JP3287694B2 - 熱可塑性樹脂成形品の射出成形法及び射出成形用金型装置 - Google Patents

熱可塑性樹脂成形品の射出成形法及び射出成形用金型装置

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    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/1703Introducing an auxiliary fluid into the mould
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、収縮に起因したヒケな
どの欠陥を表面に形成することなく、肉厚が異なる熱可
塑性樹脂成形品を射出成形する方法および金型装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】厚肉部及び薄肉部を持つ熱可塑性樹脂成
形品を射出成形法で製造するとき、金型に充填された樹
脂が冷却・固化する過程では厚肉部が最終的に凝固す
る。そのため、樹脂の冷却に伴う体積収縮が厚肉部に集
中し、厚肉部の表面にヒケなどが発生しがちになる。成
形品の商品価値は、ヒケ、変形など(以下、これをヒケ
で代表させて説明する)の発生により著しく低下する。
従来の射出成形法では前記体積収縮を補うため、樹脂の
射出充填完了直後に保圧工程を設け、キャビティ内の溶
融樹脂にヒケを防止するための圧力を作用させている。
しかし、製品形状が複雑になるとゲートシールが先行
し、十分な保圧がかけられず、満足な外観を持った製品
を得ることが出来ない。
【0003】ヒケの発生を抑制する手段として、例えば
特公昭61−53208号公報、特開昭63−2686
11号などで、樹脂流路を通じて高圧ガスをキャビティ
に送り込み、中空化したガス流路を介して保圧をかけ、
表面欠陥の発生を抑制することが紹介されている。これ
らの方法は、高圧ガスを使用する必要があるので、経費
がかさみ、また、高圧ガス自体の取り扱いも容易ではな
い。そこで、特開平4−45910号公報のように中空
化に使用したガスを回収して再利用する方法や、特開平
5−4253号公報のように空気から窒素ガスを分離し
て高圧ガス源となして使用する方法等が提案されている
が、これらの方法も、窒素源を外部に必要とするととも
に、高圧のガスを取り扱うために、装置が高価となり運
転操作も複雑である。
【0004】また、特開平4−25421号公報では、
射出成形機によって金型キャビティ中に溶融樹脂を射出
した後、金型から射出成形機ノズルを一旦離した状態で
スクリューを無回転で後退させてシリンダー中に空気を
溜め、所定量空気が溜まった時点でノズルを金型に再密
着させた後、該スクリューを前進させて滞留空気を該ノ
ズルから注入する方法が提案されている。しかし、この
方法は、各ショット毎にスクリューが樹脂と空気の両方
の注入操作のため2往復し、しかも、その内1回はスク
リューは無回転で後退させる必要があるのでホッパーか
らの材料ペレットの供給管理が困難であること、及びス
クリュー溝中に残った材料ペレットの溶融防止対策が必
要である等、実用的ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】さて、セットアップ性
が高いポリカーボネ−ト樹脂、ポリメチルメタクリレー
トなどの樹脂では、表面層の冷却・固化が速い条件下で
射出成形する時、表面層に発現したスキン層の強度が樹
脂の体積収縮力を上回る場合が多い。そのため、表面層
の変形が生ぜず、厚肉部の内部にはボイドと呼ばれる空
洞が生じる。この場合、厚肉部の表面にはヒケなどの欠
陥が発生しないことが多い。
【0006】そこで、先に本発明者等は、上記ボイド現
象を積極的にヒケ発生防止に活用する射出成形法を特開
