JP3475670B2 - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置

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JP3475670B2
JP3475670B2 JP24646596A JP24646596A JP3475670B2 JP 3475670 B2 JP3475670 B2 JP 3475670B2 JP 24646596 A JP24646596 A JP 24646596A JP 24646596 A JP24646596 A JP 24646596A JP 3475670 B2 JP3475670 B2 JP 3475670B2
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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    • F16H61/00Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing
    • F16H61/66Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing specially adapted for continuously variable gearings
    • F16H61/664Friction gearings
    • F16H61/6648Friction gearings controlling of shifting being influenced by a signal derived from the engine and the main coupling
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60WCONJOINT CONTROL OF VEHICLE SUB-UNITS OF DIFFERENT TYPE OR DIFFERENT FUNCTION; CONTROL SYSTEMS SPECIALLY ADAPTED FOR HYBRID VEHICLES; ROAD VEHICLE DRIVE CONTROL SYSTEMS FOR PURPOSES NOT RELATED TO THE CONTROL OF A PARTICULAR SUB-UNIT
    • B60W50/00Details of control systems for road vehicle drive control not related to the control of a particular sub-unit, e.g. process diagnostic or vehicle driver interfaces
    • B60W2050/0001Details of the control system
    • B60W2050/0002Automatic control, details of type of controller or control system architecture
    • B60W2050/0008Feedback, closed loop systems or details of feedback error signal
    • B60W2050/001Proportional integral [PI] controller
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H59/00Control inputs to control units of change-speed-, or reversing-gearings for conveying rotary motion
    • F16H59/68Inputs being a function of gearing status
    • F16H59/72Inputs being a function of gearing status dependent on oil characteristics, e.g. temperature, viscosity

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無段変速機の変速
制御装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両に用いられる無段変速機としては、
Vベルト式やトロイダル型等の無段変速機が従来から知
られており、本願出願人も特開平3−89066号公報
に開示されるようなトロイダル型無段変速機を提案して
いる。
【0003】これは、図12、図13に示すように、同
軸上に配置した入出力コーンディスク16、18と、こ
れら入出力コーンディスク16、18間で摩擦係合によ
り動力の受け渡しを行う一対のパワーローラ20、20
からなる、いわゆるシングルキャビティ型のトロイダル
伝動ユニットと、後述するような変速制御装置を備える
ものである。
【0004】パワーローラ20、20は入出力コーンデ
ィスク16、18間で狭持、押圧され、パワーローラ2
0は入出力コーンディスク16、18との間の油膜のせ
ん断によって、入出力コーンディスク16、18間での
動力伝達を行う。
【0005】つまり、入力コーンディスク16の回転
は、油膜のせん断によってパワーローラ20へ伝達さ
れ、次いでパワーローラ20の回転が上記油膜のせん断
によって出力コーンディスク18に動力が伝達され、逆
に出力コーンディスク18から入力コーンディスク16
への動力伝達もパワーローラ20を介して、同様に行わ
れる。
【0006】そして、変速比はパワーローラ20が入力
コーンディスク16及び出力コーンディスク18と接触
する半径に応じて決定され、この変速比の変更は、パワ
ーローラ20、20をそれぞれ軸支するとともに軸方向
及び軸まわりに変位可能なトラニオン86、86を駆動
することで行われ、パワーローラ20はトラニオン86
の軸方向変位に応じてトラニオン86の軸まわりに回転
