JP6588131B1 - 射出成形用金型 - Google Patents
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Abstract
Description
このようなヒケを発生させない成形方法として、下記特許文献1〜3では成形品の意匠面を成形するキャビティ型内面を成形品裏面側を成形するコア型表面に比べて高温にすることで成形品の意匠面側を金型キャビティ面に密着させて、ヒケの発生を意匠面とは反対の裏面側へ集中させ、意匠面のヒケ発生を抑制する技術(以下、意匠面側加熱成形法、とも言う)が提案されている。
特許文献3では、意匠面側加熱成形法において、さらに、リブ等の成形品裏面に設けられる凸部の樹脂の厚みを板状部の厚みに対し所定の範囲に設定することで板状部の意匠面のヒケ発生の防止を安定に実現できる金型が提案されている。
第1の態様の射出成形用金型は、コア型の温度をキャビティ型の温度と略同一に保ちながら、成形中の樹脂成形品の意匠面を、金型温度を成形する樹脂の熱変形温度以上にすることで金型表面に密着させ、樹脂の冷却縮小に伴い、成形品の裏面に空気が吸引される成形方法に使用する樹脂の射出成形用金型であって、樹脂成形品の意匠面が形成される成形品本体を成形する成形用凹部が形成されたキャビティ型と、前記キャビティ型に対して開閉自由に存在し、前記キャビティ型に閉じ合わせたときに前記キャビティ型との間に前記成形用凹部を含むキャビティを形成するコア型とを有し、前記コア型には、前記成形品本体における前記キャビティ型の前記成形用凹部の内面によって前記意匠面が形成されるおもて面側とは逆の裏面側を成形する裏側成形面と、前記裏側成形面から窪み前記成形品本体の裏面から突出する凸部を成形する凸部成形用凹部と、前記裏側成形面に開口させて形成され前記キャビティの外側から前記キャビティ内へガスを導く通気路とが形成され、前記コア型の前記裏側成形面は、その全体が、前記コア型の前記裏側成形面における前記通気路の開口部から前記裏側成形面に沿った最短距離が100mmの範囲内に位置する。
上記射出成形用金型は、前記コア型に、前記裏側成形面に開口部が無端で延在する前記凸部成形用凹部であり前記成形品本体の裏面にその一部領域を囲繞する筒状の前記凸部を成形する筒状凸部成形用凹部と、前記裏側成形面における前記筒状凸部成形用凹部に囲まれた内側の領域に開口する前記通気路とが形成されている構成も採用可能である。
前記通気路は、エジェクタピンを収納するエジェクタピン孔であっても良い。
前記コア型は、前記裏側成形面の一部である裏側成形主面を形成するコア型本体と、前記コア型本体の前記裏側成形主面から窪む入れ子収納凹所内に固定された入れ子とを有し、前記入れ子には前記裏側成形面の一部である入れ子おもて面が形成され、前記入れ子と前記コア型本体との間には、前記入れ子収納凹所内面及び入れ子の一方または両方に形成された凹所によってガス格納空間が確保され、前記ガス格納空間は、前記コア型本体の前記入れ子収納凹所の内周面と前記入れ子との間あるいは前記入れ子に確保された前記通気路を介して前記キャビティと通気可能に接続されていても良い。
前記コア型は、前記凸部成形用凹部の一部である凹部分割部が形成された前記入れ子である凹部分割部形成入れ子を有し、前記凸部成形用凹部の内面に、前記凸部成形用凹部の一部が形成された前記コア型本体の前記入れ子収納凹所の内周面と前記凹部分割部形成入れ子との合わせ目、あるいは前記凹部分割部形成入れ子同士の合わせ目に確保された前記通気路の片端が開口されていても良い。
また、本発明の態様に係る射出成形用金型によれば、成形品裏面側にリブ等の凸部が成形品裏面側の或る範囲を囲んで存在していたり、リブ等の凸部が互いに略平行に近接して配置されている場合においても、成形品意匠面のヒケ発生を安定して防止できる。
まず、本発明に係る第1実施形態の射出成形用金型10について説明する。
図1は、上記実施形態の射出成形用金型10を示す正断面図、図2は図1の射出成形用金型10のコア型30のその裏側成形面31側から見た構造を示す平面図である。
また、図3は、図1の射出成形用金型10を用いて成形、製造する樹脂成形品1(以下、単に、成形品、とも言う)のその裏面1c側から見た構造を示す図、図4は図3の成形品1を示す正断面図(図3のA−A線断面矢視図)である。
図1に示す射出成形用金型10は、板状の成形品本体1aと、成形品本体1a片面の意匠面1bとは反対の裏面1cから突出する凸部1dとを有する樹脂成形品1を成形するものである。
コア型30には、成形品本体1aの意匠面1bとは反対の裏面1c側の成形のための成形面31(裏側成形面。本明細書において、本体裏側成形面、とも言う)が形成されている。
温度調整機構12は、成形中のキャビティ型20の意匠面成形面22の温度を成形する樹脂の熱変形温度以上に保つ。射出成形用金型10は、成形中のキャビティ型20の意匠面成形面22の温度を成形する樹脂の熱変形温度以上とする(コア型30に位置するキャビティ11内面温度も意匠面成形面22温度と略同一にする)ことで、成形中の樹脂成形品1の意匠面1bをキャビティ型20の意匠面成形面22に密着させる成形方法に用いることができる。
なお、本発明に係る各実施形態の射出成形用金型は、成形中のキャビティ型の意匠面成形面の温度を成形する樹脂の熱変形温度以上とすることで、成形中の樹脂成形品の意匠面をキャビティ型の意匠面成形面に密着させる成形方法に使用可能な点で共通する。
この温度調整機構12は、流体加熱送給部121cおよび122cにて加熱した加熱用流体を加熱用配管121aおよび122aへ送給して加熱用配管121aおよび122aを加熱し、加熱用流体の熱を加熱用配管121aおよび122aを介してキャビティ型20およびコア型30に伝達してキャビティ型20およびコア型30を加熱する。
なお、温度調整機構12は、キャビティ11内での樹脂成形時にキャビティ型20およびコア型30を加熱して、キャビティ11内面の温度をキャビ型とコア型ともに一定に保つことが可能なものであれば良く、その具体的構成は適宜変更可能である。
コア型30は、パーティング面33をキャビティ型20のパーティング面23に重ね合わせてキャビティ型20に閉じ合わされる。
図1に示すように、コア型30の本体裏側成形面31は、キャビティ型20に閉じ合わせたコア型30におけるキャビティ11に臨む面、成形用凹部21に臨む面である。図2に示すように、コア型30のパーティング面33は、キャビティ型20のパーティング面23に対応させて本体裏側成形面31を取り囲むように形成されている。
但し、コア型30の本体裏側成形面31は、その一部または全体が、型締め時にキャビティ型20の成形用凹部21内に入り込むようにキャビティ型20の成形用凹部21に向かって突出する形状であっても良い。
図1、図2に示すように、コア型30には、本体裏側成形面31から窪む凸部成形用凹部38と、エジェクタピン孔39とが形成されている。
コア型30に形成された凸部成形用凹部38は、成形品凸部1dを成形する凸部成形領域の役割を果たす。
本体延在方向は、図3の上下方向、図4の紙面奥行き方向、である。
本体幅方向は、図3の左右方向、図4の左右方向である。
図3に示すように、樹脂成形品1に形成されたリブ1dは、具体的には、成形品本体裏面1cの本体幅方向に互いに離間させて互いに平行に延在形成された2つのサイドリブ1e、1f(第1サイドリブ1e及び第2サイドリブ1f)、及び2つのサイドリブ1e、1fの間隔方向(本体幅方向に一致する)中央部に形成された中間リブ1gである。
