JP3469644B2 - 合成樹脂成形品の射出成形方法 - Google Patents

合成樹脂成形品の射出成形方法

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JP3469644B2
JP3469644B2 JP20494194A JP20494194A JP3469644B2 JP 3469644 B2 JP3469644 B2 JP 3469644B2 JP 20494194 A JP20494194 A JP 20494194A JP 20494194 A JP20494194 A JP 20494194A JP 3469644 B2 JP3469644 B2 JP 3469644B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂成形品の射出
成形方法に係り、特に薄肉成形品やボスやリブを有して
成形品表面にひけが生じやすい合成樹脂成形品、例えば
自動車のダッシュボード、ドアハンドルカバー等の内外
装品や、家電製品のケーシング等の成形に利用できる。
【0002】
【背景技術】射出成形による合成樹脂成形品には、固有
の成形収縮があるため、特にボスやリブの中心部や厚肉
部など冷却が遅れた部分の収縮によって成形品の表面に
はひけが生じていた。このため、従来の射出成形では、
金型のキャビティ内に射出した樹脂に、過大な保持圧力
を加えてひけを防止することが行われていたが、ひけを
完全に無くすことは難しく、むしろボス、リブ、厚肉部
以外の面に過大な保持圧力が加わることで反り変形が生
じるという問題があった。
【0003】一方、このような過大な保持圧力を加えず
にひけを防止する方法として、特開昭50−75247
号公報や特開昭59−220337号公報に示すよう
に、圧縮空気等の圧力流体をキャビティ内に圧入して樹
脂をキャビティ内面に押しつけてひけを防止する射出成
形方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、樹脂を
キャビティ内面に十分に押しつけることができるよう
に、キャビティ内に高圧力の圧力流体を圧入すると、特
にキャビティ内に樹脂を射出した直後の樹脂が溶融状態
にあるときに、圧力流体が樹脂内部に侵入し、その侵入
痕によって成形品の外観が低下し、かつ圧力流体の侵入
で材質が不均一となって成形品の強度が低下し、不良品
になるという問題があった。
【0005】一方、このような問題が生じないように、
圧力流体の圧力を低圧にすると、樹脂を十分にキャビテ
ィ内面に押しつけることができず、ひけや反りを完全に
防止することができないという問題があった。
【0006】本発明の目的は、リブやボス等を有する合
成樹脂射出成形品や薄肉成形品のひけや反り、歪みを防
止でき、かつ成形品の表面状態を良好にでき、材質も均
一にできて高強度の成形品を成形することができる合成
樹脂成形品の射出成形方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の合成樹脂成形品
の射出成形方法は、金型を閉じた後、金型のキャビティ
内に溶融樹脂を充填させて溶融樹脂が冷却固化されつつ
あるときに、前記キャビティ面および樹脂間(キャビテ
ィ内の成形品の裏面側)に窒素ガス等の圧縮流体を注入
するとともに、その注入圧力を注入初期は低圧力(樹脂
種類や成形品形状等に応じて設定される所定値)に制御
し、その後高圧力(前記低圧力よりも高い圧力値)に制
御して2段階以上の圧力制御を行い、溶融樹脂が冷却固
化したら金型を離型して成形品を取り出すことを特徴と
する。
【0008】この際、前記圧縮流体の注入圧力は、注入
初期においてはキャビティ内の樹脂内に圧縮流体が侵入
しない低圧力に制御し、その後樹脂表面が冷却された後
に高圧力の圧縮流体を注入することが望ましい。なお、
圧縮流体が樹脂内に侵入しない低圧力とは、圧縮流体が
全く樹脂に侵入しない圧力を意味するものではなく、圧
縮流体が実質的に樹脂内に侵入しない圧力、つまり成形
品の強度低下や外観低下が生じない程度の流体侵入は許
容する圧力を意味するものである。この圧縮流体の具体
的な圧力は、樹脂種類や冷却固化状態、成形品形状等に
応じて適宜設定されるが、例えば注入初期の低圧力を3
