JP2001126947A - 高誘電体薄膜コンデンサの製造方法 - Google Patents

高誘電体薄膜コンデンサの製造方法

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JP2001126947A
JP2001126947A JP30667499A JP30667499A JP2001126947A JP 2001126947 A JP2001126947 A JP 2001126947A JP 30667499 A JP30667499 A JP 30667499A JP 30667499 A JP30667499 A JP 30667499A JP 2001126947 A JP2001126947 A JP 2001126947A
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thin film
high dielectric
dielectric thin
srtio
capacitor
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Naoki Obara
直樹 小原
Tasuke Sawada
太助 沢田
Masatoshi Kitagawa
雅俊 北川
Takeshi Uenoyama
雄 上野山
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ペロブスカイト構造を有する高誘電体薄膜の
配向性が(111)面に優先配向していることにより誘
電率が大きく、リーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコ
ンデンサの製造方法を提供する。 【解決手段】 ガラス基体上1上にPtの下部電極をD
Cマグネトロンスパッタ法により形成した後、RFマグ
ネトロンスパッタ法によりエロージョン7直上におい
て、基体温度300℃、成膜ガスAr/O2/N2=2/
1の混合雰囲気中において高誘電体薄膜4のSrTiO
3を形成し、引き続き上部電極3のPtをDCマグネト
ロンスパッタ法により形成し、高誘電体薄膜コンデンサ
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペロブスカイト構
造を有する高誘電体薄膜が(111)面に優先配向した
高誘電体薄膜を形成するための高誘電体薄膜コンデンサ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化、薄型化が要求
されている。電子機器はICやコンデンサなどの電子部
品が実装された回路基板等から構成され、使用される電
子部品、回路基板にも薄型化が要求されている。小型か
つ薄型なコンデンサを実現するために、ガラスやセラミ
ック、金属箔、あるいは有機高分子フィルムなどの小
型、軽量、低コストな基体の上に、電極薄膜と高誘電体
薄膜との積層構造からなる小型、軽量コンデンサが提供
されている。あるいはIC基板上に直接高誘電体薄膜を
堆積し、メモリ素子としてモノリシックな集積回路が構
成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記、電極薄膜上に高
誘電体薄膜を形成する際、高誘電体薄膜は成膜条件によ
りランダムな方位に配向し、基体の影響を受けない場
合、主に(110)面、(111)面、(200)面に
ランダムに配向する。しかし、(111)面以外に配向
した高誘電体薄膜は(111)面に配向した高誘電体薄
膜よりも誘電分極が小さくなる結果、誘電率が低くなっ
てしまう。さらに、(111)面以外に配向すると表面
の凹凸が大きくなると共に、結晶粒界も粗な膜が形成さ
れてしまう。
【0004】このような表面の凹凸や粗な結晶粒界は電
極薄膜との接触状態を劣悪なものとし、結晶粒界や電極
との界面での界面準位が多発してキャリアの再結合が支
配的となる結果、リーク電流が増大してしまい、絶縁耐
圧の低いコンデンサとなってしまう。
【0005】本発明は、ペロブスカイト構造を有する高
誘電体薄膜の配向性が(111)面に優先配向すること
により大きな誘電率を有し、しかもフラットな表面形態
となり、結晶粒界が緻密な高誘電体薄膜を提供すること
により、誘電率が大きく、しかも絶縁耐圧に優れた高品
質かつ高信頼性を有する高誘電体薄膜コンデンサの製造
方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の高誘電体薄膜コンデンサの製造方法は、ペ
ロブスカイト構造を有する高誘電体薄膜の配向性が(1
11)面に優先配向した高誘電体薄膜を形成するための
