JP3828034B2 - 通気栓の製造方法、及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、略筒状の通気栓本体の一端面に、別体の通気シートを成形と同時に、又は後工程で一体接合する通気栓の製造方法、及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明に係る通気栓は、空気などの気体は通過させるが液体の通過を阻止する通気シートが、通気栓本体に一体に接合されたものであって、例えば、車両のEDU装置やヘッドランプ等の作動すると発熱する機器等が内部に収容された容器の通気孔に取付けられている。該通気栓は、機器等の発熱による容器内部の気体の膨張に伴う圧力上昇を防ぐと共に、容器内部に水(水滴)等の液体が浸入するのを防ぐために使用される。このような通気栓の一例として、略筒状の通気栓本体の一方の端面に、該端面の形状に対応した前記通気シートが接合されたものが使用されている。該通気栓の代表的な製造方法としては、ゴムや合成樹脂を射出成形して筒状体の通気栓本体を形成した後に、超音波溶着や振動溶着などの手段で、該通気栓本体の一方の端面に通気シートを接合する製法が知られている。
【0003】
具体的な従来構成の通気栓S’としては、図23に示されるように、円筒状に形成された通気栓本体1’の一端面に、後工程で通気シートKが接合されたものがある。図22の(イ)は、一対の成形型F1', F 2' を閉じて成形されたキャビティC''に溶融樹脂が射出された状態の断面図であり、同(ロ)は、射出成形が終了して、成形品である通気栓本体1' を一方の成形型F1'から取り出している状態の断面図である。この一対の成形型は、前記通気栓本体1’の中空部分に対応する円柱状のコアE' が突設された成形型(コア型)F2'と、これに対して上下方向に開閉移動し、通気栓本体1’の外周部の形状に対応して形成された凹部51を有する成形型(キャビティ型)F1'とで構成されている。そして、前記通気栓本体1’の形状に対応するキャビティC''は、これらの両型F1',F2'を閉じた状態において、コアE' の先端面が成形型F1'の前記凹部51の底面に当接して形成される。また、該凹部51の上方には、ランナ24' を介して溶融樹脂Rを前記キャビティC''の内部に射出するための射出ゲート25' が、前記凹部51の底面に対して平行に設けられている。
【0004】
上記構成の成形型を用いて通気栓本体を射出成形すべく、射出ゲート25' から前記キャビティC''の内部に射出(流入)される溶融樹脂Rは、円柱状のコアE' の外周面に衝突して分流され、該外周面に沿って廻り込むように流動する。そして、射出ゲート25' の反対側において、溶融樹脂Rの先端同士が合流する。よって、射出ゲート25' の反対側には、射出された溶融樹脂Rが合流する「ウェルド部W」が必然的に発生する。該ウェルド部Wは、上記のように射出ゲート25' の反対側のキャビティC''の底面に発生するため、この部分においては、キャビティC''に存在している空気が閉じ込められて圧縮され高温になり、溶融樹脂Rを局部的に燃焼させる「ガス焼け」や「ひけ」等の不具合が発生し易い。また、射出ゲート25' の反対側のキャビティC''の底面近傍のウェルド部Wを形成する溶融樹脂は、射出成形機の射出ノズルから、概ね射出初期に射出された溶融樹脂を多く含んでおり、該射出初期の溶融樹脂は、コールドスラグ(ランナの途中に設けられた湯だまり部)を設けても一般的に、射出ゲートに達するまでに、ランナやスプルーに付着しているゴミなどを巻き込んでいることが多い。更に、射出初期の溶融樹脂は、前記コアE' の外周面に衝突する前に、キャビティの射出ゲートに通じるランナやスプルー等の中を流動して、それらの成形型内の空気やスチール製の型面と接触しているので、その温度は、射出ノズルから射出された時よりも幾分低下して、その粘度が高くなっている。
【0005】
このような「良質でない溶融樹脂Rw」で形成された通気栓本体1' のウェルド部Wには、通気栓本体1' の端面、即ち通気シートKの接合予定面において、ウェルド部Wが発生する半径方向に沿って部分的にウェルドライン等と称される微小な凹溝52が発生する。そして、該凹溝52が形成された通気栓本体1' の端面に、超音波溶着や振動溶着などの手段で、後に通気シートKを接合すると、前記凹溝52が接合されないでそのまま残る(図23の拡大図示部分参照)。すると、通気栓として使用中に、該凹溝52が微小流路となって、この流路を通って、容器の外部から内部に水等が浸入して、内部の機器に悪影響を与える恐れがある。更に、ウェルド部Wの前記「良質でない溶融樹脂Rw」がそのまま固化することにより、気泡を含むミクロ的に小さい隙間「ウェルド隙間」が前述の微小凹溝として生ずる。よって、通気栓本体1' の端面の部分を形成し、「ウェルド隙間」を含む前記樹脂Rwに通気シートKを接合すると、上述の部分的な接合欠陥を生じる恐れがあり、接合強度が不十分となる。
【0006】
なお、従来構成の通気栓の本体部は樹脂製で、その形状は円筒形のものを挙げて説明したが、通気栓本体が筒状体である限り、ゴム材料で形成されている場合や、円形以外の筒形状に形成されている場合にも同様にウェルド部が形成され、同様の問題が生じる恐れがある。なお41' は、射出成形の際に発生するランナ等の不要成形部である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記通気栓本体を射出成形により製造する際に、通気シートが接合される側の端面部の成形精度を高めて、通気栓本体と通気シートとの一体接合性を高めることを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために請求項1に記載の発明は、略筒状の通気栓本体の一端面に、別体の通気シートが接合された通気栓の前記通気栓本体を射出成形により製造する方法であって、開閉可能な一対の成形型には、成形型を閉じた状態で、その内部に前記通気栓本体の形状に対応するキャビティが形成され、前記キャビティは、後工程で前記通気シートが一体接合される側の部分を成形する第1キャビティ部と、他方の側の部分を成形する第2キャビティ部とが軸方向に沿って連続して形成され、前記第1キャビティ部の半径方向の寸法は、第2キャビティ部の同方向の寸法よりも大きくなっていて、前記成形型の射出ゲートから第1キャビティ部に溶融樹脂を射出して、前記第1キャビティ部に最初に射出された溶融樹脂を、連続して射出される後続の溶融樹脂により第2キャビティ部の側に押しやって、移動させることにより、最初に第1キャビティ部に溶融樹脂を充填し、その後に、第2キャビティ部に溶融樹脂を充填することを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、(1)第1キャビティ部は、第2キャビティ部よりも容積が大きいので、キャビティ内に射出された溶融樹脂は、流動抵抗の小さな第1キャビティ部の側を自ら選択して、最初に第1キャビティ部に溶融樹脂が充填される。(2)第1キャビティ部に最初に射出された溶融樹脂は、後続の溶融樹脂の流動力によって第2キャビティ部の側に強制的に流動させられて、押しやられる。その結果、温度が低かったり、或いは気泡を含んだりしていて良質でない射出初期の溶融樹脂は、後工程で通気シートが接合される通気シート側部分と反対の部分に移動し、前記通気シート側部分は、上記とは異なる良質の溶融樹脂により成形される。このため、通気栓本体の通気シート側部分は、ウェルドに伴う凹部、ガス焼け、ひけ等の欠陥が発生せずに、あるいは抑制され、成形型の型面(成形面)を正確に転写されて前記欠陥のない端面を有する通気栓本体が得られる。(3)よって、後工程において、上記製造方法により得られた略筒状の通気栓本体の第1キャビティ部に対応する厚肉の側の端面に通気シートを超音波溶着、振動溶着、その他の溶着手段により接合すれば、接合面全体に亘って部分的接合欠陥のない安定した均一な接合が得られる。
【0010】
また、請求項2の発明は、略筒状の通気栓本体の一端面に、後工程において別体の通気シートが接合された通気栓を射出成形により製造する方法であって、開閉可能な一対の成形型には、成形型を閉じた状態で、その内部に前記通気栓本体の形状に対応するキャビティが形成され、前記キャビティは、前記通気シートが一体接合される側の部分を成形する第1キャビティ部と、他方の側の部分を成形する第2キャビティ部とが軸方向に沿って連続して形成され、前記第1キャビティ部の半径方向の寸法は、第2キャビティ部の同方向の寸法よりも大きくなっていて、前記成形型の射出ゲートから第1キャビティ部に溶融樹脂を射出して、前記第1キャビティ部に最初に射出された溶融樹脂を、連続して射出される後続の溶融樹脂により第2キャビティ部の側に押しやって、移動させることにより、最初に第1キャビティ部に溶融樹脂を充填し、その後に、第2キャビティ部に溶融樹脂を充填して前記通気栓本体を成形し、その後に、前記成形型から取り出された前記通気栓本体における第1キャビティ部に対応する側の本体の端面に前記通気シートを接合することを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明によれば、通気栓本体の第1キャビティ部に対応する側の厚肉の側の端面は、上記した理由によって、成形型の型面が正確に転写された局部的に凹部のない平滑な面となるので、後工程において、該端面に通気シートを接合した場合には、接合部全体に亘って隙間のない均一で、しかも安定した接合が得られる。よって、通気栓本体と通気シートとの接合部において、部分的に接合欠陥のない通気栓が得られる。
