JP4936589B2 - 圧電セラミックスを用いた貼付構造体及びその製造方法並びにインクジェット記録ヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクチュエータ、ダイヤフラム、ブザー等の如く、少なくとも2つの部材を接着層を介して貼り付けてなり、少なくとも一方の部材が圧電セラミックスからなる貼付構造体とこれを用いたインクジェット記録ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、アクチュエータ、ダイヤフラム、ブザーなどには、圧電セラミック板と、この圧電セラミック板を補強あるいは固定するための補助板とを熱硬化性接着剤からなる接着層を介して貼り付けた貼付構造体が用いられている。
【0003】
このような貼付構造体を製造するには、アルミナ、ジルコニア、フォルステライト等の絶縁性セラミックスや圧電セラミックス、あるいは樹脂や金属からなる補助板の接着面に、スキージ法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、デイスペンサー等の方法にてペースト状の熱硬化性接着剤を塗布した後、圧電セラミック板を重ね、加圧しながら接着剤を加熱硬化させるようになっていた。
【0004】
また、近年のマルチメディアの浸透とともに、各種情報を記録媒体に記録するものとして、インクジェット方式の記録装置が急速に拡がりつつあり、この記録装置に搭載されるインクジェット記録ヘッドのアクチュエータとして、前記貼付構造体が用いられている。
【0005】
図7に、従来のインクジェット記録ヘッド40の一例を示す。
【0006】
このインクジェット記録ヘッド40(以下、単にヘッド40という)は、絶縁セラミック板30と、予め分極処理した2枚の圧電セラミック板をそれぞれ熱硬化性接着剤からなる接着層を介して貼り付け、ダイヤモンドホイールを用いて圧電セラミック板側に、一端が閉じられ、深さが絶縁セラミック板30の表面にまで達する複数の溝を並設することにより、各溝をインクの流路33とするとともに、各溝を仕切る壁を隔壁32とした流路部材31を製作し、次いで上記各隔壁32の側面及び流路33の底面に金属膜を被着して駆動用電極34を形成した後、各隔壁32の頂面に、各流路33と連通するインク供給孔35を備えた天板36を、流路部材31の開放端に、各流路33と連通するインク吐出孔37を備えたノズル板38をそれぞれ熱硬化性接着剤からなる接着層を介して貼り付けることにより製作したものがあった。なお、39は駆動用電極34と駆動用回路(不図示)とを接続するための流路部材31に形成された配線である。また、41,42は、隔壁32を構成する2つの圧電セラミックスからなる壁部材で、それぞれ矢印の方向に分極処理してあり、これらの圧電セラミックスにはチタン酸ジルコン酸鉛を主成分としたものが主に用いられていた。
【0007】
そして、このヘッド40を用いて記録媒体(不図示)へ印刷するには、まず、インクを不図示のインクタンクからインク供給孔35を介して各流路33へ導入するとともに、駆動用電極34に通電して隔壁32の各壁部材41,42をそれぞれ形成する圧電セラミックスを剪断モード変形させて隔壁32を屈曲変位させることにより、流路33内のインクを加圧し、インク吐出孔37よりインク滴を吐出させることができ、駆動用電極34に逆電圧を印加し、上記隔壁32を逆方向に屈曲変位させて流路33内を減圧することにより、インク供給孔35よりインクを流路33内に導くようになっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した貼付構造体を形成する圧電セラミック板と補助板とを貼り付けるにあたり、圧電セラミック板及び補助板の接着面には平面研削加工を施して平滑かつ平坦に仕上げた後、例えば、補助板の接着面にペースト状の熱硬化性接着剤を塗布し、次いで圧電セラミック板を重ねた後、加圧しながら接着剤を加熱硬化させるのであるが、この時、圧電セラミック板の接着面における熱硬化性接着剤の広がりが悪く、接着剤を接着面全体に広げていく際に気泡が巻き込まれ、加熱硬化後において、接着層中に気泡が残存し、この気泡の介在によって圧電セラミック板の接着面や補助板の接着面との間に未接着部分ができるため、圧電セラミック板と補助板との接着強度が小さいといった課題があった。
【0009】
そして、この接着強度の低下は、小型化されたアクチュエータやダイヤフラム等に用いた場合に剥離を招き、信頼性の点で大きな問題となっていた。
【0010】
