JP3469370B2 - マイクロカプセル型硬化促進剤および樹脂組成物 - Google Patents

マイクロカプセル型硬化促進剤および樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマイクロカプセル型
硬化促進剤、およびこのマイクロカプセル型硬化促進剤
を含有する樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】以前より樹脂製品の用途は広範囲にわた
っており、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エンジニアリ
ングプラスチックなど多くの樹脂が提案され、製品とし
て実用化されている。例えばエポキシ樹脂は、接着剤、
塗料、成形品など広範な分野において活用されており、
特に機械的特性や電気的特性などが良好であるため、各
種絶縁部品の小型軽量化、高電圧化に対応可能な絶縁材
料としても高く評価されている。エポキシ樹脂は、より
高度の耐熱性、耐クラック性、機械的強度などが求めら
れる高性能絶縁材料の用途では、適当な硬化剤、硬化促
進剤および充填剤などと配合されて用いられる。
【0003】エポキシ樹脂は、保存安定性の観点から、
主剤であるエポキシ樹脂と硬化剤・硬化促進剤とを別々
に保管して使用にあたり随時混合するという、いわゆる
二液型としての使用方法が一般的である。このような二
液型エポキシ樹脂では使用直前の計量・混合作業が必要
となり、特に大型成形品の多い重電機器用の場合には大
量の樹脂を用いるため作業時間が長くなることが多い。
このため、混合の均一性、作業中の硬化の進行による変
質、製品のボイドレス化に対する管理が困難になる。ま
た、ポットライフに応じて二液の計量・混合作業を繰り
返すことは、工程の簡素化のみならず品質管理の面から
も好ましくない。
【0004】上記のような二液型エポキシ樹脂の問題点
は、主剤と硬化剤・硬化促進剤とを予め混合した一液型
が実現できれば改善できる。一液型エポキシ樹脂におい
て常温での保存安定性を確保するためには、硬化促進剤
が常温では不活性であるが加熱することにより急激に活
性を示すようになるといった性質、すなわち潜在性を持
つことが必要となる。熱的に触媒活性を発現させるため
には、硬化促進剤自身のイオン解離反応・溶解、ポーラ
スな担体に含浸させた硬化促進剤の溶出、硬化促進剤粒
子表面を不活性物質で被覆したマイクロカプセルの破壊
などの手法が考えられている。このうち、硬化促進剤自
身の化学反応性を利用して潜在性を持たせる手法では、
硬化促進剤が活性になる温度が明確でなく、十分な保存
安定性と迅速な硬化性を実現することが困難である。ま
た、この手法では添加される硬化剤などの種類によって
硬化促進剤の潜在性が大きく変化し、ときには潜在性が
全く失われることもある。一方、硬化促進剤のマイクロ
カプセル化はこれらの問題を解決するのに有効であると
考えられている。
【0005】これまで提案されてきたマイクロカプセル
型硬化促進剤では、シェル材料として熱可塑性樹脂(特
開平2−292325号)、熱硬化性樹脂(特開平1−
287131号)、またはエポキシ・アミン付加物(特
開平2−11619号)などを用いることが検討されて
いる。これらの材料によりコア材料である硬化促進剤を
被覆すれば保存安定性は向上するが、これらの材料は有
機ポリマーまたはオリゴマーであるため、系中に含まれ
る材料との関係で選択の余地が限られる。つまり有機系
シェル材料は、膨潤、浸透、溶解などによりカプセル化
効果を失う場合がある。このため有機系シェル材料を用
いたマイクロカプセル型硬化促進剤は、エポキシ樹脂用
硬化剤のうち例えばアミン系硬化剤とともに使用するこ
とができても、酸無水物系硬化剤とともに使用するとそ
の潜在性を損なうというような場合があった。さらに、
エポキシ・アミン付加物などのシェル材料を用いたマイ
クロカプセル型硬化促進剤では、徐々に反応が進行する
ため、硬化開始温度にずれが生じ場合によっては硬化し
なくなるという問題があった。
【0006】一方、コア材料をシェル材料で被覆しカプ
セル化する方法としては、大きく分類して化学的手法、
物理化学的手法、機械的手法の3つがあり、使用される
コア材料およびシェル材料の種類に応じて使い分けられ
る。ここで、有機系シェル材料を用いてカプセル化する
場合には、化学的手法、物理化学的手法が主に用いられ
る。このうち化学的手法は、シェル材料を分子レベルで
化学的に重合・架橋させるものであり、均一でシームレ
スなシェルを作るうえで優れている。しかし、有機系シ
ェルでは十分な耐薬品性、耐熱性、保存安定性などが得
られない場合が多い。特に、コア材料が化学的に活性の
高い硬化促進剤であり、かつこれをカプセル化したマイ
クロカプセル型硬化促進剤を有機マトリクス中で用いる
場合には制約が多い。
【0007】そこで、より強固なシェルの形成が期待で
きる原料を用いることが検討されている。例えば、シェ
ル原料として不飽和炭化水素基を導入したオルガノシロ
キサンを用い、カプセル化した後に架橋反応により硬化
させる手法が提案されている(特開平5−271546
号)。しかし、この方法でも架橋反応により炭素−炭素
結合が生成するため、その耐薬品性、耐熱性、保存安定
