JPH0139328B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、表面が滑らかで内部が発泡したサン
ドイツチ構造の成形品を射出成形する方法に関す
るものである。

サンドイツチ構造の成形品を得る方法として、
第一に、キヤビテイに高圧流体（ガス）を封入
し、発泡ガス含有樹脂を射出し、発泡ガスが樹脂
の外面に出るのを押え、表面の発泡を押えてソリ
ツド成形し、次に、可動金型を後退させたりして
キヤビテイの空間を増大させ、増大分だけ発泡さ
せる方法、或は、第２には、前述のソリツド成形
をし、平滑な表面を形成した後、内部樹脂を射出
装置へ逆流させて内部を発泡させる方法、更に、
第３には、発泡ガス含有樹脂の射出装置とガス分
を含まぬ樹脂の射出装置とを準備し、先ず、ガス
分を含まぬ樹脂の射出し、次いで、発泡ガス含有
樹脂を射出して所望の成形品を成形する方法等が
ある。

第１の方法は高圧流体（ガス）を毎回キヤビテ
イに封入するため、高圧流体の発生装置及び封入
装置が必要であり、高価な設備になる。場合によ
つては、高圧流体が高価なものであれば大量消費
に伴う費用の発生は莫大なものがある。又、使用
金型には、高圧流体の封入具、シール等の設備が
必要であり、金型交換毎にわずらわしさが生じる
という欠点があり、ソリツド成形を行う為、通常
成形なみの型締力を必要とし、更には、キヤビテ
イ拡大の為の型開作動を必要とする。キヤビテイ
拡大は、型開方向となるため、成形品の形状種類
が限定され、また、金型が開いて外気と触れる樹
脂のつなぎ部の表面が荒れる等の多くの欠点を有
する。

第２の方法は第１の方法の欠点と同様の欠点を
もつている。又、第３の方法は確実な成形方法で
はあるが、脱ガス用と非脱ガス用の射出装置が２
式必要となり、設備が高価、複雑になるだけでな
く、生産スペースを広く必要とする欠点があり、
かつ、内部の発泡圧成形の為、発泡ガスによる表
面荒れはなくとも、金型内面に強く密着して得ら
れる平滑な外皮が得られ難い欠点がある。

本発明はこれらの欠点に鑑み、従来の設備に高
価な改造を加えることなく、簡単な改造と追加設
備により、所望の高品質成形品を得ることを目的
とする。

更に本発明は、従来の既設の設備に簡単な改
造、追加設備により、充分に脱ガスした樹脂とガ
スを含有した非脱ガス樹脂とを単一作動の可塑化
で行い、単一作動射出を行うが、そのとき、脱ガ
スを充分に行い、表面の平滑な成形品を確実に得
ることを目的とし、すなわち、非脱ガス樹脂のみ
を用いて、非脱ガス樹脂の一部を射出前に脱ガス
してスキン層を形成させるようにし、コア層にな
る部分は脱ガス樹脂をそのまま用い、表面の質密
な成形品を得、かつ、内部を十分発泡し、かつ、
発泡状態を制御できることを目的としている。

つぎに、本発明の詳細を、図面に示した実施例
に従い説明する。

第１図ａ〜ｄに本発明の成形法を段階的に示
す。

図面に示すように、加熱筒１の中に回転摺動自
在にスクリユ２が挿入され、スクリユ２に逆流防
止弁３及びスクリユヘツド４が取付固着されてい
る。加熱筒１の前部に真空源５に連通した連通孔
６を設け、遮断手段７によつて連通、遮断が自在
にしてある。加熱筒１の前部のノズル孔８は金型
９の固定型１０と可動型１１とで構成されるキヤ
ビテイ１２とが連通している。

第１図ａは、キヤビテイ１２に脱ガス樹脂及び
非脱ガス樹脂（ガス分含有樹脂）を射出し、表面
に脱ガス樹脂による平滑質密なスキン層１３、内
部はコア層１４を形成するために非脱ガス樹脂を
射出している状態を示しているが、この段階では
通常の射出成形のように高圧の射出圧力で射出す
る。したがつて、脱ガス樹脂は型内面によく密着
し、平滑質密な表面のスキン層形成が得られる。
一方、内部コア層は高圧充填の為発泡が抑えられ
ている状態であるが、厚肉であるためよい流動状
態を保持している。

