JP3473561B2 - ウェットティッシュ用不織布 - Google Patents

ウェットティッシュ用不織布

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JP3473561B2
JP3473561B2 JP2000228755A JP2000228755A JP3473561B2 JP 3473561 B2 JP3473561 B2 JP 3473561B2 JP 2000228755 A JP2000228755 A JP 2000228755A JP 2000228755 A JP2000228755 A JP 2000228755A JP 3473561 B2 JP3473561 B2 JP 3473561B2
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fibers
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特には赤ちゃん用
のお尻拭き、大人用の身体またはお尻拭き、ウェットワ
イプなどに好適に使用でき、柔軟性と、良好な肌触り感
とウェット強度とを兼ね備え、拭取り時に汚物や汚れな
どを残さず綺麗に除去できるようにしたウェットティッ
シュ用不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、赤ちゃん用のお尻拭き、大人
用の身体またはお尻拭き、ウェットワイプなどの用途と
して、種々の構造または成分のウェットティッシュ用不
織布が提案されている。
【0003】たとえば、レーヨン等の親水性繊維と、熱
接着性繊維とからなる複合繊維ウェブを高圧水流処理に
より繊維同士を交絡させた後、熱処理を行い前記熱接着
性繊維を溶着させることにより、ドライ時およびウェッ
ト時の強度を確保するようにした不織布が知られてい
る。
【0004】しかし、この不織布は、用途が赤ちゃん用
のお尻拭き、大人用の身体またはお尻拭き、ウェットワ
イプなどで、排泄物などの汚物や量のある汚れ等を拭取
り対象とする場合には、不織布単位面積当たりの拭取り
可能量が少ないとともに、不織布に付着した汚物が身体
側に再び転着したり、汚物が筋状に残るなどの問題があ
った。
【0005】そこで、不織布の表面に凹凸を形成した
り、不織布に通孔を形成することで、汚物を前記表面凹
部や開孔内に封じ込めるようにしたワイパー用不織布な
どが提案されている。
【0006】不織布表面に凹凸を形成するようにしたも
のとしては、たとえば特開平2-160962号公報、特開昭62
-141167号公報、特開平9-67748号公報、特開平11-48381
号公報などに記載されるものを挙げることができる。具
体的に述べると、特開平2-160962号公報には高スパイラ
ル捲縮繊維やエラストマー繊維等の伸縮性繊維の収縮性
を利用して不織布表面にクレープを形成したものが開示
され、特開昭62-141167号公報には熱収縮性シートと、
非熱収縮性シートとを部分的に結合して一体化した後、
熱処理を行い前記結合部間に凸部を形成した不織布が開
示され、特開平9-67748号公報には、最大熱収縮率が5
0%以上の熱収縮性繊維と、非熱収縮性繊維とからなる
繊維ウエブに、高圧水流処理を施し、繊維同士を交絡さ
せて一体化した後、熱収縮性繊維の融点近傍の温度で熱
処理を施すことにより、構成繊維同士を熱接着させると
共に、熱収縮繊維を収縮させて不織布の両面に不規則に
多数の畝を形成した不織布が開示されている。さらに、
特開平11-48381号公報には、畝状の山部と溝状の谷部と
が交互に並列した表面形態を成すワイパー用積層物が開
示されている。
【0007】一方、不織布に通孔を形成するものとして
は、特開昭61-6355号公報、特開平1-321961号公報、特
開2000-45161号公報などに記載されるものを挙げること
ができる。具体的に述べると、特開昭61-6355号公報に
は一定の反復間隔で開孔模様を形成した不織布が開示さ
れ、特開平1-321961号公報には縦方向および横方向に開
孔列を形成した格子開孔模様を形成した不織布が開示さ
れ、特開2000-45161号公報には開孔列と非開孔列とが交
