JP3471655B2 - 高誘電体薄膜コンデンサの製造方法 - Google Patents

高誘電体薄膜コンデンサの製造方法

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JP3471655B2
JP3471655B2 JP10933299A JP10933299A JP3471655B2 JP 3471655 B2 JP3471655 B2 JP 3471655B2 JP 10933299 A JP10933299 A JP 10933299A JP 10933299 A JP10933299 A JP 10933299A JP 3471655 B2 JP3471655 B2 JP 3471655B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高誘電体薄膜
デンサの製造方法に関し、特にチップコンデンサと称す
る小型かつ軽量なコンデンサを用いた携帯電話や携帯情
報端末等の電子機器に応用できるものである。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話等の電子機器の小型化、
薄型化が要求されている。電子機器はICやコンデンサ
などの電子部品が実装された回路基板等から構成され、
使用される電子部品、回路基板にも薄型化が要求されて
いる。小型かつ薄型なコンデンサを実現するために、ガ
ラスやセラミック、金属箔、あるいは有機高分子フィル
ムなどの小型、軽量、低コストな基体の上に、電極薄膜
と高誘電体薄膜との積層構造からなる小型、軽量コンデ
ンサが提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記、電極薄膜上に高
誘電体薄膜を形成する際、高誘電体薄膜は成膜条件によ
りランダムな方位に配向し、基体の影響を受けない場
合、主に(110)面、(111)面、(200)面に
優先的に配向する。しかし、(111)面以外に配向し
た高誘電体薄膜は(111)面に配向した高誘電体薄膜
よりも誘電分極が小さくなる結果、誘電率が低くなって
しまう。さらに、(111)面以外に配向すると表面の
凹凸が大きくなると共に、結晶粒界も粗な膜が形成され
てしまう。このような表面の凹凸や粗な結晶粒界は電極
薄膜との接触状態を劣悪なものとし、結晶粒界や電極と
の界面でのキャリアの再結合が支配的となる結果、リー
ク電流が増大してしまい、絶縁耐圧の低いコンデンサと
なってしまう。本発明は、ペロブスカイト構造を有する
高誘電体薄膜が(111)面に優先配向することにより
大きな誘電率を有し、しかもフラットな表面形態とな
り、結晶粒界が緻密な高誘電体薄膜を提供することによ
り、誘電率が大きく、しかも絶縁耐圧に優れた高品質か
つ高信頼性を有する高誘電体薄膜コンデンサを提供する
ことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、配向性が(111)面に優先配向するペ
ロブスカイト構造を有する高誘電体薄膜の上下面に、配
向性が(111)面に優先配向する面心立方晶構造を有
するPt電極薄膜からなる上部電極及び下部電極を形成
し、かつ前記下部電極は無定形構造あるいは結晶構造を
もつ基体上に形成されている高誘電体薄膜コンデンサの
製造方法であって、基体上にDCマグネトロンスパッタ
法、またはEB蒸着法を用いてPt電極薄膜を形成する
工程と、前記Pt電極薄膜上にRFマグネトロンスパッ
タ法、またはECRマグネトロンスパッタ法を用いて高
誘電体薄膜を形成する工程と、前記高誘電体薄膜上にD
Cマグネトロンスパッタ法、またはEB蒸着法を用いて
Pt電極薄膜を形成する工程とを有する高誘電体薄膜コ
ンデンサの製造方法である。これにより高誘電体薄膜の
誘電分極が大きくなる結果、誘電率が大きくなる。さら
に、フラットな表面形態となり、結晶粒界が緻密な高誘
電体薄膜を提供することが可能となり、リーク電流の小
さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供することが可能
である。
【0005】また、高誘電体薄膜の下部電極が面心立方
晶構造をもち、電極薄膜の配向性が(111)面に優先
配向しているので、下部電極上に形成した高誘電体薄膜
の格子整合が可能となり、接合界面における欠陥準位密
度の低い高誘電体薄膜と電極薄膜との接合が可能とな
る。
【0006】その結果、誘電率が大きく、リーク電流の
小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供することが可
能である。
【0007】また前記コンデンサにおいては、高誘電体
薄膜の上部電極が面心立方晶構造をもち、電極薄膜の配
向性が(111)面に優先配向しているので、上部電極