性などは十分とはいえない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、使用
される材料の種類にかかわらず保存安定性などに優れた
マイクロカプセル型硬化促進剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記のマイクロカプセル型硬化促
進剤を含有し、硬化開始温度が安定しているとともに高
温高湿環境下においても劣化しにくい硬化物の得られる
樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のマイクロカプセ
ル型硬化促進剤は、硬化促進剤を含有するコアを、ポリ
シラザンのガラス前駆体ポリマーをガラス化することに
より製造されるシェルで被覆したことを特徴とするもの
である。
【0010】また、本発明の樹脂組成物は、上記のマイ
クロカプセル型硬化促進剤、及び硬化樹脂前駆体、及び
/または硬化剤、及び/または充填材を含むものであ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のマイクロカプセル型硬化
促進剤は、硬化促進剤を含有するコアを無機材料からな
るシェルで被覆したものである。まず、このマイクロカ
プセル型硬化促進剤を構成するシェルについて説明す
る。本発明において、シェルを構成する無機材料として
は、以下の(1)〜(4)に示すようなカプセル化の手
法に応じて種々の材料を用いることができる。
【0012】(1)固体粉末を利用する物理化学的及び
機械的なカプセル化:コア粒子の表面に、帯電現象を利
用してこれより十分に粒径の小さいシェル材料の微粉末
を吸着させる。また必要に応じて、さらにその表面に物
理的または熱的衝撃を与えて付着した微粉末を平坦化処
理してもよい。
【0013】この方法を適用することができる無機系の
シェル材料としては、二酸化チタン、炭酸カルシウム、
シリカ、アルミナ、タルク、クレー、カオリン、グラフ
ァイト、カーボンブラック、鉄、ステンレス、亜鉛など
が挙げられる。
【0014】ただし、この方法はシームレスなシェルを
形成することが困難である。このため、より均質でシー
ムレスなシェルを得るには、以下の(2)〜(4)に示
すような溶液系でのカプセル化法を用いることが好まし
い。
【0015】(2)水ガラス溶液からのガラス形成を利
用するカプセル化:コア粒子を含有するエマルジョンに
アルカリケイ酸塩水溶液を添加し、界面活性剤、固着剤
の存在下でコア粒子の表面上にシリカガラス類似のシェ
ルを形成する。
【0016】この方法では(1)の方法よりも均質でシ
ームレスなシェルが得られ、しかもこのシェルは緻密か
つ強固であるため耐薬品性、保存安定性に優れている。
ただし、上記のようなアルカリケイ酸塩を利用すると、
副生成物としてのナトリウム塩、アルミニウム塩などの
金属塩が残留することがあり、コア材料としての硬化促
進剤が反応性の高い有機系のものである場合には、残留
金属塩により悪影響を受けることがある。
【0017】(3)ガラス前駆体ポリマーからのガラス
形成を利用するカプセル化:アルコキシル基を側鎖に持
つシロキサンなどのポリマーから加水分解、重縮合反応
によりシリカガラス類似のシェルを形成する(例えば特
公昭60−45223号など参照)。ここでは、シェル
の原料となるガラス前駆体としてポリマーを用いること
から、従来のコアセルベーションなどの物理化学的手法
を利用でき、コア表面に均一な皮膜を形成することが容
易となる。この方法に適用可能なシロキサンポリマーと
しては、下記一般式(I)で示されるアルコキシル基を
有するものが挙げられる。
【0018】
【化1】 (式中、R1 、R2 は炭素数1〜20の置換または非置
換の炭化水素基、nは正の整数を表す。) このシロキサンポリマーを用いた場合、水の存在下にお
いて酸または塩基性触媒の作用によりアルコキシル基が
アルコールとして脱離し、アルコールの脱離したポリマ
ーが3次元的にシロキサン結合を生成してシリカガラス
類似の構造が形成される。このシロキサンポリマーにお
ける置換基であるアルコキシル基は特に限定されず、メ
トキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、
n−ブトキシ、t−ブトキシ、シクロヘキシルオキシ、
2−フェニルプロポキシなどが挙げられる。これらのシ
ロキサンポリマーを反応させる条件は、アルコキシル基
のアルコールとしての脱離のしやすさに応じて異なる。
例えば、メトキシ基、エトキシ基などは反応が容易に進
行するため、弱酸または弱塩基触媒を用い加熱する必要
もない。一方、t−ブトキシ基などは反応が進行しにく
いので、シェルの膜厚を精密に制御することが要求され
る場合などに用いられるが、強酸を添加するかまたは弱
酸もしくは弱塩基の存在下で若干加熱することが好まし
い。ここで、弱塩基としてはアンモニアなど、弱酸とし
てはぎ酸、酢酸、シュウ酸などのカルボン酸など、強酸
としては塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸などを用
いることができる。
【0019】この方法で得られるシェルは、アルコキシ
ル基が嵩高い場合には数十μmレベルの微細孔を持つ皮
膜となる。このため、保存安定性に優れたマイクロカプ
