JP3469647B2 - 合成樹脂成形品の射出成形方法および射出成形装置 - Google Patents

合成樹脂成形品の射出成形方法および射出成形装置

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JP3469647B2 JP20962494A JP20962494A JP3469647B2 JP 3469647 B2 JP3469647 B2 JP 3469647B2 JP 20962494 A JP20962494 A JP 20962494A JP 20962494 A JP20962494 A JP 20962494A JP 3469647 B2 JP3469647 B2 JP 3469647B2
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  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂成形品の射出
成形方法および射出成形装置に係り、特にボスやリブを
有して成形品表面にひけが生じやすい合成樹脂成形品、
例えば自動車のダッシュボード、ドアハンドルカバー等
の内外装品や、家電製品のケーシング等の成形に利用で
きる。
【0002】
【背景技術】合成樹脂成形品を射出成形する場合、キャ
ビティ内に空気が残っていると、充填不足(ショートシ
ョット)や焼け、ウェルドライン、ボス・リブ部表面の
光沢ムラの発生といった成形品の欠陥が生じることが知
られている。このため、従来は、金型の分割面に設けた
エアベントや、成形品を離型させる突き出しピンの隙間
(クリアランス)から空気を逃がして前記問題を解決し
ようとしていた。
【0003】また、射出成形による合成樹脂成形品に
は、固有の成形収縮があるため、特にボスやリブの中心
部や厚肉部など冷却が遅れた部分の収縮によって成形品
の表面にはひけが生じていた。このため、従来の射出成
形では、金型のキャビティ内に射出した樹脂に、過大な
保持圧力を加えてひけを防止することが行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記エ
アベント等を介して空気を逃がしても、成形条件等によ
っては空気を十分に逃がすことができないことがあり、
前記充填不足、焼け、ウェルドラインの発生などの欠陥
を抑えることができず、不良品が発生するという問題が
あった。
【0005】一方、ひけ防止のために高い保持圧力を加
える場合には、その圧力に耐えるように金型の剛性を向
上させる必要があり、金型コストが上昇するという問題
があった。また、高い保持圧力を加えると、成形品に圧
力分布が発生し、成形品に反りやねじれが生じて品質が
低下するという問題もあった。
【0006】本発明の目的は、キャビティ内の空気残留
による欠陥を防止でき、かつ金型コストを低減できると
ともに、リブやボス等を有する合成樹脂射出成形品のひ
けを防止でき、成形品の反りやねじれも無くすことがで
きて成形品を高精度に成形することができる合成樹脂成
形品の射出成形方法および射出成形装置を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の合成樹脂成形品
の射出成形方法は、キャビティを形成する金型の一方
に、一端が前記キャビティに開口される貫通孔を形成
し、この貫通孔内に固定ピンを配置して前記貫通孔のキ
ャビティ側開口と固定ピンの先端側との間にクリアラン
スを形成し、貫通孔の他端側と固定ピンの他端側との間
にシール材を設けておくとともに、金型を閉じた後、
型のキャビティ内の空気を前記クリアランスおよび貫通
孔を通して金型の外側に吸引排気しながら溶融樹脂をキ
ャビティ内に充填させ、その後、溶融樹脂が冷却固化
れつつあるときに、前記貫通孔およびクリアランスを通
してキャビティ内の成形品の裏面側(キャビティ面と射
出樹脂による成形品との間)に窒素ガス等の圧縮流体を
注入し、溶融樹脂が冷却固化したら金型を離型して成形
品を取り出すことを特徴とする。この際、成形品を離型
させるにあたっては、前記キャビティ内の成形品が冷却
固化された後に金型を開き、圧縮流体をキャビティ内の
