JP3485684B2 - 磁気ディスク用基板の打抜きポンチおよびこれにより打抜かれた基板 - Google Patents

磁気ディスク用基板の打抜きポンチおよびこれにより打抜かれた基板

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JP3485684B2
JP3485684B2 JP21640095A JP21640095A JP3485684B2 JP 3485684 B2 JP3485684 B2 JP 3485684B2 JP 21640095 A JP21640095 A JP 21640095A JP 21640095 A JP21640095 A JP 21640095A JP 3485684 B2 JP3485684 B2 JP 3485684B2
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嘉成 久保
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンピューターに装
備されるハードディスク等に用いられるドーナツ状の磁
気ディスク用基板の打抜きポンチおよびそのポンチを用
いて打抜かれた磁気デイスク用基板に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】コンピューターに装備されるハードディ
スク等に用いられるドーナツ状の磁気ディスク用基板
は、アルミニウム合金板を打抜きプレス加工して、中央
に同心円の孔を有する円盤状(ドーナツ状)の基板を連
続して打抜き成形し、次いで平坦度の向上等を目的とし
て熱処理(加圧焼鈍)を施し、基板の内外周に機械加工
を施した後、さらに表面の仕上げのために研磨加工を施
して基板製品とするものである。近年ハードディスクの
高密度、高容量化に伴い、基板の平坦度が極力小さいこ
とが要求されており外径3.5インチのもので10μm
以下となっている。また基板の内外周の端部ぎりぎりま
で記憶部として使用するようになっている。
【0003】前記基板の打抜きは、通常プッシュバック
方式やコンパウンド方式等のプレスにより行われる。プ
ッシュバック方式は図1に示すようにドーナツ状基板の
打抜きポンチ、ノックアウト2、6、ストリッパー
3、ダイス4、ホールパンチ5、からなり、ストリッパ
ー3とダイス4の間に基板となるアルミニウム合金材料
等の板材7を連続的に供給し、打抜きポンチが上方か
ら下降プレスして板材7を所定のドーナツ状の基板に打
抜くものである。なおコンパウンド方式はプッシュバッ
ク方式とは逆に打抜きポンチが板材の下側に配置され
る。
【0004】通常、基板は打抜き加工後、歪み取り焼鈍
が行われるが、打抜き加工後にバリ等があると平坦度不
良が起こる。これを防ぐために図5に示すような打抜き
ポンチで打抜いている。即ちこの打抜きポンチは、
その打抜き面の内周および外周端部に凸状の刃先部
設け、刃先部の内側は窪んだ逃げ部となっている。前
記刃先部8の内側は、平坦な刃先面の内側から逃げ部
の窪み面までを、ポンチ刃先部の外側面に対し20〜5
0°の角度で直線で傾斜させている。しかしハードディ
スクの高密度、高容量化に伴って記憶のエリアが基板の
端部にまで及んだため、ポンチの打抜き面の内周および
外周端部の凸状の刃先部の平坦な刃先面が長過ぎると、
打抜き基板の内外周のチャンファー加工において切削残
りが発生する。また前記の打抜きポンチで打抜かれた
基板は、図6に示すように基板10の打抜きポンチ側の
面の内周および外周の端部が1〜10μm程度盛り上が
ってしまい、盛り上がり部11がわずかでも形成される
と、歪取り焼鈍を行っても基板全体の平坦度を10μm
以下とすることができず不良になる。特に基板10の板
厚が薄くなると、端部の盛り上がりが大きくなる等の問
題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記
の問題点を解決することであり、具体的にはドーナツ状