セル型硬化促進剤を製造するには、炭素数4以下のアル
コキシル基を有するシロキサンポリマーを用いることが
好ましい。
【0020】またこの方法では、低温硬化型ペルヒドロ
ポリシラザンをシェル原料とし、低温焼成によりカプセ
ル化することも可能である。 (4)ゾル−ゲル法を利用するカプセル化:微細なコロ
イド粒子が懸濁した状態にある金属酸化物などのゾルか
らの、加水分解、重縮合反応を使用しカプセル化する。
金属酸化物ゾルを形成するには、金属酸化物を適切な溶
媒に直接分散させてもよいが、金属アルコキシド、金属
キレート化合物、金属カルボン酸塩、金属ハロゲン化
物、金属水素化物、金属無機塩などを原料として、溶媒
中で金属酸化物を生成させてもよい。これら原料はそれ
ぞれ単独で、または2種以上混合して用いられる。
【0021】ここでの金属アルコキシドとしては、G
e,Sn,Pb,Al,Ga,As,Sb,Bi,T
i,Zr,V,Nb,Ta,Na,K,Li,Ca,M
g,Ba,Srなどのアルコキシドが挙げられる。具体
的には以下のようなものが挙げられる。LiOCH3
NaOCH3 ,Cu(OCH32 ,Ca(OCH3
2,Sr(OC252 ,Ba(OC252 ,Z
n(OC252 ,B(OCH33 ,Al(i−O
373 ,Ga(OC253 ,Y(OC4
93 ,Si(OC254 ,Ge(OC25
4 ,Pb(OC494 ,P(OCH33 ,Sb
(OC253 ,VO(OC253 ,Ta(OC
375 ,W(OC256 ,La(OC37
3 ,Nd(OC253 ,Si(OCH34 ,Si
(OC254 ,Si(i−OC374 ,Si
(t−OC494 ,Ti(OCH34 ,Ti(O
254 ,Ti(i−OC374 ,Ti(OC
494 ,Zr(OCH34 ,Zr(OC25
4 ,Zr(OC374 ,Zr(OC494 ,A
l(OCH33 ,Al(OC253 ,Al(i−
OC373 ,Al(OC493 ,La[Al
(iso−OC3743 ,Mg[Al(iso−
OC3742 ,Mg[Al(sec−OC4
942 ,Ni(iso−OC3742 ,(C
37 O)2 Zr[Al(OC3742 ,Ba
[Zr2 (OC2592 などである。これらは必
要に応じて適宜混合して用いられる。
【0022】なお、アルコキシル基のほかに、アルキル
基やアリール基などの置換基を有するアルコキシドを用
いてもよい。具体的には以下のようなものが挙げられ
る。ジエトキシジエチルシラン、ジエトキシジメチルシ
ラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジフェニ
ルシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリ
エトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリブ
チルチンエトキサイド、トリブチルチンメトキサイド、
ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジイソプロポ
キシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、トリフェ
ニルエトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどであ
る。
【0023】また、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、
金属水素化物としては上記金属のそれぞれの化合物が挙
げられ、非置換であってもアルキル基やアリール基など
の置換基を有するものであってもよい。また例えばメチ
ルジクロロシランのようなハロゲン化物であり、かつ水
素化物であるようなものでもよい。具体的には以下のよ
うなものが挙げられる。ジメチルジヒドロキシシラン、
ジエチルジヒドロキシシラン、ジフェニルジヒドロキシ
シラン、トリメチルシラノール、トリエチルシラノー
ル、トリフェニルシラノール、テトラクロロシラン、メ
チルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェ
ニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフ
ェニルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラ
ン、フェニルジクロロシラン、メチルジクロロシラン、
テトラクロロチタン、トリクロロアルミニウム、カルシ
ウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドラ
イド、リチウムアルミニウムハイドライド、リチウムボ
ロハイドライド、リチウムトリ−tert−ブトキシア
ルミノハイドライド、リチウムトリ−sec−ブチルボ
ロハイドライド、マンガニーズ(II)ボレート、ポタ
シウムボロハイドライド、ソジウムビフルオライド、ソ
ジウムボロハイドライド、ソジウムジヒドロ−ビス(2
−メトキシエトキシ)アルミネート、ソジウムテトラヒ
ドロボレート、チタニウムハイドライド、トリブチルチ
ンハイドライド、ジルコニウムハイドライド、シラン、
メチルシラン、エチルシラン、イソプロピルシラン、フ
