JP3483616B2 - 塗装された軟質樹脂製バンパー - Google Patents

塗装された軟質樹脂製バンパー

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JP3483616B2 JP10860494A JP10860494A JP3483616B2 JP 3483616 B2 JP3483616 B2 JP 3483616B2 JP 10860494 A JP10860494 A JP 10860494A JP 10860494 A JP10860494 A JP 10860494A JP 3483616 B2 JP3483616 B2 JP 3483616B2
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m【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、成形品外観(フローマ
ーク、ウエルド)及び低線膨脹性を著しく改良すると同
時に、耐低温衝撃性、柔軟性に良好な性能バランスを有
し、更に、アクリル・メラミン塗料の塗膜が成形体表面
に直接塗布された、塗装された軟質樹脂製バンパーに関
するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、自動車は軽量化による燃費の向上
を目的として自動車部品のプラスチック化が急速に進
み、インストルメントパネル、コンソールボックス、グ
ローボックス、ハンドル、トリム等の内装部品や、モー
ルプロテクター、ランプハウジング、フロントグリル、
マッドガード、コーナーバンパー等の外装部品だけでな
く、従来では金属が使用されていたバンパー、フェイシ
ャア、ドアガーニッシュ及びボディー(一部分)にまで
各種のプラスチック材料が用いられるようになってき
た。この様な自動車部品に用いられるプラスチック類の
材料としては、例えば、RIM・ウレタン、複合ポリプ
ロピレン、ポリカーボネート/ABSやポリフェニレン
エーテル/ポリアミド等のポリマーアロイ材料を挙げる
ことができる。 【0003】とりわけて、バンパーやフェイシャアに用
いられる材料は、現在、主として衝突時の衝撃を変形す
ることによって吸収し、その衝突後に形状が回復する特
性を有する低剛性材料を使用するタイプのものと、変形
回復の性能は劣るが、軽量で、低価格の高剛性材料を使
用するタイプのものとの二つに分けることができる。こ
れらのうち、前者のタイプに使用される材料としては、
主にRIM・ウレタン部分架橋エチレン・プロピレン共
重合体ゴム配合のポリプロピレンや、エチレン・プロピ
レン共重合体ゴムとオイル配合のポリプロピレン等が使
用されており、これらの材料は曲げ弾性率も一般に2,
000〜5,000kg/cm2 程度を示すものであ
る。また、後者のタイプに使用される材料としては、エ
チレン・プロピレン共重合体ゴム、無機フィラー配合の
ポリプロピレン等が使用されており、その弾性率も8,
000〜12,000kg/cm2 程度を示すものであ
る。上記RIM・ウレタンを除くこれらの材料は、汎用
性のある射出成形によって生産されることから、生産高
が高く、低コストであるため、最近特に広く使用される
ようになってきた。 【0004】前述の材料の中でも、低剛性タイプのバン
パー(軟質樹脂製バンパー)に用いる材料は、例えば、
(i) ポリプロピレンに、部分的に架橋されたエチレン
・プロピレン共重合体ゴム、更に、オイル等を配合した
ポリプロピレン組成物に関するものは、特開昭53−1
458557号公報、特開昭54−16554号公報、
特開昭57−135847号公報等に記載される方法
で、(ii) 非架橋エチレン・プロピレン共重合体ゴムと
高密度ポリエチレンを配合したポリプロピレン系組成物
に関するものは、特開昭56−106948号公報等に
記載されている方法で、(iii) 非架橋エチレン・プロピ
レン共重合体ゴムとオイルを配合したポリプロピレン組
成物に関するものは、特開昭63−146951号公報
等に記載されている方法、等によって製造されている。 【0005】更に、二種類の特定なエチレン・プロピレ
ン共重合体ゴムを特定な弾性率となるように配合し、こ
の配合選定と組み合わせて特定な肉厚の射出成形体とす
ることにより、線膨脹係数が8×10-5/℃以下で熱的
変形が著しく少なく、バンパー等の大型の自動車外装部
品であっても車体と一体化した形状(面一性)にするこ
とができ、かつ成形体外観(フローマーク、ウエルド)
が著しく改良されると同時に、耐低温衝撃性、柔軟性に
良好な性能バランスを有する低剛性タイプの射出成形体
に関しては、特開平4−62117号公報に記載された
方法等によって製造されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、これらのプロ
ピレン系材料を用いた射出成形体は、その素材自体の構
造中に極性基を有していないことから、直接塗料を塗布
した場合に実用レベルの塗料付着強度を得るのが困難で
あった。そこで、このような射出成形体は多くの場合、
予め成形した射出成形体の表面にプライマーを塗布した
り、プラズマ処理を施すことに等によって塗料付着性能
を付与させており、このため、塗装工程の複雑化、高コ
スト化等の問題を抱えていた。具体的には、プライマー
塗布法においては、従来から、高価なプライマーを使用
しなければならないことや、塗装工程数が多くなり塗装
コストが高くなるといった問題点があったり、更に、こ
のこと以外にも、プライマーの溶媒を揮発させる必要が
あることから火災の危険性を伴うといった安全性にも問
題があった。一方、プラズマ処理法においては、高度の
真空状態が必要であるために、高価な装置を設置しなけ
ればならず、しかも、バッチ式のためコストの上昇を避
けることができなかった。更に、プラズマ処理後の表面
は不安定で、異物に接触すると塗料の付着性が低下する
ため、塗膜性能にバラツキが生じることもあり、取扱い
が非常に不便があった。従って、プロピレン系軟質樹脂
性バンパーの塗装におけるプライマーの塗布工程や、プ
ラズマ処理の工程を省略することができれば、塗装工程
の簡略化、作業環境の改善、コストの低減化等を図るこ
とが可能となることから、これまでにもこれからの工程
の省略を達成しようと多くの研究がなされてきた。しか
しながら、その多くはウレタン塗料に関するものであ
り、自動車のバンパー用塗料として最も汎用的に使用さ
れているアクリル・メラミン塗料に関しては、結局未だ
にこの目的を達成するに至っておらず、プロピレン系軟
質樹脂製バンパーはこのようなプライマー塗布やプラズ
マ処理等を省くことができずに塗装が施されている。 【0007】 【課題を解決するための手段】 [発明の概要]本発明者らは、これらの問題点を解決す
るために鋭意研究を重ねた結果、特定の成分、つまり、
末端に水酸基を有するジエンポリマー又はその水素添加
物と燐オキシ酸化合物と第三級アミン化合物をある特定
割合で、特定選定のオレフィン系材料に添加することに
より、バンパー用塗料として最も汎用的に使われている
アクリル・メラミン塗料への付着性を持たせることが可
能となり、その結果、この基材となるオレフィン系材料
