JP2019162279A - 家庭用薄葉紙、家庭用薄葉紙積層体、家庭用薄葉紙の製造方法及び家庭用薄葉紙積層体の製造方法 - Google Patents
家庭用薄葉紙、家庭用薄葉紙積層体、家庭用薄葉紙の製造方法及び家庭用薄葉紙積層体の製造方法 Download PDFInfo
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そして、折り畳まれた状態でもエンボスが潰れにくい家庭用薄葉紙を実現するため、凸部と凹部とが交互に配置されるようにエンボス加工を施し、一方の側の凸部が、他方の側の凹部に入り込むように折り畳まれたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
矩形状の家庭用薄葉紙であって、
当該家庭用薄葉紙の長辺又は短辺と平行な折り目において所定回数折り畳まれており、
第一回目に折り畳まれた折り目が、当該家庭用薄葉紙の長辺又は短辺の中央からずれていることを特徴とする。
本発明によれば、家庭用薄葉紙につき、密着して折り畳まれた場合においても、使用時に広げ易くなる。
前記第一回目に折り畳まれた折り目は、当該家庭用薄葉紙の長辺又は短辺の中央から1mm以上5mm以下ずれていることを特徴とする。
本発明によれば、家庭用薄葉紙につき、密着して折り畳まれた場合においても、使用時にさらに広げ易くなる。
当該家庭用薄葉紙の長辺に沿う方向及び短辺に沿う方向の少なくとも一方に、凸部と凹部とが交互に配置され、凸部と凹部との間に中間部を有するパターンのエンボスが全面に亘って形成され、
一方の側の前記凸部が、他方の側の前記凹部に入り込むように折り畳まれていることを特徴とする。
本発明によれば、家庭用薄葉紙につき、折り畳まれた状態においてエンボスが潰れ難く、かつ乾燥し難くすることができる。
パルプ及び水溶性バインダーを含有する実質的に水分解可能な複数プライの原紙シートに水性薬剤が含浸された水解性シートであることを特徴とする。
本発明によれば、家庭用薄葉紙が、水性薬剤が含浸された水解性シートである場合につき、密着して折り畳まれた場合においても、使用時に広げ易くなる。
前記原紙シートは、3プライのシートであることを特徴とする。
本発明によれば、シート層の間に空気が入り、家庭用薄葉紙を柔らかくしなやかにすることができる。
所定回数折り畳まれた矩形状の請求項1から5のいずれか一項に記載の家庭用薄葉紙が複数枚積層されてなることを特徴とする。
本発明によれば、使用時に広げ易い家庭用薄葉紙が積層された家庭用薄葉紙積層体を提供することができる。
所定回数折り畳まれた矩形状の家庭用薄葉紙の製造方法であって、
当該家庭用薄葉紙に対して折り加工を施す折り加工工程を含み、
当該折り加工工程では、当該家庭用薄葉紙の長辺又は短辺と平行な折り目において、所定回数折り加工を施し、
第一回目の折り加工において、当該家庭用薄葉紙の長辺又は短辺の中央からずれた位置において折り畳むことを特徴とする。
本発明によれば、密着して折り畳まれた場合においても、使用時に広げ易い家庭用数用紙を製造することができる。
家庭用薄葉紙に対して折り加工を施す折り加工工程と、
前記折り加工工程で折り加工が施された前記家庭用薄葉紙に水性薬剤が含浸される含浸工程と、
前記含浸工程で水性薬剤が含浸された前記家庭用薄葉紙が複数枚積層される積層工程と、を含み、
前記折り加工工程では、当該家庭用薄葉紙の長辺又は短辺と平行な折り目において、所定回数折り加工を施し、
第一回目の折り加工において、当該家庭用薄葉紙の長辺又は短辺の中央からずれた位置において折り畳むことを特徴とする。
本発明によれば、使用時に広げ易い家庭用薄葉紙が積層され、かつ水性薬剤が均等に含浸された家庭用薄葉紙積層体を製造することができる。
実施形態1に係るトイレクリーナー100は、複数枚の原紙がプライ加工(積層)されたものであって、所定の薬液が塗布されている。原紙の枚数は問わないが、3枚の原紙が積層された3プライのシートであることが好ましい。3プライのシートであれば、シート層の間に空気が入り、柔らかくしなやかである。また、中層に色や印刷のデザインを入れることが可能である。
また、トイレクリーナー100のシート全面には、図1に示す通り、紙の漉き目の方向(Y方向)に短尺な楕円形状にエンボスEM11の加工が施されている。
