JP3480297B2 - 半導体素子 - Google Patents

半導体素子

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JP3480297B2
JP3480297B2 JP03198298A JP3198298A JP3480297B2 JP 3480297 B2 JP3480297 B2 JP 3480297B2 JP 03198298 A JP03198298 A JP 03198298A JP 3198298 A JP3198298 A JP 3198298A JP 3480297 B2 JP3480297 B2 JP 3480297B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はGaN系の半導体
層を含む半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】GaN系の半導体は例えば青色発光素子
として利用できることが知られている。かかる発光素子
では、基板には一般的にサファイアが用いられ、例えば
AlN製の層を介してGaN系の半導体層が積層されて
発光素子構造が形成される。ここにAlN製の層はGa
N系の半導体層を成長させるときの核発生を与える役目
をしていると考えられる。
【0003】このような素子において、サファイア基板
を他の材料に置換することが望まれている。サファイア
基板は高価であるからである。更には、サファイア基板
は絶縁体であるため同一面側に電極を形成する必要があ
り半導体層の一部をエッチングしなければならず、それ
に応じてボンディングの工程も2倍となる。また、同一
面側にn、p両電極を形成するため、素子サイズの小型
化にも制限があった。加えて、チャージアップの問題も
あった。
【0004】このようなサファイア基板の不具合を回避
するため、シリコン基板上にGaN系の半導体層を成長
させる技術が検討されている。特開平8−310900
号公報、特開平9−92882号公報等を参照された
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らの検討によれば、シリコン基板の上にGaN系の半
導体層を成長させることは非常に困難であった。その原
因の一つに、シリコンとGaN系の半導体の熱膨張率の
差がある。シリコンの線膨張係数が4.7 X 10-6
Kであるのに対しGaNの線膨張係数は5.59 X 1
-6/Kであり、前者が後者より大きい。従って、Ga
N系の半導体を成長させる際に加熱をすると、図1に示
す如く、シリコン基板1が伸長されGaN系の半導体層
3側が圧縮するように素子が変形する。このとき、Ga
N系の半導体層3内に引っ張り応力が生じ、その結果ク
ラック5の発生するおそれがある。また、クラック5が
生じないまでも格子に歪みが生じる。従って、GaN系
の半導体素子がその本来の機能を発揮できなくなる。
【0006】そこで、この発明はシリコン基板の上にG
aN系の半導体層が容易に形成できる新規な構成の半導
体発光素子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者のうちの一人は
上記の目的を達成すべく鋭意検討をした結果、特願平9
−293463において、シリコン基板とGaN系の半
導体層との間にCr、Hf、Nb、Ta、V、Ti、Z
rから選ばれる1種又は2種以上の金属からなる1又は
2以上のバッファ層を介在させることに想到した。
【0008】シリコン製の基板とGaN系の半導体層と
の間に上記金属製のバッファ層を介在させると、図2に
示すように、バッファ層12がGaN系の半導体層13
と基板11との熱膨張係数の差により生じた応力を緩衝
するので、GaN系の半導体層13内の引っ張り応力が
小さくなる。従って、そこにクラックが発生することは
ほとんどなくなり、格子歪みも緩和される。よって、G
aN系の半導体層13はその本来の機能を設計どおりに
発揮できることとなる。
【0009】シリコン製の基板及び金属製のバッファ層
