JPH07124984A - 射出成形品の製造方法及びそれに用いるノズル - Google Patents

射出成形品の製造方法及びそれに用いるノズル

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JPH07124984A
JPH07124984A JP27943993A JP27943993A JPH07124984A JP H07124984 A JPH07124984 A JP H07124984A JP 27943993 A JP27943993 A JP 27943993A JP 27943993 A JP27943993 A JP 27943993A JP H07124984 A JPH07124984 A JP H07124984A
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JP
Japan
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pressurized fluid
molten resin
fluid injection
tubular body
injection
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Application number
JP27943993A
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English (en)
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Kohei Harada
康平 原田
Kazuyoshi Yamamoto
一喜 山本
Hitoshi Kawachi
斉 河内
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/1703Introducing an auxiliary fluid into the mould
    • B29C45/1734Nozzles therefor

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】加圧流体を漏洩させることなく、キャビティ内
に射出された溶融樹脂中に注入して、外表面にヒケ、ソ
リ及びフローマーク等を発生させることがなく、外観に
優れた中空部を有する射出成形品を製造する方法及びそ
れに用いるノズルを提供する。 【構成】固定型11と可動型12との間にキャビティ1
3が設けられた金型を用いる。可動型12に加圧流体注
入ゲート121と、それに連通する加圧流体注入ノズル
3を設ける。金型のキャビティ13内に溶融樹脂を射出
する。次いで又は同時に加圧流体注入部の少なくとも周
囲の溶融樹脂を押圧する。少なくとも周囲が押圧状態の
溶融樹脂の部分に加圧流体注入ノズル3から加圧流体を
注入して中空部を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加圧流体を漏洩させる
ことなく、キャビティ内に射出された溶融樹脂中に注入
して、外表面にヒケ、ソリ及びフローマーク等を発生さ
せることがなく、外観に優れた中空部を有する射出成形
品を製造する方法及びそれに用いるノズルに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、外表面にヒケ、ソリ及びフローマ
ーク等の発生を防止する射出成形品の製造方法として、
例えば、特公昭48─41264号公報に記載の如く、
熱可塑性樹脂で肉厚成形品を射出成形するに際し、金型
内に射出された未だ固化前の樹脂内に大なる圧力のガス
体を圧入する、いわゆるガス注入射出成形法が知られて
いる。
【0003】しかし、この方法による場合は、加圧流体
注入ノズルの先端部と溶融樹脂との間や、金型キャビテ
ィ面と溶融樹脂との間から加圧流体の漏洩が生じ易いと
いう問題点がある。
【0004】そして、加圧流体の漏洩を改善する方法と
しては、例えば、特開平4─41212号公報に記載の
如く、ガスインジェクションノズルのガス排出穴の下方
の周囲に環状間隙を設け、その環状間隙に合成樹脂の一
部を流れ込ませてガス密封部を形成させる方法、特開平
4─232709号公報に記載の如く、ガス注入針の差
し込み方向の溶融樹脂の収縮中心付近にガス注入針を差
し込んでガスを注入する方法、特開平5─4258号公
報に記載の如く、ガス注入部の周囲に反キャビティ側に
凹部となり且つキャビティに連通する溝部を設け、この
溝部のキャビティ側を広くし、キャビティに充填した溶
融樹脂をガス注入部周囲の溝部に入り込ませ、ガス注入
部周辺の隙間からガスが漏洩するのを遮断する方法等が
提案されている。
【0005】しかし、上記の従来の方法では、加圧流体
の漏洩の問題は依然として解消しない。例えば、加圧流
体の溶融樹脂中の流動長を延ばそうとして加圧流体の注
入圧力を高圧にする場合においては顕著に現れる。この
加圧流体の漏洩量は、同じ圧力で成形した場合でも必ず
しも再現性のあるものではないが、漏洩量の分散値が注
入加圧流体の圧力にほぼ比例するような確率で加圧流体
の漏洩が生じている。
【0006】一般的に、いわゆるガス注入射出成形法
は、通常の射出成形法と比較すると、キャビティ内に充
填する樹脂充填量は少なめであり、樹脂保圧を行わな
い。従って、充填樹脂圧力は多くの場合低くなる。従っ
て、加圧流体注入前のキャビティ内の溶融樹脂は低密度
となっており、加圧流体注入部付近の形状形成が不良と
なる場合さえ発生している。
【0007】加圧流体注入部付近の形状形成が不良にな
るには到らない場合であっても、溶融樹脂と加圧流体注
入ノズルとの間及び溶融樹脂と金型キャビティ面との界
