JP3473804B2 - 孔版式製版印刷装置の版胴 - Google Patents

孔版式製版印刷装置の版胴

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JP3473804B2
JP3473804B2 JP30887195A JP30887195A JP3473804B2 JP 3473804 B2 JP3473804 B2 JP 3473804B2 JP 30887195 A JP30887195 A JP 30887195A JP 30887195 A JP30887195 A JP 30887195A JP 3473804 B2 JP3473804 B2 JP 3473804B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂フィ
ルムを有するマスタを加熱穿孔製版して、多孔性円筒状
の版胴に巻装し、製版、印刷及び排版を行う給排版一体
型の孔版式製版印刷装置における版胴に関する。
【0002】
【従来の技術】簡便な印刷装置として感熱デジタル製版
式の孔版印刷装置が良く知られている。この孔版印刷装
置は、感熱性の孔版マスタに微細な発熱素子が1列に並
んだサーマルヘッドを接触させ、この発熱素子に対しパ
ルス的に通電を行いながらマスタをプラテンローラ等で
搬送することで、画像情報に基づいた穿孔画像をマスタ
に熱溶融穿孔し形成させた後、この穿孔されたマスタを
所定長さで切断すると共に、多孔性の支持円筒体にその
外周を覆う樹脂あるいは金属網体製のメッシュスクリー
ンが複数巻装されて構成された版胴に巻装させ、版胴内
部のインキ供給手段よりインキを供給し、プレスローラ
等の押圧手段で製版済孔版マスタを介して印刷用紙を版
胴に連続的に押し付けることにより、版胴の開孔部、メ
ッシュスクリーン、さらにマスタの穿孔部からインキを
滲み出させて、このインキを印刷用紙に転移させて印刷
を行う。
【0003】ところで、従来の孔版マスタは、厚み1〜
2μm程度の非常に薄いポリエステル等でできた熱可塑
性樹脂フィルムに、多孔質の支持体として和紙繊維や合
成繊維、あるいは和紙繊維と合成繊維とを混抄したもの
等を貼り合わせたラミネート構造となっている。従来の
孔版印刷装置では、インキを、上述したような多孔質の
支持体である和紙繊維間等を通過させて上記フィルムの
穿孔部から印刷用紙に転移させることにより印刷を行う
のであるが、穿孔部分おいて上記支持体繊維が複雑に絡
み合って塊となっている部分や、太い繊維が横切ってい
る場合に、インキの通過が阻害されインキが正しく印刷
用紙に転移されずに画像のベタ部が抜けたり、文字とか
細線が切れたりかすれたりしてしまう、俗に繊維目と呼
ばれる現象が発生し、画質が悪化してしまう不具合があ
った。このように従来の孔版印刷装置の製版部及び給版
部では、孔版マスタが、ロール状に形成されたマスタロ
ールから供給され、その孔版マスタがプラテンローラで
サーマルヘッドに押し付けられながら搬送されることで
加熱穿孔製版が行われ、さらに搬送ローラ等によって版
胴に送り込まれ、版胴上のクランパ等のクランプ手段で
その先端が挾持されながら版胴の外周面に巻装され、製
版の終了した時点で一版毎にカッタ手段により切断され
るようになっている。
【0004】そこで、繊維目を発生させる上記支持体を
除去したり、上記支持体を薄くしたりしたマスタ、ある
いは印刷画質の向上や版そのもののコストを下げるため
に、上記支持体の全くない実質的に熱可塑性樹脂フィル
ムのみからなるマスタ(以下、単に「マスタ」という)
を使用して繊維目を低減させる試みがされている。
【0005】ところが、このようなマスタでは、それ自
体の腰が弱いため搬送が不安定となりジャムが多発して
しまうので、マスタ自体の腰の強さを利用して給版・搬
送する従来方式の採用は困難となってしまう。
【0006】このような不具合を解決するものとして、
例えば特公平5−70595号公報に開示されている孔
版印刷装置が有効であると考えられる。すなわち、その
孔版印刷装置は、版胴とこの版胴の周壁部の外周に近接
して配設され、該周壁部に対し相対的に回動し得る着排
版ユニットとを有し、着排版ユニットを構成する原紙供
給部の給版ロールよりマスタを供給し、着排版ユニット
を構成する排版巻取部における排版ロールの巻取軸(排
版軸)で巻き取りながら、マスタを切断することなく製
版、給版、印刷及び排版を行う、着排版ユニットを1つ
備えたいわゆるシングルユニット式のものである。
【0007】そこで、上記孔版印刷装置が有する根本的
な不具合点、すなわち、印刷中において、給版ロール
(マスタ供給部としてのロール軸)と排版ロール(排版
巻取部としての排版軸)とそれらの駆動装置とプラテン
ローラとサーマルヘッドとが、全て印刷ドラム(版胴)
と一緒に回転するのでその慣性が大になり、高速印刷が
できず、振動発生の恐れがある点、及びサーマルヘッド
やローラ駆動モータへの信号ラインや電源ラインのコネ
クタ等の着脱動作が頻繁に行われることによる、動作の
信頼性を低下させる点等を改良したものとして、本願出
願人により、例えば特開平6−270524や特開平7
−52513号公報等において、給版アーム(給版ユニ
ット)及び排版アーム(排版ユニット)を備えたダブル
アーム(ダブルユニット)式の孔版式製版印刷装置を提
案した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記シ
ングルユニット式やダブルユニット式の孔版式製版印刷
装置のように、上記着排版ユニットや上記給版ユニット
に配設された給版ロールからマスタを送り出しながら穿
孔製版し、上記排版軸で使用済みのマスタを巻き取りな
がら排版する場合、版胴あるいは排版軸を回転させてマ
スタを搬送するように構成されているため、製版側では
プラテンローラと版胴との間の、排版側では排版軸と版
胴との間のマスタに後述するような張力がそれぞれ作用
して、これらのマスタにシワが発生しやすくなってしま
う。
【0009】製版側では、マスタがサーマルヘッドによ
りプラテンローラに押圧されていて、マスタはサーマル
ヘッドとプラテンローラとのニップ部分で略均一に伸ば
される状態になっているのでシワが発生しにくい。しか
し、排版側では、インキが付着したマスタの部分と、イ
ンキが付着していないマスタの部分とを、あるいはマス
タの画像部であってインキが穿孔部分を通過して消費さ
れインキ不足になっている部分と、マスタの非画像部で
あってインキが消費されないで溜まっている部分とを、
あるいは版胴の開孔領域に巻装されインキが付着するマ
スタのインキ付着部分と、版胴の非開孔領域に巻装され
インキが付着しないマスタのインキ非付着部分とを一緒
に巻き取ってしまうことにより、上記各部分のインキ付
着量の差違に起因して、排版軸上で形成される排版ロー
ル径がその排版軸方向にわたって均一に形成されず凹凸
状になってしまう。これにより、シワが発生しないよう
に製版側のマスタが版胴に巻き付けられていても、排版
側に近づくにつれて、排版ロール径の上記凹凸に起因し
た張力の不均一によるマスタのシワ(特に縦シワが発生
しやすい)がマスタの製版開始付近(マスタの画像先端
部分)にも成長してきて、印刷時等にプレスローラ等の
押圧手段で用紙が押圧される際に上記マスタのシワが押
しつぶされて、白抜け等が発生し画像品質が悪化してし
まう問題点となる。
【0010】また、給紙装置から給送されてきた用紙を
版胴とプレスローラとの間で押圧し上記給紙装置から引
き出して搬送するとき、版胴に巻装されているマスタに
は、版胴の回転遅れ側(回転方向の上流側)にマスタを
ずらす負荷が作用する。このマスタのズレを防止するた
めに、一方向クラッチ等を介して排版軸を一方向にのみ
回転可能に構成して、排版軸がその回転方向と反対方向
に回転することにより排版軸に巻き取られた使用済みの
マスタが排版軸から引き出されてしまうことを防止して
いる。けれども、装置の休止等により、使用済みのマス
タと共に排版軸に巻き取られたインキの水分が蒸発して
しまう場合等においては、排版ロールに巻き取られた使
用済みのマスタ同士が緩くなってしまうことにより、版
胴に巻装されているマスタが上記負荷の作用で版胴の回
転遅れ側に戻ってしまい、版胴に対する画像位置がずれ
たり、版胴上に生じたマスタの弛みが押しつぶされたり
して画像品質が悪化してしまう問題点となる。
【0011】したがって、本発明の目的とするところ
は、上述の問題点を解決し、特に排版側の排版巻き取り
部分で生じるマスタのシワ発生を抑えることができて、
良好な画像品質が得られる孔版式製版印刷装置の版胴を
提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために、請求項1記載の発明は、マスタが外周面に巻装
される版胴と、上記版胴を回転駆動する版胴駆動手段
と、上記版胴の内周面にインキを供給するインキ供給手
段と、上記マスタを製版する製版手段とを備え、上記版
胴の回転中心軸の周りに上記版胴に対して回動自在であ
り、ロール状に巻かれた上記マスタを上記版胴に供給す
るマスタ供給部と上記マスタを上記版胴から巻き取る排
版巻取部とを有する給排版ユニットを具備し、上記版胴
の外周面に巻装される上記マスタの穿孔開始側前部に対
応する上記版胴の外周面の位置に、上記マスタに接触し
て上記マスタを該位置に保持するための、粘着性を有す
るマスタ保持手段を設け、上記マスタ保持手段の上記マ
スタとの当接開始部は、上記版胴の中央部を頂点とし上
記版胴の回転方向の上流側に向かって上記版胴の両側縁
部に徐々に傾斜した略山形状をなす孔版式製版印刷装置
において、上記マスタ保持手段は、非粘着部分と粘着部
分とからなり、上記回転方向の下流側の上記マスタ保持
手段を上記非粘着部分で、上記回転方向の上流側の上記
マスタ保持手段を上記粘着部分でそれぞれ構成したこと
を特徴とする。
【0013】ここで、「上記版胴の回転中心軸の周りに
上記版胴に対して回動自在であり、ロール状に巻かれた
上記マスタを上記版胴に供給するマスタ供給部と上記マ
スタを上記版胴から巻き取る排版巻取部とを有する給排
版ユニット」とは、特公平5−70595号公報記載の
発明のように、「少なくとも、孔版原紙10の一端がロ
ール状に巻回されて収納されている原紙供給部12と、
原紙供給部12からの孔版原紙10の他端を巻取収容す
る排版巻取部15とを具備し、版胴1の周壁部1cに対
し相対的に回動し得る着排版ユニット9」を含み、また
特開平6−270524号公報に記載されている、「上
記回転中心軸と同一軸の周りに上記印刷ドラムに対して
回動自在であり、上記マスタ供給ロールを保持する給版
ユニットと、上記回転中心軸と同一軸の周りに上記印刷
ドラム及び上記給版ユニットに対して回動自在であり、
上記排版巻取ロールを保持する排版ユニットと」からな
る構成を含み、さらに特開平7−47755号公報に記
載されている、「上記給版ロール支持手段、上記排版ロ
ール支持手段、及び上記プラテンローラを支持し、か
つ、上記回転中心軸の周りに上記印刷ドラムに対して回
動自在な給排版ユニット」をも含むことを意味する。
【0014】請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔
版式製版印刷装置の版胴において、上記マスタ保持手段
は、微小な吸盤を複数備えた吸着層からなることを特徴
とする。
【0015】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載の孔版式製版印刷装置の版胴において、上記版胴の外
周面に巻装される上記マスタの穿孔終了側後部に対応す
る上記版胴の外周面の位置に、上記マスタに接触して上
記マスタを該位置に保持するための、粘着性を有するマ
スタ保持手段を設けたことを特徴とする。
【0016】請求項4記載の発明は、請求項1,2又は
3記載の孔版式製版印刷装置の版胴において、上記版胴
の外周面に巻装される上記マスタの穿孔両側縁部に対応
する上記版胴の外周面の位置に、上記マスタに接触して
上記マスタを該位置に保持するための、粘着性を有する
マスタ保持手段を設けたことを特徴とする。
【0017】
【0018】
【0019】ここで、請求項1乃至記載の発明の構成
要素である「版胴」とは、(1)支持円筒体(もしくは
多孔性支持板)とスクリーン層(もしくはインキ保持部
材)とからなるもの、(2)実質的に支持円筒体(多孔
性支持板)のみからなるもの(例えば、特開平7−18
15号公報に記載のもの)、及び(3)実質的にスクリ
ーン層(もしくはインキ保持部材)のみからなるもの
(例えば、特開平1−204781号あるいは特開昭5
9−218889号公報に記載のもの)を含む。
【0020】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て詳述する。 (実施例1) 図1は、本発明に係る実施例1を適用した給排版一体型
の孔版式製版印刷装置の要部構成を示す。まず、この孔
版式製版印刷装置の要部構成を説明する。 図1において、この孔版式製版印刷装置は、マスタ2が
外周面に巻装される版胴1と、版胴1の内周面にインキ
を供給するインキ供給手段10と、マスタ2に対して製
版を行うためのサーマルヘッド21及びこのサーマルヘ
ッド21が接離するプラテンローラ22を含む製版手段
20と、装置本体側に設けられていて、プラテンローラ
22に対してサーマルヘッド21を当接、離間させるサ
ーマルヘッド接離手段50と、ロール状に巻かれたマス
タロール2aからマスタ2を版胴1に供給するマスタ供
給部としてのロール軸32と、マスタ2を版胴1から巻
き取る排版巻取部としての排版軸37と、版胴1の回転
中心軸11の周りに版胴1に対して回動自在であり、ロ
ール軸32、排版軸37及びプラテンローラ22を有す
る給排版ユニット30と、少なくとも印刷時に、版胴1
と給排版ユニット30とを互いに連結する連結手段60
と、プラテンローラ22へのサーマルヘッド21の当接
動作に連動して、サーマルヘッド接離手段50に対して
給排版ユニット30の位置を固定する給排版ユニット位
置決め手段70とから主に構成されている。
【0021】この孔版式製版印刷装置は、本発明の特徴
である版胴1に配設された保持部材(後述する)を有す
る他に、上記したように、マスタ2がロール軸32に巻
き付けられてロール状に形成されたマスタロール2aか
らマスタ1が版胴1に供給され、使用済みのマスタ2を
版胴1から排版軸37に巻き取るマスタ供給排版方式を
採用していて、新規な構成を有する。以下、この孔版式
製版印刷装置の上記各構成要素について述べる。
【0022】回転中心軸11は、インキ供給手段10の
インキ供給パイプ11を兼ねている。版胴1、インキ供
給パイプ11、給排版ユニット30及びインキ供給手段
10等がドラムユニットを構成している。前記ドラムユ
ニットは、例えば特開平7−47755号公報の図3に
示されている構成、すなわち前フレーム68、後フレー
ム69及び把持フレーム70等から構成されている機構
と同様の脱着機構及び軸受8aを介して、装置本体側か
ら着脱自在となっている。
【0023】サーマルヘッド接離手段50は、後述す
る、一対のヘッドアーム51,51、一対の解除ピン5
2,52、ヘッドアーム軸51a、一対のカムフォロア
54,54、一対のバネ53,53、一対のカム55,
55及び図示しないカム駆動モータから主に構成され
る。
【0024】給排版ユニット30は、ロール軸32、排
版軸37、プラテンローラ22、後述する、ロール支持
アーム対31,31、アーム軸受31a、解除板64及
びストップレバー62から主に構成される。
【0025】連結手段60は、後述するように、給排版
ユニット30に設けられた第2係合部としての一対のス
トップレバー62,62のストップピン62a,62a
と、版胴1に設けられていて、サーマルヘッド21がプ
ラテンローラ22に当接したとき、一対のストップピン
62a,62aが係合する第2被係合部としての一対の
ストッパ3,3の凹部3a,3aと、一対のバネ63,
63とから主に構成されている。
【0026】給排版ユニット位置決め手段70は、後述
するように、サーマルヘッド接離手段50に設けられた
第1係合部としての一対の解除ピン52,52と、給排
版ユニット30に設けられていて、サーマルヘッド21
がプラテンローラ22に当接したとき、一対の解除ピン
52,52が係合する第1被係合部としての一対の溝3
3,33とから主に構成されている。
【0027】図3において、符号4は版胴駆動機構4を
示し、符号8は装置本体側の所定位置に配置された筐体
側板を示す。版胴駆動機構4は、メインモータ5A、第
1クラッチ5C1、低速モータ5B、第2クラッチ5C
2、駆動ギア6及び後述するフランジギア7とから主に
構成されている。
【0028】筐体側板8の一側壁には、インキ供給パイ
プ11の一端を着脱自在に支持する軸受8aが固設され
ている。装置本体側の図示しない不動部材には、版胴1
を、反時計回り方向に回転駆動する版胴駆動手段として
のメインモータ5Aが固設されている。メインモータ5
Aの出力軸(図示せず)の軸端は、第1クラッチ5C1
を介してギア軸6aの一端に選択的に連結されるように
なっている。ギア軸6aの他端には駆動ギア6が固設さ
れている。駆動ギア6及びギア軸6aは、軸受8aの下
部の筐体側板8に設けられたギア軸受8bを介して回転
自在に支持されている。
【0029】一方、上記不動部材には、版胴1を、反時
計回り方向に回転駆動する版胴駆動手段としての低速モ
ータ5Bが固設されていて、低速モータ5Bの出力軸
(図示せず)の軸端は、第2クラッチ5C2を介してギ
ア軸6aの一端に選択的に連結されるようになってい
る。低速モータ5Bは、版胴1を、製版時においてプラ
テンローラ22の回転により搬送されるマスタ2の製版
搬送速度よりも僅かに速い周速度で反時計回り方向に回
転するように予め設定されている。第2クラッチ5C2
は、ギア軸6aの一端部に設けられた平歯車(図示せ
ず)やプーリ、ベルト等の伝達手段を介して低速モータ
5Bに連結されている。低速モータ5Bは、製版時にお
けるプラテンローラ22と版胴1との間のマスタ巻き始
め位置で、プラテンローラ22の搬送速度に合わせてマ
スタ2をストールしながら版胴1を回転することで、マ
スタ2に適度な張力を作用させるようになっている。
【0030】第1、第2クラッチ5C1,5C2は、例
えば電磁クラッチからなり、上記不動部材に固設されて
いる。図1乃至4において、版胴1は、多孔性の支持円
筒体1cにその外周を覆う樹脂あるいは金属網体製のメ
ッシュスクリーン(図示せず)が複数巻装されて構成さ
れている。なお、版胴1及び版胴161(後述する)が
記載されている各図において、上記メッシュスクリーン
は省略されていて、支持円筒体1cのみが記載されてい
る。
【0031】本発明の特徴は、この版胴1の構成にあ
り、版胴1が、版胴1の外周面に巻装されるマスタ2の
穿孔開始側前部に対応する版胴1の外周面の位置に設け
られた、マスタ2の裏面に接触してマスタ2を該位置に
保持するための、粘着性を有するマスタ保持手段として
の保持部材18を具備していることにある。
【0032】保持部材18は、図9及び10に示すよう
に、版胴1の上記位置における母線方向に略シート状の
所定の幅及び所定範囲の厚みをもって配置されている。
保持部材18は、上記メッシュスクリーン表面に、溶剤
で溶かせて作製したゴムのり状(溶液状)の軟質シリコ
ンゴムを直接塗布・乾燥して形成されていて、1.5m
mの厚みを有する。上記ゴムの材料としては、上記のも
のの他に、例えば、粘着性を有する軟質のウレタンゴム
等が用いられる。保持部材18の厚みの好ましい範囲
は、押圧手段としてのプレスローラ15との接触圧の変
動を防止する点から0.05〜2mm程度がよい。
【0033】なお、保持部材18の厚みは、プラテンロ
ーラ22、排版ロール37a、マスタロール2a等の大
きさに対して誇張して描いており、もちろん、プラテン
ローラ22、排版ロール37a、マスタロール2a等と
干渉しないように設計されていることは言うまでもな
い。また、図1及び2等に示された版胴1の全体的な正
面図においては、保持部材18又は後述する吸着層19
は、その位置を明確に示すため黒太に表示している場合
がある。
【0034】図9及び10において、図中矢印方向を示
す符号Fは製版及び排版時における版胴1の回転方向の
上流側を、図中矢印方向を示す符号Rは製版及び排版時
における版胴1の回転方向の下流側をそれぞれ示す。符
号Wは版胴1に巻装されるマスタ2のマスタ幅方向を示
す。
【0035】版胴1における多孔性の開孔領域の範囲
は、その円周上の略2/3を占めており、この範囲が印
刷可能領域Prとなる。一方、版胴1における非開孔領
域の範囲は、その円周上の略1/3を占めており、この
範囲が非印刷領域Hとなる。
【0036】版胴1の支持円筒体1cの両端部には、略
円板状をなすフランジ対1a,1aが固定されている。
図3及び4に示すように、フランジ対1a,1aの各基
端部には、フランジ基軸部1b,1bがそれぞれ形成さ
れている。版胴1の一端側のフランジ1aのフランジ基
軸部1bは、インキ供給パイプ11の軸線方向に延びて
いて、そのフランジ基軸部1bの外端部にはフランジギ
ア7が一体的に固設されている。インキ供給パイプ11
の外周面と各フランジ基軸部1bの内周面との間には、
フランジ軸受7a,7aがそれぞれ介装されていて、フ
ランジ対1a,1aは、フランジ軸受7a,7aを介し
てインキ供給パイプ11に回転可能に支持されている。
フランジ対1a,1aは、インキ供給パイプ11の所定
位置に装着された止め輪等の止め部材35により、イン
キ供給パイプ11の軸方向に移動しないように位置決め
されている。なお、止め部材35は所定の厚さを有する
が、各図においてはこれを模式的に示している。
【0037】また、フランジ対1a,1aの各外側面の
同一半径上には、版胴1の中心に向かって開口するU字
溝状の凹部3aが形成されたストッパ対3,3がそれぞ
れ固設されている。ストッパ対3,3の凹部3aは、連
結手段60を構成している。
【0038】版胴1の一端側におけるフランジ1a近傍
の上記装置本体側には、版胴1の回転位置を検知するた
めの版胴回転センサ(図示せず)が配設されている。版
胴回転センサは、例えば発光素子と受光素子とを備えた
透過型フォトセンサである。一方、版胴1の一端側にお
けるフランジ1aの外側面には、上記版胴回転センサに
係合する検知片(図示せず)が設けられている。
【0039】図1及び2に示すように、版胴1の内部に
は、インキ供給手段10が配設されている。インキ供給
手段10は、版胴1の内周面にインキを供給するインキ
供給ローラ12と、インキ供給ローラ12と間隙を置い
てその軸方向に平行に配置されていて、インキ供給ロー
ラ12との間にインキ溜まり14を形成するドクタロー
ラ13と、版胴1の回転中心軸11を兼ねると共に、イ
ンキ溜まり14にインキを供給するインキ供給パイプ1
1とから主に構成されている。インキ供給ローラ12
は、インキ供給パイプ11に固設された、版胴1内の図
示しない側板にそのインキローラ軸12aを介して回転
自在に支持されており、図示しないギアやベルト等から
なる回転伝達部材を介して、版胴1の回転に同期して版
胴1の回転方向と同じ方向に回転駆動される。インキ
は、ポンプ手段によりインキパック(共に図示せず)等
から吸引され、インキ供給パイプ11の供給孔11aか
らインキ供給ローラ12とドクタローラ13との間の楔
状空間に供給されて上記インキ溜まり14が形成され
る。インキは、機上での乾燥を防止するためにもオイル
を含む油性タイプ、あるいは油中水型のエマルジョンイ
ンキが好ましく用いられる。
【0040】インキ供給ローラ12に対向する版胴1の
下方には、図示しないアームに回転自在に支持されてお
り、印刷用紙Pを版胴1に押圧するプレスローラ15が
配設されている。なお、プレスローラ15に代えて、給
排版ユニット30の逃げ部である凹部を有し、版胴1と
略同径であるプレッシャ胴形状の押圧手段を用いてもよ