【0012】
また、請求項3の発明は、略筒状の通気栓本体の一端面に、別体の通気シートが接合された通気栓を射出成形により製造する方法であって、開閉可能な一対の成形型には、成形型を閉じた状態で、その内部に前記通気栓本体の形状に対応するキャビティが形成され、前記キャビティは、前記通気シートが一体接合される側の部分を成形する第1キャビティ部と、他方の側の部分を成形する第2キャビティ部とが軸方向に沿って連続して形成され、前記第1キャビティ部の半径方向の寸法は、第2キャビティ部の同方向の寸法よりも大きくなっていて、前記一対の成形型が開いた状態において、該成形型における前記第1キャビティ部を形成する平面部に前記通気シートをセットし、成形型を閉じて通気シートを挟んで固定し、前記成形型の射出ゲートから第1キャビティ部に溶融樹脂を射出して、前記第1キャビティ部に最初に射出された溶融樹脂を、連続して射出される後続の溶融樹脂により第2キャビティ部の側に押しやって、移動させることにより、最初に第1キャビティ部に溶融樹脂を充填し、その後に、第2キャビティ部に溶融樹脂を充填して前記通気栓本体を成形すると同時に、該通気栓本体における第1キャビティ部に対応する側の本体の端面に前記通気シートを一体接合することを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明によれば、通気栓本体の射出成形と、該通気栓本体の第1キャビティ部に対応する側の厚肉の側の端面に通気シートを一体化する接合とが同時に行われるので、生産性が高められる。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記キャビティへの溶融樹脂の射出方向は、第1キャビティ部における通気栓本体の端面成形面と交差する方向であることを特徴としている。
【0015】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明の効果に加えて、(1)キャビティ内に射出される溶融樹脂は、第1キャビティ部の通気栓本体の端面成形面に向けて衝突するので、最初に前記端面成形面に向けて射出されて、該端面成形面の付近に滞留している溶融樹脂は、連続して射出される後続溶融樹脂によってより効果的に第2キャビティ部の側に押しやられて、移動される。(2)この結果、ウェルド、ガス焼け、ひけ等の欠陥を発生させ易い射出初期の溶融樹脂は、第2キャビティ部の側に効果的に流動させられて、通気シートとの接合面となる第1キャビティ部の前記端面成形面の部分は、前記欠陥の発生の恐れのない良質の溶融樹脂により成形される。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項2ないし4のいずれかの発明において、通気シートは、内部にガス及び大気中の水分は透過させるが水滴の透過を阻止する無数の微細通気孔が不規則方向に形成された通気シート本体と、内部に前記微細通気孔よりも大きい無数の通気間隙を不規則方向に有して前記通気シート本体よりも通気性の高い通気性補強シートとの積層品であって、第1キャビティ部により成形される通気栓本体の厚肉の側の端面に、前記通気シート本体の側か通気性補強シートの側かいずれかを一体接合することを特徴としている。
【0017】
請求項5の発明によれば、請求項2ないし4のいずれかの発明の効果に加えて、(1)通気シートに接する通気栓本体を成形する溶融樹脂が、通気シート内の不規則方向の通気間隙及び/又は微細通気孔に入り込んで固化又は硬化するために、該樹脂の投錨作用によって前記通気シートは通気栓本体の端面に機械的に強固に一体接合される。(2)通気シートは、その本体に通気性補強シートが一体に積層された構造で、通気シート本体だけよりも厚さが増し、形状保持性を向上しているので、別工程(後工程)で通気栓本体に通気シートを接合する作業、或いは同時成形時に射出成形型のキャビティの底部に通気シートをセット(配置)する作業が容易となる。
【0018】
また、請求項6の発明は、略筒状の通気栓本体の一端面に、別体の通気シートが接合された通気栓の前記通気栓本体を射出成形型を用いて製造するための一対の成形型から成る通気栓の製造装置であって、一方の成形型には、型面に対して凹んだキャビティ形成空間が形成されていると共に、他方の成形型には、前記キャビティ形成空間に対応する位置から型面に対して突出する円柱状のコアが形成され、一対の成形型を閉じた状態で、一方の成形型のキャビティ形成空間の底面に、他方の成形型のコアの先端面が直接に、又は通気シートを挟んで接触して、両者の間に、前記通気栓本体の形状に対応するキャビティが形成され、前記キャビティは、射出成形と同時に、又は後工程で通気シートが一体接合される側の部分を成形する第1キャビティ部と、他方の側の部分を成形する第2キャビティ部とが軸方向に沿って連続して形成されて、前記第1キャビティ部の半径方向の寸法は、第2キャビティ部の同方向の寸法よりも大きくなっていて、前記キャビティ内に溶融樹脂を射出するゲートは、前記第1キャビティ部に連通していることを特徴としている。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1ないし3の発明を製造装置の観点から把握したものであって、請求項1ないし3のいずれかの発明と実質的に同一である。よって、請求項6の発明からは、請求項1ないし3のいずれかの方法発明と同等の作用効果が奏される。
【0020】
また、請求項7の発明は、請求項6に記載の発明において、成形型内部に設けられたランナの終端部において前記キャビティに接続されるゲートは、前記第1キャビティ部の底面と交差する方向に設けられたサブマリン構造であることを特徴としている。
【0021】
請求項7の発明は、請求項4の発明を製造装置の観点から把握したものであって、請求項4の発明と実質的に同一であるので、請求項7の発明からは、請求項4の方法発明と同等の作用効果が奏される。
【0022】
また、請求項8の発明は、請求項6又は7の発明において、前記他方の成形型に形成された円柱状のコアは、その突出方向で二分した場合において、その基端側の外径が先端側のそれよりも大きくなっていると共に、前記一方の成形型に形成された凹部の内径は軸方向の全長で同一であって、一対の成形型を閉じた際に、前記コアの先端側及び基端側に、それぞれ大きさが異なる第1及び第2のキャビティ部が形成されることを特徴としている。
【0023】
請求項8の発明によれば、請求項6又は7の発明の効果に加えて、一対の成形型を閉じて形成されるキャビティに、型開き方向に沿ったアンダーカット部が存在しないので、型開きと、該型開き後に行う栓本体の取り出しが容易となる。
【0024】
また、請求項9の発明は、請求項6ないし8のいずれかの発明において、一対の成形型は上型と下型とからなり、前記コアは、可動型である下型の成形型に設けられて、前記上型の成形型に設けられたキャビティ形成空間に対して前進・後退可能になっていることを特徴としている。
【0025】
請求項9の発明によれば、請求項6ないし8のいずれかの発明の効果に加えて、第1キャビティ部が上方に配置される構成となるので、最初に第1キャビティ部に射出される溶融樹脂は、下方の第2キャビティ部に流動し易くなって、通気栓本体における通気シートが一体接合される側の端面部近傍に、ウェルドに伴う凹部、ガス焼け、ひけ等の欠陥が発生しなくなる。よって、前記欠陥のない端面を有する通気栓本体が得られる。
【0026】
また、請求項10の発明は、請求項9に記載の発明において、前記コアは、自身を取付けている成形型に対して、その開閉方向に沿ってスライド可能であって、後退時には、その型合せ面より後退して、通気シートのセットを容易にするためのセット用凹部が形成される構成であることを特徴としている。
【0027】
請求項10の発明によれば、請求項9の発明の効果に加えて、コアが、自身を取付けている成形型に対して後退した状態においては、セット用凹部が形成されるので、該セット用凹部に通気シートをセットした後に、前記コアを、自身を取付けている成形型に対して前進させて、その型合せ面から突出させて、上端面に通気シートがセットされたコアが、前記上型の成形型のキャビティ形成空間に挿入されると、前記通気シートが前記キャビティ形成空間の上面に押圧された状態で、所望のキャビティが形成される。よって、キャビティ形成空間に対する通気シートのセット作業が容易となる。