また、図1の図面手前方向に凸部のエンボスEM11と、図面手前方向に凹部のエンボスEM11とが交互に配置されている。
トイレクリーナー100の大きさは、段落[0037]に記載のように八つ折りにされた際に、ちょうど掌に合うサイズとなるように、CD方向50mmから100mm、MD方向100mmから200mmであることが好ましく、CD方向70mmから100mm、MD方向120mmから150mmであることがさらに好ましい。
なお、薬液含浸率は、100%から300%であることが好ましい。
例えば、図3(a)の折り返し点PT31(凸部のエンボスEM21と凹部のエンボスEM22の間の、中間部MD21の中心点)に示すような、トイレクリーナー100のエンボスEM21及びEM22の裾の部分を繋ぐX方向に平行な直線を折り目として、トイレクリーナー100を折り畳んだ場合、図3(b)に示すように、下側(一方の側)にある凸部のエンボスEM21の膨出部PR31が、上側(他方の側)の凹部のエンボスEM22の膨出部PR32に入り込むことになる。
特に、同じ目付であっても、積層された原紙の枚数が多い多プライのシート程乾燥し易くなるが、本実施形態によれば、3プライ以上のシートにおいても、これを乾燥し難くすることができる。
また、下側(一方の側)にある凸部のエンボスEM21の膨出部PR31の中心と、上側(他方の側)にある凸部のエンボスEM21の膨出部PR31の中心とが、凸部のエンボスEM21の幅の2分の1以上ずれ、膨出部PR31の平面部分同士があたらないように折り畳まれていれば、膨出部PR31の平面部分同士があたってしまう場合と比較すれば、シート同士の密着性を改善することができる。
具体的には、シートのX方向又はY方向の中心位置から1mmから5mmずれた折り目によって折り畳まれ、シートの端部が2mmから10mmずれて重なっていることが好ましく、シートのX方向又はY方向の中心位置から1.5mmから2.5mmずれた折り目によって折り畳まれ、シートの端部が3mmから5mmずれて重なっていることがさらに好ましい。
なお、シート端部のずれが2mmより小さいと広げ易くする効果が十分に得られず、また、10mmより大きいとシートが重なっていない範囲が広くなり過ぎて、シートが乾燥し易くなり、またシートの見栄えも悪化することから、上記の範囲が好ましい。
その上で、これをさらに、図9(c)及び(d)に示すように、折り畳んだ際に凸部のエンボスEM21と凹部のエンボスEM22とが組み合わさるように、MD方向に二度折り畳むことによって、トイレクリーナー100を八つ折りにすることができる。
さらに、MD方向にエンボスを4の倍数列均等に形成し、トイレクリーナー100をMD方向に4等分する折り目が、いずれも凸部のエンボスEM21と凹部のエンボスEM22の間の中間部MD21の中心点となるようにすれば、凸部のエンボスEM21と凹部のエンボスEM22とが組み合わさるように、MD方向に二度折り畳むことができる。
次に、トイレクリーナー100の製造方法について説明する。
図4は、トイレクリーナー100の製造方法を示すフローチャートである。図5は、トイレクリーナー100の原紙シートに対してバインダー溶液を付与する溶液付与設備の模式図である。図6は、図5に示す溶液付与設備でバインダー溶液が付与された原紙シートを加工する加工設備の模式図である。
先ず、本実施形態にかかる抄紙工程(S1)について説明する。本発明の抄紙工程(S1)では、例えば、公知の湿式抄紙技術により抄紙原料を抄紙して原紙シートを形成する。すなわち、抄紙原料を湿紙の状態とした後に、ドライヤーなどによりこれを乾燥して、薄葉紙、クレープ紙などの原紙シートを形成する。
原紙シートの原料としては、例えば、既知のバージンパルプ、古紙パルプなどを利用でき、少なくともパルプ繊維を含むものである。この原料となるパルプは、特にLBKPとNBKPを適宜の割合で配合したものが適する。なお、パルプ繊維以外の繊維として、レーヨン繊維や合成繊維などが含有されていてもよい。
また、本発明の原紙シートには、凝集剤として、アニオン性アクリルアミド系重合体(以下、「アニオン性PAM」する。)が含有される。アニオン性PAMとは、アクリルアミド系単量体とアニオン性単量体とを共重合して得られる重合体である。
