JPH10103436A - ベルト式無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

ベルト式無段変速機の変速制御装置

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JPH10103436A
JPH10103436A JP8253230A JP25323096A JPH10103436A JP H10103436 A JPH10103436 A JP H10103436A JP 8253230 A JP8253230 A JP 8253230A JP 25323096 A JP25323096 A JP 25323096A JP H10103436 A JPH10103436 A JP H10103436A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 変速制御弁やアクチュエータの誤差を吸収し
て、フェイルセーフを確保しながら常時安定した変速制
御を行う。 【解決手段】 入力プーリ101のピストン室103へ
の作動油を給排する変速制御弁106を駆動するアクチ
ュエータ107と、車両の運転状態に応じた操作量に基
づいてアクチュエータ107を駆動する変速制御手段1
00と、変速制御弁106に形成されてアクチュエータ
が非動作状態または最大動作状態のときに作動油の給排
を禁止する変速禁止手段108と、操作量が中立値をほ
ぼ中央とした所定の上限値及び下限値を超えないように
規制する規制手段110と、変速制御手段100の定常
状態を検出する定常状態検出手段111と、定常状態を
検出したときに中立値を学習補正する学習補正手段11
2と、この中立値の学習補正値に応じて上限値及び下限
値を補正する制御範囲補正手段113とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベルト式無段変速
機の変速制御装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両に搭載される無段変速機としては、
Vベルト式のものが従来から知られており、例えば、本
願出願人が提案した特願平8−105467号等があ
る。
【0003】これは、無段変速機のVベルトとの接触プ
ーリ幅が、油圧に基づいて可変制御される入力側と出力
側の一対の可変プーリを備え、入力プーリの可動円錐板
を駆動するピストン室へ供給する油圧を変化させること
により、連続的に変速比を変更するものであり、この油
圧を調整する変速制御弁は図4に示すように、ライン圧
とドレーンの連通量を制御するスプール弁等で構成され
る。
【0004】図4において、変速制御弁2は、ハウジン
グ内周に軸方向へ変位可能なスプール5を収装してお
り、スプール5は図中左側からスプリング9に付勢され
る一方、図中右端をソレノイド4に付勢されており、ス
プリング9に抗してソレノイド4の推力が増大すること
により、スプール5は図中左側へ向けて、図4(A)の
最小推力(変位)の位置から図4(E)の最大推力(変
位)の位置まで変位する。
【0005】この変速制御弁2のハウジングには、ライ
ン圧回路と連通するライン圧ポート2aと、入力プーリ
ピストン室と連通するピストン圧ポート2bと、ドレー
ンポート2cが、それぞれスプール5に面した所定の位
置に開口する。そして、スプール5には図中左側からラ
ンド5a、5b、5cそれぞれ所定の間隔で形成され
る。
【0006】この変速制御弁2は、スプリング9に対抗
したソレノイド4の推力に応じてスプール5を変位させ
ることで、ピストン圧ポート2bへ作動油の給排を行っ
て無段変速機の変速比を調整しており、この変速制御弁
2の特性は、図5に示すようになる。
【0007】いま、ソレノイド4が非動作状態のときに
は、スプール5はスプリング9に付勢されて図4(A)
の位置にあり、図5では区間C1の最小推力位置とな
る。この位置では、ランド5a、5bがそれぞれドレー
ンポート2c、ライン圧ポート2aを遮断して、入力プ
ーリピストン室内の圧油が封止されるため所定の変速比
が保持される。
【0008】そして、ソレノイド4の伸長駆動が開始さ
れると、図4(A)からスプール5は図中左側へ変位し
て、図4(B)のようにランド5a、5b間の油路を介
してピストン圧ポート2bとドレーンポート2cが連通
し、入力プーリピストン室の圧油が排出されてダウンシ
フトとなる。スプール5の変位に応じて、ピストン圧ポ
ート2bとドレーンポート2cの連通量(ポートの開口
面積)は変化し、図5では区間B1に入ってスプール5