平5−16177号公報で提案した。すなわち、この射
出成形方法は、異なる肉厚をもつ熱可塑性樹脂成形品を
成形する際、ヒケ現象が起きる厚肉部に相当する金型キ
ャビティの任意の位置(以下、厚肉個所という。)にボ
イド挿入ピンを設けて、前記キャビティにキャビティを
満たすに十分な量の溶融樹脂を射出充填し、前記ボイド
挿入ピンを介してそのピン先端に加圧ガスを作用させ、
前記ボイド挿入ピンの先端部の溶融樹脂中にボイドを誘
起せしめた後、前記溶融樹脂の冷却・固化に伴う収縮力
で収縮に見合った大きさに前記ボイドを成長させて成形
品のヒケを防止するものである。
【0007】この方法でボイドを誘起せしめるために用
いる加圧ガスは5〜15kgf/cm2と低圧の圧縮空
気のため、従来の中空射出成形法で用いる高圧の不活性
ガスと比べ、ガス源の確保が非常に容易であるが、この
方法でも外部からのガス供給設備が不可欠である。射出
成形においては、溶融樹脂が金型キャビティ内に射出充
填されるとき、金型キャビティ内を満たしていた空気
は、樹脂と置換され外部に排出される。このため、一般
に射出成形用金型では、該空気が排出されるようにパー
ティング面や突き出しピン周囲等に隙間を設けている。
ところが、溶融樹脂は高速・高圧で金型キャビティ内に
射出充填されるので、排気が不充分の場合、金型キャビ
ティ内の空気は、急速に断熱圧縮され樹脂が焼け現象を
起こすほどに高温・高圧となる。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、金型キャビティ
を気密構造とし、溶融樹脂の最終充填部付近の特定箇所
に排出通路を設ければ、溶融樹脂で断熱圧縮された高圧
の空気を回収することができる。本発明は、この回収さ
れた圧縮空気を上記特開平5ー16177号公報のボイ
ド発生用空気源として利用するものである。
【0009】即ち本発明は、異なる肉厚を持つ熱可塑性
樹脂成形品を射出成形する際、ヒケ現象が起きやすい厚
肉部に相当する金型キャビティの任意の位置にボイド挿
入ピンを設けて、前記キャビティに溶融樹脂を射出充填
し、前記ボイド挿入ピンを介してそのピン先端に、該ピ
ンの先端近傍に生じている樹脂スキン層を突き破る圧力
の加圧ガスを作用させ、その先端付近の溶融樹脂中にボ
イドを誘起させた後、前記溶融樹脂の冷却・固化に伴う
収縮力で、充填された樹脂の冷却に伴う収縮量に見合っ
た大きさに前記ボイドを成長させて成形品のヒケを防止
する射出成形法において、溶融樹脂注入口を除く前記キ
ャビティ全体を気密構造とすることにより、溶融樹脂の
射出充填に伴い圧縮される前記キャビティ内の空気を、
キャビティから設けた空気導通路により前記ボイド挿入
ピンへと導びいて、前記加圧ガス源とすることを特徴と
する熱可塑性樹脂成形品の射出成形方法である。
【0010】又製造される熱可塑性樹脂成形品の形状に
対応して肉厚部及び薄肉部をもつキャビティと、該キャ
ビティに溶融樹脂を射出する射出注入ゲートと、ヒケ現
象が起きやすい厚肉部に相当する金型キャビティ部分に
先端が突出した状態で固定された単数又は複数のボイド
挿入ピンとを備え、かつ溶融樹脂注入口を除いて金型キ
ャビティが気密構造であり、該キャビティの溶融樹脂充
填末端部付近の空気排出口と前記ボイド挿入ピン先端と
が空気導通路で接続されていることを特徴とする射出成
形用金型装置である。また溶融樹脂注入口を除いて金型
キャビティが気密構造であり、溶融樹脂の射出充填操作
によって金型キャビティ中から排出される空気を、空気
導通路を介し、圧縮空気として回収保存する装置と、該
回収装置から前記ボイド挿入ピン先端へ該圧縮空気を供
給する装置を備えていることにも特徴を有する射出成形
用金型装置である。
【0011】以下本発明を詳細に説明する。射出成形機
によって熱可塑性樹脂を成形するとき、一般にノズル部
