JPH11330493A - シリコン基板の陽極化成方法、それを利用した加速度センサの製造方法、加速度センサ - Google Patents

シリコン基板の陽極化成方法、それを利用した加速度センサの製造方法、加速度センサ

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JPH11330493A
JPH11330493A JP12780398A JP12780398A JPH11330493A JP H11330493 A JPH11330493 A JP H11330493A JP 12780398 A JP12780398 A JP 12780398A JP 12780398 A JP12780398 A JP 12780398A JP H11330493 A JPH11330493 A JP H11330493A
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layer
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silicon
silicon substrate
acceleration sensor
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JP12780398A
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Makoto Murate
真 村手
Hitoshi Iwata
仁 岩田
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Tokai Rika Co Ltd
Original Assignee
Tokai Rika Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 設計領域を確実にかつ選択的にポーラス化す
るでき、処理効率のよいシリコン基板の陽極化成方法を
提供すること。 【解決手段】 p型単結晶シリコン基板2と二層構造の
エピタキシャル成長層4,6との界面に、n型シリコン
埋込層21を形成する。n型シリコン埋込層21の上層
部においてシリコン拡散層5,7により側面側から包囲
される領域に、p型シリコン埋込拡散層19を形成す
る。p型シリコン埋込拡散層19に対応する位置に同層
の面積よりも小さな面積の開口部21aを、n型シリコ
ン埋込層21に形成しておく。この状態にてふっ酸溶液
24中で直流電源15の陽極側にp型単結晶シリコン基
板2を接続して通電する。その結果、二層構造のエピタ
キシャル成長層4,6の一部をポーラス化することな
く、それら4,6を側面側及び下面側から包囲する部分
を選択的にポーラス化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコン基板の陽
極化成方法、それを利用した加速度センサの製造方法、
加速度センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車におけるABS(アンチロ
ックブレーキシステム)、エアバッグシステム、サスペ
ンションコントロールシステム等に加速度センサが利用
されている。このような加速度センサの一種としては、
シリコン基板の表面側にマス部が変位可能に形成され、
そのマス部の上面に歪みゲージが形成された表面型の加
速度センサが知られている。特に最近では、マス部を形
成する方法として陽極化成技術が利用されている。ここ
で、陽極化成を使用した従来の表面型の加速度センサ4
1の製造手順の一例を、図7〜図9に基づき簡単に説明
する。
【0003】図7には、陽極化成に供されるp型単結晶
シリコン基板42が示されている。p型単結晶シリコン
基板42の表面側における所定領域には、p+ シリコン
埋込層43が形成されている。p型単結晶シリコン基板
42上には、n型シリコンからなる第1のエピタキシャ
ル成長層44が全体的に積層されている。第1のエピタ
キシャル成長層44の所定領域には、p+ シリコン拡散
層45が埋め込まれるようにして形成されている。第1
のエピタキシャル成長層44上には、n型シリコンから
なる第2のエピタキシャル成長層46が全体的に積層さ
れている。第2のエピタキシャル成長層46の所定領域
には、p+ シリコン拡散層47が形成されている。第2
のエピタキシャル成長層46上には、酸化膜48、配線
パターン49、パッシベーション膜50及び金属保護膜
51が形成されている。図示しない歪みゲージも、第2
のエピタキシャル成長層46内に既に形成されている。
なお、p+ シリコン拡散層47は外部に露出されてい
る。p型単結晶シリコン基板42の裏面側には全体的に
酸化膜52が形成されている。酸化膜52上には電極層
53が形成されていて、その電極層53とp型単結晶シ
リコン基板42上とは接続用開口部54を介して電気的
に接続されている。
【0004】陽極化成においては、直流電源55の陽極
側に前記電極層53を接続するとともに、陰極側に図示
しない対向電極を接続する。この状態でp型単結晶シリ
コン基板42及び対向電極をふっ酸溶液中に浸漬する。
すると、基板裏面側から表面側に向かう方向に直流電流
が流れ、それと反対方向にポーラス化が選択的に進行す
るようなっている(図7参照)。同図においてIは電流
の流れを示している。そして、このような陽極化成を経
ると、主としてp+ シリコン埋込層43、p+シリコン
拡散層45及びp+ シリコン拡散層47の部分が多孔質
シリコン層56に改質される(図8参照)。