成形品の裏面側に再度注入し、その圧力で離型させても
よい。
【0008】一方、本発明の合成樹脂成形品の射出成形
装置は、前記射出成形方法を実施するに適したものであ
り、キャビティを形成する金型の一方に、溶融樹脂の流
入を防止しかつ圧縮流体および空気の流通を許容するキ
ャビティ内に連通された通気手段を設け、この通気手段
を介して、キャビティ内に充填された溶融樹脂が冷却固
化されつつあるときにキャビティ内に圧縮流体を注入す
る圧縮流体注入手段と、前記通気手段を介してキャビテ
ィ内の空気を吸引する吸引手段とを設け、前記通気手段
は、一端が前記キャビティに開口される貫通孔と、この
貫通孔内に配置されて前記貫通孔のキャビティ側開口と
の間にクリアランスを形成する固定ピンとを備えて構成
され、前記貫通孔の他端側と固定ピンの他端側との間に
シール材が設けられていることを特徴とする。
【0009】
【作用】このような本発明においては、金型キャビティ
内の空気を積極的に吸引しながら溶融樹脂をキャビティ
内に充填させているので、キャビティ内の空気は確実に
取り除かれて空気残留による充填不足、焼け、ウェルド
ライン、ボス・リブ部表面の光沢ムラなどの欠陥発生が
防止される。また、キャビティ内に充填された溶融樹脂
が冷却固化しつつ状態にあるときに、成形品の裏面側に
圧縮流体を注入しているため、キャビティ内の溶融樹脂
(成形品)は、その表面側がキャビティ内面に押圧され
た状態で冷却固化されて、リブやボスを有する場合であ
っても成形品表面側のひけが防止される。
【0010】さらに、圧縮流体の注入によってひけを防
止しているため、キャビティ内に射出される溶融樹脂に
過大な保持圧力を加える必要が無く、低圧力の射出成形
が行えて成形品の反りやねじれも防止され、かつ金型剛
性も小さくできて金型コストが低減されるとともに、低
圧成形により生産性も向上される。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1には、本実施例の射出成形装置1の概略構
成図が示されている。射出成形装置1は、スクリュー2
を有して樹脂を溶融混練する射出装置3と、固定金型4
および可動金型5が取り付けられた型締装置6とを備え
ている。
【0012】各金型4,5には、成形品90を成形する
ためのキャビティ8が形成されている。また、金型5に
は、成形品90のリブ91を形成するための凹溝19が
形成されている。そして、可動金型5の凹溝19間に
は、それぞれ貫通孔10が形成され、その一端はキャビ
ティ8内に開口されている。
【0013】貫通孔10内には、図2にも示すように、
固定ピン30が配置されている。また、貫通孔10のキ
ャビティ8側に開口された先端部は、小径とされて固定
ピン30の先端側とのクリアランスAが1/100 〜8/100
mm(10〜80μm)となるように設定されている。
【0014】貫通孔10の他端側は大径とされ、この大
径部に合わせて固定ピン30の他端側(キャビティ8と
は反対側)は大径部30Aとされている。貫通孔10と
固定ピン30の大径部30A間には、隙間をシールする
Oリング等のシール材21が設けられている。
【0015】金型5には、前記各貫通孔10にそれぞれ
連通された通気路11が形成されている。通気路11
は、図1に示すように、途中で分岐されてそれぞれ注入
側電磁バルブ16および吸引側電磁バルブ17を介して
圧縮流体注入装置12および吸引装置13に接続されて
いる。
【0016】圧縮流体注入装置12は、コンプレッサか
らの駆動エアによって駆動されて注入用の窒素ガスを増
圧して圧縮流体とする増圧器等により構成されている。
また、吸引装置13は、排気用の各種ポンプ等により構
成されている。これらの圧縮流体注入装置12および吸
引装置13は、射出装置3からの信号によって、つまり
射出タイミングによって各々独立して制御されている。
また、各バルブ16,17は、各装置12,13によっ
てその開閉が制御されている。そして、本実施例におい
ては、注入側電磁バルブ16および圧縮流体注入装置1
2によって圧縮流体注入手段が構成され、吸引側電磁バ
ルブ17および吸引装置13によって吸引手段が構成さ