を特定肉厚の射出成形体とすることにより、線膨脹係数
が8×10-5/℃以下で熱的変形が著しく少なく、耐低
温衝撃性、柔軟性に良好な性能バランスを有し、塗装工
程の合理化された軟質樹脂製バンパーが得られることを
見出して、本発明を完成するに至ったものである。 【0008】すなわち、本発明の塗装された軟質樹脂製
バンパーは、下記成分A〜成分Iの各成分からなり、J
IS−K7203による曲げ弾性率が4,000〜7,
000kg/cm2 、かつASTM−D696による線
膨脹係数が8×10-5/℃以下の物性を有する、平均肉
厚が2〜6mmの樹脂組成物成形体の表面に、アクリル
・メラミン塗膜が直接形成されていることを特徴とする
ものである。 成分A: メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が5〜60g/ 10分、かつエチレン含量が0〜15重量%のポリプロピレン樹脂 50〜70重量% 成分B: バナジウム系触媒を用いて重合されたムーニー粘度(ML1+4 100 ℃)が20〜80、かつプロピレン含量が20〜40重量%のエチレン・プロピ レン共重合体ゴム 5〜30重量% 成分C: チタン系触媒を用いて重合されたムーニー粘度(ML1+4 100℃) が20〜75、かつプロピレン含量が30〜70重量%のエチレン・プロピレン 共重合体ゴム 5〜45重量% 成分D: メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が5〜50g/ 10分、かつポリエチレン樹脂 0〜10重量% 成分E: 末端に水酸基を有するジエンポリマー又はその水素添加物 0.01〜10重量部 成分F: 燐オキシ酸化合物 0.01〜10重量部 成分G: 第3級アミン化合物 0.01〜10重量部 成分H: 変性オレフィン系樹脂 0.01〜10重量部 成分I: 比表面積が37,000cm2 /g以上、平均粒径が0.8〜3.0 μmのタルク 0〜7重量部 【0009】[発明の具体的説明] [I] 樹脂組成物(成形体基材) (1) 構成成分 本発明の塗装された軟質樹脂製バンパーにおいて成形体
基材となる樹脂組成物は、下記の成分A〜成分Iの各成
分から構成されている。 (a) 成分A 本発明において用いられる成分Aは、メルトフローレー
トが5〜60g/10分で、エチレン含量が0〜15重
量%のポリプロピレン樹脂である。具体的には、メルト
フローレート(ASTM−D 1238、L条件、23
0℃、2.16kg荷重)が5〜60g/10分、好ま
しくは10〜40g/10分、かつエチレン含量が0〜
15重量%、好ましくは2〜10重量%の範囲内の結晶
性ポリプロピレン樹脂である。メルトフローレートが上
記範囲未満のものを用いた場合には、射出成形性が悪化
し、得られる射出成形体の外観、特にフローマークの発
生が著しく悪化する。また、メルトフローレートが上記
範囲を超えるものを用いた場合には耐低温衝撃性が低下
する。また、エチレン含量が上記範囲を超えるものを用
いた場合には、射出成形性(離型性)に問題が生じるだ
けでなく、高温下で成形体の変形が生じ易くなる。ここ
でいうエチレン含量とは、赤外線スペクトル分析法によ
り測定される量の値である。 【0010】上記成分Aの配合割合は、成分A〜成分D
からなる樹脂組成物中に50〜70重量%、好ましくは
55〜65重量%の割合で配合される。配合割合が上記
範囲未満の場合には、得られた成形体の外観(フローマ
ーク等)や成形時の離型性が悪化する。一方、配合割合
が上記範囲を超える場合には線膨脹係数及び耐低温衝撃
性が悪化する。 【0011】(b) 成分B 本発明において用いられる成分Bは、バナジウム系触媒
を用いて重合されたムーニー粘度(ML1+4 100℃)
が20〜80、かつプロピレン含量が20〜40重量%
のエチレン・プロピレン共重合体ゴムである。具体的に
は、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物からな
るバナジウム系触媒を用いてエチレンとプロピレンと、
必要により他の共単量体と、を共重合させることにより
製造された、ムーニー粘度(ML1+4 100℃)が20
〜80、好ましくは30〜50、かつ、プロピレン含量
が20〜40重量%、好ましくは22〜30重量%のエ
チレン・プロピレン共重合体ゴムである。ここで「エチ
レン・プロピレン共重合体ゴム」はエチレンとプロピレ
ンのみからなる共重合体の他に、必要によりこれらと他
の共単量体、特に非共役ジエン、との共重合体を意味す
る。非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、
1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチルノ
ルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等が用
いられる。上記触媒を用いて得られるゴムは、本発明の
塗装された軟質樹脂製バンパーの耐低温衝撃性、柔軟性
及び低線膨脹性を確保する点で必須である。上記ムーニ
ー粘度(ML1+4 100℃)は、JIS−K6300準
拠によって測定された値である。 【0012】バナジウム系触媒以外のチタン系触媒等の
触媒を用いて製造されたエチレン・プロピレン共重合体
ゴムでは耐低温衝撃性、柔軟性及び低線膨脹性が悪化す
る。ムーニー粘度(ML1+4 100℃)が上記範囲未満
のものを用いた場合には、成形加工性(離型性)及び耐
低温衝撃性が低下する。一方、ムーニー粘度が上記範囲
を超えたものを用いた場合には、成形性、特に成形体の
外観が悪化(例えば、フローマーク等の発生)及び成形
体の線膨脹係数も高くなる。また、プロピレン含量が上
記範囲未満のものを用いた場合には柔軟性に問題があ
り、一方、プロピレン含量が上記範囲を超えたものを用
いた場合には耐低温衝撃性、低線膨脹性に問題が生じ
る。 【0013】成分Bの配合割合は、成分A〜成分Dから
なる樹脂組成物中に5〜30重量%、好ましくは10〜
25重量%の割合で配合される。配合割合が上記範囲未
満の場合には、得られた射出成形体の線膨脹係数が大き
くなるだけでなく、耐低温衝撃性や塗装性が低下する場
合がある。また、配合割合が上記範囲を超える場合に
は、成形品外観、特にフローマーク、ウエルドや成形時
の離型性が悪化する。 【0014】(c) 成分C 本発明において用いられる成分Cは、チタン系触媒を用
いて重合されたムーニー粘度(ML1+4 100℃)が2
0〜75、かつプロピレン含量が30〜70重量%のエ
チレン・プロピレン共重合体ゴムである。具体的には、
チタン系化合物と有機アルミニウム化合物からなるチタ
ン系触媒を用いてエチレンとプロピレンと、必要により
他の共単量体と、を共重合させることにより製造され
た、ムーニー粘度(ML1+4 100℃)が20〜75、
好ましくは30〜50、かつ、プロピレン含量が30〜
70重量%、好ましくは40〜60重量%のエチレン・
プロピレン共重合体ゴムである。ここで「エチレン・プ
ロピレン共重合体ゴム」は前述の成分Bと同様にエチレ
ンとプロピレンのみからなる共重合体及び非共役ジエン
等の共単量体との共重合体を意味する。上記触媒を用い
