JP3478895B2 - 加速度センサ及びその製造方法 - Google Patents

加速度センサ及びその製造方法

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JP3478895B2
JP3478895B2 JP03551195A JP3551195A JP3478895B2 JP 3478895 B2 JP3478895 B2 JP 3478895B2 JP 03551195 A JP03551195 A JP 03551195A JP 3551195 A JP3551195 A JP 3551195A JP 3478895 B2 JP3478895 B2 JP 3478895B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリコン基板の表面側
に形成された薄膜をエッチングすることによって製造さ
れる加速度センサ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車におけるABS(アンチロ
ックブレーキシステム)、エアバッグシステム、サスペ
ンションコントロールシステム等に利用される加速度セ
ンサとして、例えば図14,図15に示されるバルク型
の歪みゲージ式加速度センサ50が知られている。
【0003】このタイプの加速度センサ50は、直方体
状をした面方位(100)のシリコン単結晶基板51の
バルクを、その表面及び裏面の双方から選択的にエッチ
ング(結晶異方性エッチング)することによって製造さ
れる。エッチングによって形成されたカンチレバー構造
部52は、マス部54と複数の梁53によって構成され
ている。マス部54は、おもりの役割を果たすものであ
り、梁53によって支持されている。各梁53の上面に
は、複数の歪みゲージ55が形成されている。従って、
この加速度センサ50に加速度が印加すると、マス部5
4が所定の方向に変位し、梁53に湾曲が生じる。この
とき、梁53の上面に形成された歪みゲージ55に歪み
が生じる結果、いわゆるシリコンのピエゾ抵抗効果によ
って、歪みゲージ55の抵抗値が増加または減少する。
そして、この抵抗値の変化を検出することによって、加
速度が検知される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の加速
度センサ50の場合、所定の検出感度を得るためには、
少なくとも厚さtが200μm〜300μmのシリコン
単結晶基板51を使用して、ある程度肉厚なマス部54
を形成する必要がある。
【0005】しかし、肉厚なシリコン単結晶基板51を
裏面側からエッチングするときには、異方性エッチング
の特性(即ち、(111) 面に沿った開口角θ=125.26 °の
エッチング穴が形成されること)を考慮して、開口部a
の寸法をある程度大きく設定しなければならない。これ
に伴ってチップの幅Wも大きくなり、加速度センサ50
全体の小型化が充分に図れないという問題があった。
【0006】また、図15に示されるように、バルク型
の加速度センサ50は、通常、シリコン単結晶基板51
の裏面に塗布されたダイボンド材56を介して別の基板
57上に接合される。この場合、マス部54を変位可能
な状態にするためには、マス部54へのダイボンド材5
6の付着や、マス部54と基板57との接触を回避させ
ておく必要がある。しかし、そのためにはシリコン単結
晶基板51の裏面に台座58を配置する必要があり、加
速度センサ50の実装作業が煩雑であった。
【0007】上記のバルク型の加速度センサ50とは別
のタイプのセンサとして、シリコン基板の表面側に形成
された薄膜をエッチングすることによって製造される、
いわゆる表面型の加速度センサが知られている。例えば
特公平4−71344号公報には、この種の加速度セン
サを「陽極化成」によって製造する方法が開示されてい
る。その概要を以下に簡単に記す。
【0008】まずp型単結晶シリコン基板の一部を陽極
化成し、多孔質シリコン層を形成する。次に、その表面
にp型の単結晶シリコン層をエピタキシャル成長させ
る。次にそのエピタキシャル成長層の一部を除去し、そ
こから露出した多孔質シリコン層を酸化させる。次にエ
ピタキシャル成長層上面の所定部分に、n型の拡散歪み
ゲージを形成する。次に酸化された多孔質シリコン層を
ふっ酸でエッチングし、エピタキシャル成長層の下部に
空洞部を形成する。最後に前記拡散歪みゲージに電極を
形成して、表面型の加速度センサを完成させる。
【0009】ところが、この製造方法には次の〜に
記す問題点があった。即ち、p型単結晶シリコン基板
上にSi3 4 マスクを配置し、その開口部を陽極化成
するという方法が採られているため、陽極化成部の大き
さや深さにばらつきが生じやすい。従って、処理温度や
処理時間等を厳密に設定する必要がある。ポーラスな
多孔質シリコン上へのエピタキシャル成長層の形成は、
極めて困難である。エピタキシャル成長層がp型であ
るため、拡散歪みゲージをn型にする必要がある。この
場合、拡散歪みゲージがp型であるときに比べてゲージ
ファクターが小さくなり、所望の検出感度が得られな
い。
【0010】また、上記の特公平4−71344号公報
の加速度センサに限られず、表面型の加速度センサの場
合、大きなマス部や複雑な内部形状を有するマス部を形
成することが一般的に難しかった。そのため、バルク型
と同等の検出感度を備えた表面型の加速度センサの登場
が望まれていた。
【0011】本発明は上記の課題を解消するためになさ
れたものであり、その目的は、小型化、高感度化及び実
装容易化を達成することができる加速度センサを提供す
ることにある。