下に形成した高誘電体薄膜の格子整合が可能となり、接
合界面における欠陥準位密度の低い高誘電体薄膜と電極
薄膜との接合が可能となる。その結果、誘電率が大き
く、リーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを
提供することが可能である。またコンデンサにおいて
は、基体が無定形構造あるいは結晶構造をもち、高誘電
体薄膜及び電極薄膜の配向性に影響を及ぼさないことを
特徴とする。これにより、基体上に形成した電極薄膜が
面心立方晶の細密充填面である(111)面が基体と平
行に配向することになり、上下電極と高誘電体薄膜の格
子整合が可能となり、接合界面における欠陥準位密度の
低い高誘電体薄膜と電極薄膜との接合が可能となる。そ
の結果、誘電率が大きく、リーク電流の小さな絶縁耐圧
に優れたコンデンサを提供することが可能である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態では、配向性が
(111)面に優先配向するペロブスカイト構造を有す
る高誘電体薄膜の上下面に、配向性が(111)面に優
先配向する面心立方晶構造を有するPt電極薄膜からな
る上部電極及び下部電極を形成し、かつ前記下部電極は
無定形構造あるいは結晶構造をもつ基体上に形成されて
いる高誘電体薄膜コンデンサの製造方法であって、基体
上にDCマグネトロンスパッタ法、またはEB蒸着法を
用いてPt電極薄膜を形成する工程と、前記Pt電極薄
膜上にRFマグネトロンスパッタ法、またはECRマグ
ネトロンスパッタ法を用いて高誘電体薄膜を形成する工
程と、前記高誘電体薄膜上にDCマグネトロンスパッタ
法、またはEB蒸着法を用いてPt電極薄膜を形成する
工程とを有する高誘電体薄膜コンデンサの製造方法であ
、これにより高誘電体薄膜の誘電分極が大きくなる結
果、誘電率が大きくなる。さらに、フラットな表面形態
となり、結晶粒界が緻密な高誘電体薄膜を提供すること
が可能となり、リーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコ
ンデンサを提供することが可能である。
【0009】また、高誘電体薄膜の下部電極が面心立方
晶構造をもち、電極薄膜の配向性が(111)面に優先
配向しているので、下部電極上に形成した高誘電体薄膜
の格子整合が可能となり、接合界面における欠陥準位密
度の低い高誘電体薄膜と電極薄膜との接合が可能とな
る。
【0010】その結果、誘電率が大きく、リーク電流の
小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供することが可
能である。
【0011】また前記コンデンサにおいては、高誘電体
薄膜の上部電極が面心立方晶構造をもち、電極薄膜の配
向性が(111)面に優先配向しているので、上部電極
下に形成した高誘電体薄膜の格子整合が可能となり、接
合界面における欠陥準位密度の低い高誘電体薄膜と電極
薄膜との接合が可能となる。その結果、誘電率が大き
く、リーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを
提供することが可能である。
【0012】また前記コンデンサにおいては、高誘電体
薄膜と電極薄膜の格子の不整合が5%を上限とすること
を特徴とする。これにより、上下電極と高誘電体薄膜の
格子不整合が小さくなり、接合界面における欠陥準位密
度の低い高誘電体薄膜と電極薄膜との接合が可能とな
る。その結果、誘電率が大きく、リーク電流の小さな絶
縁耐圧に優れたコンデンサを提供することが可能であ
る。
【0013】また前記コンデンサにおいては、高誘電体
薄膜の格子定数が電極薄膜の格子定数よりも大きいこと
を特徴とする。これにより高誘電体薄膜には圧縮の面内
応力が加わることになり、さらに大きな誘電分極を生じ
ることにより誘電率が大きく 、しかもリーク電流の小さ
な絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供することが可能で
ある。
【0014】また前記コンデンサにおいては、基体が無
定形構造あるいは結晶構造をもち、高誘電体薄膜及び電
極薄膜の配向性に影響を及ぼさないことを特徴とする。
これにより、基体上に形成した電極薄膜が面心立方晶の
細密充填面である(111)面が基体と平行に配向する
ことになり、上下電極と高誘電体薄膜の格子整合が可能
となり、接合界面における欠陥準位密度の低い高誘電体
薄膜と電極薄膜との接合が可能となる。その結果、誘電
率が大きく、リーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコン
デンサを提供することが可能である。
【0015】また前記コンデンサにおいては、基体がガ