中間リブ1gの延在方向寸法は、2つのサイドリブ1e、1fの延在方向寸法に比べて短い。中間リブ1gは、本体延在方向複数箇所(図3では2箇所)に形成されている。樹脂成形品1の複数の中間リブ1gは本体延在方向に互いに間隔を空けて形成されている。
各凸部成形用凹部38(具体的にはその内面)は、樹脂成形品1のリブ1d外形に対応する溝状に形成されている。
また、図1の左右方向及び図2の左右方向は、樹脂成形品1の本体幅方向に対応する。以下、コア型30について、図1の左右方向及び図2の左右方向を幅方向とも言う。
図1、図2に示すコア型30には、樹脂成形品1の第1サイドリブ1e成形用の凸部成形用凹部38である第1サイド凹部38aと、第2サイドリブ1f成形用の凸部成形用凹部38である第2サイド凹部38bと、中間リブ1g成形用の凸部成形用凹部38である中間凹部38cとが形成されている。中間凹部38cは、第1サイド凹部38aと第2サイド凹部38bとの間のコア型30幅方向中央部に形成されている。
エジェクタピン孔39には、樹脂成形品1の成形完了後に型開きした射出成形用金型10のコア型230から樹脂成形品1を取り外すエジェクタピン41が挿入されている。射出成形用金型1はエジェクタピン41を含む。
エジェクタピン41は、図示略のピン移動装置の駆動によって、ピン案内孔部39a内に収納された先端部がピン案内孔部39aからキャビティ型20側に突出しない待機位置(図1の位置)と、ピン案内孔部39aからキャビティ型20側に突出させた突出位置とに位置を切り換えることができる。
エジェクタピン孔39内面とエジェクタピン孔39内に位置するエジェクタピン41との間に確保される隙間39cは、型締め状態とした射出成形用金型10のキャビティ11とコア型30外側空間との間を通気可能に接続する通気路の役割を果たす。
エジェクタピン孔39内面とエジェクタピン孔39内のエジェクタピン41との間の隙間39cを、以下、ピン孔通気路、とも言う。
エジェクタピン孔39はコア型30にピン孔通気路39cを確保する役割を果たす。
本明細書では、ピン孔通気路39cだけでなくエジェクタピン孔39についても、型締め状態とした射出成形用金型10のキャビティ11とコア型30外側空間との間を通気可能に接続する通気路として扱う。
キャビティ11内の溶融樹脂の冷却固化によって成形された樹脂成形品1は、射出成形用金型10の型開きよってキャビティ型20から離型される。次いで、樹脂成形品1は、ピン移動装置の駆動によってコア型30に対して待機位置から突出位置へ移動されるエジェクタピン41に押圧されることでコア型30から取り外される(離型される)。
また、型締め状態の射出成形用金型10は、キャビティ11内にて成形された樹脂成形品1に温度低下に伴う体積縮小が生じるときに、エジェクタピン孔39(より詳細には上述のピン孔通気路39c)を介して、成形品本体裏面1cとコア型30の本体裏側成形面31との間に射出成形用金型10外側(コア型30外面側)から空気を進入させることが可能である。
図1に示すように、コア型30のエジェクタピン孔39の延在方向一端は本体裏側成形面31、延在方向他端はコア型底面30a、にそれぞれ開口している。コア型底面30aはコア型30外面の一部である。
以下、エジェクタピン孔39の本体裏側成形面31に開口する開口部を成形面側開口部、コア型底面30aに開口する開口部をコア型外面開口部、とも言う。
図2に示すように、エジェクタピン孔39は、コア型30の複数箇所に形成されている。複数のエジェクタピン孔39は、コア型30の本体裏側成形面31における第1サイド凹部38aと中間凹部形成領域30bとの間の領域、及び第2サイド凹部38bと中間凹部形成領域30bとの間の領域、のそれぞれに成形面側開口部が複数位置するように形成されている。
図1、図2において、コア型30のパーティング面33と第1サイド凹部38aとの間の領域に成形面側開口部が位置するエジェクタピン孔39、及びア型30のパーティング面33と第2サイド凹部38bとの間の領域に成形面側開口部が位置するエジェクタピン孔39は、第1サイド凹部38aと中間凹部形成領域30bとの間の領域に開口するエジェクタピン孔39、及び第2サイド凹部38bと中間凹部形成領域30bとの間の領域に開口するエジェクタピン孔39に比べて径小に形成されている。
但し、エジェクタピン孔39の内径は、ピン孔通気路39cを確保可能な範囲の寸法で適宜設定可能である。エジェクタピン孔39の内径は、コア型30の全てのエジェクタピン孔39について同一であっても良く、あるいは、コア型30のエジェクタピン孔39について3以上の種類が存在しても良い。
一方、樹脂成形品1の成形品本体裏面1c側は、エジェクタピン孔39を介して成形品本体裏面1cとコア型30の本体裏側成形面31との間に射出成形用金型10外側から空気が進入可能なため、樹脂成形品1の意匠面1b側に比べてヒケの発生が容易である。
エジェクタピン孔39の成形面側開口部から本体裏側成形面31に沿う最短距離は、本体裏側成形面31における凸部成形用凹部を避けた最短ルートでのエジェクタピン孔39の成形面側開口部からの距離を指す。エジェクタピン孔39の成形面側開口部から本体裏側成形面31における最短距離が100mmの範囲は、本体裏側成形面31においてエジェクタピン孔39の成形面側開口部から100mm未満の範囲に凸部成形用凹部の開口部が存在する場合は、凸部成形用凹部38の開口部を回避する本体裏側成形面31における最短迂回ルートのエジェクタピン孔39の成形面側開口部からの延在長が100mmの範囲を指す。
図2に示すように、射出成形用金型10のコア型30は、全ての凸部成形用凹部38を含めた本体裏側成形面31の全ての領域がそれぞれ本体裏側成形面31におけるエジェクタピン孔39の成形面側開口部から100mmの範囲内に位置する構成とした。本体裏側成形面31においてエジェクタピン孔39の成形面側開口部から100mmの範囲を、以下、凸部成形設定範囲100Aとも言う。
但し、コア型30の本体裏側成形面31は、コア型30横方向に対して傾斜する部分(湾曲部も含む)が存在する構成も採用可能である。本体裏側成形面31おけるコア型30横方向に対する傾斜部分を含む凸部成形設定範囲100Aは、コア型30平面視におけるエジェクタピン孔39の成形面側開口部から100mmの範囲よりも狭い領域となる。
なお、コア型30平面視におけるエジェクタピン孔39の成形面側開口部から100mmの範囲は、換言すれば、エジェクタピン孔39の成形面側開口部からコア型30横方向へ100mmの範囲を本体裏側成形面31へコア型30高さ方向に投影した投影範囲である。
図2において、コア型30の全ての凸部成形用凹部38は、その全体がエジェクタピン孔39(通気路)を基準とする凸部成形設定範囲100A内に位置する。
通気路から凸部成形用凹部38内面と凸部成形用凹部38内の成形品凸部1dとの間への空気の進入は、成形品本体裏面と本体裏側成形面との間のヒケ部間隙13を経由して実現される。
図6のコア型30は、図1、図2に示すコア型30について、エジェクタピン孔39の形成数及び位置を変更したものである。図6のコア型30のエジェクタピン孔39の形成数及び位置以外の構成は図1、図2と同様である。