【0005】この後、多孔質シリコン層56をアルカリ
でエッチングすることにより、多孔質シリコン層56が
ある部分を選択的に溶解除去して空洞化する。その結
果、両エピタキシャル成長層44,46にマス部57が
形成され、図9のような加速度センサ41を得ることが
できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来方法で
は陽極化成されるべき領域(設計領域)とは無関係の領
域にまで直流電流が流れてしまい、それが原因となって
化成速度が遅くなるという問題があった。ゆえに、処理
効率のよい陽極化成方法が望まれていた。
【0007】また、従来方法ではポーラス化される範囲
が設計領域よりも広がってしまうため、狙ったセンサ形
状を実現することが極めて困難であり、設計値通りのセ
ンサ特性を得ることができなかった。
【0008】さらに、従来方法ではアルカリで溶解除去
される無駄な分が多いため、経済的ではないという欠点
もあった。また、従来方法ではポーラス化が基板外周部
にまで広がって側壁に孔を開けてしまうおそれがあっ
た。従って、これを未然に回避するためには、基板サイ
ズを大型化せざるを得なかった。
【0009】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、その第1の目的は、設計領域を確実にかつ選択
的にポーラス化することが可能であって、しかも処理効
率のよいシリコン基板の陽極化成方法を提供することに
ある。
【0010】本発明の第2の目的は、小型かつ高感度・
高強度であって経済性にも優れた表面型の加速度センサ
を提供することにある。本発明の第3の目的は、上記の
優れた加速度センサを確実に得ることができる製造方法
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明では、p型単結晶シリコン
基板の表面側に積層されたn型シリコンからなる二層構
造のエピタキシャル成長層の所定領域に、p型不純物を
高濃度で含むシリコン拡散層を形成し、ふっ酸溶液中で
直流電源の陽極側に前記p型単結晶シリコン基板を接続
することにより、その裏面側から表面側に向かう方向に
直流電流を流してそれと反対方向にポーラス化を選択的
に進行させる陽極化成方法において、前記p型単結晶シ
リコン基板と前記二層構造のエピタキシャル成長層との
界面にn型シリコン埋込層を形成し、そのn型シリコン
埋込層の上層部において前記シリコン拡散層により側面
側から包囲される領域にp型シリコン埋込拡散層を形成
し、前記p型シリコン埋込拡散層に対応する位置に同層
の面積よりも小さな面積の開口部を前記n型シリコン埋
込層に形成しておくことにより、前記二層構造のエピタ
キシャル成長層の一部をポーラス化することなく、それ
らを側面側及び下面側から包囲する部分をポーラス化す
ることを特徴とするシリコン基板の陽極化成方法をその
要旨とする。
【0012】請求項2に記載の発明は、請求項1におい
て、前記p型シリコン埋込拡散層におけるp型不純物の
濃度は、前記n型シリコン埋込層におけるn型不純物の
濃度の10倍以上に設定されていることとした。
【0013】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2において、前記p型シリコン埋込拡散層の厚さは5μ
m〜10μmであり、前記n型シリコン埋込層の厚さは
10μm〜20μmであることとした。
【0014】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3
のいずれか1項において、前記p型単結晶シリコン基板
の裏面側には絶縁層を介して電極層が形成され、前記電
極層と前記p型単結晶シリコン基板とは前記絶縁層に形
成された接続用開口部を介して電気的に接続され、前記
接続用開口部は前記開口部に対応する位置に設けられて
いることとした。
【0015】請求項5に記載の発明は、シリコン基板の
表面側にマス部が変位可能に形成され、そのマス部の上
面に歪みゲージが形成された表面型の加速度センサにお
いて、中央に開口部を有するn型シリコン埋込層からな
るストッパ構造を前記マス部の下方に備えることを特徴
とする加速度センサをその要旨とする。
【0016】請求項6に記載の発明は、シリコン基板の
表面側にマス部が変位可能に形成され、そのマス部の上
面に歪みゲージが形成された表面型の加速度センサを製
造する方法において、前記歪みゲージ及びそれに接続す
る配線パターンを形成する工程を経たシリコン基板に対
して請求項1乃至4のいずれか1項に記載の陽極化成方
法を実施することにより、前記二層構造のエピタキシャ
ル成長層の一部をその側面側及び下面側から包囲する部
分を選択的に多孔質シリコン層に改質する工程と、前記
多孔質シリコン層をアルカリエッチングで溶解除去する
ことによって同多孔質シリコン層がある部分を空洞化す
ることにより、前記マス部を形成する工程とを含むこと
を特徴とするシリコン基板の陽極化成方法を利用した加
速度センサの製造方法をその要旨とする。
【0017】以下、本発明の「作用」について説明す
る。請求項1〜4に記載の発明によると、p型シリコン
埋込拡散層に対応する位置に同層の面積よりも小さな面
積の開口部をn型シリコン埋込層に形成しておくことに
より、p型単結晶シリコン基板において開口部に対応す
る領域に直流電流を絞るようにして集中的に流すことが
できる。従って、設計領域とは無関係の領域に直流電流
が流れにくくなり、その分だけ化成速度が速くなる。よ
って、設計領域のみを効率よくポーラス化することがで
きる。また、この方法であると、ポーラス化が基板外周
