JP3485514B2 - インクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びその製造方法

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JP3485514B2
JP3485514B2 JP2000024335A JP2000024335A JP3485514B2 JP 3485514 B2 JP3485514 B2 JP 3485514B2 JP 2000024335 A JP2000024335 A JP 2000024335A JP 2000024335 A JP2000024335 A JP 2000024335A JP 3485514 B2 JP3485514 B2 JP 3485514B2
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット方
式の記録装置、すなわち、インクジェットプリンタに用
いるインクジェットヘッド及びその製造方法に関する。
本発明のインクジェットヘッドは、それを水性インクを
使用したインクジェットプリンタにおいて使用した場
合、ヘッド内のインク流路の濡れ性が良好でかつその状
態を長期間にわたって保持することができるので、長期
にわたって高い印字品質を維持することができる。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタは、周知の通
り、そのインクジェットヘッドの先端に取り付けられた
微小ノズルよりインクを噴射させて、そのインクの液滴
を紙、フィルム、その他の記録媒体の表面まで飛翔さ
せ、その表面に文字、図形、パターンなどを記録するた
めのものである。インクとしては、通常、水性のインク
が用いられている。ここで用いる記録の方式は、現在、
インクの液滴の形成方法、噴射エネルギーの発生方法な
どに依存して種々の方式が公知である。例えば、荷電制
御型記録方式は、圧電素子(ピエゾ素子)を利用するも
ので、その素子の振動力を利用して、インクの充填され
たヘッドのインク室に圧力波を生ぜしめ、その圧力波に
よりインクの噴射を行うものである。その他の方式とし
ては、電気機械変換式、電気熱変換式、静電吸引式、放
電式などが知られている。インクジェットプリンタは、
多くの長所を有しており、その典型的なものを示すと、
例えば ・非接触でのプリントが可能である。
【0003】・いろいろな種類の記録媒体にプリントす
ることができる。 ・普通紙を使用できるので、ランニングコストが安い。 ・カラーのプリントが容易である。 ・カラーの再現が鮮明である。 ・プリント時の騒音が少ない。
【0004】・高速のプリントが可能である。 などがある。インクジェットプリンタの短所としては、
それが置かれた環境の影響を受けやすいということがあ
る。例えば、周囲環境の温度や湿度が変動した場合、イ
ンクの物性も変化し、インクの液滴の噴射が不安定にな
ったり、乾燥によりノズルの目詰まりを生じたりする。
ゴミや気泡の影響を受けやすいことも短所のひとつであ
る。ヘッドに入り込んだゴミは、インクの流路やノズル
の目詰まりを発生させることが可能である。また、気泡
の発生により、噴射不能に陥ることも屡々である。
【0005】先にも述べたように、インクジェット方式
に用いるインクは、水性インクが主流を占めている。イ
ンクジェットヘッドにおいて、そのヘッドに設けられた
インク流路の親水性が悪いと、水性インクを充填する際
に、インク流路内に気泡を生じさせてしまう危険があ
る。さらに、この気泡は、流路の壁面に強固に付着して
いて、インク吸引による排出操作を行っても、容易に排
出することができない。インク流路内に気泡が残留する
と、具体的には、噴射不能のほか、ドット抜けや印字の
乱れ等のトラブルが発生し、印字品質を低下させる。
【0006】また、インク流路における不十分な親水性
は、インクヘッドの構成に用いられている構成部材にも
関連がある。最近の構成部材は、その多くがプラスチッ
ク材料であるが、これは、プラスチック材料の場合、安
価である、成形や二次加工が容易である、量産性があ
る、強度や耐薬品性に優れている、複数の部材を接合す
るのに溶着が可能である、などの多くの利点があるから
である。しかし、プラスチック材料は、一般的にその表
面エネルギーが低いため、親水性に乏しいという欠点を
有している。プラスチック材料における親水性を向上さ
せるため、そしてより具体的には、インクジェットヘッ
ドのインク流路の親水性を向上させるため、例えば特開
昭60−24957号公報には、ポリスルフォン樹脂、
ポリエーテルスルフォン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、
その他のような多くの樹脂製ヘッドの表面を、クロム酸
カリウム−硫酸系薬液、紫外線、プラズマ、コロナ放
電、電子線又は火炎処理し、活性化することが提案され
ている。ヘッドの表面を上記のようにして活性化する
と、極性基の導入の結果としてぬれ特性が大きく向上し
(親水性の付与)、インク充填の際にインク室に気泡が
取り残されたりすることがなくなり、たとえ気泡が発生
しても、それをスムースに除去することが可能である。
【0007】しかしながら、従来の親水性付与の処理で
は、処理の初期段階においては満足し得る親水性を達成
することができるというものの、親水性の持続性に乏し
く、実際にヘッドを組み立てる前にあるいはその途中で
親水性の著しい低下が発生し、あるいは親水処理後の部
材を長期間保存している間に親水性が消失してしまう。
すなわち、従来の親水性処理では、インクを注入する前
にヘッドのインク流路の親水性が劣化し、気泡残留によ
るトラブルが発生することとなる。
【0008】インクジェットプリンタにおいて、そのヘ
ッドを構成する部材の「反り」の問題も重要である。イ
ンクジェットヘッドは、一般に、圧電素子と、その素子
の上面に設けられた複数本の溝と、その溝を覆う形で圧
電素子の上面に付設せしめられた蓋と、圧電素子の前面
に付設せしめられたノズル孔付きのノズル板とを含んで
構成されている。圧電素子の溝は、インク室を構成する
もので、これにインクが充填せしめられる。インクを充
填した溝の隔壁は圧電素子の駆動とともに変形し、これ
によって圧縮せしめられたインクが、ノズル板上のノズ
ル孔を介して、印字用紙に向かってインク滴の形で吐出
される。ところで、この及びその他のインクジェットヘ
ッドを構成する部材である蓋や振動版、インクヘッドに
は、成形性、コスト、その他の要求特性を考慮して、多
くの場合にプラスチック材料が用いられている。そし
て、圧電素子に対してこれらの構成部材を付設する際、
それぞれの接合に関して高度の信頼性を得るため、貼付
後に100℃もしくはそれ以上の高温に加熱することを
要件とする高温硬化型の接着剤、例えば熱硬化性エポキ
シ接着剤などが用いられている。しかし、かかる接着剤
を使用した場合には、高温加熱とその後の放置(常温に
復帰させる工程)が必要であり、その放置の間にプラス
チック材料からなるヘッド構成部材(蓋)に大きな反り
が発生する。すなわち、圧電素子の材料と、蓋の材料
と、ノズル板の材料(通常、金属)とは、それぞれ、熱
膨張係数を異にするからである。
【0009】接着後のヘッド構成部材(蓋)の反りを軽
減するため、プラスチック材料中に充填材(フィラ
ー)、例えば無機粉末、例えば二酸化珪素(シリカ)、
酸化チタンなどを混入することも行われている。充填材
含有のプラスチック材料をヘッド構成部材に使用するこ
とは、その部材の接着後の反りを低減させるうえで有効
な手段である。また、反りはできるかぎり少ないほうが
好ましいので、部材間の接合に使用する接着剤も、高温
加熱とその後の放置を必要としないもの、すなわち、低
温硬化型の接着剤(100℃未満で硬化可能)であるこ
とが望ましい。但し、低温硬化型の接着剤は、高温硬化
型のそれに比較して高い信頼性が得られないという欠点
がある。
【0010】低温硬化型接着剤を接合目的で使用する場
合、したがって、その信頼性を高めるため、ヘッド構成
部材の接合面における接着剤の密着度が高いこと、すな
わち、部材表面の濡れ性が高いことが重要である。ま
た、先にも述べたように、インクジェットヘッドのイン
クと接する部材の表面は、印字品質等の信頼性の面か
ら、高い濡れ性を有することが必須の要件となってい
る。しかしながら、ヘッドを構成する部材であるプラス
チック材料は、前記したように、その材料中に充填材が
分散せしめられているものも含めて、一般的に表面エネ
ルギーが低いため、濡れ性が十分でないのが現状であ
る。
【0011】再び特開昭60−24957号公報を参照
する。この公報には、先に詳述したように、インクジェ
ットヘッドのインク流路の親水性を向上させるため、樹
脂製ヘッドの表面をクロム酸カリウム−硫酸系薬液で酸
処理することが提案されている。しかし、この公報及び
その他の刊行物において提案されている、ヘッドの表面
を酸処理してその表面に親水性を付与する従来の技術
は、酸処理によって達成される表面の親水度を定量的に
予測することが困難である。加えて、酸処理に使用され
る酸溶液そのものも、使用量、使用時間、そのファクタ
によって処理能力が変化してしまうので、インクジェッ
トヘッドを品質の揃った状態で生産するためには、使用
する酸溶液の浴を管理することが必要である。