また、図7に示すインクジェット記録ヘッド40においても、絶縁セラミック板30と圧電セラミック板や圧電セラミック板同士を熱硬化性接着剤からなる接着層を介して貼り付けると、接着層中に多数の気泡が残存して接着強度が低いため、この後に行うダイヤモンドブレードを用いた溝加工時に、隔壁32を構成する壁部材41,42間の接着層や、隔壁32と絶縁セラミック板30との間の接着層が剥離し、さらに酷いときには隔壁32が脱落するといった課題があった。また、隔壁32の脱落がなかったとしても、インクジェット記録ヘッド40を作製し、駆動用電極34に通電して隔壁32を屈曲変位させると、この時作用する応力によって接着層の剥離が発生し、長期信頼性に劣るものであった。また、このような課題は、天板36と隔壁32との間の接着層及びノズル板38と隔壁32との間の接着層においても同様にあった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、少なくとも2つの部材を接着層を介して貼り付けてなり、少なくとも一方の部材が圧電セラミックスからなる貼付構造体において、上記圧電セラミックスからなる部材の接着面を構成する結晶表面に平均粒径が0.01μm〜0.1μmの複数の微小突起を設けたことを特徴とする。
【0012】
なお、上記接着面上を顕微鏡にて測定した時、10-6〜10-5mm2の測定領域において、測定領域に見られる結晶表面上の上記微小突起が占める占有面積率は5〜40%の範囲にあることが好ましい。
【0013】
また、上記圧電セラミックスを用いた貼付構造体を製造するにあたり、上記圧電セラミックスからなる一方の部材の表面に研削加工及び/又は研磨加工を施して接着面を形成した後、この接着面にプラズマ洗浄又はオゾン洗浄を施して接着面を構成する結晶表面に平均粒径が0.01μm〜0.1μmの複数の微小突起を形成し、次いで、上記他方の部材の接着面との間に接着剤を介在させて上記接着剤を硬化させることにより圧電セラミックスからなる一方の部材と他方の部材とを接着するようにしたことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明は、駆動用電極を側面に備えた圧電セラミックスからなる隔壁を複数個並設し、これら各隔壁間をインクの流路とするとともに、上記流路の上部、下部、端部を覆う部材のうち、少なくとも一つの部材と上記隔壁とを接着層を介して貼り付けてなるインクジェット記録ヘッドにおいて、上記圧電セラミックスからなる隔壁の接着面を構成する結晶表面に平均粒径が0.01μm〜0.1μmの複数の微小突起を設けたことを特徴とする。
【0015】
また、上記隔壁を2つ以上の圧電セラミックスからなる壁部材を接着層を介して貼り付けたものである場合、互いに貼り付ける少なくとも一方の壁部材の接着面を構成する結晶表面に複数の上記微小突起を設けたことを特徴とする。
【0016】
なお、上記隔壁の接着面又は上記隔壁を構成する壁部材の接着面を顕微鏡にて測定した時、10−6〜10−5mm2の測定領域において、測定領域に見られる結晶表面上の上記微小突起が占める占有面積率は5〜40%の範囲にあることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る圧電セラミックスを用いた貼付構造体の一例を示す一部を破断した斜視図である。
【0019】
この貼付構造体1は、圧電セラミックスからなる板状体2と、他の板状体3とを熱硬化性接着剤からなる接着層4を介して貼り付けたもので、例えば、この貼付構造体1をブザーとして利用するには、他の板状体3を、アルミナ、ジルコニア、フォルステライト、窒化珪素、圧電セラミックス等のセラミックス、あるいは金属や樹脂により形成し、接着層4を導電性を有する熱硬化性接着剤により形成するとともに、圧電セラミックスからなる板状体2に厚み方向の分極処理を施し、板状体2の接着面2aと反対側の表面に、銀、金、白金、ニッケル、銅、アルミニウム、スズ等の金属あるいはこれらの合金を、蒸着法やメッキ法あるいはイオンプレーティング法やスパッタリング法等の膜形成手段にて被着して電極を形成すれば良く、接着層4と電極との間に電圧を印加すれば、板状体2の厚み方向に撓み振動を発生させ、ブザーとして機能させることができる。
【0020】
そして、本発明の貼付構造体1は、圧電セラミックスからなる板状体2の接着面2aを構成する結晶表面に、多数の微小突起を有することを特徴とする。
【0021】
即ち、貼付構造体1を構成する2枚の板状体2,3の接着面2aには、接着層4の厚みを高精度に制御するために平面研削加工を施す必要があるのであるが、研削加工によって形成した接着面2aを拡大すると、図3に示すように、平滑な表面を有する結晶粒子から構成されており、このような平滑な表面を有する結晶からなる接着面2aにペースト状の熱硬化性接着剤を塗布し、加圧しながら加熱硬化させると、粘度が比較的低い接着剤を用いたとしても接着剤の広がりが悪く、硬化させた接着層4中には多数の気泡が残存して接着強度が低下することを知見し、本件発明者は種々研究を重ねたところ、図2に示すように、接着面2aを構成する結晶5の表面に多数の微小突起6を設けることにより、接着剤の広がりが良くなって気泡の巻き込みを防ぎ、接着層4中に残存する気泡の量を低減できることを見出し、本発明に至った。