ラス、セラミック、金属箔、有機高分子体、半導体基体
からなる群より選択される少なくとも1つの物質である
ことが好ましい。これにより基体上に形成する電極薄膜
は(111)面に優先配向することになり、誘電率が大
きく、リーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサ
を提供することが可能である。
【0016】また前記コンデンサにおいては、高誘電体
薄膜がSrTiO 3 、BaTiO 3 及びPbTiO 3 から
なる群より選択される少なくとも1つの物質であること
が好ましい。これにより誘電率が大きく、しかもリーク
電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供するこ
とが可能である。
【0017】また前記コンデンサにおいては、電極薄膜
がPt、Ag、Au、Cu、Ni、Al、Pd、Ru及
びIrからなる群より選択される少なくとも1つの物質
であることが好ましい。これにより高誘電体薄膜との格
子不整合が小さくなる結果、誘電率が大きく、リーク電
流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供すること
が可能である。
【0018】次に、本発明の実施形態である高誘電体薄
膜コンデンサの製造方法は、ペロブ スカイト構造を有す
る高誘電体薄膜の配向性が(111)面に優先配向した
高誘電体薄膜を形成するための高誘電体薄膜コンデンサ
の製造方法である。前記方法においては、高誘電体薄膜
の形成法としてRFマグネトロンスパッタ法、ECRマ
グネトロンスパッタ法からなる群より選択される手段を
用いることが好ましい。これにより高い比誘電率を示す
高誘電体薄膜の形成が可能となり誘電率が大きく、しか
もリーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提
供することが可能である。
【0019】また前記方法においては、RFマグネトロ
ンスパッタ法、ECRマグネトロンスパッタ法での成膜
圧力が3×10 -3 Torrを上限とすることが好まし
い。これにより、(111)面に優先配向した高誘電体
薄膜を形成することが可能となり、誘電率が大きく、リ
ーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供す
ることが可能である。
【0020】また前記方法においては、高誘電体薄膜の
形成温度が300℃を上限とすることが好ましい。これ
により酸化が起こりやすいAlやCu、Niを電極材料
として適用するが可能となり、低コストかつ誘電率が大
きく、リーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサ
を提供することが可能である。
【0021】また前記方法においては、高誘電体薄膜の
堆積速度が毎分10nmを下限とすることが好ましい。
これにより高誘電体薄膜形成の時間が短縮される結果、
製造のスループット向上が可能となり、低コストかつ誘
電率が大きく、リーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコ
ンデンサを提供することが可能である。
【0022】また前記方法においては、電極薄膜の堆積
速度が毎分10nmを下限とすることが好ましい。これ
により電極薄膜形成の時間が短縮される結果、製造のス
ループット向上が可能となり、低コストかつ誘電率が大
きく、リーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサ
を提供することが可能である。
【0023】次に、本発明の実施形態の高誘電体薄膜コ
ンデンサの製造方法は、高誘電体薄膜の下部および上部
電極が面心立方晶構造をもち、電極薄膜の配向性が(1
11)面に優先配向した電極薄膜を形成するための高誘
電体薄膜コンデンサの製造方法である。
【0024】前記方法においては、電極薄膜の形成法と
してDCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンス
パッタ法、ECRマグネトロンスパッタ法、真空蒸着法
及びCVD法からなる群より選択される手段を用いるこ
とが好ましい。これにより、容易に電極薄膜の配向性が
(111)面に優先配向した電極薄膜を形成することが
可能となり、誘電率が大きく、リーク電流の小さな絶縁
耐圧に優れたコンデンサを提供することが可能である。
【0025】また前記方法においては、電極薄膜の堆積
速度が毎分10nmを下限とすることが好ましい。これ
により電極薄膜形成の時間が短縮される結果、製造のス
ループット向上が可能となり、低コストかつ誘電率が大
きく、リーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサ
を提供することが可能である。
【0026】本発明により製造される高誘電体薄膜コン
デンサとは、ペロブスカイト構造を有する高誘電体薄膜
が(111)面に優先配向することにより誘電分極が大
きく、さらにフラットな表面形態となり、結晶粒界が緻
密な高誘電体薄膜となり、誘電率が大きく、絶縁耐圧に
優れた高品質かつ高信頼性を有する高誘電体薄膜コンデ
ンサである。すなわち、本高誘電体薄膜コンデンサを用
いることによりチップコンデンサとして小型かつ軽量な
電子機器に搭載することが可能となり、平滑用、同調用
やデカップリング用などのフレキシブルな低容量から高
容量までのチップコンデンサとして使用することができ
る。
【0027】以下、本発明を実施例を用いて図面を参照
してさらに詳しく説明する。
【0028】(実施の形態1) 第1の実施の形態における高誘電体薄膜コンデンサの構
成を図1に示す。図1において、1は基体、2は電極薄
膜、3は高誘電体薄膜である。基体として硼珪酸ガラス
を用い、電極薄膜にはPt、高誘電体薄膜にSrTiO
3を用いた。
【0029】ガラス基体上にDCマグネトロンスパッタ
法を用いて電極のPt薄膜を形成後、RFマグネトロン
スパッタ法によりSrTiO3薄膜を形成した。引き続
き電極のPt薄膜をDCマグネトロンスパッタ法により
形成し、高誘電体薄膜コンデンサとした。上記試料にお
いてコンデンサ特性を確認することができた。
【0030】高誘電体薄膜としては、高い比誘電率が得
られるようなSrTiO3、BaTiO3、PbTi
3、およびそれらの固溶体からなる群より選択される
少なくとも1つの物質であることが好ましい。
【0031】高誘電体薄膜の形成法としては、RFマグ
ネトロンスパッタ法、ECRマグネトロンスパッタ法を
用いることが好ましい。
【0032】高誘電体薄膜の堆積速度としては、毎分1
0nmを下限とすることが好ましい。
【0033】電極薄膜としては、Pt、Ag、Au、C
u、Ni、Al、Pd、Ru及びIrからなる群より選
択される少なくとも1つの物質であることが好ましい。
【0034】また、高誘電体薄膜の形成温度が300℃
以下であることが好ましい。
【0035】電極薄膜の形成法としては、DCマグネト
ロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、ECR
マグネトロンスパッタ法、真空蒸着法、CVD法を用い
ることが好ましい。
【0036】電極薄膜の堆積速度としては、毎分10n
mを下限とすることが好ましい。
【0037】
【実施例】以下本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0038】(実施例1) 第1の実施例として、図1の高誘電体薄膜コンデンサに
おいて、厚さ0.5mmのガラス基体上に、DCマグネ
トロンスパッタ法を用いてPt下部電極を形成した。電
極薄膜のスパッタ条件は10-6Torr台の高真空チャ
ンバー内においてAr雰囲気中、DC電力200W、成
膜圧力8×10-3Torr、基体温度25℃の条件で行
った。膜厚は約1000Å、蒸着レートは約100Å/
minであった。なお、電極形状はメタルマスクを用い
て5mm角の大きさに形成されている。下部電極形成
後、SrTiO3の高誘電体薄膜の形成を行った。Sr
TiO3薄膜のスパッタ条件は10-6Torr台の高真
空チャンバー内においてAr/O2=2/1の混合雰囲
気中において、RF電力800W、基体温度300℃の
条件で行った。成膜圧力は2×10-3Torrと8×1
-3Torrの2条件で形成した。SrTiO3薄膜の
膜厚は約3000Å、膜堆積速度はともに約300Å/
minあった。Pt下部電極上のSrTiO3薄膜の表
面積は4×4mmであった。SrTiO3薄膜形成後、
上部電極として再びPt電極の形成を行った。上部電極
の形成条件は、下部電極と同一条件である。電極間に挟
まれたSrTiO3薄膜の表面積は3×3mmであっ
た。
【0039】上記、2種類のPt/SrTiO3/Pt
構造積層膜のX線回折(XRD)を用いて分析した結晶
の配向性を図2に示す。X線回折パターンから、成膜圧
力を2×10-3Torrとして形成したSrTiO3
膜は(111)面に優先配向し、8×10-3Torrで
形成したピークがSrTiO3薄膜は(110)面に優
先配向していることがわかる。
【0040】上記、2種類のPt/SrTiO3/Pt
構造積層膜のSrTiO3薄膜表面の走査型電子顕微鏡
(SEM)を用いて分析した表面形態を図3に示す。X
RDの結果と合わせると、(111)面に優先配向した
SrTiO3薄膜は表面の凹凸が小さく、結晶粒界も緻
密であることが分かる。これに対し(110)面に優先
配向したSrTiO3薄膜は表面の凹凸が大きく、結晶