て得られるエチレン・プロピレン共重合体ゴムは成形品
外観、特にウエルド外観を良好にすること並びに柔軟性
を確保する点で必須である。上記ムーニー粘度(ML
1+4 100℃)は、JIS−K6300準拠によって測
定された値である。 【0015】チタン系触媒以外のバナジウム系触媒等の
触媒を用いて製造されたエチレン・プロピレン共重合体
ゴムでは射出成形体の外観(特にウエルド)が悪化す
る。ムーニー粘度(ML1+4 100℃)が上記範囲未満
のものを用いた場合には、成形加工性(離型性)及び耐
低温衝撃強度が低下する。一方、ムーニー粘度が上記範
囲を超えたものを用いた場合には、成形性、特に成形体
の外観が悪化(例えば、フローマーク等の発生)及び成
形体の線膨脹係数も大きくなる。プロピレン含量が上記
範囲未満のものを用いた場合には成形品外観に問題があ
り、一方、プロピレン含量が上記範囲を超えたものを用
いた場合には耐低温衝撃性、柔軟性、低線膨脹性に問題
が生じる。 【0016】成分Cの配合割合は、成分A〜成分Dから
なる樹脂組成物中に5〜45重量%、好ましくは10〜
35重量%の割合で配合される。配合割合が上記範囲未
満の場合には、得られた射出成形体の線膨脹係数が大き
くなるだけでなく、耐低温衝撃性や塗装性が悪化及び得
られる成形体の外観、とりわけウエルド強度が著しく悪
化する。また、配合割合が上記範囲を超える場合には、
成形品外観、特にフローマークや成形時の離型性が悪化
する。 【0017】(d) 成分D 本発明において用いられる成分Dは、メルトフローレー
トが5〜50g/10分、かつポリエチレン樹脂であ
る。具体的には、常法により製造されるメルトフローレ
ート(190℃、2.16kg荷重)が5〜50g/1
0分、好ましくは10〜30g/10分のポリエチレン
樹脂である。このようなポリエチレン樹脂には、高圧法
により得られる低密度ポリエチレン樹脂、中低圧法によ
り得られるエチレンとα−オレフィンの共重合体である
低密度、中密度、高密度ポリエチレン樹脂を挙げること
ができる。これらの樹脂の中で、特に中低圧法により得
られるポリエチレン樹脂が好ましい。コモノマーである
直鎖α−オレフィンとしては、ブテン−1、ペンテン−
1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン
−1等が挙げられ、これらを二種以上併用しても良い。
これらポリエチレン樹脂の製造方法としては、圧力5〜
2,500kg/cm2 、温度50〜300℃の条件下
でチーグラー型触媒、バナジウム型触媒、カミンスキー
型触媒等の触媒を使用して、エチレンとα−オレフィン
を共重合する方法が採られる。例えば、特公昭56−1
8132号公報等に記載される方法が知られている。メ
ルトフローレートが上記範囲未満のものを用いた場合に
は、得られた射出成形性が悪化(例えば、フローマーク
等の発生)する。一方、上記範囲を超えたものを用いた
場合には、耐低温衝撃性が低下する。 【0018】成分Dの配合割合は、成分A〜成分Dから
なる樹脂組成物中に0〜10重量%、好ましくは3〜7
重量%の割合で配合される。配合割合が上記範囲未満の
場合には、成形加工性(特に離型性等)、耐低温衝撃性
が悪化する。この成分の配合により、特に加工性及び耐
低温衝撃性が改良される。 【0019】(e) 成分E 本発明において用いられる成分Eは、末端に水酸基を有
するジエンポリマー又はその水素添加物である。上記末
端に水酸基を有するジエンポリマーとしては、例えば、
ポリヒドロキシポリブタジエンがある。具体的には、末
端に少なくとも1個の水酸基を有し、分子量が200〜
100,000、好ましくは500〜50,000、特
に好ましくは800〜10,000の、常温で液体、半
固体、固体のポリマーが含まれる。1分子当たりの平均
水酸基の数は、一般に1〜10、特に1.5〜5のもの
が好ましく、水酸基価が一般に15〜250、好ましく
は25〜125(KOHmg/g)のものが好ましい。 【0020】末端に水酸基を有するジエンポリマーは、
1,3−ジエンを原料に用いて、周知の方法、例えばラ
ジカル重合法、アニオン重合法等によって製造すること
ができる。具体的には、例えば特開昭51−71391
号公報に記載の方法を挙げることができる。この様なも
のをラジカル重合により製造する場合には、過酸化水素
を重合開始剤として用いてジエン系モノマーを重合する
ことによって容易に得ることができる。また、アニオン
重合により製造する場合には、共役ジエンを周知の方法
に従って、アニオン重合触媒、例えばアルカリ金属又は
有機アルカリ金属化合物を用いて重合させることにより
得られる両末端の少なくとも一つにアルカリ金属が結合
した構造のリビングポリマーに、例えばモノエポキシ化
合物、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセト
ン、若しくは、ハロゲノアルキレンオキシド、ポリエポ
キシド等を反応させれば良い。これらポリマーの原料モ
ノマーとしては少なくとも1種類の共役ジエンモノマー
が使用される。共役ジエンモノマーとしては、1,3−
ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、クロ
ロプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1
−フェニル−1,3−ブタジエン等を挙げることができ
る。 【0021】また、前記末端に水酸基を有するジエンポ
リマーの水素添加物としては、上述の末端に水酸基を有
するジエンポリマーを、通常の方法、例えば特開昭51
−71391号公報に記載される方法等で水素添加する
ことによって得られるものである。水素添加の程度は、
ポリマー中に含まれる二重結合を全部又は部分的に水素
添加したものであっても良いが、特に沃素価が通常0〜
20、特に0〜5(g/100g)のものが好ましい。
これらの末端に水酸基を有するジエンポリマー又はその
水素添加物は、それぞれ単独でも、複数の混合物として
も使用することができる。 【0022】成分Eの配合割合は、成分A〜成分Dから
なる樹脂組成物中に0.01〜10重量%、好ましくは
0.05〜9重量%、特に好ましくは0.1〜8重量部
の割合で配合される。配合割合が上記範囲未満では塗料
の付着性の再現が乏しかったり、塗装強度が弱かったり
する。また、配合割合が上記範囲を超えると、不経済で
あるばかりか、該ポリマーのブリードアウトが生じるた
め、かえって塗装強度が低下する。 【0023】(f) 成分F 本発明において用いられる成分Fは燐オキシ酸化合物で
ある。該燐オキシ酸化合物とは、燐原子に直接酸素原子
が結合している構造(燐オキシ酸構造)を有する低分子
化合物である。燐オキシ酸構造を有する低分子化合物と
しては、下記の一般式[I] 及び[II]で表わされる分子量
が100〜1,000未満の燐化合物である。 R1 −P−(OR2 3−n [I] 又は、 【0024】 【化1】 【0025】(上記式中R1 、R3 は、水素原子;アル
キル鎖、脂肪族鎖及び芳香族環構造等からなる置換基;
5 C(O)S−;R6 7 N−;R8 S−等である。
2、R4 は、水素原子;アルキル鎖、ポリアルキレン
