JP2004344369A - 清掃シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】親水性繊維ウェブ1と疎水性繊維ウェブ2とを、表面が溶融された熱融着性樹脂粉粒体4を介して接合する。両ウェブ1・2の間に、熱融着性樹脂粉粒体4によって撥水層5を形成し、この撥水層5で親水性繊維ウェブ1の側に含浸される清掃液が疎水性繊維ウェブ2に移行するのを阻止する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水あるいは清掃液などの液体を含浸させるシートが、吸水特性の異なる2種の不織布シートで構成してある清掃シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
清掃シートを積層シートで形成すること、および積層シートを親水性の親水性繊維ウェブと疎水性繊維ウェブとで形成することは公知である(特許文献1、2参照)。特許文献1においては、親水性繊維ウェブと疎水性繊維ウェブとからなる積層シートに高圧水を噴射し、両ウェブの繊維どうしを絡ませることにより一体化している。特許文献2においては、熱接着性を備えた疎水性繊維ウェブの表裏に親水性繊維ウェブを重ねて積層シートを得、これら三層の繊維どうしをニードルパンチ装置や水流絡合装置で絡合し一体化している。
【0003】
【特許文献1】
特許第2986689号公報(段落番号0006、図1)
【特許文献2】
特開2001−336053号公報(段落番号0020)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の積層シートは、親水性繊維ウェブと疎水性繊維ウェブとを絡合する際に、両ウェブの繊維を再配列してウェブ表面に凹凸を形成するので、凹凸部分で汚れを確実に掻き落とすことができる。しかし、繊維を再配列する際に、疎水性繊維ウェブの凹部に親水性繊維ウェブが部分的に露出するので、親水性繊維ウェブ含浸させた清掃液が、疎水性繊維ウェブの側へ滲み出やすい点に問題がある。凹凸部分を形成する工程と、その後の乾燥工程とを要するので、清掃シートの製造コストが高く付く不利もある。特許文献2の積層シートは、疎水性繊維ウェブの表裏両面に親水性繊維ウェブを重ねるので、清掃シートを使用するときに清掃液が濡れを生じて指先に付着し、使用時の不快感やべたつき感を避けられない。
【0005】
本発明の目的は、親水性繊維ウェブに含浸させた清掃液が疎水性繊維ウェブの側へ滲み出るのを確実に防止でき、従って、清掃液の付着に伴うべたつき感や不快感を一掃できるし、皮膚の荒れも防止できる、使用者に優しい清掃シートを提供することにある。本発明の目的は、2枚重ねにした親水性繊維ウェブと疎水性繊維ウェブとの間に撥水層を備えていて、親水性繊維ウェブに含浸させた清掃液が疎水性繊維ウェブに移行するのを撥水層で遮断でき、従って疎水性繊維ウェブの表面を湿り気のない状態に維持できる清掃シートを提供することにある。本発明の目的は、包装された清掃シートを取り出すとき、清掃液が含浸してある親水性繊維ウェブに手を触れることなく清掃シートを取り出せるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の清掃シートは、図1に示すように、親水性繊維ウェブ1と疎水性繊維ウェブ2とからなる積層シート3で構成してある。親水性繊維ウェブ1と疎水性繊維ウェブ2とは、両ウェブ1・2の間に配置した非吸水性の熱融着性樹脂粉粒体4を介して接合されている。両ウェブ1・2を接合する熱融着性樹脂粉粒体4によって、両ウェブ1・2の間に撥水層5が形成されていることを特徴とする(請求項1)。
【0007】
その親水性繊維ウェブ1が、天然セルローズ系繊維と再生繊維の1種以上を含む不織布からなり、疎水性繊維ウェブ2は、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、もしくは両繊維の複合繊維の1種以上を含む不織布からなる。そして、熱融着性樹脂粉粒体4は、ポリオレフィン系樹脂、またはエチレン−酢酸ビニール共重合体からなる(請求項2)。
【0008】
上記の清掃シートは、親水性繊維ウェブ1に清掃液を含浸させた状態で提供できる(請求項3)。
【0009】