つぎに、このように加熱筒１内で真空源５と遮
断手段７で遮断されている状態で、スクリユ２を
例えば第１図ｂに示しているような予め定めた位
置まで強制後退させると、スクリユヘツド４の前
部には加熱筒内空間１５ができているとともに、
この加熱筒内空間１５はスクリユ後退量に応じて
負圧状態になり、その結果、コア層１４位置にあ
る非脱ガス樹脂すなわちガス含有樹脂は発泡され
る。

この工程においては、スクリユ２の後退にとも
なる負圧状態の発生によつてのみ発泡させる代り
に、第１図ｂに示すように、スクリユ２が予じめ
定めた位置まで強制後退し、その位置に来ると、
電気信号を発するようにし、その信号によつて加
熱筒内空間１５と真空源５と連通させる通路６を
遮断している遮断手段７を作動させ、空間１５真
空源５を連通させて空間１５を減圧真空状態にす
ることもできる。このようにすれば、加熱筒前部
空間１５へ金型９のキヤビテイ１２のコア層１４
を、真空吸引作用とコア層の発泡圧により、金型
９より射出成形機の加熱筒１へ逆流させ、コア層
の発泡を促進させる。発泡の程度は、キヤビテイ
１２内に非脱ガス樹脂を射出充填する際の射出圧
力、樹脂温度及び、第１図ａに示すクツシヨン量
１６及びこの真空度による。したがつて、真空度
の大きさは発泡状態制御の重量な要因と言える。

このようにして、キヤビテイ１２内のコア層１
４位置にある樹脂を発泡させ終つたら、次に、ス
クリユ２を回転駆動させる。そうすると、可塑化
溶融された非脱ガス（ガス分含有）樹脂は、逆流
防止弁３を押して通過し、スクリユヘツド４の連
通部１７を経て、負圧状態または真空状態になつ
ている空間１５に、糸状もしくは薄板状の状態で
供給される。非脱ガス樹脂が供給されるとき、こ
の空間１５が負圧状態になつている場合は、非脱
ガス樹脂の供給後、第１図ｃに示すように、この
空間１５を真空源５と連通させて新たに真空状態
にする。この空間１５がすでに真空状態になつて
いる場合は、この真空状態をそのまま持続させ
る。この状態を第１図ｃに示す。この場合、ガス
分含有の非脱ガス樹脂は、多数の糸状もしくは薄
板状になつて真空中にある為、脱ガスされる。勿
論、簡単に樹脂内奥部の脱ガスが可能であり、単
位容積当りの脱ガス表面積が大きい為、脱ガス効
率がよく、充分に脱ガスされるため、キヤビテイ
１２に射出充填した際、ガス分による表面の荒れ
がなく光沢のすぐれた平滑質密な成形品の表面層
を形成することが可能な脱ガス樹脂が得られる。

次に、空間１５内の非脱ガス樹脂が所望の脱ガ
ス樹脂になるまでの所定の設定時間を設定してい
るタイマがタイムアウトになれば、第１図ｄに示
すように、真空空間１５と真空源５との連通通路
６を遮断する手段７により加熱筒１内の連通通路
６の入口１９は閉塞される。

そして、第１図ｄに示すように、更に可塑化に
より、脱ガス樹脂１８の後部に、引続き非脱ガス
樹脂（ガス含有樹脂）２０が所望の貯留量計量す
るまで、スクリユは回転駆動される。

このとき、前回射出した樹脂は金型９内にある
が、その金型９内の樹脂が必要冷却時間だけ冷却
された後に、金型９の可動型１１を開き、平滑質
密なスキン層１３及び充分制御された発泡状態の
コア層１４を有する成形品が得られる。

射出製品が金型９から取出されれば型締を行
い、続いて射出を行う。このとき、加熱筒１の前
部の空間１５内には、第１図ｄに示すように、キ
ヤビテイ１２に近い方から脱ガス樹脂１８、非脱
ガス樹脂２０の順で入つているので、そのまま射
出すれば、第１図ａの状態になる。