【0012】また、本発明の別の目的は、上記の優れた
加速度センサを確実に製造することができるばかりでな
く、製造時の工程簡略化及び作業容易化を達成すること
ができる加速度センサの製造方法を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明は、p型単結晶シリコン基
板の表面側に形成された凹部内にカンチレバー構造部を
変位可能に配置した加速度センサにおいて、前記カンチ
レバー構造部は、n型シリコン層からなる第1のマス部
と、p型シリコン層からなり前記第1のマス部の下面略
中央部から突出する第2のマス部と、前記第1のマス部
をその側方から支持する梁とによって構成される加速度
センサをその要旨とする。
【0014】請求項2に記載の発明は、請求項1におい
て、前記第1のマス部は、矩形状でありかつその側方か
ら延びる4本の梁によって支持されている。請求項3に
記載の発明は、請求項2において、前記第2のマス部の
形状は略四角錐である。
【0015】 請求項4に記載の発明は、請求項1乃至
3のいずれか1項において、前記第1のマス部は、n型
シリコン単結晶のエピタキシャル成長層からなる。請求
項5に記載の発明は、不純物添加によって、p型単結晶
シリコン基板の表面側の所定領域に第1のp型シリコン
層を形成する工程と、前記第1のp型シリコン層を形成
した前記p型単結晶シリコン基板の上面にn型単結晶シ
リコンのエピタキシャル成長層を形成することによっ
て、同エピタキシャル成長層内に前記第1のp型シリコ
ン層を埋め込む工程と、不純物添加によって、前記第1
のp型シリコン層を埋め込んだ前記エピタキシャル成長
の上面から前記第1のp型シリコン層へ到達するよう
開口部形成用の第2のp型シリコン層を前記エピタキ
シャル成長層に形成する工程と、前記エピタキシャル成
長層の上面にp型シリコンからなる歪みゲージを形成す
る工程と、前記第2のp型シリコン層及び前記歪みゲー
ジを形成した後、前記エピタキシャル成長層の上面にエ
ッチングレジストを形成した状態で陽極化成処理を行う
ことによって、前記第1のp型シリコン層及び第2のp
型シリコン層を、前記第2のマス部となるべき領域を残
してp型多孔質シリコン層に変化させる工程と、前記第
1のp型シリコン層及び第2のp型シリコン層を前記p
型多孔質シリコン層に変化させた後、前記エピタキシャ
ル成長層の上面に前記歪みゲージに接続する配線パター
ンを形成し、その配線パターンを覆うパッシベーション
膜を形成する工程と、前記パッシベーション膜を形成し
た後、前記p型多孔質シリコン層をアルカリエッチング
によって除去することにより、前記p型多孔質シリコン
層があった部分を空洞化する工程とからなる請求項1乃
至4のいずれか1項の加速度センサを製造する方法をそ
の要旨とする。
【0016】 請求項6に記載の発明は、請求項5にお
いて、前記開口部形成用の第2のp型シリコン層は、前
記第1のマス部が形成されるべき領域を包囲するように
形成されるとしている。
【0017】
【作用】請求項1〜4に記載された発明によると、第1
のマス部に加えて第2のマス部が形成されているため、
第1のマス部のみの場合に比べて加速度に対する反応性
が高くなる。また、カンチレバー構造部をn型単結晶シ
リコンのエピタキシャル成長層からなるものとしたこと
により、その上にゲージファクターの大きなp型シリコ
ンからなる歪みゲージを形成することができる。さら
に、この加速度センサはいわゆる表面型であるため、p
型単結晶シリコンの裏面からの異方性エッチングを経る
ことなく製造される。
【0018】 請求項5に記載の発明によると、所定領
域にあらかじめ第1のp型シリコン層及び第2のp型シ
リコン層を形成した後、その第1のp型シリコン層及び
第2のp型シリコン層を陽極化成することにより、後に
空洞化されるべき部分に多孔質シリコン層が形成され
る。このとき、第2のマス部が形成されるべき領域につ
いては陽極化成を受けないように処理条件が設定され
る。この多孔質シリコン層に対してアルカリエッチング
を行うと、非多孔質部分よりも易溶な多孔質シリコン層
のみが選択的にエッチングされる。この結果、空洞化さ
れずに溶け残った部分に第2のマス部が形成される。
【0019】 請求項6に記載の発明によると、開口部
形成用の第2のp型シリコン層が第1のマス部が形成さ
れるべき領域を包囲しているため、シリコンの多孔質化
が同領域の下面中央部に向かって均等に進行しやすくな
る。
【0020】
【実施例】
〔実施例1〕以下、本発明を表面型の加速度センサ1に
具体化した実施例1を図1〜図9に基づき詳細に説明す
る。
【0021】図1,図2には、本実施例の加速度センサ
1の構成が概略的に示されている。面方位(110)の
p型シリコン単結晶基板(以下、単にシリコン基板と呼
ぶ。)2の表面側中央部には、多孔質化されたp型シリ
コンからなる層をアルカリエッチングすることによって
得られる略正方形状の凹部3が形成されている。この凹
部3は、矩形状をした4つの開口部4を有している。ま
た、この凹部3内には、いわゆるHブリッジ型のカンチ
レバー構造部が上下方向(シリコン基板2の厚さ方向)
に変位可能に配置されている。
【0022】図1,図2に示されるように、前記カンチ
レバー構造部は、第1のマス部5及び第2のマス部6か
らなる質量体Mと、前記第1のマス部5をその側方から
支持する4本の梁7とによって構成されている。
【0023】第1のマス部5は、シリコン基板2上に積
層されたn型シリコン層(詳細にはn型単結晶シリコン
のエピタキシャル成長層8)によって構成されている。
この実施例の場合、加速度センサ1の上面側から見たと
きの第1のマス部5の形状は矩形である。第2のマス部