【0022】
このように接着面2aを構成する結晶5の表面に微小突起6を設けることにより、接着剤の広がりが良くなる理由としては明らかではないが、図4に示す固体と液体との関係から説明できるものと思われる。
【0023】
図4中、θは液体の接触角、γLは液体の表面エネルギー、γSは固体の表面エネルギー、γSLは固体と液体との界面における界面エネルギーであり、一般的にこれら液体の接触角(θ)、液体の表面エネルギー(γL)、固体の表面エネルギー(γS)、固体と液体との界面における界面エネルギー(γSL)には数1の関係が成り立つことが知られている。
(数1) γS=γSL+γL・cosθ
そして、液体としての接着剤の広がりを良くするには濡れ性を高めれば良く、液体の接触角(θ)が小さい程、濡れ性を高めることができるのであるが、液体の接触角(θ)を小さくするには、数1より判るように、固体の表面エネルギー(γS)を大きくするか、また、界面エネルギー(γSL)及び液体の表面エネルギー(γL)を小さくすれば良いことになる。
【0024】
そして、本発明によれば、接着面2aに存在する結晶5の表面に微小突起6を設けて接着面2aの表面積を大きくし、固体としての板状体2の表面エネルギー(γS)を大きくすることができることから、液体としての接着剤の接触角(θ)を小さくし、結晶表面に微小突起を持たない従来の接着面と比較して接着剤の濡れ性を高めることができるものと思われる。
【0025】
ただし、このような効果を奏するには、接着面2aを顕微鏡にて上方から部分的に拡大して測定した時に、10-6〜10-5mm2の測定領域に見られる結晶5の表面にある微小突起6が占める占有面積率は5〜40%とすることが好ましく、さらにこのような微小突起6が接着面2aの全体にわたって一様に分布していることが好ましい。
【0026】
なぜなら、上記測定領域に見られる結晶5の表面にある微小突起6の占有面積率が5%未満であると、結晶5の表面に存在する微小突起6の占める割合が少ないため、接着面2aの表面エネルギーを高める効果が小さく、熱硬化性接着剤の広がりを良くすることができないからであり、逆に、上記測定領域に見られる結晶5の表面にある微小突起6の占有面積率が40%を超えると、接着剤の濡れ性は良いものの、微小突起6付近にて気泡を補足し易くなり、気泡を巻き込み易くなるといった不都合があるからである。なお、望ましくは、10-6〜10-5mm2の測定領域に見られる結晶5の表面に見られる微小突起6の占有面積率は5〜20%とすることが良く、さらに微小突起6の大きさとしては、0.01〜0.1μm、好ましくは0.01〜0.07μmの範囲にあるものが良い。
【0027】
なお、本発明において、10-6〜10-5mm2の測定領域に見られる結晶5の表面にある微小突起6が占める占有面積率とは、10-6〜10-5mm2の測定領域の面積に対し、その測定領域に見られる結晶5の表面にある各微小突起6の合計面積が占める面積比率のことであり、この測定にあたっては、接着面2aを、5万〜10万の倍率で撮影したSEM写真を画像解析装置(Nireko製LUZEX−FS)にて分析し、色濃淡で示される測定領域内の結晶5と微小突起6の各面積を求めることにより算出すれば良い。
【0028】
また、圧電セラミックスからなる板状体2の接着面2aに塗布する熱硬化性接着剤の広がりをさらに高めるには、接着面2aに気孔や脱粒等の凹部を設けることが良く、接着面2aを顕微鏡にて部分的に拡大して測定した時に、その測定領域に存在する凹部の占有面積率を50%以上とすることにより、接着面2aを構成する結晶5の表面に微小突起6を設けたこととの相乗効果によって接着面2aにおける熱硬化性接着剤の広がりをさらに良くし、接着層4中に気泡が介在することを防止することができる。
【0029】
なお、ここで、測定領域に存在する凹部の占有面積率とは、圧電セラミックスからなる板状体2の接着面2aを顕微鏡にて上方から見た時、その測定領域の面積に対し、測定領域に見られる気孔や脱粒等の凹部の合計面積が占める面積比率のことであり、この測定にあたっては、接着面2aを、3千の倍率で撮影したSEM写真を画像解析装置(Nireko製LUZEX−FS)にて分析し、色濃淡で示される測定領域内の結晶と凹部の各面積を求めることにより算出すれば良い。
【0030】
ところで、板状体2を形成する圧電セラミックスとしては、特に限定するものではないが、アクチュエータ、ダイヤフラム、ブザー等の振動源として用いる場合、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT系)、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)、あるいはこれらを主成分とする圧電セラミックスを用いることが好ましい。