【0012】さらに、上記のように親水度の予測が困難
であるので、親水性付与のための酸処理を過度に行って
しまい、部材表面の過度の浸食の結果として部材そのも
のの寸法に悪影響を与えてしまうことも可能である。部
材の寸法が酸処理前に比較し大幅に変化したような時に
は、部材の組み立て時に部材間に位置ずれを起こし、不
良ヘッド生産の原因となる。また、反対に酸処理が不十
分であると、インク流路を十分に親水化できないことに
なり、先に説明したように、気泡残留によるトラブルが
生じることとなる。つまり、酸処理によりヘッド構成部
材に親水性をもたせる際には、酸処理工程において最適
な条件を選択し、制御することが必要である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の1つの目的
は、上記したような従来の技術の問題を解決して、イン
クジェットヘッドのインク流路に対して良好な親水性を
付与するとともに、その親水性を長期間にわたって安定
に持続し、よって、長期間にわたって高い印字品質を保
証することができるようなインクジェットヘッドを提供
することにある。
【0014】また、本発明のもう1つの目的は、プラス
チック材料からなるヘッド構成部材を同一もしくは異な
る材料からなる他の部材に接合してヘッドを組み立てる
際に、部材間の強固な接合を可能とすることにある。ま
た、本発明のもう1つの目的は、プラスチック材料から
なるヘッド構成部材の反りの問題を解決するとともに、
その部材表面の濡れ性を改良しかつその改良された濡れ
性の持続性を向上させることにある。
【0015】さらに、本発明のもう1つの目的は、イン
クジェットヘッドのインク流路の安定した親水性を確保
するとともに、ヘッド構成部材からヘッドを組み立てる
際に、寸法不良に原因した組み立て不良を生じないよう
にすることにある。また、本発明は、上記したような改
良されたインクジェットヘッドの製造方法を提供するこ
とにある。
【0016】本発明のこれら及びその他の目的は、以下
の詳細な説明から容易に理解することができるであろ
う。なお、本願明細書において、「親水性」とは、以下
の説明から明らかなように、「濡れ性」と同義である。
また、「酸処理」とは、それを本発明に関して用いた場
合、特に断りのある場合を除いて酸と過酸化物の混合物
を用いた処理を意味し、したがって、以下、「酸/過酸
化物処理」とも記す。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、その1つの面
において、インクジェット方式の記録装置に用いるイン
クジェットヘッドであって、前記インクジェットヘッド
のインク室が、基板、圧電素子、振動板、蓋体及びノズ
ル板からなる群から選ばれた部材で構成され、前記イン
ク室構成部材の少なくともインク流路を規定する部材
が、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリエステル、ポリアセタール、ポリカー
ボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ス
チレン−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン樹脂、エチレン−プロピレンゴム、ポリメ
チルペンテン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエー
テルエーテルケトン及び液晶ポリマーからなる群から選
ばれたプラスチック材料からなり、かつ前記プラスチッ
ク材料の表面に、硫酸と過酸化水素水の混合液を用いた
極性基導入のための表面処理が施されており、その際、
前記表面処理が、前記プラスチック材料から前記インク
室を構築する前に行われたものでありかつ、前記インク
室の構築後、前記プラスチック材料の表面にアルカリ処
理が施されていることを特徴とするインクジェットヘッ
ドを提供する。
【0018】また、本発明は、そのもう1つの面におい
て、インクジェット方式の記録装置に用いるインクジェ
ットヘッドを製造する方法であって、前記インクジェッ
トヘッドのインク室を、基板、圧電素子、振動板、蓋体
及びノズル板からなる群から選ばれた部材で構築しか
つ、その際、前記インク室構成部材の少なくともインク
流路を規定する部材を、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリア
セタール、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン樹脂、アクリ
ロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、エチレン−プ
ロピレンゴム、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンサ
ルファイド、ポリエーテルエーテルケトン及び液晶ポリ
マーからなる群から選ばれたプラスチック材料から形成
し、そして前記インク室を構築する前、前記プラスチッ
ク材料の表面に、硫酸と過酸化水素水の混合液を用いた
極性基導入のための表面処理を施しかつ、前記インク室
の構築後、前記プラスチック材料の表面にアルカリ処理
を施すことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方
法を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明は、その1つの面におい
て、インクジェット方式の記録装置に用いるインクジェ
ットヘッドであって、該ヘッドのインク室を構成する部
材の少なくとも一部がプラスチック材料からなりかつ前
記プラスチック材料の表面に、酸処理、紫外線−オゾン
照射及び酸素プラズマ処理からなる群から選ばれた極性
基導入のための表面処理法により親水性が付与されてい
ることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0020】本発明の実施において、インクジェットヘ
ッド本体は、この技術分野において一般的に用いられて
いるいろいろな構成を有するものをそのままあるいは変
更して使用することができる。本発明の実施において使
用することのできるインクジェットヘッドの好ましい1
例は、以下において参照して本発明を説明する図1に示
したものである。図示の例において、インクジェットヘ
ッド10は、ヘッド10の下部を構成する基板(基台と
も呼ぶ)1と、この基板1の上方に載置されていて内蔵
の電極板3により必要時に駆動可能な圧電素子(ピエゾ
素子)2と、圧電素子2の変形を受けてインク室(イン
ク流路)9に圧力波を伝達可能な振動板4と、ヘッド1
0の上部を構成していて振動板4及びその他の部材とと
もにインク室9を形成可能な蓋体5と、蓋体5に設けら
れたインク供給口6と、ヘッド10の前面(記録媒体
側)にあってインク噴射用ノズル8を装備したノズル板
7とから構成されている。ノズル8は、通常、複数個の
ノズルが一列に配置された構造を有しており、また、必
要に応じて、噴射効率の向上などを目的として複数列で
配置されていてもよい。なお、「インク室構成部材」な
る語は、それを本願明細書で用いた場合、上記した基板
1、圧電素子2、振動板4、蓋体5、ノズル板8などの
部材のうちインク室9を構成する部材(その表面の少な
くとも一部がインクと接触せしめられる部材)を指して
いる。
【0021】図示のインクジェットヘッド10を使用し
て、ヘッドから記録媒体(図示せず)へ向けてのインク
の噴射は、次のようにして行われる。先ず電極板3に通
電すると、それに隣接した圧電素子2に電圧が印加さ
れ、素子の膨張が発生する。膨張した圧電素子2は、そ
の上方に隣接して配置された振動板4を持ち上げる。イ
ンク室9は、振動板4が持ち上げられたことによる体積
収縮(圧力波)を受ける。よって、インク室9内のイン
クは、インク室の唯一の出口であるノズル8から吐出さ
れ、記録媒体に向かって液滴の形で飛翔することにな
る。なお、この欄では特に圧電素子を利用した荷電制御
型記録方式を参照して本発明の実施を説明するけれど
も、他の方式、例えばバブルジェット方式及びその他の
方式を使用しても、同様に好ましい効果を得ることがで
きることはもちろんである。
【0022】インクジェットヘッド10を構成する上記
したような部材は、ヘッドの特質、その他のファクタに
応じていろいろな材料から構成することができる。例え
ば、基板1、蓋体5及びヘッドの筐体を構成するその他
の部材は、好ましくは、各種のプラスチック材料から構
成することができる。適当なプラスチック材料として
は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれ
ども、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリエステル、ポリアセタール、ポリカ
ーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、
スチレン−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン(ABS)樹脂、エチレン−プロピレン
ゴム、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーなどを
包含する。これらのプラスチック材料は、必要に応じ