する傾転運動によって上記入出力コーンディスク16、
18との接触半径を連続的に変更する。なお、トラニオ
ン86は、偏心軸82を介してパワーローラ20を軸支
する。
【0007】ここで、変速制御装置について説明する
と、図12に示すように、トラニオン86の下端部には
上下の油室108c、108dへ供給された油圧に応動
するピストン108aと、これら油室108c、108
dへ油圧を供給する変速制御弁120と、後述するコン
トローラからの指令に応じて変速制御弁120のスリー
ブ126を駆動するステップモータ122と、トラニオ
ン86のY軸方向(図中上下方向)及び軸まわりの変位
を変速制御弁120のスプール128へフィードバック
するプリセスカム116及びリンクカム118を主体に
構成される。
【0008】ステップモータ122は、コントローラか
ら目標変速比に対応した変速指令値(ステップ数)を与
えられて回転し、変速制御弁120を構成するスリーブ
126、スプール128のうちスリーブ126を駆動し
て、スプール128に対し相対的に所定の中立位置から
変位させる。
【0009】このスプール126の変位によって、両パ
ワーローラ20、20はピストン108aに加わる油圧
に応じてY軸方向へ変位するが、このとき、各ピストン
108aへの油圧は、対向するパワーローラ20、20
が相互逆向きに変位するよう供給され、例えば、図中左
側のパワーローラ20が上昇すれば、図中右側のパワー
ローラ20が下降する。
【0010】そして、対向する両パワーローラ20、2
0は、回転軸線O1が入出力コーンディスク16、18
の回転軸線O2と交差する図示のような中立位置から、
トラニオン86、86の相互に逆向きな変位に応じて同
期的にオフセットされる。
【0011】このY軸方向のオフセット量に基づいて両
パワーローラ20、20は、入出力コーンディスク1
6、18からの分力で、自己の回転軸線O1と直交する
首振り軸線O3(=トラニオン86の回転軸線)のまわ
りに回動する傾転運動を行い、入出力コーンディスク1
6、18に対するパワーローラ20、20の摩擦接触半
径が連続的に変化することで無段変速を行うことができ
る。
【0012】このような無段変速によってコントローラ
からの変速指令値が達成されるとき、パワーローラ20
のY軸オフセット量および傾転角を、トラニオン86、
プリセスカム116及びリンクカム118を介して変速
制御弁120のスプール128へフィードバックし、ス
プール128はスリーブ126に対し相対的に初期の中
立位置に復帰して油室108c、108dへの作動油の
吸排が遮断されるため、トラニオン86、86は両パワ
ーローラ20、20の回転軸線O1が、入出力コーンデ
ィスク16、18の回転軸線O2と交差する中立位置へ
戻ることで、上記変速指令値の達成状態を維持するので
ある。
【0013】このような無段変速機においては、トラニ
オン86並びにパワーローラ20のY軸方向変位が微小
(例えば、数mm)であるがゆえに、伝達するトルクによ
って、フィードバック機構を構成するトラニオン86の
一部が変形した場合、目標変速比に対して誤差を生じて
しまうという問題がある。
【0014】すなわち、トロイダル型無段変速機が伝達
するトルクが急激に増加した場合、パワーローラ20は
入出力コーンディスク16、18との接触点においてO
3軸方向の力を受け、これをピストン108aに加わる
油圧によって支持するものの、応力を受けたトラニオン
86が弾性変形を起こすと、パワーローラ20を支持し
きれず、パワーローラ20はO3軸=Y軸方向へ移動す
るため、このY軸方向のオフセット量に応じて傾転運動
を起こし、目標変速比に対して実際の変速比が変化して
しまう。
【0015】さらに、これを所定の目標変速比に制御す
べく、プリセスカム116及びリンクカム118による
フィードバック機構が働くものの、上記のようにトラニ
オン86が変形した場合、パワーローラ20の回転中心
(軸線O1)とプリセスカム116までの距離が変化す
るため、この差分だけ定常的に変速比がずれてしまうの
である。
【0016】このような問題に対処するために、本願出
願人は、スロットル開度または吸気管負圧、あるいは車
速等の条件より算出されて、良好な動力性能、燃費性能
を達成しうる入力軸目標目標回転数に対応する目標変速
比に、実際の変速比が一致するようにトロイダル型無段
変速機のステップモータ122等のアクチュエータを駆
動する電子フィードバック制御系を、上記プリセスカム
116等から成るメカニカルフィードバック系に加えて
新たに付加するものを特願平7−71495号として提
案した。
【0017】この電子フィードバック制御系では、上記
のような伝達トルクの変化に伴う変速比の変化が極めて
迅速であるために、全体のフィードバックゲインを高め
に設定すると同時に、目標変速比が一定でなく車速等の
運転条件に応じて変化して、ランプ目標値に類似な変速
目標値となることから、PI(比例・積分)制御を適応
することが望ましい。
【0018】すなわち、ランプ目標値に追従するために
は、比例制御だけでは不十分で、積分制御を導入する必
要があり、一例を示すと、図14のように、比例制御だ
けを行うコントローラでは、図15のように、目標値1
に対して出力値2の偏差が解消されないが、図16のよ
うに、比例制御に加えて積分制御を追加したコントロー
ラでは、図17に示すように、目標値1と出力値2の偏
差を解消することができるのである。
【0019】また、外乱等が加わった場合でも、図14
のコントローラのように、積分制御を行わない無い場合
では、外乱に対して出力値2は図18に示すように偏差
を解消できないのに対し、図16のように積分制御を導
入したコントローラでは、図19に示すように、外乱が
入力された後にも偏差を解消することができ、上記メカ
ニカルフィードバック系の変形により、変速比の偏差を
生じるという特性を持つトロイダル型無段変速機に、P
I制御を導入する事は有効なものである。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例のように、積分制御を導入した場合、ステップモー
タ122等のアクチュエータが飽和した場合(ステップ
モータの場合、応答速度限界による脱調現象等)、大き