6は、第1のマス部5の下面中央部から所定高さだけ突
出している。略四角錐状をした第2のマス部6は、エピ
タキシャル成長層8内に埋め込まれたp型シリコン層2
6からなる。なお、前記四角錐の4つの底辺は、対応す
る第1のマス部5の4つの辺にそれぞれ略平行な関係に
ある。第1のマス部5及び第2のマス部6からなる質量
体Mは、加速度が印加した際に揺動するおもりとしての
機能を有する。各々の梁7は、n型単結晶シリコンのエ
ピタキシャル成長層8によって構成されるとともに、第
1のマス部5の4つのコーナー部に連結されている。な
お、これらの梁7は互いに平行な関係にある。
【0024】各梁7の上面には、不純物添加によって、
p型シリコンからなる拡散歪みゲージ10が形成されて
いる。図1において概略的に示されるように、拡散歪み
ゲージ10は、各梁7の上面に2つずつ直列にレイアウ
トされている。各拡散歪みゲージ10の長手方向は、い
ずれも各梁7の延びる方向(即ち、<111> 方向)と平行
な関係にある。
【0025】図2に示されるように、エピタキシャル成
長層8の上面には、層間絶縁層としての薄い酸化膜(S
iO2 膜)11が形成されている。この酸化膜11の上
面には、スパッタリングや真空蒸着等の物理的成膜法に
よって、アルミニウム製の配線パターン12及びボンデ
ィングパッド13が形成されている。また、前記酸化膜
11の所定部分、即ち拡散歪みゲージ10の両端上側と
なる部分には、層間接続用のコンタクトホール14が形
成されている。コンタクトホール14は、配線パターン
12とその下層にある拡散歪みゲージ10とを電気的に
接続している。そして、これらの配線パターン12は、
シリコン基板2の外縁部上面に配置されたボンディング
パッド13にそれぞれ電気的に接続されている。酸化膜
11の上面には、表層における絶縁を図るための薄いパ
ッシベーション膜15が、上記の物理的成膜法によって
形成されている。前記パッシベーション膜15の所定部
分に設けられた開口部からは、ボンディングパッド13
が露出されている。
【0026】図2には、加速度センサ1を別の基板(マ
ザーボード)16に実装した状態が示されている。即
ち、シリコン基板2の裏面には全体的にダイボンド材1
7が塗布され、そのダイボンド材17を介してシリコン
基板2とマザーボード16とが接合される。そして、シ
リコン基板2側のボンディングパッド13とマザーボー
ド16側のボンディングパッド18とは、ワイヤボンデ
ィング19を介して電気的に接続される。なお、前記マ
ザーボード16には、加速度センサ1からの出力電圧に
基づいて加速度を求めるための信号処理回路が形成され
ている。
【0027】この加速度センサ1において、各部の取り
うる寸法の範囲は以下の通りである。シリコン基板2の
幅W及び厚さ(ただし、エピタキシャル成長層8等の薄
膜を含む。)tは、それぞれ数百μm,数百μm〜数mm
(本実施例では約1000μm,約550μm)であ
る。エピタキシャル成長層8の厚さは、数μm〜数十μ
m(本実施例では約10μm)である。酸化膜11の厚
さ及びパッシベーション膜15の厚さは、それぞれ0.
5μm〜1μm,0.5μm〜1μm(本実施例では1
μm,1μm)である。第1のマス部5の底面と凹部3
の底面との間の間隙C1 は、数μm〜数十μm(本実施
例では約10μm)である。第2のマス部6の最大突出
高さは数μm〜数十μm(本実施例では約5μm)であ
る。
【0028】この場合、第2のマス部6の下頂点6aと
その下頂点6aの下方に位置する凹部3の底面中央部と
の間隙C2 は、数μm〜数十μm程度であることがよ
い。前記間隙C2 が小さすぎると、小さな加速度が印加
しただけで、第2のマス部6の下頂点6aが凹部3の底
面中央部に当接してしまう。従って、加速度が印加した
ときに質量体Mが変位しうる範囲が限られてしまい、大
きな加速度の検出が不能となる。一方、前記間隔C2 が
大きいと、大きな加速度が印加しなければ、下頂点6a
が凹部3の底面中央部に当接しなくなる。従って、必要
以上に質量体Mが変位することによって、加速度センサ
1が破壊するおそれがある。つまり、この場合には第2
のマス部6の下頂点6aがストッパとしての機能を果た
さないからである。
【0029】この加速度センサ1に図1の矢印A1 の方
向から加速度が印加すると、両マス部5,6が下方に変
位し、各梁7に湾曲が生じる。このとき、拡散歪みゲー
ジ10に歪みが生じる結果、シリコンのピエゾ抵抗効果
によって拡散歪みゲージ10の抵抗値が増加または減少
する。そして、この抵抗値の変化を検出することによっ
て、加速度が検知される。
【0030】次に、この加速度センサ1を製造する手順
を図3〜図9に基づいて詳細に説明する。まず、直方体
状をした面方位(110)のp型単結晶シリコン基板2
を用意する。そして、シリコン基板2を高温の酸化雰囲
気中に晒すことによって、外表面に薄い酸化膜25を形
成する。次いで、この酸化膜25をフォトエッチングす
ることによって、このシリコン基板2の表面側に、矩形
状の開口部を有するマスクを形成する。なお、前記マス
クの開口部は、後に凹部3が形成されるべき領域に対応
している。次に、前記シリコン基板2に対してイオン注
入等によってほう素を打ち込み、さらにそのほう素を熱
拡散させる。この結果、図3に示されるように、シリコ
ン基板2のほぼ中央部にp型シリコン層26が形成され
る。
【0031】次に、図4に示されるように、p型シリコ
ン層26が形成されたシリコン基板2の上面に、気相成
長によってn型単結晶シリコンのエピタキシャル成長層
8を形成する。その結果、エピタキシャル成長層8内に
p型シリコン層26が埋め込まれた状態となる。なお、