はともに導電性である。これにより、基板に電極を接続
し、基板側よりGaN系の半導体層に通電することが可
能になる。従って、GaN系の半導体層で素子を構成す
るとき必要とされた当該半導体層に対する複雑なエッチ
ングが不要になる。図3の例で言えば、nクラッド層が
バッファ層及び基板を介して外部に電気的に接続可能と
なる。一方、サファイア基板の場合は、これが絶縁性で
あったため発光層及びpクラッド層をエッチングしてn
クラッド層を露出し、これを外部と電気的に接続させる
必要があった。基板及びバッファ層を介して半導体層へ
通電可能となったので、外部電源に対するボンディング
も容易になる。また、半導体層の上下で電極形成が可能
となるので素子を小型化することができる。更には、ア
ースをとればチャージアップの問題も容易に解決され
る。
【0010】バッファ層が金属で形成されていると、G
aN系の半導体層が発光素子構造若しくは受光素子構造
を採る場合、このバッファ層自体が反射層の役目をす
る。従って、従来例の透明なサファイア基板を用いた発
光素子や受光素子で必要とされていた別個の反射層の形
成が不要となる。また、GaAsのように光を吸収する
材料で基板を形成した場合における当該基板の除去作業
が不要になる。
【0011】本発明者らはZrとTiに注目して更に検
討を進めた。ZrとTiには下記の利点があるからであ
る。 Ti及びZrはその融点が1000℃以上であるの
で、GaN系の半導体層の製造過程で加えられる温度に
よっても安定である。 Ti及びZrはその線膨張係数が10 X 10-6
K以下であるので、シリコン材料のそれに近く、かつ
Ti及びZrの弾性率が15 X 1010N/m2以下と比
較的柔らかいので、シリコンとGaN系の半導体との線
膨張係数の差により生じる内部応力がバッファ層で緩和
される。 Zrの窒化物生成エネルギーが負であるので、バッ
ファ層とGaN系の半導体との間に好ましい密着力が得
られる。 ZrとGaN系の半導体層との格子定数の差が2%
以下であるので、バッファ層とGaN系の半導体層とな
じみがよくなり、GaN系の半導体層の格子歪みが小さ
くなる。 Tiはシリサイドを形成できるので、バッファ層と
シリコン基板との間に好ましい密着力が得られる。 Zrの結晶構造はGaN系の半導体と同じ六方晶で
あるので、バッファ層とGaN系の半導体層となじみが
よくなり、GaN系の半導体層の格子歪みが小さくな
る。 なお、TiとZrの具体的な特性は次の通りである。 融点 線膨張係数 弾性率 格子定数 Ti 1680℃ 8.9 X 10-6/K 11.42 X 1010N/m2 2.950 Zr 1850℃ 5.0 X 10-6/K 9.76 X 1010N/m2 3.231
【0012】上記検討の結果、下記の発明に想到した。
シリコン製の基板と、GaN系の半導体層と、前記基板
と前記半導体層との間に設けられるバッファ層であっ
て、該バッファ層は前記基板の上に形成されるTi製の
第1のバッファ層と、該第1のバッファ層の上に形成さ
れるZr製の第2のバッファ層とからなるバッファ層
と、を備えてなる半導体素子。
【0013】このようにシリコン製の基板の上にTiの
層とZrの層を順次形成すると、Zrの層はc軸配向し
やすくなることがわかった。即ち、シリコン基板の上に
直接Zrの層を形成する場合と比べて、シリコン基板の
上にTiの層を介して成長されたZrの結晶は<000
1>方向に成長する傾向が高くなる。これはTiが高い
配向性を持って成膜できることに起因する。なお、Ga
N系の半導体層は通常c軸配向であるので、その下地と
なるバッファ層もその少なくとも表面(半導体層と接す
る面)においてc軸配向であることが好ましいことはい
うまでもない。
【0014】ここにTi製の第1のバッファ層の膜厚は
0.01〜10μmとすることが好ましい。0.01μ
m未満であるとc軸配向性が弱いからであり、10μm
を越えると表面ムラがおき、それぞれ好ましくない。更
に好ましくは0.01〜1μmである。更に更に好まし