高誘電体薄膜コンデンサの製造方法である。
【0007】前記方法においては、高誘電体薄膜の形成
法としてRFマグネトロンスパッタ法を用い、前記RF
マグネトロンスパッタ法において、エロージョン直上で
成膜することが好ましい。これによりペロブスカイト構
造を有する高誘電体薄膜の配向性が(111)面に優先
配向し、高い比誘電率を示す高誘電体薄膜の形成が可能
となり、誘電率が大きく、しかもリーク電流の小さな絶
縁耐圧に優れたコンデンサを提供することが可能であ
る。
【0008】また前記方法においては、RFマグネトロ
ンスパッタ法での成膜ガスとして希ガス、酸素ガス及び
窒素を含有するガスの混合ガスを用いて成膜することが
好ましい。これによりペロブスカイト構造を有する高誘
電体薄膜の配向性が(111)面に優先配向し、高い比
誘電率を示す高誘電体薄膜の形成が可能となり、誘電率
が大きく、しかもリーク電流の小さな絶縁耐圧に優れた
コンデンサを提供することが可能である。
【0009】また前記方法においては、希ガスとしてH
e、Ne、Ar、Kr及Xeからなる群より選択される
少なくとも1つの物質であることが好ましい。これによ
りペロブスカイト構造を有する高誘電体薄膜の配向性が
(111)面に優先配向し、高い比誘電率を示す高誘電
体薄膜の形成が可能となり、誘電率が大きく、しかもリ
ーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供す
ることが可能である。
【0010】また前記方法においては、基板とターゲッ
ト間に規制板を設けることによりコリメートされたスパ
ッタ粒子を用いて成膜することが好ましい。これにより
ペロブスカイト構造を有する高誘電体薄膜の配向性が
(111)面により優先配向し、高い比誘電率を示す高
誘電体薄膜の形成が可能となり、誘電率が大きく、しか
もリーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提
供することが可能である。
【0011】また前記方法においては、基板の回転によ
り基板面内に均一な配向性を有する高誘電体薄膜を形成
することが好ましい。これにより(111)面により優
先配向したペロブスカイト構造を有する高誘電体薄膜を
大面積基板上に均一に形成することが可能となり、誘電
率が大きく、しかもリーク電流の小さな絶縁耐圧に優れ
たコンデンサを大量に提供することが可能である。
【0012】また前記方法においては、高誘電体薄膜の
堆積速度が毎分10nmを下限とすることが好ましい。
これによりペロブスカイト構造を有する高誘電体薄膜の
配向性が(111)面に優先配向した高誘電体薄膜形成
の時間が短縮される結果、製造のスループット向上が可
能となり、低コストかつ誘電率が大きく、リーク電流の
小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供することが可
能である。
【0013】本発明により製造される高誘電体薄膜コン
デンサとは、ペロブスカイト構造を有する高誘電体薄膜
が(111)面に優先配向することにより誘電分極が大
きく、さらにフラットな表面形態となり、結晶粒界が緻
密な高誘電体薄膜となり、誘電率が大きく、絶縁耐圧に
優れた高品質かつ高信頼性を有する高誘電体薄膜コンデ
ンサである。すなわち、本高誘電体薄膜コンデンサを用
いることによりチップコンデンサとして小型かつ軽量な
電子機器に搭載することが可能となり、平滑用、同調用
やデカップリング用などのフレキシブルな低容量から高
容量までのチップコンデンサとして使用することができ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例を用いて図
面を参照してさらに詳しく説明する。
【0015】(実施の形態1)第1の実施の形態におけ
る高誘電体薄膜コンデンサの構成を図1に示す。図1に
おいて、1は基体、2は電極薄膜、3は高誘電体薄膜で
ある。基体1として硼珪酸ガラスを用い、電極薄膜2に
はPt、高誘電体薄膜3にSrTiO3を用いた。
【0016】ガラス基体1上にDCマグネトロンスパッ
タ法を用いて電極のPt/Ti薄膜2を形成後、RFマ
グネトロンスパッタ法によりSrTiO3薄膜3を形成
した。引き続き電極のPt薄膜2をDCマグネトロンス
パッタ法により形成し、高誘電体薄膜コンデンサとし
た。上記試料においてコンデンサ特性を確認することが
できた。
【0017】高誘電体薄膜の形成法としては、RFマグ
ネトロンスパッタ法を用いることが好ましい。
【0018】高誘電体薄膜の形成法時における成膜ガス
としては、希ガス、酸素ガス及び窒素を含有するガスの
混合ガスを用いて成膜することが好ましい。