埋め込まれたp型シリコン層26は、いわゆる這い上が
り現象によってエピタキシャル成長層8側にも拡散す
る。
【0032】この後、エピタキシャル成長層8が形成さ
れたシリコン基板2の表面に、上記と同様の手順によっ
てマスク(図示略)を形成する。さらに、フォトエッチ
ングによって同マスクの所定領域に開口部を4つ形成す
る。
【0033】次に、前記シリコン基板2に対してイオン
注入等によってほう素を打ち込み、さらにそのほう素を
熱拡散させる。この結果、エピタキシャル成長層8に、
矩形状をした開口部形成用のp型シリコン層27が4つ
形成される。このp型シリコン層27は、埋め込まれて
いるp型シリコン層26の深さまで到達する。この場
合、開口部形成用のp型シリコン層27は、第1のマス
部5が形成されるべき領域を包囲するように形成され
る。なお、図5に示されるように、不要となったマスク
はこの後に剥離される。
【0034】次に、シリコン基板2のエピタキシャル成
長層8の上面に、図示しないマスクを配置する。次い
で、前記シリコン基板2に対してイオン注入等によって
ほう素を打ち込み、さらにそのほう素を熱拡散させる。
この結果、図6に示されるように、後に梁7の上面とな
るべき部分に拡散歪みゲージ10が形成される。
【0035】次いで、エピタキシャル成長層8の上面を
全体的にエッチングレジスト28で被覆する。この後、
フォトリソグラフィによって、p型シリコン層27の上
面にあたる部分に開口部28aを4つ形成する。そし
て、シリコン基板2を高濃度のふっ酸水溶液中に浸漬
し、この状態でシリコン基板2を陽極として電流を流
す。前記のような陽極化成によってp型シリコン層2
6,27の部分のみを選択的に多孔質化することによ
り、図7に示されるように、当該部分をp型多孔質シリ
コン層9に変化させる。ただし、この場合において第2
のマス部6となるべき領域のみが、p型シリコン層26
のまま残るように陽極化成の諸条件を設定する。本実施
例では、そのときの好適な条件として、ふっ酸水溶液の
温度を10℃〜70℃に、処理時間を数分〜数百分に、
通電量を数mA/cm2 〜数十mA/cm2に設定して
いる。かかる範囲を逸脱すると、処理効率が悪化した
り、所望の形状をした第2のマス部6が得られなくなる
おそれがある。そして、上記の陽極化成の後、不要とな
ったエッチングレジスト28を剥離する。
【0036】図9は、陽極化成の進み方を概念的に表し
た図である。同図において、L1 〜L3 は陽極化成の最
前線を示している。シリコン部分の多孔質化は、まず第
1のマス部5となる領域の側面に位置するp型シリコン
層27の上層から始まり、徐々にその下層に及ぶ。p型
シリコン層27の多孔質化が終了すると、シリコン部分
の多孔質化は、次に第1のマス部5となる領域の下面に
位置するp型シリコン層26に及ぶ。そして、前記シリ
コン部分の多孔質化は、第1のマス部5となる領域の下
面外周部から下面中央部へと及ぶ。本実施例では、陽極
化成の最前線がL3 の状態となったときに陽極化成をス
トップさせる。従って、未改質部分であるp型シリコン
層26が、第1のマス部5となるべき領域の下面中央部
において四角錐状に残ることになる。なお、凹部3の底
面中央部となるべき箇所にも、同様の未改質部分ができ
る。
【0037】次に、前記シリコン基板2を酸素中または
空気中で加熱することにより、その上面に酸化膜11を
形成する。次いで、フォトエッチングを行うことによっ
て、酸化膜11の所定部分にコンタクトホール14を形
成する。このシリコン基板2に対してAlのスパッタリ
ングまたは真空蒸着を行った後、フォトリソグラフィを
行うことによって、配線パターン12及びボンディング
パッド13を形成する。
【0038】次いで、CVD等によってSiNやSi3
4 などを堆積させることにより、図8に示されるよう
に、シリコン基板2の上面に配線パターン12を覆うよ
うなパッシベーション膜15を形成する。前記パッシベ
ーション工程において、パッシベーション膜15には、
ボンディングパッド13を露出させるための開口部と、
p型シリコン層27を部分的に露出させるための開口部
とが形成される。
【0039】次に、TMAH(テトラメチルアンモニウ
ムハイドロオキサイド)でアルカリエッチングを行うこ
とによって、多孔質シリコン層9を異方性エッチングす
る。p型シリコン層26,27は、陽極化成を経て多孔
質化されることにより、比較的アルカリに溶解しやすく
なっている。従って、多孔質シリコン層9があった部分
には、空洞部29が容易に形成される。一方、陽極化成
を受けていない未改質部分、即ち第1のマス部5となる
べき領域の下面中央部は、多孔質部分ほどアルカリに溶
解しやすくはない。従って、この部分には溶け残りがで
き、結果として四角錐状をした第2のマス部6が形成さ
れる。図1,図2に示す加速度センサ1は、以上のよう
にして作製される。なお、本実施例のようにTMAHを
使用したアルカリエッチングの場合、好適な処理時間は
数分、好適な処理温度は数十℃である。
【0040】さて、本実施例の加速度センサ1の場合、
従来からある第1のマス部5(つまり、単純な形状のマ
ス部)に加えて、その下面中央部に第2のマス部6が形
成されている。このため、第2のマス部6を持たないも
のと比較して、質量部Mがよりいっそう重くなる。その
結果、質量部Mの加速度に対する反応性が確実に高くな
る。ゆえに、加速度センサ1の高感度化が達成される。
【0041】また、この加速度センサ1の場合、カンチ
レバー構造部を構成する梁7が、n型単結晶シリコンの
エピタキシャル成長層8によって形成されている。この
ため、エピタキシャル成長層8の上面に、ゲージファク