グリコール鎖、脂肪族鎖及び芳香族環構造等からなる置
換基;及びR9 C(O)−等である。また、nは0〜2
の整数である。R1 及びR3 、若しくは(OR2 )及び
(OR4 )が、燐原子に複数結合する場合は、R1 及び
3 、若しくはR2 及びR4 はそれぞれ同じでも異なっ
ていても差支えがない。ここで、R5 、R6 、R7 、R
8 及びR9 は、アルキル鎖、ポリアルキレングリコール
鎖、脂肪族鎖及び芳香族環構造等からなる置換基であ
る。) 【0026】これらの中でも、好ましくは上記一般式[I
I]で表わされるものであって、上記式中R3 は、水素原
子;アルキル鎖、脂肪族鎖及び芳香族環構造等からなる
置換基である。R4 は、水素原子;アルキル鎖、ポリア
ルキレングリコール鎖、脂肪族鎖及び芳香族環構造等か
らなる置換基である。また、nは0〜2の整数である。
3 若しくは(OR4 )が、燐原子に複数結合する場合
は、R3 若しくはR4はそれぞれ同じでも異なっていて
も差支えがない。 【0027】これらの中でも、特に好ましくは上記一般
式[II]でn=0のものであり、更に詳しくは下記一般式
[III] で表わされる化合物である。 【0028】 【化2】 【0029】(上記式中R10、R3 は、アルキル鎖、ポ
リアルキレングリコール鎖、脂肪族鎖及び芳香族環構造
等からなる置換基である。また、mは1〜3の整数、好
ましくは1又は2である。(OR10)が、燐原子に複数
結合する場合は、R10はそれぞれ同じでも異なっていて
も差支えがない。) 【0030】これらの一般的な例としては、ジアリール
亜ホスフィン酸、ジアルキル亜ホスフィン酸、アリール
亜ホスホン酸、アルキル亜ホスホン酸、ジアリールホス
フィン酸、ジアルキルホスフィン酸、アリールホスホン
酸、アルキルホスホン酸、亜燐酸、燐酸及びこれらのエ
ステル誘導体構造を有する化合物等を挙げることがで
き、好ましい例としては、ホスフィン酸、ホスホン酸、
燐酸及びこれらのエステル誘導体を挙げることができ
る。特に好ましい例としては、酸性燐酸エステル誘導体
を挙げることができる。これらの特に好ましい酸性燐酸
エステル誘導体の具体的な例としては、燐酸モノブチル
エステル、燐酸ジブチルエステル、燐酸モノ(2−エチ
ルヘキシル)エステル、燐酸ジ(2−エチルヘキシル)
エステル、燐酸モノ(イソデシル)エステル、燐酸ジ
(イソデシル)エステル、燐酸モノ(ラウリル)エステ
ル、燐酸ジ(ラウリル)エステル、燐酸モノ(トリデシ
ル)エステル、燐酸ジ(トリデシル)エステル、燐酸モ
ノ(ノニルフェノキシエチル)エステル、燐酸ジ(ノニ
ルフェノキシエチル)エステル等を挙げることができ
る。また、上記に該当しない構造の燐化合物でも、組成
物の製造中のどこかの工程で変化して、上記式に該当す
る構造を有する燐オキシ酸化合物となったものも、勿
論、本発明に含まれる。そして、これらの燐オキシ酸化
合物は、それぞれ単独でも、複数種混合した混合物とし
ても使用することができ、通常、市販のものの中から適
宜選んで用いられる。 【0031】成分Fの配合割合は、上記樹脂組成物(成
分A〜成分Dの合計量)100重量部に対して0.01
〜10重量部、好ましくは0.05〜9重量部、特に好
ましくは0.1〜8重量部の割合で配合される。配合割
合が上記範囲未満では塗料の付着性の再現性が乏しかっ
たり、塗装強度が弱かったりする。また、配合割合が上
記範囲を超えると不経済であるばかりか、該ポリマーの
ブリードアウトが生じるため、かえって塗装強度が低下
する。 【0032】(g) 成分G 本発明において成分Gとして用いられる第三級アミン化
合物としては、第三級アミン構造を有する低分子の化合
物から、高分子の化合物までのものを指す。 第三級アミン構造を有する低分子化合物 第三級アミン構造を有する低分子の化合物としては、そ
の分子量が1,000以下のものを指す。具体的な例と
しては、トリエチレンジアミン、ジメチルアミノプロピ
ルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、テトラグア
ニジン、1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−7
−ウンデセン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)
ラウリルアミン、及び、テトラキス(N−メチル−2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,
3,4−ブタンテトラカルボキシレート等を挙げること
ができる。これらのものは市販の中から適宜選んで用い
ることができる。 【0033】 第三級アミン構造を有する高分子化合
物 第三級アミン構造を有する高分子の化合物としては、そ
の分子中に第三級アミン構造を少なくとも一つ有し、分
子量が1,000以上、500,000程度までのポリ
マーが含まれ、常温で液体、半固体、固体のいずれのも
のでも良い。この様な第三級アミン構造を有する高分子
の化合物としては、構造的な見地から、分岐状或いは線
状の分子鎖中或いは分子鎖末端に、第三級アミン構造が
存在していたり、第三級アミン構造を有する基がペンダ
ントしている構造を有するもの全般を指す。 【0034】具体的には、付加重合若しくは縮合重合に
よって得られる第三級アミン構造含有重合性化合物の単
独重合体、及び第三級アミン構造含有重合性化合物と他
の重合性モノマーからなる共重合体、若しくは、第三級
アミン構造を側鎖又は分子鎖末端に持つグラフト変性重
合体等を挙げることができる。ここでいう第三級アミン
構造含有重合性化合物とは、第三級アミン構造を少なく
とも一つ有し、その他に付加重合の可能な不飽和基又は
縮合重合の可能な官能基を少なくとも一つ有する化合物
全般を指す。 【0035】また、共重合し得る他の重合性モノマーと
しては、付加重合の場合α−オレフィン類、ビニル芳香
族類、不飽和カルボン酸類、ニトリル化合物類、ビニル
エーテル類、ビニルエステル類、共役ジエン類、ハロゲ
ン化ビニル類及びアクリルアミド類等を、縮合重合の場
合ジオール化合物、ポリオール化合物、ジカルボン酸化
合物類、ポリカルボン酸(酸無水物も含む)化合物類、
ジアミン化合物類、ジイミン化合物類、ラクタム環、ラ
クトン環及びホルムアルデヒド類を挙げることができ
る。また、グラフト変性重合体である場合の幹ポリマー
としては、オレフィン系重合体、スチレン系重合体、ア
クリル系重合体、ジエン系重合体、ポリアミド類、ポリ
イミド類、ポリエステル類、ポリウレタン類、ポリエー
テル類及びポリケトン類等を挙げることができる。これ
ら第三級アミン構造を有する高分子化合物の中でも、付
加重合が可能な第三級アミノ基含有不飽和化合物を用い
た共重合体若しくはグラフト重合体が好ましい。 【0036】更に、第三級アミノ基含有不飽和化合物と
α−オレフィン類との共重合体若しくは幹ポリマーとし
てのオレフィン系重合体への第三級アミノ基含有不飽和
化合物のグラフト重合体等の第三級アミノ基含有変性オ
レフィン重合体が、使用した際にフリードアウトし難く
特に好ましい。具体的には、第三級アミノ基含有不飽和
化合物の含量が0.01〜50重量%、好ましくは0.
