JP3482283B2 - 低温流動性評価法 - Google Patents
低温流動性評価法Info
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Description
温度との相関を向上させた低温流動性評価法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、ハウス栽培用加温機、ビル等の
暖房、漁船等に使用される燃料油において、冬季におけ
る低温下、あるいは寒冷地でのワックス分の析出による
流動性の悪化が問題となっている。こうした燃料油の流
動性管理は、JISでは流動点で規定されているが、こ
うした管理を行っても燃料油中のワックス分が低温下で
析出し、燃料フィルターを閉塞させることが原因となる
トラブルは発生する。これは、燃料油が実際にフィルタ
ーを閉塞させる温度である実用限界温度と流動点の相関
が悪いためである。そこで、軽油のワックス分の析出に
よるディーゼル車の燃料プレフィルター閉塞を管理する
ための試験法である「目詰まり点試験」(JIS−K2
288で規定、吸引圧力−2kPa、ろ過器網目45μ
m)を用いて、こうした燃料油を管理しているところが
多い。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、この目詰まり
点試験を用いて、燃料油の管理を行っても、フィルター
閉塞によるトラブルは時々発生し、問題となっていた。
また、30〜40℃/hで冷却される目詰まり点試験
は、以前より実性能と相関が良くないことが問題として
挙げられていた。そこで、燃料油の目詰まり点と実用限
界温度の相関について調査を行った。実用限界温度の測
定には、こうした燃料油を使用しているものの中で、フ
ィルター閉塞のトラブルが比較的多く見られる、約15
0〜250μmの目開きのフィルターを使用しているハ
ウス栽培用加温設備をシミュレートした装置(シミュレ
ータ)を用い、燃料油を1℃/h程度の緩やかな冷却速
度で冷却して測定した。この結果、これらの燃料油の実
用限界温度と目詰まり点は殆ど相関しないことが分かっ
た。この原因として、析出したワックスの結晶の大きさ
の違いが挙げられる。つまり、これらの燃料油が実際に
冬季に使用される場合、燃料油は1℃/h程度の緩やか
な冷却速度で冷却されるため、30〜40℃/hで冷却
される目詰まり点試験と比較すると析出するワックスは
大きな結晶となることが分かっている。このワックス結
晶の大きさの差が実用限界温度とCFPPの相関が悪い
原因である。軽油においては、ディーゼル車で500μ
m程度の目開きのフィルターを使用しているのに対し、
目詰まり点試験では45μmと細かい目開きのフィルタ
ーを使用し、ワックス結晶の大きさの差を解消し、実機
との相関をよくしている。本願発明に用いる燃料油を使
用する機器は、一般に150〜250μmとディーゼル
車に比べ目開きが細かいフィルターを使用しているた
め、こうした燃料油の目詰まり点を測定するときには、
さらに目開きの細かいフィルターにしなければならない
といえる。 【0004】また、軽油は沸点範囲130〜440℃の
直留軽油留分や脱硫軽油留分、あるいは灯油留分等の軽
油基材からなり、これに流動性向上剤(以下、FIと記
載することがある)を加えたりするだけなのに対し、本
願発明に用いる燃料油は、軽油基材の他に重質軽油留
分、あるいは分解軽油留分等を使用し、さらに常圧残
油、減圧残油、脱硫残油、スラリーオイルあるいはエキ
ストラクト等を1種あるいは2種加え、さらにFIを加
える場合もある。このような残油の中には、特公平3−
5438号、特開昭58−149991号、燃料協会誌
第57巻第614号(1978年刊行)419〜424
頁に示されているようにFIと同じような低温流動性改
善の働きがある。このため、析出するワックスの結晶
は、大きさ、量、挙動等軽油に比べ非常に複雑である。
また、石油学会石油製品討論会(平成4年10月)での
発表によると、燃料油の実用限界温度測定法として、測
定を行う際の冷却速度を遅くし、実際使用される場合の
条件に近づけた方法が開発されている。しかし、この方
法は、冷却速度が5℃/hと遅いため、試験に長時間を
要するという問題がある。特に、生産品を管理する上
で、製造後2〜3時間で製品を出荷するケースもあり、
製品を管理する管理試験はより短時間であることが必要
である。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するためにシミュレータで得られる燃料油の実用
限界温度と相関の良い評価法について鋭意検討を行った
結果、特定の燃料油について、吸引圧力、冷却速度、ろ
過器網目を特定の範囲にして目詰まり試験装置で目詰ま
り点を測定すると、目詰まり点と実用限界温度との相関
が飛躍的に向上することを見い出し、この知見に基づい