アクリルアミド系単量体としては、アクリルアミド単独や、アクリルアミドと以下のようなアクリルアミドと共重合可能なノニオン性単量体等と、の混合物である。アクリルアミドと共重合可能なノニオン性単量体としては、メタクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N、N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−ビニルロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドが例示される。これらは単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
アニオン性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びこれらの中和塩が例示される。
なお、アニオン性PAMの水溶性を損ねない程度であれば、スチレン、アクリルニトリル、(メタ)アクリル酸エステル等の単量体を配合してもよい。
アニオン性PAMの添加量としては、好適には、10〜1000ppm程度である。このような、パルプと同電荷のアニオン系の凝集剤を用いて抄紙することで、原紙シートの凝集を低下させることができ、毛細管現象により水解性を向上させることができる。
なお、原紙シートには、上述したパルプ及び凝集剤の他、湿潤紙力剤、接着剤、剥離剤等の抄紙用薬品を適宜用いてもよい。
また、本発明の実施形態では、後述する溶液付与設備の溶液付与工程でバインダー溶液が付与されるが、抄紙工程の段階でバインダー溶液を付与するようにしてもよい。
抄紙工程でもバインダー溶液を付与した場合、得られる水解性シート全体の強度を高めることができ、後工程の溶液付与工程で更にバインダー溶液を付与することにより、当該水解性シートの表面強度をより一層高めることができるようになる。
連続乾燥原紙1Aの物性としては、好適には、目付けが15〜75gsm程度である。また、プライ加工された水溶性バインダーを含むシート(連続水解性シート1D)の目付けは、30〜150gsm程度である。なお、目付けは、JIS P 8124に基づくものである。
連続乾燥原紙1Aは、後述するプライ加工工程(S2)、溶液付与工程(S3)、乾燥工程(S4)、スリット・巻き取り工程(S5)を経て、プライ加工された水解紙となり、更に、後述するエンボス加工工程(S6)、仕上げ加工工程(S7)を経て、トイレクリーナー100に加工される。
次いで、本実施形態のプライ加工工程(S2)について説明する。プライ加工工程(S2)では、図5に示すように、1次原反ロール1から連続的に繰り出される各連続乾燥原紙1A,1Aを、その連続方向に沿ってプライ加工しプライ連続シート1Bとする重ね合わせ部2に供給される。重ね合わせ部2は、一対のロールで構成され、各連続乾燥原紙1A,1Aをプライ加工し、プライ加工されたプライ連続シート1Bを形成する。なお、連続乾燥原紙1A,1A同士を重ね合わせる際に、連続乾燥原紙1A,1A同士がずれにくくなるように、ピンエンボス(コンタクトエンボス)で軽く留めておいてもよい。
次いで、バインダー溶液について説明する。バインダー溶液は、カルボキシメチルセルロース(CMC)を水溶性バインダーとして含むものである。バインダー溶液中におけるカルボキシメチルセルロースの濃度としては、1〜30重量%、好ましくは、1重量%以上、4重量%未満とする。
カルボキシル基を有する水溶性バインダーは、水中で容易にカルボキシラートを生成するアニオン性の水溶性バインダーである。その例としては多糖誘導体、合成高分子、天然物が挙げられる。多糖誘導体としてはカルボキシメチルセルロースの塩、カルボキシエチルセルロース又はその塩、カルボキシメチル化デンブン又はその塩などが挙げられ、特にカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩が好ましい。
次いで、本実施形態の溶液付与工程(S3)ついて説明する。溶液付与工程(S3)では、図5に示すように、プライ連続シート1Bの両方の外面(連続乾燥原紙1A,1Aをプライ加工した時に連続乾燥原紙1A,1A同士が対向しない面)に2流体方式又は1流体方式の各スプレーノズル3,3により上述のバインダー溶液を噴霧して連続シート1Cを生成する。