部にまで広がって側壁に孔を開けてしまう心配もないの
で、基板サイズの大型化が不要になり、かつ狙ったセン
サ形状を実現することが比較的容易となる。
【0018】請求項2に記載の発明によると、n型シリ
コン埋込層及びp型シリコン埋込拡散層における不純物
の濃度の比を好適範囲に設定することにより、両層にお
ける直流電流の流れやすさに必要充分な差をつけること
ができる。従って、p型シリコン埋込拡散層を流れる直
流電流が、それと隣接しているn型シリコン埋込層の側
に流れ込みにくくなる。このため、開口部に対応する領
域に直流電流をより確実に集中させることができ、基板
外周部への直流電流の広がりがより確実に抑制される。
【0019】請求項4に記載の発明によると、前記開口
部のみならず接続用開口部を設けた場合、直流電流がp
型単結晶シリコン基板における1箇所ではなく2箇所に
て絞られることで集中化する。ゆえに、開口部及び接続
用開口部に対応する領域に直流電流をよりいっそう確実
に集中させることができ、基板外周部への直流電流の広
がりがよりいっそう確実に抑制される。
【0020】請求項5に記載の発明によると、大きな加
速度の印加によってマス部が下方に大きく変位しようと
したとき、その下方に位置するストッパ構造に対してマ
ス部の下面が当接する。その結果、マス部のそれ以上の
下方変位が規制され、マス部の破壊が未然に防止され
る。このため、高強度の表面型の加速度センサとなる。
【0021】請求項6に記載の発明によると、上記の優
れた陽極化成方法を利用していることから、設計領域の
みを確実にポーラス化することができる。従って、アル
カリで溶解除去される無駄な分が確実に減り、基板サイ
ズが小さくても大きなマス部を比較的容易に形成するこ
とが可能となる。ゆえに、小型かつ高感度である表面型
の加速度センサを確実に得ることができる。また、陽極
化成処理により残ったn型シリコン埋込層はいわばマス
部のストッパ構造として機能しうるため、高強度の表面
型の加速度センサとすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を表面型加速度セン
サ1の製造方法に具体化した一実施の形態を図1〜図5
に基づき詳細に説明する。
【0023】図1には、本実施形態の陽極化成に供され
るp型単結晶シリコン基板2が示されている。本実施形
態では、直方体状をした面方位(110)のp型単結晶
シリコン基板2を使用している。その厚さは500μm
〜600μm 程度である。p型単結晶シリコン基板2上
には、n型単結晶シリコンからなる第1のエピタキシャ
ル成長層4が全体的に積層されている。第1のエピタキ
シャル成長層4は、二層構造のエピタキシャル成長層を
構成する層のうち内層側に位置するものである。第1の
エピタキシャル成長層4の厚さは約20μmに設定され
ている。第1のエピタキシャル成長層4の所定領域に
は、p+ シリコン拡散層5が埋め込まれるようにして形
成されている。第1のエピタキシャル成長層4上には、
n型単結晶シリコンからなる第2のエピタキシャル成長
層6が全体的に積層されている。第2のエピタキシャル
成長層6は、二層構造のエピタキシャル成長層を構成す
る層のうち外層側に位置するものである。第2のエピタ
キシャル成長層6の厚さは約20μmに設定されてい
る。即ち、エピタキシャル成長層4,6の二層分の厚さ
は40μm程度となっている。第2のエピタキシャル成
長層6の所定領域には、p+ シリコン拡散層7が形成さ
れている。なお、p+ シリコン拡散層7の形成位置はp
+ シリコン拡散層5の形成位置に対応しており、両層
7,5は互いに接している。
【0024】第2のエピタキシャル成長層6の表層には
拡散歪みゲージ(図示略)が複数箇所に形成されてい
る。これらの拡散歪みゲージは例えばブリッジ接続され
る。矩形状をしたマス部本体は、4本のビーム部によっ
て変位可能に支持される。なお、各ビーム部については
マス部本体とは異なり肉薄に(エピタキシャル成長層の
一層分の厚さ程度に)形成される。これらの拡散歪みゲ
ージは、加速度印加時に生じるビーム部の歪みにより、
自身の抵抗値を増加または減少させる。そして、このよ
うなピエゾ抵抗効果による抵抗値の変化を検出すること
により、加速度の大きさ・方向が検知されるようになっ
ている。
【0025】図1に示されるように、第2のエピタキシ
ャル成長層6の上面には、層間絶縁層としての薄いシリ
コンの酸化膜(SiO2 膜)8が形成されている。この
酸化膜8の上面には、スパッタリングや真空蒸着等の物
理的成膜法によって、アルミニウム製の配線パターン9
及び図示しないボンディングパッドが形成されている。
また、酸化膜8の所定部分、即ち拡散歪みゲージの両端
に対応する部分には、層間接続用のコンタクトホール
(図示略)が形成されている。コンタクトホールは、配
線パターン9とその下層にある拡散歪みゲージとを電気
的に接続している。そして、これらの配線パターン9は
ボンディングパッドにそれぞれ電気的に接続されてい
る。配線パターン9等の導体層及び酸化膜8は、表層に
おける絶縁を図るためのパッシベーション膜(SiN
膜)10によって全体的に覆われている。さらにパッシ
ベーション膜10は金属保護膜11によって全体的に覆
われている。パッシベーション膜10や金属保護膜11
は、上記と同様の物理的成膜法によって形成される。な
お、パッシベーション膜10や金属保護膜11にはそれ
ぞれ開口部10a,11aが設けられており、そこから
はp+ シリコン拡散層7が外部に露出している。
【0026】図1に示されるように、p型単結晶シリコ
ン基板2は、n型シリコンからなるn型シリコン埋込層