れ、貫通孔10、通気路11および固定ピン30によっ
て通気手段が構成されている。
【0017】次に、本実施例における射出成形の手順に
ついて説明する。まず、型締装置6を利用して金型4,
5を閉じ、射出装置3により溶融樹脂をキャビティ8内
に所定量射出する。この時、射出装置3からの信号によ
って吸引装置13が作動されるとともに、吸引側バルブ
17が開かれて、図1に示すように、キャビティ8内の
空気が貫通孔10の固定ピン30とのクリアランス、貫
通孔10、通気路11を通して金型5の外側に吸引排気
され、樹脂はキャビティ8内にスムーズに充填される。
【0018】なお、成形に用いる樹脂や成形条件は、成
形品90に応じて種々選択できるが、例えばメルトフロ
ーインデックス(MFI)[230℃,2.16kgf]=5g/10
minのハイインパクトポリスチレンを用い、シリンダー
の設定温度を例えば210℃に設定し、金型温度を例え
ば35℃に設定すればよい。この際、樹脂充填に従って
固定ピン30に加わる樹脂圧力は上昇するが、貫通孔1
0のキャビティ8側先端部のクリアランスAが1/100 〜
8/100 mmと狭くされているので、貫通孔10内への樹脂
流入は防止され、クリアランスに詰まることなく樹脂充
填が行われる。
【0019】溶融樹脂が所定量充填され、充填終了を知
らせる信号が射出装置3から吸引装置13および圧縮流
体注入装置12に送られると、吸引側バルブ17が閉じ
られるとともに、注入側バルブ16が開かれ、さらに圧
縮流体注入装置12が作動されて、図3に示すように、
通気路11を通して貫通孔10に所定圧力(例えば圧縮
流体注入装置12での圧力が5MPa)に設定された窒
素ガスが所定時間(例えば5秒間)注入される。
【0020】この際、溶融樹脂は冷却固化されつつあっ
てキャビティ8との間に隙間が生じているとともに、貫
通孔10の他端側はシール材21でシールされているた
め、貫通孔10に注入された窒素ガスは、図2に示すよ
うに、固定ピン30のクリアランスを通して可動金型5
のキャビティ8内面とこれに接している成形品90の裏
面側との間に注入され、成形品90に十分な保持圧力が
加わり、成形品90の表面側が固定金型4のキャビティ
8内面に押圧され、ひけ発生が防止される。
【0021】その後、注入した窒素ガスが金型4,5か
ら洩れないように、注入側バルブ16を閉じて系内をそ
のまま所定時間(例えば15秒間)保持する。この時、
窒素ガスは、図2,3に示すように、凹溝19間(成形
品90のリブ91間)に注入されるため、ひけが生じや
すいリブ91部分から窒素ガスが漏れ出すことが無く、
リブ91部分への十分な保持圧力が維持される。
【0022】次に、吸引側バルブ17を開いてキャビテ
ィ8内に注入されていた窒素ガスを所定時間(例えば5
秒間)かけて徐々に脱圧する。なお、以上の圧縮流体
(窒素ガス)の注入、保持、脱圧の制御は、圧縮流体注
入装置12、吸引装置13に組み込まれた制御回路によ
りタイマー設定されて自動制御される。また、圧縮流体
の注入から脱圧までのタイムサイクルは適宜設定される
が、射出成形の冷却時間より2〜5秒短く設定すること
が好ましい。
【0023】そして、金型5内の成形品90(溶融樹
脂)が冷却固化したら、吸引側バルブを閉じるととも
に、図4に示すように金型4,5を開き、さらに注入側
バルブ16を開いて圧縮流体注入装置12を作動させて
所定圧力(例えば0.5〜1MPa)の窒素ガス(圧縮
流体)を貫通孔10に注入して固定ピン30のクリアラ
ンスから成形品90側に噴出させ、その圧力で成形品9
0を金型5から離型させて射出成形の1つのサイクルを
終了する。以上の成形サイクルを繰り返し、成形品90
を順次製造する。
【0024】このような本実施例によれば、次のような
効果がある。キャビティ8内に溶融樹脂を充填する際
に、吸引装置13を作動させてキャビティ8内の空気を
外部に積極的に吸引しているので、キャビティ8内に空
気が残留することが無く、空気逃げ不足による金型面の
樹脂への転写不足や、空気溜まりによる樹脂の充填不
足、焼け、ウェルドライン、ボス・リブ部表面の光沢ム
ラ等の発生といった成形品90の欠陥不良を防止するこ
とができる。これにより、成形品90の不良発生率が低