【0028】
また、請求項11の発明は、請求項6ないし10のいずれかの発明において、一方の成形型に設けられたキャビティ形成空間の底面は、別部材が嵌合されて形成され、前記成形型と前記別部材とは、その嵌合部において、気体の通過は許容するが、溶融樹脂の通過は阻止し得るような僅かな隙間を有して嵌合されていることを特徴としている。
【0029】
請求項11の発明によれば、請求項6ないし10のいずれかの発明の効果に加えて、射出成形時においてキャビティ内に残留する空気や、発生する圧縮ガスが前記隙間からキャビティ外に排出されるので、成形品である通気栓本体にガス焼けが発生するのを効果的に防止できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明の第1実施形態の通気栓の製造装置について説明し、その後に、その製造方法について説明する。図1は、本発明の第1実施形態の通気栓の製造装置を構成する一対の成形型F1,F2 が開いた状態の斜視図であり、図2は、同じく一対の成形型F1,F2 が閉じた状態の部分破断正面図であり、図3は、一対の成形型F1,F2 が開いた状態におけるキャビティ形成空間C’、及びこれに対応する円柱状のコアE1 の部分の拡大断面図である。
【0031】
本発明の第1実施形態の製造装置により製造される通気栓Sは、図11に示されるように、略円筒状をした通気栓本体1の後述する厚肉部側の端面に、円板状をした通気シート2が一体的に接合されたものである。通気栓本体1は、その軸方向に沿って二分した各部分の肉厚が異なっていて、厚肉部1aと薄肉部1bとから成って、厚肉部1aの端面に前記通気シート2が一体接合されている。なお、略円筒状をした通気栓Sの外径及び高さは、それぞれD,Hであり、厚肉部1a及び薄肉部1bの各内径は、それぞれd1,d2 である。
【0032】
一対の成形型F1,F2 は、上下方向に配置されて、下方に配置される成形型F1 が可動型であり、上方に配置される成形型F2 が固定型となっている。また、可動型である成形型F1 は、複数のキャビティ形成空間C’が形成されたキャビティ型となっており、固定型である成形型F2 は、前記各キャビティ形成空間C’に挿入される複数の円柱状のコアE1 が型合せ面19から突出して形成されたコア型となっている。一対の成形型F1,F2 は、それぞれ方形盤状のダイプレート11,12に一体に固定され、各ダイプレート11,12は、図示しない可動盤と固定盤に取付けられている。即ち、可動型である成形型F1 を固定したダイプレート11は、型締シリンダ(図示せず)の作用により、設定ストローク内において往復移動可能に支持されていると共に、固定型である成形型F2 を固定したダイプレート12は、前記固定盤に固定されている。成形型(固定型)F2 を固定したダイプレート12の上面には、射出ノズル(図示せず)を安定支持させるためのロケートリング14がスプルー13を中心として設けられている。
【0033】
キャビティ型である成形型F1 には、上面の型合せ面15に開口した複数のキャビティ形成空間C’がスプルー13を中心として対称位置に設けられている。このキャビティ形成空間C’は、その内径dが成形品である通気栓Sの外径Dと同一の断面円形であって、その深さGが通気栓Sの高さHと同一の孔状をしていて、その底面は、前記キャビティ形成空間C’と同心となって固定配置された円柱状の通気シート支持ピン16と、該支持ピン16の外側に上下方向にスライド可能に配置された薄肉円筒状のエジェクタスリーブ17とで形成される。エジェクタスリーブ17は、前記キャビティ形成空間C’と同一内径を保持して下方に延設されたスリーブ挿通孔18と、該スリーブ挿通孔18に同心となって配置された前記通気シート支持ピン16とで形成される空間部に嵌合挿入されている。そして、エジェクタスリーブ17の内外の各周面とスリーブ挿通孔18及び通気シート支持ピン16とで形成される各隙間は、気体の通過は許容するが、溶融樹脂の通過は阻止し得る構造になっている。また、通気シート支持ピン16の先端面には、円形の凹部29が形成され、その結果として、環状押圧部30が形成されている。この環状押圧部30は、後述する前記コアE1 の先端面に形成される凹部22及び環状押圧部23と同様の目的で形成されている。
【0034】
一方、コア型である成形型F2 には、この下面の型合せ面19から、前記各キャビティ形成空間C’に同心となって挿入される略円柱状をした複数のコアE1 が突設されている。具体的には、コアE1 は、図3に示されるように、成形型F2 とは別の部材を型合せ面19に設けられた嵌合固定孔21に嵌合固定して形成されている。このコアE1 は、成形品である通気栓本体1の形状に対応して、軸方向に沿って二分された各部分の外径が異なっていて、その先端側の小径部E1a及び基端側の大径部E1bの各外径D1,D2 は、通気栓本体1の厚肉部1a及び薄肉部1bの各内径d1,d2 と同一となっていて、外径の異なる小径部E1aと大径部E1bとの接続部は、外径が連続的に変化するテーパー面状に形成されている。また、コアE1 の突出長Jは、前記キャビティ形成空間C’の底面に通気シートKをセットして、該キャビティ形成空間C’にコアE1 を挿入して、一対の成形型F1,F2 を型合せして閉じた状態において、前記通気シートKがコアE1 の先端部で適正に押圧、圧縮され得るように、成形品である通気栓Sの高さHよりも僅かに小さくなっている。また、コアE1 の先端側の小径部E1aの先端面には、円形の凹部22が形成され、その結果として、外周に環状押圧部23が形成されている。この環状押圧部23は、後述するように、成形型F1 のキャビティ形成空間C’の底面にセットされた通気シート2を、前記コアE1 で上方より押圧した状態で成形する際に、通気シート2の中心側の通気部分の押圧を避け、また保護するために設けた部分である。
【0035】
これにより、成形型F1 のキャビティ形成空間C’の底面に通気シートKをセットした後に、固定型である成形型F2 に対して可動型である成形型F1 を上方にスライドさせて、両型F1,F2 を型合せすると、成形型F1 のキャビティ形成空間C’に、成形型F2 のコアE1 が同心となって挿入され、前記キャビティ形成空間C’のうち前記コアE1 以外の部分が、成形品である通気栓本体1の形状に対応したキャビティ(成形空間)Cとなる。そして、前記キャビティCは、射出成形時に通気シートKが一体接合される側の部分を成形する第1キャビティ部C1 と、他方の側の部分を成形する第2キャビティ部C2 とが軸方向に沿って連続したものである。即ち、第1キャビティ部C1 は、キャビティ形成空間C’を形成する内周壁面と、コアE1 の小径部E1aの外周面とで形成される。第2キャビティ部C2 は、キャビティ形成空間C’を形成する内周壁面と、コアE1 の大径部E1bの外周面とで形成される成形空間であるために、第1キャビティ部C1 の半径方向の寸法は、第2キャビティ部C2 のそれよりも大きくなっている。
【0036】
また、一対の成形型F1,F2 の各型合せ面15,19には、成形型F2 のスプルー13を介して供給された溶融樹脂を複数のキャビティCに供給するためのランナ24が、スプルー13を中心として対称位置に設けられている。
【0037】
また、各キャビティCと、その近辺のランナ24とは、ゲート25を介して接続され、該ゲート25からキャビティC内に溶融樹脂Rが充填される。第1実施形態においては、前記ゲート25は、サブマリン構造であって、成形型F1 の内部に隠れた状態で形成されている。即ち、ランナ24の終端部に接続して設けられたゲート25は、その延長線がキャビティCの底面に対して交差し、通気シートKを前記底面に押しつけるような角度θで方向をもって、成形型F1 の内部に形成されている。また、キャビティCの軸方向におけるゲート25との接続位置は、厚肉部1aの側に接続されていることが好ましく、また、ゲート25自体の形状は、成形型を開く時の成形品の分離を容易にする為に、キャビティCに近づくに従って、その横断面積が小さくなるスプルー形状が好ましい。
【0038】
また、成形型F1 には、成形品である栓本体1を射出成形して、型開きした後において、その厚肉部1aの側の端面に通気シートKが一体接合された複数の通気栓Sを、前記エジェクタスリーブ17により突き出す際に、前記ランナ24及び前記ゲート25に残った不要成形部41と一緒にして突き出すための複数の突出ピン26が成形型の開閉方向(上下方向)にスライド可能となって設けられている。そして、複数の前記エジェクタスリーブ17と複数の前記突出ピン26とは、突出プレート27に一体に取付けられていて、突出用シリンダ(図示せず)の作動によって、成形型の前記開閉方向にスライドする構成となっている。