【0031】
また、圧電セラミックスからなる板状体2に貼り付ける他の板状体3としては、目的や用途にあわせて、金属、樹脂、セラミックス等の材料の中から適宜選択して用いれば良く、例えば、金属としては、スズ、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、鉄、モリブデン、あるいはこれらを含有した合金、さらにはステンレス等を用いることができ、また、セラミックスとしては、アルミナ、ジルコニア、フォルステライト、窒化珪素を主成分とする絶縁性セラミックスや、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT系)、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)、あるいはこれらを主成分とする圧電セラミックスを用いることができる。なお、高い接着強度が要求されるような場合には板状体2を形成する圧電セラミックスとの熱膨張差ができるだけ近似した材料を用いることが好ましい。
【0032】
さらに、接着層4を形成する熱硬化性接着剤としては、エポキシ系接着剤、ポリイミド系接着剤、フェノール系接着剤等の一般的な熱硬化性接着剤を用いることができ、中でも高い接着強度が得られるエポキシ系接着剤が好適である。
【0033】
次に、図1に示す貼付構造体の製造方法について説明する。
【0034】
まず、焼結された圧電セラミックスからなる板状体2を用意し、接着面2aとなる板状体2の表面に、遊離砥粒として粒径が5〜10μmの炭化珪素粒子を用いた両面ラップ盤によるラップ加工を施すか、あるいは粒径が5〜10μmのダイヤモンド砥粒を固着したダイヤモンドホイールを用いた平面研削盤による平面研削加工を施して接着面2aを形成する。
【0035】
次いで、板状体2の接着面2aに存在するゴミや水分等を除去するとともに、接着面2aを構成する結晶5の表面に微小突起6を形成するため、プラズマ洗浄又はオゾン洗浄を施す。
【0036】
一般的にプラズマ洗浄やオゾン洗浄は、接着面2aに付着するゴミや水分等を除去することを主眼において施されるのであるが、ある条件にてプラズマ洗浄又はオゾン洗浄することにより接着面2aを構成する結晶5の表面に微小突起6を形成することができることを見出したのである。
【0037】
微小突起6を形成することができるメカニズムについては不明であるが、SEM/EDS(エネルギー分散型X線分析)、その他の組成分析の結果、接着面2aを構成する結晶と同一組成を有するものであるが判っている。
【0038】
例えば、プラズマ洗浄にて微小突起6を形成する場合、プラズマ化ガスの種類(酸素、窒素、アルゴンや、酸素+不活性ガスの混合ガス等)、ガス流量、ガス圧力、放電方法(周波数、出力等)、プラズマ処理時間等を調整することにより形成することができるが、特にプラズマ出力を比較的高く設定することで、圧電セラミックスからなる板状体2の接着面2aに付着するゴミや水分等を除去することができるだけでなく、接着面2aを構成する圧電セラミックスの結晶表面に多数の微小突起6をほぼ均等に分布させることができ、具体的には、酸素プラズマ洗浄の場合、ガス圧力:5Pa〜15Pa、周波数:13.56MHz、出力:500W〜2kW、処理時間:1min〜20minの条件にて行うことにより、接着面2aを構成する圧電セラミックスの結晶表面に、大きさが0.1μm以下の微小突起6をほぼ均等に分布させることができ、10-6〜10-5mm2の測定領域に見られる結晶5の表面に存在する微小突起6の占有面積率を5〜40%とすることができる。
【0039】
次に、本発明に係る圧電セラミックスを用いた貼付構造体の応用例であるインクジェット記録ヘッドについて図5及び図6を用いて説明する。
【0040】
このインクジェット記録ヘッド10は、絶縁セラミック板20上に、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT系)、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)、あるいはこれらを主成分とする圧電セラミックスからなる複数の隔壁12を並設してなり、各隔壁12間をインクの流路13とするとともに、各流路13の一端が閉じられた流路部材11と、各隔壁12の頂面に熱硬化性接着剤にて接合され、各流路13と連通するインク供給孔15を備えた天板16と、流路部材11の開放端側に熱硬化性接着剤にて接合され、各流路13と連通するインク吐出孔17を備えたノズル板18と、上記各隔壁12の側面及び流路13の底面に、その長手方向に沿って形成された、白金、金、パラジウム、ロジウム、ニッケル、アルミニウム等の金属、あるいは白金−金、パラジウム−銀、白金−パラジウム等を主体とする合金からなる駆動用電極14とからなるもので、各隔壁12は分極方向を矢印の方向に異ならせた2つの圧電セラミックスからなる壁部材21,22を熱硬化性接着剤により接合することにより形成してある。なお、19は駆動用電極14と駆動用回路(不図示)とを接続するための流路部材11に形成された配線である。また、図示していないが、駆動用電極14はインクに接触し腐食され易いため、駆動用電極14をポリパラキシリレン等の樹脂膜や窒化珪素膜からなる保護膜により被覆してある。