て、単独あるいは組み合わせて使用してもよく、また、
部材ごとにプラスチック材料を使い分けてもよく、さも
なければ、プラスチック材料をその他の材料、例えば金
属材料及び合金材料、例えば鋼、ステンレス鋼、ニッケ
ル及びその合金など、セラミック材料、例えばアルミ
ナ、ジルコニアなど、その他と組み合わせて使用しても
よい。
【0023】さらに、上記したプラスチック材料は、必
要に応じてかつ、好ましくは、強度を高めたり、反りな
どの変形を防止したりするため、有機及び無機の充填材
(フィラー)、例えばシリカ、カーボンブラック、酸化
チタン、黒鉛、硫化モリブデン、フッ素含有樹脂、クレ
ー、タルク、珪酸塩及び炭酸塩などを包含する。これら
の充填材は、必要に応じて、単独もしくは組み合わせて
使用してもよい。これらの充填材は、通常、粉末あるい
はフレークの形で、部材を構成するプラスチック材料中
に均一に分散した形で用いられ、また、その添加量は、
所望とする効果や用いられる充填材の種類などに応じて
広く変更可能であるというものの、一般に、プラスチッ
ク材料の全量を基準にして、約20〜80重量%の範囲
である。
【0024】圧電素子2は、この技術分野において常用
の圧電材料、例えば チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)
などから構成することができる。また、この圧電素子2
の内部に埋め込まれた電極板3は、圧電素子を積層法な
どにより成形する際に埋め込まれた、例えば金などのよ
うな材料から構成することができる。振動板4は、通
常、ニッケルなどの金属材料からなるダイヤフラムから
構成することができる。ノズル板7は、ノズル8の加工
などを考慮して、例えばステンレス鋼、ニッケルなどの
金属材料あるいはその他の材料から構成することができ
る。
【0025】本発明のインクジェットヘッドでは、その
インク室を構成する部材のうちプラスチック材料からな
る部材が、少なくともその一部に関して、親水性の表面
を有するように、換言すると、水性インクの濡れ性が良
好であるように、極性基導入のための表面処理が施され
ている。本発明の実施において有利に使用することがで
きる表面処理法は、酸処理、紫外線−オゾン(UV−O
3 )照射、そして酸素(O2)プラズマ処理である。プラ
スチック部材の表面に親水性が付与されていると、部材
どうしあるいはプラスチック部材を他の部材と接着剤を
用いて接合する際に、部材間の接合強度を顕著に向上さ
せることができ、また、接合後の部材が使用中に剥がれ
るといった不都合もなくなる。したがって、本発明で
は、その低い信頼性のために従来の技術では使用が避け
られてきた低温硬化型の接着剤を何らの問題を伴うこと
なく、有利に使用することができる。また、ヘッドのイ
ンク室においては、それを取り囲むプラスチック部材が
良好な親水性を有しているので、インク流路のインクの
流れが非常にスムースとなり、従来のインクジェットヘ
ッドのように不安定なインクの液滴の噴射、ノズルの目
詰まりといった問題を引き起こすことがない。また、イ
ンクの注入の際に、部材の濡れ性の悪さからインク室内
にインクが入らないというようなトラブルが発生せず、
したがって、いわゆる「ドット抜け」を防止することが
できる。さらに、インクの注入の際にインク流路内に気
泡を生じさせにくく、また、まれに気泡を生じても、イ
ンク吸引による排出操作によって容易に排出させること
ができ、印字の乱れの解消に効果的である。
【0026】プラスチック部材に対するかかる表面処理
は、インクジェットヘッド製造のいろいろな段階におい
て、すなわち、ヘッドのインク室を構築する前、その途
中あるいはその後において実施することができる。好ま
しくは、かかる表面処理は、インク室を構成する部材に
対して、その部材からインク室を構築する前の段階で、
実施することができる。また、本発明の1つの好ましい
態様に従うと、かかる表面処理は、最初にインク室を構
成する前の段階で第1の表面処理として実施し、次い
で、第2の表面処理として、インク室を構築した後であ
ってヘッドを使用する前に、実施することができる。第
1及び第2の表面処理は、同一もしくは異なっていても
よく、しかし、以下において説明するように、酸処理か
らなる第1表面処理とアルカリ処理からなる第2表面処
理を組み合わせるのが好ましい。
【0027】プラスチック部材の酸処理は、好ましく
は、そのプラスチック部材の表面に酸処理用の酸を噴射
するかもしくはプラスチック部材を酸処理用の酸の浴中
に浸漬することによって行うことができる。ここで使用
する酸処理用の酸としては、ほとんどのプラスチック材
料は通常の酸に対して耐性を有しているので、その耐酸
性に抗し得る非常に酸化力の強い酸を使用することが好
ましい。特に好ましい酸は、常温あるいは低温でも酸化
力が強く、プラスチック部材の表面に適用した時にその
表面の分子構造を破壊し、極性基を導入することのでき
る酸、殊に硫酸と過酸化水素水の混合液(以下、この技
術分野において屡々用いられているように、「硫過水」
と呼ぶ)である。硫過水の調製に用いられる硫酸及び過
酸化水素水は、それぞれ、いろいろな濃度で使用するこ
とができる。好ましくは、それらの試薬の濃度、入手の
容易性などを考慮して、硫酸は96%あるいはその近傍
のもの、過酸化水素水は30%あるいはその近傍のも
の、をそれぞれ使用することが好ましい。また、この硫
過水において、硫酸と過酸化水素水の混合比(体積比)
は、所望とする親水化の程度、処理対象のプラスチック
部材の種類などのファクタに応じて広く変更することが
できるというものの、好ましくは、約2:1〜10:1
の範囲である。例えば、硫過水においてその硫酸と過酸
化水素水の混合比(体積比)を8:1とした場合、この
硫過水における硫酸の含有率は85%となる。
【0028】ここで、濃流酸や濃硝酸の単独使用でも、
プラスチック部材の表面に極性基を導入することができ
るけれども、常温下では十分な効果が期待できないの
で、100℃もしくはそれ以上の高温まで加熱すること
が必要であり、作業性が悪い。また、高温加熱のため、
そのための特別な設備等が必要であるという欠点があ
る。
【0029】硫過水を用いたプラスチック部材表面の処
理の効果は、図2に示した模式図から容易に理解するこ
とができるであろう。なお、ここでは、プラスチック部
材としてポリスチレンを使用し、硫過水として96%硫
酸と30%過酸化水素水の混合比(体積比)=8:1の
混合液を使用し、そしてプラスチック部材をこの硫過水
中に常温(20℃)で5分間にわたって浸漬した例を参
照する。
【0030】図2(A)に示すように、インクジェット
ヘッドのインク室を構成するために用いられるプラスチ
ック部材11は、その表面に各種の汚れ12を有してい
る。この汚れ12は、例えば、プラスチック部材の成形
中に付着した油脂類、プラスチック材料粉末、塵埃、そ
の他である。これらの汚れは、通常の水洗、その他の洗
浄によっては十分に除去することができず、従って、通
常の洗浄後のプラスチック部材11の表面は、主たる汚
れは除去されたとしても、疎水性のままである。
【0031】これに対して、本発明に従って硫過水で表
面処理を行うと、図2(B)に示すように、プラスチッ
ク部材11の表面から汚れをきれいに取り除くととも
に、その表面を親水性に変えることができる。すなわ
ち、表面処理の結果として、プラスチック部材11の表
面の分子構造が破壊され、その破壊された部位に、図示
されるように、カルボキシル基(−COOH)、水酸基
(−OH)、アルデヒド基(−CHO)のような極性基
が導入される。これらの極性基は、静電気相互作用や水
素結合によって水分子と弱い結合を形成するため、親水
的でインクに対してなじみがよく、さらに接着剤による
接合の際には接着強度を増すことができる。
【0032】実際、この表面処理において、プラスチッ
ク部材11の表面に対する水性インクの濡れ性を飛躍的
に向上させることができる。この効果は、例えば、濡れ
性の一般的な評価基準である純水の接触角を参照するこ
とにより明らかである。図2(A)に示す親水処理前の
プラスチック部材11の表面の純水の接触角は80度で
あったけれども、図2(B)に示す親水処理後のプラス
チック部材11の表面の場合、純水の接触角を15度ま
で低下させることができた。ここで、接触角の測定は、
JIS K6800に規定される定義に従い、図4に示
すようにして実施した。すなわち、プラスチック部材1
1をその表面が水平となるように固定した後、その表面
に純水20を滴下し、その純水滴下の直後、水滴表面と
部材表面との接触点21での、水滴の垂直断面上の接線
22とプラスチック部材11のなす角を接触角θとし
た。接触角θは、次式より求めることができる。
【0033】tan α = H / R 接触角 θ = 2 × α ここで、Hは純水20の、プラスチック部材11と接し
ている面からの高さであり、そしてRは純水20の、プ
ラスチック部材11と接している面の半径である。
【0034】本発明の実施において、上記した酸処理に
代えて、紫外線−オゾン照射、酸素プラズマ処理を使用
しても、同様に期待の親水処理を行うことができる。例
えば、プラスチック部材の紫外線−オゾン照射は、市販
のUVドライプロセッサにプラスチック部材を装入し
て、発生せしめたオゾンガスの存在下、所定の時間にわ
たって紫外線を照射することによって有利に行うことが