の平均射出圧力は約600〜1500kgf/cm2 、
平均射出率は約150〜500cm3/sec程度であ
る。一方、金型キャビティ内の溶融樹脂先端の平均圧力
は、溶融樹脂の固化による粘度上昇、スプルー、ランナ
ー及びゲートなどの種々な圧力損失要因により低下し、
約100〜500kgf/cm2 程度となる。金型キャ
ビティ内の空気は、この溶融樹脂先端の充填圧力で圧縮
され、空気導通路内に圧縮空気として蓄積され、ボイド
挿入ピンから先端部の樹脂層に作用する。このときの空
気の圧力は、金型キャビティの容積と空気導通路の容積
との比による圧縮率で決定される。一般に、本発明でヒ
ケを防止しようとする厚肉部を持つ成形品の体積は、空
気導通路の容積と比べ格段に大きいので、容易に5〜1
5kgf/cm2 程度の圧力は得ることができる。該空
気を効率よく蓄積するには、金型のパーティング面、ス
プルーブッシュ、エジェクターなどの一部又は全部を耐
熱性合成ゴム等の弾性体のOリングなどで気密に密封す
ると良い。また成形品が大型となり、金型キャビティの
容積と空気導通路の容積との比が著しく大きくなる場合
は、キャビティ内で圧縮された空気を空気導通路を通し
て外部の蓄圧タンクに一旦溜め、ボイド誘起用圧縮空気
として適切な空気圧に制御してから、空気導通路を通じ
ボイド挿入ピンに供給する。
【0012】本発明に従う金型は、製品形状に対応した
厚肉部及び薄肉部からなるキャビティを備え、該キャビ
ティの厚肉個所に先端が突出したボイド挿入ピンが設置
されている。該ボイド挿入ピンの基部にはキャビテイ内
からの空気排出路または導通路が連結されている。以下
添付図面に基づいて説明する。図1は本発明による射出
成形用金型装置の一例を示す断面図である。図中、1は
射出成形用金型であり、固定型2と可動型3とからな
る。固定型2と可動型3の間に挟まれて、成形品の形状
に対応する内面形状を備えたキャビティ4が形成され、
固定型2には溶融樹脂を射出するためのスプルー5が設
けられている。可動型3には、溶融樹脂をキャビティ4
に射出したときにパーティング面から排出される圧縮空
気を回収するための空気排出路7が、該キャビティの溶
融樹脂充填末端部付近に設けられている。またその外周
には該キャビティを気密構造とするために空気漏れを防
止するシーリング材9が固定型2に取付けられている。
可動型3には、尖ったピン先端15を該キャビティ内に
突出させたボイド挿入ピン6が、該キャビティの厚肉個
所4' に設置されている。このボイド挿入ピン6の根元
と空気排出路7とは空気導通路8により接続されてい
る。なおボイド挿入ピン6は先端が尖ったものであれ
ば、中実ピンもしくは中空ピンのいずれでもよい。中実
ピンの場合は加圧ガスは周辺部を通過させるが、一方中
空ピンの場合は加圧ガスは内部を通過させ先端の単孔又
は多孔ノズルから溶融樹脂中へ注入される。図2に示し
たものは中実ピンの場合であり、以下これについて説明
する。
【0013】ボイド挿入ピン6が嵌挿される可動型3に
は、図2に示すように嵌挿孔10が形成されている。嵌
挿孔10は、大径部11とキャビティ4側に位置する小
径部13とを備えている。大径部11は、ボイド挿入ピ
ン6の断面よりも大きな径をもっており、ボイド挿入ピ
ン6の側面との間に環状の空間部12が形成される。こ
の空間部12は圧縮空気導入路として、ボイド挿入ピン
6の根元で空気導通路8に接続されている。小径部13
は、ボイド挿入ピン6の断面よりも若干大きな径をもっ
ており、ボイド挿入ピン6との間に狭間隙の環状空隙部
14を形成する。この狭間隙は、溶融樹脂をキャビティ
に充填するとき溶融樹脂が流入しないように、0,05
mm〜0,1mm程度に設定してある。
【0014】本発明の製造方法においては、まず図1に
示される金型1の固定型2と可動型3を閉じ、スプルー