の基板の内周および外周端部に盛り上がりやチャンファ
加工の際に切削残りがなく、かつ平坦度の良好な磁気デ
イスク用基板を得ることであり、このような基板の打抜
きが可能な打抜きポンチを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の請求項1の発明は、ドーナツ状の磁気ディスク用基板
の打抜きポンチであって、該ポンチの打抜き面はその内
周および外周端部に凸状の刃先部を有し、その内側には
窪んだ逃げ部を形成したポンチであり、前記凸状の刃先
部の形状は、刃先部平坦面の幅cが0.01〜0.3m
m、逃げ部の深さbが0.01〜0.15mm、刃先部
の内側面は円弧からなる傾斜面であって、刃先部の外側
面から前記傾斜面の傾斜開始点Pまでの長さaが0.2
〜0.5mmであり、前記円弧からなる傾斜面は、傾斜
面の傾斜開始点Pに接線で接する円弧半径Rが0.2〜
2.0mmからなることを特徴とする磁気ディスク用基
板の打抜きポンチであり、また請求項2の発明は、前記
請求項1の打抜きポンチにより打抜かれたドーナツ状の
磁気ディスク用基板であって、該基板の打抜きポンチ側
の面の内周および外周端部に前記請求項1の刃先部寸法
a、b、c、R及び形状と実質的に同一の寸法及び形状
が圧印形成されていることを特徴とする基板である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、詳細に説
明する。前記したごとく、図6の基板10の内周および
外周端部の盛り上がり部11は、基板の打抜きの際に発
生するもので、図5に示す打抜きポンチの凸状の刃先
部(面押し部)が基板の端部(内周および外周)のア
ルミニウム合金等の材料に食い込み圧印される際に、材
料が塑性変形して内側に盛り上がるものであり、特に板
厚が薄いと、刃先部(面押し部)が材料に食い込む割
合が大きく、塑性変形量も大きくなるため、盛り上がり
も大きくなってしまうものである。
【0008】そこで、請求項1の本発明においては、ド
ーナツ状の打抜き基板と同様のドーナツ状の打抜きポン
チにおいて、その打抜き面の内周および外周端部に特定
の寸法および形状の凸状の刃先部を設けることにより、
上記の問題を解決し、盛り上がり部がなく、切削残りも
なく、かつ平坦度の良好なドーナツ状の磁気ディスク用
基板が得られるようにしたものである。なお、本願発明
に係る打抜きポンチ全体の形状は、ドーナツ状の磁気デ
ィスク用基板を打抜くものである故、当然のことながら
ドーナツ状の形状をしていることはいうまでもない(図
1、図2等)。請求項1の発明の具体的内容は、図2お
よび図3に示すように、打抜きポンチの打抜き面には
その内周および外周端部に凸状の刃先部を有し、その
内側には窪んだ逃げ部を形成したポンチであり、前記
凸状の刃先部の形状は、刃先部平坦面81の幅cが0.
01〜0.3mm、逃げ部の深さbが0.01〜0.
15mm、刃先部の内側面は円弧からなる傾斜面82
であって、ポンチ刃先部の外側面から前記傾斜面82
の傾斜開始点Pまでの長さaが0.2〜0.5mmであ
り、前記円弧からなる傾斜面82は、傾斜面の傾斜開始
点Pに接線で接する円弧半径Rが0.2〜2.0mmか
らなる打抜きポンチである。
【0009】なお、図3に示すように、前記の円弧から
なる傾斜面82の傾斜開始点Pは、前記円弧半径Rが逃
げ部の窪み面91に接する接点になっている。また、
円弧からなる傾斜面82の円弧半径Rは、必然的に刃先
部平坦面81の内側点Mをとおることにもなる。前記刃
先部の各寸法a、b、c、R及び形状の限定理由は、
以下のとおりである。ポンチ刃先部の外側面から前記
傾斜面82の傾斜開始点Pまでの長さaが0.2mm未
満であると刃先部が破損しやすくなる。また、0.5m
mを越えるとチャンファー加工で切削残りが発生してし
まうため、長さaは0.2〜0.5mmとする。好まし
くは0.3〜0.4mmとするのが望ましい。次に、逃
げ部の深さbであるが0.01mm未満ではバリが発