く制御性能が低下するという問題がある。
【0021】すなわち、トロイダル型無段変速機の変速
比制御にPI制御を適用し、アクチュエータとして上記
のようなステップモータ122を採用した場合、ステッ
プモータ122の動作速度限界(応答速度限界)により
飽和し、図20に示すように、以下の現象が起こるので
ある。
【0022】外乱や目標変速比(図中目標エンジン回転
数)の変化等により、目標値とトロイダル型無段変速機
の実際の変速比(図中実エンジン回転数)との間に偏差
を生じた場合、まず、比例制御出力Pが発生し、それに
続きその積分値である積分制御出力Iが、図20に示す
a部のように変化するが、ステップモータの駆動速度に
は限界があるため、図20に示すとおり、この限界を超
えると目標ステップ数と実ステップ数は一致せず、その
結果、変速比の偏差は解消されないため、比例制御出力
Pも無くならず、また積分制御出力値の積分蓄積値も増
加する。
【0023】その後、トロイダル型無段変速機の実変速
比が目標変速比に一致し、比例制御出力は無くなるが、
積分制御出力Iはステップモータの駆動速度限界のた
め、図20のb部に示すように、不必要な積分の蓄積が
行われ、積分制御出力Iが不正に大きな値となり、図中
c部のように、トロイダル型無段変速機の変速比は反対
方向にオーバーシュートする。
【0024】上記の現象は、一般にワインドアップ現象
などとして知られるが、車両に適用する変速機の変速比
制御においては、このような変速比のオーバーシュート
は著しく運転性を損ねるという問題があった。
【0025】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、ワインドアップ現象を抑制して変速制御を
確実に行うことが可能な無段変速機の変速制御装置を提
供することを目的とする。
【0026】
【0027】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、変速比を
連続的に変更する変速機構を備えた無段変速機と、前記
変速機構を駆動するアクチュエータと、運転状態に応じ
て前記無段変速機の目標変速比を演算するとともに、実
際の変速比がこの目標変速比に一致するように前記アク
チュエータを駆動する変速制御手段を備えた無段変速機
の変速制御装置において、前記変速制御手段は、目標変
速比と実変速比の差の積分値及び比例値を演算する比例
積分手段と、前記積分値を所定の上限値及び下限値に規
制するリミット手段とを備え、 前記リミット手段は、積
分値が所定の上限値を超えるときには上限値を所定の第
1の微小値ΔLだけ増加する一方、積分値が所定の下限
値を超えるときにはこの下限値を所定の第1微小値ΔL
だけ減少させるリミット値学習補正手段を備える。
【0028】また第2の発明は、前記第1の発明におい
て、前記リミット値学習補正手段は、積分値が所定の上
限値以下の場合には上限値を所定の第2の微小値Δεだ
け減少する一方、積分値が所定の下限値以上のときには
この下限値を所定の第2微小値Δεだけ増加させるとと
もに、前記第1微小値ΔLは第2微小値Δεよりも大き
く設定される。
【0029】また第3の発明は、前記第1の発明におい
て、前記リミット手段は、無段変速機の運転状態に応じ
て前記上限値または前記下限値を補正するリミット値補
正手段を備える。
【0030】また第4の発明は、変速比を連続的に変更
する変速機構を備えた無段変速機と、前記変速機構を駆
動するアクチュエータと、運転状態に応じて前記無段変
速機の目標変速比を演算するとともに、実際の変速比が
この目標変速比に一致するように前記アクチュエータを
駆動する変速制御手段を備えた無段変速機の変速制御装
置において、前記変速制御手段は、目標変速比と実変速
比の差の積分値及び比例値を演算する比例積分手段と、
この積分値及び比例値に基づいてアクチュエータの目標
位置を演算する指令値演算手段と、この目標位置の微分
値または所定時間前に出力された目標位置と現在の目標
位置との差からアクチュエータの目標駆動速度を演算す
る目標駆動速度演算手段と、この目標駆動速度が所定の
上限値より大きいか、または所定の下限値未満の場合
に、目標駆動速度を所定の上限値または下限値に規制す
る駆動速度規制手段と、目標駆動速度が前記速度規制手
段で規制されたときに、前記比例積分手段の積分値の演
算を停止する積分停止手段とを備える。
【0031】また第5の発明は、前記第4の発明におい
て、前記駆動速度規制手段の上限値及び下限値は、前記
変速機構の駆動抵抗と、アクチュエータの駆動力がほぼ
等しくなる速度よりも小さく設定される。
【0032】また第6の発明は、前記第4の発明におい
て、前記駆動速度規制手段は、無段変速機の運転状態に
応じて前記上限値または前記下限値を補正する駆動速度
補正手段を備える。
【0033】
【発明の効果】したがって、第1の発明は、比例積分制
御の積分値は所定の上限値及び下限値に規制されるた
め、これら上限及び下限値をアクチュエータの応答速度
限界に応じて設定することにより、前記従来例のような
応答速度限界に起因する積分手段の不要な積分の蓄積が
抑制されてアクチュエータが飽和するワインドアップ現
象を抑制して、変速比のオーバーシュートを防ぐことが
可能となって、変速制御を円滑かつ確実に行って、無段
変速機を備えた車両の運転性を向上させることができる
のである。
【0034】そして、上限及び下限値の変更幅ΔLが微
小であることより、アクチュエータの動作速度限界等に
よって積分手段の出力値が上限値及び下限値に達した場
合には、積分値に対するリミット手段が有効に働いて、
積分手段の不要な積分による変速比のオーバーシュート
を抑制するとともに、無段変速機の特性が経時劣化等に
よって、積分手段の出力値が定常的に上限値及び下限値
に達した場合においても、積分手段にリミットを設定し
たことによる悪影響を排除でき、変速制御の信頼性を向
上させることができるのである。
【0035】また第2の発明は、上限及び下限値を拡大
する第1の微小値ΔLを、上限値及び下限値を縮小する
第2の微小値Δεよりも大きく設定して、上限及び下限
値の学習補正を行うため、無段変速機の個体差や計時変
化などに関わらず常時安定した変速制御を行うことが可
能となる。