互に形成された不織布が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、不織布
表面にクレープ、凸部、畝状の凹凸を形成するようにし
た前記不織布の場合、拭取り面部では面圧が加えられる
ことにより、実質的に不織布面が平坦化されてしまい、
所望の拭取り効果を期待することは出来ないことがあ
る。また、お尻拭き用の場合、大量の汚物が局部的に集
中する傾向にあり、許容量を超えた不織布の凹部から汚
物の戻りが生じて綺麗に拭取りが出来なかったり、拭取
り時の不織布の移動方向によっては、汚物が筋ムラとな
って残るなどの問題があった。
【0009】一方、不織布に開孔を形成した不織布の場
合には、汚物が容易に通過可能な開孔であるため、不織
布に加えられる面圧も手伝って汚物が不織布を通過して
しまい、手が汚物で汚れてしまうなどの問題があった。
【0010】一方、レーヨン等の親水性繊維と、ポリエ
チレン、ポリプロピレン等の熱接着性繊維とからなる複
合繊維ウェブを高圧水流処理により繊維同士を交絡させ
た後、熱処理を行い前記熱接着性繊維を溶着させた不織
布は、親水性繊維と熱接着性繊維との比率をうまく調整
すれば、所定の保水性とウェット強度とを備えるととも
に、柔軟性と表面肌触り感に優れたものを得ることが可
能であるが、前記排泄物などの汚物や量のある汚れを拭
取り対象とする場合には、柔軟性や肌触り感とともに、
湿潤時にへたりが無く、嵩のある不織布であることが望
まれる。
【0011】そこで本発明の主たる課題は、排泄物など
の汚物や量のある汚れ等を拭き取った際、これら汚物や
汚れを筋ムラを残すこと無く、完全に綺麗に拭き取るこ
とができるようにするとともに、柔軟性および風合いに
優れると共に、べた付き感が無く、しかも適度のコシを
備えて湿潤時のへたりが無い、そして必要な湿潤時強度
を兼ね備えるなどのトータルバランスに優れたウェット
ティッシュ用不織布を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に請求項1に係る本発明として、少なくとも、親水性を
示す第1繊維および熱融着性を示す第2繊維とを含み、
繊維が三次元的に交絡するとともに、前記熱融着性を示
す第2繊維の融着により繊維同士が結合された不織布で
あって、前記不織布は、相対的に繊維密度が高くかつ線
状に形成された凸条部と、相対的に繊維密度が低くかつ
線状に形成された凹条部とが交互に存在し、前記凸条部
と凹条部とによって形成される線状模様が、他の凸条部
と凹条部とによって形成される線状模様と交差する杉綾
模様を呈し、前記凸条部と凹条部とによって形成される
線状模様の線本数は3〜9本/cmであり、かつ前記凸条
部と凹条部との高低差は、50〜300μmであること
を特徴とするウェットティッシュ用不織布が提供され
る。
【0013】請求項2に係る本発明として、前記親水性
を示す第1繊維および熱融着性を示す第2繊維と、熱捲
縮性を示す熱可塑性繊維との3種類の繊維から構成さ
れ、高圧水流の投射により繊維を交絡させた後、熱処理
により前記熱融着性を示す第2繊維により繊維同士を結
合すると同時に、前記熱可塑性繊維を捲縮させて嵩高性
を付与している請求項1記載のウェットティッシュ用不
織布が提供される。
【0014】請求項3に係る本発明として、前記親水性
を示す第1繊維を50〜70重量%、前記熱融着性を示
す第2繊維を10〜30重量%、前記熱捲縮性を示す熱
可塑性繊維を0〜40重量%含有する請求項記載のウ
ェットティッシュ用不織布が提供される。
【0015】請求項4に係る本発明として、前記熱捲縮
性を示す熱可塑性繊維がポリエステル繊維である請求項
記載のウェットティッシュ用不織布が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら詳述する。
【0017】本発明に係るウェットティッシュ用不織布
1は、図1〜図3に示されるように、レーヨンなどの親
水性繊維と、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱融
着性繊維と、ポリエステル繊維等の熱可塑性繊維とを含
み、これら各繊維が三次元的に交絡するとともに、前記