清掃液を含浸する清掃シートは、表面に疎水性繊維ウェブ2のみが露出する状態で所定形状に折り畳まれて、包装ケース8内に積層収納する(請求項4)。
【0010】
【発明の作用効果】
本発明に係る清掃シートは、2枚重ねにした親水性繊維ウェブ1と疎水性繊維ウェブ2との間に非吸水性の熱融着性樹脂粉粒体4を配置し、表面が溶融された熱融着性樹脂粉粒体4で両ウェブ1・2を接合して清掃シートを得るので、高圧水を噴射して両ウェブを絡合し一体化していた従来品に比べて、清掃シートをより簡単な設備で安価に製造できる。また、固化した熱融着性樹脂粉粒体4によって、両ウェブ1・2の間に撥水層5を形成すると、親水性繊維ウェブ1の側に含浸された清掃液が疎水性繊維ウェブ2の側へ移行するのを撥水層5で阻止して、疎水性繊維ウェブ2の表面を湿り気のない状態に維持できるので、清掃液の付着に伴うべたつき感や不快感を一掃できるうえ、皮膚の荒れなどもよく防止できる(請求項1)。
【0011】
親水性繊維ウェブ1は、天然セルローズ系繊維と再生繊維の1種以上を含む不織布で形成し、疎水性繊維ウェブ2は、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、もしくは両繊維の複合繊維の1種以上を含む不織布で形成し、熱融着性樹脂粉粒体4をポリオレフィン系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニール共重合体で形成した清掃シートによれば、硬い質感の疎水性繊維ウェブ2の側でこびりついた汚れや、荒い汚れを払拭除去し、軟らかな親水性繊維ウェブ1の側で仕上げ拭きを行うことができる。両ウェブ1・2間に非吸水性に富むポリオレフィン系樹脂を配置すると、清掃液が撥水層5に滞留するのをさらに確実に防止して、清掃液が疎水性繊維ウェブ2の側へ移行するのを阻止できる(請求項2)。
【0012】
親水性繊維ウェブ1と疎水性繊維ウェブ2とからなる積層シート3に清掃液を含浸させた清掃シートによれば、清掃シートを包装容器から取り出して広げるだけで、直ちに清掃対象を清掃できる。清掃シートに清掃液を含浸させた直後の状態においては、シート全体に清掃液が含まれている。しかし、清掃液を含む清掃シートを包装した製品状態においては、疎水性繊維ウェブ2に捕捉されていた清掃液が、撥水層5を介して吸水率の高い親水性繊維ウェブ1の側に移動し、さらに撥水層5における清掃液の滞留がないので、疎水性繊維ウェブ2側の清掃液の含浸率を小さくできる。さらに、親水性繊維ウェブ1に含浸された清掃液は、撥水層5によって疎水性繊維ウェブ2の側へ移行するのが阻止されるので、疎水性繊維ウェブ2の表面を湿り気のない状態に維持できる。従って、使用状態において、疎水性繊維ウェブ2の側を手で持って清掃すれば、清掃液が手のひらや指先に付着してべたつくこともなく、清掃液の付着に伴う不快感や、皮膚の荒れなどをよく防止できる(請求項3)。
【0013】
清掃液を含浸した清掃シートが、表面に疎水性繊維ウェブ2のみが露出する状態で所定形状に折り畳んであると、包装ケース8内に積層収納してある清掃シートを取り出すときに、清掃液を含浸してある親水性繊維ウェブ1に手を触れることなく清掃シートを包装ケース8から取り出せ、従って手指への清掃液の付着を解消できるうえ、清掃液の無駄な消費を防止できる(請求項4)。
【0014】
【実施例】
図1ないし図6は本発明に係る清掃シートの実施例を示す。図1および図2において清掃シートは、親水性繊維ウェブ1と疎水性繊維ウェブ2とからなる積層シート3で構成する。親水性繊維ウェブ1は、パルプ、コットンなどの天然セルローズ系繊維、あるいはレーヨン、キュプラ、テンセルなどの再生繊維の1種以上を含んで形成した、目付けが30〜70g/m2 の不織布からなる。疎水性繊維ウェブ2は、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維の1種以上を含んで形成した、目付けが30〜70g/m2 の不織布からなる。ポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを適用できる。ポリオレフィン系繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを適用できる。
【0015】