【0041】
そして、このヘッド10を用いて記録媒体(不図示)へ印刷するには、まず、インクを不図示のインクタンクからインク供給孔15を介して各流路13へ導入するとともに、図6(a)に示すように、流路13b内に形成された駆動用電極14bに負の電圧を、両隣の各流路13a,13c内にそれぞれ形成された駆動用電極14a,14cに各々正の電圧を印加すると、流路13bを仕切る隔壁12a,12bを形成する圧電セラミックスが剪断モード変形を起こし、隔壁12a,12bが流路13b側に略「く」字状に屈曲変位するため、流路13b内のインクを加圧し、インク吐出孔17よりインク滴を吐出させることができ、また、図6(b)に示すように、駆動用電極14bと駆動用電極14a,14cに印加する電圧の極性を反転させると、隔壁12a,12bは各流路13a,13c側にそれぞれ屈曲変位するため、流路13b内が減圧され、インク供給孔15よりインクを供給することができ、これらの動作を繰り返すことでインク滴を適宜吐出することができるようになっている。
【0042】
そして、上記流路部材11は、絶縁セラミック板20と、予め分極処理した2枚の圧電セラミック板をそれぞれ熱硬化性接着剤からなる接着層を介して貼り付け、ダイヤモンドホイールを用いて圧電セラミック板側に一端が閉じられ、深さが絶縁セラミック板20の表面にまで達する複数の溝を並設することにより製作するのであるが、絶縁セラミック板20及び隔壁21,22を形成する2枚の圧電セラミック板を貼りつけるにあたり、少なくとも圧電セラミック板の接着面を構成する結晶の表面に複数の微小突起を設けるとともに、上記接着面を部分的に拡大して測定した時に、10-6〜10-5mm2の測定領域における微小突起の占有面積率を5〜40%としてある。
【0043】
その為、絶縁セラミック板20と圧電セラミック板との間、及び2枚の圧電セラミック板との間にそれぞれ塗布したペースト状の熱硬化性接着剤をそれぞれ加圧しながら加熱硬化させるにあたり、各接着剤を速やかに各接着面間全体に行き渡らせることができるため、硬化後の接着層中に残存する気泡の量を低減することができ、接着強度を大幅に向上させることができる。
【0044】
その結果、この後に行うダイヤモンドホイールを用いた溝加工において、例えば、溝幅75μm、溝高さ300μm、溝ピッチ141μmといった微小な溝を形成しても、研削加工時に作用する応力によって隔壁12を形成する壁部材21,22間の接着層や隔壁12と絶縁セラミック板20との間の接着層が剥離することを防止できるとともに、前述したように、隔壁12を屈曲変位させたとしてもその時に作用する応力によって隔壁12を形成する壁部材21,22間の接着層や隔壁12と絶縁セラミック板20との間の接着層が剥離することがない。特に、図5に示すインクジェット記録ヘッド10では、隔壁12を、分極方向を異ならせた2つの圧電セラミックスからなる壁部材21,22を接着することにより形成してあることから、駆動用電極14に通電すれば、隔壁12を構成する2つの壁部材21,22をそれぞれ剪断モード変形させることができるため、隔壁12が圧電セラミックスにより一体的に形成されたものと比較して大きく変位させることができるため、大きな加圧力が得られ、以てインク滴の吐出速度を高めることができる。
【0045】
また、圧電セラミックスからなる隔壁12の他の接着面をなす頂面や端面も、各接着面を構成する結晶表面に複数の微小突起を設けるとともに、接着面を部分的に拡大して測定した時に、10-6〜10-5mm2の測定領域における微小突起の占有面積率を5〜40%とすることにより、隔壁12の頂面と天板16との間に塗布したペースト状の熱硬化性接着剤、及び隔壁12の端面とノズル板18との間に塗布したペースト状の熱硬化性接着剤をそれぞれ加圧しながら加熱硬化させるにあたり、接着剤を速やかに接着面全体に行き渡らせることができるため、硬化した接着層中に残存する気泡の量を低減でき、天板16やノズル板18の剥離を防止し、信頼性の高いヘッド10を提供することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、図1に示す貼付構造体1や図5に示すインクジェット記録ヘッド10に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、改良や変更できることはいう迄もない。