プライ加工工程においてプライ加工された直後のプライ連続シート1Bは、連続乾燥原紙1A,1Aが単に重なっているに過ぎないため、溶液付与工程においてプライ連続シート1Bの両面から、バインダー溶液をスプレーノズル3,3で塗布すると、連続乾燥原紙1A,1Aが離れた状態でバインダー溶液を付与する場合と実質的に同様であり、バインダー溶液が厚さ方向に浸透し、搬送中にシート同士が密着し、スリット・巻き取り工程で圧着する中で、更に浸透するのである。
なお、バインダー溶液の噴霧方法として、プライ連続シート1Bの片方の外面に上述のバインダー溶液を噴霧するようにしても良い。また、上述の1次原反ロール1,1からそれぞれ繰り出される連続乾燥原紙1A,1Aの少なくとも一方のシートの外面(各シートが対向しない面)に対して、2流体方式のスプレーノズルより上述のバインダー溶液を噴霧し、直後に当該連続乾燥原紙1A,1Aをプライ加工することにより、上述の連続シート1Cと同等のシートを生成するようにしても良い。
本実施形態で2流体方式のスプレーノズルを使用する場合、プライ加工されたプライ連続シート1Bの各々の外面に高い圧力(噴射圧1.5MPa以上)でバインダー溶液(粘度400〜1200MPa.s)を塗布するので、シートの厚さ方向にバインダー溶液を含浸させやすい。
一方、本実施形態で1流体方式のスプレーノズルを使用する場合、プライ加工されたプライ連続シート1Bの各々の外面に噴射圧1.5MPa以下でバインダー溶液(粘度400〜1200MPa.s)を塗布することで、シートの厚さ方向にバインダー溶液を含浸させやすく、シート表面にバインダー溶液を均一に塗布させやすくしている。
このようにして、プライ連続シート1Bの外面にバインダー溶液を噴霧することで、トイレクリーナー100は、厚み方向において中央(両面に塗布した場合)又はバインダー溶液の非塗布面(片面に塗布した場合)からバインダー溶液の塗布面に向かうにつれて水溶性バインダーの含有量が増加した状態となるので、水解性を確保しつつ、表面強度を向上させることができ、強く擦ってもダメージが生じにくいトイレクリーナー100を製造することが可能となる。
次いで、本実施形態の乾燥工程(S4)について説明する。乾燥工程(S4)では、図5に示すように、乾燥設備4において、上述の連続シート1Cのバインダー溶液中の不溶な液分を蒸発させて、有効成分、特にCMCを繊維に対して定着させる。
ここで、連続シート1Cの外面から厚み方向内側に向かうにつれて、バインダー溶液の浸み込む量が減少していくことから、当該厚み方向内側に向かうにつれて、CMCの定着量が減少することとなる。そのため、後述する仕上げ加工工程(S7)で薬液が含浸された際、当該厚み方向内側に向かうにつれて、架橋反応が起こり難く、空隙を多く有することから、シート内部に当該薬液を閉じ込めた状態とすることができる。これにより、得られるトイレクリーナー100を乾き難くすることができる。
乾燥設備4としては、連続シート1Cに対して熱風を吹き付けて乾燥させるフード付きドライヤー設備が利用できる。なお、シート同士をより密着させるために、プレスロールやターンロールを設置し、乾燥工程(S4)の前に当該プレスロールや当該ターンロールに連続シート1Cを通しても良い。
ため、熱風によるドライヤーと比較して、均一な乾燥が可能であり、後段のスリット・巻き取り工程においての皺の発生が防止できる。
次いで、本実施形態のスリット・巻き取り工程(S5)について説明する。スリット・巻き取り工程(S5)では、プライ加工された連続水解性シート1Dをオフラインの加工機で加工する際の原反とするために、上述の乾燥工程(S4)で乾燥されCMCの定着が図られた連続水解性シート1Dをテンションを調整しながら、スリッター5で所定の幅にスリットし、ワインダー設備6において、巻き取ることとなる。巻き取り速度は、プライ加工工程(S2)、溶液付与工程(S3)、乾燥工程(S4)を考慮して適宜定める。過度に早いとシートの破断が生じ、過度に遅いと皺が発生するのでこれに留意する。
スリット・巻き取り工程(S5)で、プライ加工された連続水解性シート1Dが圧着されることにより、連続水解性シート1Dがより一体化され、1枚相当のシートとなる。