面の密着は不十分となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】加圧流体注入部付近の
形状形成が不良あるいは溶融樹脂と加圧流体注入ノズル
との間及び溶融樹脂と金型キャビティ面との界面の密着
が不十分だと、キャビティ内の溶融樹脂中への加圧流体
注入初期においても、その部分に加圧流体が流れ込み、
瞬時に界面の剥離を進行させる。
【0009】又、剥離部の周囲の溶融樹脂は漏洩する加
圧流体によって熱を奪われ、冷却固化が促進され、加圧
流体漏洩経路として確定される。更に、溶融樹脂の冷
却、固化、収縮の進行に伴い界面剥離は加圧流体注入部
全体に拡大する。以上の状況下では、上記の従来の方法
では、加圧流体漏洩防止効果は十分でなく、外表面にヒ
ケ、ソリ及びフローマーク等を発生させる原因となり、
外観に優れた中空成形品を得ることができないという問
題点がある。
【0010】又、金型キャビティに満たない溶融樹脂を
射出した後に、その溶融樹脂中に加圧流体を注入するい
わゆるショートショト法の場合においても、溶融樹脂で
金型キャビティを満たし、その溶融樹脂中に加圧流体を
圧入するいわゆるフルショットの場合においても、又、
製品の中空率(製品の中空部容積/製品全体の容積)を
増すべく溶融樹脂を少なめに低圧でキャビティ内に射出
するような場合であって、加圧流体注入ノズルを溶融樹
脂の流動末端部に設けた場合や、加圧流体注入ノズルを
製品となる樹脂体から離れた樹脂溜まり部に設けた場合
等には、上記の加圧流体の漏洩による弊害が顕著とな
る。
【0011】本発明は、上記の如き従来の問題点を解消
し、成形中に圧力流体を漏洩させることなく溶融樹脂中
に注入して、外表面にヒケ、ソリ及びフローマーク等を
発生させることがなく、外観に優れた中空部を有する射
出成形品を製造する方法及びそれに用いるノズルを提供
することを目的としてされたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、固定型と可動
型との間にキャビティが設けられ、固定型又は可動型に
は加圧流体注入ゲートが設けられ、その加圧流体注入ゲ
ートに連通して加圧流体注入ノズルが設けられた金型の
キャビティ内に溶融樹脂を射出する工程、次いで又は同
時に少なくとも加圧流体注入ゲートの周囲の溶融樹脂を
押圧した後、加圧流体注入ノズルから少なくとも周囲が
押圧状態の溶融樹脂の部分より加圧流体を注入して中空
部を形成する工程からなる射出成形品の製造方法であ
る。
【0013】本発明において、加圧流体として用いられ
る流体は、一般的には、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性
ガスが好ましいが、水、アルコール、油等の液体でも構
わない。
【0014】本発明において樹脂としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリカーボネート、
ポリスチレン、ポリエチレン系アイオノマー、エチレン
系アイオノマー、エチレン─酢酸ビニル共重合体、エチ
レン─アクリル酸エチル共重合体、塩化ビニル系樹脂、
塩素化塩化ビニル系樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂、ポ
リテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンエーテル、
ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリサルフ
ォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、
ポリエーテルエーテルケトン、アクリロニトリル─ブタ
ジエン─スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレー
ト等の熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0015】これらは単独で使用されてもよいし、2種
以上併用されてもよい。更に、必要に応じて、ガラス繊
維、タルク、安定剤、滑剤、難燃剤等の充填剤、改質剤
等が添加されてもよい。
【0016】本発明において、キャビティ内に射出さ
れ、その中に加圧流体が注入される溶融樹脂は、単層か
らなるものであってもよいし、又、同種あるいは異種材
料からなる複層構造をなすものであってもよい。
【0017】加圧流体注入ゲートの周囲を押圧する部分
の溶融樹脂の部分の厚さは周囲の厚さよりも厚肉とする
のが好ましいが、特にこれに限定されるものではない。
【0018】本発明において、加圧流体注入ゲートは、
スプルー、ランナーを含む金型の、固定型及び可動型に
おける、キャビティに連通するように任意の位置に設け
てよい。
【0019】本発明において、加圧流体注入ノズルとし
ては、例えば、本発明2に記載のノズルが好適に用いら
れる。
【0020】本発明2は、固定型と可動型との間にキャ
ビティ内に射出された溶融樹脂中に加圧流体注入ゲート
より加圧流体を注入する中空部を有する射出成形品の製
造方法に用いるノズルであって、加圧流体注入ピンの外
周に筒状体が設けられ、筒状体が加圧流体注入ゲートに
対して進退自在とされ、加圧流体注入ピンの先端部に溶
融樹脂は通過させないが加圧流体は通過させることがで
きる加圧流体注入部が設けられ、筒状体が加圧流体注入
ゲートに対して前進時に、加圧流体注入ピンの加圧流体
注入部が筒状体の先端面よりも加圧流体ゲート側に突出
状態とされるノズルである。
【0021】本発明2において、加圧流体注入ピンと筒
状体は別体ものからなり、筒状体が単独で加圧流体注入
ゲートに対して進退自在となされていてもよいし、又、