粒界も粗であることがわかる。
【0041】上記、2種類の高誘電体薄膜コンデンサを
用いてコンデンサ特性を評価した結果を表1に示す。な
お、測定周波数は1kHzである。またリーク電流測定
時の電圧は下部電極に+5Vを印加している。
【表1】 (表1)からわかるように、2×10-3Torrで成膜
したSrTiO3薄膜は誘電率が80で、2.6×10
-7mA/cm2の電流密度であったのに対し、8×10
-3Torrで成膜したSrTiO3薄膜は誘電率が60
で、5.3×10-5mA/cm2の電流密度であった。
【0042】これらの誘電率の違いは、SrTiO3
(111)面に優先配向したことにより誘電分極が大き
くなったことを反映して誘電率が大きくなったものであ
る。また、電流密度の違いは、SrTiO3薄膜の配向
性の違いを反映した結果であり、(110)面に配向し
たSrTiO3薄膜はSEMで観察された表面の凹凸お
よび粗な結晶粒界によりPtとの接合状態が悪くなり、
SrTiO3/Pt接合界面での欠陥準位が増大したこ
とによりリーク電流が大きくなったものである。tan
δについても同様の現象が確認されている。また、誘電
率に関しては、成膜圧力が高真空になるほど高くなる結
果を示した。これは高真空成膜により高誘電体薄膜が
(111)面により優先的に配向して誘電分極が大きく
なり、それに伴い誘電率が向上した結果である。なお、
成膜圧力としては(111)面への優先配向性を示す6
×10-3Torrよりも低い圧力で成膜することが好ま
しい。
【0043】従って、ペロブスカイト構造高誘電体薄膜
が(111)に優先配向することにより誘電率が大き
く、しかも表面の凹凸が小さく結晶粒界も緻密となり、
電極薄膜との接合も良好となる結果、リーク電流の小さ
な絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供することが可能で
ある。
【0044】(実施例2) 第2の実施例として、実施例1で使用した(111)面
に優先配向したSrTiO3薄膜を用いて、電極材料に
体心立方晶の結晶構造を有するCrを用いて同様の実験
を行った。それ以外は実施例1とすべて同一条件であ
る。
【0045】上記、2種類のPt/SrTiO3/Pt
構造積層膜およびCr/SrTiO3/Cr構造積層膜
のX線回折(XRD)を用いて分析した結晶の配向性を
図4に示す。X線回折パターンから、Ptは面心立方晶
構造を有することから、細密充填面である(111)面
に優先配向している。一方、Crは体心立方晶構造を有
することから、細密充填面である(110)面に優先配
向していることがわかる。
【0046】表2にそれぞれの高誘電体薄膜コンデンサ
の特性を示す。
【表2】 実験の結果、SrTiO3薄膜は共に(111)面に優
先配向していたため、誘電率に大きな違いはなかった。
しかし、面心立方晶の結晶構造を有するPt電極では
2.6×10-7mA/cm2の電流密度であったのに対
し、体心立方晶の結晶構造を有するCr電極では8.2
×10-5mA/cm2の電流密度であった。SrTiO3
薄膜は(111)面に優先配向しているため凹凸が小さ
く、結晶粒界も密であるのに、これらの電流密度に違い
が生じたのは、電極材料の結晶構造および配向性の違い
を反映した結果である。図5にSrTiO3およびP
t、Crの結晶構造を示す。SrTiO3はSrの立方
晶結晶格子中の面心位置にO、体心位置にTiが占有し
ている。SrTiO3薄膜が(111)面に配向する
と、Srで囲まれた(111)面が基体に平行になるよ
うに配向する。これに対して電極材料においては、Pt
は面心立方晶の結晶構造をもち、細密充填面である(1
11)面が基体と平行になるように配向する。一方、C
rは体心立方晶の結晶構造をもち、細密充填面である
(110)面が基体と平行になるように配向する。
【0047】さらに、それぞれの格子定数はSrTiO
3はa=3.91Å、Ptは3.924Å、Crは2.
885Åである。従って、Pt(111)面上にSrT
iO3(111)面が成長すると格子不整合は0.4%
となり、小さな格子不整合で成長する。一方、Cr(1
10)面上にSrTiO3(111)面が成長すると格
子不整合は9.6となり、大きな格子不整合で成長する
ことになる。その結果、格子不整合の小さなPt/Sr
TiO3接合では界面状態が良好となり、欠陥準位が低
減する結果、リーク電流が小さくなる。一方、格子不整
合の大きなCr/SrTiO3接合では界面状態が劣悪
となり、欠陥準位が増大する結果、リーク電流が大きく
なる。
【0048】なお、Cr電極上にSrTiO3薄膜を8
×10-3Torrの成膜圧力で形成することによりSr
TiO3(110)面優先配向/Cr(110)面配向
の積層膜を形成したが、この場合は格子不整合は26.