【0019】成膜ガスの希ガスとしては、He、Ne、
Ar、Kr及Xeからなる群より選択される少なくとも
1つの物質であることが好ましい。
【0020】高誘電体薄膜の堆積速度としては、毎分1
0nmを下限とすることが好ましい。
【0021】
【実施例】以下本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0022】(実施例1)第1の実施例として、図1の
高誘電体薄膜コンデンサにおいて、一辺が10cm角の
正方形、厚さ0.5mmのガラス基体1上に、DCマグ
ネトロンスパッタ法を用いてTi接着層、Pt下部電極
2を形成した。電極薄膜のスパッタ条件は10-6Tor
r台の高真空チャンバー内においてAr雰囲気中、DC
電力200W、成膜圧力8×10-3Torr、基体温度
25℃の条件で行った。Pt/Tiの膜厚はそれぞれ約
100nm/10nm、蒸着レートはともに約10nm
/minであった。なお、電極形状はメタルマスクを用
いて5mm角の大きさに形成されている。下部電極形成
後、SrTiO3の高誘電体薄膜3の形成を行った。S
rTiO3薄膜はRFマグネトロンスパッタ法を用いて
成膜した。
【0023】図2にRFマグネトロンスパッタ装置の概
念図を示す。4はターゲット、5は基体ホルダ、6はマ
グネット、7はエロージョン(erosion)、8は磁力線
である。ターゲット4には6インチターゲットを使用し
た。マグネット6はターゲット/バッキングプレート下
の中心から2cm、および中心から6cm離れた場所
に、同心円上に配置されている。ガウスメータによる測
定結果、ターゲット上の中心点から4cmの距離におい
て水平磁場が最強となり、約1,200Gaussを示
した。また、SrTiO3薄膜のスパッタ条件は、10
-6Torr台の高真空チャンバー内において、成膜圧力
8×10-3Torr、RF電力800W、基体温度30
0℃の条件で行った。成膜ガスはAr/O2=2/1で
形成した。SrTiO3薄膜の膜厚は約300nm、膜
堆積速度は約30nm/minであった。Pt下部電極
上のSrTiO3薄膜の表面積は4×4mmであった。
SrTiO3薄膜形成後、上部電極2として再びPt電
極の形成を行った。上部電極の形成条件は、下部電極と
同一条件である。電極間に挟まれたSrTiO3薄膜の
表面積は3×3mmであった。
【0024】上記、10cm角基板上の中心点(A
点)、及びエロージョン直上となる基板の中心から4c
m離れた場所(B点)に形成された2種類のPt/Sr
TiO3/Pt構造積層膜について、X線回折(XR
D)を用いて分析した結晶の配向性を図3に示す。X線
回折パターンから、A点でのSrTiO3薄膜は(11
0)面に優先配向し、B点でのSrTiO3薄膜は(1
11)面に優先配向していることがわかる。
【0025】図4に10cm角基板面内に、エロージョ
ン直上となる基板中心から4cm離れた点を基準として
外側約1.2cm、内側4.0cmの各点に形成したP
t/SrTiO3/Pt構造積層膜について、X線回折
(XRD)を用いて分析したときのエロージョン直上と
なる点からの距離に対するSrTiO3の111ピーク
強度をプロットした結果を示す。エロージョンの中心の
直上となる点を境にそれぞれ1cmの幅で111ピーク
が観測され、エロージョン中心直上において最も111
ピーク強度が強くなっていることがわかる。このエロー
ジョンの中心点から外側、および内側1cmという距離
は、実際にスパッタされているターゲットの領域と良い
一致を示した。すなわち、エロージョン直上において
(111)面に優先配向したSrTiO3薄膜が形成さ
れている。
【0026】上記、A点およびB点での2種類のPt/
SrTiO3/Pt構造積層膜のSrTiO3薄膜表面の
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて分析した表面形態
を図5に示す。XRDの結果と合わせると、B点に形成
された(111)面に優先配向したSrTiO3薄膜は
表面の凹凸が小さく、結晶粒界も緻密であることが分か
る。これに対し、A点に形成された(110)面に優先
配向したSrTiO 3薄膜は表面の凹凸が大きく、結晶
粒界も粗であることがわかる。
【0027】上記、2種類の高誘電体薄膜コンデンサを
用いてコンデンサ特性を評価した結果を(表1)に示
す。なお、測定周波数は1kHzである。またリーク電
流測定時の電圧は下部電極に+5Vを印加している。
【0028】
【表1】
【0029】A点に形成されたSrTiO3薄膜は誘電
率が60で、5.3×10-4mA/cm2の電流密度で
あったのに対し、B点に形成されたSrTiO3薄膜は