加圧流体注入ピンと筒状体とが一体ものからなるものを
含めて、加圧流体注入ピンと筒状体とが一体状態にて加
圧流体注入ゲートに対して進退自在となされていてもよ
い。
【0022】ノズルの加圧流体注入部は、溶融樹脂は通
過させないが加圧流体は通過させることができるような
構造となされている。このような構造としては、例え
ば、細孔又は細スリットが形成されたものや、ステンレ
ス等の金属材料やセラミック等の無機材料からなる粉体
を焼結して巣状の小さな細孔を有する連通孔が形成され
たものや、同様の材料からなる微細径の線体を焼結して
直線状の小さな細径を有する連通孔が形成された多孔質
部材からなるもの、ボールチェックの間隙が形成された
もの等が挙げられる。上記の細孔や連通孔の径、スリッ
トや間隙の幅としては、0.01〜0.03mmが好ま
しい。
【0023】ノズルの筒状体の先端面は、本発明3に記
載の如く、加圧流体注入ゲートに対する進退方向に対し
て略直交し、且つ移動できるようにされているのが、キ
ャビティ内に充填された溶融樹脂をより効果的に押圧す
ることができるので好ましいが、筒状体の先端面が加圧
流体注入ゲートに対する進退方向に対して90〜45°
をなすものも好適に用いられる。
【0024】溶融樹脂の押圧面、つまり筒状体の先端面
の大きさ(押圧面積)は、大きい程溶融樹脂を押圧する
効果が期待できるが、通常は製品形状の制約を受けるの
で個々に検討する必要があるが、通常、輪環状の場合、
その外径が加圧流体注入ピンの直径+4mm〜同直径+
30mm程度でよい。
【0025】加圧流体注入ノズルからキャビティ内の溶
融樹脂中への高圧流体の注入量の制御方法としては、注
入圧力で制御する方法であってもよいし、又、注入容量
で制御する方法であってもよい。
【0026】本発明において、少なくとも加圧流体注入
ゲートの周囲の溶融樹脂を押圧した後、加圧流体注入ノ
ズルから少なくとも周囲が押圧状態の溶融樹脂の部分に
加圧流体を注入して中空部を有する射出成形品を製造す
る方法としては、例えば、本発明4に記載の如く、上記
の本発明2又は本発明3に記載のノズルを用いて、筒状
体を加圧流体注入ゲートに対して前進させて少なくとも
加圧流体注入ゲートの周囲の溶融樹脂を筒状体の先端面
にて押圧した後、筒状体の先端面より加圧流体注入ゲー
ト側に突出状態とされた加圧流体注入ピンの加圧流体注
入部から、少なくとも周囲が押圧状態の溶融樹脂の部分
に加圧流体を注入する方法等が好適に採用される。
【0027】この方法においては、加圧流体注入ノズル
が、筒状体が加圧流体注入ゲートに対して前進時に、加
圧流体注入ピンの加圧流体注入部が筒状体の先端面より
も加圧流体注入ゲート側に突出状態とされる必要があ
る。これは、キャビティ内の溶融樹脂中に加圧流体注入
ピンから加圧流体を注入する際に、加圧流体注入部をキ
ャビティ内の溶融樹脂の肉厚中心部により近づけて、効
果的に溶融樹脂中に加圧流体を注入して中空部を形成す
ることができるようにするためである。
【0028】尚、ノズルの加圧流体注入ピンと筒状体と
を一体状態にて、加圧流体注入ゲートに対して前進させ
て、加圧流体注入ゲートの周囲の溶融樹脂のみならず、
加圧流体注入部の周囲の溶融樹脂をも押圧するようにし
てもよい。
【0029】本発明において用いられるノズルは、本発
明5中に記載の如く、中実ピンの周囲に筒状体が設けら
れ、筒状体が加圧流体注入ゲートに対して進退自在とさ
れ、筒状体が加圧流体注入ゲートに対して前進時に、中
実ピンと筒状体間に、溶融樹脂は通過させないが加圧流
体は通過させることができる間隙が形成されるものであ
ってもよい。上記の間隙としては、0.01〜0.03
mmが好ましい。
【0030】尚、中実ピンと筒状体が一体ものからなる
ものを含めて、中実ピンと筒状体とが一体状態にて、加
圧流体注入ゲートに対して進退自在となされていてもよ
い。
【0031】このノズルの場合にも、ノズルの筒状体の
先端面が加圧流体注入ゲートに対する進退方向に対して
略直交し、且つ移動できるようにされたものが特に好適
に用いられるが、上記同様に筒状体の先端面が加圧流体
注入ゲートに対する進退方向に対して90〜45°をな
すものも好適に用いられる。
【0032】溶融樹脂の押圧面、つまり筒状体の先端面
の大きさ(押圧面積)は、中実ピンの直径+スリット幅
〜同直径+30mm程度でよい。
【0033】中実ピンの材質としては、強度上の問題が
なければ、金属材料であっても、セラミック等の無機質
材料であっても構わない。
【0034】このノズルを用いた場合、本発明5に記載
の如く、中実ピンの周囲に筒状体が設けられ、筒状体が
加圧流体注入ゲートに対して進退自在とされ、筒状体が
加圧流体注入ゲートに対して前進時に中実ピンと筒状体
間に溶融樹脂は通過させないが加圧流体は通過させるこ
とができる間隙が形成されるノズルを用いて、筒状体を
加圧流体注入ゲートに対して前進させて加圧流体注入ゲ
ートの少なくとも周囲の溶融樹脂を筒状体の先端面にて
押圧した後、少なくとも周囲が押圧状態の溶融樹脂の部
分に、中実ピンと筒状体間に形成された間隙から加圧流
体を注入して中空部を形成する方法も好適に採用され
る。
【0035】尚、ノズルとして、中実ピンと筒状体が一
体ものからなるものを用いて、中実ピンと筒状体とを一
体状態にて、加圧流体注入ゲートに対して前進させるこ
とにより、加圧流体注入ゲートの周囲の溶融樹脂のみな
らず、中実ピンと筒状体との間隙の周囲の溶融樹脂をも
押圧するようにしてもよい。
【0036】上記の各ノズルにおける筒状体の先端面
は、加圧流体注入ピン又は中実ピンを略均等に包囲して
いるのが好ましく、その点では丸輪環状が好ましいが、
多角輪環状、異形輪環状でも構わない。又、輪環状に連
続している必要はなく、散点環状に配列されたものであ