の変位に応じて連通量が増大し、図5に示した連通量最
大の位置である点Dmaxからさらにスプール5が変位し
て図5の信号使用範囲区間Aに入ると、連通量は次第に
減少して、図4(C)に示す中立位置(中央)となる。
中立位置では、ランド5bがピストン圧ポート2bを封
止するため、上記最小推力位置と同様に所定の変速比が
保持される。
【0009】さらに、ソレノイド4がスプール5を図中
左側へ駆動すると、ランド5b、5c間の油路を介して
ライン圧ポート2aとピストン圧ポート2bが連通し、
入力プーリピストン室へ圧油が供給されて図4(D)に
示すアップシフトとなる。すなわち、スプール5の図中
左側への変位に応じて、ライン圧ポート2aとピストン
圧ポート2bの連通量は、図5の区間Aではスプール5
の変位に応じて連通量が増大し、図5に示した連通量最
大の位置である点Umaxからさらにスプール5が変位し
て図6の区間B2に入ると、連通量はスプール5の変位
に応じて次第に減少する。そして、さらに図5の区間C
2に入ると、再びライン圧ポート2aとドレーンポート
2cはランド5b、5cによって遮断され、ソレノイド
4の推力が最大になると図4(E)に示す最大推力位置
(最大動作状態)となる。この最大推力位置では、ピス
トン圧ポート2bへ作動油の給排が行われず、上記最小
推力位置と同様に所定の変速比が保持される。
【0010】なお、図5において、コントロールユニッ
トが出力する信号のうち、スプール5が中立位置となる
ソレノイド4への信号値を中立値Cとし、この中立値で
は入力プーリピストン室に作動油が封止されて変速しな
い。
【0011】上記のような変速制御弁2によって、車両
の運転状態に応じた目標変速比を決定するコントロール
ユニットは、ソレノイド4等のアクチュエータに操作量
を送出して、実際の変速比を目標変速比に一致させるの
である。
【0012】そして、コントロールユニットは、図5の
信号出力範囲のうち、下限Dmaxから上限Umaxの間の区
間A(信号使用範囲)で信号の出力を行って、ソレノイ
ド4が非動作状態(最小推力時)又は最大動作状態(最
大推力時)のときに、入力プーリのピストン圧ポート2
bを封止して作動油の給排を禁止することで、コントロ
ールユニットやソレノイド4などに故障が発生したとき
に、急激な変速動作が発生するのを防いでフェイルセー
フを確保しながら、制御ゲインが負(発散)となる領域
の使用を避けて安定したフィードバック制御を行うもの
である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、変速制御弁
2を構成するハウジングの各ポート、スプール5の各ラ
ンドの寸法公差や、スプリング9のバネ定数の公差ある
いはソレノイド4の推力のばらつきなどにより、コント
ロールユニットからの信号出力値と入力プーリピストン
室への連通量にもばらつきが生じ、例えば、変速制御弁
2のスプリング9のバネ定数が設計値よりも大きい場
合、スプール5を所定量だけ変位させるためには、ソレ
ノイド4により大きな推力が要求され、上記信号出力値
と連通量の関係にずれが生じてしまう。
【0014】しかしながら、上記従来例においては、コ
ントロールユニットは信号出力可能範囲のうち、予め設
定した上限Umaxと下限Dmaxの間の信号使用範囲Aで制
御を行っていたため、コントロールユニットの信号出力
値に対する入力プーリピストン室への連通量が、上記の
ようなばらつき等によって、図5に示す正常時の実線a
から、図中破線bに「ずれ」た場合、信号使用範囲の上
限Umaxと下限Dmaxが、ライン圧側及びドレーン側との
連通量がそれぞれ最大となる点U1、D1と一致せず、変
速速度が低下したり変速制御が不安定になるという問題
があり、例えば、図5において、コントロールユニット
からの信号出力値がUmaxとなって、最大のアップシフ
トが要求された場合、実際の連通量は破線b上のU1
となって、ライン圧側の連通量が最大にならず、変速速
度は所定の設計値よりも低下してしまい、また、信号出
力値がDmaxとなって、最大のダウンシフトが要求され
た場合、実際の連通量は破線b上のD1’となって、ド
レーン側の連通量が最大値を超えて、制御ゲインが負の
領域に入り、変速要求が大きいほど変速速度が低下し、
あるいは変速が行えない場合があった。
【0015】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、変速制御弁やアクチュエータの誤差を吸収
して、フェイルセーフを確保するとともに、変速制御の
制御ゲインが負(発散)の領域に入るのを防いで、常時
