JP3726377B2 - ベルト式無段変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベルト式無段変速機の変速制御装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載される無段変速機としては、Vベルト式のものが従来から知られており、例えば、本願出願人が提案した特願平8−105467号等がある。
【0003】
これは、無段変速機のVベルトとの接触プーリ幅が、油圧に基づいて可変制御される入力側と出力側の一対の可変プーリを備え、入力プーリの可動円錐板を駆動するピストン室へ供給する油圧を変化させることにより、連続的に変速比を変更するものであり、この油圧を調整する変速制御弁は図4に示すように、ライン圧とドレーンの連通量を制御するスプール弁等で構成される。
【0004】
図4において、変速制御弁2は、ハウジング内周に軸方向へ変位可能なスプール5を収装しており、スプール5は図中左側からスプリング9に付勢される一方、図中右端をソレノイド4に付勢されており、スプリング9に抗してソレノイド4の推力が増大することにより、スプール5は図中左側へ向けて、図4(A)の最小推力(変位)の位置から図4(E)の最大推力(変位)の位置まで変位する。
【0005】
この変速制御弁2のハウジングには、ライン圧回路と連通するライン圧ポート2aと、入力プーリピストン室と連通するピストン圧ポート2bと、ドレーンポート2cが、それぞれスプール5に面した所定の位置に開口する。そして、スプール5には図中左側からランド5a、5b、5cそれぞれ所定の間隔で形成される。
【0006】
この変速制御弁2は、スプリング9に対抗したソレノイド4の推力に応じてスプール5を変位させることで、ピストン圧ポート2bへ作動油の給排を行って無段変速機の変速比を調整しており、この変速制御弁2の特性は、図5に示すようになる。
【0007】
いま、ソレノイド4が非動作状態のときには、スプール5はスプリング9に付勢されて図4(A)の位置にあり、図5では区間C1の最小推力位置となる。この位置では、ランド5a、5bがそれぞれドレーンポート2c、ライン圧ポート2aを遮断して、入力プーリピストン室内の圧油が封止されるため所定の変速比が保持される。
【0008】
そして、ソレノイド4の伸長駆動が開始されると、図4(A)からスプール5は図中左側へ変位して、図4(B)のようにランド5a、5b間の油路を介してピストン圧ポート2bとドレーンポート2cが連通し、入力プーリピストン室の圧油が排出されてダウンシフトとなる。スプール5の変位に応じて、ピストン圧ポート2bとドレーンポート2cの連通量(ポートの開口面積)は変化し、図5では区間B1に入ってスプール5の変位に応じて連通量が増大し、図5に示した連通量最大の位置である点Dmaxからさらにスプール5が変位して図5の信号使用範囲区間Aに入ると、連通量は次第に減少して、図4(C)に示す中立位置(中央)となる。中立位置では、ランド5bがピストン圧ポート2bを封止するため、上記最小推力位置と同様に所定の変速比が保持される。
【0009】
さらに、ソレノイド4がスプール5を図中左側へ駆動すると、ランド5b、5c間の油路を介してライン圧ポート2aとピストン圧ポート2bが連通し、入力プーリピストン室へ圧油が供給されて図4(D)に示すアップシフトとなる。すなわち、スプール5の図中左側への変位に応じて、ライン圧ポート2aとピストン圧ポート2bの連通量は、図5の区間Aではスプール5の変位に応じて連通量が増大し、図5に示した連通量最大の位置である点Umaxからさらにスプール5が変位して図6の区間B2に入ると、連通量はスプール5の変位に応じて次第に減少する。そして、さらに図5の区間C2に入ると、再びライン圧ポート2aとドレーンポート2cはランド5b、5cによって遮断され、ソレノイド4の推力が最大になると図4(E)に示す最大推力位置(最大動作状態)となる。この最大推力位置では、ピストン圧ポート2bへ作動油の給排が行われず、上記最小推力位置と同様に所定の変速比が保持される。
【0010】