ってもよい。
【0037】又、各ノズルの筒状体を加圧流体注入ゲー
トに対して進退させる方法としては、油圧、空圧等の加
圧シリンダーや、電動アクチュエーターによる公知の手
段が適宜採用される。筒状体を加圧流体注入ゲートに対
して前進させるストロークは、少なくとも加圧流体注入
ゲートの周囲の溶融樹脂を押圧することにより、加圧流
体注入ゲートの周囲の溶融樹脂の加圧流体注入ノズル及
びキャビティ面に対する界面密着度が増すように調整す
る必要があるが、流体流体注入ゲートの周囲の形状がほ
ぼできている場合は1〜5mmで十分効果が発揮され
る。又、筒状体の加圧流体注入ゲートに対する前進は、
その速度、加圧力を調整可能とすることにより、種々の
漏洩状況に対する対応力を増加させることかできる。
【0038】筒状体を加圧流体注入ゲートに対して前進
させる方法として、本発明6に記載の如く、キャビティ
内に射出された溶融樹脂中に注入する加圧流体により行
う方法を採用することもできる。この場合、筒状体を加
圧流体注入ゲートに対して後退させるのは、加圧流体の
供給を停止した段階で、筒状体は中空形成品中の加圧流
体に押圧されて後退するので、特にその動力源を設ける
必要がなく、その構造が簡単になるとともに、設備の費
用が安くて済むので好適である。
【0039】射出成形の最終工程において、射出形成品
の中空部中からの加圧流体を排出するが、その排出方法
としては、例えば、加圧流体注入部又は加圧流体注入間
隙から排出する方法、加圧流体注入ノズルを中空形成品
中から引き抜くことにより形成される開口部から加圧流
体を排出する方法等を採用することができる。
【0040】又、筒状体の先端面を中空部を有する射出
成形品から後退させる際に形成される加圧流体注入ノズ
ルと中空部を有する射出成形品との間隙、キャビティ面
と中空部を有する射出成形品との間隙より加圧流体を排
出させる方法を採用することもできる。この際、排出さ
れた流体は、キャビティ面上に沿って流れ、近傍の流体
抜き孔、金型合わせ部等から金型外へ排出される。
【0041】本発明4,5において、加圧流体注入ピン
や中実ピンの進退動作を行わせる方法としては、圧力シ
リンダーによる方法が最も便利である。圧力シリンダー
の圧力源としては、エアー圧でも油圧でもよい。キャビ
ティ内の溶融樹脂中に刺し込むのに要する力に応じて、
圧力源、シリンダー径等を適宜選択する。勿論、駆動力
源として、電動モーター、ギア等を組み合わせて行って
も構わない。
【0042】動作のタイミング制御は、成形機、あるい
は加圧流体供給制御装置と連動し、タイマー設定により
行うことにより可能である。針状部材の先端部の停止位
置を多段に3箇所以上設定する必要がある場合には、シ
リンダーを多段に組み合わせる方法等を採用してもよ
い。
【0043】以下、本発明〜本発明6の例を図面を参照
して説明する。図1は本発明及び本発明4〜6の射出成
形品の製造方法の全体の工程を説明する模式図である。
1は金型であり、固定型11と移動型12との間に成形
すべき射出形成品の外面形状に対応する内面形状を有す
るキャビティ13が設けられている。
【0044】固定型11には、スプルー111、ランナ
ー(図示せず)及び樹脂ゲート112が順次連通するよ
うに設けられている。スプルー111の入口には、押出
機2の樹脂ノズル21が当接され、樹脂ノズル21より
溶融樹脂をスプルー111、ランナー及び樹脂ゲート1
12からなる流路を経てキャビティ13内に射出できる
ようにされている。
【0045】又、可動型12内には、キャビティ13の
樹脂溜まり部131に通じる加圧流体注入ゲート121
が設けられ、加圧流体注入ゲート121に連通して加圧
流体注入ノズル3が設けられている。
【0046】図2〜図5は本発明2,3のノズルの例を
用いた、本発明及び本発明4の射出成形品の製造方法の
例を説明する断面図である。加圧流体注入ノズル3は、
図2(a)に示す如く、中空状の加圧流体注入ピン31
の外周に筒状体32が摺動自在に設けられ、筒状体32
が加圧流体注入ピン31上を摺動して加圧流体注入ゲー
ト121に対して進退自在とされている。筒状体32の
加圧流体注入ピンに対する進退は、押出機2の油圧ユニ
ット22との間に油圧配管された油圧により行うことが
できるようにされている(図1参照)。
【0047】即ち、筒状体32の下部の周囲に外方に突
出する隔壁33が、油圧室34内に第1の油圧室341
と第2の油圧室342とに分離するように設けられてい
る。第1の油圧室341及び第2の油圧室342にはそ
れぞれ第1の油圧口35、第2の油圧口36が設けられ
ている。そして、油圧を第1の油圧口35から第1の油
圧室341に負荷することにより、筒状体32を加圧流
体注入ゲート121に対して前進させ、又、油圧を第2
の油圧口36から第2の油圧室342に負荷することに
より、筒状体32を加圧流体導入ゲート121に対して
後退させることができるようにされている。
【0048】筒状体32の先端面321は加圧流体注入
ゲート121に対する進退方向に略直交するような面と
されており、筒状体32が加圧流体注入ゲート121に
対して進退時にその先端面321が加圧流体注入ゲート
121に対する進退方向に移動するようになっている。
【0049】加圧流体注入ピン31は中空状とされてそ
の中心部に加圧流体の流路311が形成されており、先
端部には加圧流体注入部312が設けられ、基端部は加
圧流体注入装置4に圧力計41を介して配管により連結
されている。加圧流体注入装置4には、加圧流体ボンベ
42が連結されているとともに、押出機2の制御装置2
3より指令を受けて作動するようになっている(図1参
照)。
【0050】又、図2(b)に示す如く、筒状体32が
加圧流体注入ゲート121に対して前進した時に、加圧