ターの大きなp型シリコンからなる拡散歪みゲージ10
を形成することができる。従って、n型シリコンからな
る拡散歪みゲージを備えた従来の加速度センサに比較し
て、より高感度なものになる。また、この加速度センサ
1はいわゆる表面型であるため、シリコン基板2の裏面
側からの異方性エッチングを経ることなく製造すること
ができる。よって、従来のバルク型の加速度センサに特
有の問題(即ち、(111) 面に沿ったエッチング穴が形成
されることに伴うチップ幅Wの増大など)も解消され
る。ゆえに、所定の検出感度を維持しつつ、加速度セン
サ1全体の小型化を図ることができる。加えて、表面型
の加速度センサ1であると、両マス部5,6がシリコン
基板2の底面から露出することがないため、ダイボンド
材17の付着やマザーボード16との接触という事態も
起こらない。従って、台座を配置する必要もなくなり、
加速度センサ1の実装作業が従来に比べて容易になる。
【0042】そして、本実施例の製造方法によると、次
のような作用効果を奏する。第1に、所定領域にあらか
じめp型シリコン層26,27を形成した後、同層を陽
極化成する方法であるため、シリコン基板2の表面を直
接的に陽極化成する従来方法と比較して、陽極化成部の
形状や深さにばらつきが生じにくい。これは、p型シリ
コン層26の厚さを高精度で制御できることにも関係が
ある。第2に、p型シリコン層26上にエピタキシャル
成長層8を形成する方法であるため、とりわけ形成が困
難であるということもない。第3に、エピタキシャル成
長層8が1段で済むのにもかかわらず、複雑な内部形状
を有する質量体Mを得ることができる。以上のようなこ
とから、この製造方法によると、加速度センサ1を製造
する際の工程簡略化及び作業容易化を達成することがで
きる。
【0043】さらに、p型多孔質シリコン層9を除去す
るこの製造方法であると、シリコン基板2の面方位に特
に制約を受けないというメリットがある。また、本実施
例の製造方法は、基本的にはバイポーラICの製造プロ
セスに近いものである。従って、加速度センサ1とバイ
ポーラICとを一体化できるというメリットがある。こ
のことは、加速度センサ1の小型化や高速化を実現する
うえで好都合である。また、開口部形成用のp型シリコ
ン層27は、第1のマス部5が形成されるべき領域を包
囲するように形成される。従って、シリコンの多孔質化
が同領域の下面中央部に向かって均等に進行しやすくな
る。ゆえに、ちょうど第1のマス部5の下面中央部に、
所望の第2のマス部6を形成することができる。
【0044】さらに、下頂点6aと凹部3の底面中央部
との間隙C2 が所定範囲に設定されていることから、第
2のマス部6にストッパとしての機能も確実に付与され
ている。従って、加速度センサ1の強度向上が図られる
とともに、比較的大きな加速度の検出も可能となる。 〔実施例2〕次に、図10に基づいて実施例2を説明す
る。なお、実施例1と同様の構成については同じ部材番
号を付すかわりに、その詳細な説明を省略する。また、
断面形状については実施例1の加速度センサ1のそれと
ほぼ同じになるため、図1等を参照することにする。
【0045】図10には、本実施例の表面型の加速度セ
ンサ31の構成が概略的に示されている。面方位(11
0)のp型シリコン単結晶基板(以下、単にシリコン基
板と呼ぶ。)2の表面側中央部には、多孔質化されたp
型シリコンからなる層をアルカリエッチングすることに
よって得られる略矩形状の凹部3が形成されている。こ
の凹部3は、所定形状の開口部32を有している。前記
凹部3内には、いわゆる片持ち式のカンチレバー構造部
が上下方向に変位可能に配置されている。このカンチレ
バー構造部は、第1のマス部5及び第2のマス部6から
なる質量体Mと、第1のマス部5を側方から支持する1
本の片持ち梁33とによって構成されている。
【0046】第1のマス部5は矩形状であり、シリコン
基板2上に積層されたn型単結晶シリコンのエピタキシ
ャル成長層8によって構成されている。略四角錐状をし
た第2のマス部6はp型シリコン層26からなり、第1
のマス部5の下面略中央部から所定高さだけ突出してい
る。片持ち梁33は、n型単結晶シリコンのエピタキシ
ャル成長層8によって構成されている。この片持ち梁3
3の上面には、不純物添加によってp型シリコンからな
る拡散歪みゲージ10が2つ形成されている。図10に
おいて概略的に示されるように、拡散歪みゲージ10
は、片持ち梁33の上面に直列にレイアウトされてい
る。各拡散歪みゲージ10の長手方向は、いずれも片持
ち梁33の延びる方向(即ち、<111> 方向)と平行であ
る。また、前記開口部32は、一部分(即ち片持ち梁3
3の部分)が切り欠かれた略ロ字状であり、第1のマス
部5を全体的に包囲している。
【0047】この加速度センサ31に図10の矢印A1
の方向から加速度が印加すると、両マス部5,6が全体
的に下方に変位し、片持ち梁33に湾曲が生じる。この
とき、拡散歪みゲージ10に歪みが生じる結果、シリコ
ンのピエゾ抵抗効果によって各拡散歪みゲージ10の抵
抗値が増加または減少する。そして、この抵抗値の変化
を検出することによって、加速度が検知される。なお、
この加速度センサ31は、開口部32を異なる形状にす
ることを除き、基本的には実施例1の製造方法に準拠し
て作製される(図3〜図8参照)。従って、その詳細な
説明については割愛する。
【0048】以上のような本実施例の加速度センサ31
及びその製造方法であっても、前記実施例1のときと同
様の作用効果を奏する。 〔実施例3〕次に、図11,図12に基づいて実施例3
を説明する。この実施例の加速度センサ36は、実施例
1,2とは異なり、いわゆる静電容量式の表面型三次元