次いで、本実施形態のエンボス加工工程(S6)について説明する。エンボス加工工程(S6)では、図6に示すように、2次原反ロール11から繰り出される、連続水解性シート1Dに対して、エンボスロール12によって、シート全面に所定の形状をなすエンボス加工が施される。このエンボス加工は、シートの強度、嵩高性、拭き取り性等を高めると共に、デザイン性を高めることを目的としてなされている。
また、後述の仕上げ加工工程においてシートを最初に折り畳むこととなる方向において、中心位置から1mmから5mmずれた直線上に、凸部のエンボスEM21と凹部のエンボスEM22の間の中間部MD21の中心点が来るようにエンボスを形成することが望ましい。
次いで、本実施形態の仕上げ加工工程(S7)について説明する。仕上げ加工工程(S7)では、図6に示すように、仕上げ加工設備13において、エンボス済シート1Eの裁断加工、裁断された各シートの折り加工、折り加工がなされた各シートへの上記薬液の含浸、当該薬液を含浸させた各シートの包装を一連の流れで行う。
薬液を含浸済みのシートに対して折り加工を加えると、シートが破れやすくなり、強度が低下する。したがって、操業性を上げるためにも、折り加工後に薬液を含浸させることが好ましい。また、折り加工後に薬液を含浸させることで、エンボスの形状が保持され易くなり、エンボスの重なりが維持された製品を製造し易くなる。
折り加工の際には、裁断されたエンボス済シート1Eが所定回数折り畳まれることとなるが、その最初の折り畳み時において、X方向又はY方向における中心位置から1mmから5mmずれた位置において折り畳まれる。これによって、裁断されたエンボス済シート1Eが一度折り畳まれた状態において、端部が2mmから10mmずれた状態となる。
以上の各工程を経ることにより、トイレクリーナー100が製造される。
次に、図8を参照しつつ、実施形態2に係る家庭用薄葉紙積層体LY81について説明する。
以下の実施例及び比較例に係るトイレクリーナーを用意した。
凸部のエンボスと凹部のエンボスとが組み合わさるように折り畳まれた実施形態1に係るトイレクリーナーであり、具体的には以下のとおりである。
原紙の材料:パルプ98重量%、PVA繊維2重量%
原紙の大きさ:MD方向330mm、CD方向230mm、高さ0.5mm
目付(ドライ状態):90g/m2(3プライ)
エンボスの大きさ:MD方向4mm、CD方向4mm、
エンボスの深さ:2mm
エンボスの形成数:MD方向10cm、CD方向10cmの正方形の範囲に、MD方向20列、CD方向22列
薬液成分:界面活性剤を0.5重量%、エタノールを5重量%、除菌剤を0.5重量%、安定化剤を4重量%、香料を0.5重量%、水を89.5重量%
薬液含浸率:170%
折畳み方法:CD方向に端部が2mmずれるように折り畳んだ後、MD方向に端部を合
わせて2度折り畳んだ。なお、いずれの折り畳み時においても、凹部のエン
ボスと凸部のエンボスとが組み合わさるように折り畳んだ。
実施例1につき、最初の折り畳み時にCD方向に端部が3mmずれるように折り畳んだ。その他の構成は実施例1と同様である。
実施例1につき、最初の折り畳み時にCD方向に端部が5mmずれるように折り畳んだ。その他の構成は実施例1と同様である。
実施例1につき、最初の折り畳み時にCD方向に端部が10mmずれるように折り畳んだ。その他の構成は実施例1と同様である。
実施例1につき、最初の折り畳み時にCD方向に端部が15mmずれるように折り畳んだ。その他の構成は実施例1と同様である。
実施例1につき、最初の折り畳み時にCD方向に端部が1mmずれるように折り畳んだ。その他の構成は実施例1と同様である。
実施例1につき、最初の折り畳み時に端部を合わせて折り畳んだ。その他の構成は実施例1と同様である。
上記実施例及び比較例にかかるトイレクリーナーにつき、被験者に折り畳まれた状態から実際に広げさせ、その広げ易さを評価した。具体的には、広げにくいと感じた場合につき×、やや広げにくいと感じた場合につき△、広げるのが容易と感じた場合につき○、広げるのが非常に容易と感じた場合につき◎の4段階で評価した。