MPa以下に設定し、その後の高圧力を3.5MPa以
上、より好ましくは4MPa以上に設定すればよい。
【0009】なお、キャビティ内に注入される圧縮流体
は、例えば成形品を離型させる突き出しピンのクリアラ
ンス(突き出しピンと突き出しピンが嵌挿されている金
型貫通孔との隙間)などからキャビティ内に注入すれば
よい。
【0010】
【作用】このような本発明においては、圧縮流体の注入
初期つまりキャビティ内に射出された溶融樹脂が冷却固
化し始めた状態にあるときには、低圧力の圧縮流体をキ
ャビティ内に注入しているため、樹脂内に圧縮流体が侵
入することがなく、材質不均一による成形品の強度低下
や、侵入痕による成形品外観の低下などが防止される。
また、圧縮流体の注入後期つまり溶融樹脂の表面が冷却
固化されてから、高圧力の圧縮流体をキャビティ内に注
入しているため、樹脂内に圧縮流体が侵入することがな
く、かつキャビティ内の溶融樹脂(成形品)は、その表
面側がキャビティ内面に押圧されるため、リブやボスを
有する成形品や薄肉成形品を成形する場合であっても成
形品表面側のひけや反りは防止される。
【0011】さらに、圧縮流体の注入によってひけを防
止しているため、キャビティ内に射出される溶融樹脂に
過大な保持圧力を加える必要が無く、低圧力の射出成形
が行えて成形品の反りや歪みも防止されるとともに、生
産性も向上される。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1には、本実施例の射出成形装置1の概略構
成図が示されている。射出成形装置1は、スクリュー2
を有して樹脂を溶融混練する射出装置3と、固定金型4
および可動金型5が取り付けられた型締装置6とを備え
ている。可動金型5には、突き出し板7を介して押され
てその先端がキャビティ8内に突出することで成形品を
取り出す突き出しピン9が、可動金型5の貫通孔10を
通して設けられている。
【0013】可動金型5には、前記貫通孔10にそれぞ
れ連通されたガス供給路11が形成され、このガス供給
路11はガス注入制御装置12に接続されている。ガス
注入制御装置12は、コンプレッサからの駆動エアによ
って駆動されて注入用の窒素ガスを増圧して圧縮流体と
する増圧器13と、射出装置3からの信号によって、つ
まり射出タイミングによって、ガス供給路11への窒素
ガス供給を制御する開閉バルブ14や増圧器13の動作
を制御する制御装置15を備えている。従って、これら
ガス供給路11およびガス注入制御装置12によって圧
縮流体供給手段が構成されている。
【0014】開閉バルブ14は、窒素ガスの供給を制御
する供給用電磁バルブ16と、注入した窒素ガスを排気
するための排気用電磁バルブ17と、供給する窒素ガス
の圧力制御用電磁バルブ18との3つのバルブを備えて
おり、これらの各バルブ16,17,18は、前記制御
装置15によって個別に開閉制御されている。
【0015】なお、本実施例のキャビティ8は、図2に
示すように、2本のリブ91を備える板状の成形品90
を形成するものであり、可動金型5にはリブ形成用の2
条の凹溝19が形成されている。また、図3に示すよう
に、可動金型5のキャビティ8内面における凹溝19の
外側には成形品90に防壁92を形成するための断面三
角形状の溝20が凹溝19に沿って形成されている。な
お、溝20の形状としては、断面三角形状のみでなく、
たとえば薄肉リブと同様な断面長方形であってもよい。
溝20の深さ寸法(防壁92の高さ寸法)は、後述する
窒素ガスの保持能力および使用樹脂の増加量を考慮して
約2〜10mm程度に設定されている。
【0016】可動金型5の貫通孔10は、前記凹溝19
間と凹溝19および溝20間とに形成され、図2および
図3に示すように、キャビティ8側先端部は小径とされ
て突き出しピン9とのクリアランスAが1/100 〜8/100
mm(10〜80μm)となるように設定されている。また、
貫通孔10の突き出し板7側(キャビティ8とは反対
側)には、突き出しピン9との隙間をシールするOリン
グ等のシール材21が設けられている。
【0017】次に、本実施例における射出成形の手順に
ついて説明する。まず、型締装置6を利用して金型4,
5を閉じ、射出装置3により溶融樹脂をキャビティ8内
に所定量射出する。この際、樹脂充填に従って突き出し
