JP3478940B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

スクロール圧縮機

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JP3478940B2 JP04873197A JP4873197A JP3478940B2 JP 3478940 B2 JP3478940 B2 JP 3478940B2 JP 04873197 A JP04873197 A JP 04873197A JP 4873197 A JP4873197 A JP 4873197A JP 3478940 B2 JP3478940 B2 JP 3478940B2
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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は空気圧縮機や冷凍・
空調用圧縮機として用いられるスクロール圧縮機に関
し、特に、鏡板の両側にスクロールラップを有する両歯
式スクロール圧縮機またはダブルスクロール圧縮機に関
する。
【０００２】
【従来の技術】従来、スクロール圧縮機の大容量化を図
るため、鏡板の両側に螺旋状のスクロールラップを備え
た旋回スクロールと、この旋回スクロールの各ラップと
噛み合う同様に螺旋状に形成されたスクロールラップを
備えた固定スクロールとを備えた両歯式スクロール圧縮
機またはダブルスクロール圧縮機と呼称されるスクロー
ル圧縮機が提案されている。このようなダブルスクロー
ル圧縮機においては、大容量化に伴い圧縮されたガスが
発生する発熱量が通常の片歯式スクロール圧縮機に比較
して飛躍的に増大する。
【０００３】ところで、従来の片歯式のスクロール圧縮
機においてもスクロールラップ部において発生する熱を
効果的に放熱して、スクロール圧縮機の信頼性を向上さ
せることが、例えば、特開平６−３４１３８４号公報に
記載されている。一方、上記したダブルスクロール圧縮
機においても、スクロールラップ部で発生する作動ガス
の増大する発熱量に対処するため、旋回スクロール部に
フィンを設けることが特開平７−103151号公報に記載さ
れている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】スクロール圧縮機は、
旋回速度やスクロール部材の強度、変形上の制限から、
大径化またはラップ高さを高くすることによる大容量化
が困難である。そこで、通常の片歯式のスクロール圧縮
機を背中合わせで結合して大容量化を図った両歯式また
はダブルスクロール圧縮機が提案されている。例えば、
駆動モータ出力が７．５ｋＷクラスの大型のスクロール
圧縮機において、旋回スクロールの鏡板の両側にスクロ
ールラップを配置し、２つの固定スクロールのスクロー
ルラップと旋回スクロールの２つのスクロールラップを
噛み合わせた、サンドイッチ構造とする。この様に構成
すると、スクロールラップ部のスラスト方向に作用する
作動ガスの圧力、すなわちスラスト力が互いに反対の方
向に作用し、スラスト力を打ち消すよう働く。この結
果、通常の片歯式のスクロール圧縮機において重要な課
題であるスラスト力についての考慮が少なくて済む利点
がある。しかしながら、このダブルスクロールにおいて
は、旋回スクロールを中心にして２つの固定スクロール
でサンドイッチする構成となっているから、旋回スクロ
ールは圧縮機の内部側に位置し、作動ガスが圧縮されて
発生した熱を旋回スクロールからは放熱しにくい。した
がって、片歯式のスクロール圧縮機が開示されている特
開平６ー３４１３８４号公報に記載された放熱フィンを
単に旋回スクロールと固定スクロールとに設けるだけで
は、旋回スクロールの駆動力を導入する構造が複雑にな
るとともに、フィンを設ける位置が制限され、旋回スク
ロールからの放熱が不十分である。
【０００５】一方、特開平７ー１０３１５１号公報に記
載のダブルスクロール圧縮機では、旋回スクロールの鏡
板に多数の冷却フィンが列設されているが、この構成に
おいてはスクロール圧縮機の中で最も高温となるラップ
中心部を効果的に冷却して、ダブルスクロールの信頼性
を高めることについては十分考慮されていない。そし
て、この公報に記載のダブルスクロール圧縮機では、旋