下し、生産効率を向上することができる。
【0025】また、空気吸引によってキャビティ8内が
負圧になるため、射出された樹脂をスムーズにキャビテ
ィ8全体に充填することができ、樹脂流動性の低下によ
るウェルドラインの発生等の欠陥をより確実に防止する
ことができる。
【0026】窒素ガスを注入してガス保圧を行って溶融
樹脂をキャビティ8内面に押圧しているので、溶融樹脂
が冷却固化するまで樹脂表面側とキャビティ8内面との
密着状態を維持することができ、リブ91やボス等を有
する成形品90を成形する場合でも成形品90の表面側
のひけを防止することができる。
【0027】そして、キャビティ8内に窒素ガスを注入
することで成形品90のひけを防止することができるの
で、従来のようにひけ防止のために高圧射出成形を行う
必要が無く、ひけの生じない低圧射出成形を実現するこ
とができる。このため、低圧成形が可能であり、成形サ
イクルも早くできるため、成形品90の品質を低下させ
ることなく生産性を向上することができる。
【0028】また、低圧射出成形を行えるため、成形品
90に過大な保持圧力が加わることがなく、反りやねじ
れ・歪みなどの成形歪みの分布を減少でき、成形品90
の精度を向上することができ、高品質の成形品90を成
形することができる。さらに、保持圧力を低減できるた
め、金型4,5の剛性もそれほど高くする必要がなく、
金型コストも低減することができる。
【0029】可動金型5の凹溝19間、つまり成形品9
0のリブ91間にガスを注入したので、注入したガスを
リブ91等のひけが発生しやすい部分に保持しておくこ
とができ、所定の保持圧力を樹脂が冷却固化するまで維
持することができ、成形品90のひけを確実に防止する
ことができる。
【0030】金型4,5を開いた後に、圧縮流体を注入
して成形品90を離型させているので、突き出しピンを
用いた場合のように、成形型や突き出しピンの膨張・収
縮量の差によって突き出しピンが動作不良となって成形
品90の離型が円滑に行われず、成形品90に白化が生
じるといった問題を無くすことができ、成形品90を確
実にかつ円滑に取り出すことができる。
【0031】固定ピン30は金型5に固定されており、
その先端を金型コア面に揃えて凹凸のない均一平面にす
ることができる。このため、突き出しピンを用いた場合
のように、金型コア面とピン先端が揃わずにキャビティ
面に凹凸が生じて成形品表面に光沢ムラが発生すること
を防止することができる。
【0032】固定ピン30周囲のクリアランスAを1/10
0 〜8/100 mmとしているので、溶融樹脂が貫通孔10内
に流入することを防止できるとともに、窒素ガスや空気
の流通を妨げることが無く、空気の吸引やガスの注入を
スムーズに行うことができる。これにより、窒素ガスに
よる保持圧力を高めることができ、成形品90のひけを
確実に防止することができる。
【0033】金型5に形成した通気路11は、圧縮流体
のキャビティ8内への注入路および吸引路を兼用してい
るので、各々を別系統とする場合に比べて金型5を容易
に製造することができる。
【0034】圧縮流体として不燃性の窒素ガスを用いて
いるので、キャビティ8内への注入によって膨張したり
加熱されても爆発のおそれがなく、射出成形の安全性を
確保することができる。
【0035】成形品90の裏面側と可動金型5間に窒素
ガスが注入されて隙間が形成されるため、成形品90が
冷却固化した後に、再度窒素ガスを注入することで、成
形品90を容易に離型することができ、離型不良による
トラブル発生を防止できて効率のよい射出成形を行うこ
とができる。
【0036】以上、本発明について好適な実施例をあげ
て説明したが、本発明は、この実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々
の改良並びに設計の変更が可能である。例えば、前記実
施例では、圧縮流体の注入および空気の吸引を通気路1
1を通して行っていたが、図5に示すように、金型5に
各貫通孔10に連通された2系統の通気路11A,11
Bを形成し、各通気路11A,11Bに圧縮流体注入装
置12および吸引装置13をそれぞれ連結し、キャビテ