5を通してキャビティ4内に、該キャビティを満たすに
充分な量の溶融樹脂を射出充填する。上記操作によっ
て、キャビティ内に存在していた空気は、射出充填圧力
で溶融樹脂に置換されながら、充填末端部に近いパーテ
ィング面の僅かな間隙から空気排出路7に押し出され、
空気排出路7と空気導通路8とに圧縮空気となって蓄積
される。次いで、射出充填が完了したら溶融樹脂の冷却
工程に移る。この状態で、空気排出路7と空気導通路8
とに蓄積された圧縮空気は、パーティング面からキャビ
ティ4に逆流しようとするが、該パーティング面は射出
充填された樹脂の充填圧力ででシールされているので、
圧縮されたまま保持される。
【0015】一方、図2に示すように、圧縮空気導入路
となる空間部12および環状空隙部14を通って環状空
隙部14の先端部で樹脂スキン層にシールされていた空
気導通路8からの圧縮空気は、樹脂の冷却の進行により
生じる体積収縮で厚肉個所4’の樹脂の内部に残留した
充填圧力が蓄積された圧縮空気の圧力以下に低下する
と、ボイド挿入ピン先端15の表面から樹脂表面スキン
層15’を剥離させながらボイド挿入ピン6のピン先端
にむかい、先端部にその圧力を集中する。そして、該ピ
ンの先端近傍に生じている樹脂スキン層15’の一番薄
い部分が、圧縮空気の圧力と体積収縮により生じた溶融
樹脂内部の負圧状態との差圧で、突き破られる。ボイド
挿入ピン6が尖った先端形状である効果は、先端に近い
ほど樹脂スキン層15’の冷却を遅らせてその部分の樹
脂スキン層を薄いままに維持し、なおかつ圧縮空気の圧
力をピン先端の一点に集中させることで、圧縮空気が容
易にピン先端部の薄い樹脂スキン層を突き破って貫通孔
16を形成することにある。従って、ボイド挿入ピン6
はキャビティ壁からのボイド挿入ピン先端15の突出量
をその径と同程度に低めることができ、上記差圧もごく
少なくて済む。形成された貫通孔16からは溶融樹脂の
中に圧縮空気が取り込まれ、ボイド成長の核となるボイ
ド核17を形成する。
【0016】つづいて冷却工程の進行に伴い、ボイド核
17は、周囲の溶融樹脂の冷却・固化に伴う体積収縮に
より吸引されて、図3に示すように、周囲の溶融樹脂の
冷却・固化に伴う体積収縮量に比例した大きさにボイド
18として成長していく。このとき、圧縮空気の圧力
は、樹脂の体積収縮力と相乗してボイド核17を押し広
げ、ボイド18へと成長を助長するが、まもなくボイド
18の体積増加によりその圧力を低下させてしまう。し
かし、成長を始めたボイド自身には、代わりに冷却工程
の進行に従って増加する樹脂の体積収縮力が強く働き、
ボイド18は前記体積収縮力を吸収しながらヒケを防止
するのに充分な大きさにまで成長し続ける。この作用
で、ボイド挿入ピン周囲から厚肉部全体にまでヒケ抑制
作用が及んで、厚肉部のみならず周辺の薄肉部や隣接す
る厚肉部のヒケまでも抑制することが可能となる。冷却
工程が完了したとき、金型を開いて成形品を取り出す。
【0017】得られた成形品は、表面にヒケが全く生じ
ておらず、キャビティの形状を完全に転写した外観の優
れた表面性状を持つものとなる。また、自由に設計され
た厚肉部で成形品自体の骨格を形成することができるた
め、従来の一般的な射出成形品では実現できなかった強
度、剛性をもつ成形品を得ることができる。なお本発明
に従って射出成形される樹脂は、特段その種類が限定さ
れるものではなく、ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレ
ン、スチレンーアクリロニトリル共重合体、ポリメチル
メタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、AB
S、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート樹脂等のほとん