なお、図5において、コントロールユニットが出力する信号のうち、スプール5が中立位置となるソレノイド4への信号値を中立値Cとし、この中立値では入力プーリピストン室に作動油が封止されて変速しない。
【0011】
上記のような変速制御弁2によって、車両の運転状態に応じた目標変速比を決定するコントロールユニットは、ソレノイド4等のアクチュエータに操作量を送出して、実際の変速比を目標変速比に一致させるのである。
【0012】
そして、コントロールユニットは、図5の信号出力範囲のうち、下限Dmaxから上限Umaxの間の区間A(信号使用範囲)で信号の出力を行って、ソレノイド4が非動作状態(最小推力時)又は最大動作状態(最大推力時)のときに、入力プーリのピストン圧ポート2bを封止して作動油の給排を禁止することで、コントロールユニットやソレノイド4などに故障が発生したときに、急激な変速動作が発生するのを防いでフェイルセーフを確保しながら、制御ゲインが負(発散)となる領域の使用を避けて安定したフィードバック制御を行うものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、変速制御弁2を構成するハウジングの各ポート、スプール5の各ランドの寸法公差により、コントロールユニットからの信号出力値と入力プーリピストン室への連通量にもばらつきが生じ、上記信号出力値と連通量の関係にずれが生じてしまう。
【0014】
しかしながら、上記従来例においては、コントロールユニットは信号出力可能範囲のうち、予め設定した上限Umaxと下限Dmaxの間の信号使用範囲Aで制御を行っていたため、コントロールユニットの信号出力値に対する入力プーリピストン室への連通量が、上記のような公差によって、図5に示す正常時の実線aから、図中破線bに「ずれ」た場合、信号使用範囲の上限Umaxと下限Dmaxが、ライン圧側及びドレーン側との連通量がそれぞれ最大となる点U1、D1と一致せず、変速速度が低下したり変速制御が不安定になるという問題があり、例えば、図5において、コントロールユニットからの信号出力値がUmaxとなって、最大のアップシフトが要求された場合、実際の連通量は破線b上のU1’となって、ライン圧側の連通量が最大にならず、変速速度は所定の設計値よりも低下してしまい、また、信号出力値がDmaxとなって、最大のダウンシフトが要求された場合、実際の連通量は破線b上のD1’となって、ドレーン側の連通量が最大値を超えて、制御ゲインが負の領域に入り、変速要求が大きいほど変速速度が低下し、あるいは変速が行えない場合があった。
【0015】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、変速制御弁の誤差を吸収して、フェイルセーフを確保するとともに、変速制御の制御ゲインが負(発散)の領域に入るのを防いで、常時安定した変速制御を行うことを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図6に示すように、ベルトの接触プーリ幅が油圧に基づいて可変制御される入力プーリ及び出力プーリと、前記入力プーリと出力プーリにそれぞれ形成されてプーリ幅を変更するピストン室と、前記出力プーリのピストン室へ所定のライン圧を供給するライン圧供給手段と、前記入力プーリのピストン室への作動油を、ライン圧ポートまたはドレーンポートの一方との連通量に応じて給排する変速制御弁と、この変速制御弁を駆動するアクチュエータと、車両の運転状態に応じて演算した操作量に基づいて前記アクチュエータを駆動する変速制御手段と、前記変速制御弁に形成されて、前記アクチュエータが非動作状態または最大動作状態のときに前記入力プーリピストン室への作動油の給排を禁止する変速禁止手段と、前記操作量が、中立値を中央として連通量が最大となる所定の上限値及び下限値を超えないように規制する規制手段を備えたベルト式無段変速機の変速制御装置において、前記変速制御手段の定常状態を検出する定常状態検出手段と、定常状態検出手段が前記定常状態を検出したときに前記中立値を学習補正する学習補正手段と、この中立値の学習補正値に応じて前記上限値及び下限値を補正する制御範囲補正手段とを備える。