図6中、図1、図2と同様の構成部分には共通の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
なお、図7には、図6のコア型300の各エジェクタピン孔39の開口部のそれぞれに対応する凸部成形設定範囲100Aを付記した。
図7のB−B線は、樹脂成形品100のリブ1dにおける図6のコア型300の凸部成形設定範囲100A外にて成形された部分を通る。
図7、図8に示すように、図6に示すコア型300を採用した射出成形用金型を用いて成形した樹脂成形品100は、板状の成形品本体100aと、成形品本体100aの片面の意匠面100bとは逆の裏面100cから突出するリブ100dとを有する。但し、図8に示すように、樹脂成形品100は、成形品本体100aの意匠面100bにおけるリブ100dに対応する位置にヒケ部100e(凹部)が生じやすい。
図4に示すように、図1の射出成形用金型10を用いて成形した樹脂成形品1は、成形品本体1aの意匠面1bにおけるリブ1dに対応する位置のヒケ発生を防止できる。図1の射出成形用金型10は、樹脂成形品1の意匠面1b全体にわたってヒケの発生を防止でき、外観美観性優れた意匠面1bを安定に得ることができる。
なお、図4では、リブ1dに形成されるヒケの図示を省略している。
図1、図2に示す射出成形用金型10では、コア型30の本体裏側成形面31の中間凹部形成領域30bを介してコア型30幅方向両側のエジェクタピン孔39成形面側開口部から、樹脂成形品1の中間リブ1gと中間凹部38c内面との間に空気を進入させることができる。樹脂成形品1の中間リブ1gと中間凹部38c内面との間には中間リブ1gの厚み方向両側から空気が進入できる。
仮に、コア型30のエジェクタピン孔39が、第1サイドリブ1eと中間凹部形成領域30bとの間にてコア型30延在方向中央部に位置する1つのエジェクタピン孔39のみである場合、このエジェクタピン孔39を基準とする凸部成形設定範囲100Aにおける第1サイドリブ1eを介してエジェクタピン孔39が位置する側の領域では、エジェクタピン孔39から第1サイド凹部38aに到達するヒケ部間隙13を確実に形成できる。一方、凸部成形設定範囲100Aにおける第1サイドリブ1eを介してエジェクタピン孔39が位置しない側の領域を経由してエジェクタピン孔39から第1サイド凹部38aに到達するヒケ部間隙13を形成することは困難である。
この場合、凸部成形設定範囲100Aは、凸部成形設定範囲100A内に位置するリブ1dが凸部成形設定範囲100Aを横断するものでなく、凸部成形設定範囲100Aにエジェクタピン孔39成形面側開口部が存在するリブ1d一面側の領域とエジェクタピン孔39成形面側開口部が存在しないリブ1d他面側の領域とが互いに連続する部分が存在する構成も採用できる。この構成の凸部成形設定範囲100Aのリブ1d一面側の領域には、エジェクタピン孔39の成形面側開口部から凸部成形用凹部38に到達するヒケ部間隙13を形成できる。また、エジェクタピン孔39の成形面側開口部から凸部成形用凹部38に到達するヒケ部間隙13は、凸部成形設定範囲100Aのリブ1d他面側の領域を経由するルートで形成することも可能である。
また、溶融樹脂の充填時にはスキン層を作りながらキャビティ11内部を高温の樹脂が流れる。一方、樹脂成形品1の成形品本体1a端面部では三方向を金型10に接触しているため、溶融樹脂を充填するための圧力で保圧を受けながら冷却される状態になる。このため、樹脂成形品1の成形品本体1a端面部では、成形品本体1aにおけるその周囲の端面付近以外の部分(以下、主部、とも言う)に比べて充填完了後の冷却に伴う体積収縮が小さくなり、体積収縮によって金型内面から離れるタイミングも主部に比べて遅れることとなる。
キャビティ11への溶融樹脂の充填中に高温の樹脂が流れていた成形品本体1a中央部では、充填完了後の冷却に伴う体積収縮が端面部に比べて大きく、体積収縮によってキャビティ11厚み(成形品本体1aの厚みに対応する寸法)を成形品本体1aの厚みが下回ることで、コア型30の本体裏側成形面31に開口するエジェクタピン孔39等の通気路から、本体裏側成形面31と成形品本体裏面1cとの間への空気の進入が開始される。
上述のように、成形品本体1aの端面付近において、金型パーティング部から樹脂成形品1とキャビティ型20又はコア型30との間に空気が入るためには成形品本体1a端面の密着状態を引き剥がすことが必要であるのに対し、エジェクタピン孔39等の通気路から金型内面(キャビティ11内面)と樹脂成形品1との間への空気の進入は容易に進行していく。その結果、成形品本体1aの端面付近において、金型パーティング部から樹脂成形品1とキャビティ型20又はコア型30との間への空気の進入は生じにくい。
本発明者の検討の結果、リブ対応部のヒケを有効に防止できる凸部成形用凹部38とエジェクタピン孔39との間の距離は板厚によって変化し、板厚が厚い時は短く板厚が薄くなると長くなる傾向にある。これは板厚が厚くなるほど樹脂の収縮量が多くなり、沢山のガスを必要とすることによると考えられる。成形段階における樹脂成形品1の冷却による体積収縮は厚みが一定であれば各部においてほぼ同時に進行するが、通気路からの空気の進入はヒケ部隙間13を形成しながら順次外側に向かって進行する。このため通気路から遠い部分では空気の到達前にキャビティ厚みを樹脂成形品1の厚みが下回って意匠面側にヒケが発生する可能性が高くなる。板厚が2mm〜3mmの範囲においては凸部成形用凹部38とエジェクタピン孔39との間の距離はおよそ100mmであるが、20mm〜50mmが好ましい。この範囲であれば裏面の形状による樹脂のコア型30への抱き付きが有ったり局所的に冷却速度が速い場所があっても樹脂成形品1の意匠面1bにおけるリブ対応部のヒケ抑制の効果を発揮できる。凸部成形用凹部38とエジェクタピン孔39との間の距離が20mm以下では意匠面1bにおけるリブ対応部のヒケ抑制効果は充分であるが、エジェクタピン孔39の加工数(形成数)が増えて実用的では無い。
金型パーティング部には、パーティング面23、33の微小な凹凸によってキャビティ11からのガス漏出を可能とする微細なガス通路が多数確保される。キャビティ20型とコア型30との間の型締め力以外の成形条件が一定の前提において、金型パーティング部からのキャビティ11内のガスの漏出量は射出成形用金型10の型締め力が強いほど減少する。
但し、射出成形用金型10を用いた樹脂成形品1の成形では、エジェクタピン孔39からもキャビティ11内のガスを排気可能なため、エジェクタピン孔39が無い場合に比べて溶融樹脂の充填進行に伴うキャビティ11内のガス圧力の上昇を抑えることができる。
但し、実際には前述のとおりエジェクタピン孔39等からの樹脂成形品1の裏面側への空気の進入が優先的に進行する。
コア型30の本体裏側成形面31外周部と成形品本体裏面1c外周部との間には、その全体にわたって、金型パーティング部のガス通路からの空気流入によるヒケ部間隙13を形成可能である。
射出成形用金型10は、樹脂成形品1の成形において、エジェクタピン孔39からの空気進入によるヒケ部間隙13の形成によって、コア型30の本体裏側成形面31と成形品本体裏面1cとの間の全体にわたってヒケ部間隙13を形成可能である。したがって、射出成形用金型10を用いた樹脂成形品1の成形では、成形品意匠面1bにおける成形品本体裏面1cに対応する部分のヒケ発生防止を安定に実現できる。
次に、本発明に係る第2実施形態の射出成形用金型210について説明する。