安定した変速制御を行うことを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、図6に示
すように、ベルトの接触プーリ幅が油圧に基づいて可変
制御される入力プーリ及び出力プーリと、前記入出力プ
ーリにそれぞれ形成されてプーリ幅を変更するピストン
室と、前記出力プーリのピストン室へ所定のライン圧を
供給するライン圧供給手段と、前記入力プーリのピスト
ン室への作動油を、ライン圧ポートまたはドレーンポー
トの一方との連通量に応じて給排する変速制御弁と、こ
の変速制御弁を駆動するアクチュエータと、車両の運転
状態に応じて演算した操作量に基づいて前記アクチュエ
ータを駆動する変速制御手段と、前記変速制御弁に形成
されて、前記アクチュエータが非動作状態または最大動
作状態のときに前記入力プーリピストン室への作動油の
給排を禁止する変速禁止手段と、前記操作量が中立値を
ほぼ中央とした所定の上限値及び下限値を超えないよう
に規制する規制手段を備えたベルト式無段変速機の変速
制御装置において、前記変速制御手段の定常状態を検出
する定常状態検出手段と、定常状態検出手段が前記定常
状態を検出したときに前記中立値を学習補正する学習補
正手段と、この中立値の学習補正値に応じて前記上限値
及び下限値を補正する制御範囲補正手段とを備える。
【0017】また、第2の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記制御範囲補正手段は、補正された中立値に所
定値を加算したものを上限値として演算する一方、補正
された中立値に所定値を減算したものを下限値として演
算する。
【0018】また、第3の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記変速制御手段は、PID制御手段を備えると
ともに、前記学習補正手段は、前記PID制御手段の偏
差の積分値に基づいて学習補正を行う。
【0019】また、第4の発明は、前記第3の発明にお
いて、前記定常状態検出手段は、PID制御手段が演算
した目標変速比と実変速比が共に所定の定常状態のとき
に、前記定常状態を検出する。
【0020】
【発明の効果】したがって、第1の発明は、アクチュエ
ータの操作量は、所定の中立値をほぼ中央とした上限
値、下限値以内に規制されるため、例えば、目標変速比
と実変速比の偏差が所定値を超えて増大しても、制御ゲ
インが負(発散)となる領域の使用を避けるとともに、
変速制御手段等の故障時には急激な変速動作を防止して
ベルト式無段変速機を備えた車両のフェイルセーフを確
保しながら常時安定した変速制御を行って、変速制御手
段が定常状態にあるときには、中立値が学習補正される
とともに、この中立値の学習補正値に応じて前記上限値
及び下限値が補正されるため、制御特性のずれによる変
速速度の低下、あるいは制御ゲインが負(発散)となっ
て円滑な変速が不能になるのを抑制でき、変速制御弁や
アクチュエータの寸法あるいは性能のばらつきを吸収し
て常時円滑なすることが可能となり、経年変化や個体差
を吸収して、無段変速機を備えた変速制御装置の耐久性
及び信頼性を向上させるとともに、製品の個体差を解消
して安定した品質を確保することが可能となるのであ
る。
【0021】また、第2の発明は、学習補正された中立
値に所定値を加減することで上限値及び下限値を補正す
ることで、常時一定の制御範囲を維持し、制御ゲインが
負(発散)となって円滑な変速が不能になるのを抑制で
きる。
【0022】また、第3の発明は、定常状態のときに
は、PID制御手段の偏差の積分値に基づいて学習補正
を行うことにより、中立値の学習補正を円滑に行うこと
ができる。
【0023】また、第4の発明は、PID制御手段の目
標変速比と実変速比が共に定常状態にあれば中立値の学
習補正を行うようにしたため、中立値の補正を正確に行
って適正な制御範囲を維持することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0025】図1はVベルト式の無段変速機の変速制御
装置の概略構成図を示し、無段変速機17は、可変プー
リとして図示しないエンジンに接続された入力プーリ1
6と、駆動軸に連結された出力プーリ26を備え、これ
ら可変プーリはVベルト24によって連結されている。
【0026】入力プーリ16は、図示しないエンジンに
結合された軸と一体となって回転する固定円錐板22
と、固定円錐板22と対向配置されてV字状のプーリ溝
を形成するとともに、変速制御弁2から入力プーリピス
トン室20へ作用する油圧に応じて軸方向へ変位可能な
可動円錐板18から構成される。
【0027】一方、出力プーリ26は車軸に連結された