ェニルシラン、ジメチルシラン、ジエチルシラン、ジフ
ェニルシランなどである。なおここでは、ハロゲン化物
として塩化物を例示したが、対応する臭化物、ヨウ化物
なども良好に適用できる。
【0024】金属キレート化合物としては上記金属のア
セチルアセトナート等の1,3−ジカルボニル化合物を
配位子に有するものなどが用いられ、具体的には以下の
ようなものが挙げられる。トリス(アセチルアセトナ
ト)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセタト)ア
ルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニ
ウム、インジウムアセチルアセトネート、亜鉛アセチル
アセトネート、銅アセチルアセトネート、白金アセチル
アセトネートなどである。
【0025】金属カルボン酸塩としては例えば酢酸塩な
どが用いられ、具体的には以下のようなものが挙げられ
る。酢酸バリウム、酢酸銅(II)、酢酸リチウム、酢
酸マグネシウム、酢酸鉛、シュウ酸バリウム、シュウ酸
カルシウム、シュウ酸銅(II)、シュウ酸マグネシウ
ム、シュウ酸スズ(II)、シュウ酸イットリウム、ス
テアリル酸イットリウムなどである。
【0026】金属無機塩としては、硝酸塩、硫酸塩、オ
キシ塩化物などが用いられ、具体的には例えば以下のよ
うなものが挙げられる。硝酸イットリウム、硝酸ニッケ
ル、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ塩化アルミニウム
などである。
【0027】また、上述したような金属アルコキシドな
どに加えて、ほう砂などのほう酸塩やリン酸塩などの酸
化物塩;造膜補助剤などとしてエポキシ樹脂、ポリイミ
ド、メラミン樹脂、ポリビニルピロリドン、ナイロン樹
脂といった有機ポリマーなどを添加してもよい。さらに
本発明では、ペルヒドロポリシラザンのようなポリシラ
ザン類を用いることで、ケイ素酸化物を形成することも
できる。
【0028】なお、これらの原料を用いる場合、通常金
属酸化物ゾルは、まずアルコールや水−アルコール混合
液などの溶媒に金属アルコキシドなどを溶解させた溶液
を調製し、加熱または触媒の作用により金属アルコキシ
ドなどを加水分解してゾル化させることで形成すればよ
い。上記の触媒としては、アンモニア水、トリアルキル
アミン、エタノールアミンなどのアミン;水酸化ナトリ
ウムなどのアルカリ;塩酸、硝酸、リン酸などの無機酸
や、酢酸、シュウ酸などのカルボン酸に代表される有機
酸;光酸発生剤;熱酸発生剤が挙げられる。また、これ
らのアミン、アルカリ、酸のほかに、無水トリメリット
酸などの酸無水物、酢酸ナトリウム、オクチル酸亜鉛な
どのカルボン酸金属塩;過塩素酸アンモニウム、過塩素
酸マグネシウムなどの過塩素酸金属塩;アルミニウムア
セチルアセトナト、ジルコニウムアセチルアセトナトな
どの金属キレート化合物;テトラブチルチタネート、ジ
ブチル錫ジラウレートなどの有機金属化合物;塩化アル
ミニウム、塩化鉄(II)、塩化亜鉛(II)などの塩
化物を用いてもよい。また、溶媒としては、水、アルコ
ールの他に、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジ
メトキシエタン、メチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチルピロ
リドン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン、トリエタノールアミン等の有機溶媒を用い
てもよい。
【0029】本発明において、無機材料からなるシェル
の膜厚は、用途に応じて適宜設定されるが、5nm〜2
00μm、さらには10nm〜10μmの範囲であるこ
とが好ましい。これは、シェルの膜厚が200μmを超
えるとシェルが強固になるためカプセルの破壊によりコ
ア材料である硬化促進剤を放出させることが困難にな
り、逆に5nm未満では十分なカプセル化効果が得られ
なくなるためである。
【0030】次に、本発明においてコア材料として用い
られる硬化促進剤について説明する。この硬化促進剤
は、機械的手法によりカプセル化する場合には常温で固
体であることが好ましく、化学的手法を用いる場合には
水に対して安定な物質であることが好ましい。特に、上
述した(3)または(4)の方法を用いる場合には、シ
ェルの原料であるシロキサンポリマーもしくは金属アル
コキシドなどと非相溶であるか所定の溶媒中で非相溶で
ある材料、またはシェル形成時に用いる溶媒中で固体で
ある材料が好ましい。
【0031】一般的には、硬化促進剤としては以下のよ
うなものが例示される。例えば、過酸化ベンゾイル、過
硫化カリウム、t−ブチルヒドロキシペルオキシド、ク
メンヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリ
ル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのラジ
カル触媒;三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フ
ッ化ホウ素アミン錯体、塩化アルミニウム、塩化第二ス
ズ、四塩化チタン、アルキルアルミニウムなどのカチオ