くは0.03〜0.3μmである。Zr製の第2のバッ
ファ層の膜厚は0.1μm以上とすることが好ましい。
0.1μm未満であるとc軸配向性が弱い。更に好まし
くは0.2〜0.8μmである。更に更に好ましくは
0.2〜0.5μmである。
【0015】なお、基板−第1のバッファ層−第2のバ
ッファ層−半導体層の各層間に、本発明の作用効果を阻
害しない範囲で、他の層を設けることができる。
【0016】更に本発明者らの検討によれば、Ti製の
第1のバッファ層をシリコン基板の(111)面上に形
成すると、Zr製の第2のバッファ層のc軸配向がより
促進されることがわかった。
【0017】更に本発明者らの検討によれば、シリコン
基板を昇温した後にTi製の第1のバッファ層及びZr
製の第2のバッファ層を成長させることが好ましい。シ
リコン基板を昇温した状態でバッファ層を形成すると、
Zrがc軸配向しやすいことがわかったからである。理
由はZrが基板に到達したときに格子点に移動しやすい
からと考えられる。バッファ層を形成する際のシリコン
基板の温度は100〜250℃とすることが好ましく、
100℃未満であると、c軸配向したZr製のバッファ
層を得難く、また250℃を越えてシリコン基板を昇温
する必要はない。また、バッファ層を形成する際のシリ
コン基板の温度は130〜200℃とすることが更に好
ましい。シリコン基板を130℃以上とすると、シリコ
ン基板に対するバッファ層の密着力が十分となり、後に
GaN系の半導体層を形成するためにウエハを1000
℃近くまで加熱しても、シリコン基板からバッファ層が
剥離若しくは浮き上がらなくなる。バッファ層を形成す
る際のシリコン基板の温度は、更に更に好ましくは、1
50〜200℃である。
【0018】バッファ層の形成の方法は特に限定され
ず、基板の材料やバッファ層自身の材料の特性に応じて
適宜選択される。例えば、既述の金属でバッファ層を形
成する場合はプラズマCVD、熱CVD、光CVD等の
CVD(Chemical Vapour Depos
ition)、スパッタ、蒸着等の(Physical
Vapour Deposition)等の方法を採用
できる。
【0019】ただし、バッファ層を形成する際にはその
雰囲気を実質的に酸素が存在しないものとする。バッフ
ァ層を形成する際に酸素が存在すると、その形成材料で
あるTi及びZrと酸素とが反応するおそれがあるから
である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を説
明する。以下に説明する形態の半導体素子は発光ダイオ
ード20であり、その構成を図3に示す。
【0021】各半導体層のスペックは次の通りである。 層 : 組成:ドーパント (膜厚) pクラッド層25 : p−GaN:Mg (0.3μm) 発光層 24 : 超格子構造 量子井戸層 : In0.15Ga0.85N (3.5nm) バリア層 : GaN (3.5nm) 量子井戸層とバリア層の繰り返し数:1〜10 nクラッド層23 : n−GaN:Si (4μm) 第2のバッファ層22b : Zr (0.3μm) 第1のバッファ層22a : Ti (0.05μm) 基板21 : Si<111> (300μm)
【0022】nクラッド層23は発光層24側の低電子
濃度n層と第2のバッファ層22b側の高電子濃度n+
層とからなる2層構造とすることができる。発光層24
は超格子構造のものに限定されず、シングルへテロ型、
ダブルへテロ型及びホモ接合型のものなどを用いること
ができる。発光層24とpクラッド層25との間にマグ
ネシウム等のアクセプタをドープしたバンドギャップの
広いAlXInYGa1-X-YN(X=0,Y=0,X=Y=0を含む)層
を介在させることができる。これは発光層24中に注入
された電子がpクラッド層25に拡散するのを防止する
ためである。pクラッド層25を発光層24側の低ホー
ル濃度p層と電極26側の高ホール濃度p+層とからな
る2層構造とすることができる。
【0023】上記において、第1のバッファ層22aは