い。
【0041】プレスローラ15の図において左側には、
昇降自在な給紙台(図示せず)上に積載された印刷用紙
Pを1枚ずつ給紙する周知の分離給紙装置(図示せず)
と、上記分離給紙装置により給送された印刷用紙Pを版
胴1とプレスローラ15との間にタイミングをとって挿
入するレジストローラ対16,16とが設けられてい
る。レジストローラ対16,16は、上記筐体側板8に
当接した状態で回転自在に支持されている。レジストロ
ーラ対16,16と版胴1及びプレスローラ15との間
の用紙搬送路上には、印刷用紙Pの有無を検知する用紙
検出装置17が配置されている。
【0042】図1乃至4に示すように、版胴1のフラン
ジ対1a,1aに近接するインキ供給パイプ11上に
は、ロール支持アーム対31,31の基軸部31bがア
ーム軸受31aを介してそれぞれ回転可能に支持されて
いる。ロール支持アーム対31,31は、インキ供給パ
イプ11の軸線方向に対して垂直な方向に略扇形形状を
なしてそれぞれ延出している。ロール支持アーム対3
1,31の各外側面及び各内側面は、同一面に位置する
ように組み立てられている。したがって、ロール支持ア
ーム対31,31は、インキ供給パイプ11の周りに互
いに回転可能に支持されている。
【0043】なお、図1及び2等の正面図において、給
排版ユニット30のロール支持アーム対31,31を、
図の簡明化を図るため適宜仮想線で示す。図1及び2に
おいて、ロール支持アーム対31,31の各自由端部の
間には、版胴1の反時計回り方向における上流側から順
に排版軸37、ロール軸32及びプラテンローラ22
が、版胴1の軸線方向と略平行にそれぞれ配設されてい
る。さらに、ロール支持アーム対31,31の各自由端
部の、プラテンローラ22近傍の版胴1の反時計回り方
向における下流側には、給排版ユニット位置決め手段7
0を構成する第1被係合部としてのU字状の溝33,3
3がそれぞれ設けられている。これらの溝33,33と
基軸部31bとの間におけるロール支持アーム対31,
31の略中央部には、図4に詳しく示すように、版胴1
の略半径方向に長い逃げ孔34,34がそれぞれ形成さ
れている。
【0044】ロール支持アーム対31,31の各内側面
と版胴1のフランジ対1a,1aとの間には、給排版ユ
ニット30と版胴1とを互いに連結する連結手段60,
60がそれぞれ設けられている。連結手段60,60は
両方とも同様な構成なので、一方の連結手段60につい
てのみ説明する。ロール軸32及びプラテンローラ軸2
2aの下方における各ロール支持アーム対31,31に
は、図1,2,4及び5に示すように、レバー軸61が
それぞれ植設されており、このレバー軸61に略へ字形
状のストップレバー62が回転自在に支持されている。
ストップレバー62の一端部と各ロール支持アーム対3
1,31の基軸部31b寄りとの間には、ストップレバ
ー62を時計回り方向に付勢するバネ63(引張りコイ
ルバネ)が張設されている。一方、ストップレバー62
の他端部には、ストッパ3の凹部3aに選択的に係合す
るストップピン62aが固設されている。なお、凹部3
aが連結手段60の第2被係合部を、ストップピン62
aが連結手段60の第2係合部をそれぞれ構成してい
る。
【0045】ロール軸32には、マスタ2の一端が固着
されていて、マスタ2をロール状に巻成したマスタロー
ル2aが支持されている。ロール軸32は、ロール支持
アーム対31,31の各自由端部に、図示しない支持手
段を介して回転自在、かつ、着脱可能に支持されてい
る。ロール軸32は、未使用のマスタロール2aが、少
なくとも版胴1の外周面と接触しないように版胴1の外
周面に対して隙間を設けてロール支持アーム対31,3
1の各自由端部に配置されている。
【0046】排版軸37には、マスタ2の他端が固着さ
れていて、版胴1から使用済みのマスタ2を巻き取り巻
成された排版ロール37aが支持されている。排版軸3
7は、ロール支持アーム対31,31の自由端部に、図
示しない支持手段を介して回転自在、かつ、着脱可能に
支持されている。排版軸37は、未使用のマスタロール
2aのマスタ2が略全量使用され、使用済みのマスタ2
が排版軸37に略全量巻き取られて使用済みのマスタ2
で満杯状態となった排版ロール37aが、少なくとも版
胴1の外周面と接触しないように版胴1の外周面に対し
て隙間を設けてロール支持アーム対31,31の各自由
端部に配置されている。ロール支持アーム対31,31
における排版軸37の上記支持手段と排版軸37との間
には、排版軸37を時計回り方向にのみ回転可能にする
一方向クラッチ(図示せず)が設けられている。
【0047】図6及び7において、排版軸37の一方の
軸端には、この排版軸37に回転駆動力を伝達するため
の排版軸ギア37bが固定されている。
【0048】給排版ユニット30が図1,2及び5等に
示す定位置(後述する初期位置状態でもある)に位置決
め停止されている状態における排版軸ギア37bの近傍
には、図6及び7にのみ示すように、製版時及び排版時
に排版軸37を回転する排版巻取駆動手段40が配設さ
れている。排版巻取駆動手段40は、モータ41と、モ
ータ駆動軸41aに固着される駆動ギア42と、駆動ギ
ア42の正転、逆転によって揺動して排版軸ギア37b
に噛合、離間する移動ギア43と、一端部がモータ駆動
軸41aを回転自在に支持し、他端部が移動ギア43を
回転自在に支持する移動ギア側板対44,44とから構
成されている。モータ41は、ステッピングモータから
なる。排版巻取駆動手段40は、例えば特開平6−27
0524号公報の図2に示されている構成と同様であ
り、駆動ギア42が時計回り方向に回転することで移動
ギア43がモータ駆動軸41aを中心として揺動して排
版軸ギア37bに噛合し、駆動ギア42が反時計回り方
向に回転することで移動ギア43が排版軸ギア37bか
ら離間する周知の動作が行われる。
【0049】プラテンローラ22の周面の一部には、マ
スタロール2aから供給されるマスタ2が巻き付けられ
ている。プラテンローラ22の中心部には、プラテンロ
ーラ軸22aが挿通固着されている。このプラテンロー
ラ軸22aの両端は、プラテンローラ22と版胴1の外
周面との間に隙間を設けてロール支持アーム対31,3
1の各自由端部に回転自在に支持されている。
【0050】図8にのみ示すように、プラテンローラ軸
22aの一方の軸端には、このプラテンローラ軸22a
を回転させるプラテンローラギア22bが固定されてい
る。給排版ユニット30が図1,2及び5等に示す定位
置に位置決め停止されている状態におけるプラテンロー
ラギア22bの近傍には、プラテンローラ22を回転す
るプラテンローラ駆動手段45が配設されている。この
プラテンローラ駆動手段45は、上記した排版巻取駆動
手段40と略同様に構成されており、モータ46と、モ
ータ駆動軸46aに固着された駆動ギア47と、駆動ギ
ア47の正転、逆転によってプラテンローラギア22b
と噛合、離間する移動ギア48と、一端部がモータ駆動
軸46aに回転自在に支持され、他端部が移動ギア48
を回転自在に支持する移動ギア側板対49,49とから
構成されている。
【0051】ここで、製版手段20について説明する。
製版手段20は、図1等に示すように、サーマルヘッド
21とプラテンローラ22とから主に構成されている。
サーマルヘッド21には、図示しない原稿読取部で処理
された原稿のデジタル画像信号が送られる信号線が接続
されている。サーマルヘッド21は、上記デジタル画像
信号に応じてマスタ2に対して穿孔製版画像を形成する
多数の発熱素子を有している。
【0052】定位置を占めた給排版ユニット30と対向
する装置本体側には、サーマルヘッド21を選択的にプ
ラテンローラ22に当接、離間させるサーマルヘッド接
離手段50が配設されている。
【0053】一対のヘッドアーム51,51は、上記筐
体側板8にその両端を回転自在に支持されたヘッドアー
ム軸51aの両端部に一体的に固設されていて、ヘッド
アーム軸51aを支軸として揺動自在になっている。ヘ
ッドアーム対51,51は、正面視線対称なL字状をな
し、ヘッドアーム軸51a及びサーマルヘッド21を介
して互いに強固に連結されている。ヘッドアーム対5
1,51の各一端部51bの間には、サーマルヘッド2
1の両端部が強固に固設されている。
【0054】サーマルヘッド21は、マスタ2の幅より
広い幅を有していて、定位置を占めた給排版ユニット3
0のプラテンローラ22と対向するようにヘッドアーム
対51,51の各一端部51bに配置されている。各一
端部51b,51b寄りのヘッドアーム対51,51に
は、定位置を占めた給版ユニット30の一対の溝33,
33に対向して、突出部51c,51cが形成されてい
る。各突出部51c,51cの外側面には、給排版ユニ
ット30の溝33,33に選択的に係合する、プラテン
ローラ22のプラテンローラ軸22a方向に対して平行
な向きに突出した棒状の解除ピン52がそれぞれ植設さ
れている。これら一対の解除ピン52,52は、サーマ
ルヘッド21がプラテンローラ22に当接したとき、第
1被係合部としての溝33,33に係合する第1係合部
としての役割を有する。ヘッドアーム対51,51、ヘ
ッドアーム軸51a及び一対の解除ピン52,52は、
例えばステンレススチール等の金属でできている。
【0055】ヘッドアーム対51,51の各他端部51
dと上記筐体側板8の各所定位置に植設されたピン(図
示せず)との間には、サーマルヘッド21を、プラテン
ローラ22に当接させる向き(時計回り方向)に付勢す
る一対のバネ53,53(引張りコイルバネ)が設けら
れている。各他端部51dとヘッドアーム軸51aとの
間のヘッドアーム対51,51には、カムフォロア軸5
4aがそれぞれ植設され、この軸54aにカムフォロア
54がそれぞれ回転自在に支持されている。カムフォロ
ア54,54は、製版時及び排版時以外において、バネ
53,53の付勢力によって上記筐体側板8に回転自在
に支持されたカム軸55aに固設された一対のカム5
5,55の大径部周面に当接している。カム軸55aに
は、図示しないカム駆動モータの出力軸が連結されてい
て、カム55,55が所定の時期に回転駆動されるよう
になっている。
【0056】なお、第1係合部は、上記のような一対の
解除ピン52,52に限らず、ヘッドアーム対51,5
1の各突出部51c,51cの間から貫通して各突出部
51c,51cに固定された、ロール支持アーム対3
1,31の間の長さよりも長い棒軸状の部材であっても
よい。この場合、ヘッドアーム対51,51を、ヘッド
アーム軸51aの他に上記棒軸状の部材でも連結するこ
とになるので、ヘッドアーム対51,51を含む枠体を
より強固に設計することができる。
【0057】ロール支持アーム31とストップレバー6
2との間には、凹部3aに対してストップピン62aを
係脱させる向きに移動可能である解除板64が設けられ
ている。解除板64の一端部には、ロール支持アーム3
1に植設された段付きピン65と係合するU字溝64a
が形成されている。解除板64の他端部は、ロール支持
アーム31の溝33と重合するように配設されている。
また、ロール支持アーム31には、解除板64が移動し
たときにストップピン62aとロール支持アーム31と
の干渉防止のための長孔状の逃げ孔34が設けられてい
る。
【0058】したがって、上記の構成から、解除板64
は、凹部3aとストップピン62aとを係脱させる方
向、すなわち凹部3aとストップピン62aとの連結状
態を解除する連結解除位置と、その連結状態を保持する
連結位置との間における版胴1の略半径方向に移動自在
に設けられていて、また、サーマルヘッド接離手段50
によるサーマルヘッド21の当接動作に連動して連結手
段60の連結状態を解除するようになっている。
【0059】図5にのみ詳しく示すように、ロール軸3
2の一方の軸端と解除板64との間には、印刷時にロー
ル軸32の回転動作を制動し、製版時に同ロール軸32
の回転動作の制動を解除する規制手段80が配設されて
いる。規制手段80は、後述する、ラチェットホイル8
1と、ストップレバー62の爪部62bと、バネ63と
から構成される。なお、ラチェットホイル81の図示
は、図の簡明化を図るため図5にのみ示し、他の図にお
いては全て省略している。
【0060】マスタロール2aを支持しているロール軸
32の一方の軸端には、マスタ2を供給する方向(時計
回り方向)の回転を阻止するラチェットホイル81が固
定されている。ラチェットホイル81の周面には、時計
回り方向に突出する鋸歯状の歯81aが等間隔で形成さ
れている。ストップレバー62におけるレバー軸61の
上部には、サーマルヘッド接離手段50によるサーマル
ヘッド21の当接動作に連動して、ストップレバー62
の揺動動作を介してロール軸32の回転動作の制動を解
除するための爪部62bが突出して設けられている。
【0061】規制手段80は、給排版ユニット30が定
位置を占めたときに行われる製版及び排版時以外におけ
る版胴1の回転時、すなわち上記印刷時等において、そ
のときの振動などによりロール軸32からマスタ2が繰
り出されてマスタ2に弛みが発生しないようにする機能
を有する。
【0062】また、定位置を占めた給排版ユニット30
における一端側のロール支持アーム31のロール軸32
と対向する装置本体側には、マスタロール2aのマスタ
2の残量を検知するためのマスタ検知センサ(図示せ
ず)が配設されている。マスタ検知センサは、例えば発
光素子と受光素子とを備えた反射型フォトセンサであ
る。一方、定位置を占めた給排版ユニット30における
一端側のロール支持アーム31のロール軸32近傍に
は、上記マスタ検知センサの出射光及び反射光を入出射
する図示しない入出射孔が開口している。
【0063】次に、動作を説明する。なお、それぞれ一
対で構成されている、ロール支持アーム対31,31、
サーマルヘッド接離手段50の構成要素であるヘッドア
ーム対51,51等、給排版ユニット位置決め手段70
の構成要素である溝33,33、解除ピン52,52
等、及び連結手段60の構成要素であるストップピン6
2a,62a、凹部3a,3a等は、その一対の動作が
それぞれ同様なので、図示されている部材の動作につい
てのみ説明し、図示されていない部材については.その
説明を省略する。まず、版胴1、給排版ユニット30、
サーマルヘッド21、排版巻取駆動手段40の移動ギア
43及びプラテンローラ駆動手段45の移動ギア48の
初期位置状態について説明する。給排版ユニット30
は、通常、図1に示す定位置を占めていて、給排版ユニ
ット30はストッパ3の凹部3aにストップピン62a
が係合していて、版胴1と給排版ユニット30とが一体
的に連結された状態にある。サーマルヘッド接離手段5
0の動作状態により、サーマルヘッド21はプラテンロ
ーラ22から離間した非製版位置に、解除ピン52はロ
ール支持アーム31の溝33から離間した非解除位置
に、規制手段80の爪部62bはラチェットホイル81
と爪部62bとが係合した制動位置にそれぞれある。ま
た、排版巻取駆動手段40の動作状態により、移動ギア
43は排版軸ギア37bから離間された非排版位置にあ
り、一方プラテンローラ駆動手段45の動作状態によ
り、移動ギア48はプラテンローラギア22bから離間
された駆動力非伝達位置にある。
【0064】この状態で、原稿読取部に原稿(共に図示
せず)がセットされ、製版スタートキーが押されると、
版胴1及び給排版ユニット30は一体的に連結された状
態で、メインモータ5Aの駆動力により回転されて図1
に示す定位置近傍、すなわち、サーマルヘッド21とプ
ラテンローラ22とが、解除ピン52と溝33とがそれ
ぞれ互いに対向する位置近傍で停止する。
【0065】版胴1が停止すると、サーマルヘッド接離
手段50の上記カム駆動モータが回転駆動されることに
より、カム55が回転され、この回転にともなってバネ
53で付勢されているカムフォロア54がカム55の外
周に沿って移動し、ヘッドアーム51は、ヘッドアーム
軸51aを中心にして時計回り方向に回転される。これ
により、ヘッドアーム51の一端部51bは、版胴1に
向かって揺動し、解除ピン52が溝33に係合する。こ
の係合によって、図2に示すように、給排版ユニット3
0が定位置に確実に位置決め停止されると共に、同図に
示すように、サーマルヘッド21とプラテンローラ22
とが互いに位置決めされる。
【0066】解除ピン52が、溝33に係合・嵌入し始
めると、連結手段60のバネ63の付勢力に抗して解除
板64の他端を圧接することにより、ストップレバー6
2がレバー軸61を中心にして反時計回り方向に回転さ
れると共に、解除板64が段付きピン65に沿ってU字
溝64aの範囲内を版胴1の中心方向に押し下げられ
る。そして、ストップレバー62が回転されることによ
り、ストップピン62aが、ストッパ3の凹部3aから
離間されて、版胴1と給排版ユニット30との連結状態
が解除される。これと同時に、規制手段80におけるス
トップレバー62の爪部62bは、ラチェットホイル8
1と爪部62bとが係合した制動位置からラチェットホ
イル81から離間された非制動位置を占めることによ
り、ロール軸32の時計回り方向の回転動作の制動規制
状態が解除され、マスタロール2aからマスタ2の繰り
出しが可能な状態となる。こうして、版胴1と給排版ユ
ニット30との連結が解除されるのと略同時に、サーマ
ルヘッド21がプラテンローラ22に当接して、ヘッド
アーム51の揺動が停止する。
【0067】次いで、サーマルヘッド21とプラテンロ
ーラ22との位置決めが確認されると、図6において、
排版巻取駆動手段40のモータ41がモータ駆動軸41
aを時計回り方向に回転し駆動ギア42を回転させ、移
動ギア43を排版軸ギア37bに噛合させる。移動ギア
43と排版軸ギア37bとが噛合するとモータ41が一
旦停止して、排版巻取駆動手段40は停止する。また、
プラテンローラ駆動手段45も、排版巻取駆動手段40
と同様に、プラテンローラギア22bに移動ギア48を
噛合させた状態で一旦停止する。
【0068】この排版軸ギア37bとプラテンローラギ
ア22bとに各移動ギア43,48がそれぞれ噛合し
て、各駆動手段40,45が一端停止した状態が給版待
機状態となる。この給版待機状態になると、第1クラッ
チ5C1がオフしてメインモータ5Aと版胴1との接続
状態が解除され、第2クラッチ5C2がオンすることで
低速モータ5Bと版胴1とが接続される。
【0069】上記原稿が上記原稿読取部に搬送される
と、原稿の画像情報が、原稿読取部のCCD(電荷結合
素子からなる画像センサ)で電気信号に変換され、A/
D(アナログ/デジタル)変換器及び製版制御装置(共
に図示せず)等を経由してデジタル画像信号に処理され
る。これと並行して、低速モータ5B、排版巻取駆動手
段40及びプラテンローラ駆動手段45が作動される。
すなわち、低速モータ5Bの回転駆動により版胴1が反
時計回り方向に緩やかに回転されながら、モータ46の
回転駆動によりプラテンローラ22が反時計回り方向に
回転されることによってマスタロール2aからマスタ2
が繰り出され搬送されると共に、モータ41の回転駆動
により排版軸37が時計回り方向に回転されることによ
ってマスタ2が排版軸37に巻き取られる。このとき、
版胴1は、低速モータ5Bのストールした回転駆動動作
により、プラテンローラ22の回転によるマスタの製版
搬送速度と同じ周速度で回転されながら外周面にマスタ
2を巻き付けていくので、プラテンローラ22から搬送
され版胴1の外周面に巻装されていくマスタ2に適度な
張力が作用することとなる。また、版胴1の回転に同期
して排版軸37は、版胴1の外周面からマスタ2を巻き
取る時計回り方向に排版巻取駆動手段40により回転さ
れる。
【0070】図2に示すように、版胴1が印刷可能領域
Prの開始位置まで回転されると、処理された原稿のデ
ジタル画像信号が、サーマルヘッド21の発熱素子にパ
ルス状に通電され、サーマルヘッド21が主走査方向に
作動されることにより、マスタ2に対して加熱穿孔製版
が開始される。マスタ2は穿孔された後、上記したプラ
テンローラ22による反時計回り方向の回転により、そ
の副走査方向に搬送されて版胴1の外周面に貼着され
る。そして、版胴1が約1/3回転した位置で版胴1の
表面に設けられた保持部材18とマスタ2の穿孔開始側
前部裏面とが接触して、保持部材18の粘着・保持力に
よりマスタ2が貼着・保持されながら搬送され、マスタ
2が版胴1の外周面に巻装されていくと共に、使用済み
のマスタ2は上記した排版軸37の回転動作により順次
巻き取られ排版ロール37aとして巻成される。
【0071】版胴1の印刷可能領域Prの終わりが、プ
ラテンローラ駆動手段45のモータ46のステップ数に
より判断され、版胴1の印刷可能領域Prに対応する製
版が完了すると、サーマルヘッド21による加熱穿孔製
版が停止される。
【0072】その後も、排版巻取駆動手段40によるマ
スタ2の巻き取り及びプラテンローラ駆動手段45によ
るマスタ2の送出が継続され、上記版胴回転検知センサ
により版胴1の初期位置が検出される、すなわち、版胴
1が一回転したと判断されると、排版巻取駆動手段40
において、モータ駆動軸41aが反時計回り方向に回転
され、移動ギア43が排版軸ギア37bから離間され
る。プラテンローラ駆動手段45の移動ギア48も、同
様にプラテンローラギア22bから離間される。また、
排版巻取駆動手段40及びプラテンローラ駆動手段45
の上記離間動作と連動して、サーマルヘッド接離手段5
0が上述した動作と同様に作動することにより、カム5
5が回転してヘッドアーム51は、ヘッドアーム軸51
aを中心にして反時計回り方向に回転され、サーマルヘ
ッド21がプラテンローラ22から離間するとともに、
解除ピン52とロール支持アーム31の溝33との係合
も解除される。
【0073】そして、解除ピン52と溝33との係合が
解除されると、連結手段60のバネ63の付勢力によ
り、ストップレバー62がレバー軸61を中心にして時
計回り方向に回転され、解除板64が段付きピン65に
沿ってU字溝64aの範囲内を版胴1の遠心方向に押し
上げられると共に、ストップピン62aがストッパ3の
凹部3aに係合して、図1に示すように、版胴1と給排
版ユニット30とが一体的に連結される。これと同時
に、規制手段80の爪部62bは、非制動位置からラチ
ェットホイル81に係合した制動位置を占めることによ
り、ロール軸32の時計回り方向の回転動作が制動規制
され、版胴1の外周面からロール軸32に至るまで配索
された製版済みのマスタ2の弛み発生が確実に防止され
る。
【0074】こうして、版胴1への製版済みのマスタ2
の巻装が完了し、版胴1と給排版ユニット30とが一体
的に連結されて図1に示す初期位置状態になると、第2
クラッチ5C2及び低速モータ5Bがオフされ、第1ク
ラッチ5C1がオンされる。第1クラッチ5C1がオン
されることで版胴1とメインモータ5Aとが接続され
る。
【0075】次いで、印刷スタートキーが押されると、
メインモータ5Aが回転駆動されることにより、版胴1
が反時計回り方向に回転されると共に、上記給紙台から
上記分離給紙装置を介して分離された1枚の印刷用紙P
が、レジストローラ対16,16でタイミングをとら
れ、版胴1とプレスローラ15との間に挿入される。用
紙検出装置17により印刷用紙Pの給送が検出される
と、プレスローラ15が上昇して印刷用紙Pを版胴1に
連続的に押圧する。そして、印刷用紙Pがプレスローラ
15で製版済みのマスタ2を介して版胴1に押圧される
ことにより、版胴1の表面の開孔部分から製版済みのマ
スタ2を通過したインキが印刷用紙Pの表面に転移され
て印刷が行われる。なお、このとき、インキ供給ローラ
12も版胴1の回転方向と同一方向に回転し、インキを
版胴1の内周面に供給する。印刷された印刷用紙Pの先
端は、図示しない排紙爪により版胴1の外周面から剥離
され、さらに図示しない排紙装置によって搬送されて図
示しない排紙トレイに排出される。この印刷動作により