【0036】また第3の発明は、無段変速機の運転状
態、例えば、作動油の温度や油圧に応じて積分値の上限
値または前記下限値を補正するため、より幅広い運転条
件に対して最適な上限及び下限値を設定することが可能
となって、前記従来例のようなワインドアップ現象によ
る変速比のオーバーシュートを確実に防ぐとともに、上
限及び下限値を厳しく設定しすぎることによる変速制御
性能の悪化を防いで、円滑な変速動作を行うことができ
る。
【0037】また第4の発明は、アクチュエータの駆動
速度限界以上の目標駆動速度が発生した場合には、積分
を停止することができ、前記従来例のような積分器の不
要な積分によるワインドアップ現象を避けて安定した変
速制御を行うことができ、さらに、アクチュエータの特
性に応じた駆動速度を所定の上限値または下限値に規制
することで、安定した変速制御を行うとともに、制御の
簡素化を図ることができる。
【0038】また第5の発明は、積分動作を停止した場
合に設定される上限値及び下限値は、変速機構の駆動抵
抗と、アクチュエータの駆動力がほぼ等しくなる速度よ
りも小さく設定されるため、アクチュエータの駆動力よ
り抵抗が大きいために脱調現象等が発生するのを防いで
円滑な変速制御を行うことができる。
【0039】また第6の発明は、無段変速機の運転状
態、例えば、作動油の温度や油圧に応じて積分動作を停
止した場合に設定される上限値及び下限値を補正するた
め、より幅広い運転条件に対して最適な上限又は下限値
を設定することが可能となって、前記従来例のようなワ
インドアップ現象による変速比のオーバーシュートを確
実に防ぐとともに、上限又は下限値を厳しく設定しすぎ
ることによる変速制御性能の悪化を防いで、円滑な変速
動作を行うことができる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面に基づいて説明する。
【0041】図1は無段変速機10として、前記従来例
と同様のシングルキャビティ形式のトロイダル型を採用
するとともに、無段変速機10の変速制御装置に本発明
を適用した一例を示す。
【0042】変速制御装置は、スロットル開度TVO、
車速VSP等の車両の運転状態に応じて目標変速比を演
算する目標変速比演算部103と、PI制御部106
と、ステップモータ122を駆動するステップモータ駆
動回路104と、無段変速機10の実際の変速比を検出
する変速比検知部105から構成される。
【0043】まず、無段変速機10は、前記従来例の図
12、図13と同様に構成されて、同一のものに同一の
図番を付す。
【0044】変速機ケース34の内部には入力コーンデ
ィスク16及び出力コーンディスク18の間で狭持、押
圧される一対のパワーローラ20、20が偏心軸82を
介してトラニオン86、86に軸支される。
【0045】これらパワーローラ20はトラニオン86
によって、回転軸線O1まわりに回転自在に支持される
とともに、入出力コーンディスク16、18の回転軸線
O2と直交可能に支持される。
【0046】図12において、対向するトラニオン8
6、86は、上下端部側をラジアルベアリング96、9
8を介してタイロッド100、106で連結されおり、
パワーローラ20の回転軸線O1と直交する傾転軸線O
3まわりに回転可能、かつ、油圧シリンダ108のピス
トン108aに駆動されて傾転軸線O3方向=Y軸方向
へ変位可能に支持され、対向するトラニオン86、86
のY軸変位は相互に逆方向となる。
【0047】そして、一方のトラニオン86には、ピス
トン108aを挿通した下端にプリセスカム116を固
設し、プリセスカム116の下面に形成された所定の傾
斜面には、揺動自在なリンクカム118の一端が摺接す
る一方、リンクカム118の他端は変速制御弁120の
スリーブ126へ連結されて、トラニオン86のY軸方
向及びY軸まわりの変位をフィードバックする。
【0048】図示しないオイルポンプから油圧の供給を
受ける変速制御弁120は、軸方向へ相対変位可能なス
リーブ126とスプール128を収装するとともに、こ
れらスリーブ126、スプール128の相対位置に応じ
て油圧シリンダ108の上下の油室108c、108d
へ作動油の吸排を行う。なお、変速制御弁120と対向
するトラニオン86、86をそれぞれ駆動する油圧シリ
ンダ108、108は、上記したように、トラニオン8
6、86の変位方向が相互に逆向きとなるよう接続され
る。
【0049】そして、リンクカム118を介してプリセ
スカム116と連結されたスプール128は、パワーロ
ーラの20の傾転角度とO3軸方向変位量に応じてスプ
ール位置が決定される。一方、スリーブ126の位置は
ステップモータ122により決定される。
【0050】上記構成のうち、トラニオン86、リンク
カム118、プリセスカム116、変速制御弁120、
スプール128、スリーブ126、油圧シリンダ108
がメカニカルフィードバック機構を構成する。
【0051】ここで、トロイダル型の無段変速機10の
作用を述べる。
【0052】入力軸14より入力コーンディスク16に
伝達された動力は、パワーローラ20の回転を介して出
力コーンディスク18に伝達され、その後、出力用歯車
22に伝達される。
【0053】このとき、入力コーンディスク16とパワ
ーローラ20の接点の軸線O2からの半径と、出力コー
ンディスク18とパワーローラ20の接点の軸線O2か
らの半径の比が変速比となり、この変速比は、パワーロ
ーラ20の傾転軸線O3まわりの傾転角度により一意に
決定される。
【0054】次にメカニカルフィードバック機構の作用
について述べる。
【0055】トロイダル型の無段変速機10が所定の変
速比で固定されている場合、スリーブ126とスプール
128の相対位置関係は所定の基準状態にあり、トラニ
オン86と油圧ピストン108aに働く力は釣り合った
状態となっている。
【0056】次に、無段変速機10の変速比を変える場
合は、ステップモータ122に指令を与え、スリーブ1
26を目標変速比に対応した位置へ移動させると、スリ
ープ126とスプール128との相対位置関係が上記基
準状態からズレるため、変速制御弁120の油路が開
き、油圧室108cおよび油圧室108dに働く油圧力
が変化し、油圧ピストン108aにはトラニオン86を