【0017】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記制御範囲補正手段は、補正された中立値に所定値を加算したものを上限値として演算する一方、補正された中立値に所定値を減算したものを下限値として演算する。
【0018】
また、第3の発明は、前記第1の発明において、前記変速制御手段は、PID制御手段を備えるとともに、前記学習補正手段は、前記PID制御手段の偏差の積分値に基づいて学習補正を行う。
【0019】
また、第4の発明は、前記第3の発明において、前記定常状態検出手段は、PID制御手段が演算した目標変速比と実変速比が共に所定の定常状態のときに、前記定常状態を検出する。
【0020】
【発明の効果】
したがって、第1の発明は、アクチュエータの操作量は、所定の中立値を中央とした上限値、下限値以内に規制されるため、例えば、目標変速比と実変速比の偏差が所定値を超えて増大しても、制御ゲインが負(発散)となる領域の使用を避けるとともに、変速制御手段等の故障時には急激な変速動作を防止してベルト式無段変速機を備えた車両のフェイルセーフを確保しながら常時安定した変速制御を行って、変速制御手段が定常状態にあるときには、中立値が学習補正されるとともに、この中立値の学習補正値に応じて前記上限値及び下限値が補正されるため、制御特性のずれによる変速速度の低下、あるいは制御ゲインが負(発散)となって円滑な変速が不能になるのを抑制でき、変速制御弁やアクチュエータの寸法のばらつきを吸収して常時円滑な変速制御を行うことが可能となり、経年変化や個体差を吸収して、無段変速機を備えた変速制御装置の耐久性及び信頼性を向上させるとともに、製品の個体差を解消して安定した品質を確保することが可能となるのである。
【0021】
また、第2の発明は、学習補正された中立値に所定値を加減することで上限値及び下限値を補正することで、常時一定の制御範囲を維持し、制御ゲインが負(発散)となって円滑な変速が不能になるのを抑制できる。
【0022】
また、第3の発明は、定常状態のときには、PID制御手段の偏差の積分値に基づいて学習補正を行うことにより、中立値の学習補正を円滑に行うことができる。
【0023】
また、第4の発明は、PID制御手段の目標変速比と実変速比が共に定常状態にあれば中立値の学習補正を行うようにしたため、中立値の補正を正確に行って適正な制御範囲を維持することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0025】
図1はVベルト式の無段変速機の変速制御装置の概略構成図を示し、無段変速機17は、可変プーリとして図示しないエンジンに接続された入力プーリ16と、駆動軸に連結された出力プーリ26を備え、これら可変プーリはVベルト24によって連結されている。
【0026】
入力プーリ16は、図示しないエンジンに結合された軸と一体となって回転する固定円錐板22と、固定円錐板22と対向配置されてV字状のプーリ溝を形成するとともに、変速制御弁2から入力プーリピストン室20へ作用する油圧に応じて軸方向へ変位可能な可動円錐板18から構成される。
【0027】
一方、出力プーリ26は車軸に連結された軸と一体となって回転する固定円錐板30と、この固定円錐板30と対向配置されてV字状のプーリ溝を形成するとともに、出力プーリピストン室32へ作用する油圧コントロールユニット3からのライン圧に応じて軸方向へ変位可能な可動円錐板34から構成される。
【0028】
このような、入力プーリ16と出力プーリ26のV字状プーリ溝の幅を変化させる変速制御は、入力プーリピストン室20への作動油の給排を調整する変速制御弁2によって行われる。
【0029】
すなわち、CVTコントロールユニット1からの指令に応動するアクチュエータとしてのソレノイド4と、ソレノイド4に駆動される変速制御弁2等からなる油圧コントロールユニット3によって入力プーリピストン室20に加わる油圧が制御され、この変速制御弁2及びソレノイド4は前記図4の従来例と同様に構成され、以下、同一のものに同一の図番を付して重複説明を省略する。
【0030】