熱融着性繊維の融着により繊維同士が結合された不織布
として製作されたものであって、特に相対的に繊維密度
が高くかつ線状に形成された凸条部2,2…と、相対的
に繊維密度が低くかつ線状に形成された凹条部3,3…
とが交互に存在し、かつ前記凸条部2と凹条部3とによ
って形成される線状模様が、他の凸条部2と凹条部3と
によって形成される線状模様と交差する交差模様を呈し
ている。前記凸条部2と凹条部3とによる線状模様は、
図2に示されるように片面のみに形成しても良いし、図
3に示されるように両面に形成してもよい。
【0018】本発明者等は、拭取り時に汚物や汚れなど
を残さず綺麗に除去できる不織布の表面形態について、
種々の検討を行った結果、不織布の表面形態を凹凸状と
して、拭取り性を向上させるようにした従来の不織布
は、主に凹部の窪み部分を排泄物の捕捉部として拭取り
を行うものであり、拭取り初期は前記凹部に排泄物が堆
積する一方、拭取り面には凸部が主に接触するため、ム
ラなく拭取りが可能であるが、前記凹部での堆積量が許
容量を超えると、一旦拭き取られた排泄物が逆に拭取り
面に転着して拭取りムラが生じる現象が見られるように
なることを知見した。
【0019】そこで、不織布の表面形態を凸状部2,2
…と、凹状部3,3…とが交互に存在する筋模様とする
とともに、特に凹部での繊維密度を相対的に小さくなる
ようにした。拭取りによって凹部に蓄積された排泄物
は、繊維密度の小さい凹部面から繊維間に侵入し、いわ
ば繊維間の空間によって捕捉されるようになるため、言
わば主として表面の凹凸形状によって排泄物の捕捉を行
う従来物と比較すると、全体として拭取り可能量の向上
が見られるとともに、一旦捕捉した排泄物の戻り(転
着)を防止し得るようになる。
【0020】また、凸状の畝と、凹状の溝とが単に一方
向に沿って形成されている従来の不織布の場合、この畝
・溝方向に直交または交差する方向に沿って拭取りが行
われた場合には、排泄物が凹状溝内に集積する一方、拭
取り面とは凸状の畝が接触するようになる。すなわち、
凸状畝の存在によって排泄物が凹状溝内に押し込められ
るとともに、凸状畝によってすくい取られるため綺麗な
拭取りが可能であるが、前記畝・溝方向に沿って拭取り
が行われたとすると、前記凹状溝内に集積した排泄物
は、拭取り当初から最後まで肌面と接触する状態とな
り、凸状畝によってすくい取られるということが無く、
排泄物が筋状の拭取りムラとなって残ることが判った。
【0021】そこで、前記凸条部2と凹条部3とによっ
て形成される線状模様が、他の凸条部2と凹条部3とに
よって形成される線状模様と交差する交差模様、図示例
では杉綾模様を呈するようにした。その結果、どの方向
に拭取りを行っても、凸条部2の存在によって排泄物が
凹条部3内に押し込められるとともに、最後は凸条部2
によって排泄物がすくい取られるようになるため、筋ム
ラを生じさせることなく綺麗に拭取りが行えるようにな
る。
【0022】前記交差模様としては、前記凸条部2と凹
条部3とによって形成される線状模様が、他の凸条部2
と凹条部3とによって形成される線状模様と交差してい
れば良く、前記杉綾模様以外に、格子模様、菱形模様等
種々の模様とすることができる。前記凸条部2と凹条部
3とによって形成される線状模様の線本数は3〜9本/
cmであることが望ましい。線本数が3本/cm未満の場合
には、不織布が平坦に近づくことで、一旦捕捉された排
泄物が転着し易くなり、線本数が9本/cmを超える場合
には、凸条部2と凹条部3とで形成される空間の容積が
小さくなり過ぎるため、前記凹条部3に所望の量の排泄
物を確保出来なくなり望ましくない。
【0023】また、図2および図3に示されるように、
前記凸条部2の裏面からの高さ(厚み)Hは、300
〜800μm、好ましくは450〜650μm、前記凹
条部3の裏面からの高さ(厚み)Hは、100〜50
0μm、好ましくは200〜400μmとするのが望ま
しい。別の視点から言えば、前記凸条部2と凹条部3と
の高低差は、50〜300μm、好適には75〜150
μm程度とするのが望ましい。高低差が50μm未満で
ある場合には、凹条部3による捕捉効果を多く期待でき
ず所望の拭取り量が確保出来なくなる。また、高低差が