できる。また、酸素プラズマ処理は、プラズマ処理装置
にプラスチック部材をターゲットとして装入し、このタ
ーゲットに酸素プラズマを照射することによって有利に
行うことができる。なお、それぞれの処理の条件は、常
法に準じて選択することができる。
【0035】本発明の親水性処理は、上記したように酸
処理、その他の表面処理を行うだけでも満足し得る効果
を得ることができる。さらに、本発明者らの知見による
と、極性基導入のための表面処理に組み合わせて、アル
カリを使用した再生処理を追加的に実施することによ
り、プラスチック部材表面の親水性をさらに向上させる
ことができる。この2段階の表面処理は、好ましくは、
特に硫過水による酸処理(第1表面処理)をプラスチッ
ク部材からインク室を構築する前に行った後、インク室
の構築後(構築の直後であってもよく、あるいは所定の
時間を経過した後であってもよい)、そしてヘッドを使
用する前、インク室を構成するプラスチック部材の表面
(露出面)にアルカリ処理(第2表面処理)により追加
的に親水性を付与することにより、有利に実施すること
ができる。
【0036】この2段階表面処理において、第1表面処
理は、前記したようにして行うことができる。第2表面
処理は、特にプラスチック部材からインク室を構築する
際に新たに付着した接着剤等の残渣などからのガス、そ
の他に由来する汚れを除去し、プラスチック部材表面に
すでに導入されていた極性基を賦活するとともに、場合
により新たな極性基を導入するためのものであり、好ま
しくは強アルカリ性のアルカリ溶液を使用して行うこと
ができる。適当なアルカリ溶液としては、以下に列挙す
るものに限定されないというものの、例えば、水酸化ナ
トリウム溶液、水酸化カリウム溶液、ジエタノールアミ
ン溶液、トリエタノールアミン溶液、トリエチルアミン
溶液などを挙げることができる。例えば、アルカリ溶液
として水酸化ナトリウム溶液を使用する場合、1〜20
重量%の水酸化ナトリウム溶液を有利に使用することが
できる。なお、アルカリ処理は、好ましくは、組み立て
られたインクジェットヘッドを選ばれたアルカリ溶液の
浴中にどぶ漬けするかあるいは組み立てられたインクジ
ェットヘッドのインク室に選ばれたアルカリ溶液を導通
することにより、効果的に行うことができる。
【0037】アルカリ溶液として水酸化ナトリウム溶液
を用いたヘッド内のプラスチック部材表面の処理(第2
表面処理)の効果は、図3に示した模式図から容易に理
解することができるであろう。なお、ここでは、プラス
チック部材からヘッドを組み立てるのにエポキシ系の高
温接着剤を使用して、接着剤の硬化のために130℃で
1時間の加熱を行い、そして組み立て後のヘッドを20
重量%水酸化ナトリウム水溶液の浴中に常温(20℃)
で30分間にわたって浸漬した例を参照する。
【0038】図3(A)に示すように、インクジェット
ヘッドのインク室を構成するプラスチック部材11は、
インク室構築前の親水処理により親水化されていたにも
かかわらず(図2(B)を参照されたい)、ヘッドの組
み立て段階で使用した接着剤に原因して、その表面に新
たな汚れ13が付着している。部材11の親水性層を覆
うように付着した汚れ12は、主として、ヘッドの構築
時に部材どうしの接合に使用した接着剤を硬化させるた
めに高温で長時間加熱する間に接着剤成分が気化して発
生したガス及びその他の有機物に由来するものである。
これらの汚れは、インク流路の親水性を劣化させるもの
であり、通常の水洗、その他の洗浄によっては十分に除
去することができない。
【0039】これに対して、本発明に従ってアルカリ溶
液で第2の表面処理を行うと、図3(B)に示すよう
に、プラスチック部材11の表面から汚れを取り除いて
これを清浄化し、その表面の親水性を再度発現させるこ
とができる。特にこの第2の表面処理では、アルカリ表
面処理の結果として、プラスチック部材11の表面に導
入されていた極性基の少なくとも一部の水素イオンをア
ルカリ溶液中の正イオン(Na+ 、その他)に置換するこ
とができる。すなわち、カルボキシル基が−COONaに
変化し、水酸基が−ONaに変化する。このようにして極
性基に導入された正イオンは、水素イオンの場合よりも
解離性が高く、親水的である。これにより、完成体での
ヘッドのインク流路の親水性を向上させることができ、
その親水性を長期にわたって持続させることができる。
したがって、本発明によるインクジェットヘッドは、イ
ンク注入の際にインク流路内に気泡を生じさせにくく、
また、まれに気泡を生じても、インク吸引による排出操
作によって容易に排出させることができる。
【0040】なお、接着剤の使用に原因した上記のよう
な汚れは、本発明のように第1表面処理を行っていない
ようなプラスチック部材においても同様に発生可能であ
るけれども、本発明の第2表面処理によりその汚れが除
去されたとしても、部材表面は依然として疎水性のまま
である。本発明は、そのもう1つの好ましい態様におい
て、上記したような本発明の特徴とする酸処理を、充填
材を混入しているプラスチック材料からなる部材(ここ
で、「部材」とは、インク室構成部材に限られるもので
はなく、ヘッドを構成する各種の部材を包含する)の表
面に施したことを特徴とするインクジェットヘッドにあ
る。
【0041】充填材を混入しているプラスチック材料を
インク室構成部材として使用すると、前記したように、
部材の接着後にその反りを低減させることができる。ま
た、反りの低減のためには、高温硬化型接着剤に代え
て、通常100℃未満で硬化可能な低温型接着剤を使用
することも有効である。しかし、この低温硬化型接着剤
は、接着力の面で高い信頼性が得られないという欠点が
ある。高い信頼性を確保するには、部材の接合面におけ
る接着剤の密着性が高いこと、すなわち、表面の濡れ性
が高いことが重要である。また、この高い濡れ性は、印
字品質等の信頼性の向上の面からも重要である。しかし
ながら、先にも説明したことであるけれども、プラスチ
ック材料は一般に表面エネルギーが低いため、液体に濡
れにくく、したがって、ここで問題としている濡れ性も
十分でない。
【0042】ところが、今まで予想されなかったことで
あるが、充填材を混入しているプラスチック材料からな
る部材に対して本発明に従って硫過水を用いて所定の酸
処理を施した場合、その酸処理が簡単に行われたにもか
かわらず、プラスチック部材表面の濡れ性を著しく向上
させかつ長期にわたって維持することができた。この濡
れ性向上の効果は、プラスチック部材の硫過水処理前後
の表面状態を示す図5を参照した以下の説明からより容
易に理解できるであろう。
【0043】充填材を混入しているプラスチック部材
は、図5(A)の電子顕微鏡写真(5000倍)で示さ
れるように、ほぼ平滑な表面を有している。なお、この
プラスチック部材は、以下に記載する実施例でも使用し
ているフィラー(無機粉末)混入プラスチック、三井石
油化学工業社よりEPOX(商品名)として商業的に入
手可能な熱硬化性樹脂の射出成形品である。
【0044】このようなフィラー混入プラスチック部材
の表面に、本発明に従って硫過水処理を施すと、ここで
使用する硫過水が強力な酸であるので、プラスチック部
材表面のプラスチックを破壊して、図5(B)の電子顕
微鏡写真(5000倍)で示されるように、処理前には
その存在が明瞭ではなかったフィラーを表面に露出させ
る。また、この露出したフィラーによりかつそのフィラ
ーの大小により、部材表面に不規則な凹凸構造が形成さ
れる。この凹凸構造の大きさは、使用するプラスチック
部材、硫過水、処理条件、そして所望とする結果等に応
じて広く変化し得るというものの、通常、その山の高さ
と谷の深さから計算して、約2〜5μmあるいはそれ以
上の範囲である。凹凸構造形成の結果として、プラスチ
ック部材表面の表面積が増加し、よって表面エネルギー
の向上を図ることができる。表面エネルギーが向上した
ので、部材表面の親水性が増加する。さらに、フィラー
自体が高い親水性を有しているので、その一部が表面に
露出する結果として、それに由来する親水性の増加も併
せて達成することができる。
【0045】さらに、酸化物であるフィラーにおいて
は、その露出部分の表面の酸素原子に雰囲気中の水分が
水和し、水酸基が生成される。また、硫過水により破壊
されたプラスチック表面には、水酸基あるいはカルボキ
シル基が生成される。水酸基、カルボキシル基等の極性
基が生成されたので、プラスチック部材表面の親水性が
増加し、極性の高い液体(水、水性インク、エポキシ系
接着剤など)が付着しやすくなる。すなわち、フィラー
入りのプラスチック部材を硫過水で処理することによっ
て、表面エネルギーが増加することと、部材表面に水酸
基、カルボキシル基等の極性基が生成することの相乗効
果で、部材表面の濡れ性を飛躍的に向上させることがで
きる。なお、ここで行う硫過水の処理は、特に限定され
るものではなく、好ましくは、先に説明したように、プ
ラスチック部材に対して硫過水を噴射することあるいは
プラスチック部材を硫過水の浴に浸漬することを包含す
る。
【0046】さらにまた、上記した硫過水処理に組み合
わせて、先に詳細に説明したアルカリ処理を引き続いて
実施した場合、濡れ性のより一層の向上を達成すること
ができる。すなわち、極性基であるH+ をより解離性の
高いNa+ などに置換することの結果として、親水性の増