親水性繊維ウェブ1と疎水性繊維ウェブ2とを接合するために、両ウェブ1・2の間に非吸水性の熱融着性樹脂粉粒体4を配置する。熱融着性樹脂粉粒体4は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系の樹脂、またはエチレン酢酸ビニール共重合体からなり、表面が溶融した熱融着性樹脂粉粒体4で両ウェブ1・2の繊維どうしを結着する。詳しくは、親水性繊維ウェブ1と疎水性繊維ウェブ2とを接合する直前に、熱融着性樹脂粉粒体4を片方のウェブ表面に均等に散布しながら加熱して、熱融着性樹脂粉粒体4の表面を溶融させ、両ウェブ1・2をロールで押し付けることにより接合する。熱融着性樹脂粉粒体4の散布量は10〜50g/m2 とする。
【0016】
このように、熱融着性樹脂粉粒体4の表面を溶融させて両ウェブ1・2を接合すると、親水性繊維ウェブ1、および疎水性繊維ウェブ2の風合いを損なうことなく、両ウェブ1・2を接合できるうえ、積層シートに高圧水を噴射して隣接するウェブどうしを固定する場合に比べて、清掃シートを低コストで製造でき、製造設備および製造工程も簡素化できる。
【0017】
上記のように親水性繊維ウェブ1と疎水性繊維ウェブ2とを接合することにより、熱融着性樹脂粉粒体4によって両ウェブ1・2の間に撥水層5が形成される。この撥水層5は、親水性繊維ウェブ1に含浸させた清掃液が撥水層5に滞留するのを防ぎ、清掃液が疎水性繊維ウェブ2側へ移行するのを阻止する。従って、疎水性繊維ウェブ2の表面を湿り気のない状態に維持できる。
【0018】
以上のようにして得られた積層シート3を所定の大きさに裁断することにより、清掃シートをつくる。その清掃シートは、そのまま乾式の清掃資材として使用できるが、親水性繊維ウェブ1に清掃液を含浸させた状態で販売に供し得る。その場合には、清掃液が含浸された清掃シートを所定形状に折り畳み、折り畳んだ清掃シートを、例えば図3に示すような包装ケース8内に積層収納して販売に供する。必要があれば、1枚の清掃シートを偏平な袋に密封して販売に供することができる。
【0019】
清掃液が含浸してある清掃シートを所定形状に折り畳んだ状態において、親水性繊維ウェブ1が外面に露出していると、清掃シートを包装ケース8から取り出すとき、清掃液が指先に付着するのを避けられない。こうした清掃液の付着を避けながら清掃シートを取り出するために、清掃シートは表面に疎水性繊維ウェブ2のみが露出する状態で折り畳む。
【0020】
具体的には、図4に示す折り畳み形態においては、四角形状に裁断された清掃シートを二つ折りにして、親水性繊維ウェブ1どうしを対向させた。さらに、二つ折りにしたシートを長手方向の中央部で折り曲げて、表面に疎水性繊維ウェブ2のみが露出する清掃シートを形成した。
【0021】
図5に示す折り畳み形態においては、四角形状に裁断された清掃シートの両側のそれぞれを中央部へ向かって折り曲げて親水性繊維ウェブ1どうしを対向させる。さらに、三つ折りにしたシートを長手方向の中央部で折り曲げて、表面に疎水性繊維ウェブ2のみが露出する清掃シートを形成する。
【0022】
図6に示す折り畳み形態においては、四角形状に裁断された清掃シートの両側のそれぞれを中央部へ向かって折り曲げて親水性繊維ウェブ1どうしを対向させるが、片方の折り曲げ長さを大きくして、この折り曲げ部分を最外面に位置させる。さらに、三つ折りにしたシートを長手方向の中央部で折り曲げて、表面に疎水性繊維ウェブ2のみが露出する清掃シートを形成する。
【0023】
(実施例1) 本発明の清掃シートの実施例1を以下に説明する。親水性繊維ウェブ1として、コットン繊維を素材とする湿式の不織布45g/m2 を用意し、疎水性繊維ウェブ2として、ポリエステル繊維を素材とする乾式不織布50g/m2 を用意した。両シート1・2の間に、平均粒径が70μmのポリエチレン樹脂粉粒を30g/m2 の割合で均等に散布しながら加熱して表面を溶融させ、両ウェブ1・2を一対のロールに通して接合した。
【0024】
得られた積層シート3を、縦横寸法が120mm×170mmとなるように裁断したうえで、親水性繊維ウェブ1に、下記の清掃液を含浸させた。含浸量は積層シート3の重量に対して250重量%とした。積層シート3を図5に示す形態に折り畳み、包装ケース8に積層収納した。なお、この実施例の清掃シートは床面等を払拭清掃するのに適している。清掃液の成分比率は以下の実施例も含めて全て重量%である。
非イオン系界面活性剤(界面活性剤) 0.10%