ピン9に加わる樹脂圧力は上昇するが、貫通孔10のキ
ャビティ8側先端部のクリアランスAが1/100 〜8/100
mmと狭くされているので、貫通孔10内への樹脂流入は
防止され、クリアランスに詰まることなく樹脂充填が行
われる。
【0018】溶融樹脂が所定量充填され、充填終了を知
らせる信号が射出装置3からガス注入制御装置12に送
られると、増圧器13が作動されるとともに、供給用バ
ルブ16が開かれてガス供給路11を通して貫通孔10
に窒素ガスが注入される。この際、溶融樹脂は冷却固化
されつつあってキャビティ8との間に隙間が生じている
とともに、貫通孔10の突き出し板7側はシール材21
でシールされているため、貫通孔10に注入された窒素
ガスは、突き出しピン9のクリアランスを通してキャビ
ティ8内に注入される。
【0019】この際、窒素ガス(圧縮流体)の注入初期
は、圧力制御用バルブ18を開いて窒素ガスの一部を排
気することで圧力が下げられて低圧(例えば増圧器13
における圧力が0.5〜3MPa)とされた窒素ガスを
所定時間(例えば0.2〜3秒)注入し、その後にバル
ブ18を閉じて高圧(例えば3.5〜20MPa)とさ
れた窒素ガスを所定時間(例えば2秒以上)注入するよ
うに、制御装置15で開閉バルブ14が制御されてい
る。
【0020】キャビティ8内に低圧の窒素ガスを注入す
ると、可動金型5のキャビティ8内面とこれに接してい
る成形品90の裏面側との間に窒素ガスが注入され、成
形品90と可動金型5との間に空間が形成される。さら
に、高圧の窒素ガスを注入すると、この空間に高圧窒素
ガスが充填されて成形品90に十分な保持圧力が加わ
り、成形品90の表面側が固定金型4のキャビティ8内
面に押圧され、ひけ発生が防止される。
【0021】この時、窒素ガスは、図2,3に示すよう
に、凹溝19間(成形品90のリブ91間)や、凹溝1
9および溝20間(成形品90のリブ91および防壁9
2間)に注入されるため、ひけが生じやすいリブ91部
分から窒素ガスが漏れ出すことが無く、リブ91部分へ
の十分な保持圧力が維持される。
【0022】そして、溶融樹脂が冷却固化したら、排気
用バルブ17を開いてキャビティ8内のガスを抜き、金
型4,5を離型するとともに、突き出しピン9を突出さ
せて成形品90を取り出し、射出成形の1つのサイクル
を終了する。以上の成形サイクルを繰り返し、成形品9
0を順次製造する。
【0023】このような本実施例によれば、次のような
効果がある。すなわち、溶融樹脂を射出した直後の冷却
固化の初期段階つまり窒素ガスの注入初期段階では、圧
力制御用バルブ18を開いて窒素ガスの圧力を低圧とし
ているので、冷却初期の樹脂表面の固化した層が薄い状
態のときに、窒素ガスの圧力で固化層が破れてガスが樹
脂内部に潜ってしまうことがなく、ガスが樹脂内部に侵
入して材質が不均一になることによる強度の低下や、侵
入痕による外観の低下がない高品質な成形品90を製造
することができる。
【0024】さらに、窒素ガスの注入後期段階では、圧
力制御用バルブ18を閉じて窒素ガスの圧力を高圧とし
ているので、キャビティ8内の樹脂(成形品)を十分な
力でキャビティ8内面に押圧することができ、溶融樹脂
が冷却固化するまで樹脂表面側とキャビティ8内面との
密着状態を維持することができ、リブ91やボス等を有
する成形品90や薄肉の成形品を成形する場合でもひけ
や反りを防止することができる。また、窒素ガスの注入
後期段階では、キャビティ8内の樹脂は、その表面の冷
却固化が進んでおり、高圧力の窒素ガスを注入しても樹
脂内部にガスが侵入することはなく、ガス侵入による外
観低下や強度低下を確実に防止できる。
【0025】そして、キャビティ8内に窒素ガスを注入
することで成形品90のひけを防止することができるの
で、従来のようにひけ防止のために高圧射出成形を行う
必要が無く、ひけの生じない低圧射出成形を実現するこ
とができる。このため、低圧成形が可能であり、成形サ
イクルも早くできるため、成形品90の品質を低下させ
ることなく生産性を向上することができる。また、低圧
射出成形を行えるため、成形品90に過大な保持圧力が
加わることがなく、反りや歪みなどの成形歪みの分布を
減少でき、成形品90の精度を向上することができ、高
品質の成形品90を成形することができる。