図9は、上記実施形態の射出成形用金型210を示す正断面図、図10は図9の射出成形用金型210のコア型230のその本体裏側成形面231側から見た構造を示す平面図である。
また、図11は、図9の射出成形用金型210を用いた成形によって得られる樹脂成形品2(以下、単に、成形品、とも言う)のその裏面2c側から見た構造を示す図、を示す図、図12は図11の成形品2の正断面図(図11のC−C線断面矢視図)である。
なお、図9、図10中、射出成形用金型210における第1実施形態の射出成形用金型10と同様の構成部分には共通の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
図9に示す射出成形用金型210は、板状の成形品本体2aと、成形品本体2a片面の意匠面2bとは反対の裏面2cから突出する凸部2dとを有する樹脂成形品2を成形するものである。
コア型230には、成形品1の意匠面2bとは反対の裏面2c側の成形のための成形面231(裏側成形面。本明細書において、本体裏側成形面、とも言う)が形成されている。
樹脂成形品2の形成樹脂は、第1実施形態にて説明した樹脂成形品1の形成樹脂に採用可能なものを採用できる。
温度調整機構12は、第1実施形態にて説明した温度調整機構12と同様の構成のものを採用可能である。
なお、温度調整機構12は、キャビティ14内面の温度をキャビ側、コア側共に略同一に保つことが可能なものであれば良く、その具体的構成は適宜変更可能である。
コア型230は、パーティング面233をキャビティ型220のパーティング面223に重ね合わせてキャビティ型220に閉じ合わされる。
図9に示すように、コア型230の本体裏側成形面231は、キャビティ型220に閉じ合わせたコア型230におけるキャビティ14に臨む面、成形用凹部221に臨む面である。コア型230のパーティング面233は、キャビティ型220のパーティング面223に対応させて本体裏側成形面231を取り囲むように形成されている。
但し、コア型230の本体裏側成形面231は、その一部または全体が、型締め時にキャビティ型220の成形用凹部221内に入り込むようにキャビティ型220の成形用凹部221に向かって突出する形状であっても良い。
射出成形用金型210の金型パーティング部のガス通路は、図示略のゲートからキャビティ14への溶融樹脂の射出充填時にキャビティ14内のガスを金型外へ排気する排気路の役割を果たす。
コア型230の本体裏側成形面231は、コア型本体32に形成された裏側成形主面32aと、入れ子35に裏側成形主面32aに連続するように形成されたおもて面35a(以下、入れ子おもて面、とも言う)とによって構成されている。
図9、図10に示すように、コア型230には、樹脂成形品2の凸部2dを成形する凸部成形用凹部238が本体裏側成形面231から窪んで形成されている。
コア型230に形成された凸部成形用凹部238は、成形品凸部2dを成形する凸部成形領域の役割を果たす。
本体延在方向は、図11の上下方向、図12の紙面奥行き方向である。
本体幅方向は、図11の左右方向、図12の左右方向である。
筒状凸部2gは、一対のリブ2e、2fから本体幅方向に離間した位置に形成されている。
コア型230には、樹脂成形品2のリブ2e、2fを成形する凸部成形用凹部238であるリブ成形用凹部238a、238bと、筒状凸部2gを成形する凸部成形用凹部238である筒状凸部成形用凹部238cとが形成されている。
リブ成形用凹部238a、238bは、入れ子35に入れ子おもて面35aから窪む溝状に形成されている。
図11、図12に示す樹脂成形品2の筒状凸部2gは角筒状に形成されている。
図9、図10に示す筒状凸部成形用凹部238cは、筒状凸部2gの肉厚に対応する溝幅を確保してコア型本体22に矩形に延在形成された周回形状溝である。
なお、周回形状溝である筒状凸部成形用凹部238cは、矩形に限定されず、円形、あるいは四角形以外の多角形状に延在形成されたものであっても良い。
図9、図10に示すコア型230のリブ成形用凹部238a、238bは、コア型230延在方向に延在する溝状に形成されている。コア型230の入れ子おもて面35aは、コア型230延在方向を長手方向とする長方形状に形成されている。
入れ子おもて面35a及びリブ成形用凹部238a、238bは、コア型230幅方向において筒状凸部成形用凹部238cから離間した所に位置する。
また、図9、図10に示すように、コア型230には、コア型本体32の裏側成形主面32aに開口するエジェクタピン孔239が形成されている。
入れ子おもて面35aは、入れ子35の、入れ子収納凹所34の内底面34aに対面する裏面35b(以下、入れ子裏面、とも言う)とは反対側の端面である。
入れ子35は、その側周面35cを入れ子収納凹所34内周面に当接させ、裏面35bを入れ子収納凹所34の内底面34aに当接させて、入れ子収納凹所34内に嵌合固定されている。
入れ子おもて面35aは、入れ子35をその裏面35bを入れ子収納凹所34の内底面34aに当接させて入れ子収納凹所34内に嵌合固定した状態において、全体が裏側成形主面32aに連続するように形成されている。
図9、図10に示すコア型230には、入れ子35の凹所35dによってガス格納空間36が確保されている。図9、図10に例示した入れ子裏側凹所35dは、入れ子裏面35bに沿って一定断面寸法で真っ直ぐに延在する溝状に形成されている。図10に示す溝状の入れ子裏側凹所35dの延在方向両端は入れ子35の側周面35cには到達していない。
また、入れ子裏側凹所35dには、コア型本体32のリブ成形用凹部238a、238bに開口する開口部も存在しない。
図13に示すように、入れ子収納凹所34内面と入れ子35との間には、入れ子35の裏面35b及び側周面35cの表面粗さによる微小な凹凸と、入れ子収納凹所34内面の表面粗さによる微小な凹凸とによって、キャビティ14とガス格納空間36との間を通気可能に連通させる微細な通気路37が確保されている。通気路37の一端はコア型230の本体裏側成形面231に開口され、通気路37の他端はガス格納空間36に開口されている。
ガス格納空間36には、型締め状態の射出成形用金型210のキャビティ14内に溶融樹脂を射出、充填する際に、溶融樹脂の充填進行に伴いキャビティ14内のガスを格納空間接続通気路37を介して流入させることができる。
格納空間接続通気路37は、ガス格納空間36とキャビティ14との間のガス流通を許可し、キャビティ14からガス格納空間36への溶融樹脂の漏出を規制する。
エジェクタピン孔239のコア型230の本体裏側成形面231(より詳細にはコア型本体32の裏側成形主面32a)に開口する開口部を、以下、成形面側開口部、とも言う。また、図9、図10に示すコア型本体32の裏側成形主面32aにおける筒状凸部成形用凹部238cの開口部によって取り囲まれる内側の領域231aを、以下、周回凹部内側領域、とも言う。
また、図9、図10に示すコア型230には、成形面側開口部がコア型230の本体裏側成形面231の周回凹部内側領域231a外側に位置するエジェクタピン孔239(周回凹部外側ピン孔。図9、図10において符号239Bを付記する)も形成されている。
なお、コア型230における周回凹部内側ピン孔239A及び周回凹部外側ピン孔239Bの形成数は図示例に限定されず、適宜変更可能である。