【0039】
次に、上記した製造装置(成形装置)を使用して、通気栓本体1の厚肉部1aの側の端面に通気シートKが一体接合された通気栓Sを製造する方法を、各工程毎に説明する。まず、通気シートKの構造について説明する。通気シートKは、薄円形の通気シート本体2の片面に、同形状の通気性補強シート3が圧着などによりラミネートされた構成のシートである(図12参照)。通気シート本体2としては、米国W.L.ゴア社の商品名「ゴアテックス」、日東電工株式会社の商品名「ミクロテックス」などが市販されていて、好適に使用できる。該通気シート本体2の材質は、ポリフルオロエチレン樹脂で、その厚さは、使用目的に応じて、50μm〜200μmのものが容易に入手可能であって、これらのものを適宜選択して使用できる。
【0040】
また、通気シート本体2は、ミクロ的に見たときは、ほぼ海綿状で、その内部に大きさが0.05μmから20μm程度の(不規則方向を向く)不規則形状の無数の微細通気孔4を有している。よって、通気シートKは、大きさが0.0004μmの大気中の水分、水蒸気及びこれよりも小さな大気ガス(窒素ガス、酸素ガス)は通過させるが、大きさが100μm(ほぼ霧雨の大きさ)以上の水滴、油滴などの液体、及び塵類などの固形の異物の通過は阻止する性能を有する。
【0041】
また、通気シート本体2にラミネートされる通気性補強シート3の材質としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンなどの各樹脂の繊維からなる不織布が、腐食せず、水に接触しても溶けたり劣化することがないので、好適であるが、これらに限られず、前記の樹脂繊維系や植物系の織布なども適用可能である。また、その厚さは、通気シート本体2をラミネートした場合に通気シートK全体の厚さが0.05mm〜0.5mmとなるものが使用できる。ここで、通気シートKの厚さは、0.1mm〜0.3mm程度が射出成形時の取り扱い性からして好適である。そして、この通気性補強シート3の内部にも、無数の不規則形状の通気間隙5が形成されている。なお、図3などにおける通気シート(通気シート本体及び通気性補強シート)の図示に関しては、原寸表示では、図示不能なために、その厚さを相当に拡大して図示してある。
【0042】
本発明に係る通気栓本体1の射出成形に使用する樹脂の種類は、その通気栓に要求される性能を満たす限り、射出成形が可能な材料であれば熱可塑性、熱硬化性を問わず、どのような樹脂でも使用できる。中でも、例えば、好適には、以下に記すような硬質の熱可塑性の合成樹脂が適している。ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン)樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PP(ポリプロピレン)樹脂、PE(ポリエチレン)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、POM(ポリアセタール)樹脂、PPO(ポリフェニレンオキサイド)樹脂などの加熱した時に溶融した液状となる熱可塑性樹脂が使用される。
【0043】
上記した通気シートKは、図3に示されるように、下型である成形型F1 を下方にスライドさせて型開き状態にしておいて、前記成形型F1 のキャビティ形成空間C’の底部に、前記通気シート本体2の側を上面(上型である成形型F2 と対向する面)にしてセットされる。よって、通気性補強シート3の面が通気シートKの下面となって、通気シート支持ピン16の環状押圧部30及びエジェクタスリーブ17と接するようにセットされるので、セット時に型面との接触等がなく、本来の通気部分である通気シート本体2の面が損傷する恐れが軽減して、作業性が良い。また、このようにセットすることによって、該通気シートKは、通気栓本体1に対して、その通気シート本体2の側が筒状通気栓の内部側に、即ち通気性補強シート3の側が同通気栓の外部側になるように接合され、通気シートKが接合される通気栓本体1の端面を形成する溶融樹脂が、圧力によって通気シート本体2の前記微細通気孔4の中に圧入される。よって、通気栓本体1及び通気シートKは、以下に述べる理由に従って、該溶融樹脂の投錨作用により、機械的に強固に一体接合(固着)されている。なお、溶融樹脂は液状なので、全体に亘って均一な圧力を作用させることができ、通気シートとの接合部全体に亘って均一な圧力で良好に微細通気孔4の中に入り込んでゆく。
【0044】
図12は、通気栓本体1の端面(接合部)に対する通気シートKの接合状態を示す模式図である。なお、図12において、矢印Q1,Q2 は、通気栓が容器に取付けられた状態での外側と内側をそれぞれ示す。また、通気シート本体2に形成されている微細通気孔4は、通気性補強シート3と区別するため、及び図示可能にするために、通気シートKの厚さ方向に沿ってのみ単純化して図示してあるが、実際には、その形状は方向性を持たずに、不規則方向に形成されている。通気シート本体2には、上記した大きさ(0.01μm〜20μm程度)の不規則形状の無数の微細通気孔4が形成されており、該通気シート本体2の外側にラミネートされた通気性補強シート3には、前記通気シ−ト本体2の微細通気孔4よりも大きく通気性を有する微小な通気間隙(以下「間隙」という)5が多数形成されている。よって、通気シート本体2及び通気性補強シート3は、厚さ方向で通気可能な構造となっていて、前記材料により形成されている。
【0045】
図12の模式図に示されるように、通気シート本体2の微細通気孔4には、その射出成形時において、通気栓本体1の端面を構成する樹脂が少なくとも部分的に、好ましくは通気シート本体2を超えて表面側にラミネートされた通気性補強シート3の間隙5内に喰い込んだり、或いは入り込んでいる(図12の破線6及び実線7参照)。この樹脂の喰い込みは、後述の射出成形法によって成形する際に、加熱溶融した液状の樹脂が成形品の成形型のキャビティ内に充填されて、1cm2 について数百から数万ニュートンの樹脂の射出圧力及び充填圧力が作用し、しかも全体に亘って均一な圧力が作用することにより、前記微細通気孔4内に強制的に圧入されたものである。通気栓本体1の端面と通気シートKとの環状の接合部分において、上記作用によって、そのほぼ全域の前記不規則方向の微細通気孔4内に樹脂が喰い込んだ状態で固化することによる投錨効果によって、通気栓本体1の端面に対して通気シートKがしっかりと接合(固着)される。
【0046】
また、通気シートKの通気栓本体1の前記端面に対応する部分においては、射出成形時において、通気シート本体2及びその外側にラミネートされた通気性補強シート3が、前記射出溶融樹脂の熱で加熱されて軟化し、しかも射出圧力及び充填圧力を受けることにより厚さ方向で圧縮されて、その厚さが元の厚さ(自然状態の厚さ)よりも幾分減少している。そして、その内部の前記微細通気孔4及び間隙5の大きさは、厚さ方向で圧縮されて、自然状態(前記射出圧力及び充填圧力を受けていない状態)よりも小さくなっている。このことは、前記端面に対応する部分の通気シート本体2及び通気性補強シート3は、他の部分に比較して、大気などのガスや大気中の水分がいずれの方向に通過する際にも大きな抵抗を受け、換言すれば、通気性は低下し、透過抵抗性が高まり、気体が透過しにくくなり、シール性が高まることを意味する。
【0047】
このようにして、前記接合部では、通気栓本体1の少なくとも通気シート本体2の微細通気孔4に樹脂が喰い込んで、通気栓本体1の端面に通気シートKがしっかりと固着されると共に、当該部分の透過抵抗性は、他の部分に比較して高まっている。従って、前記端面に対応する部分で、通気シート本体2の厚さ方向に沿った微細通気孔4の全部に樹脂が喰い込んでいない場合でも(樹脂が喰い込んでいない微細通気孔4が残っていること)、この部分において水滴などの通過を抑制し、接合部でのシール性が他の部分よりも向上する。また、通気シート本体2は、その前記端面に対応する部分よりも内周の環状部分においても、後述する射出成形の型締め時の型による圧縮でその厚さ方向に幾分圧縮されて密になっている。よって、間隙5と内部の微細通気孔4は自然状態よりも小さくなっていて、圧縮されない自然状態となっている中央部(通気栓本体1の中空部を閉塞している部分)に比較して透過抵抗性は高まり、その結果、シール性が向上している。
【0048】
また、前記通気シートKは、その通気性補強シート3の側が通気栓本体1の端面に接合されても構わない。この場合には、通気栓本体1の射出成形時において、前記射出圧力及び充填圧力によって、加熱溶融した液状の樹脂が通気性補強シート3の不規則方向を向く間隙5の中に不規則方向に圧入されて入り込んだ状態で固化又は硬化して、両者が強固に接合されている。更に通気シートとして、通気シート本体2のみを単独で使用することもできる。この場合には、予め設定された通りの通気性能を有する通気栓が得られる。また、上記いずれの例においても、その使用場所が水滴や油滴が付着し易い場合には、通気シート本体2及び/又は通気性補強シート3の表面に撥水、撥油皮膜を形成する処理を行っておけば、更に好ましい。