流体注入ピン31の加圧流体注入部312が筒状体32
の先端面321よりも加圧流体注入ゲート121側に突
出状態となるようにされている。
【0051】そして、筒状体32を加圧流体注入ゲート
121に対して前進させて、キャビティ13の樹脂溜ま
り部131内に充填された溶融樹脂5の加圧流体注入ゲ
ート121の周囲を筒状体32の先端面321にて押圧
し、キャビティ13の樹脂溜まり部131面及び加圧流
体注入ノズル3の先端部(筒状体32の先端面321及
び加圧流体注入ピン31の先端部)に密着させておい
て、その樹脂溜まり部131内の溶融樹脂5中に突出さ
せた加圧流体注入部312より、加圧流体供給装置4か
ら供給される加圧流体を注入する。
【0052】これにより、加圧流体を溶融樹脂5とキャ
ビティ13面との間や溶融樹脂5と加圧流体注入ノズル
3の先端部との間から漏洩させることなく、キャビティ
13内に充填された溶融樹脂5中に効率よく注入して中
空部51を有する射出成形品を製造することができる。
【0053】尚、筒状体32の先端面321は、図3
(a)に示す加圧流体注入ゲートに対する進退方向に対
する角度(α)が、90〜45°をなすようにされてい
てもよい。又、筒状体32の先端面321には、図3
(b)に示す如く、周方向に沿って凹溝321aが設け
られていてもよく、又、図3(c)に示す如く、周方向
に沿って突条321bが設けられていてもよい。このよ
うな構成にすることにより、キャビティ13内に充填さ
れた溶融樹脂が筒状体にて押圧されたときに、溶融樹脂
を筒状体32の先端面321面に入りくんだ状態にて密
着させて、より加圧流体が漏洩しにくい状態とさせるこ
とができる。
【0054】溶融樹脂は通過させないが加圧流体は通過
させることができる加圧流体注入部312は、図4
(a)に示す如く、多孔質体312aからなるものであ
ってもよいし、図4(b)に示す如く、細スリット31
2bからなるものであってもよく、又、図4(c)及び
図4(d)〔図4(c)の平面図〕に示す如く、複数個
の細スリット312cからなるものであってもよい。
【0055】又、加圧流体注入ピン31の先端部の外周
面には、図5(a)に示す如く段部313が形成されて
いてもよい。このような構成をすることにより、図5
(b)に示す如く、筒状体32を加圧流体注入ゲート1
31に前進させて、キャビティ13内に充填された溶融
樹脂5を筒状体にて押圧したときに、溶融樹脂5を加圧
流体注入ピン31の先端部及び筒状体32の先端部に入
りくんだ状態にて密着させて、より加圧流体が漏洩しに
くい状態にさせることができる。
【0056】図6は、本発明2,3のノズルの別の例を
用いた、本発明1及び本発明4の射出成形品の製造方法
の別の例を説明する断面図である。加圧流体注入ノズル
6は、図6(a)に示す如く、加圧流体注入ピン61と
筒状体62が一体化されている。この場合には、図6
(b)に示す如く、加圧流体注入ピン61と筒状体62
が一体化されたものを加圧流体注入ゲート121に対し
て前進させたとき、キャビティ13(樹脂溜まり部13
1)内に充填された溶融樹脂5の加圧流体注入ゲート1
21及び加圧流体注入部611の周囲の部分を筒状体6
2の先端面621及び加圧流体注入ピン61の先端部に
て押圧することになる。尚、上記以外については、図2
を参照して説明した場合と同様であるので詳細な説明は
省略する。
【0057】図7は本発明5の射出成形品の製造方法の
例を説明する断面図である。用いるノズル7は、図7
(a)に示す如く、中実ピン71の周囲に筒状体72が
設けられており、中実ピン71と筒状体72が一体的に
加圧流体注入ゲート121に対して進退自在とされてお
り、図7(b)に示す如く、中実ピン71と筒状体72
の加圧流体注入ゲート121に対する前進前及び前進時
を通じて、中実ピン71の先端部と筒状体72の先端部
との間に、溶融樹脂は通過させないが加圧流体は通過さ
せることができる間隙73が形成される構成とされ、実
ピン71と筒状体72との間には間隙73に連通する加
圧流体の流路74が形成されている。中実ピン71と筒
状体72の加圧流体注入ゲート121に対する進退は、
図2を参照して説明したものに準じて油圧により行うこ
とができるようにされている。
【0058】そして、中実ピン71と筒状体72を一体
的に加圧流体注入ゲート121に対して前進させて、キ
ャビティ13の樹脂溜まり部131内に充填された溶融
樹脂5の加圧流体注入ゲート121の周囲の部分を中実
ピン71の先端部及び筒状体72の先端面721にて押
圧して、溶融樹脂5をキャビティ13の樹脂溜まり部1
3面及びノズル7の先端部(中実ピン71の先端部及び
筒状体72の先端面721)に密着させておいて、その
樹脂溜まり部131内の溶融樹脂5中に、中実ピン71
と筒状体72との間の間隙73より加圧流体供給装置4
から流路74を経て供給される加圧流体を注入する。
【0059】これにより、加圧流体を溶融樹脂5とキャ
ビティ13面との間や溶融樹脂5とノズル7の先端部の
外周面との間から漏洩させることなく、キャビティ13
内に充填された溶融樹脂5中に効率よく注入して中空部
51を有する射出成形品を成形することができる。
【0060】図8は本発明5の射出成形品の製造方法の
別の例を説明する断面図である。用いる加圧流体注入ノ
ズル8は、図7を参照して説明したものと異なる点は、
筒状体82の加圧流体注入ゲート121に対する前進
が、キャビティ13内に射出された溶融樹脂5中に注入
する加圧流体により行うことができるようにされている
点である。
【0061】即ち、筒状体82の下部の周囲に外方に突
出する隔壁85が、室86内を第1室861と第2室8
62とに分離するように設けられている。第1室861
には空圧口87が設けられている。第1室861は中実