回スクロールの駆動を容易にするため、駆動軸の他に２
本の補助クランクを備えており、流動抵抗の少ない冷却
媒体の流路を形成することが困難である。
【０００６】本発明の目的は、この従来技術の持つ不具
合を解消するものであり、その第１の目的は、鏡板の両
側にラップ面を備えた両歯式またはダブルスクロール圧
縮機において、旋回スクロールを効果的に冷却してスク
ロール圧縮機の信頼性を向上させることにある。また、
本発明の第２の目的は、鏡板の両側にラップ面備えた両
歯式スクロール圧縮機またはダブルスクロール圧縮機に
おいて、組立後の旋回スクロールと固定スクロール間の
ラップ先端とラップ底面間の隙間の確認をを容易にする
ことにある。本発明の他の目的は、冷却媒体の流動抵抗
を少なくして、冷却媒体と旋回スクロール間の熱交換を
促進した大容量（駆動モータの出力が７．５kW以上）の
両歯式スクロール圧縮機またはダブルスクロール圧縮機
を実現することにある。本発明のさらに他の目的は、旋
回スクロールの鏡板の両面に渦巻き状のラップを備えた
両歯式またはダブルスクロール型のスクロール圧縮機に
おいて、ラップの噛み合い部で発生した熱により旋回ス
クロールが異常高温に上昇するのを防止する。本発明の
その他の目的及び作用、効果は、以下に述べる詳細な発
明の記載により明らかになるであろう。
【０００７】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の第１の特徴は、鏡板の両側に螺旋状のラッ
プを有する旋回スクロールと、このラップに噛み合うラ
ップを有し旋回スクロールの両側に配置された第１、第
２の固定スクロールと、旋回スクロールを回転駆動する
クランクシャフトと、このクランクシャフトと同期回転
する補助クランクシャフトと、これらクランクシャフト
と補助クランクシャフトを同期回転させる駆動機構とを
備えたスクロール圧縮機において、旋回スクロールの鏡
板は、２つのクランクシャフトの中心間を結ぶ直線に対
してほぼ直交する複数の冷却流路を有し、前記ラップを
有する第１及び第２の固定スクロールの少なくとも何れ
かは、ラップの外周部にこのラップを囲繞するダストラ
ップを有し、このダストラップの幅方向端部に溝を形成
し、この溝に嵌合するダストシールを備え、前記ダスト
ラップを備えた固定スクロールには作動ガスを吸入する
ための吸気口を形成すると共に、この吸気口とスクロー
ルラップ部とを連通するための連通口をこのダストラッ
プに形成していることにある。
【０００８】
【０００９】
【００１０】
【００１１】
【００１２】
【００１３】
【００１４】
【００１５】上記目的を達成するための本発明の第２の
特徴は、鏡板の両側に螺旋状のラップを有する旋回スク
ロールと、このラップに噛み合うラップを有し旋回スク
ロールの両側に配置された第１、第２の固定スクロール
と、旋回スクロールを回転駆動するクランクシャフト
と、このクランクシャフトと同期回転する補助クランク
シャフトとを備え、第１及び第２の固定スクロールの少
なくとも何れかに形成された吸込口から吸い込まれた空
気を第１及び第２の固定スクロールの少なくとも何れか
に形成された吐出口から吐出するスクロール圧縮機にお
いて、第１の固定スクロールは旋回スクロールを冷却す
る冷却風の入口と出口を備え、ラップを有する第１及び
第２の固定スクロールの少なくとも何れかは、ラップの
外周部にこのラップを囲繞するダストラップを有し、ダ
ストラップと旋回スクロールの鏡板との間で形成される
隙間を冷却風の入口または出口から測定可能にしたこと
にある。
【００１６】上記目的を達成するための本発明の第３の
特徴は、鏡板の両側に螺旋状のラップを有する旋回スク
ロールと、このラップに噛み合うラップを有し旋回スク
ロールの両側に配置された第１、第２の固定スクロール
と、旋回スクロールを回転駆動するクランクシャフト
と、このクランクシャフトと同期回転する補助クランク
シャフトとを備え、第１及び第２の固定スクロールの少
なくとも何れかに形成された吸込口から吸い込まれた空
気を第１及び第２の固定スクロールの少なくとも何れか
に形成された吐出口から吐出するスクロール圧縮機にお
いて、第１の固定スクロールは旋回スクロールを冷却す
る冷却風の入口と出口を備え、ラップを有する旋回スク
ロールは、ラップの外周部にこのラップを囲繞するダス