て本発明を完成するに至った。 【0006】 すなわち、本発明は、残留炭素分が3〜
15重量%、アスファルテン分が1〜5重量%である、
常圧残油、減圧残油及び脱硫残油のうち少なくとも1つ
を0.1重量%以上含み、ガスクロ蒸留の終点が380
〜510℃、流動性向上剤添加量(ppm)/ワックス
量(重量%)の比が34〜210である燃料油に対し、
吸引圧力−1.5〜−2.5kPa、冷却速度13〜1
7℃/h、ろ過器網目40〜50μmの条件下で、14
9〜250μmの目開きのフィルターを使用し、10℃
以下の低温下で使用される機器用燃料油のろ過性を評価
することを特徴とする低温流動性評価法を提供するもの
である。以下、本発明を詳細に説明する。 【0007】 本発明に使用される燃料油は、残留炭素
分が3〜15重量%、アスファルテン分が1〜5重量%
である、常圧残油、減圧残油及び脱硫残油のうち少なく
とも1つを0.1重量%以上含み、ガスクロ蒸留の終点
が380〜510℃、流動性向上剤添加量(容量pp
m)/ワックス量(重量%)の比が34〜210であ
る。ここで、常圧残油とは、常圧蒸留装置で原油を常圧
において蒸留して得られる残油である。減圧残油とは、
減圧蒸留装置で常圧残油を減圧下で蒸留して得られる残
油である。脱硫残油とは、直接脱硫装置で常圧残油又は
減圧残油を処理して得られる残油である。これらの残油
は、残留炭素分が3〜15重量%、アスファルテン分が
1〜5重量%であることが必要である。これらの炭化水
素油は、1種単独で添加してもよいが、2種以上を組合
せて添加してもよい。常圧残油、減圧残油及び脱硫残油
の合計量の含有量は、0.1重量%以上であり、好まし
くは0.1〜1重量%であり、特に好ましくは0.2〜
0.4重量%である。 【0008】 ガスクロ蒸留とは、「石油留分のガスク
ロ法蒸留試験方法」(ASTM D2887準拠)のこ
とであり、本発明で使用する燃料油は、このガスクロ蒸
留の終点が380〜510℃であり、好ましくは400
〜500℃となるものである。ガスクロ蒸留による終点
がこの温度範囲より低い場合、−15℃でもワックスが
殆ど析出せず、低温流動性に優れているため管理する必
要がない。また、終点がこの温度範囲より高い場合、低
温下における粘度が高くなり、本願発明における吸引圧
力での吸引が困難になり、好ましくない。流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比と
は、流動性向上剤添加量の容量ppm単位の値を−10
℃における燃料油のワックス含有量の重量%単位の値で
割った値であり、本発明で使用する燃料油は、この比が
34〜210であり、好ましくは50〜190である。
この比がこの範囲より大きい場合、実用限界温度との相
関が悪くなり好ましくない。また、ここで流動性向上剤
は、市販のものを始め各種流動性向上剤のうちどのよう
なものを使用してもよいが、エチレン−エチレン性不飽
和エステル共重合体に代表されるポリマータイプ、例え
ばエチレン−酢酸ビニル共重合体、あるいは長鎖ジカル
ボン酸アミドに代表される油溶性分散剤タイプが好まし
い。 【0009】−10℃におけるワックス含有量は、以下
に示す方法により測定した。つまり、試料20mlを曇
り点より3℃高い温度に冷却し、低温恒温槽内のろ過器
の中で、さらに−10℃に冷却する。次いで、析出した
ワックスを吸引ろ過器によりミリポアフィルター(細孔
径5.0μm、直径47mm)に捕集する。次に、この
フィルターを2−ブタノンで洗浄し、乾燥した後、増量
をはかりワックス分を定量する。この測定方法には、実
際のワックス量を精度よく測定できるという利点があ
る。 【0010】 本発明の燃料油のろ過性の評価は、吸引
圧力、冷却速度及びろ過器網目等の条件を最適化し、こ
の条件下で一定時間に一定量の燃料油がろ過器を通過す
るか否かにより行うことができる。吸引圧力は、吸引圧
力−1.5〜−2.5kPa、好ましくは−1.8〜−
2.2kPaである。吸引圧力がこれより弱いと、十分
な吸引ができず、実用限界温度と相関が悪くなる。ま
た、吸引圧力がこれより強い場合も実用限界温度との相
関が悪くなり好ましくない。冷却速度は13〜17℃/
hである。冷却速度がこれより速いとワックス結晶の大
きさが小さくなるため実用限界温度との相関が悪くな
る。また、冷却速度がこれより遅いと測定に要する時間
が長くなり過ぎるため、簡易測定法としての利用価値が
なくなる。また、ろ過器網目は、40〜50μmであ
り、好ましくは43〜48μmである。ろ過網目がこれ
より大きくなっても、小さくなっても実用限界温度との
相関が悪くなる。 【0011】本発明の燃料油のろ過性の評価は、燃料油
の目詰まり点を測定することにより行うことができる。
燃料油の目詰まり点を測定する装置は、燃料油の目詰ま
り点を測定することができる装置であればどのようなも
のでもよく、その例としては市販の目詰まり点試験装置
が挙げられる。市販の目詰まり点試験装置により燃料油