生しやすく、0.15mmを越えるとアルミニウム合金
等の基板の塑性変形が大きく、基板の内周および外周端
部が盛り上がってしまう。従って深さbは0.01
0.15mmとする。また刃先部平坦面81の幅cが、
0.01mm未満であると刃先が磨耗しやすく、バリが
発生しやすい。また0.3mmを越えるとアルミニウム
合金基板の塑性変形が大きく、基板の内周および外周端
部が盛り上がってしまう。したがって刃先部平坦面81
の幅cは0.01〜0.3mmとする。なお、深さbと
刃先部平坦面81の幅cは基板のサイズ、板厚により適
宜変えることができる。
【0010】次に円弧からなる傾斜面82の円弧半径R
であるが、この部分が従来のごとく直線であるとアルミ
ニウム合金等の材料の逃げ場所がないため、基板の内周
および外周端部が盛り上がってしまう。そこでこの円弧
半径Rは、前記ポンチ刃先部の外側面から前記円弧か
らなる傾斜面82の傾斜開始点Pまでの長さa、逃げ部
の深さb、刃先部平坦面81の幅cに合った曲線をつ
けることが有効であり、その範囲は前記a、b、cの寸
法によって0.2〜2.0mmとなる。なお、この円弧
半径Rは、以下の式から求めることができる。 この打抜きポンチの打抜き面の内周および外周端部の刃
先部形状は、切削加工後、砥石等で精密加工することが
できる。
【0011】請求項2の発明は、前記のような打抜きポ
ンチを用いて打抜かれたドーナツ状の磁気デイスク用基
板であり、その基板の打抜きポンチ側の内周および外周
端部の形状は、前記打抜きポンチの打抜き面の内周およ
び外周端部の刃先部の寸法a、b、c、R及び形状と
同一の寸法及び形状がそのまま圧印加工されて実質的に
同一の寸法、形状になり、図4に示すような磁気デイス
ク用基板10がえられる。この基板10は、チャンファ
ー加工で切削残りが発生したり、端部に盛り上がりが生
じることはなく、平坦度も良好である。なお本発明の打
抜きポンチは、プッシュバック方式、コンパウンド方
式、その他、類似のプレスによる打抜きに適用でき、上
記と同様に良好な基板を製造することが可能である。
【0012】
【実施例】以下に本発明の一実施例について説明する。
図1に示すプッシュバック方式の200tプレスのスト
リッパー3とダイス4の間にアルミニウム合金(JIS
5086合金ーH18)板材7を供給し、図2、図3に
示す打抜きポンチを押圧して、3.5インチ(厚さ
0.82mm×外径φ96mm×内径φ24mm)の基
板を、表1に示す各寸法(a、b、c、R)の刃先部形
状を有する打抜きポンチを用いて打抜いた。そして打
抜いた基板の内周および外周端部形状を粗度計にて測定
し、盛り上がりが少しでもあるものを×、盛り上がりが
全くないもの(盛り上がり0μmのもの)を○とした。
その後、1パック30枚づつスペーサーを挟んで数段に
積み、340℃×4時間の加圧焼鈍を行った。その後こ
の基板について、光干渉計(ニデック)にて平坦度を測
定し、10μm以下のものは○、10μmを越えるもの
は×とした。また、内外周のチャンファー加工をNC施
盤にて外径φ95mm、内径φ25mm、チャンファー
幅0.18mm、チャンファー角度45℃になるように
行った。切削残りがないものは○、切削残りがあるもの
は×とした。これらの結果を表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】表1から明らかなように、No.1、N
o.2は本発明例であり、基板の端部の盛り上がりが全
くなく、焼鈍後の平坦度も良好で、チャンファー加工後
の切削残りもない。また、No.3〜No.11は比較
例であり、No.3、No.4は曲線半径Rがなく即ち
直線であり、基板端部が盛り上がり、焼鈍後の平坦度も
悪い。No.5は打抜きポンチ刃先部の外側面から前記
傾斜面開始点Pまでの長さaが長く、切削残りが発生す
る。No.6は逃げ部の深さbが深く、基板端部が盛り
上がり、焼鈍後の平坦度も悪い。No.7は刃先部の平
坦面の幅cが長く、端部が盛り上がり、焼鈍後の平坦度
