃ１１Ｄ 3/20 Ｃ１１Ｄ 3/20 (72)発明者 田川 徹 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭54−134711（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−6237（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−188696（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−176068（ＪＰ，Ａ) 特開 昭49−73404（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−23900（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−36224（ＪＰ，Ａ) 特開 昭51−92802（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−52807（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−54100（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−173045（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) C11D 1/00 - 17/08 A61K 7/075 A61K 7/50

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 純度が８０モル％以上の長鎖脂肪族カル
   ボン酸乳酸エステル塩及びショ糖脂肪酸エステルを含有
   することを特徴とする洗浄剤。
2. 【請求項２】 長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩と
   ショ糖脂肪酸エステルとの重量比が９０／１０〜１／９
   ９である請求項１記載の洗浄剤。
3. 【請求項３】 長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩
   は、その長鎖方向に少なくとも８つの炭素原子を有する
   カルボン酸から構成されることを特徴とする請求項１又
   は２に記載の洗浄剤。
4. 【請求項４】 長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩
   は、長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステルと塩基性物質と
   の１／０．９〜１／１．３（モル比）反応生成物である
   ことを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の洗
   浄剤。
5. 【請求項５】 キレート剤を０．０１〜５０重量％含有
   することを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載
   の洗浄剤。
6. 【請求項６】 長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩の
   脂肪族カルボン酸及びショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸
   は、各々炭素数８〜１８の脂肪族カルボン酸であること
   を特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載の洗浄
   剤。