のろ過性の評価を行う場合、使用するサンプル量は40
〜50mlが適当であり、このうち15〜25mlがそ
れぞれの温度で50〜70秒以内にろ過器を通過するか
否かで評価を行えばよい。ただし、装置の改造が必要な
いこと、実用限界温度との相関等を考慮すると、JIS
−K2288の規定と同じようにサンプル量45mlで
このうちの20mlがそれぞれの温度で60秒以内にろ
過器を通過するか否かにより評価することが好ましい。 【0012】 【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例によりさら
に具体的に説明する。なお、本発明は、これらの例によ
って何ら制限されるものではない。実施例において使用
した流動性向上剤は、全てエチレン−酢酸ビニル共重合
体である。なお、実施例及び比較例における評価試験方
法は、次の方法により行った。 (1)燃料油の実用限界温度の測定 燃料油の実用限界温度の評価は、図1に示すビニルハウ
ス栽培の加温用に使用されている暖房機のバーナー部分
と、それに付帯する燃料フィルター(149μm)から
制作したシミュレーターを用いて行った。測定条件とし
て、冷却温度は、冬季の平野部における気象条件を元に
1℃/h、冷却開始温度は+10℃とした。こうして試
験温度まで冷却した後、3時間ソーキングを行った。こ
の後、測定を行い、燃料フィルター前後で圧力を測定
し、30分後にその値が−27kPa以上であれば合格
とし、試験温度を1℃下げて再度試験を行った。このと
き燃料油は20℃以上に加熱してから使用した。こうし
て測定開始後30分以内に圧力が−27kPa未満にな
ったときの試験温度よりも1℃高い温度をその燃料油の
実用限界温度とした。30分後の圧力が−27kPa以
上であれば、30分以上測定を続けてもフィルターは閉
塞する可能性は低い。 【0013】(2)JISに規定された目詰まり点の測
定 JIS K2288に規定されている目詰まり点試験方
法に従って、燃料油の目詰まり点を測定した。具体的に
は、45mlの燃料油を試験管に取り、規定の方法で冷
却する。試料の燃料油の温度が1℃下がるごとに2kP
a(水中200mm)の減圧下で、目開き45μmの金
網付ろ過器を通して試料の燃料油を吸い上げ、試料の燃
料油20mlが金網付ろ過器を通過するのに要する時間
を測定する。このようにして、試料の燃料油のろ過器通
過時間が60秒を超えたときの温度又は試料がろ過器を
通らなくなったときの温度を読み取り、目詰まり点とし
た。 (3)本発明の目詰まり点の測定 JIS K2288に規定されている目詰まり点試験方
法を実施するための市販の目詰まり点試験機を使用し
て、吸引圧力2.0kPa、冷却速度15℃/h、ろ過
器網目45μmの条件下で、その他の条件はJIS K
2288に規定されている条件と同様にして目詰まり点
を測定した。具体的には、冷却浴を10±0.5℃、冷
却速度を15℃/hにセットする。次に試料の曇り点+
5℃に吸引開始温度をセットする。45mlの燃料油を
試験管に取り、測定装置にセットし、冷却を開始する。
試料の燃料油の温度が1℃下がるごとに2.0kPaの
減圧下で、目開き45μmの金網付きろ過器を通して試
料の燃料油を吸い上げ、20mlが金網付きろ過器を通
過するのに要する時間を測定する。このようにして、ろ
過器通過時間が60秒を超えたときの温度又はろ過器を
通らなくなったときの温度を読み取り、本発明の目詰ま
り点とした。また、60秒以内にろ過器を通過したとし
ても、大気圧に戻した際に試料の燃料油が試験管内に戻
らないときもその温度を目詰まり点とする。 【0014】実施例1 燃料油として、減圧残油(残留炭素分:10.26重量
%、アスファルテン分3.56重量%)を0.3重量%
含み、ガスクロ蒸留の終点が473℃で、流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比が4
3である燃料油を使用して、上記評価を行った。その結
果、JISに規定された目詰まり点は−13℃であり、
実用限界温度は−7℃であり、本発明による目詰まり点
は−7℃であった。 【0015】実施例2 燃料油として、減圧残油(残留炭素分:14.30重量
%、アスファルテン分4.62重量%)を0.2重量%
含み、ガスクロ蒸留の終点が445℃で、流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比が1
67である燃料油を使用して、上記評価を行った。その
結果、JISに規定された目詰まり点は−10℃であ
り、実用限界温度は−2℃であり、本発明による目詰ま
り点は−4℃であった。 【0016】実施例3 燃料油として、常圧残油(残留炭素分:12.44重量
%、アスファルテン分2.22重量%)を0.2重量%
含み、ガスクロ蒸留の終点が428℃で、流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比が1