1〜40重量%、特に好ましくは0.1〜30重量%を
示すものであり、溶液粘度は1〜100cps、好まし
くは1〜50cps、特に好ましくは1〜30cpsの
ものである。上記溶液粘度とは、第三級アミノ基含有不
飽和化合物をトルエン溶液に80℃の温度で加熱溶解
し、濃度が5重量%になるように調節し、完全に溶解さ
せた後、室温(23℃)まで放冷したものをB型粘度計
で測定したものである。 【0037】この第三級アミノ基含有変性オレフィン重
合体は、第三級アミノ基含有不飽和化合物を用いて、周
知の方法によって製造することができる。例えば高圧ラ
ジカル重合法による製造の場合、エチレン、第三級アミ
ノ基含有不飽和化合物及びラジカル重合開始剤を、例え
ば1,000〜3,000気圧、温度90〜300℃に
保たれた反応帯域中に、エチレン:第三級アミノ基含有
不飽和化合物の比が1:0.0001〜0.1となるよ
うに連続して供給して、転化率3〜20%にてエチレン
共重合体とし、反応帯域から該共重合体を連続的に取り
出すことによって製造される。 【0038】また、含浸グラフト重合法による製造の場
合には、オレフィン系ポリマーのペレット、第三級アミ
ノ基含有不飽和化合物及びラジカル重合開始剤を、水溶
媒中に懸濁させ、第三級アミノ基含有不飽和化合物とラ
ジカル重合開始剤を、オレフィン系ポリマーのペレット
に含浸させてから、開始剤の分解温度まで加熱し、ペレ
ット内でグラフト反応を起こし、変性させることによっ
て製造される。また混練グラフト法による製造の場合に
は、例えば、オレフィン系樹脂、非共役ジエンを含む共
重合体樹脂、或いは、エラストマーに、第三級アミノ基
含有不飽和化合物をドライブレンドし、要すれば反応開
始剤として有機過酸化物を用い、温度を80〜250℃
に設定した押出機中で溶融混練することによって製造さ
れる。 【0039】この様な第三級アミノ基含有不飽和化合物
としては、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等
のビニルピリジン類や、次の一般式[IV]で表わされるも
のがある。 【0040】 【化3】 【0041】(上記式中R11は、水素原子又は炭素数1
〜4の炭化水素基、好ましくは水素原子又は炭素数1〜
2の炭化水素基である。X1 はカルボニル基、芳香族
環、脂肪族環又は炭素数1〜12のアルキル鎖であり、
好ましくはカルボニル基又は芳香族環、特に好ましくは
カルボニル基である。R12は炭素数1〜12の炭化水素
基、炭素数1〜12のX1 基側に酸素原子の付いたアル
コキシル基、硫黄原子又は−NR1516−であり、好ま
しくは炭素数1〜12のX1 基側に酸素原子の付いたア
ルコキシル基又は−NR1516−であり、特に好ましく
は炭素数1〜12のX1 基側に酸素原子の付いたアルコ
キシル基である。R13、R14は炭素数1〜12のアルキ
ル鎖、炭素数1〜6のグルコールユニットからなるポリ
アルキレングリコール鎖、脂肪族環及び芳香族環構造等
からなる置換基であり、好ましくは炭素数1〜6のアル
キル基であり、特に好ましくは炭素数1〜3のアルキル
基である。また、ここでR13、R14は同じでも異なって
いても良い。R15は水素原子又は炭素数1〜12の炭化
水素基、好ましくは水素原子又は炭素数1〜6の炭化水
素基、特に好ましくは炭素数1〜4の炭化水素基であ
る。R16は炭素数2〜12の炭化水素基であり、好まし
くは炭素数2〜6の炭化水素基、特に好ましくは炭素数
2〜6の飽和炭化水素基である。また、nは0又は1、
好ましくは1であり、mは0又は1、好ましくは1であ
る。) 【0042】これら第三級アミノ基含有不飽和化合物の
好ましいものの例としては、2−(ジメチルアミノ)エ
チルアクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルアク
リレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレー
ト、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2
−[ジ(t−ブチル)アミノ]エチルアクリレート、2
−[ジ(t−ブチル)アミノ]エチルメタクリレート、
3−(ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド、及
び、3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド
等を挙げることができる。 【0043】また、上記第三級アミノ基含有不飽和化合
物と共重合する場合のオレフィン系モノマー成分として
は、エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフ
ィン類を挙げることができるが、これらの中では、特に
エチレンが好ましい。また、上記第三級アミノ基含有不
飽和化合物をグラフトさせる場合の幹ポリマーとしての
オレフィン系重合体成分としては、オレフィン系樹脂、
オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、
非共役ジエン類を含む共重合体樹脂等を挙げることがで
きる。これらの中ではポリエチレン系樹脂、ポリプロピ
レン系樹脂及びエチレン系エラストマーを用いることが
好ましい。また、第三級アミノ基含有変性オレフィン系
重合体を製造する際に、上記第三級アミノ基含有不飽和
化合物と共重合することのできるモノマー成分として
は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチル
アクリレート、メチルメタクリレート、等の不飽和カル
ボン酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニ
ルトルエン等のビニル芳香族化合物;アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等のニトリル化合物;2−ビニ
ルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン;
メチルビニルエーテル、2−クロルエチルビニルエーテ
ル等のビニルエーテル;塩化ビニル、臭化ビニル等のハ
ロゲン化ビニル;酢酸ビニル等のビニルエステル;アク
リルアミド等を挙げることができ、これらを用いて、三
元系、或いは、更に、多元系変性ポリオレフィンとして
用いることも可能である。そして、これらの変性ポリオ
レフィンは、それぞれ単独でも複数種混合した混合物と
しても使用することができる。以上挙げた第三級アミン
化合物の中ではの低分子化合物よりはの高分子化合
物を用いることが好ましい。 【0044】成分Gの配合割合は、上記樹脂組成物(成
分A〜成分Dの合計量)100重量部に対して0.01
〜10重量%、好ましくは0.05〜9重量%、特に好
ましくは0.1〜8重量%の割合で配合される。配合割
合が上記範囲未満では塗料の付着性の再現性が乏しかっ
たり、塗装強度が弱かったりする。また、配合割合が上
記範囲を超えると不経済であるばかりか、該ポリマーの
ブリードアウトが生じるため、かえって塗装強度が低下
する。 【0045】(h) 成分H 本発明において用いられる成分Hは、変性オレフィン系
樹脂である。該変性オレフィン系樹脂としては、オレフ
ィン系樹脂中にグラフトされる不飽和カルボン酸又はそ
の誘導体から選ばれる少なくとも一種の化合物が0.0
1〜10重量%、好ましくは0.05〜9重量%、より
好ましくは0.1〜8重量%の範囲にあるものである。
グラフト量が上記範囲未満では、塗装性が劣るものとな
り、上記範囲を超えるものでは、成形時の離型性に問題
がある。ここで用いられるオレフィン系樹脂としては、
エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−
ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン及び
1−ペンテン等で代表されるα−オレフィンの単独重合
体、或いは、α−オレフィン相互共重合体、又は、上記
α−オレフィン類と有機珪素化合物との共重合体、或い
は、該オレフィン系樹脂へのグラフト重合体を挙げるこ
とができる。これらの重合体は、JIS−K7203に
準拠して測定した曲げ弾性率が1,000〜30,00
0kg/cm2 、好ましくは2,000〜20,000
kg/cm2 、より好ましくは3,000〜15,00
0kg/cm2 のものである。また、該重合体のメルト
フローレート(MFR)については特に制限されない