300μmを超えるものは、結果的に不織布の厚みが厚
くなり、柔軟性や手触り感が損なわれ、ウェットティッ
シュ用不織布としては不適となる。
【0024】一方、この種の不織布に要求される柔軟
性、保水性、風合い、湿潤時のへたりや湿潤時強度に関
して言えば、レーヨンなどの親水性繊維を適切な割合で
含有することにより所定の柔軟性と保水性とを備えると
ともに、繊維密度の高い部分凸条部2と繊維密度の低い
部分凹条部3とが交互に存在しているため、前記繊維密
度の低い凹条部3における屈曲容易性により構造的にも
適度な柔らかさが付与され、かつ表面の凹凸模様により
適度な風合いが付与されるようになる。
【0025】また、熱融着性繊維を混入することによ
り、湿潤時強度が向上するとともに、熱捲縮性を有する
熱可塑性繊維により、湿潤時強度の付与とともに、不織
布が嵩高となり風合い、手触り感に優れたものなる。
【0026】前記親水性繊維は、綿、パルプなどの天然
繊維、レーヨン、キュプラなどの再生繊維などを使用す
ることができる。これらの繊維の中でも特にはレーヨン
が好適である。レーヨンは、吸水性に富み、取り扱いが
容易であると共に、一定長の繊維を安価に入手すること
ができる。かかる親水性繊維は、50〜70重量%の含
有比で配合するのが望ましい。親水性繊維の含有量が5
0重量%未満である場合には、ウェットティッシュ用と
して十分な柔軟性と保水性を与えることが出来ず、70
重量%を超える場合には、湿潤時強度が低すぎて破れな
どが生じ易くなるとともに、容器からポップアップ式で
取り出す際に伸びが生じ過ぎるようになる。
【0027】前記熱融着性繊維としては、加熱によって
溶融し相互に接着性を発現する任意の繊維を用いること
ができる。この熱融着性繊維は、単一繊維からなる物で
もよいし、2種以上の合成樹脂を組み合わせた複合繊維
等であってもよい。具体的には、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン及びポリビニルアルコール等のポリオレフィン
系単一繊維や、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチ
レン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、
ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタ
レート−エチレン・プロピレン共重合体、低融点ポリエ
ステル−ポリエステルなどからなる鞘部分が相対的に低
融点とされる芯鞘型複合繊維または偏心芯鞘型複合繊
維、またはポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレ
ン、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン、ポロプロ
ピレン/ポリエチレンからなる各成分の一部が表面に露
出している分割型複合繊維、あるいはポリエチレンテレ
フタレート/エチレン−プロピレン共重合体からなる一
方の成分の熱収縮により分割する熱分割型複合繊維など
を用いることができる。この場合、生産性および寸法安
定性を重視する場合は芯鞘型複合繊維が好ましく、不織
布のボリューム感を重視するならば偏心型複合繊維が好
ましい。また、柔軟性を重視するならば、分割型複合繊
維や熱分割型複合繊維を用いると、高圧水流処理時に各
成分が容易に分割して極細繊維化されるようになる。か
かる熱融着性繊維は、10〜30重量%の含有比で配合
するのが望ましい。熱融着性繊維が10重量%未満の場
合には、湿潤時強度が確保し得ないとともに、容器から
ポップアップ式で取り出す際に伸びが大きくなり過ぎる
ようになる。また、30重量%を超える場合には、風合
いが硬くなり、手触り感がざらついた感触となり、この
種のウェットティッシュとしては好ましくないものとな
る。
【0028】本発明においては、前記親水性繊維および
熱融着性繊維の他、熱可塑性合成繊維を混合することが
できる。熱可塑性繊維としては、色々の合成繊維が存在
するが、中でもポリエステル繊維が好適である。ポリエ
チレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維は、
高圧水流処理した際の交絡性が悪いとともに、毛羽立ち
や湿潤強度に劣るようになる。また、ナイロン等のポリ
アミド系繊維は、親水性があり好ましくない。
【0029】前記ポリエステル繊維の混合量は40重量
%以下とされる。ポリエステル繊維の含有量が40重量
%を超えると、保水性が損なわれ、ウェットティッシュ
用不織布としてのウェット性能が著しく低下するように
なる。なお、このポリエステル繊維は省略することも可
能である。
【0030】ポリエステル繊維を混入することにより、
湿潤時のコシが向上し、嵩のある不織布を得ることがで
きる。また、一部が不織布表面に露出することで、疎水
性により湿潤時においてもべた付き感を緩和し、さらり
とした感触が付与される。
【0031】前記ポリエステル繊維は、熱捲縮性を有す
ることが望ましい。熱捲縮性を与えるのは、ポリエステ
ル繊維に対して熱収縮温度の異なる合成樹脂を貼り合わ
せたサイド・バイ・サイド型複合繊維の形態を採るよう
にする。ポリエステル繊維の融点は、ポリエチレンテレ
フタレートが255℃、ポリブチレンテレフタレートが
215℃であり、これに貼り合わせる低融点樹脂として
は、前述の熱融着性繊維の融点温度とほぼ同様の樹脂を
用いるようにするのがよい。すなわち、レーヨン等の親
水性繊維および熱融着性繊維と、熱捲縮性を示すポリエ
ステル繊維との3種類の繊維から構成され、後述のよう
に、高圧水流の投射により繊維を交絡させた後、熱処理
により前記熱融着性繊維の溶融により繊維同士を結合す
ると同時に、前記ポリエステル繊維を捲縮させて嵩高性
を付与するのが望ましい。
【0032】前述したウェットティッシュ用不織布を得
るには、不織布に与えたい表面模様を成すワイヤメッシ
ュ上に、レーヨンなどの親水性繊維と、ポリエチレン、
ポリプロピレンなどの熱融着性繊維と、ポリエステル繊
維等の熱可塑性繊維からなる繊維ウエブを積層し、搬送
中にこの繊維ウエブの上方から高圧水流を噴射して繊維
同士を交絡させるようにする。この際、ワイヤメッシュ
のワイヤが存在する部分の繊維は、高圧水流の衝突エネ
ルギーによってワイヤの両側に押し分けられ開孔側に移
動されるため、メッシュ開孔部の繊維部分が相対的に繊
維密度が高くなるとともに、開孔形状に合わせて凸状と
なり、一方ワイヤが存在する部分は相対的に繊維密度が
小さくなるとともに、ワイヤに沿って凹状が形成され
る。
【0033】高圧水流により各繊維は相互に絡み合い繊
維ウエブ全体が一体化される。その後、一体化された繊
維ウエブに対して、熱融着性繊維の融点近傍の温度で熱
処理を行い、熱融着繊維の溶融により繊維相互を結合す
るとともに、熱捲縮性を有する熱可塑性繊維が捲縮化す
ることで嵩高性が付与されるようになる。
【0034】なお、本ウェットティッシュ用不織布の目
付け量は、20〜50g/m、好ましくは20〜40g/m
程度が好適とされる。
【0035】
【実施例】人工皮膚上(200mm×135mm)にプロピレング
リコール、塩化ベンザルコニウム等の保湿用薬液、殺菌
用薬液、防腐剤等の薬液を含浸させた不織布(本発明不
織布と表面が均一な従来不織布)を敷き、一定重量の重
り(底面105mm×55mm)を載せる。軟便に見立てた味噌
と、水との混合物(味噌:水=2:1)を人工皮膚上に
載せ、不織布の端を持ち、引っ張ることで人工皮膚上を
移動させ、味噌を拭き取る。人工皮膚上に残った味噌の
量から不織布の拭取り性を判断する。
【0036】前記本発明不織布は、親水性繊維としてレ
ーヨン繊維60重量%、熱融着性繊維として高密度ポリ
エチレン(鞘部分)/ポリプロピレン(芯部分)複合繊
維20重量%、熱可塑性繊維として高密度ポリエチレン
/ポリエステル(サイド・バイ・サイド型)複合繊維2
0重量%のウエブ繊維を杉綾模様のワイヤメッシュ上に
集積し高圧水流処理した後、熱風型乾燥機にて温度14
0℃の熱を加え、前記熱融着性繊維の鞘成分を溶融し、
他の繊維と結合させるとともに、前記熱可塑性繊維を熱
捲縮させた、杉綾模様の表面凹凸を有する比較的嵩のあ
る不織布である。
【0037】一方、従来不織布は、レーヨン繊維70重
量%、高密度ポリエチレン(鞘部分)/ポリプロピレン