加を図ることができるからである。本発明の実施におい
て、前記したようにしてインク室構成部材のプラスチッ
ク材料の表面を酸処理してエッチングする際、その酸処
理により溶出せしめられたプラスチック材料の量を定量
することにより、プラスチック材料の表面における親水
性付与を最適化することが好ましい。すなわち、プラス
チック材料の表面を酸によりエッチングして粗面化し、
親水性を付与する際、エッチングにより溶出せしめられ
たプラスチック材料の量を定量することにより、粗面化
を最適化することが好ましい。ここで、プラスチック材
料表面の最適な粗面化の程度は、いろいろなファクタ、
例えば所望とする結果、使用する部材の種類及び特性、
酸処理の条件等に応じて広い範囲で変更することができ
るものであり、例えば、酸処理によるエッチングの深さ
で表して、0.5μm もしくはそれ以上を1つの好まし
い目標として挙げることができる。また、プラスチック
材料は、その内部に充填剤が混入されているものも包含
する。酸処理は、好ましくは、硫過水を用いて行われ
る。酸処理に引き続いて、さらなる親水化のためにアル
カリ処理を行ってもよい。
【0047】本発明のこの好ましい態様においては、先
ず、部品レベルで酸処理を実施する。すなわち、インク
室構成部材であるプラスチック材料を酸溶液中に浸漬す
るかもしくはその材料に酸溶液を噴射するなどして極性
基を形成し、材料表面を親水化する。材料表面に親水性
が付与された結果、部品どうしあるいは部品と他の部材
を接着剤で接合する際に、両者の間の接着強度を増加さ
せることができる。そして、この酸処理でのプラスチッ
ク材料の溶出量を測定し、この溶出量とインク室構成部
材の表面積からエッチングによる膜減り量を見積もり、
安定した部品の寸法管理を行うことができる。
【0048】また、インク室構成部材に無機粉末等の充
填剤を含有するプラスチック材料を用いる場合には、充
填剤は酸により浸食されないため、部材表面に微細な凹
凸構造ができ、接着面積が増加して、接着性をより向上
させることができる。そして、インク室構成部材を構成
するプラスチック材料の溶出量を測定し、このインク室
構成部材の表面の粗さも任意に制御することができる。
【0049】したがって、本発明に従い上記のようなプ
ラスチック材料溶出量測定工程を含んでインクジェット
ヘッドを製造する方法では、親水性と寸法安定性を兼ね
備えたインクジェットヘッドを提供することができる。
すなわち、インク注入の際にインク流路内に気泡を生じ
させにくく、また、まれに気泡を生じても、インク吸引
による排出操作によって容易に排出させることができ
る。さらに、酸処理に原因する寸法の変化もないので、
従来のような組立不良が生じることもない。
【0050】本発明の実施において、酸処理により溶出
せしめられたプラスチック材料の量の定量は、分析化学
の分野で一般的に用いられている技法をそのままあるい
は本発明に適当なように変更を加えた後、使用すること
ができる。例えば、酸処理の前後でプラスチック部材の
質量を測定し、その質量変化を測定する。得られた変化
量が、酸処理によるプラスチック材料の溶出量である。
次いで、この溶出量をプラスチック部材の表面積で割っ
て、単位面積当たりのプラスチック材料の溶出量を求め
る。単位面積当たりの溶出量が求まると、そのプラスチ
ック材料の比重及び含有率から、部材のエッチングによ
る膜減り量を見積もることができる。溶出プラスチック
材料の定量は、必要に応じて、その他の手法で行っても
よい。
【0051】本発明の実施において有利に使用すること
ができるプラスチック材料、酸処理、アルカリ処理等の
詳細は、すでに詳細に説明したので、ここでの繰り返し
の説明を省略する。本発明は、そのもう1つの面におい
て、インクジェット方式の記録装置に用いるインクジェ
ットヘッドを製造する方法であって、前記ヘッドのイン
ク室の少なくとも一部をプラスチック部材から構成し、
そして、前記インク室を構築する前、その途中あるいは
その後、前記プラスチック部材の表面に、酸処理、紫外
線−オゾン照射及び酸素プラズマ処理からなる群から選
ばれた極性基導入のための表面処理法により親水性を付
与することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方
法にある。
【0052】本発明のインクジェットヘッドの製造方法
は、以上の説明から理解されるように、いろいろな態様
で有利に実施することができ、その主たるものを列挙す
ると、以下の通りである。なお、本発明の製造方法は以
下の態様に限定されるものではないことを理解された
い。 1.前記酸処理を、硫酸と過酸化水素水の混合液(硫過
水)をプラスチック部材に適用することによって行う、
製造方法。
【0053】2.前記酸処理を、プラスチック部材に前
記硫過水を噴射するかもしくはプラスチック部材を前記
硫過水中に浸漬することによって行う、製造方法。 3.前記硫過水において、硫酸と過酸化水素水の混合比
(体積比)が2:1〜10:1である、製造方法。 4.前記の極性基導入のための表面処理をプラスチック
部材から前記インク室を構築する前に行い、そして前記
インク室の構築後、前記プラスチック部材の表面にアル
カリ処理により追加的に親水性を付与する、製造方法。
【0054】5.前記アルカリ処理として、前記インク
室の内部を1〜20重量%の水酸化ナトリウム溶液でア
ルカリ洗浄する、製造方法。 6.前記プラスチック部材がその部材中に混入せしめら
れた充填材を含有している、製造方法。 7.前記プラスチック部材の表面を酸処理する際、その
酸処理により溶出せしめられたプラスチック材料の量を
定量することにより、プラスチック部材の表面における
親水性付与を最適化する、製造方法。
【0055】これらの本発明方法の実施に当たって、酸
処理、アルカリ処理等のプロセスは、先に説明しかつ以
下の実施例で具体的に説明する手法に準じて行うことが
でき、また、それ以外のプロセスは、この技術分野にお
いて一般的に用いられている手法に従って行うことがで
きる。
【0056】
【実施例】以下、本発明をその実施例を参照して詳しく
説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定され
るものではないことを理解されたい。また、下記の実施
例では、プラスチック部材における濡れ性の変化をその
部材の表面における純水の接触角θの変化から評価する
けれども、接触角θの変化は、図4を参照して先に説明
したJIS K6800に記載の手順に従ってものであ
る。例1 ポリスチレン部材の硫過水処理 図1に示したインクジェットヘッドの蓋体に相当する形
状及び寸法を有する部材をポリスチレン樹脂から成形し
た。得られたポリスチレン部材の純水との接触角θは、
80度であった。
【0057】次いで、電子工業用(96%)硫酸(トク
ヤマ社製)と電子工業用(30%)過酸化水素水(三徳
化学社製)を8:1の体積比で混合して硫過水を調製し
た。この硫過水の浴中に先に成形しておいたポリスチレ
ン部材を浸漬し、19℃で20分間にわたって保持し
た。処理後のポリスチレン部材を硫過水の浴から取り出
し、純水で洗浄し、そして乾燥した。硫過水処理後のポ
リスチレン部材の純水との接触角θは、15度であっ
た。このことは、本発明による硫過水処理の結果とし
て、部材表面の濡れ性が著しく改善されたことを示して
いる。
【0058】さらに、ここで作製したポリスチレン部材
は、図1に示したインクジェットヘッドの製造に使用し
たところ、表面の濡れ性が向上しているので、接着剤を
介した他の部材との密着性が良好であった。例2 ポリスチレン部材の硫過水処理+アルカリ処理 前記例1に記載の手法を繰り返した。しかし、本例で
は、ポリスチレン部材の表面に汚染物質が付着したこと
の模擬のため、硫過水処理後のポリスチレン部材を常温
(19℃)で24時間にわたって大気中に放置した。大
気放置後のポリスチレン部材の純水との接触角θは、放
置前の15度から、45度まで劣化していた。これは、
大気放置の間に大気中の汚染物質が付着したためである
と理解される。
【0059】引き続いて、1級(93%)水酸化ナトリ
ウム(国産化学社製)から20重量%水酸化ナトリウム
水溶液を調製した。この水酸化ナトリウム水溶液の浴中
に先に大気放置したポリスチレン部材を浸漬し、20℃
で30分間にわたって保持した。アルカリ処理後のポリ
スチレン部材を浴から取り出し、純水で洗浄し、そして
乾燥した。アルカリ処理後のポリスチレン部材の純水と
の接触角θは、21度であった。このことは、本発明に
よるアルカリ処理の結果として、45度まで劣化してい
た部材表面の濡れ性が著しく改善されたことを示してい
る。
【0060】さらに続けて、アルカリ処理後のポリスチ
レン部材を前記と同様に常温(19℃)で24時間にわ
たって大気中に放置した。大気放置後のポリスチレン部
材の純水との接触角θは、驚くべきことに、放置前の2
1度から30度までしか劣化していないことが判明し
た。このことは、単に硫過水処理のみによる親水処理に
較べて、アルカリ処理の方が親水性の持続に有効である
ことを示している。例3 ポリスチレン部材の硫過水処理 前記例1に記載の手法を繰り返した。しかし、本例で
は、硫過水の浴中にポリスチレン部材を19℃で20分
間にわたって浸漬することに代えて、同一の温度で5分
間及び10分間にわたって浸漬し、純水で洗浄し、そし
て乾燥した。それぞれの硫過水処理後のポリスチレン部