が、ASTM−D1238に準拠して測定した値が通常
0.001〜200g/10分、好ましくは0.01〜
100g/10分の範囲内であるのが最適である。 【0046】前記オレフィン系樹脂としては、例えば、
いわゆる低圧法ポリエチレン、中圧法ポリエチレン、高
圧法ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエ
チレン系樹脂、立体規則性ポリプロピレン、立体規則性
ポリ1−ブテン、立体規則性ポリ3−メチル−1−ブテ
ン、立体規則性ポリ4−メチル−1−ペンテン、立体規
則性ポリα−オレフィン系樹脂を挙げることができる。
これらのオレフィン系樹脂の中では、立体規則性ポリプ
ロピレン(以下、単に「プロピレン系樹脂」と略記す
る。)が好ましい。このプロピレン系樹脂としては、プ
ロピレンの単独重合体、或いは、プロピレン成分が70
モル%以上、好ましくは80モル%以上からなるプロピ
レンと前記α−オレフィン類との相互共重合体であっ
て、しかも、JISK7203に準拠して測定した曲げ
弾性率が、1,000〜30,000kg/cm2 、好
ましくは5,000〜20,000kg/cm2 、より
好ましくは8,000〜15,000kg/cm2 のも
のである。また、該重合体のメルトフローレート(MF
R)については特に制限されないが、ASTM−D12
38に準拠して測定した値が通常0.001〜50g/
10分、好ましくは0.01〜10g/10分の範囲内
であるのが最適である。また、これらプロピレン系樹脂
の中でも、好ましくはプロピレン単独重合体、プロピレ
ンとエチレンのブロック共重合体及びランダム共重合
体、より好ましくはプロピレン単独重合体、プロピレン
とエチレンのランダム共重合体を挙げることができる。 【0047】これらのプロピレン系樹脂は、上記樹脂単
独で、或いは、複数種混合した混合物としても使用する
ことができ、これらのものは通常、市販の中から適宜選
んで用いることができる。ここで用いられる不飽和カル
ボン酸又はその誘導体化合物としては、アクリル酸、メ
タクリル酸、3−ブテン酸、クロトン酸、ペンテン酸、
ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデ
セン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、テト
ラヒドロフタル酸、ノルボルネン−5,6−ジカルボン
酸等の不飽和カルボン酸類、又は、これらの無水物、エ
ステル、アミド、イミド、金属塩等の誘導体を挙げるこ
とができる。これらの中でもアクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、又は、これらの無水物を用いることが
好ましく、特に無水マレイン酸を用いることが好まし
い。 【0048】本発明の変性オレフィン系樹脂を製造する
方法に特に制限はないが、例えば、上記ポリプロピレン
系樹脂と、不飽和カルボン酸又はその誘導体化合物から
選ばれる少なくとも一種の化合物とを、適当な触媒の存
在下、若しくは、加熱溶融下に、有機過酸化物を併用し
てグラフトする方法、上記ポリプロピレン系樹脂を熱分
解させ、生成した分子末端に二重結合を有する低分子量
ポリプロピレン系樹脂にアゾ系ラジカル開始剤を用い
て、不飽和カルボン酸、又はその無水物及びその誘導体
から選ばれる少なくとも一種の化合物を付加させる方法
等により製造される。 【0049】製造に際して用いられる有機過酸化物の具
体例としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミ
ルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド類;アセチ
ルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタ
ノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラ
ウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、
2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシ
ルパーオキサイド類、t−ブチルオキシアセテート、t
−ブチルパーオキシブチレート、t−ブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラ
ウリエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−
t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t
−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパ
ーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシ
オクテート等のパーオキシエステル類;1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシ
クロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)
シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)オクタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)
ブタン等のパーオキシケタール類;並びに、t−ブチル
ハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイ
ド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ジハイドロパーオキサイド
等のハイドロパーオキサイド類が挙げられる。これらの
中でも好ましくはジアシルパーオキサイド類及びパーオ
キシエステル類であり、特に好ましくはジアシルパーオ
キサイド類である。 【0050】また、アゾ系ラジカル開始剤の具体例とし
ては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス
−(2−アミジプロパン)二塩酸塩、1,1−アゾビス
(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2−ア
ゾビス−(2,4−ジメチルパレロニトリル)、2,2
−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルパレロ
ニトリル)等を挙げることができる。好ましくはアゾビ
スイソブチロニトリル、及び、1,1−アゾビス(シク
ロヘキサン−1−カルボニトリル)である。この有機過
酸化物若しくはアゾ系ラジカル開始剤は、該プロピレン
系樹脂100重量部に対して、0.01〜20重量部、
好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.
1〜10重量部の範囲で用いられる。 【0051】また、この変性オレフィン系樹脂には、本
発明の特性を損なわない範囲で上記不飽和カルボン酸又
はその誘導体から選ばれる少なくとも一種の化合物と共
重合可能なモノマーを用いることも可能である。具体例
としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトル
エン等のビニル芳香族化合物;アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル等のニトリル化合物;2−ビニルピリジ
ン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;メチル
ビニルエーテル、2−クロルエチルビニルエーテル等の
ビニルエーテル類;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲ
ン化ビニル;酢酸ビニル等のビニルエステル類を挙げる
ことができる。 【0052】成分Hの配合割合は、上記樹脂組成物(成
分A〜成分Dの合計量)100重量部に対して0.01
〜10重量%、好ましくは0.05〜9重量%、特に好
ましくは0.1〜8重量%の割合で配合される。配合割
合が上記範囲未満では塗料の付着性の再現性が乏しかっ
たり、塗装強度が弱かったりする。また、配合割合が上
記範囲を超えると、不経済であるばかりか、成形性、特
に離型性が悪化する。 【0053】(i) 成分I 本発明において用いられる成分Iは、比表面積が37,