も悪い。また、No.8は前記の寸法長さaが長く、深
さbも深いため、切削残りが発生し、かつ基板端部が盛
り上がり、焼鈍後の平坦度も悪い。No.9は前記の寸
法a、b、cが大きいため、切削残りが発生し、かつ基
板端部が盛り上がり、焼鈍後の平坦度も悪い。No.1
0は寸法aが大きく、切削残りが発生する。また、N
o.11は寸法b、cが大きく、曲線半径Rが小さいた
め、基板端部が盛り上がり、焼鈍後の平坦度も悪い。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の打抜きポ
ンチによれば、ドーナツ状の磁気デイスク用基板の内周
および外周端部のチャンファー部の切削残りがなく、盛
り上がりの発生が全くないため平坦度の良好な基板が得
られ、この打抜きポンチにより打抜かれた基板は、ハー
ドディスクの高密度、高容量化に対応できる磁気ディス
クとすることができるもので、工業上顕著な効果を奏す
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る磁気ディスク用基板の
打抜き方法を示す説明図であり、プッシュバック方式に
よる打抜き装置の概略断面図
【図2】本発明の一実施例に係る磁気ディスク用基板の
打抜きポンチを示す断面図
【図3】図2のポンチ刃先部Aの拡大断面図
【図4】本発明の一実施例により打抜かれた磁気ディス
ク用基板の断面図
【図5】従来の磁気ディスク用基板の打抜きポンチの断
面図
【図6】従来の打抜きポンチにより打抜かれた磁気ディ
スク用基板の断面図
【符号の説明】 打抜きポンチ 2、6 ノックアウト 3 ストリッパー 4 ダイス 5 ホールポンチ 7 板材 打抜きポンチの刃先部 81 刃先部の平坦面 82 刃先部の円弧からなる傾斜面 打抜きポンチの逃げ部 91 逃げ部の窪み面 P 傾斜面の傾斜開始点 M 刃先部平坦面の内側点 a 刃先部の外側面から傾斜面開始点Pまでの長さ b 逃げ部の深さ c 刃先部平坦面の幅 R 円弧からなる傾斜面の円弧半径 10 打抜き磁気デイスク用基板 11 盛り上がり部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−1865(JP,A) 特開 昭56−134026(JP,A) 特開 平2−182323(JP,A) 特開 平4−123821(JP,A) 特開 平5−200448(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21D 28/00 B21D 28/14 B21D 28/34 G11B 5/73 G11B 5/82 - 5/84

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドーナツ状の磁気ディスク用基板の打抜
    きポンチであって、該ポンチの打抜き面はその内周およ
    び外周端部に凸状の刃先部を有し、その内側には窪んだ
    逃げ部を形成したポンチであり、前記凸状の刃先部の形
    状は、刃先部平坦面の幅cが0.01〜0.3mm、逃
    げ部の深さbが0.01〜0.15mm、刃先部の内側
    面は円弧からなる傾斜面であって、刃先部の外側面から
    前記傾斜面の傾斜開始点Pまでの長さaが0.2〜0.
    5mmであり、前記円弧からなる傾斜面は、傾斜面の傾
    斜開始点Pに接線で接する円弧半径Rが0.2〜2.0
    mmからなることを特徴とする磁気ディスク用基板の打
    抜きポンチ。
  2. 【請求項2】前記請求項1の打抜きポンチにより打抜か
    れたドーナツ状の磁気ディスク用基板であって、該基板
    の打抜きポンチ側の面の内周および外周端部に前記請求
    項1の刃先部の寸法a、b、c、R及び形状と実質的に
    同一の寸法及び形状が圧印形成されていることを特徴と
    する基板。
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