JP2008260258A - 金型 - Google Patents

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弘幸 今井
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Abstract

【課題】真空引き金型は、真空発生装置の排気能力を最大限に発揮させる真空排気通路が必要であり、それは短時間の排気を可能にする排気通路のオリフィスと圧力損失の少ない、短い真空排気通路の構成で可能になる。そのためには、真空排気通路を噴流する溶融流動体をキャビティの近接位置で遮断する弁と、尚且つ排気時にはその弁が有効なオリフィスを開口し、その開閉動作を流体の押圧力と弾性体の反撥力だけで行える自動閉止弁をキャビティの近接位置に嵌入装着する。
【解決手段】キャビティの近接位置に真空排気通路と連接するT字形溝を形削し、そのT字形溝の中に弾性体を装着したT字形滑り子を嵌入装着する。排気時には弾性体の反撥力によって前進位置にあるT字形滑り子はT字形溝との間にオリフィスを構成し、溶融流動体の押圧力によって後退したT字形滑り子は、T字形溝の一部に接面して真空孔を閉鎖し、流体が真空孔へ流入することを防止する。T字形溝の中央部にはT字形滑り子の真空孔と連接する真空孔を金型端面まで穿つ。
【選択図】図4

Description

本発明は、真空引きによって金型内を減圧する真空排気通路の構造に関する。
例えば、ダイカストマシンのスリーブ内には給湯された軽合金の溶湯と共に大量の水蒸気と空気が在り、スリーブに連なるキャビティには気化した潤滑剤や離型剤のガスが空気と共に混在している。溶湯のキャビティ充填時に、これ等のガスを効率良く排気できないとブローホール生成の原因となる。
又、プラスチック射出成形金型は、金型の合せ面から溶融材料が漏れ出ることを避けるため、原則的には気密性の高い金型構造になっている。ダイカスト金型と比較すれば、成形時に排気すべきガスの容量は少ないものの、通気性の乏しい金型の中で排気出口のないガスは、溶融樹脂の押出圧力によって収縮し、内部圧力を高めて溶融樹脂の流動に対する抗力となって流動速度を制動する。その結果、樹脂の流動性は悪くなり、充填、冷却固化の過程で様々な不具合現象となって成形品に現われる。
このように、成形する素材が軽金属とプラスチックと云う異なる分野ではあるが、原材料を高温で溶融し、溶融流動体に高い圧力を加えてキャビティに注入充填し、冷却して成形品を得ることは類似した成形方法である。しかも、金型内のガスの排気の良し悪しが成形品の品質の良し悪しを決める重要な要素であることも同様であり、従って、真空引きの課題も共通する。
しかしながら、従来開示されてきた真空引きの技術では、1秒前後の時間内に金型内を十分に減圧する真空排気通路の構造は明らかにされていない。
なお、本発明に関連する公知技術として、次の特許文献1を挙げることができる。
特開昭60−92059 特開平10−86192 特開平11−29103 特開2001−10511 特開2002−166448
従来の真空引き金型で十分な減圧効果を成形品に及ぼし得ない原因は、真空排気通路上の隘路である。具体的に指摘すると、ダイカストの場合は、カットオフ弁に溶湯が噴流するのを防止するために、真空排気通路を流動する流体をセンサーで検知し、金型上部に付設するシリンダーの往復動作でカットオフ弁を開閉する方法が主流で、流体の流動速度が速いために真空排気通路をより長く設定せざるを得ない。又、チルドベントは溶湯をカットオフ弁に至る迄に冷却固化させるべく、この方法も又、真空排気通路を細く長く曲折させており、減圧すべきキャビティに対して隘路になる。又、プラスチックの射出成形では、溶融樹脂が金型から漏れ出さないように、真空引きのためのエアベントもスリット幅が狭く、その深さも20μm以下が一般的である。
このようにオリフィスの小さい、又、長い隘路を有する真空排気通路は、ガスが流動する際の流動抵抗率が大きくなり、そのため排気時に圧力損失と排気量の減少を来たし、金型内を十分に減圧する前に溶融流動体がキャビティに流入してくることになる。
本発明は、このような課題に鑑みて成されたものであり、真空引きの本来の目的、即ち短時間に大量のガスを排気し、金型内の減圧度を高めることができる真空排気通路の構造の提案に関する。
本発明では、従来金型の上部末端に付設されるカットオフ弁の使用を廃止し、金型キャビティに近接する位置に、真空排気通路と真空孔の間に流動体の押圧力によって後退移動するT字形滑り子を自動閉止弁として嵌入装着することにより、溶融流動体の真空孔への噴流を遮断防止し、短く且つ直接的な真空引きができる真空排気通路の構造を提案する。
金型キャビティの外周から5mm程度の位置に、面上T字形の溝を形削し、キャビティとそのT字形溝間を断面形状が台形又は半円形の溝を形削して通開し、真空排気通路とする。又、更にT字形溝のほぼ中央部の底面に真空孔を穿って金型外部の真空発生装置と連接する。
T字形溝の中には、弾性体を装着したT字形滑り子を装着し、T字形溝に流入する溶融流動体をT字形滑り子の受圧面で受け、流動体の押圧力によって後退移動したT字形滑り子はT字形溝の一部に接面することにより真空孔は遮断閉止され、溶融流動体の真空孔への噴流を防止する。又、弾性体によって前進位置にあるT字形滑り子とT字形溝の間には、排気時に十分なオリフィスを形成する。
本発明によるT字形滑り子は、キャビティの近接位置に装着するものであるから、T字形滑り子の受圧面に受ける流体の流動圧力は高く、弾性体を圧縮して後退し真空孔を完全に封止できる。これによって、従来の真空引き金型に見るシリンダーを伴ったカットオフ弁の付設は不要になり、隘路となっている長い真空排気通路の長さを大幅に短縮し、圧力損失の少ない真空排気通路ができる。