ン触媒;n−ブチルリチウム、ナフタリンナトリウム、
アミン類などのアニオン触媒;水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ヨウ化カ
リウム、カルボン酸類、スルホン酸類、アルデヒド類、
水などその他の触媒などである。
【0032】また、特にエポキシ樹脂用として好適な硬
化促進剤としては具体的には以下のようなものが例示さ
れる。例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホス
フィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィ
ン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノ
ニルフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィ
ン、ジブチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシル
ホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エ
タン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタンなどの有機
ホスフィン化合物;2−メチルイミダゾール、2,4−
ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダ
ゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4
−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール
などのイミダゾール化合物およびその誘導体;テトラメ
チルグアニジン、トリエタノールアミン、2−ジメチル
アミノ−2−ヒドロキシプロパン、ジアルキルアミノエ
タノール、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチル
モルホリン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジア
ザビシクロ(5,4,0)ウンデセン、1−ヒドロキシ
エチル−2−ヘプタデシルグリオキサリジン、ピリジ
ン、ピラジン、キノリン、ベンジルジメチルアミン、α
−メチルベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミ
ノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチル
アミノメチル)フェノールなどの第三アミン化合物など
である。
【0033】これらの硬化促進剤は、単独でまたは必要
に応じて2種以上混合して使用される。またこれらの硬
化促進剤は、フェノールなどとの錯塩や、単官能または
多官能のエポキシ樹脂との付加物として用いることもで
きる。このような錯塩や付加物を用いれば、コア材料の
融点を最適化でき、ひいてはカプセルからコア材料であ
る硬化促進剤を放出させる温度を最適に設定することも
できる。さらに、これらの硬化促進剤は、化学的に安定
な無機材料の固体マトリクスまたは多孔質体に混合また
は含浸させた後、粉砕するか液相で撹拌し粒子化して用
いることもできる。
【0034】本発明において、コア材料である硬化促進
剤の粒子の粒径は用途に応じて適宜設定されるが、一般
的には0.1μm以上30μm未満の範囲である。これ
は、30μm以上の場合には触媒反応が不均一に起こり
硬化樹脂の特性にばらつきが生じるおそれがあり、逆に
0.1μm未満の場合にはカプセル化処理自体を均一に
行うことができずカプセル化効果が得られないおそれが
あるためである。
【0035】本発明のマイクロカプセル型硬化促進剤に
ついて、シェルを破壊してコア材料である硬化促進剤を
放出させる方法は特に限定されない。例えば、高速回転
・高せん断力の撹拌を行うかまたは直接圧縮して外部か
ら圧力を加えてシェルを破壊してもよい。また、温度上
昇によりコア材料を融解または熱膨張させて内圧の増加
によりシェルを破壊してもよい。このような方法により
潜在性を発揮させることができる。
【0036】次いで、本発明の樹脂組成物について説明
する。本発明の樹脂組成物は、硬化性樹脂と、硬化促進
剤を含有するコアを無機材料からなるシェルで被覆した
マイクロカプセル型硬化促進剤とを含有するものであ
る。より具体的には、例えばエポキシ樹脂と、エポキシ
樹脂の硬化剤と、エポキシ樹脂の硬化促進剤を含有する
コアを無機材料からなるシェルで被覆したマイクロカプ
セル型硬化促進剤とを含有する樹脂組成物が挙げられ
る。
【0037】本発明において用いられる硬化性樹脂は特
に限定されず、以下のようなものが例示される。例え
ば、ラジカル重合するものとしてスチレン、メタクリル
酸メチル、アクリル酸メチル、酢酸ビニル、アクリロニ
トリル、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、エチレ
ン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、イソプレ