マスタ2にインキを充填する、いわゆる版付けが行われ
ると共に、プレスローラ15が版胴1から離間した初期
位置状態に復帰されて、印刷待機状態となる。
【0076】この後、テンキー(図示せず)により印刷
枚数を入力し、上記印刷スタートキーを押すことによ
り、上記した印刷、給紙、排紙の各工程が所定回数繰り
返されて印刷が行われる。
【0077】なお、上記実施例1においては、ヘッドア
ーム51,51の各一端部51b,51bに、解除ピン
52に代えて第1被係合部としてのU字形状の溝33を
設け、ロール支持アーム31,31の各自由端部、すな
わち、U字形状の溝33に対応する部位に、この溝33
に代えて第1係合部としての解除ピン52を設けてもよ
い。さらに、フランジ対1a,1aの外側面に、ストッ
パ3の凹部3aに代えて第2係合部としてのストップピ
ン62aを固設し、ストップレバー62の他端部に、ス
トップピン62aに代えてストップピン62aが係合す
る第2被係合部としてのストッパ3の凹部3aを固設し
てもよい。
【0078】したがって、この実施例1によれば、次に
述べるような利点がある。
【0079】製版時に、サーマルヘッド接離手段50
によってサーマルヘッド21がプラテンローラ22に当
接される動作により、サーマルヘッド21に対して給排
版ユニット30が位置決めされるので、給排版ユニット
30の強度が高くなくてもサーマルヘッド21とプラテ
ンローラ22との接触位置や、マスタ供給部としてのロ
ール軸32と製版手段20を構成するプラテンローラ2
1との平行等の精度を確保でき、サーマルヘッド21と
プラテンローラ22との位置ずれや、マスタ2のねじれ
や撓みによるマスタ2のシワ、スキュー等の製版不良の
発生を防止することができる。
【0080】サーマルヘッド21とプラテンローラ2
2との離間、当接動作により、版胴1と給排版ユニット
30との連結、解除動作が確実に行われるので、連結、
解除動作のための制御手段を必要とせず、誤動作なども
防止される。
【0081】製版時において、サーマルヘッド接離手
段50によってサーマルヘッド21をプラテンローラ2
2に当接させる動作により、給排版ユニット30又はサ
ーマルヘッド接離手段50のうち何れか一方に設けられ
た第1係合部が、給排版ユニット30又はサーマルヘッ
ド接離手段50のうち何れか他方に設けられた第1被係
合部に係合されて、サーマルヘッド21に対して給排版
ユニット30が位置決めされるので、給排版ユニット3
0の強度が高くなくてもサーマルヘッド21とプラテン
ローラ22との接触位置や、マスタ供給部としてのロー
ル軸32と製版手段20のプラテンローラ22との平行
等の精度を確保でき、サーマルヘッド21とプラテンロ
ーラ22との位置ずれや、マスタ2のねじれや撓みによ
るマスタ2のシワ、スキュー等の製版不良の発生を防止
することができる。また、従来のように給排版ユニット
のねじれの発生等を防止するための強固な構成を必要と
しないので、給排版ユニット30を軽量に構成でき、低
コストで製作でき、印刷時や空転時に版胴1と給排版ユ
ニット30とが一体になって回転する場合でも版胴1の
振動を低減することができる。さらに、印刷物の色変え
のために版胴1が装置本体側に対して脱着可能なドラム
ユニットとして構成されている場合には、ドラムユニッ
トの重量の増加を抑えてドラムユニットの脱着を容易に
することもできる。
【0082】サーマルヘッド21とプラテンローラ2
2との離間、当接動作により、版胴1又は給排版ユニッ
ト30のうち何れか一方に設けられた第2係合部と、版
胴1又は給排版ユニット30のうち何れか他方に設けら
れた第2被係合部とが係合、解除されて、版胴1と給排
版ユニット30との連結、解除動作が行われるので、版
胴1と給排版ユニット30とを連結する連結手段60を
軽量、かつ、低コストで製作でき、ソレノイドや電磁ク
ラッチ等を用いることもないので、その制御手段も必要
としない。
【0083】規制手段80を有することにより、製版
時にマスタ供給部としてのロール軸32の動作の制動、
解除が行われるので、印刷時や空転時にロール軸32が
版胴1の回転等の外力を受けても、マスタ2がマスタロ
ール2aから送り出されることなく、マスタ2の撓みの
発生を確実に防止することができる。
【0084】サーマルヘッド21とプラテンローラ2
2との離間、当接動作に連動して、規制手段80の動作
を介して、マスタ供給部としてのロール軸32の動作の
制動、解除が行われるので、印刷時や空転時にロール軸
32が版胴1の回転等の外力を受けても、マスタ2がマ
スタロール2aから送り出されることなく、マスタ2の
撓みの発生を確実に防止することができる。
【0085】版胴1の外周面に巻装されるマスタ2の
穿孔開始側前部に対応する版胴1の外周面の位置に、マ
スタ2の裏面に接触してマスタ2を該位置に保持するた
めの、粘着性を有するマスタ保持手段としての保持部材
18を設けたことにより、製版直後のマスタ2の穿孔開
始側前部が保持部材18と接触してその画像先端部分が
均一に伸張した状態で版胴1に巻装されると共に、マス
タ2の穿孔開始側前部が排版巻取部としての排版軸37
に近接したときに、保持部材18によりマスタ2の穿孔
開始側前部が貼着・保持されることで、排版ロール37
a形成部から進行するマスタ2のシワが保持部材18の
部位でブロックされ、製版済みマスタ2の画像部まで成
長しなくなるのでマスタ2のシワによる画像悪化が防止
され、良好な画像品質を得ることができる。
【0086】また、従来の孔版式製版印刷装置の版胴に
おいては、装置の休止等により、使用済みのマスタ2と
共に排版軸37に巻き取られたインキの水分が蒸発して
しまう場合等における、排版ロール37aに巻き取られ
た使用済みのマスタ2同士が緩くなってしまうことによ
って、版胴に巻装されているマスタ2が負荷の作用で版
胴の回転遅れ側に戻ってしまい、版胴に対する画像位置
がずれたり、版胴上に生じたマスタ2の弛みが押しつぶ
されたりして画像品質が悪化してしまう問題点となった
が、このような場合でも、版胴の所定位置に上述した保
持部材18を設けたことにより、保持部材18に貼着・
保持された平滑なマスタ2には大きなスベリ防止力が作
用するので、版胴上におけるマスタ2の移動等も確実に
防止される。
【0087】(例1)図14乃至16を参照して例1に
ついて述べる。なお、実施例1と同一の機能及び形状等
を有する構成要素については、同一符号を付してその説
明をできるだけ省略する。なお、後述する、サーマルヘ
ッド揺動手段の構成要素、支持手段135の構成要素、
フランジ1a及びコロ22c、37c等は、版胴1の両
端側に上記構成要素がそれぞれ設けられているが、同様
の構成であり、かつ、その位置位相も同じであるので、
各図に示されている片側のみ説明する。この例1の特徴
は、実施例1で用いた保持部材18を、図14に示す孔
版式製版印刷装置の版胴1に配設したことにある。ま
た、図14に示す孔版式製版印刷装置は、上記特徴の他
に、マスタ2がロール軸32に巻き付けられロール状に
形成されたマスタロール2aからマスタ1が版胴1に供
給され、使用済みのマスタ2を版胴1から排版軸37に
巻き取るマスタ供給排版方式を採用していて、後述する
ような新規な構成を有する。まず、この例2の孔版式製
版印刷装置の要部構成を説明する。
【0088】図14は例2の孔版式製版印刷装置の要部
構成を示す。同図において、この例2の孔版式製版印刷
装置は、定方向に回転する版胴1と、版胴1の内周面に
インキを供給するインキ供給手段10と、サーマルヘッ
ド21と、製版された製版済みのマスタ2を、版胴1の
外周面に向けて供給しつつ排版する給排版ユニット13
0と、給排版ユニット130を版胴1の外周面に沿って
回転自在に支持する支持手段135と、版胴1の外周面
に巻装されたマスタ2に用紙Pを押し付けインキを用紙
Pに滲み出させるプレスローラ15と、給排版ユニット
130を版胴1の中心に向かって付勢する付勢手段とし
てのバネ136と、給排版ユニット130を版胴1に対
して位置決め固定する給排版ユニット固定手段としての
フック152と、少なくとも印刷時に給排版ユニット1
30と版胴1とを互いに連結する連結手段(後述する)
とを具備している。
【0089】版胴1は、実施例1と同様の構成を有す
る。版胴1は、版胴1の外周面に巻装されるマスタ2の
穿孔開始側前部に対応する版胴1の外周面の位置に設け
られた、マスタ2の裏面に接触してマスタ2を該位置に
保持するための、粘着性を有するマスタ保持手段として
の保持部材18を備えている。版胴1の両端には、実施
例1と同様のフランジ対1aが固定されていて、フラン
ジ対1aは、図3に示したと同様の構造をもってインキ
供給パイプ11に回転可能に支持されている。版胴1の
フランジ対1aの外側面には、図16のみに示すよう
に、ストッパ147が突出形成されている。ストッパ1
47には、版胴1の略遠心・周方向に開口した、略U字
状の溝147aが形成されている。版胴1は、定方向に
(図14において反時計回り方向)実施例1と同様の版
胴駆動機構4により回転されるようになっている。例1
の版胴1及び版胴駆動機構4廻りの構造を示すため、図
3において、実施例1のロール支持アーム31に相当す
る符号の横に移動アーム138の符号を括弧を付して併
記してある。
【0090】版胴1の内部には、実施例1と同様のイン
キ供給手段10が配設されている。インキローラ12に
対向する版胴1の下方には、実施例1と同様のプレスロ
ーラ15が設けられている。このプレスローラ15に代
えて、給排版ユニット130との干渉を避ける凹部を有
し、版胴1と略同径であるプレッシャ胴形状の押圧手段
を用いてもよい。図14においてプレスローラ15の左
方には、実施例1と同様のレジストローラ対16,16
及び用紙検出装置17が配設されている。
【0091】給排版ユニット130は、図14及び15
に示すように、実施例1と同様の構成及び機能を有す
る、ロール軸32と、プラテンローラ22と、排版軸3
7と、ロール軸32とプラテンローラ軸22aと排版軸
37とをそれぞれ回転自在に支持するフレーム133と
から主に構成されている。
【0092】支持手段135は、排版軸37に一端を軸
支されたスライドアーム137と、インキ供給パイプ1
1に回転自在に支持された移動アーム138とを有して
いて、給排版ユニット130を版胴1の外周面に沿って
回転自在に支持している。スライドアーム137には長
孔137aが版胴1の半径方向に沿って設けられてい
る。長孔137aには移動アーム138に植設された2
個のピン138aが緩く嵌合している。それ故に、スラ
イドアーム137は、2個のピン138aに案内されて
長孔137aの範囲内で版胴1の半径方向に移動可能と
なっている。移動アーム138とロール軸32の端部と
の間には、給排版ユニット130を版胴1の中心、すな
わちインキ供給パイプ11に向かって付勢する付勢手段
としてのバネ136が張設されている。スライドアーム
137と移動アーム138との間にも必要ならばバネを
設けてもよい。
【0093】ロール軸32には、印刷時にマスタ2が不
要に繰り出されないように、その支持部に配設された図
示しないブレーキユニットにより所定の制動力が作用さ
れている。排版軸37には一方向クラッチが接続されて
いて、排版軸37を図14において時計回り方向にのみ
回転するようになっている。排版軸37の端部には、図
6及び7にのみ示したと同様の、排版軸37を回転駆動
する排版軸ギア37b(図14等には図示せず)が固定
されている。排版軸ギア37bの近傍には、製版及び排
版時に排版軸37を回転する実施例1と同様の排版巻取
駆動手段40(図14等には図示せず)が配設されてい
る。
【0094】プラテンローラ軸22aの一方の端部に
は、図8にのみ示したと同様の、プラテンローラ軸22
aを回転させるプラテンローラギア22b(図14等に
は図示せず)が固定されている。プラテンローラギア2
2bの近傍には、製版及び排版時にプラテンローラ22
を回転する実施例1と同様のプラテンローラ駆動手段4
5(図14等には図示せず)が配設されている。
【0095】排版軸37及びプラテンローラ軸22aに
は、図15にも示すように、各軸にそれぞれ回転自在に
支持されたコロ22c、37cが設けられている。これ
らコロ22c、37cは、バネ136の付勢力により版
胴1の両側縁部の外周面に当接し、プラテンローラ2
2、排版軸37の位置を規制する。
【0096】フレーム133の外側面には、図16にの
み示すように、フレーム133の外側面に植設された軸
144にその基端が回転自在に支持されたロックレバー
145が設けられている。ロックレバー145の自由端
には、フランジ1aに形成されたストッパ147の溝1
47aと選択的に係合するピン146が植設されてい
る。ロックレバー145は、図示しないスプリングによ
り軸144を支点として反時計回り方向に付勢されてい
る。印刷時において、ピン146がストッパ147の溝
147aと係合し、フレーム133と版胴1とが一体的
に連結され、給排版ユニット130が版胴1と一体的に
回転し、製版及び排版時にピン146とストッパ147
の溝147aとの係合が断たれ、版胴1のみの回転を許
すようになっている。フレーム133は、ロール軸32
と排版軸37とを図示しない着脱溝を含む軸着脱手段を
介してそれぞれ着脱自在に支持している。
【0097】上記したとおり、ピン146、溝147a
及び上記スプリングは、連結手段160を構成してい
る。上記係合・非係合の動作は、後述するように、給排
版ユニット130が図14に示す定位置を占めたときに
行われる。
【0098】サーマルヘッド21は、実施例1と同様
に、版胴1の外周面近傍であって、定位置においてプラ
テンローラ22と対向した装置本体側の所定位置に配置
されている。サーマルヘッド21は、筐体側板8(図1
4等には図示せず)に回転自在に支持されたアーム軸1
51aに固定されたアーム151の自由端部に設けられ
ている。サーマルヘッド21は、プラテンローラ22に
圧接した製版位置と、プラテンローラ22から離間した
非製版位置とに扇形ギア、モータ等からなるサーマルヘ
ッド揺動手段により揺動され、図示しないスプリングに
よりプラテンローラ22に付勢されるようになってい
て、製版及び排版時以外は版胴1から離間した非製版位
置に待機している。上記サーマルヘッド揺動手段は、例
えば実施例1のサーマルヘッド接離手段50の構成要素
から一対の解除ピン52,52を除去したと同様の構成
であってもよい。
【0099】装置本体側における排版軸37の右上近傍
には、給排版ユニット130が図14に示す定位置を占
めたとき、排版軸37に係合して給排版ユニット130
を版胴1に対して位置決め固定する揺動自在なフック1
52が配置されている。フック152の排版軸37との
係合部は、鉤形状をなしている。フック152は、筐体
側板8(図14等には図示せず)に回転自在に支持され
たフック軸152aに固定されていて、排版軸37に係
合した位置と、排版軸37から離間した位置とに扇形ギ
ア、モータ等からなるフック揺動手段により揺動され、
図示しないスプリングにより排版軸37に向けて付勢さ
れるようになっている。フック152は、製版及び排版
時以外は版胴1から離間した位置に待機している。
【0100】次に、この孔版式製版印刷装置の動作を説
明する。
【0101】実施例1と同様に、上記原稿読取部に上記
原稿がセットされ、製版スタートキーを押すことにより
スタート信号が出されると、版胴1と給排版ユニット1
30とは、ロックレバー145のピン146とストッパ
147の溝147aとが上記スプリングの付勢力を介し
て係合することにより一体化して回転し、図14に示す
定位置近傍で停止する。版胴1が停止すると、フック1
52がフック軸152aを中心として揺動され、上記ス
プリングの付勢力により、排版軸37に係合した状態で
停止すると共に、版胴1が反時計回り方向にさらに回転
することで、ロックレバー145のピン146が、連結
手段160のスプリングの付勢力に打ち勝ってストッパ
147の溝147aから離脱し、給排版ユニット130
と版胴1との一体化が解除された後、版胴1が所定位置
で停止する。
【0102】次いで、実施例1と同様に、図6におい
て、排版巻取駆動手段40のモータ41がモータ駆動軸
41aを時計回り方向に回転し駆動ギア42を回転さ
せ、移動ギア43を排版軸ギア37bに噛合させる。移
動ギア43と排版軸ギア37bとが噛合するとモータ4
1が一旦停止して、排版巻取駆動手段40は停止する。
また、プラテンローラ駆動手段45も、排版巻取駆動手
段40と同様に、プラテンローラギア22bに移動ギア
48を噛合させた状態で一旦停止する。
【0103】次いで、上記サーマルヘッド揺動手段の作
動によりサーマルヘッド21がマスタ2を介してプラテ
ンローラ22に圧接し、給排版待機状態となる。この給
版待機状態になると、第1クラッチ5C1がオフしてメ
インモータ5Aと版胴1との接続状態が解除され、第2
クラッチ5C2がオンすることで低速モータ5Bと版胴
1とが接続される。
【0104】そして、実施例1と同様に、上記原稿が上
記原稿読取部に搬送されると、原稿の画像情報が、原稿
読取部のCCD(電荷結合素子からなる画像センサ)で
電気信号に変換され、A/D(アナログ/デジタル)変
換器及び製版制御装置(共に図示せず)等を経由してデ
ジタル画像信号に処理される。これと並行して、低速モ
ータ5B、排版巻取駆動手段40及びプラテンローラ駆
動手段45が作動される。すなわち、低速モータ5Bの
回転駆動により版胴1が反時計回り方向に緩やかに回転
されながら、モータ46の回転駆動によりプラテンロー
ラ22が反時計回り方向に回転されることによってマス
タロール2aからマスタ2が繰り出され搬送されると共
に、モータ41の回転駆動により排版軸37が時計回り
方向に回転されることによってマスタ2が排版軸37に
巻き取られる。このとき、版胴1は、低速モータ5Bの
ストールした回転駆動動作により、プラテンローラ22
の回転によるマスタの製版搬送速度と同じ周速度で回転
されながら外周面にマスタ2を巻き付けていくので、プ
ラテンローラ22から搬送され版胴1の外周面に巻装さ
れていくマスタ2に適度な張力が作用することとなる。
また、版胴1の回転に同期して排版軸37は、版胴1の
外周面からマスタ2を巻き取る時計回り方向に排版巻取
駆動手段40により回転される。
【0105】版胴1が印刷可能領域Prの開始位置まで
回転されると、処理された原稿のデジタル画像信号が、
サーマルヘッド21の発熱素子にパルス状に通電され、
サーマルヘッド21が主走査方向に作動されることによ
り、マスタ2に対して加熱穿孔製版が開始される。マス
タ2は穿孔された後、上記したプラテンローラ22によ
る反時計回り方向の回転により、その副走査方向に搬送
されて版胴1の外周面に貼着される。そして、版胴1が
約1/3回転した位置で版胴1の表面に設けられた保持
部材18とマスタ2の穿孔開始側前部裏面とが接触し
て、保持部材18の粘着・保持力によりマスタ2が貼着
・保持されながら搬送され、マスタ2が版胴1の外周面
に巻装されていくと共に、使用済みのマスタ2は上記し
た排版軸37の回転動作により順次巻き取られ排版ロー
ル37aとして巻成される。
【0106】版胴1の印刷可能領域Prの終わりが、プ
ラテンローラ駆動手段45のモータ46のステップ数に
より判断され、版胴1の印刷可能領域Prに対応する製
版が完了すると、サーマルヘッド21による加熱穿孔製
版が停止される。
【0107】その後も、排版巻取駆動手段40によるマ
スタ2の巻き取り及びプラテンローラ駆動手段45によ
るマスタ2の送出が継続され、実施例1と同様の版胴回
転検知センサにより版胴1の初期位置が検出される、す
なわち、版胴1が一回転したと判断されると、排版巻取
駆動手段40において、モータ駆動軸41aが反時計回
り方向に回転され、移動ギア43が排版軸ギア37bか
ら離間される。プラテンローラ駆動手段45の移動ギア
48も、同様にプラテンローラギア22bから離間され
る。
【0108】そして、上記サーマルヘッド揺動手段が作
動する。すなわち、アーム151は、アーム軸151a
を中心として反時計回り方向に揺動され、サーマルヘッ
ド21がプラテンローラ22から離間して非製版位置を
占める。さらに、上記フック揺動手段が作動する。すな
わち、フック152は、フック軸52aを中心として時
計回り方向に揺動され排版軸37との係合を断たれる。
その時に、ストッパ147の溝147aとロックレバー
145のピン146とが、上記スプリングの付勢力を介
して係合し、給排版ユニット130と版胴1とが一体化
される。
【0109】こうして、版胴1への製版済みのマスタ2
の巻装が完了し、版胴1と給排版ユニット30とが一体
的に連結されて図14に示す初期位置状態(定位置状態
でもある)になると、第2クラッチ5C2及び低速モー
タ5Bがオフされ、第1クラッチ5C1がオンされる。
第1クラッチ5C1がオンされることで版胴1とメイン
モータ5Aとが接続され、印刷工程開始状態となる。
【0110】次いで、実施例1と同様の印刷工程が始ま
り、以下実施例1と同様の動作につきその説明を省略す
る。
【0111】したがって、この例1によれば、バネ13
6が給排版ユニット130を版胴1の中心に向かって付
勢し、フック152が給排版ユニット130を版胴1に
対して固定するので、給排版ユニット130の強度が高
くなくても、サーマルヘッド21とプラテンローラ22
との接触位置や、ロール軸32とプラテンローラ22と
の平行等の精度を確保でき、サーマルヘッド21とプラ
テンローラ22との位置ずれや、マスタ2のねじれや撓
みによるマスタ2のシワ、スキュー等の製版不良を防止
することができる。また、従来のように給排版ユニット
のねじれ等を防止するために、給排版ユニットを特に強
固に製作することも必要が無く、軽量で安価にでき、ア
ンバランスによる振動なども低減することができる。
【0112】また、実施例1と同様に、以下の利点があ
る。すなわち、版胴1の外周面に巻装されるマスタ2の
穿孔開始側前部に対応する版胴1の外周面の位置に、マ
スタ2の裏面に接触してマスタ2を該位置に保持するた
めの、粘着性を有するマスタ保持手段としての保持部材
18を設けたことにより、製版直後のマスタ2の穿孔開
始側前部が保持部材18と接触してその画像先端部分が
均一に伸張した状態で版胴1に巻装されると共に、マス
タ2の穿孔開始側前部が排版巻取部としての排版軸37
に近接したときに、保持部材18によりマスタ2の穿孔
開始側前部が貼着・保持されることで、排版ロール37
a形成部から進行するマスタ2のシワが保持部材18の
部位でブロックされ、製版済みマスタ2の画像部まで成
長しなくなるのでマスタ2のシワによる画像悪化が防止
され、良好な画像品質を得ることができる。
【0113】また、従来の孔版式製版印刷装置の版胴に
おいては、装置の休止等により、使用済みのマスタ2と
共に排版軸37に巻き取られたインキの水分が蒸発して
しまう場合等における、排版ロール37aに巻き取られ
た使用済みのマスタ2同士が緩くなってしまうことによ
って、版胴1に巻装されているマスタ2が負荷の作用で
版胴1の回転遅れ側に戻ってしまい、版胴1に対する画
像位置がずれたり、版胴1上に生じたマスタ2の弛みが
押しつぶされたりして画像品質が悪化してしまう問題点
となったが、このような場合でも、版胴1の所定位置に
上述した保持部材18を設けたことにより、保持部材1
8に貼着・保持された平滑なマスタ2には大きなスベリ
防止力が作用するので、版胴1上におけるマスタ2の移
動等も確実に防止される。
【0114】(例1−1)図17及び18に上記例1の
別の例1−1(例1と区別するために便宜上例1−1と
称する)を示す。この例1−1の特徴は、実施例1で用
いた保持部材18を、図17に示す孔版式製版印刷装置
の版胴161に配設したことにある。また、図17に示
す孔版式製版印刷装置は、上記特徴の他に、マスタ2が
ロール軸32に巻き付けられて形成されたマスタロール
2aからマスタ1が版胴161に供給され、使用済みの