トラップを有し、ダストラップと第１、第２の固定スク
ロールとの間で形成される幅方向隙間を冷却風の入口ま
たは出口から測定可能にしたことにある。
【００１７】
【発明の実施の形態】以下、本発明のいくつかの実施例
を図面を用いて説明する。図１ないし図４に第１の実施
例を示し、図１はその横断面図、図２は正面図、図３は
この第１の実施例に用いられる旋回スクロールの斜視
図、図４は第１の実施例全体の斜視図である。スクロー
ル圧縮機Aには図示しないモータからタイミングプーリ
９およびこのタイミングプーリ９の外周部に取り付けら
れる図示しないベルトを介して動力が伝達される。タイ
ミングプーリ９及びタイミングプーリ３aはクランクシ
ャフト１の一端側に固定されている。クランクシャフト
１は旋回スクロール５の端部近傍に設けられた貫通穴部
に深溝玉軸受９ｂを介して取り付けられている。
【００１８】旋回スクロール５は、鏡板５aとこの鏡板
５aの図１において上下面で表される両面に形成された
螺旋状のスクロールラップ５ｂ，５ｃとからなる。旋回
スクロール５のラップ５ｂに固定スクロール７のラップ
７aが、旋回スクロール５のラップ５ｃに固定スクロー
ルの６のラップ６aがそれぞれ噛み合っている。つま
り、旋回スクロール５をサンドイッチするように固定ス
クロール６、７が旋回スクロール５の両側に配置されて
いる。旋回スクロールのクランクシャフト貫通穴とは反
対端近傍に補助クランクシャフト貫通穴が形成されてお
り、この貫通穴に保持されたシールド型の深溝玉軸受９
aにより補助クランクシャフト２が回転支持されてい
る。さらに、クランクシャフト１及び補助クランクシャ
フト２の他端側は固定スクロール７に保持された玉軸受
２３及び２１に回転可能に支持されている。補助クラン
クシャフト２の玉軸受２３で支持された端部と反対端に
はタイミングプーリ３ｂが固定されている。そして、タ
イミングプーリ３ｂおよびタイミングプーリ３aにタイ
ミングベルト４が掛けられている。従って、駆動機から
の動力はクランクシャフト１及び補助クランクシャフト
２へ同期して伝達される。
【００１９】クランクシャフト１及び補助クランクシャ
フト２は、旋回スクロール５が自転することなく公転で
きるように旋回スクロールの貫通穴部において、偏心し
た構造になっている。この両クランクシャフト１、２が
偏心していることにより、旋回スクロール５は偏心回転
（旋回）運動が可能となるが、反面、両クランクシャフ
トに過大な遠心力が作用するという不具合を生じる。こ
の遠心力を相殺または減殺するために、クランクシャフ
ト２、３には、バランスウエイト１１a、１１ｂ、１１
ｃ、１１ｄが取り付けられている。
【００２０】このように構成した本発明の第１の実施例
においては、クランクシャフト１、２が同期回転して旋
回スクロール５を旋回運動させるが、このとき、スクロ
ール圧縮機のプーリ側の固定スクロール６に形成した吸
気口からスクロール圧縮機本体内に吸い込まれたガス
は、旋回スクロールのラップ５ｂと固定スクロールのラ
ップ７a間、及び旋回スクロールのラップ５ｃと固定ス
クロールのラップ６a間に形成される三日月状の圧縮室
に入り、次第にその体積を減少することにより圧縮され
所定の圧力になってスクロール圧縮機Aの中央部に形成
された吐出口から需要元へと吐出される。吸い込まれた
ガスの圧力が上昇するとガスの温度も上昇し、例えば常
温（３０℃程度）で吸込まれたガスは、２００〜２５０
℃迄温度上昇する。ところで、旋回スクロール５には、
加工・組立性および偏重量の低減を図って、アルミ合金
が使用されることが多い。一般にアルミ合金は使用温度
が１８０℃を超えると機械的性質が劣化するので、最も
高温になる旋回スクロール出口部付近においても１８０
℃を超えないようにする必要がある。
【００２１】そこで、本実施例においては、旋回スクロ
ール５の鏡板５aを通常のシングルタイプのスクロール
圧縮機より厚くしてその鏡板５a内部に旋回スクロール
の幅方向全幅にわたり貫通する複数の流路を形成してい
る。そして、この流路の方向を２つのクランクシャフト
１、２の中心を結ぶ線に直交する方向としている。ま
た、旋回スクロール５の両側に配設された固定スクロー
ル６および固定スクロール７の外表面側には、互いに平
行に配置された複数の冷却フィン４４ａ，４４ｂが設け