【0047】
【実施例】
(実施例1)
ここで、圧電セラミックスからなる板状体と他の板状体とを熱硬化性接着剤からなる接着層を介して貼り付けた貼付構造体において、圧電セラミックスからなる板状体の接着面を構成する結晶の表面に微小突起を設けた本発明品と、微小突起を備えていない従来品を用意し、貼付構造体の接着層中に残存する気泡の割合について調べる実験を行った。
【0048】
具体的には、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電セラミックスからなり、その板厚が0.7mmの板状体を用意し、この板状体の上下面に銀の電極膜をそれぞれ被着し、電極膜間に通電して板厚方向に分極処理を施した後、上下の電極膜を取り除き、粒径5μmの炭化珪素砥粒を用いてラップ加工を行うことにより、算術平均粗さ(Ra)が0.1〜0.3μm、平面度が5〜10μmの平滑な接着面を形成し、この接着面をアセトンにて洗浄した。
【0049】
このうち、数個の板状体の接着面にはプラズマ洗浄を施し、接着面を構成する結晶表面に複数の微小突起を形成したものと、微小突起のないものを準備し、結晶表面に微小突起を有するものにあってはその占有面積率を異ならせた。
【0050】
なお、プラズマ洗浄の条件としては、プラズマ化ガスとして酸素ガスを用い、ガス圧力を90〜140N・m-2とし、周波数13.56MHz、200W〜600Wの範囲で異ならせた印加電圧を約5分間通電するようにした。
【0051】
次に、板状体の接着面にエポキシ系接着剤(商品名;EPOTEK353−ND)を転写法にて塗布し、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電セラミックス、ジルコニアセラミックス、モリブデンからなる他の板状体を貼り合わせ、真空チャンバー内にて、8KPaの減圧下で、加圧しながら100〜150℃の温度で熱処理することによって、エポキシ系接着剤を硬化させ、試料としての貼付構造体を製作し、得られた各貼付構造体の接着層中に残存する気泡が占める割合について測定した。
【0052】
なお、接着層中に残存する気泡が占める割合は、100MHzの超音波プローブを持つ超音波顕微鏡(日立建機製HSAM)を用い、下側に位置する板状体と接着層との界面に焦点を合わせて超音波を照射すると、接着層中に気泡が有る時、反射波が減衰されるため、所定時間内における反射強度の大きさを濃淡で表示し、画像解析装置にて測定領域内に存在する気泡(黒くなった部分)が占める割合を占有面積率として求めた。
【0053】
また、他方の板状体の接着面はいずれも算術平均粗さ(Ra)で0.1〜0.3μm、平面度が5〜10μmの平滑面とし、他方の板状体が圧電セラミックスからなるものにあっては、接着面を構成する結晶の表面には微小突起を形成していないものを用いた。
【0054】
それぞれの結果は表1に示す通りである。
【0055】
【表1】
【0056】
この結果、表1より判るように、試料A,Bのように、圧電セラミックスからなる板状体の接着面を構成する結晶表面に微小突起を持たない従来品は、接着剤の加熱硬化時における広がりが悪く、硬化後の接着層中に多くの気泡が残存していた。
【0057】
これに対し、試料C〜Tのように、圧電セラミックスからなる板状体の接着面を構成する結晶表面に複数の微小突起を設けた本発明品は、接着剤の加熱硬化時における広がりを向上させることができ、硬化後の接着層中に残存する気泡の占有面積率を大幅に低減することができ、優れていた。
【0058】
特に、試料C〜K,O〜Qのように、微小突起の平均粒径が0.1μm以下で、微小突起の占有面積率が5〜40%の範囲にあるものは、接着剤の加熱硬化時における広がりが非常に良く、硬化後の接着層中に残存する気泡の占有面積率を1%以下にまで低減することができ、その結果、接着強度を大幅に向上させることができた。
(実施例2)
次に、表1の試料A、Bを用いて図7に示す従来のインクジェット記録ヘッド40を製作するとともに、表1の試料F、Kを用いて図4に示す本発明のインクジェット記録ヘッド10を製作し、剥離の発生状況とそれによるインク吐出性能について調べる実験を行った。
【0059】
具体的には、各試料に用いた2枚の板状体とアルミナセラミックスからなる絶縁セラミック板20とをそれぞれエポキシ接着剤を介して接着し、圧電セラミック板側の表面に、粒径が5μmのダイヤモンド砥粒を固着したダイヤモンドホイールを用い、加工速度5mm/secの条件にて3000本の溝を研削加工することにより、各溝をインクの流路13,33とするとともに、各溝を仕切る壁を隔壁12,32とした流路部材11,31を作製した。なお、各流路13,33の深さは300μm、各流路13,33の幅は75μm、ピッチは141μmとなるようにした。