図9に示すエジェクタピン孔239は、コア型本体32の裏側成形主面32aからコア型本体底面32bに向かって延在形成されたピン案内孔部39aと、ピン案内孔39aに比べて径大に形成されピン案内孔39aからコア型底面30a側に延在する径大孔部39bとを有する。径大孔部39bはコア型本体底面32bに開口されている。
エジェクタピン41は、図示略のピン移動装置の駆動によって、ピン案内孔部39a内に収納された先端部がピン案内孔部39aからキャビティ型220側に突出しない待機位置(図9の位置)と、ピン案内孔部39aからキャビティ型220側に突出させた突出位置とに位置を切り換えることができる。
エジェクタピン孔239内面とエジェクタピン孔239内に位置するエジェクタピン41との間に確保される隙間239cは、型締め状態とした射出成形用金型210のキャビティ14とコア型230外側空間との間のガス流通を通気可能に接続する通気路の役割を果たす。
エジェクタピン孔239内面とエジェクタピン孔239内のエジェクタピン41との間の隙間239cを、以下、ピン孔通気路、とも言う。
エジェクタピン孔239はコア型230にピン孔通気路239cを確保する役割を果たす。
本明細書では、ピン孔通気路239cだけでなくエジェクタピン孔239についても、型締め状態とした射出成形用金型210のキャビティ14とコア型230外側空間との間を通気可能に接続する通気路として扱う。
キャビティ14内の溶融樹脂の冷却固化によって成形された樹脂成形品2は、射出形成用金型210の型開きよってキャビティ型220から離型される。次いで、樹脂成形品2は、ピン移動装置の駆動によってコア型230に対して待機位置から突出位置へ移動されるエジェクタピン41に押圧されることでコア型230から取り外される(離型される)。
キャビティ14内に溶融樹脂を射出充填するとき、格納空間接続通気路37はキャビティ14内のガスをコア型230のガス格納空間36へ導く。エジェクタピン孔239(より詳細にはピン孔通気路239c)は、キャビティ14内のガスを射出形成用金型210外側(コア型230外面側)へ排気させる。
図1、図2に示すコア型230のエジェクタピン孔239の延在方向一端は本体裏側成形面231、延在方向他端はコア型底面230a、にそれぞれ開口している。コア型底面30aはコア型230外面の一部である。
以下、エジェクタピン孔239のコア型外面に開口する開口部をコア型外面開口部、とも言う。
図9、図10のコア型230において、格納空間接続通気路37の成形面側開口部は、コア型230の本体裏側成形面231の幅方向片側の領域の広範囲に存在する。
但し、コア型230のエジェクタピン孔239は3以上であっても良い。
コア型230には、本体裏側成形面231の周回凹部内側領域231aに開口するエジェクタピン孔239(周回凹部内側ピン孔239A)に加えて、本体裏側成形面231の筒状凸部成形用凹部238c外側の領域に開口するエジェクタピン孔239(周回凹部外側ピン孔239B)が複数形成されていても良い。
また、コア型230は、本体裏側成形面231の周回凹部内側領域231aに開口するエジェクタピン孔239(周回凹部内側ピン孔239A)が複数形成された構成も採用可能である。
各エジェクタピン孔239及びエジェクタピン41の構成、エジェクタピン41の動作は、図9、図10に例示したエジェクタピン孔239及びエジェクタピン41と同様である。各エジェクタピン孔239には、図9、図10に例示したエジェクタピン孔239と同様のピン孔通気路239cが確保される。
このため、キャビティ14内に溶融樹脂を射出、充填する工程において、コア型230のガス格納空間36には大気圧に比べて高圧のガスが格納される。
このため、キャビティ14への溶融樹脂の充填進行によりキャビティ14内のガスがキャビティ14から押し出されるようにしてガス格納空間36へ流入していくに伴いガス格納空間36内のガス圧は上昇していく。
ピン孔通気路239c及び格納空間接続通気路37は、キャビティ14内への溶融樹脂の射出、充填の進行に伴うキャビティ14内のガスの圧力上昇を抑制し、キャビティ14内のガス圧上昇による成形樹脂のガス焼けを防ぐ役割も果たす。
一方、樹脂成形品2の成形品本体裏面2c側は、入れ子収納凹所34内面と入れ子35との間の格納空間接続通気路37及びエジェクタピン孔239を介して成形品本体裏面2cとコア型230の本体裏側成形面231との間へのガス進入が可能なため、樹脂成形品2の意匠面2b側に比べてヒケの発生が容易である。
樹脂成形品2のその温度低下に伴う体積縮小に起因するヒケを成形品本体裏面2c側に集中させることは、樹脂成形品2の意匠面2aのヒケ発生防止に有効に寄与する。
このため、図14に示すように、型締め状態の射出成形用金型210のキャビティ14内の樹脂成形品2の成形後の温度低下による体積縮小が生じるときには、ガス格納空間36のガスの圧力によって樹脂成形品2の成形品本体裏面2cをコア型230の本体裏側成形面231から離間させることができる。
ガス格納空間36内に格納されたガスの圧力を樹脂成形品2の成形品本体裏面2cに作用させる構成は、樹脂成形品2の成形品本体裏面2cとコア型230の本体裏側成形面231との間の出来るだけ広範囲にヒケ部間隙15を形成することに有利である。
図9、図10に示すガス格納空間36には、キャビティ14の容積等に鑑みて、キャビティ14に溶融樹脂を射出、充填する工程でのキャビティ14内のガス圧上昇を成形樹脂のガス焼けを生じないレベルに抑制可能な容積を確保する。
但し、ガス格納空間36の容積を大きくすると、ガス格納空間36内に格納されたガスが樹脂成形品2の成形品本体裏面2cを押圧する圧力が低下する。このため、ガス格納空間36の容積は、ヒケ部間隙15を確実に形成できる範囲で大きすぎないようにする必要がある。また、キャビティ14内の樹脂成形品2の成形後の温度低下による体積縮小が生じるときにガス格納空間36からキャビティ14へ排出されるガス量が多すぎると成形品2内にガスが入り込んで不良の原因になることを防ぐため、ガス格納空間36の容積は大きすぎないようにする。
コア型230は、例えば、裏側凹所35d内面の切削によってトライアンドエラー方式でガス格納空間36の容積を適度に調整することが可能である。
射出成形用金型210を型締め状態としたとき、意匠面成形面222と本体裏側成形面231とは、キャビティ14を介して射出成形用金型210の高さ方向(金型高さ方向)に互いに離間して位置する。
図9、図10において、本体裏側成形面231の各所は、本体裏側成形面231において入れ子収納凹所34内面と入れ子35との間の格納空間接続通気路37の成形面側開口部から100mmの範囲、及びエジェクタピン孔239の成形面側開口部から100mmの範囲の一方または両方に位置する。
格納空間接続通気路37の成形面側開口部から100mmの範囲、及びエジェクタピン孔239の成形面側開口部から100mmの範囲を、以下、凸部成形設定範囲、とも言う。コア型230のリブ成形用凹部238a、238bの本体裏側成形面231に開口する開口部は、その全体が、本体裏側成形面231における格納空間接続通気路37の成形面側開口部を基準とする凸部成形設定範囲内に位置する。
なお、図9、図10は、本体裏側成形面231の全体がコア型230高さ方向に垂直の横方向(以下、コア型横方向、とも言う)に延在する平坦面である場合を例示している。 但し、コア型230の本体裏側成形面231はコア型横方向に対して傾斜する部分(湾曲部であっても良い)を含む構成も採用可能である。