【0049】
図4は、キャビティ形成空間C’の底面に通気シートKをセットした後に、下型である成形型F1 を上方にスライドさせて型締めした状態の断面図であって、図6は、同様の状態の部分断面斜視図である。型締めにより、上型である成形型F2 の型合せ面19に突設された複数のコアE1 が、下型である成形型F1 の複数のキャビティ形成空間C’に各々挿入されて、前記コアE1 の先端(下端)の環状押圧部23によって、キャビティ形成空間C’の底面にセットした通気シートKが部分的に押圧される。そして、成形型F1 の各キャビティ形成空間C’の内周面と、成形型F2 の各前記コアE1 と、各通気シートKとで形成される円筒状の空間が各キャビティCとなる。即ち、前記キャビティ形成空間C’の底面の通気シート支持ピン16の環状押圧部30及びエジェクタスリーブ17の上端面は、通気シートKの中央部分を除いて、その通気性補強シート3の側と当接しており、該通気シートKの通気シート本体2の側は、その中央部分が、前記成形型F2 のコアE1 の先端に設けられた環状押圧部23の端面と当接している。また、該コアE1 の通気シートKと当接する先端側と基端側には、それぞれ前記小径部E1a及び大径部E1bが形成されているので、それらに対応して、前記キャビティCには、半径方向の幅寸法が異なる前記第1キャビティ部C1 と前記第2キャビティ部C2 とが形成されており、各々の半径方向の幅寸法は、それぞれ第1キャビティ部C1 が(d−D1 )、第2キャビティ部C2 が(d−D2 )となっている。成形品である通気栓本体1の厚肉部1a及び薄肉部1bの肉厚の寸法は、前記第1及び第2の各キャビティ部C1,C2 の半径方向の幅寸法にそれぞれ対応する。また、前記コアE1 の先端側の小径部E1aは、通気シートKの外形よりも小さくなっているので、上記した通気シートKの挟持状態において、前記小径部E1aの外側の通気シートKの外周部は、前記第1キャビティ部C1 内に環状となって露出している。この通気シートの露出部分Kaは、成形後においては、通気栓本体1の端面に一体に接合される部分である。
【0050】
また、上記のようにして、成形型F2 のコアE1 の先端面とキャビティ形成空間C’の底面で通気シートKを挟む場合に、該コアE1 及びキャビティ形成空間C’を形成する通気シート支持ピン16の先端面の全面で挟む構成にしてもよいが、上記構成のように、コアE1 及び通気シート支持ピン16の先端面に各凹部22,29を形成して、その周縁部に各環状押圧部23,30を形成すると、通気シートKの中央部を、圧縮されない部分にすることができる。即ち、通気シートKにおける前記各環状押圧部23,30よりも内側の円形の部分は、各成形型F1,F2 に対して非接触となって、圧縮されていないために、通気シートKの自然状態を維持することができる。この結果、通気可能な部分となる通気シートKが圧縮されることがなく、通気シートKが有している本来の通気機能が奏されると共に、通気シートKは、成形型F2 の環状押圧部23によって厚さ方向に幾分圧縮されて環状に挟まれるので、通気シートKと環状押圧部23とが隙間なく確実に接触する。よって、圧縮された部分で通気シートKと環状押圧部23との間のシール性が高まり、通気栓本体1の射出成形の時に溶融樹脂が環状押圧部23を超えて半径方向内側に漏れ出したりしない。従って、通気シートKにおける通気機能を果たす部分(成形品に対しては、その中空部を閉塞する部分)の有効面積が減ぜられなくなって、良好な通気性能を維持することにつながる。
【0051】
この通気シートKの圧縮量は、型締め時において、通気シートKを喰い千切る程の圧縮は避けるべきであり、好ましい圧縮量は、通気シートKの厚さ方向における空間の占める割合とほぼ比例させ、自然状態の厚さを100とした場合に、圧縮後の厚さが90〜10の範囲に収まる程度である。これにより、通気シートKは、圧縮部分において微細通気孔4及び/又は間隙5が潰されて、その大きさが小さくなるので、通気シートKの内部において空間部分の占める割合が小さくなる。よって、通気シートKは、局部的に密となるので、流体に対する透過抵抗性即ちシール性が高まっている。
【0052】
また、成形品の射出成形時に、使用する樹脂の種類によっては、各成形型F1,F2 の温度を高温(例えば、成形材料として、ポリフェニレンサルファイド樹脂を使用する場合には、成形型F1,F2 の温度を130℃以上の温度)に予熱した状態で、射出成形する必要がある。この場合には、成形型F1 にセットした通気シートKの通気シート本体2は、成形型F1 からの伝導熱、輻射熱などで加熱されて、熱変形、或いは熱による性能劣化を起こす恐れがある。しかし、予熱により成形型F1 が高温に加熱されていても、通気シートKの外側の面には、通気性補強シート3がラミネートされていて、しかもその中央部分は、通気シート支持ピン16と直接に当接しないで、高温の成形型(キャビティ型)F1 との接触面積を極力小さくしてセットされている。よって、通気性補強シート3が断熱材として機能し、通気シートKの通気シート本体2に過度の熱が伝わるのを防止して、その熱変形、熱劣化を防ぎ、その通気性能を低下させない。
【0053】
他方の成形型F2 においては、通気シート本体2の中央部と接触するコアE1 の先端面には、前記凹部22が形成されており、通気シートKと成形型F2 との非接触部分が形成されている。これらの構成によって、通気シートKの両面の中央部とは、各成形型F1,F2 と非接触となるので、前記熱変形、或いは熱劣化が生ずる危険性を更に減少させることができる。
【0054】
更に、図5に示されるように、両型F1,F2 で通気シートKを挟む部分においては、通気シートKが、その厚さ方向に沿って幾分圧縮される構成にすることが好ましい。即ち、通気シートKの自然状態(圧縮変形されていない状態)の厚さをTとすると、キャビティ形成空間C’の深さGと、成形型(コア型)F2 のコアE1 の突出長Jとの関係を、〔G>J>(G−T)〕となるように設定する。こうすることによって、成形型F2 の環状押圧部23と、通気シート支持ピン16の環状押圧部30及びエジェクタスリーブ17の端面との間に挟まれた前記通気シートKを、その厚さ方向に沿って幾分圧縮することができる。
【0055】
図7は、一対の成形型F1,F2 の型締めにより形成されたキャビティCに溶融樹脂Rが射出され始めた初期の断面図であり、図8は、同じく溶融樹脂Rの射出充填中における断面図であり、図9は、射出充填を完了した状態の断面図である。図7に示されるように、溶融樹脂Rは、第1キャビティ部C1 と連通する射出ゲート25から射出され、コアE1 の小径部E1aの外周を両側から回り込んで、その反対側の第1キャビティ部C1 の底面に向けて流動するように射出される。よって、通気シートKは、第1キャビティ部C1 の底面に向けて押しつけられ、射出されて流動する溶融樹脂Rによって、自身が型の中でめくれあがったりすることが防止される。そして、射出ゲート25と反対側の第1キャビティ部C1 の底面近傍、即ち通気シートKとの接合予定面(通気栓本体1の端面)の一部分において、従来構成で述べたのと同様に、良質でない溶融樹脂Rwを含む前記ウェルド部が生じる。
【0056】
そして、図8に示されるとおり、前記射出ゲート25からは、適正な温度に保たれ、又不純物を含まないか、不純物の少ない良質の溶融樹脂Rが引き続き射出される。射出ゲート25が第1キャビティ部C1 の底面に向けた射出方向であることや、また、幅広の第1キャビティ部C1 の方が、幅の狭い第2キャビティ部C2 よりも流動抵抗が小さい等の理由によって、後続の溶融樹脂Rは、第2キャビティ部C2 よりも先に、まず第1キャビティ部C1 が溶融樹脂でほぼ充満されるまで、その中に先行して供給され続ける。このようにして、第1キャビティ部C1 の側が後続の溶融樹脂Rで満たされる間は、該溶融樹脂Rは、第1キャビティ部C1 内において、射出開始直後の溶融樹脂の流動方向とほぼ同一の流れを生じる。即ち、射出中は、射出ゲート25と反対側の第1キャビティ部C1 の底面に向かって溶融樹脂Rが流動する。この結果、新しい溶融樹脂Rは、射出ゲート25と反対側の通気シートKの通気シート本体2の一部分において、直前に射出された良質ではない溶融樹脂で生じたウェルド部を完全に取り去ることはないものの、ウェルド部近傍の不純物、気泡などを含む良質でない溶融樹脂Rwを第2キャビティ部C2 の側に押しやるように移動させる。また、射出される新しい溶融樹脂Rの熱及び押し圧力と相俟って、射出開始直後に生じたウェルド部の前記「ウェルド隙間」は、徐々に小さくなって、実質的に隙間のないウェルド部となる。
【0057】