21を備えている。n型シリコンはp型シリコンよりも
陽極化成に寄与するホールが少ないという特徴を有す
る。n型シリコン埋込層21は、p型単結晶シリコン基
板2と第1のエピタキシャル成長層4との界面付近に存
在する。このようなn型シリコン埋込層21は、従来公
知の手法によるn型不純物の打込み・拡散により形成さ
れることができる。なお、n型シリコン埋込層21の所
定領域には、略円形状の開口部21aが形成されてい
る。
【0027】図1に示されるように、p型単結晶シリコ
ン基板2は、p型シリコン埋込拡散層としてのp+ シリ
コン埋込拡散層19を前記n型シリコン埋込層21の上
層部に備えている。p+ シリコン埋込拡散層19は、厚
さ方向からp型単結晶シリコン基板2を投影したとき、
+ シリコン拡散層7及びp+ シリコン拡散層5によっ
て側面側から包囲されるような領域に存在する。このよ
うなp+ シリコン埋込拡散層19は、従来公知の手法に
よるp型不純物の打込み・拡散により形成されることが
できる。
【0028】n型シリコン埋込層21の開口部21a
は、p+ シリコン埋込拡散層19のほぼ中央部に対応す
る位置に存在する。そして、この開口部21aは、p+
シリコン埋込拡散層19の面積よりも小さな面積となる
ようにあらかじめ設計されている。
【0029】ここで、p+ シリコン埋込拡散層19にお
けるp型不純物の濃度は、n型シリコン埋込層21にお
けるn型不純物の濃度の10倍以上に、好ましくは10
倍以上10000倍以下に、最も好ましくは10倍以上
100倍以下に設定されることがよい。かかる不純物濃
度比が10倍よりも小さいと、p+ シリコン埋込拡散層
19及びn型シリコン埋込層21における直流電流の流
れやすさに必要充分な差をつけることができなくなる。
従って、p+ シリコン埋込拡散層19を流れる直流電流
が、それと隣接しているn型シリコン埋込層21の側に
流れ込みやすくなるおそれがある。本実施形態では上記
の事情に鑑みて、n型不純物の濃度を5E×1019cm
-3前後に、p型不純物の濃度を5E×10 20 cm-3
後に設定している。
【0030】また、p+ シリコン埋込拡散層19の厚さ
は5μm〜10μmであることがよく、n型シリコン埋
込層21の厚さは10μm〜20μmであることがよ
い。p+ シリコン埋込拡散層19が薄すぎると、直流電
流の流れる経路が充分に確保されなくなり、処理効率を
却って低下させるおそれがあるからである。逆に、p+
シリコン埋込拡散層19が厚すぎると、その分だけn型
シリコン埋込層21が薄くなる結果、n型シリコン埋込
層21自身の厚さ方向に直流電流が流れてしまうおそれ
がある。よって、開口部21aに直流電流が集中しなく
なる可能性がある。
【0031】また、n型シリコン埋込層21が薄すぎる
と、同層21自身の厚さ方向に直流電流が流れてしまう
おそれがあり、やはり開口部21aに直流電流が集中し
なくなる可能性があるからである。勿論、後述するスト
ッパ構造S1 としての充分な機械強度が確保されなくな
るおそれもある。逆に、n型シリコン埋込層21を必要
以上に厚くしたとしても、直流電流を集中させる作用の
飛躍的な向上にはつながらず、却って製造コストの高騰
等につがなるおそれがある。
【0032】本実施形態では上記の事情に鑑みて、p+
シリコン埋込拡散層19の厚さを7μm前後に設定し、
n型シリコン埋込層21の厚さを15μm前後に設定し
ている。
【0033】一方、p型単結晶シリコン基板2の裏面側
には、絶縁層としての酸化膜12が全体的に形成されて
いる。酸化膜12上には電極層13が形成されている。
ここで用いられる電極層13としては、Ti薄膜、Cr
薄膜、Al薄膜等が挙げられる。その電極層13とp型
単結晶シリコン基板2上とは、接続用開口部14を介し
て電気的に接続されている。接続用開口部14は基板中
央部にある前記開口部21aの直下となる位置に対応し
て設けられている。p型単結晶シリコン基板2の裏面側
において接続用開口部14に対応する箇所には、同接続
用開口部14と電気的に接続するようにp+ シリコン拡
散層22が形成されている。このようなp+ シリコン拡
散層22は、小領域に形成されることがよい。p型不純
物濃度の高いものを選択する理由は、p型シリコンより
も陽極化成に寄与するホールを多く含むため、陽極化成
時に直流電流が優先的に流れやすくなるからである。な
お、本実施形態では、前記p+ シリコン拡散層22を、
開口部21よりも小領域となるように形成している(図
1参照)。
【0034】次に、加速度センサ1の製造手順の一例を
説明する。陽極化成を実施する前にあらかじめ図1の状
態のp型単結晶シリコン基板2を作製する。
【0035】直方体状をした面方位(110)のp型単
結晶シリコン基板2を用意し、その表面に図示しないマ
スクを形成する。次いで、前記p型単結晶シリコン基板
2に対してイオン注入等によってリンなどのn型不純物
を前記所定濃度で打ち込み、さらにそのn型不純物を熱
拡散させる。その結果、p型単結晶シリコン基板2に
は、開口部21aの部分を除いてn型シリコン埋込層2
1が全体的に形成される。
【0036】次に、n型シリコン埋込層21が形成され
たp型単結晶シリコン基板2の上面に図示しないマスク
を形成し、フォトエッチングによって同マスクの所定領
域に開口部を形成する。ここでイオン注入等によってほ
う素などのp型不純物を前記所定濃度で打ち込み、さら
にそのp型不純物を熱拡散させる。その結果、n型シリ
コン埋込層21の上層部にp+ シリコン埋込拡散層19
が形成される。
【0037】続いて、n型シリコン埋込層21及びp+
シリコン埋込拡散層19が形成されたp型単結晶シリコ