軸方向へ駆動する推力が発生する。
【0057】この推力によりトラニオン86は、図12
において、図示のような中立位置からO3軸方向に変位
して、パワーローラ20は入力コーンディスク16およ
び出力コーンディスク18から傾転力を受け、傾転軸線
O3のまわりで傾転運動を開始する。
【0058】パワーローラ20の傾転角度は、入力コー
ンディスク16とパワーローラ20ならびにパワーロー
ラ20と出力コーンディスク18の接触位置を決定し、
従って変速比が決定される。
【0059】プリセスカム116は、パワーローラ20
の傾転角度をスプール128の軸方向変位に変換し、ス
リーブ126とスプール128が油路を閉じる相対位置
関係となったとき、油圧ピストン108に働く力は再び
上記釣り合い関係に戻る。
【0060】すなわち、スリーブ126の所定の傾転角
度で釣り合う位置に設定することにより、パワーローラ
20の傾転角度を制御することが可能であり、傾転角度
により一意的に決定される変速比を制御できるのであ
る。
【0061】この変速制御を行う変速制御装置は、図1
に示すように、目標変速比計算部103は、スロットル
開度TVO、車速VSP等の車両の運転状態より動力性
能、燃費性能上適切である目標エンジン回転数を算出
し、この目標エンジン回転数と車速VSPならびにファ
イナルギア比、タイヤ直径等の車両に応じた値より目標
変速比、すなわち、パワーローラ20の目標傾転角を算
出する。
【0062】そして、PI制御部106は、目標変速比
と変速比検知部105が検出した無段変速機10の変速
比との差と、及び目標変速比と無段変速機10の変速比
の差を積分した値に所定のゲインを乗じた値とを加算し
たものを出力する。
【0063】PI制御部106を構成する積分器は、上
限を上記外乱抑制性能とランプ追従性能を満足すべく決
定された値であるα1、下限を同じく上記条件を満足す
る値であるα2とした範囲内で働くものであり、PI制
御部106は、例えば図2に示すように構成される。
【0064】図2において、オペアンプOp1は抵抗R
1、Rl’、R2、R2’とともに、減算回路Daを形
成し、入力1と入力2の差を出力する。
【0065】オペアンプOp2は、抵抗R6とコンデン
サC1より積分回路を構成するとともに、可変抵抗R7
によって予め設定された電圧α1以上の電圧になった場
合、ダイオードD1から可変抵抗R7へ電流が流れ、積
分回路の出力が一定の電圧未満となるよう上限値を規制
する。
【0066】同じく積分回路の出力が抵抗R8によって
予め設定された電圧α2以下になれば、ダイオードD2
が可変抵抗R8から積分回路へ電流を流し、積分回路の
出力が一定値以下にならないように下限値を規制する。
【0067】こうして、オペアンプOp2と可変抵抗R
7、R8を主体としてリミッタ付き積分回路iが構成さ
れる。
【0068】さらに、積分回路iの出力側には、オペア
ンプOP3および抵抗R3、R4、R5、R6によって
構成された減算回路Dbが設けられ、上記入力1と入力
2との差、および上限又は下限を一定の値に制限された
積分値を加算し、これを出力する。ここでDbを減算回
路としたのは、本回路の積分回路の出力が負の値となる
ためである。
【0069】なお、減算回路Dbの抵抗R3、R4、R
5、R6を調整することにより、比例ゲイン、積分ゲイ
ンを任意に変更することができる。
【0070】ステップモータ駆動回路104は、上記P
I制御部106からの出力に相当する回転角度へステッ
プモータ122が位置するように、出力に応じたステッ
プ数を出力し、ステップモータ122を駆動する。
【0071】以上の構成により、PI制御部106の積
分回路iは、その積分出力に対し上限及び下限のリミッ
ト動作を行うものである。
【0072】上記PI制御部106の制御概念図は、図
3に示すようになり、図3においては、積分器iの出力
が所定のリミッタ値αを越えた場合、積分器iの入力に
負の大きな入力が加えられ、積分器iの出力値を一定の
リミッタ値以内に制限することにより、上記リミット動
作を実現している。
【0073】積分出力にリミット動作を設けることは、
積分器iの能力を一部抑制するものであるため、積分器
iの持つ効果、すなわち前記従来例で説明した、ランプ
目標値に対する追従特性及び外乱抑制特性に悪影響を及
ぼすものであるが、トロイダル型無段変速機に与えられ
る変速目標値は、車両の特性により予め決定されている
ものであり、また主要な外乱要因もトロイダル型無段変
速機のメカニカルフィードバック機構を構成する部材の
変形によるものであるため、実験などにより予め取得す
ることが可能であり、ランプ目標となる目標変速比に追
従し、かつメカニカルフィードバック機構による外乱を
抑制するに必要十分な値であるリミット値αを予め取得
して設定することが可能である。
【0074】すなわち、目標値一定の状態において外乱
を抑制するためには、加えられる外乱と等価の積分制御
出力が必要であるから、トロイダル型無段変速機に加わ
る外乱により変化した変速比を補正可能な値βに対し、
積分ゲインがIならば、 α≧β/I とすることが必要である。
【0075】ここで補正量βは、上記のようにトロイダ
ル型無段変速機固有の要因によるものが主であるため、
実験等により得ることができ、また、トロイダル型無段
変速機が伝達するトルクによって変化するため、すべて
の伝達トルクに対し実験し、その上限値をβ1、下限値
をβ2として設定する。
【0076】また、ランプ目標値に追従するためには、
所定の傾きを持つランプ目標値を与えられた場合の目標
値とトロイダル型無段変速機との差を補正する量γに対
し、α≧γ/I以上であることが必要である。
【0077】ランプ目標値の傾きは、上記のとおり車両
特性により決定される既知の値であるため、予め上限値
をγ1、下限値をγ2として設定することができる。
【0078】したがって、外乱を抑制しランプ目標に追
従するためには上限値としてα1≧(β1+γ1)/
I、β2、γ2が負の値であるから、下限値としてα2
≦(β2+γ2)/Iとすれば十分条件として成立する
が、β1、β2は伝達するトルクに依存し、伝達するト
ルクは変速比の変化、すなわち目標変速比の設定に依存
するため、β1が必要な場合にγ1を必要とするランプ