材の純水との接触角θを前記例1の結果とともに下記の
第1表にまとめる。
【0061】また、前記例2においてポリスチレン部材
の表面に汚染物質が付着したことの模擬のため、硫過水
処理後のポリスチレン部材を常温(19℃)で24時間
(1昼夜)にわたって大気中に放置したけれども、同様
な大気放置を4昼夜、7昼夜、8昼夜に変更した。それ
ぞれの大気放置後のポリスチレン部材の純水との接触角
θを前記例1の結果及び比較のための硫過水処理前のポ
リスチレン部材の接触角θとともに次の第1表にまとめ
る。
【0062】 第1表 ポリスチレン部材の純水との接触角θ(度) 大気放置時間 硫過水浸漬 硫過水浸漬時間(分) なし 10 20 0(当日測定) 80° 43° 24° 15° 1昼夜 72° − 28° 45° 4昼夜 80° 52° 43° 42° 7(8)昼夜 80° (54°) 45° 56° 上記した第1表の結果から、本発明による硫過水処理は
親水性向上に効果的であること、しかし、その親水性は
放置により劣化可能であることが明らかである。例4 ポリスチレン部材の硫過水処理+アルカリ処理 前記例3に記載の手法を繰り返し(硫過水浸漬時間=5
分間の場合を除く)、さらにその後、前記例2に記載の
手法を繰り返した。なお、前記例2の手法のうち大気放
置の工程は、前記例3において実施済みである。
【0063】本例でも、ポリスチレン部材の表面に汚染
物質が付着したことの模擬のため、アルカリ処理後のポ
リスチレン部材を常温(19℃)で放置した。但し、本
例での大気放置時間は、24時間(1昼夜)、そして7
昼夜であった。それぞれの大気放置後のポリスチレン部
材の純水との接触角θを前記例2の結果及び比較のため
の硫過水処理前でアルカリ処理のみ行ったポリスチレン
部材の接触角θとともに次の第2表にまとめる。
【0064】 第2表 ポリスチレン部材の純水との接触角θ(度) 〔硫過水処理に続けてアルカリ処理* 〕 大気放置時間 硫過水処理 硫過水浸漬時間(分) なし 10 20 0(当日測定) 80° − 27° 21° 1昼夜 74° − 31° 30° 7昼夜 70° − 37° 34° * 前記例2のアルカリ処理に同じ 上記した第2表の結果から、硫過水処理により親水性を
向上させたポリスチレン部材の親水性が大気放置により
劣化しても、本発明により引き続いてアルカリ処理する
ことにより、初期状態まで親水性を回復させることが可
能であることが明らかである。特に注目すすべきことと
して、本例では、アルカリ処理の方が、硫過水処理に比
較して、親水性の持続に有効である。例5 ポリイミド部材の硫過水処理 図1に示したインクジェットヘッドの蓋体に相当する形
状及び寸法を有する部材をポリイミド樹脂から成形し
た。得られたポリイミド部材の純水との接触角θは、6
5度であった。
【0065】次いで、電子工業用(96%)硫酸(トク
ヤマ社製)と電子工業用(30%)過酸化水素水(三徳
化学社製)を8:1の体積比で混合して硫過水を調製し
た。この硫過水の浴中に先に成形しておいたポリイミド
部材を浸漬し、20℃で5分間にわたって保持した。処
理後のポリイミド部材を硫過水の浴から取り出し、純水
で洗浄し、そして乾燥した。硫過水処理後のポリイミド
部材の純水との接触角θは、55度であった。このこと
は、本発明による硫過水処理の結果として、部材表面の
濡れ性が改善されたことを示している。
【0066】さらに、ここで作製したポリイミド部材
は、図1に示したインクジェットヘッドの製造に使用し
たところ、表面の濡れ性が向上しているので、接着剤を
介した他の部材との密着性が良好であった。例6 ポリイミド部材の硫過水処理+アルカリ処理 前記例5に記載の手法を繰り返した。そして、硫過水処
理に引き続いて、1級(93%)水酸化ナトリウム(国
産化学社製)から調製した20重量%水酸化ナトリウム
水溶液の浴中に先に硫過水処理したポリイミド部材を浸
漬し、20℃で10分間にわたって保持した。アルカリ
処理後のポリイミド部材を浴から取り出し、純水で洗浄
し、そして乾燥した。アルカリ処理後のポリイミド部材
の純水との接触角θは、10度であった。このことは、
本発明によるアルカリ処理の結果として、55度まで改
善されていた部材表面の濡れ性がさらに著しく改善され
たことを示している。
【0067】次いで、本例では、ポリイミド部材の表面
に接着剤に由来する汚染物質が付着したことの模擬のた
め、硫過水処理後のポリイミド部材及び硫過水処理及び
アルカリ処理後のポリイミド部材を接着剤雰囲気で放置
した。この放置試験のため、ポリイミド部材及びエポキ
シ系高温接着剤(熱硬化性エポキシ接着剤、太陽インキ
製造社から商品名S−40Cとして入手可能)を同一の
容器に収容した後、接着剤を130℃で1時間にわたっ
て硬化させた。放置試験後のポリイミド部材(硫過水処
理及びアルカリ処理後)の純水との接触角θは、試験前
の10度から、69度まで劣化していた。また、放置試
験後のポリイミド部材(硫過水処理後)の純水との接触
角θは、試験前の55度から、68度まで劣化してい
た。これは、ポリイミド部材の表面に接着剤からのガス
が悪影響を及ぼして、親水性が大幅に劣化したことを示
している。
【0068】引き続いて、先に調製したものと同様の2
0重量%水酸化ナトリウム水溶液の浴中に先に接着剤雰
囲気に曝した2種類のポリイミド部材を浸漬し、20℃
で10分間にわたって保持した。アルカリ処理後のポリ
イミド部材を浴から取り出し、純水で洗浄し、そして乾
燥した。アルカリ処理後のポリイミド部材の純水との接
触角θは、どちらの部材も10度であった。このこと
は、本発明によるアルカリ処理の結果として、それぞれ
69度及び68度まで劣化していた部材表面の濡れ性が
著しく改善されたことを示している。例7 ポリイミド部材のUV−オゾン処理 前記例5に記載の手法を繰り返した。しかし、本例で
は、硫過水処理に代えてUV−オゾン処理を採用した。
処理条件は、 装置:UVドライプロセッサ、VUM−3333−A−
00、オーク製作所製 条件:UV光を10分間照射 であった。処理の完了後、ポリイミド部材を装置から取
り出し、接触角を測定した。UV−オゾン処理後のポリ
イミド部材の純水との接触角θは、30度であった。こ
のことは、本発明によるUV−オゾン処理の結果とし
て、部材表面の濡れ性が改善されたことを示している。
【0069】さらに、ここで作製したポリイミド部材
は、図1に示したインクジェットヘッドの製造に使用し
たところ、表面の濡れ性が向上しているので、接着剤を
介した他の部材との密着性が良好であった。例8 フィラー入りエポキシ樹脂部材の硫過水処理 図1に示したインクジェットヘッドの蓋体に相当する形
状及び寸法を有する部材をフィラー(二酸化珪素)入り
熱硬化性エポキシ樹脂、三井石油化学工業社のEPOX
(商品名)から射出成形により成形した。得られたフィ
ラー入りエポキシ部材の純水との接触角θは、90度で
あった。
【0070】次いで、電子工業用(96%)硫酸(トク
ヤマ社製)と電子工業用(30%)過酸化水素水(三徳
化学社製)を8:1の体積比で混合して硫過水を調製し
た。この硫過水の浴中に先に成形しておいたエポキシ部
材を浸漬し、19℃で15分間にわたって保持した。エ
ポキシ部材の表面に、その部材に充填されていたフィラ
ーが露出した。処理後のエポキシ部材を硫過水の浴から
取り出し、純水で超音波洗浄し、そして窒素ブローで乾
燥した。硫過水処理後のエポキシ部材の純水との接触角
θは、10度未満(処理直後)であった。さらに、硫過
水処理後のエポキシ部材を1時間放置後及び24時間放
置後に再び純水との接触角θを測定したところ、依然と
して10度未満であった。このことは、本発明による硫
過水処理の結果として、部材表面の濡れ性が著しく改善
されたばかりか、その優れた濡れ性が長期間にわたって
維持されたことを示している。
【0071】さらに、ここで作製したフィラー入りエポ
キシ樹脂部材は、図1に示したインクジェットヘッドの
製造に使用したところ、表面の濡れ性が向上しているの
で、エポキシ系接着剤を介した他の部材との密着性が非
常に良好であった。例9 (比較例) フィラー入りエポキシ樹脂部材の酸素プラズマ処理 前記例8に記載の手法を繰り返した。しかし、本例で
は、硫過水処理に代えて酸素プラズマ処理を採用した。
処理条件は、圧力0.5トル、50Wで2分間のプラズ
マ照射であった。処理の完了後、エポキシ部材を装置か
ら取り出し、接触角を測定した。酸素プラズマ処理後の
エポキシ部材の純水との接触角θは、10度未満(処理
直後)、30度(1時間放置後)、そして50度(24
時間放置後)であった。このことは、処理後の初期の段
階では濡れ性の向上を期待することができるけれども、
時間の経過とともに、濡れ性が著しく低下することを示
している。例10 表面粗さの測定 前記例8に記載の手法を繰り返して、フィラー入りエポ
キシ樹脂部材の表面粗さが本発明の硫過水処理によって
どのように変化するかを評価した。
【0072】表面粗さ(Ra、算術平均粗さ)の測定に
当たって、処理時間は、10分間、20分間及び30分
間の3種類とした。測定器は、TENCOR アルファ
・ステップ200であった。次の第3表に記載のような
結果が得られた。 第3表 処理時間(分) 10 20 30 表面粗さ(nm) 40 63 102 134 上記した第3表の結果から、処理時間が長くなるととも