あとは、前記したような作動を繰返して、内部
が発泡したコア層で、表面がスキン層になつた射
出製品が得られる。

第２図〜第３図はスクリユヘツド４の連通部１
７のそれぞれ異なる実施例を示したもので、第２
図は連通部１７に軸方向のスリツト２１が多数設
けたもの、第３図は軸方向に小孔２２を多数設け
たもの、第４図は円周方向に幅広く半径方向に浅
いスリツト２３を連通部１７の外周に多数設けた
もので、いずれも目的とするところは、スクリユ
ヘツド４の前部の空間１５に糸状、ひも状、薄板
状の非脱ガス樹脂を供給し、単位容積当りの樹脂
の脱ガス面積を大きくとり、脱ガス効率を上げる
こと、又、樹脂深奥部まで脱ガスして均質な脱ガ
ス樹脂を得て平滑質密な光沢のよい成形表面をう
るためである。かくして、本発明によれば、以下
のような大きな効果をうることができる。

１ 射出充填完了後、スクリユを強制後退させる
事により得たスクリユヘツド前部空間を負圧ま
たは真空とする手段により、成形品の内部コア
層の非脱ガス樹脂を逆流させる事により発泡さ
せることができる。又、この時、真空にする場
合は、樹脂温度、充填完了後のスクリユ強制後
退までの時間は当然ながら射出充填圧と真空度
により発泡状態、すなわち、重量発泡率、冷却
時間等のコントロールが可能であり、よく発泡
状態のコントロールされたコア層がえられる。

２ 射出充填完了後、スクリユを強制後退させる
ことにより得たスクリユヘツド前部の空間に糸
状、ひも状、薄板状の非脱ガス樹脂を供給する
手段と真空にする手段により、樹脂深奥部まで
脱ガス可能であり、脱ガス効率がすぐれ、充分
脱ガスした樹脂が得られ、これにより平滑で光
沢のすぐれた成形品表面をうることが出来る。

３ 脱ガス樹脂及び非脱ガス樹脂を従来と同様に
高圧射出が可能なため、１、２項とあいまつ
て、表面では平滑質密なスキン層が得られる。

４ 本発明は、既設のマシンに簡単な改造と安価
な追加設備を加えた装置を用いることにより簡
単に実施できて、高品質のサンドイツチ構造の
成形品を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施に用いる装置の実施例を示
すもので、第１図ａ〜ｄは作動順序を示す縦断面
図、第２図ａ，ｂ〜第４図ａ，ｂはスクリユヘツ
ドの連通部のそれぞれ異なる実施例を示す左側面
図と正面図である。 １……加熱筒、２……スクリユ、３……逆流防
止弁、４……スクリユヘツド、５……真空源、７
……遮断手段、９……金型、１２……キヤビテ
イ、１３……スキン層、１４……コア層、１５…
…加熱前部空間、１７……連通部、１８……脱ガ
ス樹脂、２０……非脱ガス樹脂、２１，２３……
スリツト、２２……小孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ (a) 射出成形機の加熱筒内のスクリユヘツド
   前部の貯留樹脂を金型のキヤビテイに射出充填
   した後に、 (b)(i) スクリユを強制後退させることによつてス
   クリユヘツド前部空間を負圧状態にするか、
   または、 (ii) スクリユを強制後退させ、つぎに、このス
   クリユヘツド前部空間を真空源と連通させて
   真空状態にすることによつて、 キヤビテイ内のコア層位置にある樹脂を発泡
   させ、然る後、 (c) 発泡ガスを含有した可塑化溶融樹脂を糸状ま
   たは薄板状でスクリユヘツド前部の負圧状態ま
   たは真空状態の空間へ予め定めた量だけ供給
   し、 (i) 負圧状態になつているこの空間を真空源と
   連通させて新たに真空状態にするか、また
   は、 (ii) 前工程での真空状態をそのまま接続させ
   て、 この空間にある樹脂を脱ガスした後、 (d) 真空源とこの空間の連通を遮断し、 (e) 発泡ガス含有の溶融樹脂を更に可塑化計量し
   た後、 (f) 前記脱ガス溶融樹脂と発泡ガス含有樹脂を単
   一射出作動で射出する ことを特徴とするサンドイツチ構造の成形品の射
   出成形法。