られている。そして、この冷却フィン４４ａ，４４ｂ
は、クランクシャフト１、２の中心間を結ぶ線にほぼ直
交する方向、すなわち、図２のＢ面からＣ面方向に延在
している。冷却フィン４４ａ，４４ｂの幅方向（上下方
向）端部側は、冷却フィン間を流れる冷却空気の流路が
形成されるように、カバー４５で覆われている。
【００２２】スクロール圧縮機では外周側からガスを吸
い込み、圧縮して中央部からガスを吐出するため、外周
部に比べて中心部の温度上昇が著しい。そして、中心部
は外部冷却風から距離的にも遠い位置にあるので、冷却
が困難であった。特に、ダブルスクロール型において
は、駆動力の増大に伴い、シングル型では１本だったク
ランクシャフトを複数本使用せざるを得ず、クランクシ
ャフトの配置によりその冷却可能構造が大幅に影響され
る。
【００２３】本実施例においては、図示しない冷却ファ
ンを用いて、２本のクランクシャフト間に形成された複
数個のほぼ平行な冷却流路に外部空気を導いている。そ
して、クランクシャフトをスクロール圧縮機の中心部か
ら外して構成し、クランクシャフトの駆動機構と支持機
構も中心部から外したので、中心部には冷却を阻害する
部品が無くなり、旋回スクロールの鏡板５aを直線的に
貫通する簡単な形状とすることができ、従来冷却困難で
あったスクロールの中心部をも冷却可能にしている。こ
れにより、冷却しない場合と比較し吐出温度を４０℃以
上低下させることができ、チップシール等のスクロール
部材の寿命を長くできる。また、図４に示すように固定
スクロール６の上下面には、鏡板５aに形成された複数
の流路に応じてその流路数よりは少ないが、同方向に向
いた吸込口１８及び排気口１９から延びる流路が形成さ
れている。したがって本実施例においては、旋回スクロ
ールの鏡板５aに設けた冷却流路１５と、固定スクロー
ル６に設けた吸込流路２２及び排気流路２３とはつなが
るように設けられているので、旋回スクロール５を冷却
して温度が上昇した冷却風は、クランクシャフトの軸受
部に回り込むことが少なく、軸受等の温度上昇が防止さ
れ、軸受寿命の向上と信頼性の向上が図られる。
【００２４】なお、上記実施例においては、吸込口１８
及び排気口１９を一方の固定スクロール６に設けたが、
両方の固定スクロール６、７を組み合わせて吸い込み口
や排気口を設けてもよい。この場合、組み合わせ面にシ
ール等の部材が必要となるが、固定スクロールの鋳物型
は簡単になる。また、鏡板５aを厚く形成したので、ク
ランクシャフト１、２を保持する軸受９の取り付けが容
易になるという効果もある。
【００２５】図５に、本発明に係るスクロール圧縮機の
第２の実施例をスクロール部を断面にして示す。旋回ス
クロール２０の鏡板には、図３に示したのと同様な冷却
流路が形成されている。固定スクロール２１には吸込口
１８と排気口１９が設けられている。吸込口１８の上流
には空気濾過用のフィルタ２５が配置されており、圧縮
用及び冷却用の空気が通過する。フィルタ２５を通過し
て埃などを取り除かれた空気は、旋回スクロール２０の
冷却通路と固定スクロールラップと旋回スクロールラッ
プとが形成する圧縮室２４へと分岐して流入する。この
際、圧縮室２４に流入する流量は、旋回スクロールの回
転により吸込側が負圧となるので、自動的に決定され
る。旋回スクロール２０の鏡板に形成された冷却通路を
通過した空気は排気口１９から排出され、一方、スクロ
ール圧縮機の圧縮室に流入した空気はクランクシャフト
の回転により圧縮され高温となり、スクロール圧縮機の
中央部に形成した吐出口から需要先へと送られる。本実
施例においては、冷却空気流路と圧縮ガス流路をフィル
タ部で連通したので、スクロール圧縮機の流路構造が簡
単になると共に、塵や埃等が機器の内部に入り込むのを
防止できるので、スクロール圧縮機の信頼性が向上す
る。
【００２６】本発明の第３の実施例を、図６ないし図１
０を用いて説明する。図６は、固定スクロールの正面
図、図７、８はダストラップ部の詳細断面図、図９、１
０はダストラップを旋回スクロールに設けたときの図
で、図９は旋回スクロールの正面図、図１０はダストラ
ップ部の詳細断面図である。固定スクロール２６のスク
ロールラップ２７を囲むように、ダストラップ２８が形
成されている。ここで、ダストラップ２８はほぼ円筒状
であり、その幅方向、すなわち図面において紙面の裏側