77である燃料油を使用して、上記評価を行った。その
結果、JISに規定された目詰まり点は−8℃であり、
実用限界温度は−1℃であり、本発明による目詰まり点
は−2℃であった。 【0017】実施例4 燃料油として、常圧残油(残留炭素分:9.63重量
%、アスファルテン分2.56重量%)を0.3重量%
含み、ガスクロ蒸留の終点が474℃で、流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比が6
8である燃料油を使用して、上記評価を行った。その結
果、JISに規定された目詰まり点は−14℃であり、
実用限界温度は−7℃であり、本発明による目詰まり点
は−6℃であった。 【0018】実施例5 燃料油として、常圧残油(残留炭素分:11.37重量
%、アスファルテン分2.75重量%)を0.3重量%
含み、ガスクロ蒸留の終点が475℃で、流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比が5
9である燃料油を使用して、上記評価を行った。その結
果、JISに規定された目詰まり点は−16℃であり、
実用限界温度は−5℃であり、本発明による目詰まり点
は−4℃であった。 【0019】実施例6 燃料油として、常圧残油(残留炭素分:12.85重量
%、アスファルテン分3.01重量%)を0.2重量%
含み、ガスクロ蒸留の終点が452℃で、流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比が1
05である燃料油を使用して、上記評価を行った。その
結果、JISに規定された目詰まり点は−14℃であ
り、実用限界温度は−1℃であり、本発明による目詰ま
り点は−2℃であった。 【0020】実施例7 燃料油として、減圧残油(残留炭素分:11.05重量
%、アスファルテン分3.63重量%)を0.3重量%
含み、ガスクロ蒸留の終点が466℃で、流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比が1
00である燃料油を使用して、上記評価を行った。その
結果、JISに規定された目詰まり点は−16℃であ
り、実用限界温度は−1℃であり、本発明による目詰ま
り点は−3℃であった。 【0021】実施例8 燃料油として、常圧残油(残留炭素分:11.05重量
%、アスファルテン分2.98重量%)を0.3重量%
含み、ガスクロ蒸留の終点が459℃で、流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比が2
06である燃料油を使用して、上記評価を行った。その
結果、JISに規定された目詰まり点は−14℃であ
り、実用限界温度は−5℃であり、本発明による目詰ま
り点は−4℃であった。 【0022】実施例9 燃料油として、脱硫残油(残留炭素分:9.82重量
%、アスファルテン分2.25重量%)を0.3重量%
含み、ガスクロ蒸留の終点が462℃で、流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比が3
7である燃料油を使用して、上記評価を行った。その結
果、JISに規定された目詰まり点は−11℃であり、
実用限界温度は−3℃であり、本発明による目詰まり点
は−5℃であった。 【0023】実施例10 燃料油として、減圧残油(残留炭素分:12.06重量
%、アスファルテン分4.13重量%)を0.2重量%
含み、ガスクロ蒸留の終点が467℃で、流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比が3
4である燃料油を使用して、上記評価を行った。その結
果、JISに規定された目詰まり点は−12℃であり、
実用限界温度は−3℃であり、本発明による目詰まり点
は−3℃であった。 【0024】実施例11 燃料油として、減圧残油(残留炭素分:13.65重量
%、アスファルテン分3.42重量%)を0.2重量%
含み、ガスクロ蒸留の終点が464℃で、流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比が9
1である燃料油を使用して、上記評価を行った。その結
果、JISに規定された目詰まり点は−16℃であり、
実用限界温度は−9℃であり、本発明による目詰まり点
は−8℃であった。 【0025】実施例12 燃料油として、減圧残油(残留炭素分:11.76重量
%、アスファルテン分3.14重量%)を0.3重量%
含み、ガスクロ蒸留の終点が452℃で、流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比が1
00である燃料油を使用して、上記評価を行った。その
結果、JISに規定された目詰まり点は−18℃であ
り、実用限界温度は−7℃であり、本発明による目詰ま