誘電率が80で、2.6×10-7mA/cm2の電流密
度であった。これらの誘電率の違いは、SrTiO3
(111)面に優先配向したことにより誘電分極が大き
くなったことを反映して誘電率が大きくなったものであ
る。また、電流密度の違いは、SrTiO3薄膜の配向
性の違いを反映した結果であり、(110)面に配向し
たSrTiO3薄膜はSEMで観察された表面の凹凸お
よび粗な結晶粒界によりPtとの接合状態が悪くなり、
SrTiO3/Pt接合界面での欠陥準位が増大したこ
とによりリーク電流が大きくなったものである。tan
δについても同様の現象が確認されている。
【0030】従って、RFマグネトロンスパッタ法にお
いて、エロージョン直上で成膜することによりペロブス
カイト構造を有する高誘電体薄膜の配向性が(111)
面に優先配向し、ペロブスカイト構造高誘電体薄膜が
(111)に優先配向することにより誘電率が大きく、
しかも表面の凹凸が小さく結晶粒界も緻密となり、電極
薄膜との接合も良好となる結果、リーク電流の小さな絶
縁耐圧に優れたコンデンサを提供することが可能であ
る。
【0031】(実施例2)第2の実施例として、実施例
1で使用した成膜ガスとして、Ar/O2ガスにN2ガス
を添加してSrTiO3の高誘電体薄膜の形成を行っ
た。成膜ガスはAr/O2=2/1とAr/O2/N2
2/1/0.5の2条件で形成した。それ以外は実施例
1とすべて同一条件である。
【0032】上記、A点及びB点でのそれぞれ2種類の
成膜ガスを用いて作製したPt/SrTiO3/Pt構
造積層膜のX線回折(XRD)を用いて分析した結晶の
配向性を図6に示す。X線回折パターンから、A点およ
びB点のそれぞれにおいて、成膜ガスとしてAr/O2
/N2を用いて形成したSrTiO3薄膜の方が成膜ガス
としてAr/O2を用いて形成したSrTiO3薄膜より
111ピーク強度が強くなっている。すなわち、Ar/
2/N2ガスを用いてSrTiO3薄膜を形成すること
により、より(111)面への配向性の強いSrTiO
3薄膜の形成が可能となる。さらに、B点では、成膜ガ
スにAr/O2を用いて形成したSrTiO3薄膜は11
1ピークは観測されなかったが、成膜ガスにAr/O2
/N2を用いて形成したSrTiO3薄膜からは111ピ
ークが観測され、Ar/O2/N 2を用いて形成したSr
TiO3薄膜は(111)面に優先配向していることが
わかる。
【0033】上記、4種類の高誘電体薄膜コンデンサを
用いてコンデンサ特性を評価した結果を(表2)に示
す。なお、測定周波数は1kHzである。またリーク電
流測定時の電圧は下部電極に+5Vを印加している。
【0034】
【表2】
【0035】A点、B点のそれぞれの領域において、A
r/O2ガスで成膜したSrTiO3薄膜よりもAr/O
2/N2ガスで成膜したSrTiO3薄膜の方が誘電率、
誘電損失、絶縁耐圧特性が向上していることがわかる。
【0036】従って、RFマグネトロンスパッタ法での
成膜ガスとして希ガス、酸素ガス及び窒素を含有するガ
スの混合ガスを用いて成膜することによりペロブスカイ
ト構造を有する高誘電体薄膜の配向性が(111)面に
優先配向し、ペロブスカイト構造高誘電体薄膜が(11
1)に優先配向することにより誘電率が大きく、しかも
表面の凹凸が小さく結晶粒界も緻密となり、電極薄膜と
の接合も良好となる結果、リーク電流の小さな絶縁耐圧
に優れたコンデンサを提供することが可能である。
【0037】(実施例3)第3の実施例として、実施例
1で使用した成膜ガスとして、N2ガスの代わりにN2
ガスを用いてSrTiO3の高誘電体薄膜の形成を行っ
た。
【0038】(表3)にN2ガスとN2Oガスを用いて形
成したSrTiO3高誘電体薄膜コンデンサの諸特性示
す。
【0039】
【表3】
【0040】実験の結果、実施例1のAr/O2/N2
スを用いて形成したSrTiO3薄膜コンデンサとほぼ
同等の特性を得ることができた。
【0041】従って、窒素を含有する成膜ガスとしてN
2ガス以外にN2Oガスを用いてもペロブスカイト構造を
有する高誘電体薄膜の配向性が(111)面に優先配向
し、ペロブスカイト構造高誘電体薄膜が(111)に優
先配向することにより誘電率が大きく、しかも表面の凹
凸が小さく結晶粒界も緻密となり、電極薄膜との接合も
良好となる結果、リーク電流の小さな絶縁耐圧に優れた
コンデンサを提供することが可能である。
【0042】(実施例4)第4の実施例として、実施例
3で使用したSrTiO3高誘電体薄膜の形成条件とし
て、Ar以外の希ガスを用いてSrTiO3高誘電体薄
膜の形成を行った。Ar以外の希ガスとして、He、N
e、Kr、Xeを用いて検討を行った。その他のスパッ
タ条件は実施例1と同様である。