ところで、第1キャビティ部C1 の底面の通気シート支持ピン16及びエジェクタスリーブ17と、成形型F1 とは、その嵌合部において、気体の通過は許容するが、溶融樹脂の通過は阻止し得るような僅かな隙間を有して嵌合されている。よって、射出成形時においてキャビティ内の型面との間に残留する空気や、発生する圧縮ガスの一部分は、前記隙間からキャビティ外に排出されて、成形品である通気栓本体にガス焼けが発生するのが防止されている。このような微小な隙間は、通気栓本体を形成する樹脂の種類、特に成形時の樹脂の粘度に関連して決定されるが、使用する樹脂が汎用樹脂やエンジニアリング樹脂の場合には、1/100〜3/100mmの隙間を保つようにしておくと、この隙間を通って空気やガスは排出されるが、射出樹脂が流入することはなく、バリを発生させることがないので好都合である。
【0058】
このようにして、ウェルド部に生じる溶融樹脂に巻き込まれた気泡や不純物を含む良質でない溶融樹脂Rwは、通気シートKから離れた位置(第2キャビティ部C2 の方向)に順次押しやられて、図9に示されるとおり、通気シート本体2との接合部分は、後続して射出された良質の樹脂に置換される。この結果、溶融樹脂の充填中及び充填を終了した後の保圧工程において、流動性を有する前記良質の樹脂が、通気シートKの前記露出部分Kaの微細通気孔4及び/又は間隙5に不規則方向にほぼ均一に入り込んで固化し、実質的に隙間なく接合することになる。特に、溶融状態で粘度の低い樹脂を使用すると、流動性が高いために、前記微細通気孔4を超えて、通気性補強シート3の間隙5にまで樹脂を入り込ませることが容易となって、前記接合(固着)がより確実となる。
【0059】
図10は、射出成形が終了して、成形品である通気栓Sを成形型F1 から取り出している状態の断面図である。まず、下型である成形型F1 を下方にスライドして、コアピンE2 のコア機能を果たす部分の外周面に接触していた成形品である通気栓本体1の内周面の部分を離型するのと同時に、或いはその後に、エジェクタスリーブ17を突出させると、通気シートKの中央部分は押圧されないで、成形品(通気栓本体1)が、キャビティ形成空間C’の内周面及び通気シート支持ピン16の端面に対して分離されて、取り出される。成形型(上型)F2 のコアE1 の下方には、アンダーカット部が存在しないので、型開きは、容易に行える。また、同時に、サブマリン構造のゲート25を形成しているアンダーカット部28の存在によって、前記ゲート25等に成形された不要成形部41と、成形品である通気栓本体1とが型開きと同時に破断分離される。よって、後工程で、両者を分離させる必要はない。また、通気栓本体1と前記不要成形部41との接合部は、(第1キャビティ部C1 に対応する)通気栓本体1の厚肉部1aの方に形成されるので、その切断痕による強度的な悪影響は、薄肉部1bと比較すると少ない。また、上記の脱型時に通気シートKの中央部分は、直接に押圧されることがないので、損傷を受けることが防止される。
【0060】
このようにして、各成形型F1,F2 から取り出された通気栓Sは、図13に示されるように、コネクターケース43の通気栓挿入孔42に嵌め込んで使用される。本発明の方法により製造された通気栓Sは、通気栓本体1の射出成形において、該通気栓本体1に通気シートKが接合されて、しかも通気栓本体1における通気シートKが一体接合される側の肉厚は、他の側よりも厚肉となっていて、総接合面積が大きくなるので、通気栓本体1における通気シートKの接合力が大きくなって、その分だけシール性が向上している。更に、コネクターケース43の通気栓挿入孔42に通気栓Sを差し込んで取付ける場合においても、通気栓本体1における通気シートKが一体的に接合された側が太くて変形しにくくなる結果、通気栓Sの差し込み(取付け)が容易となる。また、通気シートKは、強度が大きい厚肉部1aに接合されるので、通気栓Sを容器に取付ける際に、通気栓本体1と通気シートKとが径方向に変形するのを防止できる。
【0061】
そして、例えば、コネクターケース43の内部の機器の作動によって発熱し、内部空気が膨張すると、内部圧力が大気圧よりも高くなるが、膨張した分の空気は、通気栓Sの通気シートKを通って外部(矢印Q1 方向)に排出されて、ケース43の内部圧と外部の大気圧とが等圧となる。このようにして、コネクターケース43の内部圧力の上昇が防止されて、これと通気栓Sとのシール部分などが圧力上昇によって破損されることがなくなる。
【0062】
逆に、機器の作動が停止すると、これからの発熱がなくなり、内部空気は、その温度低下につれて収縮して、コネクターケース43の内部の圧力が低下し始める。すると、外部空気が、通気シートKを通って内部(矢印Q2 方向)に入ってくるため、ケース43の内部圧と外部の大気圧とが等圧となる。また、この際に通気シートKに水滴などが付着しても、ケース43の内部に浸入することはない。これにより、その内部に水滴が浸入せず、収容された機器を腐食させたりすることがなくなって、機器の誤作動や故障が防止される。
【0063】
引き続いて、本発明の第2実施形態の通気栓の製造装置について説明する。なお、第2実施形態の製造装置においては、前述の第1実施形態のそれとは逆に、下型であって、可動型となる成形型F11にコアピンE2 が設けられていると共に、上型で固定型である成形型F12にキャビティ形成空間C’が設けられ構成である点が大きく異なっていて、他の構成は、第1実施形態の製造装置と同一又は同等である。従って、第1実施形態の製造装置と同一又は同等部分には、重複説明を避けるため、同一符号を付して、図示のみ行い、第2実施形態の特有の部分についてのみ詳細に説明する。
【0064】
図14は、本発明の第2実施形態の通気栓の製造装置を構成する一対の成形型F11, F12が開いた状態におけるキャビティ形成空間C’、及びこれに対応する円柱状のコアピンE2 部分の拡大断面図であり、図15は、同じく型締めした状態の断面図である。下型であって、可動型である成形型F11に、第1実施形態と同様に設けられた複数のスリーブ挿通孔18には、これと同心となってエジェクタスリーブ17が、成形型F11, F12の開閉方向(上下方向)にスライド可能となってそれぞれ挿入され、前記各エジェクタスリーブ17内にコアピンE2 が同方向にスライド可能にそれぞれ挿入されている。
【0065】
一方、上型であって、固定型である成形型F12には、直下の成形型F11に設けられた各コアピンE2 と同心となってキャビティ形成空間C’がそれぞれ形成されている。このキャビティ形成空間C’の深さG1 は、成形品である通気栓Sの高さHよりも後述するセット用凹部34の深さG2 だけ浅くなっている。また、成形型F12には、その延長線が前記キャビティ形成空間C’の上面と交差するような傾斜角度θを有して、サブマリン構造のゲート25が形成されている。キャビティ形成空間C’の上面は、成形型F12の型合せ面31と反対の側から嵌合された底面形成部材32の端面によって形成されている。また、成形型F12と底面形成部材32との間には、第1実施形態と同様に気体の通過は許容するが、溶融樹脂の通過は阻止し得る程度の隙間が形成され、射出成形時に発生する圧縮ガスは、前記隙間を通して外部に排出される構成にしてある。
【0066】
また、コアピンE2 の上端部のコア機能を果たす部分(正確には、上端面から起算して、成形型F12に設けられたキャビティ形成空間C’の深さG1 に、セット用凹部34の深さG2 を加えた長さGとほぼ同一長さの部分)は、第1実施形態のコアE1 を上下反転させた形状になっていて、先端部(上端部)の小径部E2aに接続して大径部E2bが設けられ、先端部(上端部)には、環状押圧部23が形成されている。エジェクタスリーブ17は、後述する図20の不要成形部41を突き出すための突出ピン26と一体となって上下方向にスライドするが、コアピンE2 は、エジェクタスリーブ17とは独立して別の流体圧シリンダ(図示せず)により上下方向にスライドする構成となっている。また、コアピンE2 及びエジェクタスリーブ17は、その下降端においては、それらの上端面が同一面を形成し、しかも成形型F11の型合せ面33から数mm程度の僅かな深さG2 だけ下がって位置するようになっている。これにより、コアピンE2 及びエジェクタスリーブ17は、その下降端において、円形をした通気シートKをセットするためのセット用凹部34(図14参照) が形成され、通気シートKのセット作業を容易に、かつ正確に行えるようにしている。
【0067】
図14は、一対の成形型F11, F12が開いた状態で、コアピンE2 及びエジェクタスリーブ17の双方が下降端に位置して、成形型F11の型合せ面33にセット用凹部34が形成された状態を示している。通気シートKをセットするためのセット用凹部34の深さは、成形型F11の型合せ面33を基準にして数mm程度であるので、手で軽く保持した、或いはロボットのハンドで吸着した通気シートKを前記セット用凹部34に挿入すると、該通気シートKは、同一面を形成しているコアピンE2 及びエジェクタスリーブ17の各上端面に位置決めされた状態でセットされる。