から表側方向の高さは、ほぼ固定スクロールラップ２７
の高さに等しい。つまり、スクロール圧縮機として組み
立てられたときに、この固定スクロール２６のラップと
噛み合うラップを有する旋回スクロールの鏡板と僅かな
隙間を形成するだけである。このダストラップ２８に
は、固定スクロール２６の外表面に形成された吸気口１
０に連通し袋状に形成された圧縮用空気の吸込通路２９
とダストラップ内側に形成される圧縮室（スクロールラ
ップ２７部）とを連通するための連通口が形成されてい
る。なお、ダストラップ２８の幅方向先端部には、図７
または図８に示すようなシール溝３０が設けられてい
る。このシール溝３０には、ダストシール３１が嵌合さ
れる。ダストシール３１は、旋回スクロールの鏡板３２
と接触するか、もしくは微少な隙間を有している。ダス
トシール３１としては、四ふっ化エチレン樹脂等のエン
ジニアリングプラスチックが望ましい。そして、特に潤
滑作用を有する材質であることが好ましい。このダスト
シール３１は、吸込口から流入する冷却空気がスクロー
ルラップ２７により形成される圧縮室に流入することを
防止する作用がある。また、図８に示すようにダストシ
ール３１とシール溝３０の底面間にOーリング等に相当
する弾性体３３を配設することにより、積極的に旋回ス
クロールの鏡板３２にダストシール３１を押しつけても
よい。この場合、シール性が、一段と向上する。なお、
図９、図１０に示すように、ダストラップ３４を旋回ス
クロール３５側に設けてもよい。この場合も、図７や図
８に示すのと同様に、固定スクロールの内壁面との間に
微小の隙間を設けてもよいし、固定スクロールの内壁面
に弾性を有するシール材を用いて接触させてもよい。微
小隙間をもたせた場合には、冷却空気の漏れはあるもの
の、接触面抵抗が無い分スクロール圧縮機の駆動力を低
減できる。一方、接触させた場合には、駆動力は増える
ものの、圧縮室に冷却空気が混入することがないので、
スクロール圧縮機の信頼性が向上する。
【００２７】さらに、上述したダストラップ２８、３４
を備えたスクロール圧縮機において、旋回スクロールと
固定スクロール間のスラストギャップをスクロールラッ
プ部において確認できるように冷却風の吸込口１８の位
置を決定する。つまり、図４において、冷却風の吸込口
１８及び吸込流路２２を圧縮機内部の構造が見えるもし
くは測定できるようにほぼ直線状に形成する。これによ
り、ダストラップと鏡板またはダストラップと内壁面と
の隙間が、目視または測定により確認できる。
【００２８】本発明の第４の実施例を、図１１および図
１２を用いて説明する。図１１は、固定スクロールの正
面図、図１２は旋回スクロールの正面図である。この図
１１においては上述した実施例と、固定スクロール３７
に形成したダストラップ３８に冷却フィン３９を設ける
点で相違している。このように構成することにより、吸
気口４０から吸い込まれた空気の一部は旋回スクロール
の鏡板に形成した冷却通路を通って、その一部が固定ス
クロールのダストラップ３８を冷却する事が可能にな
る。その結果、スクロール圧縮機の冷却効率が向上し、
スクロール圧縮機の信頼性及び性能が向上する。
【００２９】図１２に、固定スクロールにダストラップ
４２を形成し、そのダストラップ４２に冷却フィン４３
を設けた例を示す。吸気口から吸い込まれた空気の一部
は旋回スクロール４１の鏡板に形成した冷却通路を通
り、その一部が旋回スクロール４１のダストラップ４２
を冷却する。この場合にも上記実施例と同様、スクロー
ル圧縮機の冷却効率が向上し、スクロール圧縮機の信頼
性及び性能が向上するという作用・効果を奏する。
【００３０】以上、各実施例では、ダストラップを固定
スクロールまたは旋回スクロールと一体に形成する場合
を述べているが、別体であってもよいことは言うまでも
ない。また、放熱フィンもダストラップと一体でも、別
体であってもよい。さらに、旋回スクロールの鏡板や固
定スクロールに形成する流路は、断面矩形状であっても
よいし、断面円形等であってもよい。また、大きな流路
を形成して、その流路を壁面で区画する構成であっても
よい。さらにまた、外部冷却風の吸込口、排気口の位置
を上下逆にしてもよいし、本スクロール圧縮機のクラン
クシャフトの向きを鉛直方向にしてもよい。さらに、ク
ランクシャフトと補助クランクシャフト軸が上下に位置