000cm2 /g以上、平均粒径が0.8〜3.0μm
のタルクである。具体的には、タルクは、比表面積が3
7,000cm2 /g以上、好ましくは40,000c
2 /g以上、平均粒径が0.8〜3.0μm、好まし
くは0.8〜2.5μmである。タルクは、例えばタル
ク原石を衝撃式粉砕機やミクロンミル型粉砕機で粉砕
し、更に、ミクロンミル、ジェット型粉砕機で微粉砕し
た後、サイクロンやミクロンセパレーター等で分級調整
し製造する。ここで原石は金属不純物成分が少ないので
好ましい。更に、比表面積が上記範囲外で且つ平均粒径
が上記範囲を超えるタルクを用いると、塗装自動車部材
の衝撃強度や塗装外観が劣り、一方、平均粒径が上記範
囲より小さくなるとタルクを分散させることが困難とな
り耐衝撃強度や塗装外観がかえって悪化し、好ましくな
い。 【0054】ここで、平均粒径の測定は液相沈降方式の
光透過法によるもので、測定装置としては、例えば島津
製作所製SA−CP型があり、また、比表面積は、空気
透過法によるもので、測定装置としては、例えば島津製
作所製SS−100型がある。長さとアスペクト比は顕
微鏡法等により、測定される。これらフィラーは界面活
性剤、カップリング剤等で表面処理を施したものでも良
い。表面処理したフィラーは自動車部材の強度や塗装性
の更なる向上に有効である。 【0055】成分Iの配合割合は上記樹脂組成物(成分
A〜成分Dの合計量)100重量部に対して0〜7重量
部であり、好ましくは0〜6重量部の割合で配合され
る。配合割合が上記範囲を超えると塗装性が低下し不適
である。 【0056】(j) その他の成分(成分J) 本発明の軟質樹脂製バンパーは、基本的には、上記の成
分A〜成分Iからなることを特徴とするものである。こ
こで「からなる」ということは、挙時の成分(A〜I)
の他に、本発明の趣旨を著しく損なわない限り、補助成
分(詳細後記)を含んでも良いことを示すものである。
すなわち、本発明の軟質樹脂製バンパーは、前記の成分
A〜成分I以外に、通常の樹脂材料に配合される顔料、
安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤等の各種添
加剤を目的に応じて添加することができる。また、一般
にゴム用軟化剤として使用されているプロセスオイル又
はエクステンダーオイルと呼ばれている鉱物油系軟化剤
や更に無機フィラー等も本発明の効果を著しく損なわな
い範囲で添加できる。 【0057】[II] 射出成形体(軟質樹脂製バンパー基
材) (a) 成分A〜成分Iの配合方法及び射出成形 上記成分A〜成分I(及び必要に応じて他の成分)は、
通常、前述の配合割合の範囲内で配合し、バンバリーミ
キサー、ニーダー、一軸押出機、二軸押出機等の通常の
混練機にて混練し、その後、常法にて射出成形すること
によって、図1に示す様な形状の軟質樹脂製バンパー用
基材である射出成形体が形成される。 【0058】(b) 射出成形体 このようにして得られる射出成形体は、塗装されていな
い軟質樹脂製バンパーであり、塗装された軟質樹脂製バ
ンパー用の基材である。このような成分A〜成分Iを含
んでなる射出成形体(軟質樹脂製バンパー)は、自動車
の大型外装部品であるので、一定の曲げ弾性率(JIS
−K7203により測定)を有していることが重要であ
る。すなわち、上記各成分A〜成分Iの各配合割合は、
上記範囲内において、本発明の要件の一つである上記曲
げ弾性率が4,000〜7,000kg/cm2 、好ま
しくは5,000〜6,000kg/cm2 になるよう
に選ぶことが望ましい。 【0059】軟質樹脂製バンパーとして使用する際、曲
げ弾性率が上記範囲未満のものではあまり柔らかすぎて
成形時の取り出しや、塗装、部材の取り付けにおいて問
題が生じる。一方、曲げ弾性率が上記範囲を超える場合
には、衝撃吸収、変形回復性、塗装性、車体への損傷製
等における性能が低下をきたす。また、本発明にて用い
られる射出成形体(軟質樹脂製バンパー)は、線膨脹係
数、特に樹脂の流れ方向の線膨脹係数が8×10-5/℃
以下であることが重要である。線膨脹係数がこの値を超
える場合には、実用上、例えば−40℃〜80℃の温度
範囲において寸法変化が大きく、その車体に取り付けら
れたバンパーに変形(波打ち状態)が生じる。更に、本
発明の射出成形体(軟質樹脂製バンパー)は、平均肉厚
(成形品の全面積の70%以上の部分の肉厚)が2〜6
mm、好ましくは2.5〜5.5mmであることが重要
である。射出成形体(軟質樹脂製バンパー)の肉厚が上
記範囲を超える場合には、成形体の線膨脹係数が大きく
なるだけでなく、成形体の重量も増えて、取付作業性や
車体重量バランス等へ悪影響を及ぼし、経済的にも好ま
しくない。一方、射出成形体の肉厚が上記未満の場合
は、長さが1mを超えるような大型成形体の場合に装着
性や形状保持性等が悪化する。 【0060】[III] 塗 装 上記のようにして得られた射出成形体の表面に、塗料を
直接塗布して、本発明の塗装された軟質樹脂製バンパー
が得られる。 (1) 塗装方法 該表面に塗膜を直接、形成させるための塗装方法として
は、従来の塗装工程からプライマーを塗布する工程を除
いた各工程で塗装することができる。また、更に、場合
により、塗膜の付着量を高めるために行なわれているプ
ラズマ処理工程をも省略することができる。すなわち、
表面改質工程を施していない成形体に直接、塗料を塗布
できるものである。ただ、塗料を塗布する前に脱脂処理
等の補助的な表面処理を施すことは構わない。脱脂処理 脱脂処理は、一般に塗料を塗布する直前に行なわれてい
る通常の操作で、これによって成形体の成形から塗装ま
での工程で不可避的に成形体の表面に付着する手垢や機
械油等を洗浄除去することができる。具体的には、有機
溶剤液又はその蒸気、水、水蒸気、酸、アルカリ液或い
は界面活性剤水溶液等による洗浄法があり、これらの中
では、有機溶剤の蒸気を用いた洗浄、水、温水又はアル
カリ液や中性洗剤等を添加した水、温水を用いた洗浄や
アルコール洗浄等が好んで用いられる。塗布手段 塗料の塗布手段としては、スプレーによる吹き付け、刷
毛塗り、ローラーによる塗布等があるが、いずれの方法
も採用することができる。 【0061】(2) 塗 料 塗料としては、一般に樹脂性バンパー用として広く用い
られるアクリル・メラミン系塗料を挙げることができ
る。アクリル・メラミン系塗料であれば、一液型でも二
液型でも構わない。塗料は、一般に10〜100μm、
好ましくは15〜70μmの厚さとなる様に成形品表面
に直接塗布される。 【0062】[IV] 塗装された軟質樹脂製バンパー 従って、本発明の塗装された軟質樹脂性バンパーには、
塗膜が一般に10〜100μm、好ましくは15〜70
μmの厚さで成形品表面に形成されている。その塗膜は
強固に付着し碁盤目剥離試験で剥がれが無く、経済的に
も優れ、従来の塗装されたバンパーと殆ど代わりのない
性能を有するものである。 【0063】 【実施例】以下に示す実験例によって、本発明を更に具
体的に説明する。 [I] 評価方法 以下の実施例及び比較例において各種の評価に用いられ
た塗装方法及び評価試験方法は以下の通りである。 (1) 塗装方法 (a) 前処理 表11に示す成形条件にて調製された3mm射出成形
シートを用い、そのシートに前処理、すなわちIPA
(イソプロピルアルコール)ワイプ(IPAに脱脂綿を
浸し、その脱脂綿で成形体表面を軽く二、三度拭くこ
と)を行なった。 【0064】(b) 塗装・焼付処理 上記前処理を行なった後、下記の塗料及び塗装方法にて
エアーガンを用いて塗料を塗布し、焼付乾燥を行なっ
た。塗 料 市販アクリル・メラミン系塗料(日本ペイント(株)製
R326)を用いて塗装を行なった。塗装方法 上記塗料を調合して、えアースプレーガンを用いて、塗
膜厚さが約30μmになるようスプレー塗布した。 【0065】(c) 評 価 上記焼付乾燥した後、48時間室温にて放置し、これを
下記に示す碁盤目剥離試験、機械的強度評価及び射出成
形評価を行なった。 【0066】(2) 評価試験方法 (a) 塗料付着性評価碁盤目試験法 片刃剃刀を用い約30μm厚に塗装した試験片の表面に
直交する縦横11本づつの平行線を2mm間隔で引いて
碁盤目を100個作る。その上にセロハン粘着テープ
(JIS−Z1522)を十分圧着し、塗膜面と約30
度に保ち手前に一気に引き剥がし、碁盤目で囲まれた部
分の状態を観察し、付着している碁盤目の数を記録し
た。 【0067】(b) 機械的強度評価メルトフローレート(MFR) JIS−K7210準拠、230℃及び190℃、2.