マスタ2を版胴161から排版軸37に巻き取るマスタ
供給排版方式を採用していて、後述するような新規な構
成を有する。
【0115】この例1−1は、例1に対して、例1の版
胴1に代えて、その周方向に給排版ユニット130が係
合する切欠き153を設けた版胴161と、例1のイン
キ供給手段10に代えて、実公平4−30066号公報
に記載されているようなインキ供給装置とを用いた点が
主に相違する。なお、両図において、上述の例1と同一
部材には同一符号を付し、相違する点のみ説明する。
【0116】版胴161における多孔性の開孔領域の範
囲は、図17にのみ示すように、切欠き153を除くそ
の円周上の略2/3を占めており、この範囲が印刷可能
領域Prとなる。一方、版胴161における非開孔領域
の範囲は、切欠き153及びその周辺部を含む円周上の
略1/3を占めており、この範囲が非印刷領域Hとな
る。
【0117】符号161bは移動アーム138を回転自
在に支持する版胴軸を、符号154は用紙Pを剥離する
排紙爪をそれぞれ示す。次に、動作を簡単に述べる。上
述の例1と同様に、上記原稿読取部に上記原稿がセット
され、製版スタートキーが押されてスタート信号が出さ
れると、図16のみに示した連結手段160の作動によ
り、版胴161と給排版ユニット130とは一体化して
回転し、図17に示す定位置近傍で停止する。版胴16
1が停止すると、フック152がフック軸152aを中
心として反時計回り方向に揺動され、上記スプリングの
付勢力により、排版軸37に係合した状態で停止すると
共に、版胴161がさらに反時計回り方向に回転するこ
とで、ロックレバー145のピン146が、上記プリン
グの付勢力に打ち勝ってストッパ147の溝147a
(図16にのみ示す)から離脱し、給排版ユニット13
0と版胴161との一体化が解除される。
【0118】その後、例1と同様に、版胴161が反時
計回り方向に回転されることにより、コロ22c、37
cが切欠き153の斜面に沿って転がり、切欠き153
と給排版ユニット130との係合が断たれ、図18に示
す所定位置で版胴161が停止する。
【0119】次いで、例1と同様に、図6において、排
版巻取駆動手段40のモータ41がモータ駆動軸41a
を時計回り方向に回転し駆動ギア42を回転させ、移動
ギア43を排版軸ギア37bに噛合させる。移動ギア4
3と排版軸ギア37bとが噛合するとモータ41が一旦
停止して、排版巻取駆動手段40は停止する。また、プ
ラテンローラ駆動手段45も、排版巻取駆動手段40と
同様に、プラテンローラギア22bに移動ギア48を噛
合させた状態で一旦停止する。
【0120】次いで、上記サーマルヘッド揺動手段の作
動によりサーマルヘッド21がマスタ2を介してプラテ
ンローラ22に圧接し、給排版待機状態となる。この後
は例1の動作と同様に製版、印刷が行なわれる。
【0121】したがって、この例1−1によれば、上記
例1の各利点に加えて、給排版ユニット130が係合す
る切欠き153を版胴161の周方向に設けたので、版
胴161から給排版ユニット130が突出しなくなり、
プレスローラ15等の押圧手段を版胴161に近接して
設けることができ、押圧手段が長い距離を高速で版胴1
61に接近して圧接したり、あるいは離間するときの動
作音(衝突などの騒音)を大幅に低減することができ
る。また、ロール状のマスタロール2aを版胴161内
部に収納するような形になるので、ドラムユニットを構
成する版胴161の着脱時にマスタ2が周辺の基材に接
触したりして破れてしまうこと等をより一層防止するこ
とができる。また、給排版ユニット130を版胴161
の中心により一層近接して設けることになるので、バラ
ンス悪化による振動とかがより軽減される。
【0122】なお、上述の例1,1−1では、コロ22
c、37cをそれぞれプラテンローラ22と排版軸37
の端部に配置したが、これに限らず、図19に示すよう
に、フレーム133に代えて、略八の字型のフレーム1
62を用いて、フレーム162の両端部にコロ155を
それぞれ配置してもよい。符号130−1は、上記のよ
うに構成した場合の給排版ユニットを示す。このように
した場合、コロ155を小さく軽量にすることができ、
さらに、バランス悪化による振動をより軽減することが
できる。
【0123】なお、上述の各例では、排版軸37の両端
をスライドアーム137と連結していたが、これに限ら
ず、図20に示すようにしてもよい。すなわち、フレー
ム162Aに排版軸156の両端部を回転自在に支持す
ると共に、排版軸156支持部近傍のフレーム162A
にスライドアーム137を支持する支軸157を別に設
けたものでもよい。このようにした場合、マスタロール
2aやロール軸32、排版軸156や排版ロール156
aの給排版ユニット130からの着脱を容易にすること
ができる。符号130−2は、上記のように構成した場
合の給排版ユニットを示す。
【0124】なお、上述の各例では、フック152の係
合部が鉤形状であったが、これに限らず、U溝形状であ
ってもよい。
【0125】(例2)図21乃至30を参照して例2に
ついて述べる。なお、実施例1と同一の機能及び形状等
を有する構成要素については、同一符号を付してその説
明をできるだけ省略する。また、ユニット又はサブユニ
ットを構成する構成要素が同一であって、構成及び動作
説明の便宜上区別する必要のあるものについては、同一
符号の後にハイフォン付きの連続番号を付してある。ま
た、図1等の正面図において、後述する給版ユニット3
0Aの支持アーム前対31A,31A及び排版ユニット
35Aの支持アーム後対36A,36Aを、図の簡明化
を図るため適宜仮想線で示す。
【0126】この例2の特徴は、実施例1で用いた保持
部材18を、図21に示す孔版式製版印刷装置の版胴1
に配設したことにある。また、図21に示す孔版式製版
印刷装置は、上記特徴の他に、マスタ2がロール軸32
に巻き付けられてロール状に形成されたマスタロール2
aからマスタ1が版胴1に供給され、使用済みのマスタ
2を版胴1から排版軸37に巻き取るマスタ供給排版方
式を採用していて、後述するような新規な構成を有す
る。
【0127】まず、この例2の孔版式製版印刷装置の要
部構成を説明する。図21は例2の孔版式製版印刷装置
の要部構成を示す。同図において、この例2の孔版式製
版印刷装置は、実施例1の孔版式製版印刷装置に対し
て、実施例1の給排版ユニット30に代えて、版胴1の
回転中心軸11の周りに版胴1に対して回動自在であ
り、ロール軸32及びマスタ1が周面の一部に巻き付け
られるプラテンローラ22を有する給版ユニット30A
と、回転中心軸11の周りに版胴1及び給版ユニット3
0Aに対して回動自在であり、排版軸37を有する排版
ユニット35Aとを有すること、実施例1の連結手段6
0に代えて、少なくとも印刷時に、版胴1と給版ユニッ
ト30とを互いに連結する給版連結手段60−2及び版
胴1と排版ユニット35とを互いに連結する排版連結手
段60−1を有すること、実施例1の給排版ユニット位
置決め手段70に代えて、プラテンローラ22へのサー
マルヘッド21の当接動作に連動して、サーマルヘッド
接離手段50に対して給版ユニット30Aの位置を固定
する給版ユニット位置決め手段70Aを有すること、及
び解除ユニット90を付設したことが主に相違する。
【0128】以下、実施例1に対して相違する点を中心
に説明する。給版ユニット30Aは、後述する図示しな
い支持手段、ロール軸32、プラテンローラ22、後述
する、支持アーム前対31A,31A、給版軸受31A
a及び解除板62Aから主に構成される。
【0129】排版ユニット35Aは、後述する図示しな
い支持手段、排版軸37、後述する、支持アーム後対3
6A.36A、排版軸受36Aa、排版軸ギア37b及
び解除板62Aから主に構成される。
【0130】給版連結手段60−2は、後述する、一対
のストッパ3−2,3−2の凹部3a,3aと、一対の
解除板62A,62Aの解除板ピン62Aaとから構成
される。
【0131】排版連結手段60−1は、後述する、2組
のストッパ対3−1,3−1、3−3,3−3の凹部3
a,3a、3a,3aと、一対の解除板62A,62A
の解除板ピン62Aaとから構成される。
【0132】給版ユニット位置決め手段70Aは、後述
する、一対の溝33A,33Aと一対の解除ピン52,
52とから構成される。
【0133】図22において、符号4Aは版胴駆動機構
を示す。版胴駆動機構4Aは、実施例1の版胴駆動機構
4に対して、版胴1を、時計回り、反時計回り方向の両
方向に回転駆動する機能を有することのみ相違し、その
構成は版胴駆動機構4と実質的に同じである。
【0134】図21乃至23において、版胴1の廻りの
構成は、実施例1と略同様の構成を有する。実施例1の
版胴に対してこの例2の版胴1は、その多孔性の範囲の
みが相違する。この例2の版胴1における多孔性の開孔
領域の範囲は、その円周上の略3/5を占めており、こ
の範囲が印刷可能領域Prとなる。一方、版胴1におけ
る非開孔領域の範囲は、その円周上の略2/5を占めて
おり、この範囲が非印刷領域Hとなる。
【0135】実施例1と同様に、版胴1の外周面に巻装
されるマスタ2の穿孔開始側前部に対応する版胴1の非
印刷領域Hには、マスタ2の裏面に接触してマスタ2を
該位置に保持するための、粘着性を有するマスタ保持手
段としての保持部材18が設けられている。
【0136】フランジ対1a,1aの各外側面の同一半
径上には、版胴1の中心に向かって開口するU字溝状の
凹部3aが形成された3対のストッパ対3−1,3−
1、3−2,3−2、3−3,3−3がそれぞれ固設さ
れている。これらのストッパ対3−1,3−1、3−
2,3−2、3−3,3−3は、図21に示すとおり、
同一の形状寸法で形成されていて、かつ、フランジ対1
a,1aの両外側面に各位相を同じくして、後述する動
作が実行可能な所定の間隔をもってそれぞれ配置されて
いる。2組のストッパ対3−1,3−1、3−3,3−
3は、排版連結手段60−1を構成する排版連結被係合
部としての機能を有し、ストッパ対3−2,3−2は、
給版連結手段60−2を構成する給版連結被係合部とし
ての機能を有する。
【0137】排版連結手段60−1は、排版ユニット3
5Aに設けられた排版連結係合部としての解除板ピン6
2Aaと、後述する解除ユニット90の解除ピン軸92
が非係合位置を占めたとき、解除板ピン62Aaがそれ
ぞれ選択的に係合する2組のストッパ対3−1,3−
1、3−3,3−3とから構成される。給版連結手段6
0−2は、給版ユニット30Aに設けられた給版連結係
合部としての解除板ピン62Aaと、サーマルヘッド2
1がプラテンローラ22から離間したとき、解除板ピン
62Aaが係合する一対のストッパ対3−2,3−2と
から構成される。
【0138】版胴1の一端側におけるフランジ1a近傍
の上記装置本体側には、実施例1と同様の、版胴1の回
転位置を検知するための版胴回転センサ(図示せず)が
配設されている。一方、版胴1の一端側におけるフラン
ジ1aの外側面には、上記版胴回転センサに係合する検
知片(図示せず)が設けられている。
【0139】図21に示すように、版胴1の内部には実
施例1と同様のインキ供給手段10が、インキ供給ロー
ラ12に対向する版胴1の下方には実施例1と同様のプ
レスローラ15がそれぞれ配設されている。プレスロー
ラ15の図において左側には、実施例1と同様の、上記
分離給紙装置と、レジストローラ対16,16と、用紙
検出装置17とそれぞれが設けられている。
【0140】図21乃至23及び27等に示すように、
版胴1のフランジ対1a,1aに近接するインキ供給パ
イプ11上には、支持アーム前対31A,31Aの基軸
部31Abが給版軸受31Aaを介してそれぞれ回転可
能に支持されている。支持アーム前対31A,31Aの
基軸部31Ab上には、支持アーム後対36A.36A
の基軸部36Abが排版軸受36Aaを介してそれぞれ
回転可能に支持されている。支持アーム前対31A,3
1A及び支持アーム後対36A.36Aは、インキ供給
パイプ11の軸線方向に対して垂直な方向に略扇形形状
をなしてそれぞれ延出している。支持アーム前対31
A,31A及び支持アーム後対36A.36Aの各外側
面及び各内側面は、同一面に位置するように組み立てら
れている。したがって、支持アーム前対31A,31A
と支持アーム後対36A.36Aとは、インキ供給パイ
プ11の周りに互いに回転可能に支持されている。
【0141】まず、給版ユニット30A側廻りの構成に
ついて述べる。図21において、支持アーム前対31
A,31Aの各自由端部の間には、版胴1の反時計回り
方向における上流側から順にロール軸32及びプラテン
ローラ22が、それぞれ版胴1と略平行に配設されてい
る。さらに、支持アーム前対31A,31Aの各自由端
部の、プラテンローラ22近傍の版胴1の反時計回り方
向における下流側には、給版ユニット位置決め手段70
Aを構成する給版被係合部としてのU字状の溝33A,
33Aがそれぞれ設けられている。溝33A,33Aと
基軸部31Abとの間における支持アーム前対31A,
31Aの略中央部には、図23にのみ示すように版胴1
の略半径方向に長い逃げ孔34A,34Aがそれぞれ形
成されている。
【0142】ロール軸32には、実施例1と同様に、マ
スタ2の一端が固着されていて、マスタ2をロール状に
巻成したマスタロール2aが支持されている。ロール軸
32は、支持アーム前対31A,31Aの各自由端部
に、図示しない支持手段を介して回転自在、かつ、着脱
可能に支持されている。ロール軸32は、未使用のマス
タロール2aが、少なくとも版胴1の外周面と接触しな
いように版胴1の外周面に対して隙間を設けて支持アー
ム前対31A,31Aの各自由端部に配置されている。
【0143】プラテンローラ22の中心部には、実施例
1と同様に、プラテンローラ軸22aが挿通固着されて
いる。プラテンローラ軸22aの両端は、プラテンロー
ラ22と版胴1の外周面との間に隙間を設けて支持アー
ム前対31A,31Aの各自由端部に回転自在に支持さ
れている。プラテンローラ軸22aの一方の軸端には、
図6及び7にのみ示したように、プラテンローラ軸22
aに回転駆動力を伝達するプラテンローラギア22bが
固定されている。給版ユニット30Aが図21及び30
等に示す定位置に位置決め停止されている状態における
プラテンローラギア22bの近傍には、実施例1と同様
の、プラテンローラ22を回転するプラテンローラ駆動
手段45が配設されている。
【0144】製版手段20は、図21に示すように、実
施例1と同様のサーマルヘッド21とプラテンローラ2
2とから主に構成される。定位置を占めた給版ユニット
30Aと対向する装置本体側には、サーマルヘッド21
を選択的にプラテンローラ22に当接、離間させる、実
施例1と同様の構成を有するサーマルヘッド接離手段5
0が配設されている。
【0145】なお、給版係合部は、上記のような一対の
解除ピン52,52に限らず、ヘッドアーム対51,5
1の各突出部51c,51cの間から貫通して各突出部
51c,51cに固定された、支持アーム前対31A,
31Aの間の長さよりも長い棒軸状の部材であってもよ
い。この場合、ヘッドアーム対51,51を、ヘッドア
ーム軸51aの他に上記棒軸状の部材でも連結すること
になるので、ヘッドアーム対51,51を含む枠体をよ
り強固に設計することができる。
【0146】支持アーム前対31A,31Aの各内側面
とストッパ3−2との間には、給版ユニット30Aと版
胴1とを互いに選択的に連結する給版連結手段60−
2,60−2がそれぞれ設けられている。給版連結手段
60−2,60−2は両方とも同様な構成なので、一方
の給版連結手段60−2についてのみ説明する。
【0147】図21及び図23に示すように、支持アー
ム前31Aには、段付き部を有するガイドピン61Aが
版胴1の略半径方向に沿って2個植設されており、これ
らのガイドピン61Aを滑動可能に嵌入する2個の長孔
62Abが形成された解除板62Aが、版胴1の略半径
方向に移動自在に設けられている。解除板62Aは、正
面視長方形状をなしている。解除板62Aの一端近部の
内側面には、給版連結手段60−2を構成する給版連結
係合部としての解除板ピン62Aaが植設されていて、
解除板ピン62Aaの先端部は、支持アーム前31Aの
逃げ孔34Aを貫通してストッパ3−2の凹部3aと選
択的に係合する。解除板ピン62Aaの一端と支持アー
ム前31Aにおける基軸部31Ab近傍の外側面との間
には、解除板ピン62Aaをしてストッパ3−2の凹部
3aに係合させる向きに付勢する図示しないバネ(圧縮
コイルバネ)が設けられている。解除板62Aの他端部
は、支持アーム前31Aの溝33と重合するように配設
されている。
【0148】したがって、上記の構成から、解除板62
Aは、凹部3aと解除板ピン62Aaとを係脱させる方
向、すなわち凹部3aと解除板ピン62Aaとの連結状
態を解除する給版連結解除位置と、その連結状態を保持
する給版連結位置との間における版胴1の略半径方向に
移動自在に設けられていて、また、サーマルヘッド接離
手段50によるサーマルヘッド21の当接動作に連動し
て給版連結手段60−2の連結状態を解除するようにな
っている。
【0149】図24及び25にのみ示すように、ロール
軸32の一方の軸端と解除板62Aとの間には、印刷時
にロール軸32の回転動作を制動し、製版時に同ロール
軸32の回転動作の制動を解除する給版規制手段80−
2が配設されている。給版規制手段80−2は、後述す
る、ラチェットホイル81と解除板62Aの爪部62A
cとから構成される。なお、ラチェットホイル81と解
除板62Aの爪部62Acとの図示は、図の簡明化を図
るため図25にのみ示し、図24を除く他の図において
は全て省略している。
【0150】マスタロール2aを支持しているロール軸
32の一方の軸端には、マスタ2を供給する方向(反時
計回り方向)の回転を阻止するラチェットホイル81が
固定されている。ラチェットホイル81の周面には、反
時計回り方向に突出する鋸歯状の歯81aが等間隔で形
成されている。解除板ピン62Aa近傍の解除板62A
の一側壁には、サーマルヘッド接離手段50によるサー
マルヘッド21の当接動作に連動してロール軸32の回
転動作の制動を解除するための爪部62Acが突出して
設けられている。
【0151】また、定位置を占めた給版ユニット30A
における一端側の支持アーム前31Aのロール軸32と
対向する装置本体側には、実施例1と同様の、マスタロ
ール2aのマスタ2の残量を検知するためのマスタ検知
センサ(図示せず)が配設されている。一方、定位置を
占めた給版ユニット30Aにおける一端側の支持アーム
前31Aのロール軸32近傍には、上記マスタ検知セン
サの出射光及び反射光を入出射する図示しない入出射孔
が開口している。
【0152】次に、排版ユニット35A側廻りの構成に
ついて述べる。図21において、支持アーム後対36
A.36Aの各自由端部の間には、版胴1の反時計回り
方向における上流側に排版軸37が、版胴1と略平行に
配設されている。さらに、支持アーム後対36A.36
Aの各自由端部の版胴1の反時計回り方向における下流
側には、排版ユニット位置決め手段75を構成する排版
被係合部としてのU字状の溝38,38がそれぞれ設け
られている。これらの溝38,38と各基軸部36Ab
との間における支持アーム後対36A.36Aの略中央
部には、図23にのみ示すように、版胴1の略半径方向
に長い逃げ孔39,39がそれぞれ形成されている。
【0153】排版軸37には、実施例1と同様に、マス
タ2の他端が固着されていて、版胴1から使用済みのマ
スタ2を巻き取り巻成された排版ロール37aが支持さ
れている。排版軸37は、支持アーム後対36A.36
Aの自由端部に、図示しない支持手段を介して回転自
在、かつ、着脱可能に支持されている。排版軸37は、
未使用のマスタロール2aのマスタ2が略全量使用さ
れ、使用済みのマスタ2が排版軸37に略全量巻き取ら
れて使用済みのマスタ2で満杯状態となった排版ロール
37aが、少なくとも版胴1の外周面と接触しないよう
に版胴1の外周面に対して隙間を設けて支持アーム後対
36A.36Aの各自由端部に配置されている。未使用
の新しい排版ロール37aの排版軸37には、一版分以
上のマスタ2が予め巻成されている。
【0154】図6,7及び21において、排版軸37の
一方の軸端には、実施例1と同様に、この排版軸37に
回転駆動力を伝達するための排版軸ギア37bが固定さ
れている。排版ユニット35Aが図21及び30等に示
す定位置に位置決め停止されている状態における排版軸
ギア37bの近傍には、図6及び7にのみその符号に括
弧を付して示すように、製版及び排版時に排版軸37を
回転する、実施例1と略同様の構成を有する排版巻取駆
動手段40Aが配設されている。なお、この例2の排版
巻取駆動手段40Aは、実施例1の排版巻取駆動手段4
0に対して、排版巻取駆動手段40の構成要素から上記
一方向クラッチを除去したことのみ相違する。
【0155】図21及び30に示す定位置を占めた排版
ユニット35Aと対向する装置本体側には、排版ユニッ
ト35Aに係合して排版巻取駆動手段40Aに対して排
版ユニット35Aの位置を固定する係合位置とこの係合
位置から離間した非係合位置とに変位自在な解除ユニッ
ト90が配設されている。
【0156】解除ユニット90は、後述する、一対の解
除アーム91,91、アーム軸91a及び解除ピン軸9
2から主に構成される。
【0157】符号89は、上記係合位置と上記非係合位
置とに解除ユニット90を選択的に変位させる解除ユニ
ット駆動手段を示し、解除ユニット駆動手段89は、後
述する、一対のカムフォロア94,94、一対のバネ9
3,93、一対のカム95,95及び図示しないカム駆
動モータから主に構成される。
【0158】排版ユニット35Aへの解除ユニット90
の係合動作により、排版巻取駆動手段40Aに対して排
版ユニット35Aの位置を固定する排版ユニット位置決
め手段75は、後述する解除ピン軸92及び溝38,3
8から構成される。
【0159】一対の解除アーム91,91は、上記筐体
側板8にその両端を回転自在に支持されたアーム軸91
aの両端部に一体的に固設されていて、アーム軸91a
を支軸として揺動自在になっている。解除アーム対9
1,91は、正面視傾斜したL字状をなし、アーム軸9
1a及び後述する解除ピン軸92を介して互いに強固に
連結されている。解除ピン軸92は、解除アーム対9
1,91の一端部91b,91bの間から外側へ貫通し
て、支持アーム後対36A.36Aの間の長さよりも長
い棒軸状をなしている。解除ピン軸92の各外端部は、
排版軸37に対して平行な向きに突出していて、定位置
を占めた排版ユニット35Aの溝38,38に選択的に
係合するようになっていて、排版ユニット位置決め手段
75を構成する排版係合部としての役割を有する。解除
アーム対91,91、アーム軸91a及び解除ピン軸9
2は、例えばステンレススチール等の金属でできてい
る。
【0160】解除アーム対91,91の各他端部91c
と上記筐体側板8の各所定位置に植設されたピン(図示
せず)との間には、解除ピン軸92を、溝38,38に
係合させる向き(反時計回り方向)に付勢する一対のバ
ネ93,93(引張りコイルバネ)が設けられている。
各他端部91cとアーム軸91aとの間の解除アーム対
91,91には、カムフォロア軸94aがそれぞれ植設
され、このカムフォロア軸94aにカムフォロア94が
それぞれ回転自在に支持されている。カムフォロア9
4,94は、製版時及び排版時以外において、バネ9
3,93の付勢力によって上記筐体側板8に回転自在に
支持されたカム軸95aに固設された一対のカム95,
95の大径部周面に当接している。カム軸95aには、
図示しないカム駆動モータの出力軸が連結されていて、
カム95,95が所定の時期に回転駆動されるようにな
っている。
【0161】なお、排版係合部は、上記のような解除ピ
ン軸92に限らず、定位置を占めた排版ユニット35A