するようにしてもよい。要するに、本発明はダブルスク
ロール型圧縮機において、旋回スクロールの熱をいかに
効率よく放熱してスクロール圧縮機の信頼性と性能の少
なくとも何れかの向上を図ったものであり、本発明は上
記実施例に記載のものに限るものではなく、本発明の範
囲は特許請求の範囲の記載によって示されており、それ
らの記載の意味の中に入る全ての変形例は本発明に含ま
れるものである。
【００３１】
【発明の効果】本発明によれば、鏡板の両側にラップを
有する旋回スクロールを備えたダブルスクロール型圧縮
機において、旋回スクロールの中央部に位置する鏡板に
貫通する冷却流路を形成したので、旋回スクロールを効
果的に冷却することができる。それにより、スクロール
圧縮機の性能向上と信頼性の向上が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るダブルスクロール圧縮機の一実施
例の縦断面図。
【図２】図１に示したダブルスクロール圧縮機の一実施
例の正面図。
【図３】本発明に係るダブルスクロール圧縮機に用いら
れる冷却孔つき旋回スクロールの一実施例の俯瞰図。
【図４】本発明に係るダブルスクロール圧縮機に用いら
れる固定スクロールの一実施例の俯瞰図。
【図５】図１のV-V断面図。
【図６】本発明に係るダブルスクロール圧縮機に用いら
れるダストラップを備えた固定スクロールの一実施例の
正面図。
【図７】図６に示した固定スクロールに用いられるダス
トラップの詳細横断面図。
【図８】図７に示したダストラップの変形例の詳細横断
面図。
【図９】本発明に係るダブルスクロール圧縮機に用いら
れる、ダストラップを有する旋回スクロールの一実施例
の正面図。
【図１０】図９に示したダストラップの詳細横断面図。
【図１１】本発明に係るダブルスクロール圧縮機に用い
られる冷却フィン付ダストラップを備えた固定スクロー
ルの一実施例の正面図。
【図１２】本発明に係るダブルスクロール圧縮機に用い
られる冷却フィン付ダストラップを備えた旋回スクロー
ルの一実施例の正面図。
【符号の説明】
１…クランクシャフト、 ２…補助クランク、 ３a,３
b…タイミングプーリ、４…タイミングベルト、 ５…
旋回スクロール、 ６…固定スクロール、７…固定スク
ロール、 ８…吐出口、 ９…プーリ、 １０…吸気
口、１１a,１１b,１１c,１１d…バランスウエイト、
１２…旋回スクロール、１３…鏡板、 １４…スクロー
ルラップ、 １５…冷却孔、１６…固定スクロール、
１７…固定スクロール、 １８…吸込口、１９…排気
口、 ２０…旋回スクロール、 ２１…固定スクロー
ル、２２…吸込流路、 ２３…排気流路、２４…圧縮
室、 ２５…フィルタ、２６…固定スクロール、 ２７
…スクロールラップ、 ２８…ダストラップ、２９…通
路、 ３０…シール溝、 ３１…ダストシール、 ３２
…鏡板、３３…弾性体、 ３４…ダストラップ、 ３５
…旋回スクロール、３６…底面、 ３７…固定スクロー
ル、 ３８…ダストラップ、３９…冷却フィン、 ４０
…吸気口、 ４１…旋回スクロール、４２…ダストラッ
プ、 ４３…冷却フィン、 ４４…冷却フィン、４５…
カバー。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 昭 静岡県清水市村松390番地 株式会社 日立製作所 空調システム事業部内 (72)発明者 町田 茂 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所 機械研究所内 (56)参考文献 特開 平８−219067（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−254191（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−319966（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−101666（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−32744（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−114188（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−341384（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−103151（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−125188（ＪＰ，Ｕ) 