2%となり、さらに界面状態が劣悪になり欠陥準位が増
大する結果、電流密度は5.4×10-3mA/cm2
大きなリーク電流となった。さらに、実施例1で確認さ
れた(110)面に配向したSrTiO3薄膜の大きな
凹凸と粗な結晶粒界も大きなリーク電流に影響してい
る。
【0049】さらに、tanδについても電流密度同様
の傾向が確認されている。
【0050】従って、(111)面に優先配向した高誘
電体薄膜の下部及び上部の電極薄膜が面心立方晶構造を
もち、電極薄膜の配向性が(111)面に優先配向して
いることにより、下部電極と上部電極間に形成した高誘
電体薄膜の格子整合が可能となり、接合界面における欠
陥準位密度の低い高誘電体薄膜と電極薄膜との接合が可
能となる。その結果、誘電率が大きく、しかもリーク電
流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供すること
が可能である。
【0051】なお、高誘電体薄膜と電極薄膜の格子の不
整合は5%を上限とすることが望ましい。格子不整合が
5%を越えるとリーク電流が大きくなり、絶縁耐圧特性
が劣化する。
【0052】(実施例3) 第3の実施例として、実施例1で使用した(111)面
に優先配向したSrTiO3薄膜を用いて、電極材料に
格子不整合の小さなPtとそれよりもやや格子不整合の
大きいAlNi合金電極を用いて同様の実験を行った。
それ以外は実施例1とすべて同一条件である。なお、A
lNi合金はAl:Ni=55:45で、XRDによる
精密格子定数測定の結果、格子定数はa=3.85Åで
あった。なお、XRD分析によりSrTiO3薄膜は
(111)面に配向していることを確認している。
【0053】表3にそれぞれの高誘電体薄膜コンデンサ
の特性を示す。
【表3】 実験の結果、Pt、AlNiの両電極においてtan
δ、電流密度共に大きな変化はなく、誘電率は向上する
結果が得られた。これはSrTiO3薄膜よりも電極材
料のAlNiの格子定数が小さくなったことによりSr
TiO3薄膜に面内圧縮応力が掛かったことにより誘電
分極が大きくなった結果を反映している。実験結果は、
(111)面に配向したSrTiO3薄膜においても面
内圧縮応力が加わると誘電率が向上することを示してい
る。
【0054】従って、高誘電体薄膜の格子定数が電極薄
膜の格子定数よりも大きいことにより高誘電体薄膜には
圧縮の面内応力が加わることになり、大きな誘電分極を
生じることにより誘電率が大きく、しかもリーク電流の
小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供することが可
能である。
【0055】なお、高誘電体薄膜と電極薄膜の格子の不
整合は5%を上限とすることが望ましい。格子不整合が
5%を越えるとリーク電流が大きくなり、絶縁耐圧特性
が劣化する。
【0056】(実施例4) 第4の実施例として、実施例1で使用した(111)面
に優先配向したSrTiO3薄膜を用いて、実施例1で
使用したガラス基体の代わりに厚さ100μmのステン
レス箔を用いて用いて同様の実験を行った。それ以外は
実施例1とすべて同一条件である。なお、ステンレス箔
は導電性があることから上下電極間でショートするた
め、SUS表面にTi(OC254の加水分解反応に
よるゾル-ゲル法を用いてTiO2を形成した。TiO2
の厚みは約500Åである。なお、XRDを用いて分析
した結果、両積層膜ともに同様の回折パターンを示し
た。
【0057】表4にそれぞれの高誘電体薄膜コンデンサ
の特性を示す。
【表4】 実験の結果、ガラス、ステンレス箔の両基体において誘
電率、tanδ、電流密度共に大きな変化はなく、同等
の特性が得られた。なお、基体材料としてガラス以外に
セラミック、金属箔、有機高分子体、シリコン(10
0)基体、GaAs(100)基体を用いても同様の傾
向を得ることができた。
【0058】従って、基体が無定形構造あるいは結晶構
造をもち、高誘電体薄膜及び電極薄膜の配向性に影響を
及ぼさないことにより、基体上に形成した電極薄膜が面
心立方晶の細密充填面である(111)面が基体と平行
に配向することになり、さらにその上に形成した高誘電
体薄膜が(111)面に配向することにより上下電極と
高誘電体薄膜の格子整合が可能となり、接合界面におけ
る欠陥準位密度の低い高誘電体薄膜と電極薄膜との接合
が可能となる。その結果、誘電率が大きく、しかもリー
ク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供する
ことが可能である。
【0059】(実施例5) 第5の実施例として、実施例1で使用したSrTiO3
の高誘電体薄膜の代わりにBaTiO3、PbTiO3
および固溶体の(Ba0.2Sr0.8)TiO3と(Pb0.1
Sr0.9)TiO3、比較例としてBiTiO3を用いて
実施例1同様の実験を行った。BaTiO3、PbTi
3、(Ba0.2Sr0.8)TiO3、(Pb0.1Sr0.9
TiO3、BiTiO3の形成条件は実施例1と同様であ
る。
【0060】XRDを用いて分析した結果、それぞれの
高誘電体薄膜は2×10-3Torrの成膜圧力で形成し
たところ、すべて(111)面に優先配向していた。
【0061】表5にそれぞれの誘電体薄膜を用いて作製
したフレキシブル薄膜コンデンサの誘電率を示す。