ピン81と筒状体82との間に形成された流路84に加
圧流体が通過できるように連通されている。
【0062】そして、加圧流体を空圧口87から第1室
861に負荷することにより、筒状体82のみを加圧流
体注入ゲート121に対して前進させることができる。
この際、加圧流体注入部83からの 圧流体の流出より
も筒状体82の加圧流体注入ゲート121に対する前進
が優先して行われるように設定される。
【0063】この場合には、筒状体82の加圧流体注入
ゲート121に対しての後退を、特にアクチュエーター
を設ける必要がない点で設備が簡略化される点で有利と
なる。即ち、キャビティ13内の溶融樹脂5に対する加
圧流体の注入を停止し開放状態とするだけで、加圧流体
供給装置の加圧シリンダーの急激な減圧と、樹脂内の加
圧流体圧が筒状体82に作用することにより、加圧シリ
ンダーが押し戻されるからである。尚、完全に後退させ
なくても、次のショットの溶融樹脂の樹脂圧により正規
の位置まで押し戻されるので不都合はない。
【0064】そして、筒状体82のみの加圧流体注入ゲ
ート121に対する前進を、加圧流体注入装置4から空
圧口87より導入した加圧流体の圧力にて行う。キャビ
ティ13の樹脂溜まり部131内に充填された溶融樹脂
5の加圧流体注入ゲートの周囲を部分を筒状体82の先
端面821にて押圧して、キャビティ13の樹脂溜まり
部13面及び加圧流体注入ノズル8の先端部(筒状体8
2の先端面821及び中実ピン81の先端部の外周面)
に密着させる。同時に、キャビティ13の樹脂溜まり部
131内の溶融樹脂5中に、空圧口87、流路84を経
て供給される加圧流体を間隙83から注入する。
【0065】これにより、加圧流体を溶融樹脂5とキャ
ビティ13面との間や溶融樹脂5と中実ピン81の先端
部の外周面との間から漏洩させることなく、キャビティ
13内に充填された溶融樹脂5中に効率よく注入して中
空部51を有する射出成形品を成形することができる。
【0066】図9は本発明5の射出成形品の製造方法の
更に別の例を説明する断面図である。用いる加圧流体注
入ノズル9は、図9(a)に示す如く、筒状体92を加
圧流体注入ゲート121に対して前進前は、中実ピン9
1の先端部と筒状体92の先端部間には間隙がなく、図
9(b)に示す如く、筒状体92のみを加圧流体注入ゲ
ート121に対して前進させたときにはじめて、中実ピ
ン91の先端部と筒状体92の先端部との間に溶融樹脂
は通過させないが加圧流体は通過させることができる間
隙93が形成される構成となっている。その他の点につ
いては、図7又は図8を参照して説明したものと同様で
あるので詳細な説明は省略する。
【0067】
【作用】本発明は、固定型と可動型との間にキャビティ
が設けられ、固定型又は可動型には加圧流体注入ゲート
が設けられ、その加圧流体注入ゲートに連通して加圧流
体注入ノズルが設けられた金型のキャビティ内に溶融樹
脂を射出する工程、次いで又は同時に少なくとも加圧流
体注入ゲートの周囲の溶融樹脂を押圧した後、加圧流体
注入ノズルから少なくとも周囲が押圧状態の溶融樹脂の
部分より加圧流体を注入して中空部を形成する工程から
なることにより、加圧流体を漏洩させることなくキャビ
ティ内に充填された溶融樹脂中に注入することができ、
その結果、外表面にヒケ、ソリ及びフローマーク等を発
生させることがなく、外観に優れた中空部を有する射出
成形品を製造することができる。
【0068】本発明2は、加圧流体注入ピンの外周に筒
状体が設けられ、筒状体が加圧流体注入ゲートに対して
進退自在とされ、加圧流体注入ピンの先端部に溶融樹脂
は通過させないが加圧流体は通過させることができる加
圧流体注入部が設けられ、筒状体が加圧流体注入ゲート
に対して前進時に、加圧流体注入ピンの加圧流体注入部
が筒状体の先端面よりも加圧流体ゲート側に突出状態と
されることにより、キャビティ内に充填された溶融樹脂
を押圧してキャビティ面及びノズルの先端部に密着さ
せ、その中に加圧流体を漏洩することなく注入して、外
表面にヒケ、ソリ及びフローマーク等を発生させること
がなく、外観に優れた中空部を有する射出成形品を製造
するのに用いるノズルとして好適に使用することができ
る。
【0069】本発明3は、筒状体の先端面が加圧流体注
入ゲートに対する進退方向に対して略直交し、且つ移動
できるようにされていることにより、キャビティ内に充
填された溶融樹脂を効率的に押圧してキャビティ面等に
一層密着させることができる。
【0070】本発明4は、本発明2又は本発明3に記載
のノズルを用いて、筒状体を加圧流体注入ゲートに対し
て前進させて少なくとも加圧流体注入ゲートの周囲の溶
融樹脂を筒状体の先端面にて押圧した後、筒状体の先端
面より加圧流体注入ゲート側に突出状態とされた加圧流
体注入ピンの加圧流体注入部から、少なくとも周囲が押
圧状態の溶融樹脂の部分に加圧流体を注入して中空部を
形成することにより、筒状体の先端面よりも加圧流体ゲ
ート側に突出状態とされた加圧流体注入部からより確実
に加圧流体を漏洩させることなくキャビティ内に充填さ
れた溶融樹脂中に注入することができ、その結果、外表
面にヒケ、ソリ及びフローマーク等を発生させることが
なく、外観に優れた中空部を有する射出成形品を製造す
ることができる。
【0071】本発明5は、中実ピンの周囲に筒状体が設
けられ、筒状体が加圧流体注入ゲートに対して進退自在
とされ、筒状体が加圧流体注入ゲートに対して前進時に
中実ピンと筒状体間に溶融樹脂は通過させないが加圧流
体は通過させることができる間隙が形成されるノズルを
用いて、筒状体を加圧流体注入ゲートに対して前進させ
て加圧流体注入ゲートの少なくとも周囲の溶融樹脂を筒
状体の先端面にて押圧した後、少なくとも周囲が押圧状
態の溶融樹脂の部分に、中実ピンと筒状体間に形成され