軸と一体となって回転する固定円錐板30と、この固定
円錐板30と対向配置されてV字状のプーリ溝を形成す
るとともに、出力プーリピストン室32へ作用する油圧
コントロールユニット3からのライン圧に応じて軸方向
へ変位可能な可動円錐板34から構成される。
【0028】このような、入力プーリ16と出力プーリ
26のV字状プーリ溝の幅を変化させる変速制御は、入
力プーリピストン室20への作動油の給排を調整する変
速制御弁2によって行われる。
【0029】すなわち、CVTコントロールユニット1
からの指令に応動するアクチュエータとしてのソレノイ
ド4と、ソレノイド4に駆動される変速制御弁2等から
なる油圧コントロールユニット3によって入力プーリピ
ストン室20に加わる油圧が制御され、この変速制御弁
2及びソレノイド4は前記図4の従来例と同様に構成さ
れ、以下、同一のものに同一の図番を付して重複説明を
省略する。
【0030】なお、変速禁止手段としては、ソレノイド
4の非動作状態または最大動作状態のときに入力プーリ
ピストン室20を封止するランド5a、5b、5cが変
速制御弁2のスプール5に形成される。
【0031】また、油圧コントロールユニット3には、
図示しないライン圧供給手段が配設され、出力プーリピ
ストン室32と変速制御弁2へ所定のライン圧を供給す
る。
【0032】マイクロコンピュータ等を主体に構成され
たCVTコントロールユニット1は、車両の運転状態に
基づいて演算した目標変速比を、実変速比に一致させる
ように、目標変速比と実変速比の偏差に応じた操作量を
ソレノイド4へ指令する。
【0033】このようなCVTコントロールユニット1
で行われる変速制御の一例について、図2のフローチャ
ートを参照しながら詳述する。
【0034】ステップS1では、無段変速機17から入
力回転数Ninと出力回転数Nout(=車速VSP)と、
運転者の操作に応じたスロットル開度TVO並びにイン
ヒビタスイッチ8からの信号(変速モード等)を読み込
むとともに、図示しないエンジンコントロールユニット
からエンジン回転数Neを読み込んで、車両の運転状態
に応じた目標変速比を演算する一方、無段変速機17の
実変速比を求める。
【0035】ステップS2以降では、これら実変速比と
目標変速比の偏差に基づいてソレノイド4の操作量、す
なわち、変速制御弁2のスプール5の目標位置をフィー
ドバック制御などにより演算する。
【0036】この変速制御を例えば、PID(比例、積
分、微分)制御により行う場合では、まず、ステップS
2で、偏差に応じた比例分(P分)、積分分(I分)、
微分分(D分)を次のように演算する。
【0037】 偏差のP分=実変速比−目標変速比 偏差のI分=∫(実変速比−目標変速比)dt 偏差のD分=d/dt(実変速比−目標変速比) ………(1) 次にステップS3では、車両の走行状態が定常状態であ
るか否を、上記(1)式で求めた偏差のP分=0で、か
つ、偏差のI分が所定時間、例えば、1秒間一定である
かより判定し、これらの条件を満たす場合には定常状態
と判定してステップS4へ進んで中立値の学習補正を行
う一方、そうでない場合にはステップS5へ進んで、ソ
レノイド4の操作量の演算を行う。
【0038】ステップS4で行われる中立値の学習補正
は、上記ステップS2で求めた、偏差のI分と、中立値
の前回値より次式によって行われる。
【0039】 中立値=中立値+偏差のI分×KI ………(2) ただし、KIは積分ゲインである。
【0040】なお、上記(2)式の演算の後には、偏差
のI分を0にセットしてから中立値の補正を終了する。
【0041】こうして、定常状態を検出したときには、
図3に示すように、中立値Cが学習補正されて、変速制
御弁2の流量特性が、図3の実線aから破線bに変動し
た場合には新たな中立値C’が求められるのである。
【0042】こうして補正された中立値に基づいて、ス
テップS5では、次式によって、ソレノイド4の操作量
が演算される。
【0043】 ただし、KPは比例ゲイン、KDは微分ゲインである。
【0044】なお、中立値(図3のCまたはC’)と
は、前記したように、スプリング9に抗してスプール5
を駆動するソレノイド4が、スプール5の全ストローク
範囲(=ソレノイド4の信号出力範囲)の略中央で、ス
プール5のランド5bがピストン圧ポート2bを遮断し
て所定の変速比を保持する信号値である。
【0045】上記(3)式より、ソレノイド4の操作量
は、偏差のI分に応じて学習補正された中立値からの操
作量として求められる。
【0046】次に、ステップS6では上記ステップS5
で求めた操作量が、補正後の中立値C’に伴って変更さ