次のようにして基板21の(111)面に形成される。
まず、工業的に汎用されるEB蒸着装置のチャンバ内へ
基板21、Ti塊及びZr塊を装着する。そしてチャン
バ内を当該装置に付設の真空装置を用いて1×10-3
orr程度まで真空引きする。その後、チャンバ内へ窒
素ガスを送り込み充満させる。このような窒素ガスパー
ジを3回繰り返す。その後、チャンバ内を8×10-7
orr程度まで再度真空引きするとともに、基板21を
ランプヒータでほぼ150℃に維持する。そして、電子
ビーム法によりTiを基板の(111)面に蒸着させ、
膜厚が約0.05μmの第1のバッファ層22aを得
る。蒸着の速度は3〜5オングストローム/秒とする。
続いて、8×10-7Torrの真空状態を維持した状態
で、電子ビーム法によりZrを第1のバッファ層22a
の上に蒸着させ、膜厚が約0.3μmの第2のバッファ
層22bを得る。蒸着の速度は3〜5オングストローム
/秒とする。
【0024】上記において、窒素ガスによるパージはシ
リコン基板21へTi及びZrを蒸着させるときにTi
とZrがチャンバ内の残留酸素と反応してTiOX及び
ZrOXを形成することを防止するためである。従っ
て、窒素ガス以外の不活性ガスを用いることもできる。
また、Ti及びZrと酸素との反応を防止できる程度に
までチャンバ内を真空引きできる場合は、かかる窒素ガ
スによるパージは不要である。しかしながら、本発明者
らの検討によれば、現在工業的に汎用される蒸着装置に
付設の真空装置の能力(真空度〜10-7Torr)では
窒素ガスによるパージが不可欠であった。
【0025】その後、基板21を加熱装置にセットし、
他のチャンバへ装着する。そして、チャンバ内を1.5
×10-5Torrまで真空引きする。そして、加熱装置
を作動させて当該真空の雰囲気を維持したまま、第1の
バッファ層22及び第2のバッファ層23をほぼ600
℃まで加熱し5分間維持する(アニールする)。その
後、放冷する。
【0026】バッファ層の上の各GaN系の半導体層は
周知の有機金属化合物気相成長法(以下、「MOCVD
法」という。)により形成される。この成長法において
は、アンモニアガスと3族元素のアルキル化合物ガス、
例えばトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアル
ミニウム(TMA)やトリメチルインジウム(TMI)
とを適当な温度に加熱された基板上に供給して熱分解反
応させ、もって所望の結晶を基板の上に成長させる。な
お、GaN系半導体層は分子線結晶成長法(MBE法)
によっても同様のものが得られる。
【0027】GaN系の半導体とはIII族窒化物半導体
であって、一般的にはAlXInYGa1ーXーYN(X=
0、Y=0、X=Y=0を含む)で表される。発光素子
及び受光素子では、周知のように、発光層が異なる導電
型の半導体層(クラッド層)で挟まれる構成であり、発
光層には超格子構造やダブルヘテロ構造等が採用され
る。
【0028】このMOCVD法を実行する際の熱によ
り、図4に示すように、第1のバッファ層22aの材料
(Ti)が基板21の材料(Si)と反応してシリサイ
ド(TiSi2)が形成される。また、第2のバッファ
層22bの材料(Zr)はGaNと同じ結晶構造(六方
晶)を持ちかつ格子定数もGaNに近い。よって、クラ
ッド層23と第2のバッファ層22bとの間には2つの
層が融合してZrN層が形成されていることが予想され
る。
【0029】透光性電極26は金を含む薄膜であり、p
クラッド層25の上面の実質的な全面を覆って積層され
る。p電極28も金を含む材料で構成されており、蒸着
により透光性電極26の上に形成される。n電極27
は、蒸着により基板21へ取り付けられる。
【0030】なお、本発明が適用される素子は上記の発
光ダイオードに限定されるものではなく、受光ダイオー
ド、レーザダイオード等の光素子の他、FET構造の電
子デバイスにも適用できる。また、これらの素子の中間
体として、シリコン製の基板、Ti製の第1のバッファ
層、Zr製の第2のバッファ層及びGaN系の半導体層