16kg荷重曲げ弾性率 表11の成形条件で調製された3mm射出成形シート
を用い、JIS−K7203に準拠して測定した。線膨脹係数 表11の成形条件で調製された3mm射出成形シート
を用い、JIS−K7203に準拠して測定した。耐低温衝撃性及び変形回復性 表11の成形条件で調製された平均肉厚3.5mmの
バンパー形状射出大型成形体を実際の使用に合わせて内
側にはポリプロピレンの発泡体(15倍発泡)の衝撃吸
収体を取り付け、米国自動車安全基準(FMVSS)P
art−581に基づいて−30℃、8km(5マイ
ル)で荷重1.6トンの条件にて衝撃試験を実施した。
その結果、割れ、亀裂等が発生したものは×、発生が認
められないものは○とした。更に変形回復性として衝撃
試験30分後にバンパー成形体を観察し、打撃部分の変
形量が原形状に対して正面部で19mm(3/4イン
チ)以下、コーナー部で9.5mm(3/8インチ)以
下の場合は×とした。 【0068】(c) 射出成形評価射出成形性 表11の成形条件による射出成形において、離型性が
良好で全く問題のないものを○とし、型開き又は脱型時
に成形品がキャビティー側にとられたり、コア側から成
形品がスムーズに取り出せない場合は×にした。射出成形体外観(フローマーク) 表11の成形条件で調製されたバンパー形状射出大型
成形体を用い、目視にてフローマーク、艶斑の有無を評
価し、その結果、殆どフローマーク等の無いものを○、
フローマーク等のあるものを×とした。射出成形体外観(ウエルドマーク) 上記射出成形体外観(フローマーク)と同様の射出成形
体を用い、バンパーの両側面部に設けられている方向指
示灯用の開口部からバンパー表面にまで到っているもの
は×、バンパー表面に到らないものについては○とし
た。装着後の熱変形性 上記射出成形体外観(フローマーク)と同様の射出成形
体を上下6点で所定の治具に取り付け、−40℃(4時
間)、90℃(4時間)にて2サイクル処理し、その
後、目視にて成形品上面の変形(凹凸)を評価し、変形
のあるものは×、変形の殆ど無いものは○とした。 【0069】[II] 実験例 実施例1〜5及び比較例1〜15 (1) 配 合 下記表1〜表10に記載される配合成分A〜成分Jにつ
いて、表12〜表16に示す配合割合(成分A〜成分D
の単位は「重量%」であり、成分E〜成分Jの単位は
「重量部」である。)に従って配合し、ヘンシェル型ミ
キサーにてブレンドした。その後、45mm径二軸押出
機にて200℃の温度で溶融混練してペレットを得た。 【0070】 【表1】 【0071】 【表2】 【0072】 【表3】 【0073】 【表4】 【0074】 【表5】【0075】 【表6】 【0076】 【表7】 【0077】 【表8】 【0078】 【表9】 【0079】 【表10】 (2) 成 形 このペレットを用い、表11の成形条件及びにて射
出成形し、120×120×3mm(実施例1〜5、比
較例1〜17)、或いは、120×120×8mm(比
較例10)の大きさの成形シート及び図1に示すバンパ
ー形状大型成形体の評価用サンプルを調製した。 【0080】 【表11】 【0081】(3) 評 価 これらサンプルの評価を上記評価方法に従って評価し
た。その評価結果を表12〜表16に示す。 【0082】 【表12】【0083】 【表13】【0084】 【表14】【0085】 【表15】【0086】 【表16】【0087】 【発明の効果】本発明の塗装された軟質樹脂製バンパー
は、材料組成において特定の成分である末端に水酸基を
有するジエンポリマー又はその水素添加物、燐オキシ酸
化合物、第3級アミン化合物、変性オレフィン系樹脂
を、ある特定割合で、特定のオレフィン系材料に添加す
ることにより、バンパー用塗料として最も汎用的に使わ
れているアクリル・メラミン塗料への付着性を著しく向
上させることが可能となり、直接塗膜を形成することが
でき、その結果、このオレフィン系材料を特定肉厚の射
出成形体とすることにより、線膨脹係数が8×10-5
℃以下の熱的変形が著しく少なく、プライマー処理工程
が省略できるので、塗装工程を合理化することができ
る。しかも、耐低温衝撃性、柔軟性に良好な性能バラン
スを有しているので、軟質樹脂製バンパーとして最適で
ある。
【図面の簡単な説明】 【図1】図1は本発明実施例のバンパー状成形体の斜視
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI //(C08L 23/10 C08L 23:16 23:16 23:04 23:04 47:00 47:00 23:26 23:26) (72)発明者 構 宏 介 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (72)発明者 寺 田 昌 浩 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60R 19/03 C08L 1/00 - 101/16 C08K 3/00 - 13/08

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】下記成分A〜成分Iの各成分からなり、J
    IS−K7203による曲げ弾性率が4,000〜7,
    000kg/cm2 、かつASTM−D696による線
    膨脹係数が8×10-5/℃以下の物性を有する、平均肉
    厚が2〜6mmの樹脂組成物成形体の表面に、アクリル
    ・メラミン塗膜が直接形成されていることを特徴とする
    塗装された軟質樹脂製バンパー。 成分A: メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が5〜60g/ 10分、かつエチレン含量が0〜15重量%のポリプロピレン樹脂 50〜70重量% 成分B: バナジウム系触媒を用いて重合されたムーニー粘度(ML1+4 100 ℃)が20〜80、かつプロピレン含量が20〜40重量%のエチレン・プロピ レン共重合体ゴム 5〜30重量% 成分C: チタン系触媒を用いて重合されたムーニー粘度(ML1+4 100℃) が20〜75、かつプロピレン含量が30〜70重量%のエチレン・プロピレン 共重合体ゴム 5〜45重量% 成分D: メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が5〜50g/ 10分、かつポリエチレン樹脂 0〜10重量% 成分E: 末端に水酸基を有するジエンポリマー又はその水素添加物 0.01〜10重量部 成分F: 燐オキシ酸化合物 0.01〜10重量部 成分G: 第3級アミン化合物 0.01〜10重量部 成分H: 変性オレフィン系樹脂 0.01〜10重量部 成分I: 比表面積が37,000cm2 /g以上、平均粒径が0.8〜3.0 μmのタルク 0〜7重量部
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