なお、変速禁止手段としては、ソレノイド4の非動作状態または最大動作状態のときに入力プーリピストン室20を封止するランド5a、5b、5cが変速制御弁2のスプール5に形成される。
【0031】
また、油圧コントロールユニット3には、図示しないライン圧供給手段が配設され、出力プーリピストン室32と変速制御弁2へ所定のライン圧を供給する。
【0032】
マイクロコンピュータ等を主体に構成されたCVTコントロールユニット1は、車両の運転状態に基づいて演算した目標変速比を、実変速比に一致させるように、目標変速比と実変速比の偏差に応じた操作量をソレノイド4へ指令する。
【0033】
このようなCVTコントロールユニット1で行われる変速制御の一例について、図2のフローチャートを参照しながら詳述する。
【0034】
ステップS1では、無段変速機17から入力回転数Ninと出力回転数Nout(=車速VSP)と、運転者の操作に応じたスロットル開度TVO並びにインヒビタスイッチ8からの信号(変速モード等)を読み込むとともに、図示しないエンジンコントロールユニットからエンジン回転数Neを読み込んで、車両の運転状態に応じた目標変速比を演算する一方、無段変速機17の実変速比を求める。
【0035】
ステップS2以降では、これら実変速比と目標変速比の偏差に基づいてソレノイド4の操作量、すなわち、変速制御弁2のスプール5の目標位置をフィードバック制御などにより演算する。
【0036】
この変速制御を例えば、PID(比例、積分、微分)制御により行う場合では、まず、ステップS2で、偏差に応じた比例分(P分)、積分分(I分)、微分分(D分)を次のように演算する。
【0037】
偏差のP分=実変速比−目標変速比
偏差のI分=∫(実変速比−目標変速比)dt
偏差のD分=d/dt(実変速比−目標変速比) ………(1)
次にステップS3では、車両の走行状態が定常状態であるか否を、上記(1)式で求めた偏差のP分=0で、かつ、偏差のI分が所定時間、例えば、1秒間一定であるかより判定し、これらの条件を満たす場合には定常状態と判定してステップS4へ進んで中立値の学習補正を行う一方、そうでない場合にはステップS5へ進んで、ソレノイド4の操作量の演算を行う。
【0038】
ステップS4で行われる中立値の学習補正は、上記ステップS2で求めた、偏差のI分と、中立値の前回値より次式によって行われる。
【0039】
中立値=中立値+偏差のI分×KI ………(2)
ただし、KIは積分ゲインである。
【0040】
なお、上記(2)式の演算の後には、偏差のI分を0にセットしてから中立値の補正を終了する。
【0041】
こうして、定常状態を検出したときには、図3に示すように、中立値Cが学習補正されて、変速制御弁2の流量特性が、図3の実線aから破線bに変動した場合には新たな中立値C’が求められるのである。
【0042】
こうして補正された中立値に基づいて、ステップS5では、次式によって、ソレノイド4の操作量が演算される。
【0043】
ただし、KPは比例ゲイン、KDは微分ゲインである。
【0044】
なお、中立値(図3のCまたはC’)とは、前記したように、スプリング9に抗してスプール5を駆動するソレノイド4が、スプール5の全ストローク範囲(=ソレノイド4の信号出力範囲)の略中央で、スプール5のランド5bがピストン圧ポート2bを遮断して所定の変速比を保持する信号値である。
【0045】
上記(3)式より、ソレノイド4の操作量は、偏差のI分に応じて学習補正された中立値からの操作量として求められる。
【0046】
次に、ステップS6では上記ステップS5で求めた操作量が、補正後の中立値C’に伴って変更された上限値Umax’以内であるかを判定し、上限値Umax’を超えている場合には、ステップS7へ進んで操作量を上限値Umax’に規制する。なお、補正された中立値C’に応じて上限値Umax’は次のように演算される。
【0047】
上限値Umax’=中立値+所定値
なお、この所定値は、新たな中立値C’から連通量が最大となるように設定された値である。
【0048】
同様に、ステップS8では上記ステップS5で求めた操作量が、中立値Cの補正に伴って変更された下限値Dmax’以上であるかを判定し、下限値Dmax’よりも小さい場合には、ステップS9へ進んで操作量を下限値Dmax’に規制する。