を順次積層してなる積層体にも本発明は適用されるもの
である。なお、基板にはSiの他にGaP、GaAs及
びInP等でも同様の結果が得られる。
【0031】
【試験例】以下、この発明の効果を確認するための試験
例について説明する。
【0032】(試験1)この試験はシリコン基板の上に
Ti製の第1のバッファ層を介してZr製の第2のバッ
ファ層を成長させることによる効果を確認するものであ
る。試験例1及び試験例2ともにシリコン基板の(10
0)面を準備し、その上にバッファ層を形成した。試験
例1ではシリコン基板の上にTi製の第1のバッファを
設け、続いて、第1のバッファ層の上にZr製の第2の
バッファ層を設けた。試験例2ではシリコン基板の上に
直接Zr製のバッファ層を設けた。試験例1及び試験例
2における各バッファ層の形成方法は既述の実施の形態
で説明した方法と同一である。結果はフィリップス社製
のX線解析装置(型番:X−pert)により2θ=
(20〜100)°の範囲で得られた回折パターンであ
る(他の試験例においても同じ。)。
【0033】図5及び図6はそれぞれ試験例1及び試験
例2の回折パターンである。図5及び図6の結果から、
シリコン基板の上にTi製の第1のバッファ層を介して
Zr製の第2のバッファ層を成長させた方が、シリコン
基板の上にZr製のバッファ層を直接成長させた場合と
比較してZr製の第2のバッファ層のc軸配向の傾向が
高いことがわかる。
【0034】(試験2)この試験は試験1で用いたシリ
コン基板の面と異なる面に各バッファ層を形成した場合
の、Ti製の第1のバッファ層を介してZr製の第2の
バッファ層を成長させることによる効果を確認するもの
である。試験1ではシリコン基板の(100)面の上に
各バッファ層を形成したが、試験2ではシリコン基板の
(111)面を準備し、その上に各バッファ層を形成し
た。試験1における試験例1と同様、試験例3ではシリ
コン基板の上にTi製の第1のバッファを設け、続い
て、第1のバッファ層の上にZr製の第2のバッファ層
を設けた。試験例4では試験1における試験例2と同
様、シリコン基板の上に直接Zr製のバッファ層を設け
た。その他の条件は試験1と同一である。
【0035】図7及び図8はそれぞれ試験例3及び試験
例4の回折パターンである。図7及び図8の結果から、
シリコン基板の(111)面の上にバッファ層を形成さ
せた場合においてもシリコン基板の(100)面の上に
バッファ層を成長させた場合と同様に、シリコン基板の
上にTi製の第1のバッファ層を介してZr製の第2の
バッファ層を成長させた方がZr製の第2のバッファ層
のc軸配向の傾向が高いことがわかる。
【0036】(試験3)この試験はシリコン基板の(1
11)面と(100)面の上にそれぞれ各バッファ層を
形成した場合の、Zr製のバッファ層のc軸配向度を比
較するものである。試験例5ではシリコン基板の(11
1)面を準備し、その上にTi製の第1のバッファ層を
形成し、続いてZr製の第2のバッファ層を形成した。
試験例6ではシリコン基板の(111)面の代わりに
(100)面を準備して、その他は試験例5と同様に各
バッファ層を形成した。その他の各バッファ層の形成方
法は既述の実施の形態で説明した方法と同一である。
【0037】図9及び図10はそれぞれ試験例5及び試
験例6の回折パターンである。図9及び図10の結果か
ら、シリコン基板の(111)面の上に第1及び第2の
バッファ層を形成した方がシリコン基板の(100)面
の上に同様に各バッファ層を形成した場合と比較してZ
r製の第2のバッファ層のc軸配向の傾向が高いことが
わかる。
【0038】(試験4)この試験はバッファ層をアニー
ルした場合の本発明の効果を確認するものである。試験
4では試験3の試験例5及び試験例6をそれぞれ下記の
条件でアニールした。試験例7〜試験例10は試験例5
をそれぞれ異なる条件でアニールした結果であり、試験
例11〜試験例14は試験例6をそれぞれ異なる条件で
アニールした結果である。