ィ8内の空気を吸引する吸引経路と、キャビティ8内に
圧縮流体を注入する注入経路とを別々に設けてもよい。
このようにすれば、空気の吸引および圧縮流体の注入の
切替を迅速に行うことができ、特に短時間のサイクルで
吸引、注入を切り替える場合に適している。
【0037】また、通気手段としては、前記実施例のよ
うに固定ピン30および貫通孔10間のクリアランスを
通して空気や圧縮流体の吸引、注入を行うものに限ら
ず、例えば、図6に示すように、貫通孔10に耐熱性の
ある金属やセラミックスなどからなる多孔質部材40を
配置し、この多孔質部材40を通して空気の吸引および
圧縮流体の注入を行ってもよい。
【0038】ここで、多孔質部材40の背面側の貫通孔
10内には、多孔質部材40を固定するための固定ピン
30が配置されている。これにより、多孔質部材40
は、キャビティ8内に射出された樹脂の圧力や通気路1
1を通して供給される窒素ガス(圧縮流体)の圧力が加
わっても、移動することなく固定される。また、多孔質
部材40には多数の微細孔が形成されているが、この微
細孔の孔径が3/100 〜8/100 mm(30〜80μm)となるよ
うに、その材質等が選択されている。
【0039】このような多孔質部材40を用いても、前
記実施例と同様に、空気残留を防止して成形品90の欠
陥発生を抑えることができるとともに、成形品90のひ
け、ねじれ、歪み等の発生や光沢ムラの発生を防止でき
るという効果が得られる。
【0040】さらに、前記固定ピン30のクリアランス
に、耐熱性のある金属やセラミックスなどからなる多孔
質部材を配置してもよい。要するに、連通手段として
は、樹脂の流入を防止でき、かつ空気や圧縮流体の流通
を許容するものであればよく、その具体的構成は、前記
実施例、変形例のものに限らず、実施にあたって適宜設
定すればよい。
【0041】また、本発明はリブ91を有する成形品9
0の射出成形に限らず、ボスを有する成形品を射出成形
する場合にも用いることができる。この際、ボス部分に
所定圧のガスが保圧されるように、ボスの周囲に円周状
や四角周状等の防壁を形成することが望ましい。さら
に、本発明は、リブ91、ボスの両方が形成された成形
品、リブ91、ボスが無い成形品等の各種成形品の製造
にも利用することができる。要するに、本発明は、前記
実施例の成形品90を製造する場合に限らず、例えばコ
ピー装置の紙供給部品等に利用される格子状の多数のリ
ブが形成された板部材や、自動車のドアハンドルカバー
等の各種の樹脂成形品に利用することができる。
【0042】圧縮流体としては窒素ガスに限らず、圧縮
空気等の他のガスを用いてもよい。但し、圧縮流体は溶
融樹脂に接して温度が高くなるため、窒素ガスのような
不燃性のガスを用いた方が安全性が高いという利点があ
る。
【0043】注入する圧縮流体の圧力を、例えば注入初
期には低圧にし、その後高圧にするなどして、2段階以
上あるいは圧力値が連続的に変化するように制御しても
よい。この際の圧力値は、使用する樹脂の種類等に応じ
て適宜設定すればよい。また、圧力制御の方法として
は、減圧弁等を用いた公知の適宜な圧力制御方法が利用
できる。
【0044】成形品90にリブ91やボスが形成される
場合には、金型5のリブ91用の凹溝19などの先端部
を一部切り欠いて、樹脂を射出充填した際に、成形品9
0におけるリブ91やボスの基部に加肉部が形成される
ようにしてもよい。本発明においては、表面側のひけが
防止される分だけ成形品90の裏面側がひけて凹むが、
加肉部を形成すればひけた欠肉分が加肉部で補充されて
強度低下も防止できる。この際、加肉部の樹脂量は、リ
ブ91やボスなどが形成された部分の中心部に発生する
冷却遅れ部の容積の約20〜70%にすれば、樹脂量を
著しく増加させることなく、必要な強度を確保すること
ができる。また、加肉部は、欠肉分に補充されて無くな
るため、成形品90において加肉部が目立つことはな
い。
【0045】前記実施例では、圧縮流体を注入して成形
品90を離型していたが、従来と同様に突き出しピンを
設けて成形品90を離型してもよいし、突き出しピンと
圧縮流体とを共に使用して成形品90を離型してもよ
い。
【0046】