加速度センサ36である。なお、上記実施例1と同様の
構成については同じ部材番号を付すかわりに、その詳細
な説明を省略する。
【0049】面方位(110)のシリコン基板2の表面
側中央部には、多孔質化されたp型シリコンからなる層
をアルカリエッチングすることによって得られる略正方
形状の凹部3が形成されている。この凹部3は、L字状
をした4つの開口部37を有している。また、この凹部
3内には、いわゆるバタフライ型の変位体が変位可能に
配置されている。
【0050】前記変位体は、マス部38、1本の支持柱
39及び4本の梁40によって構成されている。おもり
として機能する矩形状のマス部38は、n型エピタキシ
ャル成長層8からなる。p型シリコン層26からなる支
持柱39は、マス部38の下面中央部に形成されてい
る。図11に示されるように、この支持柱39はその中
央部に括れを有する四角柱であり、その各側面は凹面に
なっている。バネ部として機能する薄い梁40は酸化膜
11からなり、マス部38の側方に形成されている。従
って、支持柱39はマス部38を下面側から弾性的に支
承し、各梁40はマス部38を側面側から弾性的に支承
している。
【0051】前記マス部38の上面には、スパッタリン
グや真空蒸着等の物理的成膜法によって、5つの可動電
極41が形成されている。また、シリコン基板2の外縁
部の上面には、同じく物理的成膜法によって形成された
ボンディングパッド13が配置されている。前記可動電
極41とボンディングパッド13とは、マス部38の上
面から梁40の上面にわたって形成された配線パターン
12を介して電気的に接続されている。これらの配線パ
ターン12は、可動電極41と同様に物理的成膜法によ
って形成される。
【0052】シリコン基板2の上面には、裏面側に凹部
42aを有するガラス基板42が陽極接合法によって接
合されている。ガラス基板42を接合した場合、前記凹
部42aとシリコン基板2側の凹部3とによて、マス部
38を収容する1つの空間が区画される。ガラス基板4
2側の凹部42a内には、物理的成膜法によって5つの
固定電極43が形成されている。これらの固定電極43
は、それぞれ可動電極41と相対する位置に、同可動電
極41と一定の間隔を隔てて配置されている。従って、
これらの可動電極41と固定電極43とによって、合計
5つのコンデンサが構成されている。リファレンス用コ
ンデンサは、マス部38の中央部にレイアウトされてい
る。その他のコンデンサは、リファレンス用コンデンサ
の周囲にレイアウトされている。なお、各固定電極43
は、図示しない配線パターンを介してボンディングパッ
ド13に電気的に接続されている。
【0053】この加速度センサ36に、例えば図11の
矢印A1 の方向から加速度が印加すると、マス部38の
外縁部は下方に変位する反面、マス部38の中央部はい
ずれの方向にも変位しない。即ち、中央部の下面には支
持柱39が存在しているからである。従って、リファレ
ンス用コンデンサ以外のコンデンサのキャパシタンスに
変化が生じる。そして、このキャパシタンスの変化を検
出することによって、そのときの加速度が検知される。
【0054】次に、この加速度センサ1のシリコン基板
2側は、基本的には実施例1において示した手順に類似
した手順によって作製することができる。なお、この加
速度センサ36では拡散歪みゲージ10は不要であるた
め、その形成工程は省略されている。
【0055】まず、ほう素の打ち込み・熱拡散によっ
て、p型単結晶シリコン基板2の表面側の所定領域に、
p型シリコン層26を形成する(図3参照)。次に、シ
リコン基板2の上面にn型単結晶シリコンのエピタキシ
ャル成長層8を形成することによって、同エピタキシャ
ル成長層8内にp型シリコン層26を埋め込む(図4参
照)。次に、ほう素の打ち込み・熱拡散によって、エピ
タキシャル成長層8に開口部形成用のp型シリコン層2
7を形成する(図5参照)。
【0056】次に、エピタキシャル成長層8の上面にエ
ッチングレジスト28を形成した状態で陽極化成処理を
行う。この処理によって、各p型シリコン層26,27
を、支持柱39となるべき領域のみを残してp型多孔質
シリコン層9に変化させる(図7参照)。ただし、本実
施例においては上下の未改質部分が連結している必要が
あるため、陽極化成の条件は、前記実施例1,2のとき
よりも、いくぶん穏やかに設定される。ここでは、その
好適な条件として、ふっ酸水溶液の温度を数十℃に、処
理時間を数分に、通電量を数mA/cm2 〜数十mA/
cm2 に設定している。そして、上記の陽極化成の後、
不要となったエッチングレジスト28を剥離する。
【0057】次に、エピタキシャル成長層8の上面に可
動電極41及び配線パターン12を形成した後、さらに
パッシベーション膜15を形成する(図8参照)。この
後、p型多孔質シリコン層9をTMAHで異方性エッチ
ングすることにより、p型多孔質シリコン層9があった
部分を空洞化する。陽極化成を受けていない未改質部
分、即ち支持柱39となるべき領域は、多孔質部分ほど
アルカリに溶解しやすくはない。従って、この部分には
溶け残りができ、結果として所定形状の支持柱39が形
成される。以上のように作製された加速度センサ36の
下側部には、固定電極43があらかじめ形成されている
ガラス基板2が陽極接合される。
【0058】さて、本実施例の加速度センサ36と上記
実施例1,2の加速度センサ1,31とでは、溶け残り
部分の形状や拡散歪みゲージ10の有無等に若干の差異
はあるものの、基本構成については大きな差異はない。
また、その製造方法についても同じく大差はない。従っ
て、この加速度センサ36も実施例1,2と同様の効果