【0039】 基板面 アニール条件 結果 試験例5 (111) なし ○ 試験例6 (100) なし ○ 試験例7 (111) 400℃/Vac ○ 試験例8 (111) 600℃/Vac ○ 試験例9 (111) 800℃/Vac △ 試験例10 (111) 800℃/1気圧(N2) ○ 試験例11 (100) 400℃/Vac ○ 試験例12 (100) 600℃/Vac ○ 試験例13 (100) 800℃/Vac △ 試験例14 (100) 800℃/1気圧(N2) ○ 注)Vac:真空(約1.5×10-5Torr) 1気圧(N2):アニール時のチャンバ内へ1気圧の窒素ガスを充填 ○:バッファ層と基板との間に剥離なし △:バッファ層と基板との間に微少な剥離あり
【0040】上記の試験結果より、800℃の温度条件
でアニールした場合には、バッファ層を形成させるシリ
コン基板の面に拘わらず、真空の雰囲気下ではバッファ
層と基板との間に微少な剥離が生ずることがわかる(試
験例9及び13)。これに比較して、チャンバ内に1気
圧の窒素を充填した雰囲気下でアニールを行った場合に
は、800℃の条件においてもバッファ層と基板の間に
剥離は生じず、良好な積層体が得られることがわかる
(試験例10及び14)。この結果、高温でアニールを
行う場合には、チャンバ内を1気圧の窒素ガスで充填し
た雰囲気下で行うのが好ましいことがわかる。
【0041】この発明は上記発明の実施の形態及び実施
例の記載に何ら限定されるものではなく、特許請求の範
囲を逸脱しない範囲で当業者が想到し得る種々の変形態
様を包含する。
【0042】以下、下記の事項を開示する。 (10) シリコン製の基板と、GaN系の半導体層
と、前記基板と前記半導体層との間に設けられるバッフ
ァ層であって、該バッファ層は前記基板側のTi製の第
1のバッファ層と、前記半導体層側のZr製の第2のバ
ッファ層とを含んでなるバッファ層と、を備えてなる半
導体素子。 (11) シリコン製の基板と、GaN系の半導体層
と、前記基板と前記半導体層との間に設けられるバッフ
ァ層であって、該バッファ層は前記基板側のTi製の第
1のバッファ層と、前記半導体層側のZr製の第2のバ
ッファ層とを含んでなるバッファ層と、から構成される
積層体。
【0043】(20) シリコン製の基板を準備し、該
基板の上にTi製の第1のバッファ層を形成し、該第1
のバッファ層の上にZr製の第2のバッファ層を形成
し、該第2のバッファ層の上にGaN系の半導体層を形
成する、ことを特徴とする半導体素子の製造方法。 (21) シリコン製の基板を100〜250℃に昇温
し、該基板の上にTi製の第1のバッファ層と、該第1
のバッファ層の上にZr製の第2のバッファ層を形成
し、その後、該第2のバッファ層の上にGaN系の半導
体層を形成する、ことを特徴とする半導体素子の製造方
法。 (22) (111)面をもつシリコン製の基板を準備
し、該基板の上にTi製の第1のバッファ層を形成し、
該第1のバッファ層の上にZr製の第2のバッファ層を
形成し、該第2のバッファ層の上にGaN系の半導体層
を形成する、ことを特徴とする半導体素子の製造方法。 (23) (111)面をもつシリコン製の基板を準備
し、該基板を100〜250℃に昇温し、該基板の上に
Ti製の第1のバッファ層を形成し、該第1のバッファ
層の上にZr製の第2のバッファ層を形成し、該第2の
バッファ層の上にGaN系の半導体層を形成する、こと
を特徴とする半導体素子の製造方法。 (24) シリコン製の基板を準備し、該基板の上にT
i製の第1のバッファ層を形成し、該第1のバッファ層
の上にZr製の第2のバッファ層を形成し、該第2のバ
ッファ層の上にGaN系の半導体層を形成する積層体の
製造方法。 (25) シリコン製の基板を100〜250℃に昇温
し、該基板の上にTi製の第1のバッファ層を形成し、
該第1のバッファ層の上にZr製の第2のバッファ層を
形成し、該第2のバッファ層の上にGaN系の半導体層
を形成する、ことを特徴とする積層体の製造方法。 (26) (111)面をもつシリコン製の基板を準備