実開 平６−49795（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) F04C 18/02 311 F04C 18/02 F04C 29/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】鏡板の両側に螺旋状のラップを有する旋回
    スクロールと、このラップに噛み合うラップを有し前記
    旋回スクロールの両側に配置された第１、第２の固定ス
    クロールと、前記旋回スクロールを回転駆動するクラン
    クシャフトと、このクランクシャフトと同期回転する補
    助クランクシャフトと、これらクランクシャフトと補助
    クランクシャフトを同期回転させる駆動機構とを備えた
    スクロール圧縮機において、 前記旋回スクロールの鏡板は、２つのクランクシャフト
    の中心間を結ぶ直線に対してほぼ直交する複数の冷却流
    路を有し、 前記ラップを有する第１及び第２の固定スクロールの少
    なくとも何れかは、ラップの外周部にこのラップを囲繞
    するダストラップを有し、このダストラップの幅方向端
    部に溝を形成し、この溝に嵌合するダストシールを備
    え、 前記ダストラップを備えた固定スクロールには作動ガス
    を吸入するための吸気口を形成すると共に、この吸気口
    とスクロールラップ部とを連通するための連通口をこの
    ダストラップに形成 していることを特徴とするスクロー
    ル圧縮機。
  2. 【請求項２】鏡板の両側に螺旋状のラップを有する旋回
    スクロールと、このラップに噛み合うラップを有し前記
    旋回スクロールの両側に配置された第１、第２の固定ス
    クロールと、前記旋回スクロールを回転駆動するクラン
    クシャフトと、このクランクシャフトと同期回転する補
    助クランクシャフトとを備え、前記第１及び第２の固定
    スクロールの少なくとも何れかに形成された吸込口から
    吸い込まれた空気を前記第１及び第２の固定スクロール
    の少なくとも何れかに形成された吐出口から吐出するス
    クロール圧縮機において、 前記第１の固定スクロールは旋回スクロールを冷却する
    冷却風の入口と出口を備え、前記ラップを有する第１及
    び第２の固定スクロールの少なくとも何れかは、ラップ
    の外周部にこのラップを囲繞するダストラップを有し、
    前記ダストラップと前記旋回スクロールの鏡板との間で
    形成される隙間を前記冷却風の入口または出口から測定
    可能にしたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 【請求項３】鏡板の両側に螺旋状のラップを有する旋回
    スクロールと、このラップに噛み合うラップを有し前記
    旋回スクロールの両側に配置された第１、第２の固定ス
    クロールと、前記旋回スクロールを回転駆動するクラン
    クシャフトと、このクランクシャフトと同期回転する補
    助クランクシャフトとを備え、前記第１及び第２の固定
    スクロールの少なくとも何れかに形成された吸込口から
    吸い込まれた空気を前記第１及び第２の固定スクロール
    の少なくとも何れかに形成された吐出口から吐出するス
    クロール圧縮機において、 前記第１の固定スクロールは旋回スクロールを冷却する
    冷却風の入口と出口を備え、前記ラップを有する旋回ス
    クロールは、ラップの外周部にこのラップを囲繞するダ
    ストラップを有し、前記ダストラップと前記第１、第２
    の固定スクロールとの間で形成される幅方向隙間を前記
    冷却風の入口または出口から測定可能にしたことを特徴
    とするスクロール圧縮機。
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