95%エタノール(溶剤) 6.00%
パラベン(防腐剤) 0.20%
塩化セチルビリジウム(殺菌剤) 0.20%
トリエタノールアミン(pH調整剤) 0.20%
香料 0.02%
精製水(溶剤) 93.28%
【0025】
(実施例2) 実施例1と同じ組成の積層シート3を同じ大きさに裁断したうえで、下記の清掃液を含浸させた。含浸量は積層シート3の重量に対して200重量%とした。積層シート3を図5に示す形態に折り畳み、包装ケース8に積層収納した。なお、この実施例の清掃シートは床面等を払拭清掃するのと同時に艶出しするのに適している。
非イオン系界面活性剤(界面活性剤) 1.00%
95%エタノール(溶剤) 10.00%
乳化シリコンオイル(艶出し剤) 6.00%
パラベン(防腐剤) 0.35%
精製水(溶剤) 82.65%
【0026】
(比較例1) 親水性繊維ウェブ1と疎水性ウェブ2とを重ねて、両ウェブ1・2をエンボス熱融着法によって一体化し、実施例1と同じ大きさの清掃シートに、実施例1と同じ清掃液を含浸させた。清掃シートは図5に示す形態に折り畳み、包装ケース8に積層収納した。
【0027】
(比較例2) 実施例1の親水性繊維ウェブ1のみで清掃シートを形成し、親水性繊維ウェブ1に、実施例1と同じ清掃液を含浸させた。
【0028】
実施例1、2の清掃シートと、比較例1、2の清掃シートとを指先でつまんだ状態におけるべたつき度と、清掃シートで床面1mを10往復拭いた場合の、手のひらに対する清掃液の付着度について、モニター12名によって評価した。表1はその結果を示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1から明らかな通り、本発明の清掃シートによれば、疎水性繊維ウェブ2の表面を湿り気のない状態に維持して、清掃液の付着に伴うべたつき感や不快感を一掃できた。なお、モニターによる評価期間は、平成15年3月12日から同年4月10日の間であった。
【0031】
清掃液は、実施例で説明した清掃液とは異なる清掃液を適用でき、例えばトイレ用洗剤や家具用洗剤などを含浸させることができる。清掃シートは、複数枚をひとつの包装袋に収容した状態で販売してもよい。ロール状に巻いた状態で販売してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】清掃シートを模式的に示す斜視図である。
【図2】清掃シートを模式的に示す断面図である。
【図3】清掃シートの包装例を示す断面図である。
【図4】清掃シートの折り畳み形態を示す斜視図である。
【図5】清掃シートの別の折り畳み形態を示す斜視図である。
【図6】清掃シートの別の折り畳み形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 親水性繊維ウェブ
2 疎水性繊維ウェブ
4 熱融着性樹脂粉粒体
5 撥水層
Claims (4)
- 親水性繊維ウェブ1と疎水性繊維ウェブ2とからなる積層シート3で構成した清掃シートであって、
親水性繊維ウェブ1と疎水性繊維ウェブ2とが、両ウェブ1・2の間に配置した非吸水性の熱融着性樹脂粉粒体4を介して接合されており、
両ウェブ1・2を接合する熱融着性樹脂粉粒体4によって、両ウェブ1・2の間に撥水層5が形成されていることを特徴とする清掃シート。 - 親水性繊維ウェブ1が、天然セルローズ系繊維と再生繊維の1種以上を含む不織布からなり、
疎水性繊維ウェブ2が、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、もしくは両繊維の複合繊維の1種以上を含む不織布からなり、
熱融着性樹脂粉粒体4が、ポリオレフィン系樹脂、またはエチレン−酢酸ビニール共重合体からなる請求項1記載の清掃シート。 - 親水性繊維ウェブ1に清掃液が含浸させてある請求項1または2記載の清掃シート。
- 清掃液を含浸する清掃シートが、表面に疎水性繊維ウェブ2のみが露出する状態で所定形状に折り畳まれて、包装ケース8内に積層収納してある請求項3記載の清掃シート。
Priority Applications (1)
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2003
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