【0026】さらに、可動金型5に凹溝19のほかに溝
20を形成し、成形品90にリブ91のほかに防壁92
を形成したので、注入したガスをリブ91等のひけが発
生しやすい部分に保持しておくことができ、所定の保持
圧力を樹脂が冷却固化するまで維持することができ、成
形品90のひけを確実に防止することができる。
【0027】金型5に通常設けられている突き出しピン
9の貫通孔10とのクリアランスを通してキャビティ8
内に窒素ガスを注入しているため、ガス注入用の導孔を
形成して弁棒を設けたり、多孔部材を配置して新たな機
構を加える場合に比べて、金型5の構造を簡素化するこ
とができて安価に提供することができる。この際、突き
出しピン9周囲のクリアランスAを1/100 〜8/100 mmと
しているので、溶融樹脂が貫通孔10内に流入すること
を防止できるとともに、窒素ガスのキャビティ8への流
入を妨げることが無く、十分なガスをスムーズに供給す
ることができ、窒素ガスによる保持圧力を高めて成形品
90のひけを確実に防止することができる。
【0028】また、圧縮流体として不燃性の窒素ガスを
用いているので、キャビティ8内への注入によって膨張
したり加熱されても爆発のおそれがなく、射出成形の安
全性を確保することができる。
【0029】さらに、成形品90の裏面側と可動金型5
間に窒素ガスが注入されて隙間が形成されるため、成形
品90を容易に離型することができ、離型不良によるト
ラブル発生を防止でき、効率のよい射出成形を行うこと
ができる。
【0030】次に、本発明の効果を確認するために行っ
た実験例について説明する。本実験例は、図4に示され
るような、リブ91を有する正方形状の薄い平面材95
を形成し、表1に示すように、各種条件を変えて成形状
態(平面材95でのひけなどの発生状態や、射出成形が
トラブル無く行えるか)を評価したものである。
【0031】平面材95を成形するにあたって、射出成
形機として東芝機械製IS-200を用い、樹脂としてMFR
(メルトフローレシオ)[230℃,2.16kgf]=10g/10min
のブロックPP(ポリプロピレン)を用いた。平面材9
5は、一辺の長さLが250mmとされ、2本の平行リ
ブ91が形成され、リブ91以外の一般肉厚dは2.5
mmに、リブ91の基部厚み(幅)bは2mmに設定さ
れている。なお、図4は理解しやすいように、リブ91
および平面材95の肉厚が実際の寸法比に比べて大きく
されている。
【0032】また、型締圧は200tに設定し、樹脂温
度および金型温度は表1のように設定した。そして、ガ
ス圧力を2段階に制御してその圧力値を変更したり、ピ
ンクリアランスAの寸法を変更して実験例1〜6を行
い、平面材95のひけ状態を表面粗さ計(小坂研究所製
サーフコーダSE−30D)を用いて検出した。一方、
参考例1〜6として、ガス圧を2段制御せずに最初から
最後まで同じ圧力で窒素ガスを注入した場合(参考例1
〜6)についても、その圧力値を変更したり、ピンクリ
アランスAの寸法を変更して実験した。
【0033】
【表1】
【0034】表1に示すように、初期ガス圧を低くし、
その後の保圧ガスを高めにするガス圧力の2段制御を行
えば、ガスが成形品90内に侵入する(潜る)ことがな
く、かつひけ量もきわめて小さくて肉眼では確認するこ
とが困難な程度に防止することができ、高品質でかつ十
分な強度を有する成形品90(平面材95)を生産する
ことができた。この際、樹脂種類、成形品形状、成形品
の大きさ、成形条件等に応じて、突き出しピン9のピン
クリアランスAを適切に設定すれば(実験例では1/100
〜8/100mm )、樹脂の貫通孔10内への流入もなく、窒
素ガスのキャビティ8内への流入も阻害されず、確実な
ガス保圧を行うことができることが判った。
【0035】一方、参考例3,4のように、ピンクリア
ランスAを適切に設定しても、注入ガスの2段階圧力制
御を行わず、最初から高圧(5あるいは8MPa)の窒
素ガスを注入すると、ひけ量は小さくできたが、ガスが
成形品90内に侵入し、外観低下や強度低下が発生し
た。なお、参考例1,2のように、突き出しピン9のク
リアランスAが小さすぎると窒素ガスの流入が阻害さ
れ、十分なガスをキャビティ8内に供給できず、ひけ量
も大きくなった。また、参考例5,6のようにクリアラ