し、該基板の上にTi製の第1のバッファ層を形成し、
該第1のバッファ層の上にZr製の第2のバッファ層を
形成し、該第2のバッファ層の上にGaN系の半導体層
を形成する、ことを特徴とする積層体の製造方法。 (27) (111)面をもつシリコン製の基板を準備
し、該基板を100〜250℃に昇温し、該基板の上に
Ti製の第1のバッファ層を形成し、該第1のバッファ
層の上にZr製の第2のバッファ層を形成し、該第2の
バッファ層の上にGaN系の半導体層を形成する、こと
を特徴とする積層体の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はシリコン製の基板とGaN系の半導体層
との熱膨張率の差に起因する素子の反りを説明する図で
ある。
【図2】図2は本発明の概念図であり、シリコン製の基
板とGaN系の半導体層との間にバッファ層を介在させ
たときの応力緩和を示す。
【図3】図3はこの発明の実施の形態の発光ダイオード
を示す図である。
【図4】図4は図3における基板、バッファ層及びnク
ラッド層との拡大図であり、基板−Ti製の第1のバッ
ファ層間及びZr製の第2のバッファ層−GaN間の反
応を示す。
【図5】図5は実験例1の回折パターンを示す。
【図6】図6は比較例1の回折パターンを示す。
【図7】図7は実験例2の回折パターンを示す。
【図8】図8は比較例2の回折パターンを示す。
【図9】図9は実験例3の回折パターンを示す。
【図10】図10は比較例3の回折パターンを示す。
【符号の説明】
1、11、21 基板 12、 バッファ層 22a Ti製の第1のバッファ層 22b Zr製の第2のバッファ層 3、13、23、24、25 GaN系の半導体層 20 半導体発光素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01S 5/323 610 H01S 5/323 610 (72)発明者 野杁 静代 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑 1番地 豊田合成株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−260835(JP,A) 特開 平9−162125(JP,A) 特開 平8−316145(JP,A) 特開 平9−92882(JP,A) 特開 平8−310900(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/205 C30B 23/08 C30B 29/40 502 H01L 21/20 H01L 33/00 H01S 5/323 610

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン製の基板と、 GaN系の半導体層と、 前記基板と前記半導体層との間に設けられるバッファ層
    であって、該バッファ層は前記基板の上に形成されるT
    i製の第1のバッファ層と、該第1のバッファ層の上に
    形成されるZr製の第2のバッファ層とからなるバッフ
    ァ層と、を備えてなる半導体素子。
  2. 【請求項2】 前記基板の(111)面上に前記バッフ
    ァ層が形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の
    半導体素子。
  3. 【請求項3】 シリコン製の基板と、 GaN系の半導体層と、 前記基板と前記半導体層との間に設けられるバッファ層
    であって、該バッファ層は前記基板の上に形成されるT
    i製の第1のバッファ層と、該第1のバッファ層の上に
    形成されるZr製の第2のバッファ層とからなるバッフ
    ァ層と、から構成される積層体。
  4. 【請求項4】 前記基板の(111)面上に前記バッフ
    ァ層が形成される、ことを特徴とする請求項3に記載の
    積層体。
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