【0068】
通気シートKのセット後において、下型である成形型F11を上方にスライドさせて、その型合せ面33を、上型である成形型F12の型合せ面31に密着させて、一対の成形型F11, F12を型合せさせると共に、これと同時に、或いは前記型合せの後に、成形型F12のコアピンE2 を上方に設定長(キャビティ形成空間C’の深さG1 にセット用凹部34の深さG2 を加えた長さGとほぼ同一長)だけスライドさせると、前記コアピンE2 の上端面(先端面)により通気シートKを保持したままで、該コアピンE2 の上端部のコア機能を果たす部分が、成形型F12のキャビティ形成空間C’に挿入される。これにより、コアピンE2 の上端面に保持されていた通気シートKは、その環状押圧部によって成形型F12のキャビティ形成空間C’の上面に押圧固定される。
【0069】
また、キャビティ形成空間C’内にコアピンE2 の上端部のコア機能を果たす部分が挿入されることにより、キャビティCが形成される。このキャビティCは、通気栓本体1の通気シートKが一体接合される端面の側を成形する第1キャビティ部C1 と、他方の側を成形する第2キャビティ部C2 とに軸方向に沿って二分されていることは、第1実施形態の製造装置と同一である。また、上型である成形型F12にサブマリン構造となって形成されているゲート25は、第1キャビティ部C1 に接続されている。なお、第2実施形態では、キャビティCの下面は、エジェクタスリーブ17の上端面により形成され、この点は、第1実施形態と異なる。
【0070】
図16、図17,図18は、第1実施形態における図7、図8、図9に対応する図であって、順に、溶融樹脂が充填される工程を示している。ゲート25から第1キャビティ部C1 の頂部に向けて射出された溶融樹脂Rは、その射出直後において、第1実施形態の場合と同様にウェルド部が形成される。しかしながら、後続の溶融樹脂Rに押しやられ、また重力作用とも相俟って、ウェルド部の良質でない溶融樹脂Rwは、第1実施形態の場合と同様に半径方向の幅寸法が小さな第2キャビティ部C2 に流動する。よって、第1キャビティ部C1 の通気シートKが接合、固着されるべき部分には、後続の良質の溶融樹脂Rのみが充填され、第1実施形態の場合と同様に、十分な接合(固着)強度が得られる。
【0071】
射出成形後においては、図19に示されるように、可動型である成形型F11を下方にスライドさせると、サブマリン構造のゲート25を形成しているアンダーカット部28の存在によって、前記ゲート25に成形された不要成形部41と、成形品である通気栓本体1とが破断分離されると共に、キャビティC内から成形品である通気栓本体1が取り出される。ここで、成形品である通気栓本体1の外周面は、キャビティ形成空間C’及びセット用凹部34の各内周面に接触していると共に、その内周面は、コアピンE2 のコア機能を果たす部分の外周面に接触している。そして、通気栓本体1の外周面は、成形型F11に設けられたセット用凹部34の内周面よりも、成形型(固定型)F12に設けられたキャビティ形成空間C’の内周面により多く接触しており、成形型F12側に残る可能性があるが、コアピンE2 のコア機能を果たす部分の外周面に粗面加工を施したり、アンダーカット形状を形成したりして、成形品の内周面との抵抗(接触抵抗)を大きくすることによって、可動型である成形型F11のコアピンE2 と一体となった状態で、固定型である成形型F12のキャビティ形成空間C’から支障なく取り出すことができる。
【0072】
その後に、図20に示されるように、コアピンE2 を下降端まで下降させると同時に、或いはその後に、エジェクタスリーブ17と突出ピン26とを突出させると、コアピンE2 のコア機能を果たす部分の外周面に接合されていた成形品(通気栓本体1)は、前記コアピンE2 の外周面に対して分離されて、成形品(通気栓本体1)が取り出される。この時、エジェクタスリーブ17は、通気栓Sの通気シートKが接合されていない側の端面に当接して該通気栓を突き上げるので、第1実施形態の場合と異なって通気シートKとは一切接触しておらず、該通気シートKの通気部分を損傷する恐れがない。
【0073】
引き続いて、本発明の第3実施形態の通気栓の製造方法について説明する。なお、第3実施形態の製造方法は、図21の(イ)に示されるように、通気栓本体1の成形後に、その厚肉部1aの側の端面に別工程で通気シートKを一体接合する点が大きく異なっていて、製造装置の構成は、第1及び第2の各実施形態の製造装置とほぼ同等である。よって、成形型に通気シートKをセットする工程を省いて、溶融樹脂をキャビティ内に充填することによって、前述したのと同様に、成形型の型面が正確に転写され、厚肉部1aの端面の樹脂の性状が良質で、ウェルド部に凹みのない通気栓本体1が射出成形さる。
【0074】
前記通気栓本体1のみが射出成形された後に、通気シートKを接合する方法としては、例えば超音波溶着する方法がある。図21の(ロ)は、両者を超音波溶着して一体接合する工程を示した部分断面図である。通気栓本体1は、通気シートが接合されるべき厚肉部1aの端面を除いたほぼ全周面が、受け台45の嵌込み孔に保持された状態で支持され、前記厚肉部1aの端面の上に通気シートKがセットされる。そして、超音波振動可能なホーン46の先端の環状押圧部46aを、通気シートKを介して、前記端面の上から押え付けて、両者の接合予定面に対して更に加圧力Pを加えながら、該ホーン46を超音波振動させる。このように振動加圧力Pを加えることによって、通気栓本体1の端面が、振動による摩擦で、加熱、軟化して、該通気栓本体1の端面を形成する樹脂材料が、通気シートKの微細通気孔4又は/及び間隙5内に入り込む。
【0075】
ここで、通気栓本体1の厚肉部1aの端面は、成形型の型面が正確に転写された局部的に凹部のない平滑な面なので、接合部全体(全周)に亘って通気シートKとの間に隙間のない均一で、しかも安定した接合が得られる。また、該厚肉部1aの端面を形成する樹脂材料は、前記「ウェルド隙間(微小隙間)」等を含まない良質な性状の樹脂であるので、通気シートKの微細通気孔4又は/及び間隙5の内部に容易に入り込んで、投錨効果により強固に固着される。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、温度が低かったり、或いは気泡を含んだりしている良質でない射出初期の溶融樹脂は、通気栓本体における通気シートが接合される側の端面部とは反対の側の端面部を形成し、通気シートが接合される側の端面部は、良質でない溶融樹脂の後から連続して射出される良質の後続溶融樹脂により形成されるので、ウェルド部に凹部が発生せず通気シートが接合される側の端面部の成形精度が高められる。この結果、接合部において通気栓本体と通気シートとの接合性を高めることができ、両者間の接合強度の良好な通気栓を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の通気栓の製造装置を構成する一対の成形型F1,F2 が開いた状態の斜視図である。
【図2】同じく、一対の成形型F1,F2 が閉じた状態の部分破断正面図である。
【図3】一対の成形型F1,F2 が開いた状態におけるキャビティ形成空間C’、及びこれに対応する円柱状のコアE1 の部分の拡大断面図である。
【図4】キャビティ形成空間C’の底面に通気シートKをセットした後に、下型である成形型F1 を上方にスライドさせて型締めした状態の断面図である。
【図5】図4における、通気シートKが挟まれている部分の拡大図である。
【図6】図4と同様の状態の部分断面斜視図である。
【図7】一対の成形型F1,F2 の型締めにより形成されたキャビティCに溶融樹脂Rが射出され始めた初期の断面図ある。
【図8】同じく、溶融樹脂Rの射出充填中における断面図である。
【図9】同じく、溶融樹脂Rの射出充填を完了した状態の断面図である。
【図10】射出成形が終了して、成形品である通気栓Sを成形型F1 から取り出している状態の断面図である。
【図11】(イ)は、通気栓Sの部分断面斜視図であって、(ロ)は、同じく、縦断面図である。
【図12】通気栓本体1の端面(接合部)に対する通気シートKの接合状態を示す模式図である。
【図13】通気栓Sの使用状態を示す部分断面図である。
【図14】第2実施形態の通気栓の製造装置を構成する一対の成形型F11, F12が開いた状態におけるキャビティ形成空間C’、及びこれに対応する円柱状のコアピンE2 の部分の拡大断面図である。
【図15】同じく、セット用凹部34の底面に通気シートKをセットした後に、下型である成形型F11を上方にスライドさせて型締めした状態の断面図である。
【図16】一対の成形型F11, F12の型締めにより形成されたキャビティCに溶融樹脂Rが射出された初期の断面図である。