ンスAが大きすぎると、溶融樹脂がクリアランス部分
(貫通孔10)内に流入して詰まってしまいガスを供給
できず、やはりひけ量が大きくなった。従って、突き出
しピン9のクリアランスから窒素ガスを注入する場合に
は、ピンクリアランスAを適切に設定しなければ、成形
品90のひけ量を小さくすることができないことも判っ
た。
【0036】以上のことから、キャビティ8内に注入す
る窒素ガス(圧縮流体)の圧力を、注入初期の低圧力段
階と、注入後期の高圧力段階との2段階制御を行うこと
で、リブ91を有する成形品90のひけを防止でき、か
つガスの成形品90内への侵入を防止でき、高品質、高
精度、高強度の成形品90が成形できることがわかり、
本発明の有用性が確認できた。
【0037】以上、本発明について好適な実施例をあげ
て説明したが、本発明は、この実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々
の改良並びに設計の変更が可能である。例えば、注入す
る圧縮流体の圧力は、前記実施例、実験例のように2段
階制御する場合に限らず、3段階以上にあるいは圧力値
が連続的に変化するように圧力値を徐々に高めるように
制御してもよい。この際の各段階での圧力値は、樹脂内
にガスが侵入しないように、使用する樹脂の種類やその
冷却固化状態等に合わせて設定すればよい。さらに、圧
力制御の方法としては、前記実施例のように圧力制御用
バルブ18を設けて行う方式に限らず、減圧弁等を用い
た公知の適宜な圧力制御方法を利用してもよい。なお、
圧力値を複数段階に制御する場合、各段階を連続して行
ってもよいし、所定時間の注入停止段階を介して行って
もよく、これらの制御方式は特に圧力制御方法等に応じ
て適宜設定すればよい。
【0038】また、前記実施例では、突き出しピン9の
クリアランスから圧縮流体(窒素ガス)を注入していた
が、図5に示すように、突き出しピン9に加えて圧縮流
体の注入用の固定ピン30を設けてもよい。すなわち、
可動金型5に貫通孔22を形成し、この貫通孔22にガ
ス供給路11を連結し、貫通孔22内に固定ピン30を
配置してそのピン30周囲のクリアランスから圧縮流体
を注入してもよい。このようにすれば、リブ91等が多
数形成されており、リブ91で区画されて突き出しピン
9部分のみからでは圧縮流体を供給することが困難な箇
所にも、固定ピン30を設けることで圧縮流体を注入で
き、ひけを確実に防止することができる利点がある。
【0039】さらに、圧縮流体は、突き出しピン9や固
定ピン30のクリアランスから注入せずに、金型5に圧
縮流体の注入口を形成し、この注入口を通してキャビテ
ィ8内に注入してもよい。この際、注入口のキャビティ
8側の出口には、耐熱性のある金属やセラミックスなど
からなる多孔質部材を配置することが望ましい。この多
孔質部材を配置することにより、溶融樹脂の注入口内へ
の流入を防止でき、かつガスをキャビティ8内にスムー
ズに流入することができる。なお、多孔質部材の孔径は
用いる樹脂種類等に応じて適宜設定すればよいが、例え
ば前記実施例と同じ1/100 〜8/100mm 等に設定すればよ
い。また、金型5に中ピンおよび外ピンからなるスリー
ブピンを配置し、各ピン間の隙間から圧縮流体をキャビ
ティ8内に注入するように構成したり、金型に形成した
注入口を開閉する弁棒を設け、この弁を開いて圧縮流体
をキャビティ8内に注入するように構成してもよい。要
するに、圧縮流体をキャビティ8内に注入させる構成
は、実施にあたって適宜設定すればよい。
【0040】また、本発明はリブ91を有する成形品9
0の射出成形に限らず、ボスを有する成形品90を射出
成形する場合にも用いることができる。この際、ボス部
分に所定圧のガスが保圧されるように、ボスの周囲に円
周状や四角周状等の防壁92を形成することが望まし
い。さらに、本発明は、リブ91、ボスの両方が形成さ
れた成形品、リブ91、ボスが無い成形品、あるいは薄
肉成形品等の各種成形品の製造にも利用することができ
る。
【0041】防壁92は必ずしも設ける必要はないが、
設けた方が注入した圧縮流体が漏れることがなく、特に
リブ91がない部分においても保圧効果を長期間維持す
ることができるという利点がある。さらに、圧縮流体と
しては窒素ガスに限らず、圧縮空気等の他のガスを用い