【0060】
そして、溝加工を施した後、隔壁12,32を構成する壁部材21,22,41,42間の剥離の有無、及び隔壁12,32とアルミナセラミックスからなる絶縁セラミックスからなる絶縁セラミック板20との間の剥離の有無をそれぞれ双眼顕微鏡にて観察し、隔壁12,32の全本数に対する剥離が発生した隔壁12,32の本数を隔壁剥離率として算出した。
【0061】
しかる後、各流路部材11,31の必要箇所にマスキングを施したあと、隔壁12,32の側面及び流路13,33の底面にその長手方向に沿って駆動用電極14,34を形成するとともに、各駆動用電極14,34と連通する配線19,39を流路13,33の終端から流路部材11,31の後端まで形成した。なお、駆動用電極14,34や配線19,39は、アルミニウムをスパッタリング法にて被着することにより形成した。
【0062】
その後、各隔壁12,32の頂面に、インクを導入するためのインク供給孔15,35を備えたアルミナセラミックスからなる天板16,36を、流路部材11,31の開放端側に、インク吐出孔17,37を備えたポリイミド樹脂からなるノズル板18,38をそれぞれ熱硬化性のエポキシ接着剤にて接着することによりインクジェット記録ヘッド10,40を作製した。
【0063】
そして、得られた各インクジェット記録ヘッド10,40の駆動用電極14,34に30Vの電圧を印加して隔壁12,32を8kHzの周波数で変位させることにより、10億回のインク滴を吐出させる試験を行った後、全インク吐出孔17,37の数に対するインク滴の吐出ができなくなったインク吐出孔17,37の数をインク滴吐出不良率として算出した。
それぞれの結果は表2に示す通りである。
【0064】
【表2】
【0065】
この結果、表2より判るように、試料No1,2に示す従来のインクジェット記録ヘッド40は、隔壁32を形成する各隔部材41,42の接着面を構成する結晶表面に微小突起を備えていないために接着強度が低く、壁部材41,42間、隔壁32と絶縁セラミック板30との間に多くの剥離が見られ、隔壁剥離率が0.01%を越えていた。その為、これらの試料1,2は、10億回のインク滴吐出後のインク滴吐出不良率が0.005%以上と悪く、インクジェット記録ヘッドの長期信頼性が劣る結果となった。
【0066】
これに対し、試料No3,4に示す本発明のインクジェット記録ヘッド10は、隔壁12を形成する各隔部材21,22の接着面を構成する結晶表面に多数の微小突起を設けてあるために接着強度が高く、壁部材21,22間、隔壁12と絶縁セラミック板20との間には殆ど剥離が見られず、隔壁剥離率を0.01%以下に抑えることができ、長期信頼性に優れたインクジェット記録ヘッド10とできることが判る。
【0067】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、少なくとも2つの部材を接着層を介して貼り付けてなり、少なくとも一方の部材が圧電セラミックスからなる貼付構造体において、上記圧電セラミックスからなる部材の接着面を構成する結晶表面に平均粒径が0.01μm〜0.1μmの複数の微小突起を設けたことから、圧電セラミックスからなる一方の部材の接着面におけるペースト状の接着剤の広がりを良くし、接着剤硬化後の接着層中に気泡が残存するのを低減し、接合強度を向上させることができ、特に上記接着面上を顕微鏡にて測定した時、10−6〜10−5mm2の測定領域において、測定領域に見られる結晶表面上の微小突起が占める占有面積率を5〜40%とすることにより、接着層中に残存する気泡量を大幅に低減し、より強固な接合強度を得ることができる。
【0068】
また、本発明によれば、上記圧電セラミックスを用いた貼付構造体を製造するにあたり、圧電セラミックスからなる一方の部材の表面に研削加工及び/又は研磨加工を施して接着面を形成した後、この接着面にプラズマ洗浄又はオゾン洗浄を施して接着面を構成する結晶表面に平均粒径が0.01μm〜0.1μmの複数の微小突起を形成するようにしたことから、微小突起の形成を接着面に付着するゴミや水分等を除去するのと同時にかつ容易に行うことができ、このような接着面と他方の部材の接着面との間に接着剤を介在させて硬化させることにより、ペースト状の接着剤を滑らかに広げることができ、各部材の接着面間における接合強度を高めることができる。
【0069】