リブ成形用凹部238a、238bには格納空間接続通気路37の成形面側開口部を基準とする凸部成形設定範囲内に位置しない部分は存在しない。
筒状凸部成形用凹部238cには凸部成形設定範囲内に位置しない部分は存在しない。
なお、コア型230は、筒状凸部成形用凹部238に、格納空間接続通気路37の成形面側開口部を基準とする凸部成形設定範囲内に位置する部分、及び周回凹部外側ピン孔239Bの成形面側開口部を基準とする凸部成形設定範囲内に位置する部分が存在しない構成も採用可能である。
格納空間接続通気路37の成形面側開口部を基準とする凸部成形設定範囲内、及びエジェクタピン孔239の成形面側開口部を基準とする凸部成形設定範囲内には、樹脂成形品2に成形後の温度低下に伴う体積縮小が生じるときにヒケ部間隙15を効率良く形成できる。図9、図10のコア型230の凸部成形用凹部238の内面とその内側の成形品凸部2dとの間には、ヒケ部間隙15を介してガス格納空間36内のガスあるいは型締め状態の金型(射出成形用金型)外側の空気(ガス)を進入させることができる。
筒状凸部成形用凹部238c内面とその内側の筒状凸部2g(成形品凸部2d)との間には、周回凹部内側ピン孔239Aとヒケ部間隙15とを介して型締め状態の射出成形用金型210外側の空気(ガス)を進入させることが可能である。筒状凸部成形用凹部238c内面とその内側の筒状凸部2gとの間には、格納空間接続通気路37とヒケ部間隙15とを介してガス格納空間36内のガスを進入させること、及び周回凹部外側ピン孔239Bとヒケ部間隙15とを介して型締め状態の射出成形用金型210外側の空気(ガス)を進入させることも可能である。
リブ成形用凹部238a、238bの開口部はその全体が格納空間接続通気路37の成形面側開口部を基準とする凸部成形設定範囲内に位置するため、溝状のリブ成形用凹部238a、238b延在方向全長にわたって成形用凹部238a、238b内面とリブ2e、2fとの間にガス格納空間36からのガスを進入させることが可能である。したがって、射出成形用金型210を用いた樹脂成形品2の成形では、溝状のリブ成形用凹部238a、238b延在方向全長にわたってその内側のリブ2e、2fのヒケ自由度を良好に確保できる。その結果、射出成形用金型210を用いた樹脂成形品2の成形では、リブ2e、2fの成形後の温度低下に伴う体積縮小によるヒケをリブ2e、2fに集中させることができ、樹脂成形品2の意匠面2bのリブ2e、2fに対応する部分付近のヒケ発生を防止できる。
筒状凸部成形用凹部238cの開口部はその全体がエジェクタピン孔239の成形面側開口部を基準とする凸部成形設定範囲内に位置するため、筒状凸部成形用凹部238cの周方向全体にわたって筒状凸部成形用凹部238c内面と筒状凸部2gとの間にエジェクタピン孔239からの空気進入が可能である。したがって、射出成形用金型210を用いた樹脂成形品2の成形では、筒状凸部成形用凹部238cの周方向全体にわたってその内側の筒状凸部2gのヒケ自由度を良好に確保できる。その結果、射出成形用金型210を用いた樹脂成形品2の成形では、筒状凸部2gの成形後の温度低下に伴う体積縮小によるヒケを筒状凸部2gに集中させることができるため、樹脂成形品2の意匠面2bの筒状凸部2gに対応する部分付近のヒケ発生を防止できる。
これに対して、エジェクタピン孔239の成形面側開口部を本体裏側成形面31における筒状凸部成形用凹部238c開口部外側のみに存在させる構成では、筒状凸部成形用凹部238c開口部全体をエジェクタピン孔239の成形面側開口部を基準とする凸部成形設定範囲内に位置させるためには、エジェクタピン孔239を複数形成する必要がある。
ガス格納空間36から格納空間接続通気路37及びヒケ部間隙15を介して筒状凸部成形用凹部238cに到達するガスや、型締め状態の射出成形用金型210の金型パーティング部のガス通路からヒケ部間隙15を介して筒状凸部成形用凹部238cに到達する空気は、筒状凸部成形用凹部238cとその内側の成形品凸部2dとの間を越えて周回凹部内側領域231aと成形品本体2aとの間に進入する場合と進入しない場合とがある。周回凹部内側領域231aと成形品本体2aとの間に、ガス格納空間36のガスや金型パーティング部からキャビティ14内に進入させた空気を確実に進入させることは難しい。
周回凹部内側領域231aに成形面側開口部が位置するエジェクタピン孔239を有する構成は、周回凹部内側領域231aと成形品本体2aとの間への空気進入、及びそれによるヒケ部間隙15の形成を確実に実現できる。その結果、周回凹部内側領域231aに成形面側開口部が位置するエジェクタピン孔239を有する射出成形用金型210は、成形品本体2aの周回凹部内側領域231aに対面する部分に成形後のヒケを自由に発生させることができ、成形品意匠面2bのコア型230の周回凹部内側領域231aに対応する部分のヒケ発生を防止できる。
射出成形用金型210を用いた樹脂成形品2の成形では、本体裏側成形面31と成形品本体2aとの間の全体に、ヒケ部間隙15を形成可能である。
図15の樹脂成形品200の成形に用いた通気路無し金型のコア型は、本体裏側成形面231に開口してキャビティ14外からキャビティ14内にガス(空気であっても良い)が進入可能な通気路が存在しない構成となっている。
樹脂成形品200は、凸部200dとして、互いに平行に延在する2つのリブ200e、200fと、筒状凹部200gとを有する。樹脂成形品200は、図11、図12に示す樹脂成形品2と概ね同様の構造に形成されている。
図15に示す樹脂成形品200の2つのリブ200e、200fの成形品本体200a側の端間の離間距離200s(リブ200e、200f間隔方向の離間距離)は、通気路無し金型のコア型の2つのリブ成形用凹部238e、238b間のコア型横方向の離間距離と一致している(5mm以下である)。
本発明者は、種々の検証から、通気路無し金型を用いて成形される樹脂成形品200の成形品本体裏面200cに沿ってリブ200e、200f等の互いに平行に延在する2つの成形品凸部200c間の離間距離が5mm以下の場合、樹脂成形品200の意匠面200bにおける成形品凸部200cに対応する部分付近のヒケ部200hの発生が顕著になることを把握した。
本発明に係る実施形態の射出成形金型210を用いた樹脂成形品2の成形では、射出成形金型210のコア型230の互いに平行な溝状の複数の凸部成形用凹部238間のコア型230横方向の離間距離238sが5mm以下であっても、樹脂成形品2の意匠面2bにおける成形品凸部2dに対応する部分付近のヒケの発生を防止できる。
なお、図12では、成形品凸部2dに形成されるヒケの図示を省略している。
射出成形金型210のコア型230の互いに平行な溝状の複数の凸部成形用凹部238の各凸部成形用凹部238は、コア型230の本体裏側成形面231に真っ直ぐに延在するもの(例えば図9、図10のリブ成形用凹部238e、238b)に限定されない。射出成形金型210のコア型230の互いに平行な溝状の複数の凸部成形用凹部238は、それぞれが、コア型230の本体裏側成形面231に湾曲して所定長さで延在形成されたものや、円形あるいは矩形等の多角形の外周に沿って延在する無端(周回形状)の周回形状溝等であっても良い。