目標値となるとは限らず、実際の運転条件を勘案し、よ
りα1を小さく、α2を大きくすることは可能である。
【0079】以上のように決定されたα1という値以
上、さらにα2という値以下では積分を行わない積分器
iを使用してPI制御を行えば、前記従来例のようなア
クチュエータの飽和によるワインドアップ現象が起きた
場合においても、リミット値であるα1以上またはα2
以下には積分値が増加することが無いため、その影響を
最小限とすることが可能であり、積分器にリミッタを付
けなかった場合のシミュレーション結果を示す図20に
対し、本実施形態のシミュレーション結果は示す図4の
ようになり、ステップモータ122の駆動速度限界に起
因する積分器の不要な積分の蓄積が抑制され、変速比の
オーバーシュートを防いで良好な変速比制御を行うこと
ができ、変速比制御を確実に行うことが可能となって、
無段変速機を備えた車両の運転性を向上させることがで
きるのである。
【0080】図5は第2の実施形態を示し、前記第1実
施形態のPI制御部106をA/D変換器およびD/A
変換器を備えたマイクロコンピュータにより構成した場
合の制御の一例を示すフローチャートである。
【0081】まず、ステップ1201において、目標変
速比を入力1として入力し、A/D変換し、変数AD1
に収容する。
【0082】ステップ1202では、変速比検知部10
5が検出した無段変速機10の変速比を入力2として入
力し、A/D変換し、変数AD2に収容する。
【0083】そして、ステップ1203では、上記AD
1とAD2の差を変数Aに収容してから、ステップ12
04で、変数Aにステップ1201からステップ121
4までの処理に要する時間であるΔTを乗じた値を、変
数Bに加算することで積分を実行し、変数Bに収容す
る。
【0084】ステップ1205においては、積分値であ
る変数Bの値と予め設定した上限のリミットである変数
Limit1との値を比較し、変数Bの値がLimit
1より大きければステップ1206に進んで、変数Bの
値を変数Limit1として更新し、ステップ1208
では、Limit1に対して所定の微小量であるΔLを
加算する。
【0085】一方ステップ1205の条件が成立しない
場合は、ステップ1207に進んで、変数Limit1
から所定の微小量であるΔεを減算する。
【0086】このΔεはステップ1205の条件が成立
する頻度が少ないことより、ΔLに対してさらに小さな
値として設定され、積分値BがLImit値に達する頻
度の低下に応じて上限値Limit1または後述の下限
値Limit2の範囲を縮小するものである。
【0087】そして、ステップ1209からステップ1
212では、上記ステップ1205からステップ120
8で行った上限処理と同様に、予め設定した下限のリミ
ットである変数Limit2と積分値である変数Bを比
較して下限処理を実行する。
【0088】ステップ1213においては、上記ステッ
プ1203で求めた変数Aに所定の比例ゲインPを乗じ
るとともに、上記ステップ1204で求めた変数Bには
所定の積分ゲインIを乗じてこれらを加算して、変数O
UTに収容する。
【0089】次に、ステップ1214では、この変数O
UTの値をD/A変換してステップモータ122へ出力
してから、再び上記ステップ1201に戻る。
【0090】以上の処理により、前記第1実施形態と同
様に、上下限値Limit1、2の変更幅ΔLが微小で
あることより、アクチュエータ、すなわちステップモー
タ122の動作速度限界等によって積分器の出力が上限
値又は下限値Limit1、2に達した場合には、積分
に対するリミッタが有効に働き、積分器の不要な積分に
よる変速比のオーバーシュートを抑制するのに加えて、
積分値である変数Bが定常的に上限値Limit1また
は下限値Limit2に達した場合には、上下限値Li
mit1、2がこれに対応して変化し、トロイダル型の
無段変速機10の特性が経時劣化等によって変化した場
合においても積分器にリミッタを設定したことによる悪
影響を排除でき、変速制御の信頼性を向上させることが
できるのである。
【0091】図6、図7は、第3の実施形態を示し、前
記第2実施形態のステップ1207をステップ1401
〜ステップ1404へ、同じくステップ1211をステ
ップ1410〜ステップ1413へ処理を変更したもの
で、その他の処理は前記第2実施形態と同様である。
【0092】上記ステップ1205において、積分値B
が変数Limit1以下と判定された場合には、ステッ
プ1401で変数count1に1を加算する。
【0093】そして、ステップ1402において変数c
ount1が所定値1以上であることが判定されると、
ステップ1403において変数Limit1からΔεを
減算した後、ステップ1404でcount1をリセッ
トすることで、Δεの値を前記第2実施形態に比して大
きくすることが可能となって、上記実施形態と同様の効
果を得ながら、有効桁数を減少させて、演算の簡素化を
図ることができるのである。
【0094】なお、ステップ1410以降も上記ステッ
プ1401〜1404と同様にして、変数count2
が所定値2以上となってから変数Limit2へΔεの
加算処理を行う。
【0095】図8は第4の実施形態を示し、前記第2、
第3実施形態と同じく、マイクロコンピュータで構成さ
れたPI制御部106による制御の一例を示すフローチ
ャートである。
【0096】まず、ステップ1301において、目標変
速比を入力1として入力するとともに、A/D変換して
変数AD1に収容する。
【0097】ステップ1302では、変速比検知部10
5によって得られたトロイダル型無段変速機l0の変速
比を入力2として入力し、A/D変換して変数AD2に
収容する。
【0098】そして、ステップ1303では、上記AD
1とAD2の差を変数Aに収容して、ステップ1304
においてこの変数Aに、ステップ1301からステップ
1313までの処理に要する時間である△Tを乗じてか
ら、変数Bに加算することで積分を行って、変数Bに積
分値を収容する。
【0099】次に、ステップ1305では、上記変数A
に所定の比例ゲインPを乗じたものと、上記積分値であ
る変数Bに所定の積分ゲインIを乗じたものとを加算し