【0049】
下限値Dmax’=中立値−所定値
ここで、上限値Umax及び下限値Dmaxは、図3の変速制御弁2の特性図に示すように、ソレノイド4の中立位置からスプール5を駆動して、変速制御弁2のピストン圧ポート2bとライン圧ポート2aの連通量が最大となる点Umaxと、同じく変速制御弁2のピストン圧ポート2bとドレーンポート2cの連通量が最大となる点Dmaxに設定され、CVTコントロールユニット1からソレノイド4へ指令する操作量の範囲は、図3の区間A(信号使用範囲)となるが、上記ステップS4の学習補正によって、図3に示す中立値CがC’に補正されると、上限値Umax及び下限値Dmaxも変更しなければならず、上記ステップS6〜S9のように、補正された中立値C’に所定値を加算及び減算したものを新たな上限値Umax’及び下限値Dmax’として設定し、ソレノイド4の操作量は常時一定の区間Aとなる。
【0050】
そして、ステップS10では、求めた操作量を信号出力値としてソレノイド4へ指令するのである。
【0051】
こうして、上記ステップS1〜S10の処理を所定時間毎などに実行することで、定常状態が検出されたときには、偏差のI分に応じて中立値が学習補正される。
【0052】
そして、この中立値に基づいてソレノイド4の操作量が演算され、かつ、この操作量は補正された中立値に応じて上限値、下限値を規制されるため、前記従来例のように、変速速度が低下したり、制御ゲインが負(発散)となって円滑な変速が不能になるのを抑制でき、ソレノイド4は変速比の偏差に応じて常時図3の信号出力範囲A内で常時スプール5を駆動して、変速制御弁2やソレノイド4の寸法のばらつきを吸収して常時円滑なすることが可能となるのである。
【0053】
いま、図3に示すように、CVTコントロールユニット1からの信号出力値と、変速制御弁2からの入力プーリピストン室20への連通量の関係が所定の設計値にある場合は、図中実線aのように設定されており、CVTコントロールユニット1からの信号出力値は、所定の下限値Dmaxから上限値Umaxで示される図中Aの信号使用範囲となり、中立値は図中点Cとなる。
【0054】
ここで、前記従来例のように、変速制御弁2を構成するハウジングの各ポートや、スプール5の各ランドの寸法公差により、CVTコントロールユニット1からの信号出力値と入力プーリピストン室20への連通量の関係にもばらつきが生じて図中破線bの特性になって中立点は図中C’へ移動してしまうが、上記ステップS3で定常状態が検出されたときには、ステップS4において、偏差のI分に応じて中立値Cが学習補正されて、上記のようなずれに応じた中立点C’に補正される。
【0055】
そして、この中立点C’の移動に伴って、下限値Dmax及び上限値Umaxもそれぞれ下限値Dmax’及び上限値Umax’に補正されるため、CVTコントロールユニット1から出力される信号出力値の範囲Aは、中立点C’の移動に伴ってシフトするため、上記設計値の制御特性aと同様に変速制御を行うことが可能となり、メカニカルなずれ等を吸収して、常時設計値に基づく制御特性を保持することが可能となって、ベルト式無段変速機17の経年変化や変速制御弁2や油圧コントロールバルブ3の個体差を吸収して、無段変速機の耐久性及び信頼性を向上させるとともに、製品の個体差を解消して安定した品質を確保することが可能となるのである。
【0056】
また、前記従来例と同様にして、常時図3に示す信号使用範囲A内で常時スプール5を駆動するため、ソレノイド4が非動作状態(最小推力時)又は最大動作状態(最大推力時)のときに、入力プーリのピストン圧ポート2bを封止して作動油の給排を禁止することで、コントロールユニットやソレノイド4などに故障が発生したときに、急激な変速動作が発生するのを防いでフェイルセーフを確保するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すベルト式無段変速機の変速制御装置の概略構成図。
【図2】同じく本発明のCVTコントロールユニットで行われる変速制御の一例を示すフローチャート。