を奏する。即ち、加速度センサ36の小型化、高感度化
及び実装容易化を達成できるとともに、製造時の工程簡
略化及び作業容易化を達成することができる。
【0059】なお、本発明は上記実施例のみに限定され
ることはなく、例えば次のように変更することが可能で
ある。 (1) エピタキシャル成長層8の厚さや、p型シリコ
ン層26の埋め込み厚さ(即ち、p型多孔質シリコン層
9の厚さ)は、変更可能である。例えば図13(a),
図13(b)の加速度センサ45では、実施例1等に比
べてエピタキシャル成長層8が厚くなっている反面、p
型シリコン層26の埋め込み厚さが薄くなっている。逆
に、図13(c),図13(d)の加速度センサ46で
は、実施例1等に比べてエピタキシャル成長層8が薄く
なっている反面、p型シリコン層26の埋め込み厚さが
厚くなっている。ここで、両加速度センサ45,46を
比較した場合、第1のマス部5に対する第2のマス部6
の容積比は、後者の加速度センサ46のほうが大きいこ
とがわかる。つまり、後者の加速度センサ46のほう
が、第2のマス部6が付加したことによる質量増加の効
果が顕著に現れる結果となる。
【0060】(2) p型単結晶シリコン基板2として
面方位(110)以外の基板、例えば(111)基板や
(100)基板等を使用してもよい。なお、実施例1に
おいて(100)基板を使用すれば、より高感度にする
ことができる。
【0061】(3) TMAH以外のアルカリ系エッチ
ャントとして、例えばKOH、ヒドラジン、EPW(エ
チレンジアミン−ピロカテコール−水)等を使用しても
よい。
【0062】(4) 配線パターン12及びボンディン
グパッド13を形成する金属材料として、Alのほかに
例えばAu等を選択してもよい。 (5) 実施例1において、梁7の本数、形状、レイア
ウトを変更することは可能である。即ち、梁7の本数は
3本以下や5本以上でもよい。
【0063】(6) 加速度センサ1,31等を製造す
る場合、n型単結晶シリコンのエピタキシャル成長層8
に代えて、例えばn型の多結晶シリコン層やアモルファ
スシリコン層等を形成してもよい。ただし、n型単結晶
シリコンのエピタキシャル成長層8を使用した実施例の
構成が、検出感度の向上という観点からみて最も好まし
い。
【0064】(7) 実施例1,2において例示した拡
散型の歪みゲージ10に代えて、例えばCrや多結晶シ
リコン等からなる薄膜歪みゲージを形成してもよい。 (8) シリコン基板2の表面におけるカンチレバー構
造部の周囲のスペースに、信号論理回路等として機能す
るバイポーラICを形成してもよい。
【0065】(9) 第1のマス部5の形状は矩形以外
のもの、例えば円形、楕円形、三角形、その他の多角形
等でもよい。なお、ここに列挙した形状のマス部5の下
面に形成される第2のマス部6の形状も、円錐、楕円
錐、三角錐、その他の多角錐等にすることが許容され
る。
【0066】(10) 第2のマス部6の形成位置は、
必ずしも第1のマス部5の下面中央部でなくてもよく、
下面外縁部に近くてもよい。ただし、実施例1のような
Hブリッジ型の加速度センサ1においては、第2のマス
部6を極力中央部に配置することが検出精度向上にプラ
スに作用する。これとは逆に、実施例2の片持ち式の加
速度センサ31においては、第2のマス部6を極力を外
縁部(詳細には片持ち梁33とは反対側の外縁部)に配
置することがよい。
【0067】ここで、特許請求の範囲に記載された技術
的思想のほかに、前述した実施例及び別例によって把握
される技術的思想をその効果とともに以下に列挙する。 (1) 請求項1〜4のいずれかにおいて、カンチレバ
ー構造部の周囲にバイポーラICを形成すること。この
構成であると、加速度センサの小型化及び高速化が達成
できる。 (2) p型単結晶シリコン基板の表面側に形成された
凹部内にカンチレバー構造部を変位可能に配置した表面
型の加速度センサにおいて、前記カンチレバー構造部
は、n型エピタキシャル成長層からなる第1のマス部
と、p型シリコン層からなり前記第1のマス部の下面略
中央部から突出する第2のマス部と、前記第1のマス部
をその側方から支持する片持ち梁とによって構成される
加速度センサ。この構成であると、小型化、高感度化及
び実装容易化を達成できる。
【0068】(3) p型単結晶シリコン基板の表面側
に形成された凹部内に変位体を変位可能に配置し、前記
変位体の上面に可動電極を形成し、前記可動電極に相対
する位置に固定電極を離間させて配設した静電容量式の
加速度センサにおいて、前記変位体は、n型エピタキシ
ャル成長層からなるマス部と、p型シリコン層からなり
前記マス部の下面略中央部を支持する支持柱と、前記マ
ス部をその側方から支持する複数の梁とによって構成さ
れる静電容量式の加速度センサ。この構成であると、小
型化、高感度化及び実装容易化を達成できる。
【0069】なお、本明細書中において使用した技術用
語を次のように定義する。 「カンチレバー構造部: 加速度が印加した時に変位す
る部分を意味し、例えば複数本の梁によってマス部を支
持したものや、片持ち梁によってマス部を支持したもの
等をいう。」 「陽極化成: 電解液中で基板を陽極として電流を流す
ことにより、その基板に多孔質層を形成する一括改質加
工をいう。」
【0070】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜4に記
載の発明によれば、小型化、高感度化及び実装容易化を
達成できる加速度センサを提供することができる。請求
項3に記載の発明によれば、より高感度化を達成するこ
とができる。請求項5,6に記載の発明によれば、上記
の優れた加速度センサを確実に製造することができるば