(芯部分)複合繊維30重量%のウエブ繊維を平滑なウ
エブ支持体上に集積し、高圧水流により繊維を交絡さ
せ、熱風型乾燥機にて温度140℃の熱を加え、前記熱
融着性繊維の鞘成分を溶融し、他の繊維と結合させた、
表面が均一な不織布である。
【0038】また、拭取り強さについては、軟便を手で
軽く拭き取った際に残った軟便の状態から、重りの重量
を設定し、重りの重量を段階的に重くしていくことで、
強く拭き取った状態を再現する。その結果を表1に示
す。
【0039】
【表1】
【0040】なお、表中の記号は、味噌の拭き残し量の
少ない順から○、△、×とした。
【0041】
【発明の効果】以上詳説のとおり本発明によれば、排泄
物などの汚物や量のある汚れ等を拭き取った際、これら
汚物や汚れを筋ムラを残すこと無く、完全に綺麗に拭き
取ることができるようになるとともに、柔軟性および風
合いに優れると共に、べた付き感が無く、しかも適度の
コシを備えて湿潤時のへたりが無い、そして必要な湿潤
時強度を兼ね備えるなどのトータルバランスに優れたウ
ェットティッシュ用不織布を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るウェットティッシュ用不織布の要
部平面図である。
【図2】断面構造例を示す図である。
【図3】断面構造の他例を示す図である。
【符号の説明】
1…ウェットティッシュ用不織布、2…凸条部、3…凹
条部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D04H 1/70 D04H 1/70 (72)発明者 佐々木 信義 栃木県塩谷郡喜連川町大字鷲宿字菅ノ沢 4776番地4 エリエールペーパーテック 株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−48381(JP,A) 特開 平10−251954(JP,A) 特開 平9−135798(JP,A) 特開2002−30557(JP,A) 特開2000−316722(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04H 1/00 - 18/00 A47L 13/16 - 13/19 A47K 7/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも、親水性を示す第1繊維および
    熱融着性を示す第2繊維とを含み、繊維が三次元的に交
    絡するとともに、前記熱融着性を示す第2繊維の融着に
    より繊維同士が結合された不織布であって、 前記不織布は、相対的に繊維密度が高くかつ線状に形成
    された凸条部と、相対的に繊維密度が低くかつ線状に形
    成された凹条部とが交互に存在し、 前記凸条部と凹条部とによって形成される線状模様が、
    他の凸条部と凹条部とによって形成される線状模様と交
    差する杉綾模様を呈し、前記凸条部と凹条部とによって
    形成される線状模様の線本数は3〜9本/cmであり、か
    つ前記凸条部と凹条部との高低差は、50〜300μm
    であることを特徴とするウェットティッシュ用不織布。
  2. 【請求項2】前記親水性を示す第1繊維および熱融着性
    を示す第2繊維と、熱捲縮性を示す熱可塑性繊維との3
    種類の繊維から構成され、高圧水流の投射により繊維を
    交絡させた後、熱処理により前記熱融着性を示す第2繊
    維により繊維同士を結合すると同時に、前記熱可塑性繊
    維を捲縮させて嵩高性を付与している請求項1記載のウ
    ェットティッシュ用不織布。
  3. 【請求項3】前記親水性を示す第1繊維を50〜70重
    量%、前記熱融着性を示す第2繊維を10〜30重量
    %、前記熱捲縮性を示す熱可塑性繊維を0〜40重量%
    含有する請求項記載のウェットティッシュ用不織布。
  4. 【請求項4】前記熱捲縮性を示す熱可塑性繊維がポリエ
    ステル繊維である請求項記載のウェットティッシュ用
    不織布。
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