【表5】 実験の結果、BiTiO3を除いたすべての誘電体薄膜
において高い誘電率と低いtanδ、電流密度を得るこ
とができた。また、それぞれの高誘電体材料において成
膜圧力を8×10-3Torrとして(110)面に優先
配向した高誘電体薄膜を形成してPt電極のコンデンサ
を作製したが、すべてのコンデンサは高誘電体薄膜が
(111)面に配向した方が大きな誘電率を示した。
【0062】従って、高誘電体薄膜がSrTiO3、B
aTiO3及びPbTiO3からなる群より選択される少
なくとも1つの物質であり、(111)面に優先配向す
ることにより誘電率が大きく、しかもリーク電流の小さ
な絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供することが可能で
ある。
【0063】(実施例6) 第6の実施例として、実施例1で使用した(111)面
に優先配向したSrTiO3薄膜を用いて、実施例1で
使用したPtの代わりに、Alを用いて同様の実験を行
った。それ以外は実施例1とすべて同一条件である。
【0064】表6にそれぞれの高誘電体薄膜コンデンサ
の特性を示す。
【表6】 実験の結果、Alを用いてもPtとほぼ同等の特性を得
ることができた。なお、電極材料としてはPt以外にA
g、Au、Cu、Ni、Al、Pd、Ru及びIrおよ
びこれらの合金を用いても同様の傾向を得ることができ
た。これらの電極材料を使用することにより、高誘電体
薄膜との格子不整合が小さくなる結果、リーク電流の小
さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供することが可能
である。
【0065】(実施例7) 第7の実施例として、SrTiO3薄膜の形成方法とし
てECRマグネトロンスパッタ法を用いた。ECRスパ
ッタの条件として、10-6Torr台の高真空チャンバ
ー内においてAr/O2=2/1の混合雰囲気中におい
て、RF電力600W、マイクロ波電力400W、基体
温度300℃の条件で行った。成膜圧力は2×10-3
orrで形成した。SrTiO3薄膜の膜厚は約300
0Å、膜堆積速度は約300Å/minあった。それ以
外は実施例1とすべて同一条件である。
【0066】実験の結果、コンデンサ特性として実施例
1とほぼ同様の傾向を得ることができた。
【0067】従って、高誘電体薄膜の形成法としてRF
マグネトロンスパッタ法、ECRマグネトロンスパッタ
法からなる群より選択される手段を用いることにより高
い誘電率を示し、しかもリーク電流の小さな絶縁耐圧に
優れたコンデンサを提供することが可能である。
【0068】(実施例8) 第8の実施例として、実施例1で使用した(111)面
に優先配向したSrTiO3薄膜を用いて、高誘電体薄
膜の形成温度として300℃と400℃の2条件で実験
を行った。なお、電極材料にはAlを使用し、それ以外
は実施例1とすべて同一条件である。
【0069】表7にそれぞれの高誘電体薄膜コンデンサ
の特性を示す。
【表7】 基体温度が400℃になるとすべてのコンデンサ特性が
劣化している。基体温度が高くなると電極材料のAlの
表面が酸化されることにより低誘電率層のAl酸化膜が
形成され、誘電率が低下し、tanδも大きくなってい
る。また、Alの酸化膜とSrTiO3薄膜との界面接
合特性が劣悪となることによりリーク電流も増加してい
る。
【0070】従って、高誘電体薄膜の形成温度が300
℃を上限とすることにより酸化が起こりやすいAlやC
u、Niを電極材料として適用するが可能となり、低コ
ストかつリーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデン
サを提供することが可能である。
【0071】(実施例9) 第9の実施例として、実施例1で使用した(111)面
に優先配向したSrTiO3薄膜を用いて、RF電力を
増加させた時の高誘電体薄膜の堆積速度の検討を行っ
た。それ以外は実施例1とすべて同一条件である。
【0072】実験の結果、RF電力の増加に伴い堆積速
度が直線的に増加した。堆積速度の増大に伴うSrTi
3薄膜の配向性の変化は確認されなかった。また、コ
ンデンサの誘電率は、RF電力を増加させて堆積速度を
上げても極度に劣化することはなかった。また、リーク
電流も極度に増大することはなかった。蒸着速度の向上
はスループットの向上につながり、高誘電体薄膜コンデ
ンサの低価格化を実現できる。特性が劣化しなければよ
り速い堆積速度が好ましく、本実施例では誘電率の極度
の低下やリーク電流の増大は見られなかった。
【0073】従って、実質的な高誘電体薄膜の形成速度
として10nmを下限とすることにより高誘電体薄膜形
成の時間が短縮される結果、製造のスループット向上が
可能となり、低コストかつ誘電率が大きく、リーク電流
の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供することが
可能である。
【0074】(実施例10) 第10の実施例として、実施例2で使用したPt電極の
形成方法としてEB蒸着を用いて同様の実験を行った。
EB蒸着は10-6Torr台の高真空チャンバー内にお
いて基体温度25℃の条件で行った。金属電極の形成以
外は実施例2とすべて同一条件である。
【0075】XRDによる分析結果、Ptは(111)
面に優先配向していることが確認された。また、コンデ