射出成形用金型210のコア型230のガス格納空間36は、図9に示すように入れ子35の凹所35dのみによって確保された構成に限定されない。
図16は、入れ子35について入れ子裏側凹所35dを省略した入れ子35Aを用い、コア型本体32に入れ子収納凹所34の内底面34aから窪んで形成された凹所34b(以下、コア型ガス格納凹所、とも言う)によってガス格納空間36を確保した構成を示す。図16のガス格納空間36は、入れ子35Aの平坦な裏面35bとコア型ガス格納凹所34bの内面とによって取り囲まれた内側空間である。図16のガス格納空間36はコア型ガス格納凹所34bのみによって確保された構成である。
また、ガス格納空間36は、図17に示すように、入れ子35の入れ子裏側凹所35dとコア型本体32のコア型ガス格納凹所34bとによって確保された空間であって良い。
図9、図16、図17に例示したガス格納空間36は、コア型本体32の入れ子収納凹所34の内底面34aに裏面35bを当接させた入れ子35、35A、及びコア型本体32の入れ子収納凹所34内面の一方または両方に形成された凹所によって、入れ子35、35Aと入れ子収納凹所34内面との間に確保された空間である。
コア型は、コア型本体32の入れ子収納凹所34に入れ子35を1つだけ収納した構成(図10参照)に限定されない。
図18に示すように、コア型は、コア型本体32の入れ子収納凹所34に複数の入れ子351〜353を収納した構成も採用可能である。各入れ子351〜353には、コア型本体32の裏側成形主面32aに連続するおもて面35f(入れ子おもて面)が形成されている。図18に示すコア型230Aには、各入れ子351〜353のおもて面35fとコア型本体32の裏側成形主面32aとが連続した構成の本体裏側成形面231Aが存在する。
分割形入れ子350には、分割形入れ子350を構成する各入れ子351〜353に形成された凹部分割部2381〜2383が連続してなる凸部成形用凹部238が存在する。分割形入れ子350を構成する入れ子351〜353を、以下、凹部分割部形成入れ子とも言う。各凹部分割部形成入れ子351〜353のおもて面35fには凸部成形用凹部238の一部(凹部分割部2381〜2383)が形成されている。
図18に示すコア型本体32の入れ子収納凹所34内周面と分割形入れ子350側周面との間の入れ子嵌合合わせ目230bには、凹部分割部形成入れ子351〜353側周面及び入れ子収納凹所34内周面の微小な凹凸によって格納空間接続通気路37が確保される。
入れ子間合わせ目35eに位置する格納空間接続通気路37Aの一端は、入れ子間合わせ目35eのキャビティ14に臨む側の端に開口されている。入れ子間合わせ目35eのキャビティ14に臨む側の端に一端が開口された格納空間接続通気路37Aを、以下、入れ子間開口通気路、とも言う。
入れ子間開口通気路37Aは、入れ子間合わせ目35eに位置する部分と、入れ子間合わせ目35eの両側の凹部分割部形成入れ子の裏面と入れ子収納凹所34の底面との間に位置する部分とを有する。入れ子間開口通気路37Aの、入れ子間合わせ目35eの両側の凹部分割部形成入れ子の裏面と入れ子収納凹所34の底面との間に位置する部分は、凹部分割部形成入れ子の裏面及び入れ子収納凹所34の底面のそれぞれの微小な凹凸によって確保されている。
図18に示す分割形入れ子350には、2つのリブ成形用凹部238a、238b(凸部成形用凹部238)が互いに平行に形成されている。分割形入れ子350を構成する各凹部分割部形成入れ子351〜353には、リブ成形用凹部238a、238bの一部である凹部分割部2381〜2383が形成されている。
分割形入れ子350は、複数の凹部分割部形成入れ子351〜353を一列に配列させ、各凹部分割部形成入れ子351〜353の凹部分割部2381〜2383を連続させたリブ成形用凹部238a、238b(凸部成形用凹部238)を形成したものである。
入れ子間合わせ目35eの凸部成形用凹部238に臨む部分には複数の入れ子間開口通気路37Aの片端(一端)が開口されている。
凸部成形用凹部238は、入れ子間合わせ目35eの入れ子間開口通気路37Aを介してガス格納空間36と通気可能に接続されている。
凹部分割部形成入れ子351〜353の凹部分割部2381〜2383の形状は適宜変更可能である。
分割形入れ子350は、種々形状の凹部分割部が形成された凹部分割部形成入れ子の選択使用によって、種々形状の凸部成形用凹部238を容易に得ることができるという利点もある。
図19は変形例の凸部成形用凹部238Aを示す。
コア型の凸部成形用凹部は、例えば図19に示す凸部成形用凹部238Aのように、入れ子収納凹所34に収納した凹部分割部形成入れ子354に形成された凹部分割部2384と、コア型本体32の裏側成形主面32aに形成された凹部分割部とが連続した構成も採用可能である。
図19に例示した凸部成形用凹部238Aは入れ子嵌合合わせ目230bの格納空間接続通気路37を介して凹部分割部形成入れ子354の裏面側に確保されたガス格納空間36と通気可能に接続されている。
また、コア型本体32の裏側成形主面32aの凹部分割部は、裏側成形主面32aの入れ子収納凹所34を介して両側のそれぞれに形成する構成に限定されず、裏側成形主面32aの入れ子収納凹所34を介して両側の一方のみに形成した構成も採用可能である。コア型本体32の裏側成形主面32aの入れ子収納凹所34を介して両側の一方のみに凹部分割部を形成した場合は、入れ子収納凹所34の凹部分割部形成入れ子354を介してコア型本体32の凹部分割部とは逆側に凹部分割部が形成されていない入れ子を収納しても良い。
図20に示すように、コア型本体32の入れ子収納凹所34に収納する入れ子35Bは、非通気性部材の入れ子35にかえて、例えばセラミックス等の耐熱性に優れ通気性を有する多孔質材によって形成されたもの(以下、多孔質入れ子、とも言う)を採用することも可能である。
多孔質入れ子35Bには空孔が多数形成されている。多孔質入れ子35Bには、その空孔によって、ガス格納空間36とキャビティ14との間を通気可能に連通させる通気路37B(格納空間接続通気路)が多数確保されている。多孔質入れ子35Bの格納空間接続通気路37Bを、以下、入れ子空孔通気路、とも言う。
図20に示す多孔質入れ子35Bの入れ子収納凹所34の内底面34aとは逆側のおもて面35g(入れ子おもて面)は、コア型本体32の裏側成形主面32aに連続するように位置合わせされている。多孔質入れ子35Bの入れ子おもて面35gは、コア型本体32の裏側成形主面32aとともにコア型の本体裏側成形面231Cを構成する。
したがって、例えば図9の射出成形用金型210のコア型230の入れ子35を多孔質入れ子35Bに変更した射出成形用金型のキャビティ14に溶融樹脂を射出充填する時に、キャビティ14からガス格納空間36へのガス流入を入れ子空孔通気路37Bを介して円滑かつ確実に実現できる。
このため、例えば図9の射出成形用金型210のコア型230の入れ子35を多孔質入れ子35Bに変更した射出成形用金型を用いた樹脂成形品2の成形において、樹脂成形品2に成形後の温度低下による体積縮小が生じるときに、ガス格納空間36のガスを入れ子空孔通気路37Bを介して凸部成形用凹部238内面とその内側の成形品凸部2dとの間の広範囲に流入させることが可能である。
その結果、凸部成形用凹部238内の成形品凸部2dの広範囲にわたってヒケ発生の自由度を高めることができ、成形品意匠面2bの成形品凸部2dに対応する部分のヒケ発生をより確実に防止できる。