ン基板2の上面全体に、気相成長によってn型単結晶シ
リコンからなる第1のエピタキシャル成長層4を形成す
る。その結果、第1のエピタキシャル成長層4内に、前
記両層19,21が埋め込まれた状態となる。この後、
第1のエピタキシャル成長層4上に図示しないマスクを
形成し、フォトエッチングによって同マスクの所定領域
に開口部を形成する。ここでイオン注入等によってほう
素などのp型不純物を打ち込み、さらにそのp型不純物
を熱拡散させる。その結果、第1のエピタキシャル成長
層4にp+ シリコン拡散層5が形成される。
【0038】次に、第1のエピタキシャル成長4の上面
全体に、気相成長によってn型単結晶シリコンからなる
第2のエピタキシャル成長層6を形成する。その結果、
第2のエピタキシャル成長層6内にp+ シリコン拡散層
5が埋め込まれた状態となる。なお、p+ シリコン拡散
層5は第2のエピタキシャル成長層6側に若干這い上が
る。この後、第2のエピタキシャル成長層6上に図示し
ないマスクを形成し、フォトエッチングによって同マス
クの所定領域に開口部を形成する。ここでp型不純物の
打ち込み・熱拡散を行い、p+ シリコン拡散層5の深さ
にまで及ぶp+シリコン拡散層7を第2のエピタキシャ
ル成長層6に形成する。これらのp+ シリコン拡散層
5,7は、後に形成されるべきマス部17のマス部本体
の側面に対応する位置に形成される。
【0039】次に、第2のエピタキシャル成長層6の上
面に図示しないマスクを配置した状態で、p型不純物の
打ち込み・熱拡散を行う。その結果、後にマス部17の
ビーム部となる箇所に拡散歪みゲージを形成する。これ
らの箇所には変形が生じやすいからである。次に、歪み
ゲージ形成工程を経たp型単結晶シリコン基板2を酸素
中または空気中で加熱することにより、その上下両面に
酸化膜8,12を形成する。次いで、フォトエッチング
を行うことによって、表面側の酸化膜8の所定部分にコ
ンタクトホールを形成する。
【0040】次に、Alのスパッタリングまたは真空蒸
着を行った後、フォトリソグラフィを行うことによっ
て、酸化膜8の上面に配線パターン9及びボンディング
パッドを形成する。さらに、CVD等によってSiNや
Si3 4 などを堆積させることにより、開口部10a
を有するパッシベーション膜10を形成する。パッシベ
ーション工程の後、さらにWやMo等のスパッタリング
または真空蒸着を行いかつフォトリソグラフィを行うこ
とによって、開口部11aを有する金属保護膜11をパ
ッシベーション膜10上に形成する。この後、開口部1
0a,11aに位置する部分の酸化膜8を除去すること
によって、その下に隠れていたp+ シリコン拡散層7の
上面を露出させる(図2参照)。なお、WやMoを選択
したのは、これらの金属は耐ふっ酸性を有するからであ
る。
【0041】ところで、p型単結晶シリコン基板2の裏
面側については、酸化膜12上に図示しないマスクを配
置した状態でp型不純物の打ち込み・熱拡散を行う。そ
の結果、p型単結晶シリコン基板2において接続用開口
部14に対応する位置に、p + シリコン拡散層22を形
成する。その後、TiやCr等のスパッタリングまたは
真空蒸着を行うことより、酸化膜12上に電極層13を
全体的に形成する。このとき、電極層13は接続用開口
部14を介して前記p+ シリコン拡散層22と接続す
る。なお、このような工程は、パッシベーション工程の
後に行われてもよく、同工程の前に行われてもよい。ま
た、金属保護膜11を物理的に成膜する際に、同じ金属
材料を用いて同時に電極層13を形成することも可能で
ある。
【0042】歪みゲージや配線パターン9等を形成する
工程を経たp型単結晶シリコン基板2は、続いて下記の
ようにして陽極化成される。図2に示されるように、陽
極化成用の処理タンク25内には、陽極化成用酸性溶液
としての高濃度のふっ酸溶液24が満たされている。ふ
っ酸溶液24中には、白金等からなる対向電極23と、
前記p型単結晶シリコン基板2とが対向するような位置
関係で浸漬されている。電極層13は直流電源15の陽
極側に電気的に接続され、対向電極23は直流電源15
の陰極側に電気的に接続される。従って、直流電流は、
p型単結晶シリコン基板2の裏面側から表面側に向かっ
て流れる。なお、図3において電流の流れる経路はIで
示されている。電子の流れは電流の流れる方向とは反対
の方向となり、従ってホールに電子が供給されることに
よる選択的ポーラス化もこの電子の流れに沿って進行す
る。
【0043】陽極化成時において選択的ポーラス化は、
最も表面側に位置するp+ シリコン拡散層7にてまず起
こり、次いでそのすぐ下層に位置するp+ シリコン拡散
層5へと厚さ方向に向かって進行する。さらに、ポーラ
ス化はp+ シリコン埋込拡散層19の外周部から中心部
に向かって面方向に進行する。このときポーラス化の進
行方向が変わるのは、p+ シリコン埋込拡散層19の下
方にn型シリコン埋込層21が隣接して存在し、障害物
となっているからである。そして、さらにポーラス化は
再び進行方向を厚さ方向に変更し、p型単結晶シリコン
基板2において開口部21aがある部分を通り抜けるよ
うにして裏面側へと進行する。
【0044】以上のような陽極化成が完了すると、図4
に示されるように、p+ シリコン拡散層5,7の全部、
+ シリコン埋込拡散層19の全部、p型単結晶シリコ
ン基板2において開口部21aがある部分及びその下側
の部分が多孔質シリコン層16に改質される。このよう
な改質部分は非改質部分をその側面側及び底面側から包
囲する。
【0045】陽極化成工程を経た後、金属保護膜11を