に、フィラーの露出が顕著になり、エポキシ部材の表面
粗さが増大することが明らかである。例11 エポキシ部材の硫過水処理+アルカリ処理 前記例8に記載の手法を繰り返した。しかし、本例で
は、エポキシ部材の表面に汚染物質が付着したことの模
擬のため、硫過水処理後のエポキシ部材を高温(70
℃)で240時間にわたって大気中に放置した。大気放
置後のエポキシ部材の純水との接触角θは、放置前(処
理直後)の10度未満から、50度まで劣化していた。
これは、大気放置の間に大気中の汚染物質が付着したた
めであると理解される。
【0073】引き続いて、1級(93%)水酸化ナトリ
ウム(国産化学社製)から20重量%水酸化ナトリウム
水溶液を調製した。この水酸化ナトリウム水溶液の浴中
に先に大気放置したエポキシ部材を浸漬し、20℃で3
0分間にわたって保持した。アルカリ処理後のエポキシ
部材を浴から取り出し、純水で洗浄し、そして乾燥し
た。アルカリ処理後のエポキシ部材の純水との接触角θ
は、再び10度未満であった。このことは、本発明によ
るアルカリ処理の結果として、劣化していた部材表面の
濡れ性が著しく回復したことを示している。例12 エポキシ部材の硫過水処理+アルカリ処理 前記例8に記載の手法を繰り返した。しかし、本例で
は、エポキシ部材の表面に接着剤由来の汚染物質が付着
したことの模擬のため、前記例6に記載のものと同様な
手法に従い、エポキシ系高温接着剤雰囲気(接着剤:S
−40C、加熱条件:130℃で1時間)に暴露した。
接着剤雰囲気暴露後のエポキシ部材の純水との接触角θ
は、放置前(処理直後)の10度未満から、55度まで
劣化していた。これは、接着剤雰囲気暴露の間に接着剤
由来の汚染物質が付着したためであると理解される。
【0074】引き続いて、1級(93%)水酸化ナトリ
ウム(国産化学社製)から20重量%水酸化ナトリウム
水溶液を調製した。この水酸化ナトリウム水溶液の浴中
に先に大気放置したエポキシ部材を浸漬し、20℃で3
0分間にわたって保持した。アルカリ処理後のエポキシ
部材を浴から取り出し、純水で洗浄し、そして乾燥し
た。アルカリ処理後のエポキシ部材の純水との接触角θ
は、再び10度未満であった。このことは、本発明によ
るアルカリ処理の結果として、劣化していた部材表面の
濡れ性が著しく回復したことを示している。例13 エポキシ部材の硫過水処理+アルカリ処理 前記例8に記載の手法を繰り返した。しかし、本例で
は、硫過水処理とアルカリ処理の併用の効果を確認する
ため、硫過水処理後のエポキシ部材を、引き続いて、2
0重量%水酸化ナトリウム水溶液の浴中に浸漬し、20
℃で30分間にわたって保持した。アルカリ処理後のエ
ポキシ部材を浴から取り出し、純水で洗浄し、そして乾
燥した。アルカリ処理後のエポキシ部材の純水との接触
角θは、5度未満であった。この接触角は、エポキシ部
材を24時間放置した後も、5度未満であった。このこ
とは、硫過水処理前の接触角が90度でありかつ処理直
後の接触角が10度未満であることを併せて考察した場
合、本発明によるアルカリ処理の結果として、部材表面
の濡れ性を著しく改善し得るばかりか、その濡れ性を長
期間にわたって維持し得ることを示している。例14(比較例) ポリイミド部材及びエポキシ部材の超音波洗浄 比較のため、前記例6において作製のポリイミド部材及
び前記例8において作製のエポキシ部材を常法に従って
超音波洗浄し、接触角の低下が達成されるか否かについ
て評価した。
【0075】市販の超音波洗浄装置に供試部材を収容
し、アセトンで10分間洗浄した。洗浄の完了後、次の
ようなタイミングで純水との接触角を測定した。 タイミングA 洗浄直後 タイミングB アセトンをイソプロピルアルコール
(IPA)で置換した直後 タイミングC 高温接着剤雰囲気(接着剤:S−40
C、加熱条件:130℃で1時間)に暴露直後 タイミングD 再びアセトンで10分間超音波洗浄
し、次いでIPAで置換した直後 純水との接触角(度)について得られた結果を次の第4
表に示す。
【0076】 第4表 供試部材 測定のタイミング ポリイミド部材 67 67 82 77 エポキシ部材 95 87 95 90 上記した第4表の結果から、従来の手法に従って超音波
洗浄しただけでは、ポリイミド部材、エポキシ部材のど
ちらについても、接触角の低下を図ることができないこ
とが明らかである。例15 フィラー入りエポキシ樹脂部材の硫過水処理の制御 図1に示したインクジェットヘッドの蓋体に相当する形
状及び寸法を有する部材を約70%の無機粉末をフィラ
ーとして含有する熱硬化性エポキシ樹脂から射出成形に
より成形した。得られたフィラー入りエポキシ部材の純
水との接触角θは、85度であった。
【0077】次いで、電子工業用(96%)硫酸(トク
ヤマ社製)と電子工業用(30%)過酸化水素水(三徳
化学社製)を8:1の体積比で混合して硫過水を調製し
た。この硫過水の浴中に先に成形しておいたエポキシ部
材を浸漬し、19℃で、添付の図6に示すように浸漬時
間をいろいろに変更して、保持した。エポキシ部材の表
面に、その部材に充填されていたフィラーが露出し、そ
の露出の程度は、浸漬時間の増加とともに顕著になっ
た。
【0078】所定の浸漬時間の経過後、その都度エポキ
シ部材を硫過水の浴から取り出し、純水で超音波洗浄
し、窒素ブローで乾燥し、そして接触角を測定した。さ
らに、硫過水処理の前後における質量の変化からエポキ
シ部材の膜減り量を求めた。具体的には、質量の変化
(エポキシ樹脂の溶出量に相当)をエポキシ部材の表面
積で割って単位表面積当たりの溶出量をもとめ、エポキ
シ樹脂の比重及び含有率から、部材のエッチングによる
膜減り量を算出した。得られた結果を硫過水による処理
時間と純水による接触角及び部材表面の膜減り量との関
係としてプロットしたものが、添付の図6である。
【0079】図6に記載の結果から、例えば、純水との
接触角を30度以下にしたい場合には、硫過水における
浸漬時間を3分以上に調整する必要のあることがわか
る。また、表面の膜減り量を3μm 以下にしたい場合に
は、浸漬時間を15分以下に調整すればよいことがわか
る。つまり、本発明の実施において親水性及び寸法安定
性の両方の要件を満たすためには、浸漬時間を5〜15
分の間に設定する必要のあることがわかる。
【0080】硫過水の酸化力は経時変化するので、処理
の途中で定期的に、ある浸漬時間での溶出量を測定し、
品質管理することにより、親水性と寸法安定性を常に兼
ね備えたインク流路をもつインク室構成部材を提供する
ことができる。ここで、本例でひきおこされたフィラー
の露出とその効果について補足して説明する:ほとんど
のプラスチックは通常の酸に対して耐性を有しているの
で、酸処理には非常に酸化力の強い酸を用いることが必
要である。ところで、本例で使用した硫過水は、常温で
も酸化力が強く、エポキシ樹脂表面の分子構造を破壊
し、その部位に極性基を形成することができる。ここ
で、濃硫酸や濃硝酸の溶液でも極性基の形成は可能であ
るが、極性基を形成するには100℃以上の高温を適用
することが必要であり、作業性が悪い。また、高温条件
を導くための追加の設備等が必要であるという欠点もあ
る。
【0081】本例に記載のような硫過水処理によって、
エポキシ樹脂表面の分子構造が壊れて、部材表面にカル
ボキシル基や水酸基の如き極性基が生成する。これらの
極性基は、静電的相互作用や水素結合によって水分子と
弱い結合を作るため、親水的でインクに対してなじみが
良く、さらに接着剤による接合の際には接着強度を高め
ることができる。
【0082】また、エポキシ樹脂はフィラーとして無機
粉末を含有しているので、部材の表面に凹凸構造が付与
され、表面積が増加し、親水性がさらに増大する。そし
て、表面積の増加と凹凸構造のアンカー効果により、接
着強度がさらに高まることとなる。
【0083】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によるインクジェットヘッドでは、完成体でのインク流
路の濡れ性が良好であり、加えてその良好な濡れ性を長
期間にわたって持続することができるので、そのヘッド
をプリンタに組み込んで印字に使用した場合、高い印字
品質を長期間にわたって持続することができる。
【0084】また、インクジェットヘッドを構成する部
材が充填剤を混入したプラスチック部材である時、簡単
な酸処理によるだけで、部材表面の濡れ性を飛躍的に向
上させ、そしてその濡れ性を長期間にわたって持続する
ことができる。さらに、本発明によるインクジェットヘ
ッドでは、完成体でのインク流路の濡れ性が良好である
ばかりでなく、酸処理によるプラスチック材料の溶出量
を定量することの結果として、その製造プロセスで、部
材の寸法制御性が良くなり、気泡残留のよるトラブルが
生じることがなく、かつ組立不良も発生することがな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるインクジェットヘッドの好ましい
1構成例を示す断面図である。
【図2】本発明によるプラスチック部材表面の酸処理の
効果を示した模式図である。
【図3】本発明によるプラスチック部材表面のアルカリ
処理の効果を示した模式図である。
【図4】本発明により達成される高度の親水性を評価す
るために用いられた接触角の測定に関して説明した模式
図である。
【図5】フィラー入りプラスチック部材表面の酸処理前