どの熱可塑性樹脂、或いは充填強化材を混入した樹脂等
がある。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照しながら、実施例を説明す
る。 実施例1 本実施例においては、図4に示すように箱型成形品の天
板部42の背面に4ヵ所の厚肉リブ43を持つ射出成形
体40を製造する。なお、天板部42には、溶融状態の
熱可塑性樹脂を注入するためのスプルー45が形成され
ている。製品ではスプルー45は切り落とされる。リブ
43は長さ100mm,高さ17mmで、第5図のリブ
部断面に示すように、天板部42の厚み3mmに比較し
てリブ部は根元44の厚み10mmと大きな厚肉部にな
っている。
【0019】この射出成形体40を、図1において説明
した射出成形用金型を用いて成形を行った。まず、固定
型2と可動型3を閉じ、スプルー5を通してキャビティ
4内に、該キャビティを満たすに充分な量の溶融状態の
ゴム強化ポリスチレン樹脂(新日鐵化学製エスチレンH
−65)を射出時間1.5秒間で射出充填した。この状
態で60秒間の冷却工程を経た後、可動型3を開き射出
成形体40を金型から取り出した。このとき射出成形体
40には、それぞれのボイド挿入ピン6の先端に相当す
る箇所に直径0.5mm前後の貫通孔が形成され、そこ
から厚肉リブ43の内部の長手方向に向けて射出充填さ
れた溶融樹脂の冷却・固化にともなう体積収縮量相当の
大きさのボイドが成長していた。得られた射出成形体4
0の表面状態を調査したところ、天板42の表面部44
にはヒケ等の表面欠陥は何ら検出されなかった。
【0020】比較例1 本比較例においては、図1の射出成形用金型の空気導通
路8を封止するとともにシーリング材9も除去し、パー
ティング面からキャビティ内の空気が通常通り型外に十
分排出されるようにし、他は実施例1と同様な条件下で
成形した。射出成形体40にあっては、ボイド挿入ピン
6の先端に相当する位置の成形体表面に貫通孔がなく、
その先の内部にもボイドは形成されず、リブ設置部に対
応する表面部44及び厚肉リブ43自体の側面に著しい
ヒケが発生し、製品としての表面性状に劣るものであっ
た。
【0021】実施例2 本実施例においては、実施例1と同様の箱型成形品で成
形品のサイズが大きくなった射出成形体40を製造す
る。成形品が大型のため、金型キャビティの容積と空気
排出路の容積との比が著しく大きくなり、蓄積される圧
縮空気の圧力が高まってシールが困難とならないよう
に、圧縮された空気を空気排出路を通して外部の蓄圧タ
ンクに一旦溜め、ボイド誘起用圧縮空気として適切な空
気圧に制御してから、空気導通路を通じボイド挿入ピン
に供給した。
【0022】用いた金型は、第6図に示すように、実施
例1と同様に固定型2と可動型3とからなり、固定型2
と可動型3の間に挟まれて、成形品の外面形状に対応す
る内面形状を備えたキャビティ4が形成され、固定型2
には溶融樹脂を射出するためのスプルー5が設けられて
いる。可動型3には、溶融樹脂をキャビティ4中に射出
した際にパーティング面から排出される圧縮空気を回収
するための空気排出路7が設けられ、その外周にはパー
ティング面からの空気漏れを防止するためのシーリング
材9を取付けている。空気排出路7からは空気導通路8
が設けられていて、外部空気回路24に接続している。
キャビティの各厚肉個所4' にはピン先端15が突出し
たボイド挿入ピン6が、少なくとも一か所、設置され
る。このボイド挿入ピン6の根元のカプラー部25に
は、外部空気回路24が接続されている。金型外には、
外部空気回路24と空気回路の開閉を行うための三方口
のソレノイドバルブ21及び空気排出路7から逆流防止
弁22を介して回収した圧縮空気を溜める蓄圧タンク2