剥離したうえでアルカリエッチングを行う。ここでは、
エッチャントとして例えばTMAH(テトラメチルアン
モニウムハイドロオキサイド)等が使用される。その結
果、多孔質シリコン層16が異方性エッチングされるこ
とで溶解除去される。改質部分である多孔質シリコン層
16は、非改質部分である緻密なシリコン層に比較して
アルカリに溶解しやすいため、当該部分には空洞部18
が容易に形成される。その結果、空洞部18内にはマス
部17が形成され、図5の加速度センサ1が完成する。
【0046】このようにして得られるマス部17のマス
部本体は、第1及び第2のエピタキシャル成長層4,6
からなる2層構造となる。また、マス部17の下方に
は、アルカリエッチングにより溶解されずに残ったn型
シリコン埋込層21が存在している。そして、n型シリ
コン埋込層21における当該部分は、マス部17のため
のストッパ構造S1 として機能する。つまり、マス部1
7が下方に大きく変位しようとしたとき、マス部17の
下面外周部全体がストッパ構造S1 の上面に対して当接
する。その結果、マス部17のそれ以上の下方変位が規
制され、いわば前記ストッパ構造S1 によってマス部1
7が下方から一次的に支持された状態となる。
【0047】さて、以下に本実施形態において特徴的な
作用効果を列挙する。 (1)この実施形態の陽極化成方法では、p型単結晶シ
リコン基板2と第1及び第2のエピタキシャル成長層
4,6との界面に、n型シリコン埋込層21があらかじ
め形成される。また、そのn型シリコン埋込層21の上
層部においてp+シリコン拡散層5,7により側面側か
ら包囲される領域に、p+ シリコン埋込拡散層19があ
らかじめ形成される。さらに、n型シリコン埋込層21
においてp + シリコン埋込拡散層19の略中心部には、
同層19の面積よりも小さな面積の開口部21aがあら
かじめ形成される。そのため、p型単結晶シリコン基板
2において開口部21aに対応する領域に、直流電流を
絞るようにして集中的に流すことができる。従って、設
計領域とは無関係の領域に直流電流が流れにくくなり、
その分だけ化成速度が速くなる。よって、設計領域のみ
を効率よくポーラス化することができる。また、この方
法であると、ポーラス化が基板外周部にまで広がって側
壁に孔を開けてしまう心配もないので、基板サイズの大
型化が不要になる。しかも、狙ったセンサ形状を実現す
ることが比較的容易となるので、設計値通りのセンサ特
性を得ることができるようになる。
【0048】(2)この実施形態の陽極化成方法では、
n型シリコン埋込層21及びp+ シリコン埋込拡散層1
9における不純物の濃度の比を、10倍という好適値に
設定している。よって、両層19,21における直流電
流の流れやすさに必要充分な差をつけることができる。
従って、p+ シリコン埋込拡散層19を流れる直流電流
が、それと隣接しているn型シリコン埋込層21の側に
流れ込みにくくなる。このため、開口部21aに対応す
る領域に直流電流をより確実に集中させることができ、
基板外周部への直流電流の広がりがより確実に抑制され
る。このことは、設計領域の選択的ポーラス化及び処理
効率の向上をより確実に達成するのに貢献している。
【0049】(3)この実施形態の陽極化成方法では、
+ シリコン埋込拡散層19及びn型シリコン埋込層2
1の厚さを上記の好適範囲に設定している。従って、処
理効率、コスト性及びストッパ機能を損なうことなく、
所定箇所に直流電流を絞るようにして集中させる作用を
確実に得ることができる。勿論、このことも、設計領域
の選択的ポーラス化及び処理効率の向上をより確実に達
成するのに貢献している。
【0050】(4)この実施形態の陽極化成方法では、
電極膜13とp型単結晶シリコン基板2とを接続用開口
部14を介して電気的に接続し、かつ接続用開口部14
を開口部21aに対応する位置に設けることを特徴とす
る。つまり、開口部21aのみならず接続用開口部14
を設けているので、直流電流がp型単結晶シリコン基板
2における1箇所ではなく2箇所にて絞られることで集
中化する。ゆえに、かかる相乗効果によって、開口部2
1a及び接続用開口部14に対応する領域に直流電流を
よりいっそう確実に集中させることができ、基板外周部
への直流電流の広がりがよりいっそう確実に抑制され
る。そして、このことは設計領域の選択的ポーラス化及
び処理効率の向上をより確実に達成するのに貢献してい
る。
【0051】(5)この実施形態の加速度センサ1は、
上記のようなストッパ構造S1 を備えたものとなってい
る。従って、大きな加速度の印加によってマス部17が
下方に大きく変位しようとしたときでも、ストッパ構造
S1 の存在によりマス部17のそれ以上の下方変位が確
実に規制される。ゆえに、マス部17の破壊(主にマス
部本体を支持するビーム部の破壊)が未然に防止され、
高強度の表面型の加速度センサ1を実現することができ
る。
【0052】(6)本実施形態では、上記の優れた陽極
化成方法を利用して加速度センサ1の製造を行なってい
る。このため、アルカリで溶解除去される無駄な分が格
段に少なくなり、基板サイズが小さくても大きなマス部
17を比較的容易に形成することが可能となる。ゆえ
に、小型かつ高感度である表面型の加速度センサ1を確
実にかつ効率よく得ることができる。ここで、従来方法
に比較して大きなマス部17が得られる理由としては次
のことも考えられる。即ち、図7に示される従来方法で
は、マス部17の底面が形成されるべき部分の下側にp
+ シリコン埋込層を設けている。しかし、このようなp
+ シリコン埋込層は第1のエピタキシャル成長層4側へ
這い上がるため、それが原因となってポーラス化される