また、被験者に対して折り畳まれた状態の実施例及び比較例にかかるトイレクリーナーを観察させ、その見栄えを評価した。具体的には、見栄えが良いと感じた場合につき◎、見栄えが良いとまではいえないが許容範囲と感じた場合には○、見栄えが悪いと感じた場合につき×の3段階で評価した。
評価の結果を表Iに示す。
実施例1から6と、比較例1との比較により、トイレクリーナーを最初の折り畳み時において端部がずれるように折り畳むことによって、広げ易くなることが分かる。また、実施例6と、実施例1から5の比較により、端部のずれを2mm以上とすることで、広げ易さを改善できることが分かり、実施例1と、実施例2から5の比較により、端部のずれを3mm以上とすることで、さらに広げ易さを改善できることが分かる。
実施例1から4及び6並びに比較例1と、実施例5との比較により、シートの端部のずれを、10mm以下とすることによって、シートの見栄えの悪化を抑えることができることが分かり、実施例1から3及び6並びに比較例1と、実施例4との比較により、5mm以下とすることで、シートの見栄えの悪化をさらに抑えることができることが分かる。
以下の実施例及び比較例に係るトイレクリーナーを用意した。
凹部のエンボスと凸部のエンボスとが組み合わさるように折り畳まれた上記実施例1に係るトイレクリーナーである。
実施例1につき、2プライとしたものであり(目付(ドライ状態):88g/m2)、具体的には以下のとおりである。
エンボスの大きさ:MD方向4mm、CD方向8mm
エンボスの深さ:2mm
その他の構成は、実施例1と同様である。
実施例1につき、エンボスの形状及び配置を変更し、凸部のエンボスと凸部のエンボスとが組み合わさらないようにしたものであり、その他の構成は、実施例1と同様である。
具体的なエンボスの条件は、以下のとおりである。
エンボスの大きさ:MD方向1mm、CD方向2mm、
エンボスの深さ:1mm
エンボスの配置:凸部のエンボス又は凹部のエンボスのみによって、MD方向に沿った列が形成され、CD方向において、凸部のエンボスによって形成された列と、凹部のエンボスによって形成された列とが交互に並ぶように配置した。
拭き取試験機を用いて、折り畳まれたままの状態の実施例及び比較例に係るトイレクリーナーにつき、往復するようにして拭き取り試験を行い、一往復ごとにその重量を測定し、一往復ごとの重量の減少量を算出した。
なお、具体的な拭き取り試験の条件は、以下のとおりである。
距離:一往復60cm
荷重:300g
試験の結果を表IIに示す。
実施例1と、実施例8との比較により、凸部のエンボスと凹部のエンボスとが組み合わさるようにトイレクリーナーが折り畳まれていることによって、折り畳んだまま拭き取りに使用した際の薬液の減少を抑えられることが分かる。
また、実施例1と実施例7との比較により、トイレクリーナーが3プライの場合に、2プライの場合と比較して、さらに薬液の減少を抑えられることが分かる。
以下の実施例及び比較例に係るトイレクリーナー積層体を用意した。
10枚の実施例1に係るトイレクリーナーを、折り畳まれた状態のままで重ねて作製した、各トイレクリーナーが凸部のエンボスと凹部のエンボスとが組み合わさるように折り畳まれ、このようなトイレクリーナーが、凸部のエンボスと凹部のエンボスとが組み合わさるように積層された、実施形態2に係るトイレクリーナー積層体である。
10枚の実施例8に係るトイレクリーナーを、折り畳まれた状態のままで重ねて作製した、各トイレクリーナーが凸部のエンボスと凹部のエンボスとが組み合わさらずに折り畳まれ、このようなトイレクリーナーが、凸部のエンボスと凹部のエンボスとが組み合わさらずに積層されたトイレクリーナー積層体である。
実施例及び比較例に係るトイレクリーナー積層体を、容器(具体的には、エリエール ミチガエルトイレクリーナー)にいれ、25℃に保たれた空間に放置し、試験開始時、24時間経過時及び96時間経過時に重量を計測した。
試験の結果を表IIIに示す。
実施例9と、実施例10との比較により、トイレクリーナー積層体を、各トイレクリーナーが凸部のエンボスと凹部のエンボスとが組み合わさるように折り畳まれ、このようなトイレクリーナーが、凸部のエンボスと凹部のエンボスとが組み合わさって積層されるように形成することによって、保管時の薬液の蒸発を抑えられることが分かる。