さらに、本発明は、駆動用電極を側面に備えた圧電セラミックスからなる隔壁を複数個並設し、これら各隔壁間をインクの流路とするとともに、上記流路の上部、下部、端部を覆う部材のうち、少なくとも一つの部材と上記隔壁とを接着層を介して貼り付けてなるインクジェット記録ヘッドにおいて、上記圧電セラミックスからなる隔壁の接着面を構成する結晶表面に平均粒径が0.01μm〜0.1μmの複数の微小突起を設けたことから、ヘッドの製作時や駆動中において圧電セラミックスからなる隔壁と他の部材とが剥離することを防止することができるため、信頼性の高いヘッドを提供することができる。
【0070】
また、上記隔壁を2つ以上の圧電セラミックスからなる壁部材を接着層を介して貼り付けたものである場合、互いに貼り付ける少なくとも一方の壁部材の接着面を構成する結晶表面に平均粒径が0.01μm〜0.1μmの複数の微小突起を設けたことにより、隔壁が1つの圧電セラミックスにより形成されたもの比較してインク滴の吐出速度を高めることができ、特に上記隔壁の接着面又は上記隔壁を構成する壁部材の接着面を顕微鏡にて測定した時、10−6〜10−5mm2の測定領域において、測定領域に見られる結晶表面上の微小突起が占める占有面積率を5〜40%とすることにより、より一層信頼性の高いヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る貼付構造体を示す一部を破断した斜視図である。
【図2】本発明の接着面の状態を示すSEM写真である。
【図3】従来の接着面の状態を示すSEM写真である。
【図4】液体と固体との関係を示す模式図である。
【図5】本発明に係る貼付構造体の応用例であるインクジェット記録ヘッドを示す一部を破断した斜視図である。
【図6】(a)(b)は図5に示すインクジェット記録ヘッドの駆動原理を説明するための部分断面図である。
【図7】従来のインクジェット記録ヘッドを示す一部を破断した斜視図である。
【符号の説明】
1:貼付構造体 2:圧電セラミックスからなる板状体 2a:接着面
3:他の板状体 4:接着層
10,40:インクジェット記録ヘッド 11,31:流路部材
12,32:隔壁 13,33:加圧室 14,34:駆動用電極
15,35:インク供給孔 16,36:天板 17,37:インク吐出孔
18,38:ノズル板 19,39:配線 20,30:絶縁セラミック板
21,22,41,42:壁部材
Claims (6)
- 少なくとも2つの部材を接着層を介して貼り付けてなり、少なくとも一方の部材が圧電セラミックスからなる貼付構造体において、上記圧電セラミックスからなる部材の接着面を構成する結晶表面に平均粒径が0.01μm〜0.1μmの複数の微小突起を有することを特徴とする圧電セラミックスを用いた貼付構造体。
- 上記接着面における10−6〜10−5mm2の測定領域において、該測定領域に見られる結晶表面上の上記微小突起が占める占有面積率が5〜40%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の圧電セラミックスを用いた貼付構造体。
- 少なくとも2つの部材を接着層を介して貼り付けてなり、少なくとも一方の部材が圧電セラミックスからなる貼付構造体の製造方法において、上記圧電セラミックスからなる一方の部材の表面に研削加工及び/又は研磨加工を施して接着面を形成した後、該接着面にプラズマ洗浄又はオゾン洗浄を施して上記接着面を構成する結晶表面に平均粒径が0.01μm〜0.1μmの複数の微小突起を形成し、次いで、上記他方の部材の接着面との間に接着剤を介在させて上記接着剤を硬化させることにより圧電セラミックスからなる一方の部材と他方の部材とを接着することを特徴とする圧電セラミックスを用いた貼付構造体の製造方法。
- 駆動用電極を側面に備えた圧電セラミックスからなる隔壁を複数個並設し、これら各隔壁間をインクの流路とするとともに、上記流路の上部、下部、端部を覆う部材のうち、少なくとも一つの部材と上記隔壁とを接着層を介して貼り付けてなるインクジェット記録ヘッドにおいて、上記圧電セラミックスからなる隔壁の接着面を構成する結晶表面に平均粒径が0.01μm〜0.1μmの複数の微小突起を設けたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
- 上記隔壁は、2つ以上の圧電セラミックスからなる壁部材を接着層を介して貼り付けたものであって、互いに貼り付ける少なくとも一方の壁部材の接着面を構成する結晶表面に複数の上記微小突起を設けたことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 上記隔壁の接着面又は上記隔壁を構成する壁部材の接着面における10−6〜10−5mm2の測定領域において、該測定領域に見られる結晶表面上の上記微小突起が占める占有面積率を5〜40%としたことを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
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