た間隙から加圧流体を注入して中空部を形成することに
より、その溶融樹脂をキャビティ面やノズルの先端部に
密着させることができ、少なくとも周囲が押圧状態の溶
融樹脂の部分に、中実ピンと筒状体間に形成された間隙
から加圧流体を注入して中空成形体を成形することによ
り、加圧流体を漏洩させることなくキャビティ内に充填
された溶融樹脂中に注入することができ、その結果、外
表面にヒケ、ソリ及びフローマーク等を発生させること
がなく、外観に優れた中空部を有する射出成形品を製造
することができる。
【0072】本発明6は、本発明4及び本発明5におい
て、筒状体の加圧流体注入ゲートに対する前進を、キャ
ビティ内に射出された溶融樹脂中に注入する加圧流体に
より行うことにより、筒状体の加圧流体注入ゲートに対
しての後退を、特にアクチュエーターを設ける必要がな
く、工程及び設備を簡略化することができ、より生産性
よく中空部を有する射出成形品を製造することができ
る。
【0073】
【実施例】実施例1 図2に示す如き装置と工程により、縦×横×肉厚=18
0mm×250mm×3mmの額縁状リブ付き平板の製
造を行った。樹脂としてポリプロピレン(出光石油化学
社製:商品名「J743G」)を用い、加圧流体として
窒素ガスを用いた。
【0074】加圧流体注入ノズル3としては、加圧流体
注入ピン31として、外径4mm、ピン高さ〔図2
(b)中のh1にて示す〕5mm、加圧流体注入部31
2が孔径30μmmの焼結金属からなるものを用い、筒
状体32として、外径10mm、筒状体の先端面の角度
〔図3(a)中のαにて示す〕90°、その先端面の表
面が加工を施さずフラット面からなり、加圧流体注入ゲ
ート121に対する進退ストローク3mmのものを用い
た。
【0075】金型としては、キャビティ13の間隔が、
樹脂溜まり部131の部分〔図2(a)中、dlにて示
す〕で12mm、それ以外の部分〔図2(a)中、d2
にて示す〕3mmで、樹脂最終充填域の樹脂溜まり部1
31上に加圧流体注入ノズル3を設けたものを用いた。
【0076】樹脂成形条件として、型締力300tの射
出成形機を用い、樹脂温度240℃、金型温度40℃、
樹脂射出時間1.5秒、保圧なし、冷却時間(加圧流体
注入開始後)25秒、樹脂充填量154gの条件にて行
った。筒状体の進退条件及び加圧流体注入条件として
は、樹脂射出後1.5秒後(樹脂充填完了と同時)に前
進させ、同1.8秒後に加圧流体の注入を開始し、加圧
流体注入開始から25秒後(加圧流体保圧完了と同時)
に後退させ、加圧流体排出の条件とした。
【0077】加圧流体の注入方法としては、窒素ガスを
4〜40kgf/cm2 の範囲で段階的に変化させて1
00cc計量し、それを体積1/5まで圧縮昇圧した後
に、ピストンにてて強制的に加圧注入し、各設定流体圧
力に対して20ショットの成形を行う方法を採用した。
そして、各ショット毎に、圧力ゲージ41で流体圧力の
変化を測定し、各設定流体圧力での最大圧力の分散値を
求め、圧力流体の漏洩が起こり得る下限値を求めた。そ
の結果を漏洩が生じる圧力流体の圧力は210kgf/
cm2 であった。
【0078】実施例2 図6を参照して説明した装置と工程を採用したこと以外
は実施例と同様にして額縁状リブ付き平板の製造を行
い、圧力流体の漏洩が起こり得る下限値を求めた。その
結果を漏洩が生じる圧力流体の圧力は186kgf/c
2 であった。
【0079】実施例3 図8を参照して説明した装置と工程を採用したこと、加
圧流体注入ノズル8としては、中実ピン81の外径3m
m、筒状体82の外径10mm、間隙83の幅30μ
m、長さ6mmのものを使用したこと以外は実施例と同
様にして額縁状リブ付き平板の製造を行い、圧力流体の
漏洩が起こり得る下限値を求めた。その結果を漏洩が生
じる圧力流体の圧力は137kgf/cm2 であった。
【0080】比較例1 筒状体の前進を行わなかったこと以外は実施例1と同様
にして額縁状リブ付き平板の製造を行い、圧力流体の漏
洩が起こり得る下限値を求めた。その結果を漏洩が生じ
る圧力流体の圧力は52kgf/cm2 であった。
【0081】比較例2 筒状体の前進を行わなかったこと以外は実施例3と同様
にして額縁状リブ付き平板の製造を行い、圧力流体の漏
洩が起こり得る下限値を求めた。その結果を漏洩が生じ
る圧力流体の圧力は35kgf/cm2 であった。
【0082】
【発明の効果】本発明及び本発明4,5の射出成形品の
製造方法は、それぞれ上記の如き構成とされているの
で、成形中におけるキャビティ内に充填した溶融樹脂中
への圧力流体の漏洩が少なく、外表面にヒケ、ソリ及び
フローマーク等を発生させることがなく、外観に優れた
中空部を有する射出成形品を製造することができる。
【0083】本発明2,3のノズルは、それぞれ上記の
如き構成とされているので、成形中におけるキャビティ
内に充填した溶融樹脂中への圧力流体の漏洩なく注入し
て、外表面にヒケ、ソリ及びフローマーク等を発生させ
ることがなく、外観に優れた中空部を有する射出成形品
を製造するノズルとして好適に使用することができる。
【0084】本発明6の射出成形品の製造方法は、上記
の如き構成とされているので、筒状体の加圧流体注入ゲ
ートに対しての後退を、特にアクチュエーターを設ける
必要がなく、工程及び設備を簡略化することができ、よ
り生産効率よく中空部を有する射出成形品を製造するこ
とができる。
【0085】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明及び本発明4〜6の射出成形品の製造方
法の全体の構成を説明する模式図である。
【図2】本発明及び本発明4の射出成形品の製造方法及
び本発明2,3のノズルの例を説明する断面図であり、
図2(a)は筒状体を前進させる前の状態を示す断面