ンサ特性も実施例2のPt電極を用いたコンデンサと同
等の特性が得られた。なお、金属電極の形成法としてD
Cマグネトロンスパッタ法、ECRマグネトロンスパッ
タ法、真空蒸着法、CVD法を用いてもほぼ同様の効果
を得ることができるが、真空装置の自動化、連続化の観
点からDCマグネトロンスパッタ法、あるいはRFマグ
ネトロンスパッタ法を用いることが好ましい。
【0076】従って、電極薄膜の形成法としてDCマグ
ネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、E
CRマグネトロンスパッタ法、真空蒸着法及びCVD法
からなる群より選択される手段を用いることにより、容
易に電極薄膜の配向性が(111)面に優先配向した電
極薄膜を形成することが可能となり、誘電率が大きく、
リーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供
することが可能である。
【0077】(実施例11) 第11の実施例として、実施例1で使用した(111)
面に優先配向したSrTiO3薄膜を用いて、DC電力
を増加させた時の電極薄膜の堆積速度の検討を行った。
それ以外は実施例1とすべて同一条件である。
【0078】実験の結果、DC電力の増加に伴い堆積速
度が直線的に増加した。堆積速度の増大に伴うPt薄膜
の配向性の変化は確認されなかった。また、コンデンサ
の誘電率は、DC電力を増加させて堆積速度を上げても
極度に劣化することはなかった。リーク電流も極度に増
大することはなかった。堆積速度の向上はスループット
の向上につながり、高誘電体薄膜コンデンサの低価格化
を実現できる。特性が劣化しなければより速い堆積速度
が好ましく、本実施例では誘電率の極度の低下やリーク
電流の増大は見られなかった。
【0079】従って、実質的な電極薄膜の形成速度とし
て10nmを下限とすることにより電極薄膜形成の時間
が短縮される結果、製造のスループット向上が可能とな
り、低コストかつ誘電率が大きく、リーク電流の小さな
絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供することが可能であ
る。
【0080】
【発明の効果】前記した本発明方法によれば、ペロブス
カイト構造を有する高誘電体薄膜の配向性が(111)
面に優先配向していることにより誘電率が大きく、リー
ク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供する
ことができる。
【0081】また、本発明の製造方法は、前記高誘電体
薄膜コンデンサを効率よく合理的に製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1及び実施例1〜11の高
誘電体薄膜コンデンサを示す断面図
【図2】本発明の実施例1のPt/SrTiO3/Pt
構造積層膜のX線回折パターンを示す図
【図3】本発明の実施例1のSrTiO3薄膜の表面形
態を示す図
【図4】本発明の実施例2のPt/SrTiO3/Pt
構造積層膜およびCr/SrTiO3/Cr構造積層膜
のX線回折パターンを示す図
【図5】本発明の実施例2のSrTiO3およびPt、
Crの結晶構造を示す図
【符号の説明】
1 基体 2 電極薄膜 3 高誘電体薄膜
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 27/04 (72)発明者 北川 雅俊 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 上野山 雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−283369(JP,A) 特開 平7−183165(JP,A) 特開 平8−316098(JP,A) 特開 平7−172996(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配向性が(111)面に優先配向するペ
    ロブスカイト構造を有する高誘電体薄膜の上下面に、配
    向性が(111)面に優先配向する面心立方晶構造を有
    するPt電極薄膜からなる上部電極及び下部電極を形成
    し、かつ前記下部電極は無定形構造あるいは結晶構造を
    もつ基体上に形成されている高誘電体薄膜コンデンサの
    製造方法であって、 基体上にDCマグネトロンスパッタ法、またはEB蒸着
    法を用いてPt電極薄膜を形成する工程と、前記Pt電
    極薄膜上にRFマグネトロンスパッタ法、またはECR
    マグネトロンスパッタ法を用いて高誘電体薄膜を形成す
    る工程と、前記高誘電体薄膜上にDCマグネトロンスパ
    ッタ法、またはEB蒸着法を用いてPt電極薄膜を形成
    する工程とを有する高誘電体薄膜コンデンサの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 高誘電体薄膜がSrTiO 3 、BaTi
    3 及びPbTiO 3 からなる群より選択される少なくと
    も1つの物質である請求項1に記載の高誘電体薄膜コン
    デンサの製造方法。
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