【0043】(表4)にそれぞれの希ガスを用いて形成
した誘電体薄膜を用いて作製した薄膜コンデンサの諸特
性を示す。
【0044】
【表4】
【0045】実験の結果、全ての希ガスを用いて形成し
た高誘電体薄膜コンデンサにおいて良好なコンデンサ特
性が得られている。
【0046】従って、希ガスとしてHe、Ne、Ar、
Kr及びXeからなる群より選択される物質を用いるこ
とによりペロブスカイト構造を有する高誘電体薄膜の配
向性が(111)面に優先配向し、ペロブスカイト構造
高誘電体薄膜が(111)に優先配向することにより誘
電率が大きく、しかも表面の凹凸が小さく結晶粒界も緻
密となり、電極薄膜との接合も良好となる結果、リーク
電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供するこ
とが可能である。
【0047】(実施例5)第5の実施例として、実施例
1で使用した製造装置に規制板を設け、コリメートされ
たスパッタ粒子を用いてSrTiO3の高誘電体薄膜の
形成を行った。成膜場所はエロージョン直上のB点で、
それ以外は実施例1とすべて同一条件である。図7は規
制板を設けた成膜装置の概念図を示す。9は規制板であ
る。
【0048】上記、規制板を設けた条件及び規制板のな
い条件で作製したPt/SrTiO 3/Pt構造積層膜
のX線回折(XRD)を用いて分析した結晶の配向性を
図8に示す。X線回折パターンから、規制板9を設ける
ことによりSrTiO3薄膜の111ピーク強度が強く
なっている。すなわち、規制板9を用いてSrTiO 3
薄膜を形成することにより、より(111)面への配向
性の強いSrTiO3薄膜の形成が可能となる。
【0049】上記、2種類の高誘電体薄膜コンデンサを
用いてコンデンサ特性を評価した結果を(表5)に示
す。なお、測定周波数は1kHzである。またリーク電
流測定時の電圧は下部電極に+5Vを印加している。
【0050】
【表5】
【0051】規制板を設けることにより少しづつ特性が
向上していることがわかる。
【0052】従って、基板とターゲット間に規制板を設
けることによりコリメートされたスパッタ粒子を用いて
成膜することによりペロブスカイト構造を有する高誘電
体薄膜の配向性が(111)面により優先配向し、高い
比誘電率を示す高誘電体薄膜の形成が可能となり、誘電
率が大きく、しかもリーク電流の小さな絶縁耐圧に優れ
たコンデンサを提供することが可能である。
【0053】(実施例6)第6の実施例として、実施例
5で使用した規制板付きの製造装置において、基板回転
機構を設けた製造装置を用いてSrTiO3の高誘電体
薄膜の形成を行った。基板回転は10cm角の基板が5
cmの振り幅で公転運動をする。それ以外は実施例1と
すべて同一条件である。
【0054】上記、基板回転条件下での基板のA点、及
びB点それぞれの場所において作製したPt/SrTi
3/Pt構造積層膜に対してX線回折(XRD)を用
いて分析したを行ったところ、同程度の配向性を示し
た。すなわち、基板回転を行うことにより、基板面内で
均一な配向性を有するSrTiO3薄膜の形成が可能と
なる。
【0055】上記、2種類の高誘電体薄膜コンデンサを
用いてコンデンサ特性を評価した結果を(表6)に示
す。なお、測定周波数は1kHzである。またリーク電
流測定時の電圧は下部電極に+5Vを印加している。
【0056】
【表6】
【0057】基板回転により基板面内の異なる場所でも
全く同等の特性を有する素子が形成されていることがわ
かる。
【0058】従って、基板の回転により基板面内に均一
な配向性を有する高誘電体薄膜を形成することが可能で
あり、これにより(111)面により優先配向したペロ
ブスカイト構造を有する高誘電体薄膜を大面積基板上に
均一に形成することが可能となり、誘電率が大きく、し
かもリーク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを
大量に提供することが可能である。
【0059】(実施例7)第7の実施例として、実施例
1で使用した(111)面に優先配向したSrTiO3
薄膜を用いて、RF電力を増加させた時の高誘電体薄膜
の堆積速度の検討を行った。それ以外は実施例1とすべ
て同一条件である。
【0060】図9にRF電力に対する蒸着速度を示す。
RF電力の増加に伴い蒸着速度が直線的に増加している
ことがわかる。堆積速度の増大に伴うSrTiO3薄膜
の配向性の変化は確認されなかった。また、コンデンサ
の誘電率は、RF電力を増加させて堆積速度を上げても
極度に劣化することはなかった。また、リーク電流も極
度に増大することはなかった。蒸着速度の向上はスルー