なお、上記溶液付与工程では、水溶性バインダーを含んでいない複数の原紙のうち、水解性シートの表面及び裏面となる原紙の少なくともいずれか一方の面に対してバインダー溶液を付与する他、水溶性バインダーを含む複数の原紙のうち、水解性シートの表面及び裏面となる原紙の少なくともいずれか一方の面に対してバインダー溶液を付与するようにしてもよい。
一つのバックアップロールに対して対となる刷版ロールを設けるドクターチャンバー方式、若しくは/及び、3ロール方式を採用することにより、各刷版ロールにおける付与量が少なくとも、合計量において十分な量の薬液を乾燥原紙に対して付与できる。また、バックアップロールが一つであることにより、極めて均一に付与できる。これは、バックアップロールが一つであることで、最初の刷版ロールから次の刷版ロールまでの間の張力が極めて安定して一定であることから、二つの刷版ロールで二段階付与しても、連続原紙に対して極めて均一に薬液を付与することができるのである。また、二つの刷版ロールの間隔が短くなることから、最初の刷版ロールで薬液が付与された後、直ちに次の刷版ロールでの付与がなされことからも、付与ムラなく均一転写ができるのである。このような効果は、単に、バックアップロールと刷版ロールを一対二段にしただけでは得ることはできない。
更に、薬液が付与された連続紙を乾燥させる乾燥工程を有する。この乾燥工程は、連続紙に直接的に接触しない間接乾燥が望ましく、特に赤外線照射によるものが望ましい。間接乾燥の場合には皺の発生が抑制される。特に、赤外線照射によるものとすると、紙面各所の乾燥が均一に生ずるので、乾燥時における皺や歪みなどの発生が効果的に防止できる。
以下にドクターチャンバー方式を例に詳しく説明する。
バインダー溶液を塗布する際の塗布加工速度は30〜100m/分で操業され、より好ましくは50〜80m/分で操業される。30m/分未満では乾燥されるまえにクレープが伸びてしまい、後工程で加工しづらいという問題がある。逆に100m/分超過では十分な転写量が得られなかったり、幅方向での塗布量のバラツキにより、湿潤強度や水解性にバラツキが生じる。
そして、このバックアップロールに巻き掛けられた連続乾燥原紙1Aに対して、刷版ロールにてバインダー溶液がロール転写される。
ここで、刷版ロールは、凹溝のないベタ版仕様のシームレスロールとし、連続乾燥原紙1Aの全体にバインダー溶液をベタ印刷の如く付与する。この刷版ロールとして用いられるシームレスロールは、タイプロールのスリーブにゴム板を巻きつけ釜に入れて過熱溶接し、研磨して成形したものである。材料として用いるゴム板は所定の目的に応じて材質や硬度、色等を選択することができる。
のバインダー溶液が受け渡され、結果的に連続乾燥原紙1Aに対して刷版ロールからムラを持ってバインダー溶液が付与されるおそれが高まる。反対に、線数が120線/インチを超えると十分な量かつ刷版ロールの周面全体にバインダー溶液を受け渡すことが困難となる。また、セル容量が40ml/m2未満であると十分な量のバインダー溶液を刷版ロ
ールに受け渡すことが困難となり、セル容量が90ml/m2を超えても歩留まりの悪化
を招くだけである。
なお、上述のようにバインダー溶液が付与(転写)される連続乾燥原紙1Aは、プライ加工する際に最上層又は最下層となる原紙のみを対象とする。つまり、例えば、3プライ加工する場合、中層となる連続乾燥原紙1Aに対してはバインダー溶液を付与(転写)しない。
つまり、複数の原紙(連続乾燥原紙1A)がプライ加工されてなる水解性シートの製造方法において、水溶性バインダーを含んでいない複数の原紙をプライ加工するプライ加工工程と、プライ加工されたシートに対してバインダー溶液を付与(転写)する溶液付与工程と、前記バインダー溶液を付与されたシートを乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥工程で乾燥させた前記シートを所定幅にスリットし巻き取る巻き取り工程と、を含み、前記溶液付与工程は、プライ加工されたシートの少なくともいずれか一方の外面に対応して設けられた印刷機から前記バインダー溶液を対応する外面に転写するようにする。
なお、上記プライ加工工程では、水溶性バインダーを含んでいない複数の原紙をプライ加工する他、水溶性バインダーを含む複数の原紙をプライ加工するようにしてもよい。