本発明によるT字形滑り子は、排気時には弾性体によって前進位置にあり、T字形溝との間には十分なオリフィスを形成するが、オリフィスの設定は排気量を勘案して自在である。又、滑り子の真空孔と金型の真空孔は同軸線上に連接しており、この真空孔と直角に交わる真空孔を金型の端面まで穿って真空発生装置とホースで接続すれば最も短く、しかも圧力損失の少ない直接的な一連の排気通路ができる。これによって、真空装置の持つ性能、即ち到達真空度や排気能力を存分に使った真空引きができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基き詳細に説明する。
図1はダイカスト金型の従来の一般的な真空引きの構造を示した概略図である。各キャビティ2から金型上部に設定されたカットオフ弁6に至る真空排気通路5は細く長く曲折している。このようなオリフィスの小さい、長い真空排気通路は圧力損失によって真空度が低下するだけでなく、単位時間における排気量も低減される。従って、このような形状の真空排気通路は、短時間に大量の排気はできない。
図2は本発明実施の形態に係る面上T字形溝8をキャビティ2の近接位置に形削した上面図と断面図である。キャビティ2に連接する断面形状が台形又は半円形の真空排気通路5の長さは最短3mm程度でも可能であり、金型外部に設置する真空発生装置と連接する真空孔9は、キャビティ2の近接位置に開孔する。タップアナTはT字形溝8に装着するT字形滑り子10が金型から離脱することを防止する滑り子離脱防止板12をねじで固定するためのねじタップである。
図3はT字形溝8に装着するT字形滑り子10の外観斜視図と、その上面図と断面図であり、X面は受圧部である。
図4はT字形溝8にT字形滑り子10を装着した本発明の形態に係る基本構成図である。T字形滑り子10に装着した弾性体11の反発力によって前進位置にあるT字形滑り子10のY面とT字形溝8のV面が構成する空間は、真空排気通路5に連なる真空排気通路として十分なオリフィスを有し、且つT字形滑り子10の真空孔9aは真空孔9と同軸で連接する。矢印はガスの流れる方向を示す。
図5は溶融流動体13がT字形溝8に流入し、流動体の押圧力によってT字形滑り子10を後退させ、真空孔9aを閉止した概略図である。T字形滑り子10のY面とT字形溝8のV面が接面して真空孔9aを封鎖し、溶融流動体13が真空孔9に流入することを防止する。
図6は成形完了後に取り出された成形品14の一部分とT字形溝8の中で冷却凝固した溶融流動体13の繋がりを示す外観斜視図である。成形品とは切断分離する。
図7は、図1と同様の金型を本発明による真空引きの構造に置き換えた概略図である。真空排気通路5が極端に短くなり、真空孔9はキャビティ2に近接する位置に明けることができる。
本発明による自動閉止弁、即ち弾性体11を装着したT字形滑り子10は、排気時は弾性体11によって押し出され前進位置にある。この形態においてT字形滑り子10とT字形溝8との間にオリフィスを形成する。従って、単位時間の排気量を勘案してオリフィスを設定する。
T字形滑り子10の流動体受圧面であるX面とその両側面及びT字形溝8のV面を除く壁面は傾斜角度をつけた傾斜面にすることが必要である。図6で明示したように、T字形溝8とT字形滑り子10が形成する空間の中で冷却凝固した溶融流動体13は成形品に付着して金型から離型する。無理なく離型する傾斜角度が必要である。
本発明は、軽合金ダイカスト及びプラスチックの射出成形に供せられる真空引きによる減圧金型を製造販売する産業分野、並びにそれ等の金型を使用して成形品を生産する産業分野で利用することができる。
従来のダイカスト金型の一般的な真空排気通路を描いた概略図。 本発明のT字形溝と真空孔及びキャビティと真空排気通路の関連を明示した上面図と断面図。 T字形溝に装着するT字形滑り子の外観斜視図及び上面図と断面図。 T字形溝に滑り子をT字形装着した本発明の基本構成図。 溶融流動体がT字形溝に流入し、T字形滑り子が真空孔を封鎖した概略図。 T字形溝の中で溶融流動体が冷却凝固し、成形品と繋がっている状態を示す外観斜視図。 図1と同様の金型を本発明による真空引きの構造に置き換えた概略図
符号の説明
1. 型板
2. キャビティ
3. ゲート
4. ランナ
5. 真空排気通路
6. カットオフ弁
7. スリーブ
8. T字形溝
9. 真空孔
9a.真空孔
10.T字形滑り子
11.弾性体
12.滑り子離脱防止板
13.溶融流動体
14.成形品
Q. 弾性体挿入孔
T. タップアナ

Claims (1)

  1. 真空排気通路を噴流する溶融流動体の流体圧を受けて後退移動し、真空排気通路を閉鎖するT字形滑り子と、そのT字形滑り子を嵌入装着する面上T字形の溝を金型キャビティ外周の近接位置に形削して、更に断面形状が台形又は半円形の溝を掘削してキャビティとT字形溝を連接せしめ、T字形溝のほぼ中央部の底面に真空孔を穿って金型外部の真空発生装置と接続して一連の真空引きを行うことを特徴とした金型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103231026A (zh) * 2013-04-28 2013-08-07 济南誉腾工贸有限公司 改进的中冷器铸造模具
JP2013244533A (ja) * 2012-05-29 2013-12-09 Die Engineering:Kk チルベント
JP2017001063A (ja) * 2015-06-11 2017-01-05 リョービ株式会社 真空ダイカスト装置および真空ダイカスト法

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