の溝38,38に選択的に係合する、解除アーム対9
1,91の各一端部の外側に突出して植設された一対の
解除ピンであってもよい。
【0162】支持アーム後対36A.36Aの各内側面
とストッパ3−1との間には、排版ユニット35Aと版
胴1とを互いに選択的に連結する排版連結手段60−
1,60−1がそれぞれ設けられている。排版連結手段
60−1,60−1は両方とも同様な構成であるので、
一方の排版連結手段60−1についてのみ説明し、また
給版連結手段60−2とその構成を同じくする内容の説
明は省略すると共に、図の符号記載にとどめる。
【0163】図21及び23に示すように、支持アーム
後36Aには、支持アーム前31Aに配設されたと同様
の解除板62Aが設けられている。解除板62Aの一端
近部の内側面には、排版連結手段60−1を構成する排
版連結係合部としての解除板ピン62Aaが植設されて
いて、解除板ピン62Aaの先端部は、支持アーム後3
6Aの逃げ孔39を貫通してストッパ3−2の凹部3a
と選択的に係合する。解除板ピン62Aaの一端と支持
アーム後36Aにおける基軸部36Ab近傍の外側面と
の間には、解除板ピン62Aaをしてストッパ3−1の
凹部3aに係合させる向きに付勢する図示しないバネ
(圧縮コイルバネ)が設けられている。解除板62Aの
他端部は、支持アーム後36Aの溝38と重合するよう
に配設されている。
【0164】したがって、上記の構成から、排版連結手
段60−1を構成する解除板62Aは、ストッパ3−1
の凹部3aと解除板ピン62Aaとを係脱させる方向、
すなわちストッパ3−1の凹部3aと解除板ピン62A
aとの連結状態を解除する排版連結解除位置と、その連
結状態を保持する排版連結位置との間における版胴1の
略半径方向に移動自在に設けられていて、また、解除ユ
ニット駆動手段89による解除ピン軸92の係合動作に
連動して排版連結手段60−1の連結状態を解除するよ
うになっている。
【0165】図24及び26にのみ示すように、排版軸
37の一方の軸端と解除板62Aとの間には、印刷時に
排版軸37の回転動作を制動し、製版時に同排版軸37
の回転動作の制動を解除する排版規制手段80−1が配
設されている。排版規制手段80−1は、給版規制手段
80−2と同様の構成を有し、ラチェットホイル81と
解除板62Aの爪部62Acとから構成される。なお、
ラチェットホイル81と解除板62Aの爪部62Acと
の図示は、図の簡明化を図るため図26にのみ示し、図
24を除く他の図においては全て省略している。
【0166】排版ロール37aを支持している排版軸3
7の一方の軸端には、マスタ2又は使用済みのマスタ2
を版胴1から巻き取る方向(時計回り方向)と反対方向
(反時計回り方向)に回転するのを阻止する、すなわち
排版軸37が反時計回り方向に回転することにより巻き
取られた使用済みのマスタ2が、版胴1と排版軸37と
の間で弛むのを阻止するラチェットホイル81が固定さ
れている。解除板ピン62Aa近部の解除板62Aの一
側壁には、解除ユニット駆動手段89による解除ユニッ
ト90の解除ピン軸92の係合動作に連動して排版軸3
7の回転動作の制動を解除するための爪部62Acが突
出して設けられている。
【0167】次に、動作を説明する。なお、それぞれ一
対で構成されている、支持アーム前対31A,31A、
溝33A,33A、支持アーム後対36A,36A、溝
38,38、ヘッドアーム対51,51、解除ピン5
2、排版連結手段60−1,60−1、給版連結手段6
0ー2,60−2、解除アーム91,91及び解除ピン
軸92,92等は、その一対の動作がそれぞれ同様なの
で、図示されている部材の動作についてのみ説明し図示
されていない部材についてはその説明を省略する。
【0168】まず、版胴1、給版ユニット30A、排版
ユニット35A、サーマルヘッド21、移動ギア43及
び解除ユニット90の解除ピン軸92の初期位置状態に
ついて説明する。排版ユニット35A及び給版ユニット
30Aは、通常、図21に示す定位置を占めていて、排
版ユニット35Aはストッパ3−1の凹部3aに解除板
ピン62Aaが、給版ユニット30Aはストッパ3−2
の凹部3aに解除板ピン62Aaがそれぞれ係合してい
て、版胴1と排版ユニット35Aとが、版胴1と給版ユ
ニット30Aとがそれぞれ一体的に連結された状態にあ
る。サーマルヘッド接離手段50の動作状態により、サ
ーマルヘッド21はプラテンローラ22から離間した非
製版位置に、解除ピン52は支持アーム前31Aの溝3
3Aから離間した非解除位置に、給版規制手段80−2
の爪部62Acはラチェットホイル81と爪部62Ac
とが係合した給版制動位置にそれぞれある。また、排版
巻取駆動手段40Aの動作状態により、移動ギア43は
排版軸ギア37bから離間された非排版位置にある。ま
た、解除ユニット駆動手段89の動作状態により、解除
ユニット90の解除ピン軸92は排版ユニット35Aの
溝38から離間した非解除位置に、排版規制手段80−
1の爪部62Acはラチェットホイル81と爪部62A
cとが係合した排版制動位置にそれぞれある。
【0169】後述する製版及び排版、印刷の各工程が所
定回数繰り返されて、上記マスタ検知センサにより、ロ
ール軸32に巻成されているマスタ2の残量が略無くな
ったことが検出されると、版胴駆動機構4Aのメインモ
ータ5Aの作動停止により、版胴1は、図21に示す位
置近傍に停止される。
【0170】そして、以下に述べるマスタ交換位置に至
る一連の動作が行われる。すなわち、解除ユニット駆動
手段89の上記カム駆動モータが作動することにより、
カム95が回転され、カム95の大径部とカムフォロア
94との係合状態が解除されて、バネ93で付勢されて
いるカムフォロア94がカム95の外周に沿って移動す
ることに伴って、アーム軸91a及び解除アーム91
は、バネ93の付勢力によりアーム軸91a部を中心に
して反時計回り方向に回転される。そして、解除ピン軸
92が、支持アーム後36Aの溝38に係合・嵌入し始
めると、解除ピン軸92が解除板62Aの自由端を圧接
することにより、解除板62Aがガイドピン61Aに沿
って長孔62Abの範囲内を上記バネの付勢力に抗して
版胴1の中心方向に押し下げられると共に、解除板ピン
62Aaがストッパ3−1の凹部3aから離間され、版
胴1と排版ユニット35Aとの連結状態が解除される。
こうして排版ユニット35Aは、定位置に位置決め停止
される。同時に、解除板62Aが上記バネの付勢力に抗
して版胴1の中心方向に押し下げられると共に、排版規
制手段80−1の爪部62Acは、ラチェットホイル8
1と爪部62Acとが係合した排版制動位置からラチェ
ットホイル81から離間された排版非制動位置を占める
ことにより、排版軸37の反時計回り方向の回転動作の
制動規制状態が解除される。
【0171】次いで、第1クラッチ5C1がオフしてメ
インモータ5Aと版胴1との接続状態が解除され、第2
クラッチ5C2がオンすることで低速モータ5Bと版胴
1とが接続される。そして、排版巻取駆動手段40Aが
作動して、排版巻取駆動手段40Aのモータ41が回転
駆動(正転駆動)されることにより、モータ駆動軸41
a及び駆動ギア42が時計回り方向に回転され、移動ギ
ア43が排版軸ギア37bに噛合される。そして、図2
8において、モータ41が回転駆動されることにより排
版軸37が回転され、排版軸37の周りに使用済みのマ
スタ2が巻き取られていくと同時に、版胴駆動機構4A
が作動して、版胴1と給版ユニット30とは、低速モー
タ5Bの回転駆動動作により、モータ41の回転駆動に
よる排版軸37の巻き取り時の周速度よりも僅かに速い
周速度で一体となって図中矢印B方向(反時計回り方
向)に回転されていく。
【0172】上記版胴回転センサにより、版胴1及び給
版ユニット30Aが図28に示す位置まで回転したこと
が検知されると、排版巻取駆動手段40Aのモータ41
の回転駆動(正転駆動)が停止され、モータ41が若干
逆転駆動されることにより、モータ駆動軸41a及び駆
動ギア42が反時計回り方向に回転され、移動ギア43
が排版軸ギア37bから離間され、移動ギア43が非排
版位置を占める。この動作と同時に、解除ユニット駆動
手段89の上記カム駆動モータが作動することにより、
バネ93の付勢力に抗してカム95が回転され、カム9
5の大径部とカムフォロア94とが係合して、アーム軸
91a及び解除アーム91は、アーム軸91a部を中心
にして時計回り方向に回転され、解除ピン軸92が、支
持アーム後36Aの溝38から離間して非解除位置を占
めると共に、解除板ピン62Aaがストッパ3−3の凹
部3aに係合し、版胴1と排版ユニット35Aとが一体
的に連結される。これと同時に、排版規制手段80−1
の爪部62Acは、ラチェットホイル81から離間され
た排版非制動位置からラチェットホイル81と爪部62
Acとが係合した排版制動位置を占めることにより、排
版軸37の反時計回り方向の回転が規制制動され、排版
軸37に巻き取られた使用済みのマスタ2が排版軸37
から巻き戻されることによる、版胴1の外周面と巻取軸
37との間の使用済みのマスタ2が弛んでしまう不具合
が防止される。こうして、排版ユニット35Aの支持ア
ーム後36Aに対する給版ユニット30Aの支持アーム
前31Aの位置が、図29に示すように、逆になるマス
タ交換位置となる。そして、図29において、使用済み
のマスタ2で略満杯となった排版ロール37a及びマス
タ2が略全量使用されたマスタロール2aが、一版以上
のマスタ2が予め巻装されている新しい排版ロール37
aの排版軸37と新しいマスタロール2aのロール軸3
2とのセットで交換され、上記各支持手段にそれぞれ取
り付けセットされる。
【0173】次いで、図29において、新しい排版ロー
ル37aの排版軸37と新しいマスタロール2aのロー
ル軸32とがセットされると、解除ユニット駆動手段8
9の上記カム駆動モータが作動することにより、上述し
たと同様の動作で、アーム軸91a及び解除アーム91
は、バネ93の付勢力によりアーム軸91a部を中心に
して反時計回り方向に回転される。そして、解除ピン軸
92が、支持アーム後36Aの溝38に係合・嵌入し始
めると、上述したと同様の動作で、解除板62Aが上記
バネの付勢力に抗して版胴1の中心方向に押し下げられ
ると共に、解除板ピン62Aaがストッパ3−3の凹部
3aから離間され、版胴1と排版ユニット35Aとの連
結状態が解除される。こうして排版ユニット35Aは、
定位置に位置決め停止される。同時に、上述したと同様
の動作で、排版規制手段80−1の爪部62Acは、排
版制動位置から排版非制動位置を占めることにより、排
版軸37が回転可能な状態になる。
【0174】次いで、低速モータ5Bが回転駆動される
ことにより、上記各部材を介してその回転駆動力が伝達
され、版胴1及び給版ユニット30Aが一体となって図
中矢印A方向(時計回り方向)に回転されることによ
り、排版軸37の排版ロール37aから未使用のマスタ
2が順次繰り出されつつ所定の張力を付与されて版胴1
の外周面に巻き付けられていく。そして、上記版胴回転
センサにより、版胴1及び給版ユニット30Aの回転位
置が、図21に示す定位置に復帰したことが検知される
と、解除ユニット駆動手段89の上記カム駆動モータが
作動することにより、上述した動作と同様にして、カム
95の大径部とカムフォロア94とが係合して、アーム
軸91a及び解除アーム91は、アーム軸91a部を中
心にして時計回り方向に回転され、解除ピン軸92が、
支持アーム後36Aの溝38から離間して解除位置を占
めると共に、解除板ピン62Aaがストッパ3−3の凹
部3aに係合し、版胴1と排版ユニット35Aとが一体
的に連結される。これと同時に、排版規制手段80−1
の爪部62Acは、上述した動作と同様にして、排版制
動位置を占めることにより、排版軸37の回転が制動規
制、すなわち排版軸37から使用済みのマスタ2を巻き
戻す方向(反時計回り方向)の回転が不能な状態にな
る。このようにして、版胴1、給版ユニット30A及び
排版ユニット35Aは全体として一体的に連結された状
態となり、製版及び排版と印刷とが可能となる初期位置
状態になる。
【0175】この状態で、原稿読取部に原稿(共に図示
せず)がセットされ、製版スタートキーが押されると、
版胴1、給版ユニット30A及び排版ユニット35A
は、低速モータ5Bの駆動力により回転されて図21に
示す定位置近傍、すなわち、サーマルヘッド21とプラ
テンローラ22とが、解除ピン52と溝33Aとが、解
除ピン軸92と溝38とがそれぞれ互いに対向する位置
近傍で停止する。
【0176】版胴1が停止すると、図30において、サ
ーマルヘッド接離手段50が作動し、実施例1と同様の
動作により、解除ピン52が溝33Aに係合する。この
係合によって、給版ユニット30Aが定位置に確実に位
置決め停止されると共に、同図に示すように、サーマル
ヘッド21とプラテンローラ22とが、互いに確実かつ
正確に位置決めされる。
【0177】解除ピン52が、溝33Aに係合・嵌入し
始めると、給版連結手段60−2の上記バネの付勢力に
抗して解除板62Aの自由端を圧接することにより、解
除板62Aがガイドピン61Aに沿って長孔62Abの
範囲内を上記バネの付勢力に抗して版胴1の中心方向に
押し下げられると共に、解除板ピン62Aaがストッパ
3−2の凹部3aから離間され、版胴1と給版ユニット
30Aとの連結状態が解除される。これと同時に、給版
規制手段80−2の爪部62Acは、ラチェットホイル
81と爪部62Acとが係合した給版制動位置からラチ
ェットホイル81から離間された給版非制動位置を占め
ることにより、ロール軸32の反時計回り方向の回転動
作の制動規制状態が解除される。こうして版胴1と給版
ユニット30Aとの連結が解除されるのと略同時に、サ
ーマルヘッド21がプラテンローラ22に当接して、ヘ
ッドアーム51の揺動が停止する。
【0178】上記動作と同じくして、解除ユニット駆動
手段89の上記カム駆動モータが作動することにより、
上述した動作と同様にして、アーム軸91a及び解除ア
ーム91は、バネ93の付勢力によりアーム軸91a部
を中心にして反時計回り方向に回転される。そして、解
除ピン軸92が、支持アーム後36Aの溝38に係合・
嵌入し始めると、解除ピン軸92が解除板62Aの自由
端を圧接することにより、解除板62Aがガイドピン6
1Aに沿って長孔62Abの範囲内を上記バネの付勢力
に抗して版胴1の中心方向に押し下げられると共に、解
除板ピン62Aaがストッパ3−1の凹部3aから離間
され、版胴1と排版ユニット35Aとの連結状態が解除
される。こうして排版ユニット35Aは、定位置に確実
に位置決め停止されると同時に、解除板62Aが上記バ
ネの付勢力に抗して版胴1の中心方向に押し下げられる
と共に、排版規制手段80−1の爪部62Acは、ラチ
ェットホイル81と爪部62Acとが係合した排版制動
位置からラチェットホイル81から離間された排版非制
動位置を占めることにより、排版軸37の反時計回り方
向の回転動作の制動規制状態が解除される。
【0179】次いで、排版巻取駆動手段40Aのモータ
41がモータ駆動軸41aを時計回り方向に回転して駆
動ギア42を回転させ、移動ギア43を排版軸ギア37
bに噛合させる。移動ギア43と排版軸ギア37bとが
噛合するとモータ41が一端停止して、排版巻取駆動手
段40Aは停止する。また、プラテンローラ駆動手段4
5も、排版巻取駆動手段40Aと同様に、プラテンロー
ラギア22bに移動ギア48を噛合させた状態で停止す
る。この排版軸ギア37bとプラテンローラギア22b
とに各移動ギア43,48がそれぞれ噛合して、各駆動
手段40A,45が一端停止した状態が給版待機状態と
なる。
【0180】上記原稿が上記原稿読取部に搬送される
と、実施例1の動作と同様に、原稿の画像情報が、原稿
読取部のCCD(電荷結合素子からなる画像センサ)で
電気信号に変換され、A/D(アナログ/デジタル)変
換器及び製版制御装置(共に図示せず)等を経由してデ
ジタル画像信号に処理される。これと並行して、低速モ
ータ5B、排版巻取駆動手段40及びプラテンローラ駆
動手段45が作動される。すなわち、低速モータ5Bの
回転駆動により版胴1が反時計回り方向に緩やかに回転
されながら、モータ46の回転駆動によりプラテンロー
ラ22が反時計回り方向に回転されることによってマス
タロール2aからマスタ2が繰り出され搬送されると共
に、モータ41の回転駆動により排版軸37が時計回り
方向に回転されることによってマスタ2が排版軸37に
巻き取られる。このとき、版胴1は、低速モータ5Bの
回転駆動動作により、プラテンローラ22の回転による
マスタの製版搬送速度よりも僅かに速い周速度で回転さ
れながら外周面にマスタ2を巻き付けていくので、プラ
テンローラ22から搬送され版胴1の外周面に巻装され
ていくマスタ2に適度な張力が作用することとなる。ま
た、版胴1の回転に同期して排版軸37は、版胴1の外
周面からマスタ2を巻き取る時計回り方向に排版巻取駆
動手段40により回転される。
【0181】版胴1が印刷可能領域Prの開始位置まで
回転されると、処理された原稿のデジタル画像信号が、
サーマルヘッド21の発熱素子にパルス状に通電され、
サーマルヘッド21が主走査方向に作動されることによ
り、マスタ2に対して加熱穿孔製版が開始される。マス
タ2は穿孔された後、上記したプラテンローラ22によ
る反時計回り方向の回転により、その副走査方向に搬送
されて版胴1の外周面に貼着される。そして、版胴1が
約2/5回転した位置で版胴1の表面に設けられた保持
部材18とマスタ2の穿孔開始側前部裏面とが接触し
て、保持部材18の粘着・保持力によりマスタ2が貼着
・保持されながら搬送され、マスタ2が版胴1の外周面
に巻装されていくと共に、使用済みのマスタ2は上記し
た排版軸37の回転動作により順次巻き取られ排版ロー
ル37aとして巻成される。
【0182】版胴1の印刷可能領域Prの終わりが、プ
ラテンローラ駆動手段45のモータ46のステップ数に
より判断され、版胴1の印刷可能領域Prに対応する製
版が完了すると、サーマルヘッド21による加熱穿孔製
版が停止される。
【0183】その後も、排版巻取駆動手段40Aによる
使用済みのマスタ2の巻き取り及びプラテンローラ駆動
手段45によるマスタ2の送出が継続され、上記版胴回
転検知センサにより版胴1の初期位置が検出される、す
なわち、版胴1が一回転したと判断されると、排版巻取
駆動手段40Aにおいて、モータ駆動軸41aが反時計
回り方向に回転され、移動ギア43が排版軸ギア37b
から離間される。プラテンローラ駆動手段45の移動ギ
ア48も、同様にプラテンローラギア22bから離間さ
れる。また、排版巻取駆動手段40A及びプラテンロー
ラ駆動手段45の上記離間動作と連動して、サーマルヘ
ッド接離手段50が上述した動作と同様に作動すること
により、カム55が回転してヘッドアーム51は、ヘッ
ドアーム軸51aを中心にして反時計回り方向に回転さ
れ、サーマルヘッド21がプラテンローラ22から離間
すると共に、解除ピン52と支持アーム前31Aの溝3
3Aとの係合も解除される。
【0184】そして、解除ピン52と支持アーム前31
Aの溝33Aとの係合が解除され始めると、給版連結手
段60−2の上記バネの付勢力により、解除板62Aが
ガイドピン61Aに沿って長孔62Abの範囲内を版胴
1の遠心方向に押し上げられると共に、解除板ピン62
Aaがストッパ3−2の凹部3aに係合して、図1に示
すように、版胴1と給版ユニット30Aとが連結され
る。これと同時に、給版規制手段80−2の爪部62A
cは、給版非制動位置からラチェットホイル81に係合
した給版制動位置を占めることにより、ロール軸32の
反時計回り方向の回転動作が制動規制され、版胴1の外
周面からロール軸32に至るまで配索された製版済みの
マスタ2の弛み発生が確実に防止される。
【0185】また上記動作と同時に、解除ユニット駆動
手段89が作動し、上述した動作と同様にして、アーム
軸91a及び解除アーム91は、アーム軸91a部を中
心にして時計回り方向に回転され、解除ピン軸92が、
支持アーム後36Aの溝38から離間して非解除位置を
占めると共に、解除板ピン62Aaがストッパ3−1の
凹部3aに係合し、版胴1と排版ユニット35Aとが連
結される。これと同時に、排版規制手段80−1の爪部
62Acは、排版非制動位置からラチェットホイル81
と爪部62Acとが係合した排版制動位置を占めること
により、排版軸37の反時計回り方向の回転が規制制動
され、排版軸37に巻き取られた使用済みのマスタ2が
排版軸37から巻き戻されることによる、版胴1の外周
面と排版軸37との間に配索された使用済みのマスタ2
が弛んでしまう不具合が防止される。
【0186】こうして、版胴1への製版済みのマスタ2
の巻装が完了し、版胴1と給版ユニット30Aとが、版
胴1と排版ユニット35Aとがそれぞれ連結され、版胴
1、給版ユニット30A及び排版ユニット35Aが、イ
ンキ供給パイプ11の周りを一体で回転する初期位置状
態になると、第2クラッチ5C2及び低速モータ5Bが
オフされ、第1クラッチ5C1がオンされる。第1クラ
ッチ5C1がオンされることで版胴1とメインモータ5
Aとが接続される。
【0187】次いで、印刷スタートキーが押されると、
実施例1と同様にして、いわゆる版付けが行われると共
に、プレスローラ15が版胴1から離間した初期位置状
態に復帰されて、印刷待機状態となる。
【0188】この後、実施例1と同様にして、テンキー
(図示せず)により印刷枚数を入力し、上記印刷スター
トキーを押すことにより、上記した印刷、給紙、排紙の
各工程が所定回数繰り返されて印刷が行われる。
【0189】(例2−1)図31及び34に上記例2の
別の例2−1(例2と区別するために便宜上例2−1と
称する)を示す。図31乃至34において、図21乃至
30に示した部材と同様の部材は、これらの図で用いた
符号と同一符号を付すにとどめてその説明を省略し、相
違する点を中心に説明する。上記例2との主な相違点
は、この例2−1が連結非係合部としての1対のストッ
パ3−4,3−4を上記例2の構成に付加したこと、及
び版胴駆動機構4Aに代えて実施例1と同様の版胴駆動
機構4を用いることにより、版胴1の回転駆動方向を反
時計回り方向の同一方向にのみ回転駆動させて、給版ユ
ニット30A及び/又は排版ユニット35Aがインキ供
給パイプ11の回転中心軸の周りを順次同一方向に回転
して版胴1の外周面にマスタ2を巻装し、版胴1の外周
面から使用済みのマスタ2を剥離するように構成した点
にある。また、この例2−1における新しい排版ロール
37aの排版軸37には、一版以上のマスタ2が予め巻
装されている必要が無く、マスタ2の他端が固着されて
いるだけでよい。
【0190】ストッパ対3−4,3−4は、図33に示
すように、上記例2におけるフランジ対1a,1a外側
面の同一半径上の特定の位置に固設された3組のストッ
パ対3−1,3−1、3−2,3−2、3−3,3−3
に対して、版胴1の反時計回り方向における最下流の位
置に付設されていて、版胴1における位置を明示するた
め白抜き三角記号を付す。これら4組のストッパ対3−
1,3−1、3−2,3−2、3−3,3−3、3−
4,3−4は、図33に示すとおり、同一の形状寸法で
形成されていて、かつ、フランジ対1a,1aの両外側
面に各位相を同じくして、後述する動作が実行可能な所
定の間隔をもってそれぞれ配置されている。2組のスト
ッパ対3−1,3−1、3−3,3−3は、排版連結手
段60−1を構成する排版連結被係合部としての機能を
有し、一方、他の2組のストッパ対3−2,3−2、3
−4,3−4は、給版連結手段60−2を構成する給版
連結被係合部としての機能を有する。
【0191】排版連結手段60−1は、排版ユニット3
5Aに設けられた排版連結係合部としての解除板ピン6
2Aaと、後述する解除ユニット90の解除ピン軸92
が非係合位置を占めたとき、解除板ピン62Aaがそれ