り点は−9℃であった。 【0026】比較例1 燃料油として、常圧残油(残留炭素分:13.52重量
%、アスファルテン分2.49重量%)を0.2重量%
含み、ガスクロ蒸留の終点が515℃で、流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比が2
47である燃料油を使用して、上記評価を行った。その
結果、JISに規定された目詰まり点は−6℃であり、
実用限界温度は−14℃であり、本発明による目詰まり
点は−7℃であった。 【0027】比較例2 燃料油として、常圧残油(残留炭素分:9.24重量
%、アスファルテン分3.06重量%)を0.3重量%
含み、ガスクロ蒸留の終点が497℃で、流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比が2
13である燃料油を使用して、上記評価を行った。その
結果、JISに規定された目詰まり点は−4℃であり、
実用限界温度は−12℃であり、本発明による目詰まり
点は−6℃であった。 【0028】比較例3 燃料油として、常圧残油、減圧残油及び脱硫残油のいず
れも含まない、ガスクロ蒸留の終点が503℃で、流動
性向上剤添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)
の比が59である燃料油を使用して、上記評価を行っ
た。その結果、JISに規定された目詰まり点は+5℃
であり、実用限界温度は−9℃であり、本発明による目
詰まり点は+5℃であった。 【0029】比較例4 燃料油として、常圧残油(残留炭素分:14.03重量
%、アスファルテン分4.51重量%)を0.3重量%
含み、ガスクロ蒸留の終点が520℃で、流動性向上剤
添加量(容量ppm)/ワックス量(重量%)の比が1
00である燃料油を使用して、上記評価を行った。その
結果、JISに規定された目詰まり点は+8℃であり、
実用限界温度は−3℃であり、本発明による目詰まり点
は+6℃であった。 【0030】 【発明の効果】本発明によると、燃料油の実用限界温度
との相関を向上させることができる。従って、本発明に
よって燃料油を管理すれば、流動性のトラブルを防ぐこ
とができ、燃料油の製造において効率化が図れる。
ータの概略図である。 【図2】実施例及び比較例に示した燃料油の本願発明に
よる目詰まり点の測定結果と実用限界温度の相関関係を
示したグラフであり、相関係数は0.7837(実施例
分のみ)であった。 【図3】実施例及び比較例に示した燃料油のJISに定
められた目詰まり測定法と実用限界温度の相関関係を示
したグラフであり、相関係数は0.0366であった。 【符号の説明】 1 燃料油 2 フィルター 3 バーナー 4 温度計 5 圧力計
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 残留炭素分が3〜15重量%、アスファ
ルテン分が1〜5重量%である、常圧残油、減圧残油及
び脱硫残油のうち少なくとも1つを0.1重量%以上含
み、ガスクロ蒸留の終点が380〜510℃、流動性向
上剤添加量(ppm)/ワックス量(重量%)の比が3
4〜210である燃料油に対し、吸引圧力−1.5〜−
2.5kPa、冷却速度13〜17℃/h、ろ過器網目
40〜50μmの条件下で、149〜250μmの目開
きのフィルターを使用し、10℃以下の低温下で使用さ
れる機器用燃料油のろ過性を評価することを特徴とする
低温流動性評価法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP26904495A JP3482283B2 (ja) | 1995-09-25 | 1995-09-25 | 低温流動性評価法 |
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JP26904495A JP3482283B2 (ja) | 1995-09-25 | 1995-09-25 | 低温流動性評価法 |
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JPH0989878A JPH0989878A (ja) | 1997-04-04 |
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- 1995-09-25 JP JP26904495A patent/JP3482283B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JIS,1993年,K 2288 |
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JPH0989878A (ja) | 1997-04-04 |
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