後の微細なパターンの状態を示した電子顕微鏡写真(倍
率=5000倍)である。
【図6】エポキシ樹脂の硫過水中における浸漬時間と純
水との接触角及び膜減り量の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…基板 2…圧電素子 3…電極板 4…振動板 5…蓋体 6…インク供給口 7…ノズル板 8…ノズル 9…インク室 10…インクジェットヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 ▲頼▼信 埼玉県所沢市大字下富字武野840番地 シチズン時計株式会社 技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−141565(JP,A) 特開 平5−169667(JP,A) 特開 平7−178917(JP,A) 特開 平7−137260(JP,A) 特開 平7−206600(JP,A) 特開 平5−85894(JP,A) 特開 平2−63840(JP,A) 特開 平7−266553(JP,A) 特開 平10−16241(JP,A) 特開 平10−44443(JP,A) 特開 平9−39252(JP,A) 特開 平8−318628(JP,A) 国際公開97/037853(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/16 B41J 2/045 B41J 2/055

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクジェット方式の記録装置に用いる
    インクジェットヘッドであって、 前記インクジェットヘッドのインク室が、基板、圧電素
    子、振動板、蓋体及びノズル板からなる群から選ばれた
    部材で構成され、 前記インク室構成部材の少なくともインク流路を規定す
    る部材が、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレ
    ン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアセタール、
    ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチ
    レン、スチレン−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−
    ブタジエン−スチレン樹脂、エチレン−プロピレンゴ
    ム、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンサルファイ
    ド、ポリエーテルエーテルケトン及び液晶ポリマーから
    なる群から選ばれたプラスチック材料からなり、かつ前
    記プラスチック材料の表面に、硫酸と過酸化水素水の混
    合液を用いた極性基導入のための表面処理が施されてお
    り、その際、前記表面処理が、前記プラスチック材料か
    ら前記インク室を構築する前に行われたものでありか
    つ、前記インク室の構築後、前記プラスチック材料の表
    面にアルカリ処理が施されていることを特徴とするイン
    クジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 前記表面処理が、前記プラスチック材料
    に前記表面処理用の混合液を噴射するかもしくは前記プ
    ラスチック材料を前記表面処理用の混合液中に浸漬する
    ことによって行われたものである、請求項に記載のイ
    ンクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 前記表面処理用の混合液において、硫酸
    と過酸化水素水の混合比(体積比)が8:1である、請
    求項又はに記載のインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ処理が、1〜20質量%の
    水酸化ナトリウム溶液を用いた前記インク室のアルカリ
    洗浄である、請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 プラスチック材料がその材料中に混入せ
    しめられた充填材を含有している、請求項1〜のいず
    れか1項に記載のインクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 前記充填材が、有機もしくは無機材料の
    粉末あるいはフレークである、請求項に記載のインク
    ジェットヘッド。
  7. 【請求項7】 前記充填材が、シリカ、カーボンブラッ
    ク、酸化チタン、黒鉛、硫化モリブデン、フッ素含有樹
    脂、クレー、タルク、珪酸塩及び炭酸塩からなる群から
    選ばれた1員である、請求項に記載のインクジェット
    ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記プラスチック材料の表面を硫酸と過
    酸化水素水の混合液を用いて処理する際、その処理によ
    り溶出せしめられたプラスチック材料の溶出量を定量
    し、これによりプラスチック材料の表面の膜減り量の時
    間的変化量を求め、該時間的変化量と、親水度を定量的
    に予測する純水の接触角の経時的変化値とを比較考慮し
    て、最適な処理時間を決めることに基づいて、プラスチ
    ック材料の表面における親水性付与を最適化したもので
    ある、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェ
    ットヘッド。
  9. 【請求項9】 インクジェット方式の記録装置に用いる
    インクジェットヘッドを製造する方法であって、 前記インクジェットヘッドのインク室を、基板、圧電素
    子、振動板、蓋体及びノズル板からなる群から選ばれた
    部材で構築しかつ、その際、前記インク室構成部材の少
    なくともインク流路を規定する部材を、アクリル樹脂、
    エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエ
    ステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアミ
    ド、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン
    樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、
    エチレン−プロピレンゴム、ポリメチルペンテン、ポリ
    フェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン
    及び液晶ポリマーからなる群から選ばれたプラスチック
    材料から形成し、そして前記インク室を構築する前、前
    記プラスチック材料の表面に、硫酸と過酸化水素水の混
    合液を用いた極性基導入のための表面処理を施しかつ、
    前記インク室の構築後、前記プラスチック材料の表面に
    アルカリ処理を施すことを特徴とするインクジェットヘ
    ッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記表面処理を、前記プラスチック材
    料に前記表面処理用の混合液を噴射するかもしくは前記
    プラスチック材料を前記表面処理用の混合液中に浸漬す
    ることによって行う、請求項に記載のインクジェット
    ヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記表面処理用の混合液において、硫
    酸と過酸化水素水の混合比(体積比)が8:1である、
    請求項又は10に記載のインクジェットヘッドの製造
    方法。
  12. 【請求項12】 前記アルカリ処理として、前記インク
    室の内部を1〜20質量%の水酸化ナトリウム溶液でア
    ルカリ洗浄する、請求項11のいずれか1項に記載
    インクジェットヘッドの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記プラスチック材料がその材料中に
    混入せしめられた充填材を含有している、請求項
    のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドの製造
    方法。
  14. 【請求項14】 前記プラスチック材料の表面を硫酸と
    過酸化水素水の混合液を用いて処理する際、その処理に
    より溶出せしめられたプラスチック材料の溶出量を定量
    し、これによりプラスチック材料の表面の膜減り量の時
    間的変化量を求め、該時間的変化量と、親水度を定量的
    に予測する純水の接触角の経時的変化値とを比較考慮し
    て、最適な処理時間を決めることに基づいて、プラスチ
    ック材料の表面における親水性付与を最適化する、請求
    13のいずれか1項に記載のインクジェットヘッ
    ドの製造方法。
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