ぞれ選択的に係合する2組のストッパ対3−1,3−
1、3−3,3−3とから構成される。給版連結手段6
0−2は、給版ユニット30Aに設けられた給版連結係
合部としての解除板ピン62Aa(後述する)と、サー
マルヘッド21がプラテンローラ22から離間したと
き、解除板ピン62Aaが係合する2組のストッパ対3
−2,3−2、3−4,3−4とから構成される。
【0192】次に、この例2−1の動作について説明す
る。まず、版胴1、給版ユニット30A、排版ユニット
35A、サーマルヘッド21、移動ギア43及び解除ユ
ニット90の解除ピン軸92の初期位置状態は、上記例
2と略同様であり、仮想線でそれぞれ示す、排版ユニッ
ト35A及び給版ユニット30Aが、通常、図33に示
す定位置を占めていて、版胴1と排版ユニット35Aと
が、版胴1と給版ユニット30Aとがそれぞれ一体的に
連結された状態にある。
【0193】上記マスタ検知センサにより、ロール軸3
2に巻成されているマスタ2の残量が略無くなったこと
が検出されると、版胴駆動機構4のメインモータ5Aの
作動停止により、版胴1は、図33に示す位置近傍に停
止される。そして、以下に述べるマスタ交換位置に至る
一連の動作が行われる。すなわち、解除ユニット駆動手
段89の上記カム駆動モータが作動することにより、カ
ム95が回転され、カム95の大径部とカムフォロア9
4との係合状態が解除されて、バネ93で付勢されてい
るカムフォロア94がカム95の外周に沿って移動する
ことに伴って、アーム軸91a及び解除アーム91は、
バネ93の付勢力によりアーム軸91a部を中心にして
反時計回り方向に回転される。そして、解除ピン軸92
が、支持アーム後36Aの溝38に係合・嵌入し始める
と、解除ピン軸92が解除板62Aの自由端を圧接する
ことにより、解除板62Aがガイドピン61Aに沿って
長孔62Abの範囲内を上記バネの付勢力に抗して版胴
1の中心方向に押し下げられると共に、解除板ピン62
Aaがストッパ3−1の凹部3aから離間され、版胴1
と排版ユニット35Aとの連結状態が解除される。こう
して排版ユニット35Aは、定位置に位置決め停止され
る。これと略同時に、解除板62Aが上記バネの付勢力
に抗して版胴1の中心方向に押し下げられると共に、排
版規制手段80−1の爪部62Acは、ラチェットホイ
ル81と爪部62Acとが係合した排版制動位置からラ
チェットホイル81から離間された排版非制動位置を占
めることにより排版軸37の反時計回り方向の回転動作
の制動規制状態が解除される。
【0194】次いで、第1クラッチ5C1がオフしてメ
インモータ5Aと版胴1との接続状態が解除され、第2
クラッチ5C2がオンすることで低速モータ5Bと版胴
1とが接続される。そして、排版巻取駆動手段40が作
動して、排版巻取駆動手段40Aのモータ41が回転駆
動(正転駆動)されることにより、モータ駆動軸41a
及び駆動ギア42が時計回り方向に回転され、移動ギア
43が排版軸ギア37bに噛合される。そして、図33
において、モータ41が回転駆動されることにより排版
軸37が回転され、排版軸37の周りに使用済みのマス
タ2が巻き取られていくと同時に、版胴駆動機構4が作
動して、版胴1と給版ユニット30とは、低速モータ5
Bの回転駆動動作により、モータ41の回転駆動による
排版軸37の巻き取り時の周速度よりも僅かに速い周速
度で一体となって図中矢印B方向(反時計回り方向)に
回転されていく。
【0195】上記版胴回転センサにより、版胴1及び給
版ユニット30Aが図34に示す位置まで回転したこと
が検知されると、排版巻取駆動手段40のモータ41の
回転駆動(正転駆動)が停止され、モータ41が若干逆
転駆動されることにより、モータ駆動軸41a及び駆動
ギア42が反時計回り方向に回転され、移動ギア43が
排版軸ギア37bから離間され、移動ギア43が非排版
位置を占める。この動作と同時に、解除ユニット駆動手
段89の上記カム駆動モータが作動することにより、バ
ネ93の付勢力に抗してカム95が回転され、カム95
の大径部とカムフォロア94とが係合して、アーム軸9
1a及び解除アーム91は、アーム軸91a部を中心に
して時計回り方向に回転され、解除ピン軸92が、支持
アーム後36Aの溝38から離間して非解除位置を占め
ると共に、解除板ピン62Aaがストッパ3−3の凹部
3aに係合し、版胴1と排版ユニット35Aとが一体的
に連結される。これと同時に、排版規制手段80−1の
爪部62Acは、排版非制動位置からラチェットホイル
81と爪部62Acとが係合した排版制動位置を占める
ことにより、排版軸37の反時計回り方向の回転が規制
制動され、排版軸37に巻き取られた使用済みのマスタ
2が排版軸37から巻き戻されることによる、版胴1の
外周面と巻取軸37との間の使用済みのマスタ2が弛ん
でしまう不具合が防止される。こうして、排版ユニット
35Aの支持アーム後36Aに対する給版ユニット30
の支持アーム前31Aの位置が、図34に示すように、
逆になるマスタ交換位置となる。そして図34におい
て、使用済みのマスタ2で略満杯となった排版ロール3
7a及びマスタ2が略全量使用されたマスタロール2a
が、新しい排版軸37と新しいマスタロール2aのロー
ル軸32とのセットで交換され、上記各支持手段にそれ
ぞれ取り付けセットされる。
【0196】次いで、新しい排版軸37と新しいマスタ
ロール2aのロール軸32とがセットされると、低速モ
ータ5Bが回転駆動されることにより、版胴1、排版ユ
ニット35A及び給版ユニット30Aは、一体となっ
て、図31に示す位置に至るまで図中矢印B方向(反時
計回り方向)に回転される。版胴1が図31に示す位置
に至ったことが、上記版胴回転センサにより検知される
と、低速モータ5Bの回転駆動が停止されて、版胴1、
排版ユニット35A及び給版ユニット30Aは、同図に
示す定位置近傍に停止される。そして、解除ユニット駆
動手段89の上記カム駆動モータが作動し、上述したと
同様の動作で、アーム軸91a及び解除アーム91は、
バネ93の付勢力によりアーム軸91a部を中心にして
反時計回り方向に回転される。そして、解除ピン軸92
が、支持アーム前31Aの溝33Aに係合・嵌入し始め
ると、上述したと同様の動作で、解除板62Aが上記バ
ネの付勢力に抗して版胴1の中心方向に押し下げられる
と共に、解除板ピン62Aaがストッパ3−2の凹部3
aから離間され、版胴1と給版ユニット30Aとの連結
状態が解除される。こうして給版ユニット30Aは、定
位置に位置決め停止される。同時に、上述したと同様の
動作で、給版規制手段80−2の爪部62Acは、給版
制動位置から給版非制動位置を占めることにより、ロー
ル軸32が回転可能な状態になる。
【0197】次いで、低速モータ5Bが回転駆動される
ことにより、版胴1及び排版ユニット35Aが一体とな
って図中矢印B方向(反時計回り方向)に緩やかに回転
されることにより、ロール軸32のマスタロール2aか
ら未使用のマスタ2が順次繰り出されつつ所定の張力を
付与されて版胴1の外周面に巻き付けられていく。そし
て、上記版胴回転センサにより、版胴1及び排版ユニッ
ト35Aが、図32に示す位置に移動したことが検知さ
れると、低速モータ5Bの回転駆動が一度停止される。
次いで、解除ユニット駆動手段89の上記カム駆動モー
タが作動することにより、上述した動作と同様にして、
解除ピン軸92が、支持アーム前31Aの溝33Aから
離間して非解除位置を占めると共に、解除板ピン62A
aがストッパ3−4の凹部3aに係合し、版胴1と給版
ユニット30Aとが一体的に連結される。これと同時
に、給版規制手段80−2の爪部62Acは、上述した
動作と同様にして、給版制動位置を占めることにより、
ロール軸32の回転が制動規制、すなわちマスタロール
2aからマスタ2を繰り出す方向(反時計回り方向)の
回転が不能な状態になる。
【0198】そして、版胴1、給版ユニット30A及び
排版ユニット35Aは一体的に連結された状態で、低速
モータ5Bが再び回転駆動されることにより、版胴1、
給版ユニット30A及び排版ユニット35Aが矢印B方
向(反時計回り方向)に回転され、上記版胴回転センサ
により、版胴1の位置が、図33に示す位置に移動した
ことが検知されると、低速モータ5Bの回転駆動が停止
されて、版胴1、給版ユニット30A及び排版ユニット
35Aは同図に示す定位置近傍に停止される。なお、同
図に示す定位置近傍では、途中の動作図を省略してい
て、版胴1と給版ユニット30Aとは、ストッパ3−4
の凹部3aと給版連結手段60−2の解除板ピン62A
aとが係合した状態で連結されており、一方、版胴1と
排版ユニット35Aとは、ストッパ3−3の凹部3aと
排版連結手段60−1の解除板ピン62Aaとが係合し
た状態で連結されている。
【0199】上記連結状態における版胴1、給版ユニッ
ト30A及び排版ユニット35Aが、図33に示す位置
まで回転され版胴1が停止すると、図33において、サ
ーマルヘッド接離手段50の上記カム駆動モータが回転
駆動される。すなわち、カム55が回転され、この回転
に伴ってバネ53で付勢されているカムフォロア54が
カム55の外周に沿って移動し、ヘッドアーム51は、
ヘッドアーム軸51aを中心にして時計回り方向に回転
される。これにより、ヘッドアーム51の一端部51b
は、版胴1に向かって揺動し、解除ピン52が溝33A
に係合する。解除ピン52が、溝33Aに係合・嵌入し
始めると、給版連結手段60−2の上記バネの付勢力に
抗して解除板62Aの自由端を圧接することにより、解
除板62Aがガイドピン61Aに沿って長孔62Abの
範囲内を上記バネの付勢力に抗して版胴1の中心方向に
押し下げられると共に、解除板ピン62Aaがストッパ
3−4の凹部3aから離間され、版胴1と給版ユニット
30Aとの連結状態が解除される。これと同時に、給版
規制手段80−2の爪部62Acは、ラチェットホイル
81と爪部62Acとが係合した給版制動位置からラチ
ェットホイル81から離間された給版非制動位置を占め
ることにより、ロール軸32の反時計回り方向の回転動
作の制動規制状態が解除される。こうして版胴1と給版
ユニット30Aとの連結が解除されるのと略同時に、サ
ーマルヘッド21がプラテンローラ22に当接して、ヘ
ッドアーム51の回転揺動動作が停止する。
【0200】上記動作と同じくして、解除ユニット駆動
手段89の上記カム駆動モータが作動することにより、
上述した動作と同様にして、アーム軸91a及び解除ア
ーム91は、バネ93の付勢力によりアーム軸91a部
を中心にして反時計回り方向に回転される。そして、解
除ピン軸92が、支持アーム後36Aの溝38に係合・
嵌入し始めると、解除ピン軸92が解除板62Aの自由
端を圧接することにより、解除板62Aがガイドピン6
1Aに沿って長孔62Abの範囲内を上記バネの付勢力
に抗して版胴1の中心方向に押し下げられると共に、解
除板ピン62Aaがストッパ3−3の凹部3aから離間
され、版胴1と排版ユニット35Aとの連結状態が解除
される。こうして排版ユニット35Aは、定位置に確実
に位置決め停止されると同時に、解除板62Aが上記バ
ネの付勢力に抗して版胴1の中心方向に押し下げられる
と共に、排版規制手段80−1の爪部62Acは、ラチ
ェットホイル81と爪部62Acとが係合した排版制動
位置からラチェットホイル81から離間された排版非制
動位置を占めることにより、排版軸37の反時計回り方
向の回転動作の制動規制状態が解除される。
【0201】次いで、排版巻取駆動手段40A及びプラ
テンローラ駆動手段45がそれぞれ作動する。すなわ
ち、モータ41のモータ駆動軸41aが時計回り方向に
回転されて駆動ギア42が回転され、移動ギア43が排
版軸ギア37bに揺動し噛合される。プラテンローラ駆
動手段45のモータ46のモータ駆動軸46aが、反時
計回り方向に回転されて駆動ギア47が回転され、移動
ギア48がプラテンローラギア22bに揺動し噛合され
る。そして、モータ41が正転駆動されて排版軸37が
時計回り方向に回転され、この排版軸37の回転に同期
してプラテンローラ軸22aは、プラテンローラ駆動手
段45によりマスタ2をマスタロール2aから版胴1に
供給する方向(反時計回り方向)に回転され、マスタロ
ール2aからマスタ2が順次繰り出されつつ版胴1の外
周面に巻装され、版胴1の外周面からマスタ2が排版軸
37に巻き取られると共に、低速モータ5Bの回転駆動
により版胴1のみが図中矢印B方向(反時計回り方向)
に緩やかに回転される。
【0202】上記版胴回転検知センサにより、版胴1が
図33に示す位置まで回転したことが検知されると、低
速モータ5Bの回転駆動が停止される。これと同時に、
排版巻取駆動手段40Aの移動ギア43が排版軸ギア3
7bから離間し非排版位置を占めると共に、プラテンロ
ーラ駆動手段45の移動ギア48がプラテンローラギア
22bから離間し、それぞれの作動が停止される。ま
た、サーマルヘッド接離手段50が、上述した動作と同
様に作動することにより、カム55が回転してヘッドア
ーム51が、ヘッドアーム軸51aを中心にして反時計
回り方向に回転され、サーマルヘッド21がプラテンロ
ーラ22から離間すると共に、解除ピン52と支持アー
ム前31Aの溝33Aとの係合も解除される。
【0203】そして、解除ピン52と支持アーム前31
Aの溝33Aとの係合が解除され始めると、上述した動
作と同様に、解除板ピン62Aaがストッパ3−2の凹
部3aに係合して、版胴1と給版ユニット30Aとが連
結される。これと同時に、給版規制手段80−2の爪部
62Acは、給版制動位置を占めることにより、ロール
軸32の反時計回り方向の回転動作が制動規制される。
【0204】また上記動作と同時に、解除ユニット駆動
手段89が作動し、上述した動作と同様にして、アーム
軸91a及び解除アーム91は、アーム軸91a部を中
心にして時計回り方向に回転され、解除ピン軸92が、
支持アーム後36Aの溝38から離間して解除位置を占
めると共に、解除板ピン62Aaがストッパ3−1の凹
部3aに係合し、版胴1と排版ユニット35Aとが連結
される。これと同時に、排版規制手段80−1の爪部6
2Acは、排版制動位置を占めることにより、排版軸3
7の反時計回り方向の回転が規制制動される。
【0205】こうして、版胴1へのマスタ2の巻装が完
了し、版胴1と給版ユニット30Aとが、版胴1と排版
ユニット35Aとがそれぞれ連結され、版胴1、給版ユ
ニット30A及び排版ユニット35Aが、図16に示す
ように、インキ供給パイプ11の周りを一体で回転し製
版、排版及び印刷を行うことが可能な初期位置状態に復
帰する。以下、製版、排版、及び印刷工程等の動作は、
上記実施例と同様に行われる。
【0206】なお、上記例2,2−1等において、給版
ユニット位置決め手段は、ヘッドアーム51,51の各
一端部51b,51bに形成された給版係合部としての
一対の解除ピン52,52と、支持アーム前対31A,
31Aの各自由端部に形成された給版被係合部としての
一対の溝33A,33Aとから構成される給版ユニット
位置決め手段70Aに限らず、給版係合部としての一対
の解除ピン52,52に代えて給版被係合部としての一
対の溝33A,33Aをヘッドアーム51,51の各一
端部51b,51bに形成し、かつ、給版被係合部とし
ての一対の溝33A,33Aに代えて給版係合部として
の一対の解除ピン52,52を支持アーム前対31A,
31Aの各自由端部に設けてもよい。
【0207】上記給版ユニット位置決め手段と同様に、
排版ユニット位置決め手段は、解除アーム対91,91
の各一端部91b,91bに形成された排版係合部とし
ての解除ピン軸92と、排版軸アーム対36,36の各
自由端部に形成された排版被係合部としての一対の溝3
8,38から構成される排版ユニット位置決め手段75
に限らず、排版係合部としての解除ピン軸92に代えて
排版被係合部としての一対の溝38,38を解除アーム
対91,91の各一端部91b,91bに形成し、か
つ、排版被係合部としての一対の溝38,38に代えて
排版係合部としての解除ピン軸92を排版軸アーム対3
6,36の各自由端部に設けてもよい。
【0208】なお、上記例2,2−1等において、給版
連結手段は、支持アーム前対31A,31Aの各内側面
に設けられた給版連結係合部としての一対の解除板62
A,62Aの解除板ピン62Aa,62Aaと、版胴1
におけるフランジ対1a,1aの各外側面に設けられた
連結被係合部としての一対のストッパ3−2,3−2の
凹部3a,3aとから構成される給版連結手段60−2
に限らず、給版連結係合部としての一対の解除板62
A,62Aの解除板ピン62Aa,62Aaに代えて連
結被係合部としての一対のストッパ3−2,3−2の凹
部3a,3aを支持アーム前対31A,31Aの各内側
面に設け、かつ、連結被係合部としての一対のストッパ
3−2,3−2の凹部3a,3aに代えて給版連結係合
部としての一対の解除板62A,62の解除板ピン62
Aa,62Aaを版胴1におけるフランジ対1a,1a
の各外側面に設けてもよい。
【0209】上記給版連結手段と同様に、排版連結手段
は、支持アーム後対36A,36Aの各内側面に設けら
れた排版連結係合部としての一対の解除板62A,62
Aの解除板ピン62Aa,62Aaと、版胴1における
フランジ対1a,1aの各外側面に設けられた連結被係
合部としての2組のストッパ対3−1,3−1、3−
3,3−3の凹部3a,3a、3a,3aとから構成さ
れる排版連結手段60−1に限らず、排版連結係合部と
しての一対の解除板62A,62Aの解除板ピン62A
a,62Aaに代えて連結被係合部としての2組のスト
ッパ対3−1,3−1、3−3,3−3の何れか1つの
凹部3a,3aを支持アーム後対36A,36Aの各内
側面に設け、かつ、連結被係合部としての2組のストッ
パ対3−1,3−1、3−3,3−3の凹部3a,3
a、3a,3aに代えて排版連結係合部としての一対の
解除板62A,62Aの解除板ピン62Aa,62Aa
を版胴1におけるフランジ対1a,1aの各外側面に2
組設けてもよい。
【0210】なお、上記例2−1においても、給版連結
手段60−2や排版連結手段60−1に限らず、上記給
版連結手段や上記排版連結手段における各構成の例外と
略同様に準用して構成してもよい。
【0211】なお、上記例2,2−1等において、給版
規制手段は、上記した給版規制手段80−2のように、
印刷時にマスタロール2aのロール軸32の回転動作を
制動し、製版時にマスタロール2aのロール軸32の回
転動作の制動を解除する爪部62Acを解除板62Aに
一体的に設けずに、ラチェットホイル81の近傍に独立
して配設してもよい。
【0212】さらに上記給版規制手段に代えて以下の構
成を採用してもよい。すなわち、電磁クラッチをロール
軸32に設け、解除ピン52と溝33Aとが係合したと
きに、電磁クラッチのスリップリングに当接する電極を
ヘッドアーム51に設ける。印刷時、すなわち、解除ピ
ン52と溝33Aとが離間しているときには、スリップ
リングと電極との接触が断たれて電磁クラッチに電力の
供給が行われなくなり、電磁クラッチは、印刷時に支持
アーム前31Aとロール軸32とを一体的に連結した状
態に保持してロール軸32を回転不能とする。製版及び
排版時、すなわち、解除ピン52と溝33Aとが係合し
たときには、スリップリングに電極が当接して電磁クラ
ッチに電力が供給され、電磁クラッチは、支持アーム前
31Aとロール軸32との連結状態を解除してロール軸
32を回転自在とする。
【0213】上記給版規制手段と同様に、排版規制手段
は、上記した排版規制手段80−1のように、印刷時に
排版ロール37aの排版軸37の回転動作を制動し、製
版時に排版ロール37aの排版軸37の回転動作の制動
を解除する爪部62Acを解除板62Aに一体的に設け
ずに、ラチェットホイル81の近傍に独立して配設して
もよい。
【0214】さらに上記排版規制手段に代えて以下の構
成を採用してもよい。すなわち、電磁クラッチを排版軸
37に設け、解除ピン軸92と溝38とが係合したとき
に、電磁クラッチのスリップリングに当接する電極を解
除アーム91に設ける。印刷時、すなわち、解除ピン軸
92と溝38とが離間しているときには、スリップリン
グと電極との接触が断たれて電磁クラッチに電力の供給
が行われなくなり、電磁クラッチは、印刷時に支持アー
ム後36Aと排版軸37とを一体的に連結した状態に保
持して排版軸37を回転不能とする。製版及び排版時、
すなわち、解除ピン軸92と溝38とが係合したときに
は、スリップリングに電極が当接して電磁クラッチに電
力が供給され、電磁クラッチは、支持アーム後36Aと
排版軸37との連結状態を解除して排版軸37を回転自
在とする。
【0215】なお、上記例2,2−1等において、給版
規制手段80−2及び排版規制手段80−1は、版胴1
の他端側にのみ配設したが、これに限らず、構造が複雑
になるがさらに確実に給版規制手段80−2及び排版規
制手段80−1の利点を生かしたいのであれば、版胴1
の両側に配設しても良いことは言うまでもない。
【0216】以上述べたように、例2によれば、次のよ
うな利点がある。
【0217】製版及び排版時に、給版連結手段60−
2や排版連結手段60−1による版胴1と給版ユニット
30A及び/又は排版ユニット35Aとの連結が解除さ
れ、サーマルヘッド接離手段50によるプラテンローラ
22へのサーマルヘッド21の当接動作・作用に連動し
て、給版ユニット位置決め手段70Aによってサーマル
ヘッド接離手段50に対して給版ユニット30Aが確実
に位置決め固定され、製版手段20によってマスタ2に
対して製版が行われる。この動作と並行して、解除ユニ
ット駆動手段89によって解除ユニット90が排版ユニ
ット35Aに係合して排版巻取駆動手段40Aに対して
排版ユニット35Aの位置を固定する係合位置を占める
と共に、排版ユニット位置決め手段75によって排版巻
取駆動手段40Aに対して排版ユニット35Aが確実に
位置決め固定され、排版巻取駆動手段40Aによって排
版巻取部としての排版軸37が回転駆動されることによ
って、マスタ2が版胴1から巻き取られる。そして、少
なくとも印刷時に、給版連結手段60−2や排版連結手
段60−1により版胴1と給版ユニット30A及び/又
は排版ユニット35Aとが連結されて、版胴駆動手段と
してのメインモータ5Aによって版胴1と給版ユニット
30A及び/又は排版ユニット35Aとが一体的に回転
中心軸11の周りに回転されることで印刷が行われる。
【0218】したがって、給版ユニット30A及び排版
ユニット35Aの各強度が高くなくてもサーマルヘッド
21とプラテンローラ22との接触位置や、マスタ供給
部としてのロール軸32と製版手段20のプラテンロー
ラ22との平行度等の精度を確保でき、サーマルヘッド
21とプラテンローラ22との位置ずれや、マスタ2の
ねじれや撓みによるマスタ2のシワ、スキュー等の製版
不良の発生を防止することができる。また、従来のよう
に、給版ユニット(給版アーム対)及び排版ユニット
(排版アーム対)のねじれ等を防止するために特に強固
に製作する必要がないので、軽量かつ安価に製作するこ
とができる。
【0219】製版及び排版時に、給版連結手段60−
2による版胴1と給版ユニット30Aとの連結が解除さ
れると共に、排版連結手段60−1による版胴1と排版
ユニット35Aとの連結が解除される。また少なくとも
印刷時に、給版連結手段60−2により版胴1と給版ユ
ニット30Aとが、排版連結手段60−1により版胴1
と排版ユニット35Aとがそれぞれ連結されて、版胴駆
動手段としてのメインモータ5Aによって、版胴1と給
版ユニット30Aと排版ユニット35Aとが一体的に回
転中心軸の周りに回転されることで印刷が行われる。
【0220】したがって、版胴1と給版ユニット30A
及び/又は排版ユニット35Aとを係脱する手段とし
て、従来のようにソレノイドとか電磁クラッチ等を用い
て版胴1や給版ユニット30Aや排版ユニット35A等
の回転体に通電するための手段や部材とかを新たに必要
としないので、上記の構成による効果に加え、さらに