領域が上方向に広がってしまうからである。一方、当該
部分にp+ シリコン埋込層の形成を行わない本実施形態
ではそのような問題が起こらず、第1のエピタキシャル
成長層4が肉薄になることはないからである。
【0053】なお、アルカリで溶解除去される無駄な分
が格段に少ないことは、経済性の向上及び低コスト化に
も寄与している。 (7)また、本実施形態の加速度センサ1の製造方法に
は、さらに次のようないくつかの利点がある。
【0054】第1に、所定領域にあらかじめp+ シリコ
ン拡散層5,7を形成した後、同層5,7を陽極化成す
る方法であるため、p型単結晶シリコン基板2の表面を
直接的に陽極化成する方法と比較して陽極化成部の形状
や深さにばらつきが生じにくい。第2に、アルカリエッ
チングがパッシベーション工程の完了後に行なわれるた
め、配線パターン9やボンディングパッド等がエッチャ
ントで汚染される心配もない。第3に、多孔質シリコン
層16を溶解除去する方法であるため、p型単結晶シリ
コン基板2の面方位に特に制約を受けることがない。第
4に、この製造方法は基本的にはバイポーラICの製造
プロセスに近いものであるため、加速度センサ1とバイ
ポーラICとを一体化することもできる。
【0055】なお、本発明の実施形態は以下のように変
更してもよい。 ・ 図6に示される別例の表面型加速度センサ31のよ
うに、その裏面側における酸化膜12、接続用開口部1
4及びp+ シリコン拡散層22という構造を省略しても
よい。なお、酸化膜12及び接続用開口部14を設ける
反面、p+ シリコン拡散層22のみを省略することも可
能である。
【0056】・ p型単結晶シリコン基板2として面方
位(110)以外の基板、例えば(111)基板や(1
00)基板等を使用してもよい。 ・ TMAH以外のアルカリ系エッチャントとして、例
えばKOH、ヒドラジン、EPW(エチレンジアミン−
ピロカテコール−水)等を使用してもよい。
【0057】・ 配線パターン9及びボンディングパッ
ドを形成する金属材料として、Alのほかに例えばAu
等を選択してもよい。 ・ 実施形態において例示した拡散型の歪みゲージに代
えて、例えばCrや多結晶シリコン等からなる薄膜歪み
ゲージを形成してもよい。また、歪みゲージを4つにし
てブリッジ回路を構成することもできる。
【0058】・ p型単結晶シリコン基板2の表面にお
けるマス部17の周囲のスペースに、信号論理回路等と
して機能するバイポーラICを形成してもよい。 ・ 実施形態では、マス部本体を複数のビーム部で支持
する構造の加速度センサ1を製造する方法を示した。こ
れに限定されることはなく、本発明はカンチレバータイ
プの加速度センサを製造する方法に具体化されてもよ
い。なお、ストッパ構造S1 を有する本発明を同タイプ
の加速度センサに適用すれば、低強度というカンチレバ
ータイプの構造的な欠点を解消できるという利点があ
る。
【0059】・ 本発明の陽極化成方法は加速度センサ
1の製造に利用されるのみならず、加速度以外のセンサ
の製造に利用されてもよく、さらにはセンサ以外の半導
体製品の製造に利用されても勿論よい。
【0060】次に、特許請求の範囲に記載された技術的
思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技
術的思想をその効果とともに以下に列挙する。 (1) 請求項4において、前記p型単結晶シリコン基
板の裏面側において前記接続用開口部に対応する箇所に
は、同接続用開口部と電気的に接続するようにp型不純
物を高濃度で含むシリコン拡散層が形成されていること
を特徴とするシリコン基板の陽極化成方法。従って、技
術的思想1に記載の発明によると、p型不純物を高濃度
で含むシリコン拡散層は、陽極化成に寄与するホールを
多く有している。ゆえに、同シリコン拡散層には陽極化
成時に直流電流が優先的に流れやすい。このため、接続
用開口部と電気的に接続するようにシリコン拡散層を形
成しておけば、接続用開口部に直流電流を確実に集中さ
せることができる。ゆえに、基板外周部への直流電流の
広がりがより確実に抑制される。
【0061】なお、本明細書中において使用した技術用
語を次のように定義する。 「陽極化成: 電解液中で基板を陽極として電流を流す
ことにより、その基板に多孔質層を形成する一括改質加
工をいう。」
【0062】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1乃至4に
記載の発明によれば、設計領域を確実にかつ選択的にポ
ーラス化することが可能であって、しかも処理効率のよ
いシリコン基板の陽極化成方法を提供することができ
る。請求項2,3に記載の発明によれば、設計領域の選
択的ポーラス化及び処理効率の向上をより確実に達成す
ることができる。
【0063】請求項4に記載の発明によれば、設計領域
の選択的ポーラス化及び処理効率の向上をよりいっそう
確実に達成することができる。請求項5に記載の発明に
よれば、小型かつ高感度・高強度であって経済性にも優
れた表面型の加速度センサを提供することができる。
【0064】請求項6に記載の発明によれば、上記の優
れた陽極化成方法を取り入れた製造方法であるため、小
型かつ高感度・高強度であって経済性にも優れた表面型
の加速度センサをを確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の加速度センサの製造方法において、
陽極化成に供されるシリコン基板の概略断面図。
【図2】同じく陽極化成時において電源との接続方法を
説明するための概略図。
【図3】陽極化成時における電流の流れを説明するため