て、これを変数OUTとして収容する。
【0100】ステップ1306では、変数OUTの前回
値0UT_LSATと現在のOUTとの差が、所定の定
数であるLimit1より大きいことが判断されたなら
ば、ステップ1307に進んで、上記ステップ1304
で求めた変数Bから変数Aと△Tとの積を減算して、ス
テップ1304にて行った積分を取り消す。
【0101】この定数Limit1は、前記従来例の図
12に示したように、油圧制御を行うスリーブ126を
所定の方向に駆動するのに必要な力と、ステップモータ
122の駆動トルクが等しくなる速度よりやや少ない速
度に対応するように決定し、ステップモータ122が駆
動トルクより抵抗が大きいために脱調現象を発生するの
を防止する。
【0102】次に、ステップ1308では、前回値OU
T_LASTにLimit1を加算した値を変数OUT
に収容してから、ステップ1312に進んで変数OUT
の値をD/A変換し出力し、ステップモータ122に対
し過剰な速度を要求する指令値を与えないようにするこ
とで、ステップモータ122が駆動速度の過大な増大に
よって脱調現象を引き起こすことを防止することができ
る。
【0103】一方、上記ステップ1306の判定でNO
となった場合にはステップ1309へ進み、変数OUT
と前回値OUT_LASTとの差が、同じく負の定数L
imit2より小さいか否かを判定する。
【0104】この差が負の定数Limit2より小さい
ときには、ステップ1310に進んで上記ステップ13
07と同様に、ステップ1304で行った積分を取り消
す。
【0105】そして、ステップ1311で、前回値OU
T_LASTの値にLimit2を加算した値をOUT
へ収容して、ステップ1312に進んでステップモータ
122の駆動を行う。
【0106】ここで、上記定数Limit2はLimi
t1とは逆方向にスリーブ126を駆動する抵抗と、ス
テップモータ122の駆動トルクにより決定され、負の
値を持つ。
【0107】以上の処理により、アクチュエータ、すな
わちステップモータ122の動作速度限界以上の出力要
求が発生した場合、積分を停止することが可能となり、
前記従来例のような積分器の不要な積分によるワインド
アップ現象を避けて安定した変速制御を行うことがで
き、さらに、ステップモータ122の固有の値である脱
調現象を起こさない速度と、ステップ1301からステ
ップ1309までの処理に必要な時間より設定された定
数Limit1、Limit2を設定するたけで、無段
変速機10の特性を実験値により得れば、これにより積
分値の上下限値を設定する必要は無く、制御内容の簡素
化を図ることができる。
【0108】図9、図10、図11は第5の実施形態を
示し、図9に示すように無段変速機10の油温を検出す
るCVT作動油温度センサ600と、同じく無段変速機
10の油圧を検出するオイルポンプ圧力センサ601か
らの信号を、マイクロコンピュータで構成されたPI制
御部106に入力3、4として加え、図10に示すフロ
ーチャートによって制御を行うものである。
【0109】このフローチャートは前記第4実施形態の
Limit1、2を変数とし、読み込んだ油温と油圧よ
り、図11のように、予め設定されたマップ等からこれ
らLimit1、2を設定するようにしたもので、その
他は前記第4実施形態と同様である。
【0110】スリーブ126を駆動するのに必要な力
は、トロイダル型無段変速機10を作動させている作動
油の温度並びに圧力に依存するため、この両値をCVT
作動油温度センサ600及びオイルポンプ圧力センサ6
01により検出して、この信号をステップ1702によ
り変数AD3およびAD4に収容する。
【0111】そして、ステップ1703では、予め実験
により設定した油温及び圧力毎のスリーブ126の駆動
抵抗と、ステップモータ122の駆動トルクから算出さ
れる脱調現象を起こさない最大の駆動速度を記載したT
able1、Table2を用いて、上記変数AD3、
AD4の値に応じたLimit1、Limit2を演算
する。
【0112】 Limit1=Table1(AD3、AD4) Limit2=Table2(AD3、AD4) ここで、 Table1、2は、図11に示すように、
油温が100度以上となる高温時にはLimit値が減
少するように設定されるが、これは、油温の高い場合で
は、入出力コーンディスク16、18とパワーローラ2
0、20間の動力伝達力の最大値が低下することによ
り、速度の高い変速動作を行わせることが不適切である
ことを、本願出願人の実験により判明したためである。
【0113】したがって、本実施形態では、トロイダル
型の無段変速機10が動作している温度(油温)、並び
に作動油の油圧に応じてLimit値が変化するため、
より幅広い運転条件に対して最適なLimit値を設定
することが可能となって、前記従来例のようなワインド
アップ現象による変速比のオーバーシュートを確実に防
ぐとともに、Limit1を厳しく設定しすぎることに
よる変速制御性能の悪化を防いで、円滑な変速動作を行
うことができる。
【0114】なお、上記CVT動作油温度センサ600
は、エンジン水温センサ等、CVT油温と相関がある他
のセンサによって代替することが可能である。
【0115】なお、上記実施形態において、無段変速機
10をトロイダル型で構成した場合について述べたが、
図示はしないが、Vベルト式の無段変速機のへの変速制
御装置においても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す無段変速機の変速制
御装置のブロック図。
【図2】同じくPI制御部のブロック図である。
【図3】同じく制御の概念図である。
【図4】変速時の各値と時間の関係を示すグラフで、目
標エンジン回転数、実エンジン回転数、積分制御出力、
比例制御出力、積分上限値、積分下限値、実ステップ数
及び目標ステップ数と時間の関係を示す。
【図5】第2の実施形態を示し、制御の一例を示すフロ
ーチャート。
【図6】第3の実施形態を示し、制御の一例を示すフロ
ーチャートの前半部。
【図7】同じく第3の実施形態を示し、制御の一例を示
すフローチャートの後半部。
【図8】第4の実施形態を示し、制御の一例を示すフロ
ーチャート。