れた上限値Umax’以内であるかを判定し、上限値Uma
x’を超えている場合には、ステップS7へ進んで操作
量を上限値Umax’に規制する。なお、補正された中立
値C’に応じて上限値Umax’は次のように演算され
る。
【0047】上限値Umax’=中立値+所定値 なお、この所定値は、新たな中立値C’から連通量が最
大となるように設定された値である。
【0048】同様に、ステップS8では上記ステップS
5で求めた操作量が、中立値Cの補正に伴って変更され
た下限値Dmax’以上であるかを判定し、下限値Dmax’
よりも小さい場合には、ステップS9へ進んで操作量を
下限値Dmax’に規制する。
【0049】下限値Dmax’=中立値−所定値 ここで、上限値Umax及び下限値Dmaxは、図3の変速制
御弁2の特性図に示すように、ソレノイド4の中立位置
からスプール5を駆動して、変速制御弁2のピストン圧
ポート2bとライン圧ポート2aの連通量が最大となる
点Umaxと、同じく変速制御弁2のピストン圧ポート2
bとドレーンポート2cの連通量が最大となる点Dmax
に設定され、CVTコントロールユニット1からソレノ
イド4へ指令する操作量の範囲は、図3の区間A(信号
使用範囲)となるが、上記ステップS4の学習補正によ
って、図3に示す中立値CがC’に補正されると、上限
値Umax及び下限値Dmaxも変更しなければならず、上記
ステップS6〜S9のように、補正された中立値C’に
所定値を加算及び減算したものを新たな上限値Umax’
及び下限値Dmax’として設定し、ソレノイド4の操作
量は常時一定の区間Aとなる。
【0050】そして、ステップS10では、求めた操作
量を信号出力値としてソレノイド4へ指令するのであ
る。
【0051】こうして、上記ステップS1〜S10の処
理を所定時間毎などに実行することで、定常状態が検出
されたときには、偏差のI分に応じて中立値が学習補正
される。
【0052】そして、この中立値に基づいてソレノイド
4の操作量が演算され、かつ、この操作量は補正された
中立値に応じて上限値、下限値を規制されるため、前記
従来例のように、変速速度が低下したり、制御ゲインが
負(発散)となって円滑な変速が不能になるのを抑制で
き、ソレノイド4は変速比の偏差に応じて常時図3の信
号出力範囲A内で常時スプール5を駆動して、変速制御
弁2やソレノイド4の寸法あるいは性能のばらつきを吸
収して常時円滑なすることが可能となるのである。
【0053】いま、図3に示すように、CVTコントロ
ールユニット1からの信号出力値と、変速制御弁2から
の入力プーリピストン室20への連通量の関係が所定の
設計値にある場合は、図中実線aのように設定されてお
り、CVTコントロールユニット1からの信号出力値
は、所定の下限値Dmaxから上限値Umaxで示される図中
Aの信号使用範囲となり、中立値は図中点Cとなる。
【0054】ここで、前記従来例のように、変速制御弁
2を構成するハウジングの各ポートや、スプール5の各
ランドの寸法公差、スプリング9のバネ定数の公差ある
いはソレノイド4の推力のばらつきなどにより、CVT
コントロールユニット1からの信号出力値と入力プーリ
ピストン室20への連通量の関係にもばらつきが生じて
図中破線bの特性になって中立点は図中C’へ移動して
しまうが、上記ステップS3で定常状態が検出されたと
きには、ステップS4において、偏差のI分に応じて中
立値Cが学習補正されて、上記のようなずれに応じた中
立点C’に補正される。
【0055】そして、この中立点C’の移動に伴って、
下限値Dmax及び上限値Umaxもそれぞれ下限値Dmax’
及び上限値Umax’に補正されるため、CVTコントロ
ールユニット1から出力される信号出力値の範囲Aは、
中立点C’の移動に伴ってシフトするため、上記設計値
の制御特性aと同様に変速制御を行うことが可能とな
り、メカニカルなずれ等を吸収して、常時設計値に基づ
く制御特性を保持することが可能となって、ベルト式無
段変速機17の経年変化や変速制御弁2や油圧コントロ
ールバルブ3の個体差を吸収して、無段変速機の耐久性
及び信頼性を向上させるとともに、製品の個体差を解消
して安定した品質を確保することが可能となるのであ
る。
【0056】また、前記従来例と同様にして、常時図3
に示す信号使用範囲A内で常時スプール5を駆動するた
め、ソレノイド4が非動作状態(最小推力時)又は最大
動作状態(最大推力時)のときに、入力プーリのピスト
ン圧ポート2bを封止して作動油の給排を禁止すること
で、コントロールユニットやソレノイド4などに故障が
発生したときに、急激な変速動作が発生するのを防いで