0を設置し、金型本体と合わせて金型装置を形成した。
圧縮空気回路、蓄圧タンクは断熱材で断熱した。
【0023】まず第6図に示される金型1の固定型2と
可動型3を閉じ、次いで、スプルー5を通してキャビテ
ィ4内に、該キャビティを満たすに充分な量の溶融状態
のゴム強化ポリスチレン樹脂(新日鐵化学製エスチレン
H−65)を射出時間1.5秒間で射出充填した。この
とき、キャビティ4内の空気は、圧縮されながら空気排
出路7から空気導通路8へと追い出され、接続された外
部空気回路の逆流防止弁22を通って蓄圧タンク20に
蓄積される。蓄圧タンク20内の圧縮空気の圧力は圧力
調整弁23により5kgf/c に調整される。溶融樹
脂の射出完了の1秒後にソレノイドバルブ21を開放し
て、蓄圧タンクに溜まった圧縮空気(5kgf/c )
をボイド挿入ピン6の先端に作用させた。8秒後にソレ
ノイドバルブ21を閉じて圧縮空気の供給を止め、ボイ
ド挿入ピンからの空気回路を大気に解放した。60秒間
の冷却工程を経た後、射出成形体40を金型1から取り
出した。得られた射出成形体40のボイド挿入ピン6の
先端に相当する位置には、成形体表面に直径0.5mm
前後の貫通孔が開き、その先の内部にはボイドが形成さ
れていた。得られた射出成形体40の表面状態を調査し
たところ、ヒケ等の表面欠陥は何ら検出されなかった。
【0024】比較例2 本比較例においては、実施例2の金型装置を用い、実施
例2と同様まず第6図に示される金型1の固定型2と可
動型3を閉じ、次いで、スプルー5を通してキャビティ
4内に、該キャビティを満たすに充分な量の溶融状態の
ゴム強化ポリスチレン樹脂(新日鐵化学製エスチレンH
−65)を射出時間1.5秒間で射出充填した。しか
し、ソレノイドバルブ21を閉じたまま60秒間の冷却
工程を経て、射出成形体40を金型1から取り出した。
得られた射出成形体40は、ボイド挿入ピン6の先端に
相当する位置の成形体表面に貫通孔がなく、その先の内
部にもボイドは形成されず、リブ設置部に対応する表面
部44及び厚肉リブ43自体の側面に著しいヒケが発生
し、製品としての表面性状が著しく劣るものであった。
【0025】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、異なる肉厚をもつ熱可塑性樹脂成形品を成形する
際、ヒケ現象が起きる金型キャビティの厚肉個所にボイ
ド挿入ピンを設けて、該キャビティにキャビティを満た
すに十分な量の溶融樹脂を射出充填し、その際、該溶融
樹脂に置換されて該キャビティから排出される加圧ガス
を、空気導通路から該ボイド挿入ピンを介してそのピン
先端に作用させ、該ボイド挿入ピンの先端部の溶融樹脂
中にボイドを誘起せしめた後、該溶融樹脂の冷却・固化
に伴う収縮力で収縮に見合った大きさに該ボイドを成長
させて成形品のヒケを防止するものである。
【0026】その結果、得られた射出成形体は、極端な
厚肉部と薄肉部とを併せ持った複雑な形状であっても、
ヒケ等の表面欠陥がなく、優れた表面性状をもつ商品価
値の高いものとなる。しかも、本成形法は、溶融樹脂の
充填・保圧力を高く保持してヒケの防止を図る従来の射
出成形法に比べ、保圧工程を省略することも出来るの
で、型締力のより小さい成形機の使用が可能となり、成
形歪も低く抑えられる等の利点がある。また、本成形法
は、高圧ガスを補助として使用する従来の射出成形法と
くらべても、厚肉部内部に高圧ガスを流して中空化する
等の無理な樹脂の流動を伴わないので、成形が極めて容
易であり、且つ取り扱いが困難な特殊高圧ガスを必要と
しない等、実用上きわめて有利な射出成形法である。な
おかつ、先に我々が特開平5−16177号公報で提案
した、ボイド現象を積極的にヒケ発生防止に活用する射
出成形法と比べても、外部からのガス供給設備が不要と