プットの向上につながり、高誘電体薄膜コンデンサの低
価格化を実現できる。特性が劣化しなければより速い堆
積速度が好ましく、本実施例では誘電率の極度の低下や
リーク電流の増大は見られなかった。
【0061】従って、実質的な高誘電体薄膜の形成速度
として10nmを下限とすることにより高誘電体薄膜形
成の時間が短縮される結果、製造のスループット向上が
可能となり、低コストかつ誘電率が大きく、リーク電流
の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供することが
可能である。
【0062】
【発明の効果】前記した本発明の製造方法によれば、
(111)面に優先配向したペロブスカイト構造を有す
る高誘電体薄膜を製造することが可能であり、ペロブス
カイト構造を有する高誘電体薄膜の配向性が(111)
面に優先配向していることにより誘電率が大きく、リー
ク電流の小さな絶縁耐圧に優れたコンデンサを提供する
ことができる。
【0063】また、本発明の製造方法は、前記高誘電体
薄膜コンデンサを効率よく合理的に製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1及び実施例1〜5の高誘
電体薄膜コンデンサを示す断面図
【図2】本発明の実施例1の高誘電体薄膜コンデンサ製
造装置の概念図
【図3】本発明の実施例1のPt/SrTiO3/Pt
構造積層膜のX線回折パターンを示す図
【図4】本発明の実施例1のX線回折強度の分布を示す
【図5】本発明の実施例1のSrTiO3薄膜の表面形
態を示す図
【図6】本発明の実施例2のPt/SrTiO3/Pt
構造積層膜のX線回折パターンを示す図
【図7】本発明の実施例5の高誘電体薄膜コンデンサ製
造装置の概念を示す図
【図8】本発明の実施例5のPt/SrTiO3/Pt
構造積層膜のX線回折パターンを示す図
【図9】本発明の実施例7のSrTiO3薄膜の蒸着速
度を示す図
【符号の説明】
1 基体 2 電極薄膜 3 高誘電体薄膜 4 ターゲット 5 基体ホルダ 6 マグネット 7 エロージョン 8 磁力線 9 規制板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北川 雅俊 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 上野山 雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5E001 AB06 AE01 AE03 AH03 AJ01 AJ02 5E082 AB03 BB10 BC35 EE05 EE23 EE37 FG03 FG26 FG42 KK01 PP10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペロブスカイト構造を有する高誘電体薄
    膜の配向性が(111)面に優先配向した高誘電体薄膜
    を形成するための高誘電体薄膜コンデンサの製造方法で
    あって、前記高誘電体薄膜の形成法としてRFマグネト
    ロンスパッタ法を用い、前記RFマグネトロンスパッタ
    法において、エロージョン直上で成膜することを特徴と
    する高誘電体薄膜コンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】 RFマグネトロンスパッタ法での成膜ガ
    スとして希ガス、酸素ガス及び窒素を含有するガスの混
    合ガスを用いて成膜することを特徴とする請求項1記載
    の高誘電体薄膜コンデンサの製造方法。
  3. 【請求項3】 希ガスとしてHe、Ne、Ar、Kr及
    Xeからなる群より選択される少なくとも1つの物質で
    ある請求項2記載の高誘電体薄膜コンデンサの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 基板とターゲット間に規制板を設けるこ
    とによりコリメートされたスパッタ粒子を用いて成膜す
    ることを特徴とする請求項1記載の高誘電体薄膜コンデ
    ンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 基板の回転により基板面内に均一な配向
    性を有する高誘電体薄膜を形成することを特徴とする請
    求項4記載の高誘電体薄膜コンデンサの製造方法。
  6. 【請求項6】 高誘電体薄膜の堆積速度が毎分10nm
    を下限とする請求項1に記載の高誘電体薄膜コンデンサ
    の製造方法。
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