図、図2(b)は筒状体を前進させた後、キャビティ内
に充填した溶融樹脂中に加圧流体を注入させた状態を示
す断面図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、それぞれ、図2に示す
ノズルの先端部の例を説明する断面図である。
【図4】図4(a)〜(c)は、それぞれ、図2に示す
ノズルの加圧流体注入部の例を説明する断面図である。
【図5】図5(a),(b)は、図2に示すノズルの先
端部の別の例を説明する断面図である。
【図6】図6は本発明及び本発明4の射出成形品の製造
方法及び本発明2,3のノズルの別の例を説明する縦断
面図であり、図6(a)は筒状体を前進させる前の状態
を示す縦断面図、図6(b)は筒状体を前進させた後、
キャビティ内に充填した溶融樹脂中に加圧流体を注入さ
せた状態を示す断面図である。
【図7】図7は本発明5の射出成形品の製造方法の例を
説明する断面図であり、図7(a)は筒状体を前進させ
る前の状態を示す断面図、図7(b)は筒状体を前進さ
せた後、キャビティ内に充填した溶融樹脂中に加圧流体
を注入させた状態を示す断面図である。
【図8】図8は本発明6の射出成形品の製造方法の例を
説明する断面図であり、図8(a)は筒状体を前進させ
る前の状態を示す断面図、図8(b)は筒状体を前進さ
せた後、キャビティ内に充填した溶融樹脂中に加圧流体
を注入させた状態を示す断面図である。
【図9】図9(a)は、本発明5,6の射出成形品の製
造方法の別の例を説明する断面図であり、図9(a)は
筒状体を前進させる前の状態を示す断面図、図9(b)
は筒状体を前進させた後、キャビティ内に充填した溶融
樹脂中に加圧流体を注入させた状態を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 金型 2 押出機 3 加圧流体注入ノズル 4 加圧流体注入装置 5 溶融樹脂 11 固定型 12 可動型 13 キャビティ 121 加圧流体注入ゲート 131 樹脂溜まり部 31,61 加圧流体注入ピン 32,62,72,82,92 筒状体 71,81,91 中実ピン 311 流路 312 加圧流体注入部 321,621,721,821,921 先端面

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定型と可動型との間にキャビティが設
    けられ、固定型又は可動型には加圧流体注入ゲートが設
    けられ、その加圧流体注入ゲートに連通して加圧流体注
    入ノズルが設けられた金型のキャビティ内に溶融樹脂を
    射出する工程、次いで又は同時に少なくとも加圧流体注
    入ゲートの周囲の溶融樹脂を押圧した後、加圧流体注入
    ノズルから少なくとも周囲が押圧状態の溶融樹脂の部分
    より加圧流体を注入して中空部を形成する工程からなる
    ことを特徴とする射出成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 固定型と可動型との間にキャビティ内に
    射出された溶融樹脂中に加圧流体注入ゲートより加圧流
    体を注入する中空部を有する射出成形品の製造方法に用
    いるノズルであって、加圧流体注入ピンの外周に筒状体
    が設けられ、筒状体が加圧流体注入ゲートに対して進退
    自在とされ、加圧流体注入ピンの先端部に溶融樹脂は通
    過させないが加圧流体は通過させることができる加圧流
    体注入部が設けられ、筒状体が加圧流体注入ゲートに対
    して前進時に、加圧流体注入ピンの加圧流体注入部が筒
    状体の先端面よりも加圧流体ゲート側に突出状態とされ
    ることを特徴とするノズル。
  3. 【請求項3】 筒状体の先端面が加圧流体注入ゲートに
    対する進退方向に対して略直交し、且つ移動できるよう
    にされていることを特徴とする請求項2に記載のノズ
    ル。
  4. 【請求項4】 請求項2又は請求項3に記載のノズルを
    用いて、筒状体を加圧流体注入ゲートに対して前進させ
    て少なくとも加圧流体注入ゲートの周囲の溶融樹脂を筒
    状体の先端面にて押圧した後、筒状体の先端面より加圧
    流体注入ゲート側に突出状態とされた加圧流体注入ピン
    の加圧流体注入部から、少なくとも周囲が押圧状態の溶
    融樹脂の部分より加圧流体を注入して中空部を形成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の射出成形品の製造方
    法。
  5. 【請求項5】中実ピンの周囲に筒状体が設けられ、筒状
    体が加圧流体注入ゲートに対して進退自在とされ、筒状
    体が加圧流体注入ゲートに対して前進時に中実ピンと筒
    状体間に溶融樹脂は通過させないが加圧流体は通過させ
    ることができる間隙が形成されるノズルを用いて、筒状
    体を加圧流体注入ゲートに対して前進させて加圧流体注
    入ゲートの少なくとも周囲の溶融樹脂を筒状体の先端面
    にて押圧した後、少なくとも周囲が押圧状態の溶融樹脂
    の部分より中実ピンと筒状体間に形成された間隙から加
    圧流体を注入して中空部を形成することを特徴とする請
    求項1に記載の射出成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】 筒状体の加圧流体注入ゲートに対する前
    進を、キャビティ内に射出された溶融樹脂中に注入する
    加圧流体により行うことを特徴とする請求項4又は請求
    項5に記載の射出成形品の製造方法。
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