てもよい。但し、圧縮流体は溶融樹脂に接して温度が高
くなるため、窒素ガスのような不燃性のガスを用いた方
が安全性が高いという利点がある。
【0042】リブ91やボスが形成される場合には、金
型5のリブ91用の凹溝19などの先端部を一部切り欠
いて、樹脂を射出充填した際に、成形品90におけるリ
ブ91やボスの基部に加肉部が形成されるようにしても
よい。本発明においては、表面側のひけが防止される分
だけ成形品90の裏面側がひけて凹むが、加肉部を形成
すればひけた欠肉分が加肉部が補充されて強度低下も防
止できる。この際、加肉部の樹脂量は、リブ91やボス
などが形成された部分の中心部に発生する冷却遅れ部の
容積の約20〜70%にすれば、樹脂量を著しく増加さ
せることなく、必要な強度を確保することができる。ま
た、加肉部は、欠肉分に補充されて無くなるため、成形
品90において加肉部が目立つことはない。
【0043】また、本発明は、前記実施例の成形品90
や実験例の平面材95を製造する場合に限らず、例えば
コピー装置の紙供給部品等に利用される格子状の多数の
リブが形成された板部材や、自動車のドアハンドルカバ
ー等の各種の樹脂成形品に利用することができる。
【0044】
【発明の効果】このような本発明によれば、リブやボス
等を有する合成樹脂射出成形品や薄肉成形品のひけや反
りを防止でき、かつ圧縮流体の樹脂内への侵入を防止す
ることができて成形品の表面状態を良好にでき、材質も
均一にできて高強度の成形品を成形することができると
いう効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】前記実施例の金型中央部を示す拡大断面図であ
る。
【図3】前記実施例の金型上端部を示す拡大断面図であ
る。
【図4】実験例における成形品を示す二面図である。
【図5】本発明の変形例の要部を示す拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
1 射出成形装置 4 固定金型 5 可動金型 8 キャビティ 9 突き出しピン 10 貫通孔 11 ガス供給路 12 ガス注入制御装置 13 増圧器 14 開閉バルブ 15 制御装置 19 凹溝 20 溝 22 貫通孔 90 成形品 91 リブ 92 防壁
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−75247(JP,A) 特開 昭59−220337(JP,A) 特開 昭60−8028(JP,A) 特開 昭60−8029(JP,A) 特開 昭61−12314(JP,A) 特開 平2−289327(JP,A) 特開 平5−4251(JP,A) 欧州特許出願公開593308(EP,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂成形品を成形する射出成形方法
    において、金型を閉じた後、金型のキャビティ内に溶融
    樹脂を充填させて溶融樹脂が冷却固化されつつあるとき
    に、前記キャビティ面および樹脂間に圧縮流体を注入す
    るとともに、その注入圧力を注入初期は低圧力に制御
    し、その後高圧力に制御し、溶融樹脂が冷却固化したら
    金型を離型して成形品を取り出すことを特徴とする合成
    樹脂成形品の射出成形方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の合成樹脂成形品の射出
    成形方法において、前記圧縮流体の注入初期において
    は、その注入圧力をキャビティ内の樹脂内に圧縮流体が
    侵入しない低圧力に制御し、その後樹脂表面が冷却され
    た後に高圧力の圧縮流体を注入することを特徴とする合
    成樹脂成形品の射出成形方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の合成樹脂成形品
    の射出成形方法において、前記圧縮流体の注入圧力は、
    前記低圧力の場合には3MPa以下に設定し、前記高圧
    力の場合には3.5MPa以上に設定することを特徴と
    する合成樹脂成形品の射出成形方法。
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