【図17】同じく、溶融樹脂Rの射出充填中における断面図である。
【図18】同じく、射出充填を完了した状態の断面図である。
【図19】射出成形が終了した後に、成形型F11を下方にスライドして、一対の成形型F11, F12を開いた状態の断面図である。
【図20】一対の成形型F11, F12を開いた後に、成形品である通気栓Sを成形型F11から取り出している状態の断面図である。
【図21】(イ)は、第3実施形態の製造方法に係る通気シートK及び通気栓本体1の斜視図であって、(ロ)は、両者を超音波溶着して一体接合する工程を示した部分断面図である。
【図22】(イ)は、従来の射出成形法により一対の成形型F1', F2'を閉じて形成されたキャビティC''に溶融樹脂が射出された状態の断面図であり、同(ロ)は、射出成形が終了して、成形品である通気栓本体1' を一方の成形型F1'から取り出している状態の断面図である。
【図23】従来の射出成形法により得られた通気栓S' の斜視図である。
【符号の説明】
C:キャビティ
1 :第1キャビティ部
2 :第2キャビティ部
C' :キャビティ形成空間
1 :コア
2 :コアピン
1a, E2a:小径部
1b, E2b:大径部
1,F11:成形型(可動型である下型)
2,F12:成形型(固定型である上型)
K:通気シート
R:溶融樹脂
S:通気栓
1:通気栓本体
2:通気シート本体
3:通気性補強シート
4:微細通気孔
5:(通気)間隙
16:通気シート支持ピン
17:エジェクタスリーブ
25:射出ゲート
32:底面形成部材
34:セット用凹部

Claims (11)

  1. 略筒状の通気栓本体の一端面に、別体の通気シートが接合された通気栓の前記通気栓本体を射出成形により製造する方法であって、
    開閉可能な一対の成形型には、成形型を閉じた状態で、その内部に前記通気栓本体の形状に対応するキャビティが形成され、
    前記キャビティは、後工程で前記通気シートが一体接合される側の部分を成形する第1キャビティ部と、他方の側の部分を成形する第2キャビティ部とが軸方向に沿って連続して形成され、
    前記第1キャビティ部の半径方向の寸法は、第2キャビティ部の同方向の寸法よりも大きくなっていて、
    前記成形型の射出ゲートから第1キャビティ部に溶融樹脂を射出して、前記第1キャビティ部に最初に射出された溶融樹脂を、連続して射出される後続の溶融樹脂により第2キャビティ部の側に押しやって、移動させることにより、最初に第1キャビティ部に溶融樹脂を充填し、その後に、第2キャビティ部に溶融樹脂を充填することを特徴とする通気栓の製造方法。
  2. 略筒状の通気栓本体の一端面に、後工程において別体の通気シートが接合された通気栓を射出成形により製造する方法であって、
    開閉可能な一対の成形型には、成形型を閉じた状態で、その内部に前記通気栓本体の形状に対応するキャビティが形成され、
    前記キャビティは、前記通気シートが一体接合される側の部分を成形する第1キャビティ部と、他方の側の部分を成形する第2キャビティ部とが軸方向に沿って連続して形成され、
    前記第1キャビティ部の半径方向の寸法は、第2キャビティ部の同方向の寸法よりも大きくなっていて、
    前記成形型の射出ゲートから第1キャビティ部に溶融樹脂を射出して、前記第1キャビティ部に最初に射出された溶融樹脂を、連続して射出される後続の溶融樹脂により第2キャビティ部の側に押しやって、移動させることにより、最初に第1キャビティ部に溶融樹脂を充填し、その後に、第2キャビティ部に溶融樹脂を充填して前記通気栓本体を成形し、
    その後に、前記成形型から取り出された前記通気栓本体における第1キャビティ部に対応する側の本体の端面に前記通気シートを接合することを特徴とする通気栓の製造方法。
  3. 略筒状の通気栓本体の一端面に、別体の通気シートが接合された通気栓を射出成形により製造する方法であって、
    開閉可能な一対の成形型には、成形型を閉じた状態で、その内部に前記通気栓本体の形状に対応するキャビティが形成され、
    前記キャビティは、前記通気シートが一体接合される側の部分を成形する第1キャビティ部と、他方の側の部分を成形する第2キャビティ部とが軸方向に沿って連続して形成され、
    前記第1キャビティ部の半径方向の寸法は、第2キャビティ部の同方向の寸法よりも大きくなっていて、
    前記一対の成形型が開いた状態において、該成形型における前記第1キャビティ部を形成する平面部に前記通気シートをセットし、成形型を閉じて通気シートを挟んで固定し、
    前記成形型の射出ゲートから第1キャビティ部に溶融樹脂を射出して、前記第1キャビティ部に最初に射出された溶融樹脂を、連続して射出される後続の溶融樹脂により第2キャビティ部の側に押しやって、移動させることにより、最初に第1キャビティ部に溶融樹脂を充填し、その後に、第2キャビティ部に溶融樹脂を充填して前記通気栓本体を成形すると同時に、該通気栓本体における第1キャビティ部に対応する側の本体の端面に前記通気シートを一体接合することを特徴とする通気栓の製造方法。
  4. 前記キャビティへの溶融樹脂の射出方向は、第1キャビティ部における通気栓本体の端面成形面と交差する方向であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の通気栓の製造方法。
  5. 通気シートは、内部にガス及び大気中の水分は透過させるが水滴の透過を阻止する無数の微細通気孔が不規則方向に形成された通気シート本体と、内部に前記微細通気孔よりも大きい無数の通気間隙を不規則方向に有して前記通気シート本体よりも通気性の高い通気性補強シートとの積層品であって、
    第1キャビティ部により成形される通気栓本体の厚肉の側の端面に、前記通気シート本体の側か通気性補強シートの側かいずれかを一体接合することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の通気栓の製造方法。
  6. 略筒状の通気栓本体の一端面に、別体の通気シートが接合された通気栓の前記通気栓本体を射出成形型を用いて製造するための一対の成形型から成る通気栓の製造装置であって、
    一方の成形型には、型面に対して凹んだキャビティ形成空間が形成されていると共に、他方の成形型には、前記キャビティ形成空間に対応する位置から型面に対して突出する円柱状のコアが形成され、
    一対の成形型を閉じた状態で、一方の成形型のキャビティ形成空間の底面に、他方の成形型のコアの先端面が直接に、又は通気シートを挟んで接触して、両者の間に、前記通気栓本体の形状に対応するキャビティが形成され、
    前記キャビティは、射出成形と同時に、又は後工程で通気シートが一体接合される側の部分を成形する第1キャビティ部と、他方の側の部分を成形する第2キャビティ部とが軸方向に沿って連続して形成されて、前記第1キャビティ部の半径方向の寸法は、第2キャビティ部の同方向の寸法よりも大きくなっていて、
    前記キャビティ内に溶融樹脂を射出するゲートは、前記第1キャビティ部に連通していることを特徴とする通気栓の製造装置。
  7. 成形型内部に設けられたランナの終端部において前記キャビティに接続されるゲートは、前記第1キャビティ部の底面と交差する方向に設けられたサブマリン構造であることを特徴とする請求項6に記載の通気栓の製造装置。
  8. 前記他方の成形型に形成された円柱状のコアは、その突出方向で二分した場合において、その基端側の外径が先端側のそれよりも大きくなっていると共に、前記一方の成形型に形成された凹部の内径は軸方向の全長で同一であって、
    一対の成形型を閉じた際に、前記コアの先端側及び基端側に、それぞれ大きさが異なる第1及び第2のキャビティ部が形成されることを特徴とする請求項6又は7に記載の通気栓の製造装置。
  9. 一対の成形型は上型と下型とからなり、前記コアは、可動型である下型の成形型に設けられて、前記上型の成形型に設けられたキャビティ形成空間に対して前進・後退可能になっていることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の通気栓の製造装置。
  10. 前記コアは、自身を取付けている成形型に対して、その開閉方向に沿ってスライド可能であって、後退時には、その型合せ面より後退して、通気シートのセットを容易にするためのセット用凹部が形成される構成であることを特徴とする請求項9に記載の通気栓の製造装置。
  11. 一方の成形型に設けられたキャビティ形成空間の底面は、別部材が嵌合されて形成され、前記成形型と前記別部材とは、その嵌合部において、気体の通過は許容するが、溶融樹脂の通過は阻止し得るような僅かな隙間を有して嵌合されていることを特徴とする請求項6ないし10のいずれかに記載の通気栓の製造装置。
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