フェイルセーフを確保するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すベルト式無段変速機の
変速制御装置の概略構成図。
【図2】同じく本発明のCVTコントロールユニットで
行われる変速制御の一例を示すフローチャート。
【図3】同じく本発明のCVTコントロールユニットか
らソレノイドへの操作量(スプールの位置)と、ピスト
ン室とライン圧ポート又はドレーンポートの連通量の関
係を示すグラフ。
【図4】変速制御弁を示す概略図で、(A)はソレノイ
ドの推力が最小のときのスプールの位置を示し、(B)
は無段変速機がダウンシフト状態のスプールの位置を、
(C)は同じくスプールの中立位置を、(D)は同じく
アップシフト状態のスプールの位置を、(E)はソレノ
イドの推力が最大のときのスプールの位置をそれぞれ示
す。
【図5】従来例を示し、CVTコントロールユニットか
らソレノイドへの操作量と変速制御弁の連通量の関係を
示すグラフ。
【図6】第1ないし第4の発明のいずれかひとつに対応
するクレーム対応図。
【符号の説明】
1 CVTコントロールユニット 2 変速制御弁 2a ライン圧ポート 2b ピストン圧ポート 2c ドレーンポート 3 油圧コントロールバルブ 4 ソレノイド 5 スプール 5a,5b,5c ランド 6 入力回転数センサ 7 出力回転数センサ 9 スプリング 16 入力プーリ 17 無段変速機 22 固定円錐板 20 入力プーリピストン室 18 可動円錐板 24 Vベルト 26 出力プーリ 30 固定円錐板 32 出力プーリピストン室 34 可動円錐板 100 変速制御手段 101 入力プーリ 102 出力プーリ 103、104 ピストン室 105 ライン圧供給手段 106 変速制御弁 107 アクチュエータ 100 変速制御手段 108 変速禁止手段 110 規制手段 111 定常状態検出手段 112 学習補正手段 113 制御範囲補正手段 114 PID制御手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルトの接触プーリ幅が油圧に基づいて
    可変制御される入力プーリ及び出力プーリと、 前記入出力プーリにそれぞれ形成されてプーリ幅を変更
    するピストン室と、 前記出力プーリのピストン室へ所定のライン圧を供給す
    るライン圧供給手段と、 前記入力プーリのピストン室への作動油を、ライン圧ポ
    ートまたはドレーンポートの一方との連通量に応じて給
    排する変速制御弁と、 この変速制御弁を駆動するアクチュエータと、 車両の運転状態に応じて演算した操作量に基づいて前記
    アクチュエータを駆動する変速制御手段と、 前記変速制御弁に形成されて、前記アクチュエータが非
    動作状態または最大動作状態のときに前記入力プーリピ
    ストン室への作動油の給排を禁止する変速禁止手段と、 前記操作量が中立値をほぼ中央とした所定の上限値及び
    下限値を超えないように規制する規制手段を備えたベル
    ト式無段変速機の変速制御装置において、 前記変速制御手段の定常状態を検出する定常状態検出手
    段と、 定常状態検出手段が前記定常状態を検出したときに前記
    中立値を学習補正する学習補正手段と、 この中立値の学習補正値に応じて前記上限値及び下限値
    を補正する制御範囲補正手段とを備えたことを特徴とす
    るベルト式無段変速機の変速制御装置。
  2. 【請求項2】 前記制御範囲補正手段は、補正された中
    立値に所定値を加算したものを上限値として演算する一
    方、補正された中立値に所定値を減算したものを下限値
    として演算することを特徴とする請求項1に記載のベル
    ト式無段変速機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】 前記変速制御手段は、PID制御手段を
    備えるとともに、前記学習補正手段は、前記PID制御
    手段の偏差の積分値に基づいて学習補正を行うことを特
    徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機の変速制
    御装置。
  4. 【請求項4】 前記定常状態検出手段は、PID制御手
    段が演算した目標変速比と実変速比が共に所定の定常状
    態のときに、前記定常状態を検出することを特徴とする
    請求項3に記載のベルト式無段変速機の変速制御装置。
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