軽量かつ安価に製作することができる。
【0221】製版及び排版時に、サーマルヘッド接離
手段50によるプラテンローラ22へのサーマルヘッド
21の当接動作に連動して、給版連結手段60−2の解
除動作を介して版胴1と給版ユニットとの連結状態が確
実に解除され、解除ユニット駆動手段89による排版ユ
ニット35Aへの解除ユニット90の係合動作に連動し
て、排版連結手段60−1の解除動作を介して版胴1と
排版ユニット35Aとの連結状態が確実に解除される。
製版及び排版終了時に、サーマルヘッド接離手段50に
よるプラテンローラ22からのサーマルヘッド21の離
間動作に連動して、給版連結手段60−2の連結動作を
介して版胴1と給版ユニット30Aとが確実に連結さ
れ、解除ユニット駆動手段89による解除ユニット90
の係合解除動作に連動して、排版連結手段60−1の連
結動作を介して版胴1と排版ユニット35Aとが確実に
連結される。
【0222】したがって、上記及びの各効果に加
え、上記各連結、解除動作のための電気的な制御手段や
電動手段等を必要とせず、簡単な機械的構成及び動作に
より誤動作なども防止されると共に、装置の信頼性が高
くなる。
【0223】上記及びよる各動作に加え、製版及
び排版時に、サーマルヘッド接離手段50によるプラテ
ンローラ22へのサーマルヘッド21の当接動作に連動
して、給版ユニット30A若しくはサーマルヘッド接離
手段50の何れか一方に設けられた給版係合部としての
解除ピン52が、給版ユニット30A若しくはサーマル
ヘッド接離手段50の何れか他方に設けられた給版被係
合部としての溝33Aと係合されることによってサーマ
ルヘッド接離手段50に対して給版ユニット30Aが確
実に位置決め固定される。この動作・作用と並行して、
解除ユニット駆動手段89によって解除ユニット90が
排版ユニット35Aに係合して排版巻取駆動手段40A
に対して排版ユニット35Aの位置を固定する係合位置
を占めると共に、排版ユニット35A若しくは解除ユニ
ット90の何れか一方に設けられた排版係合部としての
解除ピン軸92が、排版ユニット35A若しくは解除ユ
ニット90の何れか他方に設けられた排版被係合部とし
ての溝38と係合されることにより、排版巻取駆動手段
40Aに対して排版ユニット35Aが確実に位置決め固
定される。
【0224】したがって、上記の効果と同様に、給版
ユニット30A及び排版ユニット35Aの各強度が高く
なくてもサーマルヘッド21とプラテンローラ22との
接触位置や、マスタ供給部としてのロール軸32と製版
手段20のプラテンローラ22との平行度等の精度を確
保でき、サーマルヘッド21とプラテンローラ22との
位置ずれや、マスタ2のねじれや撓みによるマスタ2の
シワ、スキュー等の製版不良の発生を防止することがで
きる。また、従来のように、給版ユニット(給版アーム
対)及び排版ユニット(排版アーム対)のねじれ等を防
止するために特に強固に製作する必要がないので、軽量
かつ安価に製作することができる。また、印刷時や空転
時に版胴1と給版ユニット30Aと排版ユニット35A
とが一体になって回転する場合でも版胴1の振動を低減
することができる。さらに、印刷物の色替えのために版
胴1が装置本体側に対して脱着可能なドラムユニットと
して構成されている場合には、ドラムユニットの重量の
増加を抑えてドラムユニットの脱着を容易にすることも
できる。
【0225】サーマルヘッド接離手段50によりサー
マルヘッド21がプラテンローラ22から離間したと
き、給版連結手段60−2が作動する。すなわち、給版
ユニット30A若しくは版胴1の何れか一方に設けられ
た給版連結係合部としての解除板62Aの解除板ピン6
2Aaが、版胴1若しくは給版ユニット30Aの何れか
他方に設けられた連結被係合部としてのストッパ3−2
の凹部3aと係合することにより、版胴1と給版ユニッ
ト30Aとが確実に係合される。この動作・作用に並行
して、解除ユニット駆動手段89により、解除ユニット
90が非係合位置を占めたとき、排版連結手段60−1
が作動する。排版ユニット35A若しくは版胴1の何れ
か一方に設けられた排版連結係合部としての解除板62
Aの解除板ピン62Aaが、版胴1若しくは排版ユニッ
ト35Aの何れか他方に設けられた連結被係合部として
のストッパ3−1,3−3の何れか一方の凹部3aと係
合することにより、版胴1と排版ユニット35Aとが確
実に係合される。このように連結被係合部(ストッパ3
−1,3−2,3−3の凹部3aに相当する)が、少な
くとも3個配設されていて、給版連結係合部としての解
除板62Aの解除板ピン62Aa若しくは排版連結係合
部としての解除板62Aの解除板ピン62Aaが各々の
連結被係合部(ストッパ3−1,3−2,3−3の凹部
3a)と選択的に係合し、マスタ2が版胴1に自動的に
巻装され、使用済みのマスタ2が版胴1から自動的に巻
き取られる。
【0226】したがって、給版連結手段及び排版連結手
段を軽量、かつ、低コストで製作でき、さらにソレノイ
ドや電磁クラッチ等の電動的な連結手段を用いることも
ないので、その制御手段も必要とせず、簡単な機械的構
成及び動作・作用により誤動作なども防止されると共
に、装置の信頼性が高くなる。
【0227】印刷時に、給版規制手段80−2により
マスタ供給部としてのロール軸32の動作が制動される
と共に、排版規制手段80−1により排版巻取部として
の排版軸37の動作が制動される。製版時に、給版規制
手段80−2によるマスタ供給部としてのロール軸32
の動作の制動が解除されると共に、排版規制手段80−
1による排版巻取部としての排版軸37の動作の制動が
解除される。また、給版規制手段80−2の制動動作に
よるロール軸32からのマスタ2の繰り出しを規制しつ
つ、排版規制手段80−1の制動解除動作により排版軸
37の回転動作を解除・開放しながら排版軸37により
使用済みのマスタ2が巻き取られる。
【0228】したがって、印刷時や空転時にマスタ供給
部としてのロール軸32が版胴1の回転等に伴う外力を
受けても、マスタ2がマスタ供給部としてのロール軸3
2から送り出されることなく、マスタ2の撓みの発生を
確実に防止することができると共に、これにより生じる
製版位置のずれ、あるいは回転時における版胴1周辺の
部材に接触してのマスタ2の破れ等の発生を防止するこ
とができる。同様に、印刷時や空転時に排版巻取部とし
ての排版軸37が版胴1の回転等に伴う外力を受けて
も、使用済みのマスタ2が排版巻取部としての排版軸3
7から巻き戻されることなく、使用済みのマスタ2の撓
みの発生を確実に防止することができると共に、これに
より生じる製版位置のずれ、あるいは回転時における版
胴1周辺の部材に接触しての使用済みのマスタ2の破れ
等の発生を防止することができる。
【0229】さらに、従来の装置は、排版巻取部を回転
させながら排版ユニットを回転させることで、製版手段
としてのプラテンローラが使用済みのマスタ2に付着し
たインキで汚れることを防止するために、排版ユニット
を回転させつつ排版巻取部を回転させるための動力伝達
手段が新たに必要となり、非常に複雑かつ面倒でもある
上記動力伝達手段の構成により結局の所さらに高価にな
ってしまうことが避けられないが、給版規制手段80−
2の制動動作によりマスタ供給部としてのロール軸32
からのマスタ2の繰り出しを規制しつつ、排版規制手段
80−1の制動解除動作により排版巻取部としての排版
軸37の回転動作を解除・開放しながら排版巻取部とし
ての排版軸37により使用済みのマスタ2を巻き取るの
で、さらに安価に製作することができる。
【0230】サーマルヘッド21の当接動作に連動し
てマスタ供給部としてのロール軸32の動作の制動が解
除されると共に、解除ユニット90の係合動作に連動し
て排版巻取部としての排版軸37の動作の制動が解除さ
れる。したがって、さらに安価に製作することができ
る。
【0231】また、実施例1と同様に、版胴1の外周
面に巻装されるマスタ2の穿孔開始側前部に対応する版
胴1の外周面の位置に、マスタ2の裏面に接触してマス
タ2を該位置に保持するための、粘着性を有するマスタ
保持手段としての保持部材18を設けたことにより、製
版直後のマスタ2の穿孔開始側前部が保持部材18と接
触してその画像先端部分が均一に伸張した状態で版胴1
に巻装されると共に、マスタ2の穿孔開始側前部が排版
巻取部としての排版軸37に近接したときに、保持部材
18によりマスタ2の穿孔開始側前部が貼着・保持され
ることで、排版ロール37a形成部から進行するマスタ
のシワが保持部材18の部位でブロックされ、製版済み
マスタ2の画像部まで成長しなくなるのでマスタ2のシ
ワによる画像悪化が防止され、良好な画像品質を得るこ
とができる。
【0232】また、従来の孔版式製版印刷装置の版胴に
おいては、装置の休止等により、使用済みのマスタ2と
共に排版軸37に巻き取られたインキの水分が蒸発して
しまう場合等における、排版ロール37aに巻き取られ
た使用済みのマスタ2同士が緩くなってしまうことによ
って、版胴に巻装されているマスタ2が負荷の作用で版
胴1の回転遅れ側に戻ってしまい、版胴に対する画像位
置がずれたり、版胴上に生じたマスタ2の弛みが押しつ
ぶされたりして画像品質が悪化してしまう問題点となっ
たが、このような場合でも、版胴1の所定位置に上述し
た保持部材18を設けたことにより、保持部材18に貼
着・保持された平滑なマスタ2には大きなスベリ防止力
が作用するので、版胴上におけるマスタ2の移動等も確
実に防止される。
【0233】そして、例2−1によれば、上記乃至
の各利点に加えて、次の利点がある。すなわち、サーマ
ルヘッド接離手段50によりサーマルヘッド21がプラ
テンローラ22から離間したとき、給版連結手段60−
2が作動する。すなわち、給版ユニット30A若しくは
版胴1の何れか一方に設けられた給版連結係合部として
の解除板62Aの解除板ピン62Aaが、版胴1若しく
は給版ユニット30Aの何れか他方に設けられた給版連
結被係合部としてのストッパ3−2,3−4の何れか一
方の凹部3aと係合することにより、版胴1と給版ユニ
ット30Aとが係合される。この動作に並行して、解除
ユニット駆動手段89により、解除ユニット90が非係
合位置を占めたとき、排版連結手段60−1が作動す
る。すなわち、排版ユニット35A若しくは版胴1の何
れか一方に設けられた排版連結係合部としての解除板6
2Aの解除板ピン62Aaが、版胴1若しくは排版ユニ
ット35Aの何れか他方に設けられた排版連結被係合部
としてのストッパ3−1,3−3の何れか一方と係合す
ることにより、版胴1と排版ユニット35Aとが係合さ
れる。このように連結被係合部(ストッパ3−1,3−
2,3−3,3−4に相当する)が、少なくとも4個配
設されていて、給版連結係合部若しくは排版連結係合部
としての解除板62Aの解除板ピン62Aaが各々の連
結被係合部(ストッパ3−1,3−2,3−3,3−
4)と選択的に係合し、給版ユニット30A及び/又は
排版ユニット35Aが、回転中心軸11の周りを順次同
一方向に回転して版胴1の外周面にマスタ2が巻装さ
れ、版胴1の外周面から使用済みのマスタ2が自動的に
剥離され巻き取られることにより、マスタ供給部として
のロール軸32から常に新しいマスタ2が順次供給され
るので、従来のように、マスタ供給や排版上のトラブル
等の発生により排版巻取部を回転させて一旦マスタ2を
巻き取り、再度マスタ2を版胴に巻装させ再セットする
ような場合と違って、同じマスタ供給部からのマスタ2
の順次供給により、複数の色ドラムユニットに対応して
も他のインキの色が混じってしまうことがない。
【0234】(例2−2)図35に上記例2のさらに別
の例2−2(例2,2−1と区別するために便宜上例2
−2と称する)を示す。図35において、図21乃至3
0に示した部材と同様の部材は、これらの図で用いた符
号と同一符号を付すにとどめてその説明を省略し、相違
する点を中心に説明する。上記例2との主な相違点は、
この例2−2が、版胴1と一体に配設された磁性体部材
としてのホイール200と、このホイール200に近接
して装置本体側に配設された電磁石部材としてのマグケ
ース210とからなるヒステリシスブレーキ190を上
記例2の構成に付加した点にある。
【0235】ホイール200は、周知の強磁性体材料で
できていて、他端側フランジ1aの基端部が延びて形成
されたフランジ基軸部1bに一体的に形成されている。
マグケース210は、ホイール200の外側から覆うよ
うに形成されていて全輪状をなす。マグケース210に
は、電源を介してマグケース210内に配設されたコイ
ル(共に図示せず)に流す通電量(電流)を制御する制
御回路240が接続されている。一方、フランジ1aの
外側面近傍には、フランジ1aの外側面に固設された図
示しないスリット円板と、このスリット円板近傍の装置
本体側に配設された上記スリット円板に係合する透過型
のフォトセンサとからなる版胴位置センサ220が設け
られている。装置本体側の図示しない制御パネルには、
版胴位置センサ220からの版胴の位置(回転角度)信
号を受けて、制御回路240をしてマグケース210へ
の通電量を制御する制御装置230Aが配設されてい
る。
【0236】制御装置230により、回転始めの版胴1
の回転角度が0度位置から180度位置の半回転時はマ
グケース210への通電量が可変され制御されることに
より、版胴1と給版ユニット30Aと排版ユニット35
Aとが一体的に回転される際に偏荷重によって生じる速
度変動に応じて、ホイール200に所定のブレーキ力が
負荷される。制御装置230により、版胴1の回転角度
が90度位置において上記ブレーキ力が最大となるよう
に、マグケース210への通電量を変化させるように制
御される。
【0237】したがって、この例2−2によれば、回転
始めの版胴1の回転角度が0度位置から180度位置の
半回転時において、マグケース210への通電量が可変
・制御されることによって、版胴駆動手段としてのメイ
ンモータ5Aや低速モータ5Bにより版胴1と給版ユニ
ット30Aと排版ユニット35Aとが一体的に回転され
る際に偏荷重によって生じる速度変動に応じて、磁性体
部材にブレーキ力が負荷され、版胴1の回転角度が90
度位置において上記ブレーキ力が最大となるように、版
胴1の回転角度に応じて電磁石部材への通電量を変化さ
せるように制御されるので、上記速度変動による騒音及
び震動の発生を低減することができる利点があり、上記
回転角度範囲内において例えば特開平6−270524
及び特開平7−52513号公報にそれぞれ示されたバ
ランサウエイトと略同様の働きをするので、従来のよう
に大重量のバランサウエイトを付設する必要が無いの
で、さらに軽量かつ安価に製作することができる。
【0238】なお、例2−2は、上記実施例1、例1,
1−1、例2,2−1等に準用することができることは
言うまでもない。
【0239】なお、上記実施例1及び例1,2等におい
ては、第1クラッチ5C1、メインモータ5A、第2ク
ラッチ5C2及びが低速モータ5Bの二つの係脱手段及
び版胴駆動手段を設けたが、これに限らず、版胴1と版
胴駆動手段とを接続する一つのクラッチ5C及び一つの
モータ5を設けたものであってもよい。このような版胴
駆動機構4Bは、図36に示すように、モータ5、クラ
ッチ5C、駆動ギア6及び後述するフランジギア7とか
ら主に構成されている。
【0240】すなわち、上記実施例1及び例1,2等に
おいて、例えば排版巻取駆動手段40,40Aを動作さ
せて排版軸37を時計回り方向に回転駆動する製版及び
排版時に、クラッチ5Cをオフさせることにより版胴1
とモータ5との接続を断ち、インキ供給パイプ11に対
して版胴1を回転自在として、排版軸37を回転するモ
ータ41の回転駆動力によって、版胴1の外周面にイン
キの粘着力により貼り付いているマスタ2が巻き取られ
る動作を介して版胴1を連れ回りさせるようにしてもよ
い。このようにした場合、駆動モータを複数設ける必要
がないので安価に構成することがことができる。
【0241】なお、上記実施例1及び例1,2等におい
て、実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ
2を用いたが、これに限らず、多孔質の支持体として和
紙等を用いた従来の孔版マスタ、あるいは多孔質の支持
体を極めて薄くした孔版マスタも使用できることは言う
までもない。
【0242】なお、上記実施例1及び例1,2等におい
て、インキ供給手段10はこれに限らず、例えば、特開
平5−69649号公報に記載されているようなスキー
ジブレード41を具備したものや、あるいは特開昭62
−42873号公報に記載されているような周知の手段
であってもよい。
【0243】なお、給版連結手段60−2や排版連結手
段60−1に配設される付勢手段としては、上記圧縮コ
イルばねが好ましいが、これに限らず、板ばねであって
もよく、あるいはゴム等の弾性部材であってもよい。
【0244】また、上記実施例1及び例1,2等におい
て、サーマルヘッド接離機構は、上記サーマルヘッド接
離手段50に限らず、クランク機構等を準用したもので
あってもよい。
【0245】また、上記実施例1及び例1,2等におい
て、ロール軸32にマスタロール2aとして巻成された
マスタ2の残量を検知する上記マスタ検知手段は、これ
に限らず、例えば特開平7−47755号公報の図2及
び4に記載された構成を採用することにより、すなわち
本実施例においてはサーマルヘッド接離手段50による
プラテンローラ22への接近動作に連動し、かつ、プラ
テンローラ22によるマスタ1の搬送に対応してロール
軸32の回転速度を検出するマスタロール回転速度検出
手段(共に図示しない、スリット円板及びフォトインタ
ラプタセンサからなる)であってもよい。
【0246】なお、上記実施例1及び例1,2等におい
て、上記実施例1、例1,2等の孔版式製版印刷装置の
版胴1,161(以下、単に「版胴1,161」という
ときがある)に配設された保持部材18は、上記した軟
質シリコンゴムからなるものに限らず、例えば、粘着性
を有する軟質のウレタンゴム等であってもよい。
【0247】要するに、保持部材18の材料としては、
版胴1の上記位置に形成することができるものであっ
て、上記機能を有し、かつ、マスタ2の裏面に接触・保
持したときにマスタ2を劣化・破損したり、装置の使用
環境に有害な影響を与えたりしないものであれば全ての
粘着性を有する弾性部材をも含む。このような粘着性を
有する弾性部材としては、上記各種ゴムに限らず、上記
の複合材料であってもよい。
【0248】なお、上記実施例1及び例1,2等におい
て、版胴1,161への保持部材18の形成方法として
は、上記した形成方法に限らず、上記メッシュスクリー
ン表面に、例えば0.05〜2mm程度の厚みを有する
上記各種のゴム等の弾性部材を貼着したものであっても
よい。
【0249】また、版胴が実質的に支持円筒体のみから
なるようなものにあっては、該版胴への保持部材18の
形成方法としては、上記した形成方法に限らず、その支
持円筒体表面に、溶液状の上記各種のゴムを直接塗布・
乾燥して0.05〜2mm程度の厚みの保持部材18を
形成したり、0.05〜2mm程度の厚みを有する上記
各種のゴム等の弾性部材を貼着して保持部材18を形成
したものであってもよい。
【0250】さらに、版胴1,161への保持部材18
の形成方法としては、上記の各形成方法に限らず、例え
ば粘着性の弾性部材に上記機能を有する粘着性の弾性部
材をコーティングしたり、あるいは貼着したりして形成
したものであってもよい。
【0251】要するに、保持部材18の形成方法として
は、版胴1の上記位置に形成することができる方法であ
って、上記機能を有し、かつ、マスタ2の裏面に接触・
保持したときにマスタ2を劣化・破損したり、装置の使
用環境に有害な影響を与えたりしない方法であれば全て
の形成方法を含む。このような版胴1への保持部材18
の形成方法としては、上記形成方法の他、保持部材18
の上記各材料の組合わせにより種々の方法が容易に想到
することができることは言うまでもない。
【0252】なお、保持部材18の断面形状は、図10
に示したシート状のものに限らず、例えば図11に示す
ような山形状のもの、あるいは図12に示すように、排
版及び製版時に版胴1,161の回転方向の下流側Rに
向かって徐々にその高さが高くなる丘状をなすもの、換
言すれば排版軸37寄りの巻き取り部分の方が高い丘状
をなし該巻き取り部分から遠ざかるにつれて徐々に低い
丘状をなすものであってもよい。要するに、保持部材1
8は、版胴1,161の外周面に巻装されるマスタ2の
穿孔開始側前部に対応する版胴1,161の外周面の位
置に設けられていて、マスタ2の裏面に接触してマスタ
2を該位置に保持するために有効な形状であればよい。
【0253】(変形例1) 図13に、本発明に係る変形例1を示す。 この変形例
1は、上記実施例1及び例1,2等の保持部材18に代
えて、図13に示すような、微小な吸盤を複数備えた吸
着層としてのマイクロ吸盤層19を用いた点のみ相違す
る。マイクロ吸盤層19は、保持部材18が記載されて
いる各図において、保持部材18の符号の近傍に括弧を
付して併記してある。マイクロ吸盤層19は、上記各図
に示すように、版胴1,161上の母線方向に略シート
状の所定の幅及び所定範囲の厚みをもって配置された上
記各保持部材18の上部に、軟質のウレタンゴムで別体
的に貼着・形成されている。マイクロ吸盤層19は、き
わめて微小な吸盤層であり、その被膜の厚みは、プレス
ローラ15等の押圧手段との接触圧ムラを少なくする点
から50μm〜300μmの範囲にあることが好まし
い。またマイクロ吸盤層19は、マスタ2との吸着力を
均一にする点からその直径dが20〜100μmのマイ
クロ吸盤19aであることが好ましい。なお、マイクロ
吸盤層19は、上記のような軟質のウレタンゴム製に限
らず、軟質シリコンゴム等で形成したものであってもよ
い。
【0254】なお、マイクロ吸盤層19は、上記のよう
な軟質の各種ゴムの上に別体的に形成されたものに限ら
ず、上記のような軟質の同種のゴムで一体的に形成した
ものであってもよい。
【0255】なお、マイクロ吸盤層19の断面形状は、
図10に示したシート状のものに限らず、保持部材18
と同様に、例えば図11に示すような山形状のもの、あ
るいは図12に示すように、排版及び製版時に版胴1,
161の回転方向の下流側に向かって徐々にその高さが
高くなる丘状をなすもの、換言すれば排版軸37寄りの
巻き取り部分の方が高い丘状をなし該巻き取り部分から
遠ざかるにつれて徐々に低い丘状をなすものであっても
よい。要するに、マイクロ吸盤層19は、版胴1,16
1の外周面に巻装されるマスタ2の穿孔開始側前部に対
応する版胴1,161の外周面の位置に設けられてい
て、マスタ2の裏面に接触してマスタ2を該位置に保持
するために有効な形状であればよい。
【0256】したがって、この変形例1によれば、上記
実施例1及び例1,2等で述べた孔版式製版印刷装置を
用いたことによる各利点に加えて、次のような利点があ
る。すなわち、この種のマスタ供給排版方式の孔版式製
版印刷装置に使用されているインキは上記したように油
性タイプ等のインキであり、インキの飛散等でインキが
保持部材18に付着した場合に、インキ中のオイルの働
きによりその粘着力が低下してしまうことがある。そこ
で、多数かつ微細なマイクロ吸盤19aで形成されたマ
イクロ吸盤層19からなる吸着層とすることで、インキ
中等のオイル飛散等が発生してもマスタ2の保持力の低
下を防止することができ、またインキ中等のオイル飛散
等に伴う清掃等も殆ど不要とすることができる。
【0257】(変形例2) 図37に、本発明に係る変形例2を示す。 この変形例
2は、上記実施例1及び例1,2等の保持部材18ある
いはマイクロ吸盤層19の設置状態に代えて、図37に
示すように、マスタ保持手段としての保持部材18ある
いはマイクロ吸盤層19のマスタ2との当接開始部が、
版胴1,161の中央部を頂点とし版胴1,161の回