【図3】同じく本発明のCVTコントロールユニットからソレノイドへの操作量(スプールの位置)と、ピストン室とライン圧ポート又はドレーンポートの連通量の関係を示すグラフ。
【図4】変速制御弁を示す概略図で、(A)はソレノイドの推力が最小のときのスプールの位置を示し、(B)は無段変速機がダウンシフト状態のスプールの位置を、(C)は同じくスプールの中立位置を、(D)は同じくアップシフト状態のスプールの位置を、(E)はソレノイドの推力が最大のときのスプールの位置をそれぞれ示す。
【図5】従来例を示し、CVTコントロールユニットからソレノイドへの操作量と変速制御弁の連通量の関係を示すグラフ。
【図6】第1ないし第4の発明のいずれかひとつに対応するクレーム対応図。
【符号の説明】
1 CVTコントロールユニット
2 変速制御弁
2a ライン圧ポート
2b ピストン圧ポート
2c ドレーンポート
3 油圧コントロールバルブ
4 ソレノイド
5 スプール
5a,5b,5c ランド
6 入力回転数センサ
7 出力回転数センサ
9 スプリング
16 入力プーリ
17 無段変速機
22 固定円錐板
20 入力プーリピストン室
18 可動円錐板
24 Vベルト
26 出力プーリ
30 固定円錐板
32 出力プーリピストン室
34 可動円錐板
100 変速制御手段
101 入力プーリ
102 出力プーリ
103、104 ピストン室
105 ライン圧供給手段
106 変速制御弁
107 アクチュエータ
100 変速制御手段
108 変速禁止手段
110 規制手段
111 定常状態検出手段
112 学習補正手段
113 制御範囲補正手段
114 PID制御手段
Claims (4)
- ベルトの接触プーリ幅が油圧に基づいて可変制御される入力プーリ及び出力プーリと、
前記入力プーリと出力プーリにそれぞれ形成されてプーリ幅を変更するピストン室と、
前記出力プーリのピストン室へ所定のライン圧を供給するライン圧供給手段と、
前記入力プーリのピストン室への作動油を、ライン圧ポートまたはドレーンポートの一方との連通量に応じて給排する変速制御弁と、
この変速制御弁を駆動するアクチュエータと、
車両の運転状態に応じて演算した操作量に基づいて前記アクチュエータを駆動する変速制御手段と、
前記変速制御弁に形成されて、前記アクチュエータが非動作状態または最大動作状態のときに前記入力プーリピストン室への作動油の給排を禁止する変速禁止手段と、
前記操作量が、中立値を中央として連通量が最大となる所定の上限値及び下限値を超えないように規制する規制手段を備えたベルト式無段変速機の変速制御装置において、
前記変速制御手段の定常状態を検出する定常状態検出手段と、
定常状態検出手段が前記定常状態を検出したときに前記中立値を学習補正する学習補正手段と、
この中立値の学習補正値に応じて前記上限値及び下限値を補正する制御範囲補正手段とを備えたことを特徴とするベルト式無段変速機の変速制御装置。 - 前記制御範囲補正手段は、補正された中立値に所定値を加算したものを上限値として演算する一方、補正された中立値に所定値を減算したものを下限値として演算することを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機の変速制御装置。
- 前記変速制御手段は、PID制御手段を備えるとともに、前記学習補正手段は、前記PID制御手段の偏差の積分値に基づいて学習補正を行うことを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機の変速制御装置。
- 前記定常状態検出手段は、PID制御手段が演算した目標変速比と実変速比が共に所定の定常状態のときに、前記定常状態を検出することを特徴とする請求項3に記載のベルト式無段変速機の変速制御装置。
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1996
- 1996-09-25 JP JP25323096A patent/JP3726377B2/ja not_active Expired - Lifetime
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