かりでなく、製造時の工程簡略化及び作業容易化を達成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の加速度センサを示す概略斜視図。
【図2】同加速度センサの実装状態を示すA−A線にお
ける概略断面図。
【図3】(a)は同加速度センサの製造手順を示す部分
概略断面図、(b)はその概略平面図。
【図4】同じく(a)は部分概略断面図、(b)は概略
平面図。
【図5】同じく(a)は(b)のB−B線における部分
概略断面図、(b)は概略平面図。
【図6】同じく(a)は(b)のC−C線における部分
概略断面図、(b)は概略平面図。
【図7】同じく(a)は(b)のD−D線における部分
概略断面図、(b)は概略平面図。
【図8】同じく(a)は(b)のE−E線における部分
概略断面図、(b)は概略平面図。
【図9】陽極化成の進み方を示す説明図。
【図10】実施例2の加速度センサを示す概略斜視図。
【図11】実施例3の加速度センサを示す概略斜視図。
【図12】同加速度センサの概略断面図。
【図13】(a),(b)は別例1の加速度センサの製
造手順を示す断面図、(c),(d)は別例2の加速度
センサの製造手順を示す断面図。
【図14】従来のバルク型の加速度センサを示す概略平
面図。
【図15】同加速度センサの実装状態を示すF−F線に
おける概略断面図。
【符号の説明】
1,31,45,46…加速度センサ、2…p型単結晶
シリコン基板、3…凹部、5…第1のマス部、6…第2
のマス部、6a…下頂点、7…梁、8…n型シリコン層
としてのエピタキシャル成長層、9…p型多孔質シリコ
ン層、10…拡散歪みゲージ、12…配線パターン、1
5…パッシベーション膜、26,27…p型シリコン
層、28…エッチングレジスト,33…梁としての片持
ち梁、C2…間隙。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/84 G01P 15/12 H01L 21/306

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】p型単結晶シリコン基板(2)の表面側に
    形成された凹部(3)内にカンチレバー構造部を変位可
    能に配置した加速度センサ(1,31,45,46)に
    おいて、 前記カンチレバー構造部は、n型シリコン層(8)から
    なる第1のマス部(5)と、p型シリコン層(26)か
    らなり前記第1のマス部(5)の下面略中央部から突出
    する第2のマス部(6)と、前記第1のマス部(5)を
    その側方から支持する梁(7,33)とによって構成さ
    れる加速度センサ。
  2. 【請求項2】前記第1のマス部(5)は矩形状であり、
    かつその側方から延びる4本の梁(7)によって支持さ
    れている請求項1に記載の加速度センサ。
  3. 【請求項3】前記第2のマス部(6)の形状は略四角錐
    である請求項2に記載の加速度センサ。
  4. 【請求項4】前記第1のマス部(5)は、n型シリコン
    単結晶のエピタキシャル成長層(8)からなる請求項1
    乃至3のいずれか1項に記載の加速度センサ。
  5. 【請求項5】 不純物添加によって、p型単結晶シリコ
    ン基板(2)の表面側の所定領域に第1のp型シリコン
    層(26)を形成する工程と、前記第1のp型シリコン層(26)を形成した 前記p型
    単結晶シリコン基板(2)の上面にn型単結晶シリコン
    のエピタキシャル成長層(8)を形成することによっ
    て、同エピタキシャル成長層(8)内に前記第1のp型
    シリコン層(26)を埋め込む工程と、 不純物添加によって、前記第1のp型シリコン層(2
    6)を埋め込んだ前記エピタキシャル成長層(8)の上
    面から前記第1のp型シリコン層(26)へ到達するよ
    うに開口部形成用の第2のp型シリコン層(27)を
    記エピタキシャル成長層(8)に形成する工程と、 前記エピタキシャル成長層(8)の上面にp型シリコン
    からなる歪みゲージ(10)を形成する工程と、前記第2のp型シリコン層(27)及び前記歪みゲージ
    (10)を形成した後、 前記エピタキシャル成長層
    (8)の上面にエッチングレジスト(28)を形成した
    状態で陽極化成処理を行うことによって、前記第1の
    型シリコン層(26)及び第2のp型シリコン層(2
    7)を、前記第2のマス部(6)となるべき領域を残し
    てp型多孔質シリコン層(9)に変化させる工程と、前記第1のp型シリコン層(26)及び第2のp型シリ
    コン層(27)を前記p型多孔 質シリコン層(9)に変
    化させた後、前記エピタキシャル成長層(8)の上面に
    前記歪みゲージ(10)に接続する配線パターン(1
    2)を形成し、その配線パターン(12)を覆うパッシ
    ベーション膜(15)を形成する工程と、前記パッシベーション膜(15)を形成した後、 前記p
    型多孔質シリコン層(9)をアルカリエッチングによっ
    て除去することにより、前記p型多孔質シリコン層
    (9)があった部分を空洞化する工程とからなる請求項
    1乃至4のいずれか1項の加速度センサを製造する方
    法。
  6. 【請求項6】 前記第2のp型シリコン層(27)は、
    前記第1のマス部(5)が形成されるべき領域を包囲す
    るように形成される請求項5に記載の加速度センサの製
    造方法。
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