このため、多孔質入れ子35Bの採用は、成形品本体2aの裏面2cの離間距離5mm以下で互いに平行に延在する成形品凸部2d間の領域のヒケ発生自由度を良好に確保できる。多孔質入れ子35Bを採用した構成であれば、成形品意匠面2aにおける互いに平行に延在する成形品凸部2dに対応する部分間の領域のヒケ発生も確実に防止できる。
接続通気路形成入れ子は、凹部分割部形成入れ子(例えば図18、図19の凹部分割部形成入れ子)にも適用可能である。
入れ子収納凹所34全体を埋め込むサイズの多孔質入れ子を使用する場合は、入れ子の空孔をガス格納空間として機能させることとなる。
なお、樹脂成形品の成形は、通気路有り金型を使用した場合、通気路無し金型を使用した場合のいずれも、キャビティ型及びコア型の温度を略同一にして行った。
図22は樹脂成形品510の裏面側(反意匠面側)を撮影した写真、図23は樹脂成形品510の意匠面512を撮影した写真、である。
図23に示すように、樹脂成形品510の意匠面512には、意匠面512に照明光を照射した光源の像517を観察できる。但し、光源の像517の歪みから、意匠面512における成形品本体裏面513のヒケ無し領域516に対応する領域にヒケ部515が存在することが判る。また、意匠面512の成形品本体裏面513のヒケ無し領域516に対応する領域には、光の反射から、光源の像517から判るヒケ部515から離隔した場所にもヒケ部515が存在することが判る。
図22、図23に示す樹脂成形品510の成形品本体511には、その意匠面512及び裏面513の両方にヒケ部515が形成されている。
図24は樹脂成形品520の裏面側(反意匠面側)を撮影した写真、図25は樹脂成形品520の意匠面522を撮影した写真、である。
図24に示すように、樹脂成形品520の成形品本体521の意匠面とは逆側の裏面523(以下、成形品本体裏面、とも言う)のコア型の格納空間接続通気路に対応する位置には溝状ヒケ部525aが形成されている。
図24において、溝状ヒケ部525aは、真っ直ぐに延在して、図24に示す成形品本体裏面523の画像域を横切っている。
溝状ヒケ部525aは、通気路有り金型内における樹脂成形品520の成形後の冷却による体積縮小に伴い、コア型のガス格納空間のガスが格納空間接続通気路を介して樹脂成形品520の成形品本体裏面523とコア型との間に放出されたことにより形成されたものと考えられる。また、成形品本体裏面523には、格納空間接続通気路からのガス放出に伴い進行、形成されたと考えられる成形品本体裏面523のヒケ部525b(以下、合わせ目周囲ヒケ部)が溝状ヒケ部525aから延在するように形成されている。溝状ヒケ部525aから延在する合わせ目周囲ヒケ部525bは、溝状ヒケ部525aの延在方向複数個所に形成されている。また、合わせ目周囲ヒケ部525bは、成形品本体裏面523において溝状ヒケ部525aを介して両側の領域にそれぞれ存在する。
成形品本体裏面523において、溝状ヒケ部525aからリブ524が位置する側は、樹脂成形品520の成形時にコア型のコア型本体に対応する領域(コア型本体側領域)である。溝状ヒケ部525aを介してコア型本体側領域とは逆側の領域は、コア型の入れ子に対応する領域(入れ子側領域)である。
図25の意匠面522に観察できる像527の光源は蛍光灯照明装置である。蛍光灯照明装置は、意匠面522の像527の歪みを検出するために、互いに平行に複数支持された直管形の蛍光管と、蛍光管長手方向の複数個所に蛍光管に垂直に配置された板材とを有するものを用いた。
図25の意匠面522の観察の結果、意匠面522の光源の像527には歪みが無く、意匠面522全体にわたってヒケ部の存在による反射光も確認できず、意匠面522にヒケ部が存在しないことを把握できた。
また、目視にて意匠面522は局所的な凹凸が存在しない鏡面に形成されていることを確認した。
射出成形用金型のコア型は、ガス格納空間36及び格納空間接続通気路とエジェクタピン孔39とが存在する構成に限定されず、ガス格納空間36及び格納空間接続通気路とエジェクタピン孔39との一方のみが存在する構成も採用可能である。
また、コア型に存在させる通気路は、例えば内径数ミクロンから数十ミクロン程度でコア型に貫通形成された貫通通気孔等も採用可能である。貫通通気孔は、その一端がコア型の本体裏側成形面、他端がコア型外面に開口する構成である。
Claims (5)
- コア型の温度をキャビティ型の温度と略同一に保ちながら、成形中の樹脂成形品の意匠面を、金型温度を成形する樹脂の熱変形温度以上にすることで金型表面に密着させ、樹脂の冷却縮小に伴い、成形品の裏面に空気が吸引される成形方法に使用する樹脂の射出成形用金型であって、
樹脂成形品の意匠面が形成される成形品本体を成形する成形用凹部が形成されたキャビティ型と、前記キャビティ型に対して開閉自由に存在し、前記キャビティ型に閉じ合わせたときに前記キャビティ型との間に前記成形用凹部を含むキャビティを形成するコア型とを有し、
前記コア型には、前記成形品本体における前記キャビティ型の前記成形用凹部の内面によって前記意匠面が形成されるおもて面側とは逆の裏面側を成形する裏側成形面と、前記裏側成形面から窪み前記成形品本体の裏面から突出する凸部を成形する凸部成形用凹部と、前記裏側成形面に開口させて形成され前記キャビティの外側から前記キャビティ内へガスを導く通気路とが形成され、前記コア型の前記裏側成形面は、その全体が、前記コア型の前記裏側成形面における前記通気路の開口部から前記裏側成形面に沿った最短距離が100mmの範囲内に位置する射出成形用金型。 - 前記コア型に、前記裏側成形面に開口部が無端で延在する前記凸部成形用凹部であり前記成形品本体の裏面にその一部領域を囲繞する筒状の前記凸部を成形する筒状凸部成形用凹部と、前記裏側成形面における前記筒状凸部成形用凹部に囲まれた内側の領域に開口する前記通気路とが形成されている請求項1に記載の射出成形用金型。
- 前記通気路が、エジェクタピンを収納するエジェクタピン孔である請求項1または2に記載の射出成形用金型。
- 前記コア型は、前記裏側成形面の一部である裏側成形主面を形成するコア型本体と、前記コア型本体の前記裏側成形主面から窪む入れ子収納凹所内に固定された入れ子とを有し、前記入れ子には前記裏側成形面の一部である入れ子おもて面が形成され、前記入れ子と前記コア型本体との間には、前記入れ子収納凹所内面及び入れ子の一方または両方に形成された凹所によってガス格納空間が確保され、前記ガス格納空間は、前記コア型本体の前記入れ子収納凹所の内周面と前記入れ子との間あるいは前記入れ子に確保された前記通気路を介して前記キャビティと通気可能に接続されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の射出成形用金型。
- 前記コア型は、前記凸部成形用凹部の一部である凹部分割部が形成された前記入れ子である凹部分割部形成入れ子を有し、前記凸部成形用凹部の内面に、前記凸部成形用凹部の一部が形成された前記コア型本体の前記入れ子収納凹所の内周面と前記凹部分割部形成入れ子との合わせ目、あるいは前記凹部分割部形成入れ子同士の合わせ目に確保された前記通気路の片端が開口されている請求項4に記載の射出成形用金型。
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