このように、ドクターチャンバー方式でバインダー溶液を転写する場合、粘度の高いバインダー溶液を塗布することができるので、シート内部までバインダー溶液が浸透することを抑制することができる。よって、シート表面にのみCMCを定着させることが可能となる。なお、ドクターチャンバー方式でバインダー溶液を転写する場合の他、例えば、ホットメルト樹脂塗工用のコーターによりバインダー溶液をシート表面にコーティングするようにしてもよい。かかる場合もシート表面にのみCMCを定着させることが可能となる。
つまり、複数の原紙(連続乾燥原紙1A)がプライ加工されてなる水解性シートの製造方法において、前記複数の原紙をそれぞれ抄造する抄紙工程を含み、前記抄紙工程は、抄造中の湿紙に対してバインダー溶液を付与するようにする。
このように、抄紙工程でもバインダー溶液を付与した場合、得られる水解性シート全体の強度を高めることができ、後工程の溶液付与工程で更にバインダー溶液を付与することにより、当該水解性シートの表面強度をより一層高めることができるようになる。
明細書中の下記の用語は、特に記載がない限り、以下の意味を有するものとする。
(薬液含浸率)
薬液含浸前のシートの質量と、含浸させる薬液の質量とを測定し、薬液含浸前のシートの質量に対する含浸させる薬液の質量の割合を算出したものをいう。
(目付)
JIS P 8124:2011に従って測定した坪量をいう。
(シート、エンボス等の長さ)
家庭用薄葉紙を、テンションが掛かっていない状態で平坦な面に置き、当該状態で測定した長さをいう。
EM21、EM22 エンボス
MD21 中間部
LY81 家庭用薄葉紙積層体
Claims (8)
- 矩形状の家庭用薄葉紙であって、
当該家庭用薄葉紙の長辺又は短辺と平行な折り目において所定回数折り畳まれており、
第一回目に折り畳まれた折り目が、当該家庭用薄葉紙の長辺又は短辺の中央からずれていることを特徴とする家庭用薄葉紙。 - 前記第一回目に折り畳まれた折り目は、当該家庭用薄葉紙の長辺又は短辺の中央から1mm以上5mm以下ずれていることを特徴とする請求項1に記載の家庭用薄葉紙。
- 当該家庭用薄葉紙の長辺に沿う方向及び短辺に沿う方向の少なくとも一方に、凸部と凹部とが交互に配置され、凸部と凹部との間に中間部を有するパターンのエンボスが全面に亘って形成され、
一方の側の前記凸部が、他方の側の前記凹部に入り込むように折り畳まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の家庭用薄葉紙。 - パルプ及び水溶性バインダーを含有する実質的に水分解可能な複数プライの原紙シートに水性薬剤が含浸された水解性シートであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の家庭用薄葉紙。
- 前記原紙シートは、3プライのシートであることを特徴とする請求項4に記載の家庭用薄葉紙。
- 所定回数折り畳まれた矩形状の請求項1から5のいずれか一項に記載の家庭用薄葉紙が複数枚積層されてなることを特徴とする家庭用薄葉紙積層体。
- 所定回数折り畳まれた矩形状の家庭用薄葉紙の製造方法であって、
当該家庭用薄葉紙に対して折り加工を施す折り加工工程を含み、
当該折り加工工程では、当該家庭用薄葉紙の長辺又は短辺と平行な折り目において、所定回数折り加工を施し、
第一回目の折り加工において、当該家庭用薄葉紙の長辺又は短辺の中央からずれた位置において折り畳むことを特徴とする家庭用薄葉紙の製造方法。 - 家庭用薄葉紙積層体の製造方法であって、
家庭用薄葉紙に対して折り加工を施す折り加工工程と、
前記折り加工工程で折り加工が施された前記家庭用薄葉紙に水性薬剤が含浸される含浸工程と、
前記含浸工程で水性薬剤が含浸された前記家庭用薄葉紙が複数枚積層される積層工程と、を含み、
前記折り加工工程では、当該家庭用薄葉紙の長辺又は短辺と平行な折り目において、所定回数折り加工を施し、
第一回目の折り加工において、当該家庭用薄葉紙の長辺又は短辺の中央からずれた位置において折り畳むことを特徴とする家庭用薄葉紙積層体の製造方法。
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