のシリコン基板の概略断面図。
【図4】陽極化成を経てポーラス化したシリコン基板の
概略断面図。
【図5】アルカリエッチングを経て完成した加速度セン
サの概略断面図。
【図6】別例の加速度センサの製造方法において、陽極
化成時における電流の流れを説明するためのシリコン基
板の概略断面図。
【図7】従来技術において、陽極化成時における電流の
流れを説明するためのシリコン基板の概略断面図。
【図8】従来技術において、陽極化成を経てポーラス化
したシリコン基板の概略断面図。
【図9】従来技術において、アルカリエッチングを経て
完成した加速度センサの概略断面図。
【符号の説明】
1,31…表面型の加速度センサ、2…(p型単結晶)
シリコン基板、4…二層構造のエピタキシャル成長層の
一部である第1のエピタキシャル成長層、n型シリコン
層としてのエピタキシャル成長層、5…シリコン拡散層
としてのp+ シリコン拡散層、6…二層構造のエピタキ
シャル成長層の一部である第2のエピタキシャル成長
層、9…配線パターン、12…絶縁層としての酸化膜、
13…電極層、14…接続用開口部、15…直流電源、
16…多孔質シリコン層、17…マス部、19…p型シ
リコン埋込拡散層としてのp+ シリコン埋込拡散層、2
1…n型シリコン埋込層、21a…開口部、24…ふっ
酸溶液。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】p型単結晶シリコン基板の表面側に積層さ
    れたn型シリコンからなる二層構造のエピタキシャル成
    長層の所定領域に、p型不純物を高濃度で含むシリコン
    拡散層を形成し、ふっ酸溶液中で直流電源の陽極側に前
    記p型単結晶シリコン基板を接続することにより、その
    裏面側から表面側に向かう方向に直流電流を流してそれ
    と反対方向にポーラス化を選択的に進行させる陽極化成
    方法において、 前記p型単結晶シリコン基板と前記二層構造のエピタキ
    シャル成長層との界面にn型シリコン埋込層を形成し、
    そのn型シリコン埋込層の上層部において前記シリコン
    拡散層により側面側から包囲される領域にp型シリコン
    埋込拡散層を形成し、前記p型シリコン埋込拡散層に対
    応する位置に同層の面積よりも小さな面積の開口部を前
    記n型シリコン埋込層に形成しておくことにより、前記
    二層構造のエピタキシャル成長層の一部をポーラス化す
    ることなく、それらを側面側及び下面側から包囲する部
    分をポーラス化することを特徴とするシリコン基板の陽
    極化成方法。
  2. 【請求項2】前記p型シリコン埋込拡散層におけるp型
    不純物の濃度は、前記n型シリコン埋込層におけるn型
    不純物の濃度の10倍以上に設定されていることを特徴
    とする請求項1に記載のシリコン基板の陽極化成方法。
  3. 【請求項3】前記p型シリコン埋込拡散層の厚さは5μ
    m〜10μmであり、前記n型シリコン埋込層の厚さは
    10μm〜20μmであることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のシリコン基板の陽極化成方法。
  4. 【請求項4】前記p型単結晶シリコン基板の裏面側には
    絶縁層を介して電極層が形成され、前記電極層と前記p
    型単結晶シリコン基板とは前記絶縁層に形成された接続
    用開口部を介して電気的に接続され、前記接続用開口部
    は前記開口部に対応する位置に設けられていることを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシリコ
    ン基板の陽極化成方法。
  5. 【請求項5】シリコン基板の表面側にマス部が変位可能
    に形成され、そのマス部の上面に歪みゲージが形成され
    た表面型の加速度センサにおいて、中央に開口部を有す
    るn型シリコン埋込層からなるストッパ構造を前記マス
    部の下方に備えることを特徴とする加速度センサ。
  6. 【請求項6】シリコン基板の表面側にマス部が変位可能
    に形成され、そのマス部の上面に歪みゲージが形成され
    た表面型の加速度センサを製造する方法において、 前記歪みゲージ及びそれに接続する配線パターンを形成
    する工程を経たシリコン基板に対して請求項1乃至4の
    いずれか1項に記載の陽極化成方法を実施することによ
    り、前記二層構造のエピタキシャル成長層の一部をその
    側面側及び下面側から包囲する部分を選択的に多孔質シ
    リコン層に改質する工程と、 前記多孔質シリコン層をアルカリエッチングで溶解除去
    することによって同多孔質シリコン層がある部分を空洞
    化することにより、前記マス部を形成する工程とを含む
    ことを特徴とするシリコン基板の陽極化成方法を利用し
    た加速度センサの製造方法。
JP12780398A 1998-05-11 1998-05-11 シリコン基板の陽極化成方法、それを利用した加速度センサの製造方法、加速度センサ Pending JPH11330493A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007222990A (ja) * 2006-02-23 2007-09-06 Matsushita Electric Works Ltd 梁部を備えた構造体の製造方法およびmemsデバイス

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