転方向の上流側Fに向かって版胴1,161の両側縁部
に徐々に傾斜した略山形状をなすように、保持部材18
あるいはマイクロ吸盤層19を設置したことのみ相違す
る。
【0258】なお、上記略山形状とは、版胴1,161
の中央部を頂点とし版胴1,161の回転方向の上流側
Fに向かって版胴1,161の両側縁部に徐々に傾斜し
た略二等辺三角形状をも含む(後述する図39参照)。
【0259】なお、変形例2において、保持部材18あ
るいはマイクロ吸盤層19の断面形状は、図10に示し
たシート状のものに限らず、例えば図11や図12に示
すような形状のものであってもよい。
【0260】したがって、この変形例2によれば、上記
実施例1及び例1,2及び変形例1等で述べた各利点に
加えて、次のような利点がある。すなわち、マスタ保持
手段としての保持部材18あるいはマイクロ吸盤層19
のマスタ2との当接開始部が、版胴1,161の中央部
を頂点とし版胴1,161の回転方向の上流側Fに向か
って版胴1,161の両側縁部に徐々に傾斜した略山形
状をなすように、保持部材18あるいはマイクロ吸盤層
19を設置したことにより、マスタ2の裏面が保持部材
18あるいはマイクロ吸盤層19と接触することで、マ
スタ2の両側縁方向に略山形状をなすことで形成された
傾斜角に応じた伸張力が作用しつつマスタ2が保持され
るので、マスタ2の穿孔開始側前部からマスタ2を版胴
1,161に一層均一にシワを発生させること無く巻装
することができる。
【0261】(変形例3) 図38に、本発明に係る変形例3を示す。 上記変形例
2において、保持部材18あるいはマイクロ吸盤層19
のマスタ2との当接開始部における、製版及び排版時の
版胴1,161の回転方向の下流側Rの傾斜先端部分
に、保持部材18あるいはマイクロ吸盤層19が形成さ
れていると、版胴1,161へのマスタ2の巻き付け時
に抵抗となって上記傾斜角に沿ったマスタ2の移動が不
安定になることがあるので、これを改良すべく変形例3
を発明した。
【0262】この変形例3は、上記変形例2の保持部材
18あるいはマイクロ吸盤層19の配設状態に代えて、
図38に示すように、マスタ保持手段を、非粘着部分と
しての伸張部18Aと粘着部分としての保持層部18B
とから形成し、製版及び排版時における版胴1,161
の回転方向の下流側Rのマスタ保持手段を伸張部18A
で、同回転方向の上流側Fのマスタ保持手段を保持層部
18Bでそれぞれ構成したことのみ相違する。
【0263】伸張部18Aは、その表面が平滑でマスタ
2が滑りやすい、例えば摩擦係数の低いテフロン(商品
名)等を保持部材18の上にコーティング・被覆した
り、塗布されて形成されている。
【0264】保持層部18Bは、上記変形例2と同様
に、保持部材18あるいはマイクロ吸盤層19で形成さ
れている。
【0265】なお、伸張部18Aは、上記のように形成
することに限らず、例えばその表面が平滑でマスタ2が
滑りやすい、摩擦係数の低いポリエチレン等を保持層部
18Bに対して別体的にかつ連続して形成してもよい。
【0266】なお、変形例3は、図38に示したものに
限らず、図39に示すように、伸張部18Aが、版胴
1,161の中央部を頂点とし版胴1,161の回転方
向の上流側Fに向かって版胴1,161の両側縁部に徐
々に傾斜した略二等辺三角形状であってもよい。
【0267】なお、変形例3において、保持部材18あ
るいはマイクロ吸盤層19の断面形状は、図10に示し
たシート状のものに限らず、例えば図11や図12に示
すような形状のものであってもよい。
【0268】したがって、この変形例3によれば、上記
実施例1及び例1,2及び変形例1,2等で述べた各利
点に加えて、次のような利点がある。すなわち、マスタ
保持手段を、非粘着部分としての伸張部18Aと粘着部
分としての保持層部18Bとから形成し、製版及び排版
時における版胴1,161の回転方向の下流側Rのマス
タ保持手段を伸張部18Aで、同回転方向の上流側Fの
マスタ保持手段を保持層部18Bでそれぞれ構成したこ
とにより、マスタ2が最初に伸張部18Aと接触するこ
とで上記傾斜角に沿って移動しつつ上記傾斜角に応じた
張力を受けた後に、保持層部18Bの保持部材18ある
いはマイクロ吸盤層19によりマスタ2が保持されるの
で、マスタ2における両側縁方向の伸張がより一層確実
に行われて、マスタ2の穿孔開始側前部からマスタ2を
版胴1,161に一層確実に、かつ、均一にシワを発生
させること無く巻装することができる。
【0269】(変形例4) 図40及び41に、本発明に係る変形例4を示す。 上
記実施例1及び例1,2及び変形例1乃至3等のうち
で、特に印刷時等におけるマスタロール2aの回転を規
制制動する規制手段80、給版規制手段80−2を有し
ていない例1及び例1−1等において又はマスタロール
2aに巻成されているマスタ2同士が緩んで繰り出され
たりすると、マスタ2の穿孔終了側後部に対応するプラ
テンローラ22と版胴1,161との間のマスタ2の巻
き始め位置でマスタ2の弛み部分がつぶされることによ
り、マスタ2にシワが発生してしまうことがある。そこ
で、これを改良すべく変形例4を発明した。
【0270】この変形例4は、上記実施例1及び変形例
1における保持部材18あるいはマイクロ吸盤層19の
配設状態に加えて、さらに図40及び41に示すよう
に、版胴1,161の外周面に巻装されるマスタ2の穿
孔終了側後部に対応する版胴1,161の外周面の位置
に、マスタ2裏面に接触してマスタ2を該位置に保持す
るための、粘着性を有するマスタ保持手段としての保持
部材18あるいはマイクロ吸盤層19を設けたことのみ
相違する。
【0271】なお、変形例4は、図40及び41に示し
たものに限らず、上記変形例2,3を付加したり、組合
わせ付加したものであってもよい。
【0272】なお、変形例4は、図40,41に示した
例及び上記したものに限らず、保持部材18あるいはマ
イクロ吸盤層19の断面形状が、図10に示したシート
状のものの他、例えば図11に示すような山形状のも
の、あるいは図12に示すように、排版及び製版時に版
胴1,161の回転方向の上流側Fに向かって徐々にそ
の高さが高くなる丘状をなすもの、換言すればプラテン
ローラ22寄りであってマスタ2の巻き始め部分の方が
高い丘状をなし該巻き始め部分から遠ざかるにつれて徐
々に低い丘状をなすものであってもよい。
【0273】したがって、この変形例4によれば、上記
実施例1及び例1,2及び変形例1乃至3等で述べた各
利点に加えて、次のような利点がある。すなわち、上記
実施例1及び変形例1における保持部材18あるいはマ
イクロ吸盤層19の配設状態に加えて、さらに図40及
び41等に示すように、版胴1,161の外周面に巻装
されるマスタ2の穿孔終了側後部に対応する版胴1,1
61の外周面の位置に、マスタ2に接触してマスタ2を
該位置に保持するための、粘着性を有するマスタ保持手
段としての保持部材18あるいはマイクロ吸盤層19を
設けたことにより、画像後端部に発生するマスタ2のシ
ワを防止することができる。
【0274】(変形例5) 図42に、本発明に係る変形例5を示す。上記実施例1
及び例1,2及び変形例1乃至4等において、版胴1,
161に巻装されたマスタ2に対して、版胴1や版胴1
61を含む上記したドラムユニット等の装置本体側から
の着脱、あるいは印刷時等におけるジャム紙除去等のと
きに、版胴1,161の軸線方向に上記操作に伴う力が
作用したような場合に、マスタ2はインキの粘着力によ
り版胴1,161に貼り付いているので、版胴1,16
1に巻装されたマスタ2がずれてしまうことがある。こ
のようにマスタ2がずれてしまった部分は、プレスロー
ラ15等の押圧手段による押圧時につぶされてマスタ2
にシワが発生してしまうと共に、排版ロール37aの巻
取径を著しく違わせたり、あるいは製版時においてもマ
スタ2に付与される張力を不均一にするように作用して
しまうことがある。そこで、これを改良すべく、版胴
1,161の両側縁部における印刷可能領域Prに巻装
されるマスタ2の穿孔両側縁部(一般的には、版胴の開
孔領域である印刷可能領域Prよりも小さく設定されて
いる)にもマスタ保持手段としての保持部材18あるい
はマイクロ吸盤層19を設けた変形例5を発明した。
【0275】この変形例5は、上記実施例1及び変形例
1における保持部材18あるいはマイクロ吸盤層19の
配設状態に加えて、さらに図42に示すように、版胴
1,161の外周面に巻装されるマスタ2の穿孔両側縁
部に対応する版胴1,161の外周面の位置に、マスタ
2の裏面に接触してマスタ2を該位置に保持するため
の、粘着性を有するマスタ保持手段としての保持部材1
8あるいはマイクロ吸盤層19を設けたことのみ相違す
る。
【0276】なお、変形例5は、図42に示したものに
限らず、図43に示すように、上記変形例2,3及び4
を組合わせ付加したものであってもよい。
【0277】なお、変形例5は、図42及び43等に示
したものに限らず、保持部材18あるいはマイクロ吸盤
層19の断面形状が、図10に示したシート状のものの
他、例えば図11に示すような山形状のもの、あるいは
図12に示すように、マスタ幅方向Wに向かって徐々に
その高さが高くなる丘状をなすもの、換言すれば版胴
1,161の各側縁の外側方向に向かうにつれて徐々に
高い丘状をなすものであってもよい。
【0278】したがって、この変形例5によれば、上記
実施例1及び例1,2及び変形例1乃至4等で述べた各
利点に加えて、次のような利点がある。すなわち、上記
実施例1及び変形例1における保持部材18あるいはマ
イクロ吸盤層19の配設状態に加えて、さらに図42や
43等に示したように、版胴1,161の外周面に巻装
されるマスタ2の穿孔両側縁部に対応する版胴1,16
1の外周面の位置に、マスタ2の裏面に接触してマスタ
2を該位置に保持するための、粘着性を有するマスタ保
持手段としての保持部材18あるいはマイクロ吸盤層1
9を設けたので、上述したようにマスタ2の側縁から力
が作用しても、マスタ2がずれてシワが発生したり、排
版ロール37aの巻取径が著しく変化したりして発生す
るマスタ2のシワにより、画像が悪化してしまうことが
防止される。
【0279】なお、上記実施例1及び例1,2等の孔版
式製版印刷装置の版胴1,161に限らず、その全周面
に亘り開孔領域が形成されている版胴や印刷ドラム、例
えば本願出願人により先に提案した特開平7−4775
5号公報の図7に示されている印刷ドラム300に、マ
スタ保持手段としての保持部材18あるいはマイクロ吸
盤層19を上述した実施例1、例1及び2等又は変形例
1乃至5と同様に設けてもよい。
【0280】また、上記実施例1及び例1,2等の孔版
式製版印刷装置の版胴1,161に限らず、マスタが外
周面に巻装される版胴と、上記版胴を回転駆動する版胴
駆動手段と、上記版胴の内周面にインキを供給するイン
キ供給手段と、上記マスタを製版する製版手段とを備
え、上記版胴の回転中心軸の周りに上記版胴に対して回
動自在であり、ロール状に巻かれた上記マスタを上記版
胴に供給するマスタ供給部と上記マスタを上記版胴から
巻き取る排版巻取部とを有する給排版ユニットを具備し
ている、いわゆるマスタ供給排版方式の孔版式製版印刷
装置における上記版胴に、マスタ保持手段としての保持
部材18あるいはマイクロ吸盤層19を上述した実施例
1、例1,2等又は変形例1乃至5等と同様に設けても
い。
【0281】上記マスタ供給排版方式の孔版式製版印刷
装置で公知のものとしては、例えば特公平5−7059
5号公報に開示されている孔版印刷装置、特開平6−2
70524、特開平7−52513、同7−18651
0、同7−186511、同7−214886号公報等
に開示されたものがある。
【0282】さらに、マスタ保持手段としての保持部材
18あるいはマイクロ吸盤層19を、上述した実施例
1、例1,2等又は変形例1乃至5等と同様の設置状態
で、上記マスタ供給排版方式の孔版式製版印刷装置以外
の版胴や印刷ドラム(例えば特開平5−229243号
公報に記載されている版胴7、特開平6−328831
及び同7−186509号公報に記載されている印刷ド
ラム30等)に、その目的及び用途に応じて準用しても
よい。
【0283】なお、上述した実施例1、例1,2等又は
変形例1乃至5等の他、マスタ保持手段の上記した各種
の材料、上記した各種の形成方法、及び版胴や印刷ドラ
ムへの上記した設置状態において種々の組合せによる変
形例が、当業者であるならば容易に想到することができ
よう。
【0284】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、マスタ保持手段を、非粘着部分と粘着部分
とから形成し、製版及び排版時における版胴の回転方向
の下流側のマスタ保持手段を非粘着部分で、同回転方向
の上流側のマスタ保持手段を粘着部分でそれぞれ構成し
たことにより、マスタが最初に非粘着部分と接触するこ
とによって、マスタの両側縁方向に略山形状をなすこと
で形成された傾斜角に沿って移動しつつその傾斜角に応
じた張力を受けた後に、粘着部分によりマスタが保持さ
れ、マスタにおける両側縁方向の伸張がより一層確実に
行われるので、マスタの穿孔開始側前部からマスタを版
胴に一層確実に、かつ、均一にシワを発生させること無
く巻装することができる。
【0285】
【0286】請求項2記載の発明によれば、この種のマ
スタ供給排版方式の孔版式製版印刷装置に使用されてい
るインキは上記したようにオイルを含んだ油性タイプの
インキであり、インキの飛散等でインキが粘着性を有す
るマスタ保持手段に付着した場合に、インキ中のオイル
の働きによりその粘着力が低下してしまうことがある
が、マスタ保持手段を微小な吸盤を複数備えた吸着層と
することで、インキ中等のオイル飛散等が発生してもマ
スタの保持力の低下を防止することができ、またインキ
中等のオイル飛散等に伴う清掃等も殆ど不要とすること
ができる。
【0287】
【0288】
【0289】請求項記載の発明によれば、ロール状に
巻かれたマスタが緩んで繰り出されたりすると、マスタ
の穿孔終了側後部に対応する版胴の位置でマスタの弛み
部分がつぶされることにより、マスタにシワが発生して
しまうことがある。そこで、版胴の外周面に巻装される
マスタの穿孔終了側後部に対応する版胴の外周面の位置
に、マスタに接触してマスタを該位置に保持するため
の、粘着性を有するマスタ保持手段を設けたことによ
り、マスタの穿孔終了側後部がマスタ保持手段と接触し
て、その画像後端部分が均一に伸張した状態で版胴に巻
装されると共に、マスタの穿孔終了側後部が、マスタの
穿孔終了側後部に対応する版胴の位置(すなわち版胴に
おけるマスタの巻き始め部分)に近接したときに、マス
タ保持手段によりマスタの穿孔終了側後部が貼着・保持
されることで、上記巻き始め部分から進行するマスタの
シワがマスタ保持手段の部位でブロックされ、製版済み
マスタの画像後端部分まで成長しなくなるので、さら
に、画像後端部に発生するマスタのシワを防止すること
ができ、マスタのシワによる画像悪化が防止されて良好
な画像品質を得ることができる。
【0290】請求項記載の発明によれば、版胴の外周
面に巻装されるマスタの穿孔両側縁部に対応する版胴の
外周面の位置に、マスタに接触してマスタを該位置に保
持するための、粘着性を有するマスタ保持手段を設けた
ので、ドラムユニット等の着脱あるいはジャム紙除去に
よるマスタの側縁方向からの力が作用した場合でも、マ
スタがずれてシワが発生したり、排版巻取部の巻取径が
著しく変化したりして発生するマスタのシワにより、画
像が悪化してしまうことが防止されるので、さらに、良
好な画像品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例1を示す孔版式製版印刷装
置の版胴廻りの部分断面を含む正面図である。
【図2】実施例1における孔版式製版印刷装置の製版及
び排版工程を表す動作説明図である。
【図3】版胴駆動機構廻りの要部の断面側面図である。
【図4】実施例1における孔版式製版印刷装置の連結手
段廻りの側断面図である。
【図5】実施例1における孔版式製版印刷装置の給排版
ユニット位置決め手段及び規制手段廻りの正面図であ
る。
【図6】排版巻取駆動手段及び排版軸ギアを示す要部の
正面図である。
【図7】図6の要部の側面図である。
【図8】プラテンローラ駆動手段及びプラテンローラギ
アを示す要部の正面図である。
【図9】実施例1における保持部材(あるいはマイクロ
吸盤層)の版胴への設置状態を示す要部の平面図であ
る。
【図10】図9の要部の正断面図である。
【図11】保持部材の断面例を示す要部の正断面図であ
る。
【図12】保持部材の別の断面例を示す要部の正断面図
である。
【図13】変形例1におけるマイクロ吸盤層の版胴への
設置状態を示す要部の側断面図である。
【図14】例1を示す孔版式製版印刷装置の版胴廻りの
一部断面正面図である。
【図15】例1における給排版ユニットの要部の平面図
である。
【図16】例1における給排版ユニット及び版胴の正面
図である。
【図17】例1の別の例1−1を示す孔版式製版印刷装
置の版胴廻りの要部の一部断面正面図である。
【図18】例1−1における製版及び排版工程を表す動
作説明図である。
【図19】例1−1の別の例を示す孔版式製版印刷装置
の版胴廻りの一部断面正面図である。
【図20】例1−1のさらに別の例を示す孔版式製版印
刷装置の版胴廻りの一部断面正面図である。
【図21】例2を示す孔版式製版印刷装置の版胴廻りの
一部断面正面図である。
【図22】例2における版胴駆動機構廻りの要部の断面
側面図である。
【図23】例2における給版連結手段及び排版連結手段
廻りの側断面図である。
【図24】例2における給版規制手段及び排版規制手段
廻りの側断面図である。
【図25】例2における給版ユニット位置決め手段及び
給版規制手段廻りの要部の正面図である。
【図26】例2における排版ユニット位置決め手段及び
排版規制手段廻りの要部の正面図である。
【図27】例2における支持アーム前の基軸部と支持ア
ーム後の基軸部との組立て状態を示す要部の斜視図であ
る。
【図28】例2における支持アーム前対のマスタロール
交換位置への移動完了状態を表す動作説明図である。
【図29】例2におけるマスタロール交換位置での新し
いマスタロールのロール軸及び排版ロールの排版軸の交
換完了状態を表す動作説明図である。
【図30】例2における製版及び排版工程を表す動作説
明図である。
【図31】例2の別の例2−1を示す孔版式製版印刷装
置の版胴廻り及び初期位置状態を表す一部断面正面図で
ある。
【図32】例2−1における版胴へのマスタの巻装完了
状態を表す動作説明図である。
【図33】例2−1におけるマスタが略完全に使用され
た状態を表す動作説明図である。
【図34】例2−1におけるマスタロール交換位置で
の、マスタが略完全に使用されたマスタロールのロール
軸及び使用済みのマスタで略満杯になった排版ロールの
排版軸の状態を表す動作説明図である。
【図35】例2のさらに別の例2−2を示す孔版式製版
印刷装置のヒステリシスブレーキの要部の側断面図であ
る。
【図36】別の版胴駆動機構廻りの要部の断面側面図で
ある。
【図37】変形例2における保持部材あるいはマイクロ
吸盤層の版胴への設置状態を示す要部の平面図である。
【図38】変形例3における伸張部及び保持層部の版胴
への設置状態を示す要部の平面図である。
【図39】変形例3における伸張部及び保持層部の版胴
への別の設置状態を示す要部の平面図である。
【図40】変形例4を示す孔版式製版印刷装置の版胴廻
りの一部断面正面図である。
【図41】変形例4における保持部材あるいはマイクロ
吸盤層の版胴への設置状態を示す要部の平面図である。
【図42】変形例5における保持部材あるいはマイクロ
吸盤層の版胴への設置状態を示す要部の平面図である。
【図43】変形例5の別の変形例における保持部材ある
いはマイクロ吸盤層の版胴への設置状態を示す要部の平
面図である。
【符号の説明】
1,161 版胴 2 マスタ 2a マスタロール 4,4A,4B 版胴駆動機構 5 版胴駆動手段としてのモータ 5A 版胴駆動手段としてのメインモータ 5B 版胴駆動手段としての低速モータ 10 インキ供給手段 18 マスタ保持手段としての保持部材 18A 非粘着部分としての伸張部 18B 粘着部分としての保持層部 19 吸着層としてのマイクロ吸盤層 20 製版手段 21 サーマルヘッド 22 プラテンローラ 30,130 給排版ユニット 30A 給排版ユニットを構成する給版ユニット 32 マスタ供給部としてのロール軸 35A 給排版ユニットを構成する排版ユニット 37 排版巻取部としての排版軸 37a 排版ロール 40,40A 排版巻取駆動手段 45 プラテンローラ駆動手段 50 サーマルヘッド接離手段 90 解除ユニット F 版胴回転方向の上流側 H 非印刷領域 Pr 印刷可能領域 R 版胴回転方向の下流側
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−47755(JP,A) 特開 平7−9753(JP,A) 特開 平6−270524(JP,A) 特開 平6−270378(JP,A) 特開 昭62−73988(JP,A) 実開 平6−75762(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41L 13/04 B41L 13/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マスタが外周面に巻装される版胴と、上記
    版胴を回転駆動する版胴駆動手段と、上記版胴の内周面
    にインキを供給するインキ供給手段と、上記マスタを製
    版する製版手段とを備え、上記版胴の回転中心軸の周り
    に上記版胴に対して回動自在であり、ロール状に巻かれ
    た上記マスタを上記版胴に供給するマスタ供給部と上記
    マスタを上記版胴から巻き取る排版巻取部とを有する給
    排版ユニットを具備し、上記外周面に巻装される上記マ
    スタの穿孔開始側前部に対応する上記外周面の位置に、
    上記マスタに接触して上記マスタを該位置に保持するた
    めの、粘着性を有するマスタ保持手段を設け、上記マス
    タ保持手段の上記マスタとの当接開始部は、上記版胴の
    中央部を頂点とし上記版胴の回転方向の上流側に向かっ
    て上記版胴の両側縁部に徐々に傾斜した略山形状をなす
    孔版式製版印刷装置において、上記マスタ保持手段は、非粘着部分と粘着部分とからな
    り、上記回転方向の下流側の上記マスタ保持手段を上記
    非粘着部分で、上記回転方向の上流側の上記マスタ保持
    手段を上記粘着部分でそれぞれ構成した ことを特徴とす
    る孔版式製版印刷装置の版胴
  2. 【請求項2】請求項1記載の孔版式製版印刷装置の版胴
    において、 上記マスタ保持手段は、微小な吸盤を複数備えた吸着層
    からなることを特徴とする孔版式製版印刷装置の版胴。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載の孔版式製版印刷装置
    の版胴において、上記外周面に巻装される上記マスタの穿孔終了側後部に
    対応する上記外周面の位置に、上記マスタに接触して上
    記マスタを該位置に保持するための、粘着性を有するマ
    スタ保持手段を設けた ことを特徴とする孔版式製版印刷
    装置の版胴。
  4. 【請求項4】請求項1,2又は3記載の孔版式製版印刷
    装置の版胴において、上記外周面に巻装される上記マスタの穿孔両側縁部に対
    応する上記外周面の位置に、上記マスタに接触して上記
    マスタを該位置に保持するための、粘着性を有するマス
    タ保持手段を設けた ことを特徴とする孔版式製版印刷装
    置の版胴。
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