【図9】第5の実施形態を示し、無段変速機の変速制御
装置のブロック図。
【図10】同じく第5の実施形態を示し、制御の一例を
示すフローチャート。
【図11】同じく第5の実施形態を示し、Limit値
を設定するマップで、油温、油圧とLimit値の関係
を示す。
【図12】従来例を示し、トロイダル型無段変速機の横
断面図。
【図13】同じく、縦断面図。
【図14】比例制御による制御概念図。
【図15】同じく、目標値及び出力値と時間の関係を示
すグラフ。
【図16】従来の比例積分制御による制御概念図。
【図17】同じく、目標値及び出力値と時間の関係を示
すグラフ。
【図18】比例制御で外乱を与えた場合の目標値及び出
力値と時間の関係を示すグラフ。
【図19】従来の比例積分制御で外乱を与えた場合の目
標値及び出力値と時間の関係を示すグラフ。
【図20】同じく、従来の比例積分制御による、変速時
の各値と時間の関係を示すグラフで、目標エンジン回転
数、実エンジン回転数、積分制御出力、比例制御出力、
積分上限値、積分下限値、実ステップ数及び目標ステッ
プ数と時間の関係を示す。
【図21】第1ないし第4の発明のいずれかひとつに対
応するクレーム対応図。
【図22】第5ないし第7の発明のいずれかひとつに対
応するクレーム対応図。
【符号の説明】
1 変速制御手段 2 変速機構 3 アクチュエータ 4 比例積分手段 5 リミット手段 6 指令値演算手段 7 目標駆動速度演算手段 8 駆動速度規制手段 9 積分停止手段 10 無段変速機 16 入力コーンディスク 18 出力コーンディスク 20 パワーローラ 82 偏心軸 86 トラニオン 103 目標変速比演算部 106 PI制御部 104 ステップモータ駆動回路 105 変速比検知部 108a ピストン 116 プリセスカム 118 リンクカム 120 変速制御弁 122 ステップモータ 126 スリーブ 128 スプール 600 CVT作動油温度センサ 601 オイルポンプ圧力センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−249464(JP,A) 特開 平4−213703(JP,A) 特開 平2−292562(JP,A) 特開 昭62−191239(JP,A) 特開 平8−114260(JP,A) 特開 平3−89066(JP,A) 特開 平8−270772(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 63/48

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前記変速機構を駆動するアクチュエータ
    と、 運転状態に応じて前記無段変速機の目標変速比を演算す
    るとともに、実際の変速比がこの目標変速比に一致する
    ように前記アクチュエータを駆動する変速制御手段を備
    えた無段変速機の変速制御装置において、 前記変速制御手段は、 目標変速比と実変速比の差の積分値及び比例値を演算す
    る比例積分手段と、 前記積分値を所定の上限値及び下限値に規制するリミッ
    ト手段とを備え 前記リミット手段は、積分値が所定の上限値を超えると
    きには上限値を所定の第1の微小値だけ増加する一方、
    積分値が所定の下限値を超えるときにはこの下限値を前
    記第1微小値だけ減少させるリミット値学習補正手段を
    備えた ことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  2. 【請求項2】前記リミット値学習補正手段は、積分値が
    所定の上限値以下の場合には上限値を所定の第2の微小
    値だけ減少する一方、積分値が所定の下限値以上のとき
    にはこの下限値を所定の第2微小値だけ増加させるとと
    もに、前記第1微小値は第2微小値よりも大きく設定さ
    れたことを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の変
    速制御装置。
  3. 【請求項3】前記リミット手段は、無段変速機の運転状
    態に応じて前記上限値または前記下限値を補正するリミ
    ット値補正手段を備えたことを特徴とする請求項1に
    載の無段変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】変速比を連続的に変更する変速機構を備え
    た無段変速機と、 前記変速機構を駆動するアクチュエータと、 運転状態に応じて前記無段変速機の目標変速比を演算す
    るとともに、実際の変速比がこの目標変速比に一致する
    ように前記アクチュエータを駆動する変速制御手段を備
    えた無段変速機の変速制御装置において、 前記変速制御手段は、 目標変速比と実変速比の差の積分値及び比例値を演算す
    る比例積分手段と、 この積分値及び比例値に基づいてアクチュエータの目標
    位置を演算する指令値演算手段と、 この目標位置の微分値または所定時間前に出力された目
    標位置と現在の目標位置との差からアクチュエータの目
    標駆動速度を演算する目標駆動速度演算手段と、 この目標駆動速度が所定の上限値より大きいか、または
    所定の下限値未満の場合に、目標駆動速度を所定の上限
    値または下限値に規制する駆動速度規制手段と、 目標駆動速度が前記速度規制手段で規制されたときに、
    前記比例積分手段の積分値の演算を停止する積分停止手
    段とを備えた ことを特徴とする無段変速機の変速制御装
    置。
  5. 【請求項5】前記駆動速度規制手段の上限値及び下限値
    は、前記変速機構の駆動抵抗と、アクチュエータの駆動
    力がほぼ等しくなる速度よりも小さく設定されたことを
    特徴とする請求項4に記載の無段変速機の変速制御装
    置。
  6. 【請求項6】前記駆動速度規制手段は、無段変速機の運
    転状態に応じて前記上限値または前記下限値を補正する
    駆動速度補正手段を備えたことを特徴とする請求項4に
    記載の無段変速機の変速制御装置。
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