なり、既存の成形設備で容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による射出成形用金型装置の一例を示す
断面図である。
【図2】本発明に従った加圧空気でボイド挿入ピン先端
にボイド核が誘起される状態を示す断面図である。
【図3】本発明に従った樹脂冷却の進行に伴うボイドの
成長状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例1で射出成形した箱型成形品を
示す一部切欠きの斜視図である。
【図5】図4の一部のリブ部断面図を示す。
【図6】本発明の実施例2で使用した金型キャビテイに
おける圧縮空気回収と、ボイド挿入ピン先端への圧縮空
気供給を説明する一部断面図である。
【符号の説明】
1 射出成形用金型 2 固定型 3 可動型 4 キャビティ 5 スプルー 6 ボイド挿入ピン 7 空気排出路 8 空気導通路 9 シーリング材 4’ 厚肉個所 10 嵌挿孔 11 大径部 12 環状の空間部 13 小径部 14 環状空隙部 15 ピン先端 15’ 樹脂表面スキン層 16 貫通孔 17 ボイド核 18 ボイド 20 蓄圧タンク 21 三方口のソレノイドバルブ 22 逆流防止弁 24 外部空気回路 25 カプラー部 40 射出成形体 42 天板部 43 厚肉リブ 44 リブ部の根元 45 スプルー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なる肉厚を持つ熱可塑性樹脂成形品を
    射出成形する際、ヒケ現象が起きやすい厚肉部に相当す
    る金型キャビティの任意の位置にボイド挿入ピンを設け
    て、前記キャビティに溶融樹脂を射出充填し、前記ボイ
    ド挿入ピンを介してそのピン先端に、該ピンの先端近傍
    に生じている樹脂スキン層を突き破る圧力の加圧ガスを
    作用させ、その先端付近の溶融樹脂中にボイドを誘起さ
    せた後、前記溶融樹脂の冷却・固化に伴う収縮力で、充
    填された樹脂の冷却に伴う収縮量に見合った大きさに前
    記ボイドを成長させて成形品のヒケを防止する射出成形
    法において、溶融樹脂注入口を除く前記キャビティ全体
    を気密構造とすることにより、溶融樹脂の射出充填に伴
    い圧縮される前記キャビティ内の空気を、キャビティか
    ら設けた空気導通路により前記ボイド挿入ピンへと導び
    いて、前記樹脂スキン層を突き破る加圧ガス源とするこ
    とを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の射出成形方法。
  2. 【請求項2】 製造される熱可塑性樹脂成形品の形状に
    対応して肉厚部及び薄肉部をもつキャビティと、該キャ
    ビティに溶融樹脂を射出する射出注入ゲートと、ヒケ現
    象が起きやすい厚肉部に相当する金型キャビティ部分に
    先端が突出した状態で固定された単数又は複数のボイド
    挿入ピンとを備え、かつ溶融樹脂注入口を除いて金型キ
    ャビティが気密構造であり、該キャビティの溶融樹脂充
    填末端部付近の空気排出口と前記ボイド挿入ピン先端と
    が空気導通路で接続されていることを特徴とする射出成
    形用金型装置。
  3. 【請求項3】 溶融樹脂注入口を除いて金型キャビティ
    が気密構造であり、溶融樹脂の射出充填操作によって金
    型キャビティ中から排出される空気を、空気導通路を介
    し、圧縮空気として回収保存する装置と、該回収装置か
    ら前記ボイド挿入ピン先端へ該圧縮空気を供給する装置
    を備えていることを特徴とする請求項2記載の射出成形
    用金型装置。
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