【発明の効果】このような本発明によれば、キャビティ
内の空気残留を防止することができ、空気残留によって
発生する各種欠陥を確実に防止することができる。ま
た、圧縮流体をキャビティ内に注入することで、リブや
ボス等を有する合成樹脂射出成形品のひけを防止でき、
成形品の反りや歪みも無くすことができて高精度に成形
することができるとともに、樹脂圧力を低くできるため
金型剛性も低減でき、金型コストを低減することができ
るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】前記実施例の金型キャビティ部を示す拡大断面
図である。
【図3】前記実施例における圧縮流体の注入状態を示す
概略構成図である。
【図4】前記実施例における型開き状態を示す概略構成
図である。
【図5】本発明の変形例を示す概略構成図である。
【図6】本発明の他の変形例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 射出成形装置 8 キャビティ 10 貫通孔 11 通気路 12 圧縮流体注入装置 13 吸引装置 16 注入側電磁バルブ 17 吸引側電磁バルブ 30 固定ピン 40 多孔質部材 90 成形品 91 リブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−192531(JP,A) 特開 昭51−130468(JP,A) 特開 昭61−12314(JP,A) 特開 昭60−8029(JP,A) 実開 平4−54815(JP,U) 実開 昭59−75020(JP,U) 特公 昭59−384(JP,B2) 欧州特許出願公開593308(EP,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂成形品を成形する射出成形方法
    において、キャビティを形成する金型の一方に、一端が
    前記キャビティに開口される貫通孔を形成し、この貫通
    孔内に固定ピンを配置して前記貫通孔のキャビティ側開
    口と固定ピンの先端側との間にクリアランスを形成し、
    貫通孔の他端側と固定ピンの他端側との間にシール材を
    設けておくとともに、金型を閉じた後、金型のキャビテ
    ィ内の空気を前記クリアランスおよび貫通孔を通して金
    型の外側に吸引排気しながら溶融樹脂をキャビティ内に
    充填させ、その後、溶融樹脂が冷却固化されつつあると
    きに、前記貫通孔およびクリアランスを通してキャビテ
    ィ内の成形品の裏面側に圧縮流体を注入し、溶融樹脂が
    冷却固化したら金型を離型して成形品を取り出すことを
    特徴とする合成樹脂成形品の射出成形方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の合成樹脂成形品の射出
    成形方法において、前記キャビティ内の成形品が冷却固
    化された後に金型を開き、圧縮流体をキャビティ内の成
    形品の裏面側に再度注入して成形品を離型させることを
    特徴とする合成樹脂成形品の射出成形方法。
  3. 【請求項3】 合成樹脂成形品を成形する射出成形装置
    において、キャビティを形成する金型の一方には、溶融
    樹脂の流入を防止しかつ圧縮流体および空気の流通を許
    容するキャビティ内に連通された通気手段が設けられ、
    この通気手段を介して、キャビティ内に充填された溶融
    樹脂が冷却固化されつつあるときにキャビティ内に圧縮
    流体を注入する圧縮流体注入手段と、前記通気手段を介
    してキャビティ内の空気を吸引する吸引手段とを備え、 前記通気手段は、一端が前記キャビティに開口される貫
    通孔と、この貫通孔内に配置されて前記貫通孔のキャビ
    ティ側開口との間にクリアランスを形成する固定ピンと
    を備えて構成され、前記貫通孔の他端側と固定ピンの他
    端側との間にシール材が設けられていることを特徴とす
    る合成樹脂成形品の射出成形装置。
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