ン、1−オクテンなど;カチオン重合するものとしてス
チレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3
−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、β−ピ
ネン、イソブテン、イソブチルビニルエーテル、N−ビ
ニルカルバゾール、ビニルトリメチルシリルエーテル、
N−ビニルカルバゾール、ビニルトリメチルシリルエー
テル、エチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテ
ル、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、テトラ
ヒドロフラン、トリオキサン、β−プロピオラクトン、
ε−カプロラクタム、オクタメチルシクロテトラシロキ
サン、フェニルジアゾメタン、ノボラックなど;アニオ
ン重合するものとしてスチレン、α−メチルスチレン、
メタクリル酸メチル、アクリルアミド、クロトンアミ
ド、N−カルボキシアミノ酸無水物、ノボラックなど;
その他のものとしてシアノアクリル酸メチル、尿素ホル
ムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ナイロン、
ウレタンなどが挙げられる。これらは、単独で用いて単
独重合体としてもよいし、2種以上混合して共重合体と
してもよい。
【0038】また、特にエポキシ樹脂としては具体的に
は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノール
F型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、
脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、フェノー
ルまたはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリま
たはテトラ(ヒドロキシフェニル)アルカンから誘導さ
れるエポキシ化合物、ビスヒドロキシビフェニル系エポ
キシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は液
状でも固体状でもよく、そのエポキシ当量も特に限定さ
れず、単独でまたは2種以上混合して用いることができ
る。
【0039】本発明において、エポキシ樹脂に対して用
いられる硬化剤としては、具体的には以下のようなもの
が例示される。例えば、ポリメチレンジアミン、ポリエ
ーテルジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプ
ロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、ト
リエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペ
ンタエチレンペンタミン、ジメチルアミノプロピルアミ
ン、ジエチルアミノプロピルアミン、アミノエチルエタ
ノールアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、メン
センジアミン、N−アミノエチルピペラジン、1,3−
ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、m−キ
シリレンジアミン、テトラクロロ−p−キシリレンジア
ミンなどの脂肪族ポリアミン化合物;m−フェニレンジ
アミン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェ
ニルスルホン、4,4’−メチレンジアニリン、ベンジ
ジン、4,4’−チオジアニリン、4,4’−(o−ト
ルイジン)、o−フェニレンジアミン、ジアニシジン、
メチレンビス(o−クロロアニリン)、ビス(3,4−
ジアミノジフェニル)スルホン、2,4−トルエンジア
ミン、ジアミノジトリルスルホン、2,6−ジアミノピ
リジン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、4−メ
トキシ−6−メチル−m−フェニレンジアミン、m−ア
ミノベンジルアミンなどの芳香族アミン化合物;N−メ
チルピペラジン、ピペリジン、ヒドロキシエチルピペラ
ジン、ピロリジン、モルホリンなどの第二アミン化合
物;無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無
水シトラコン酸、無水アルケニル酸、無水ドデセニルコ
ハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水
マレイン酸のリノレイン酸付加物、無水マレイン酸−ビ
ニルエーテル共重合体、無水マレイン酸−スチレン共重
合体、メチルシクロペンタジエンの無水マレイン酸付加
物、無水クロレンディック酸、無水アルキル化エンドア
ルキレンテトラヒドロフタル酸、無水メチル2置換ブテ
ニルテトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル
酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ピロメリッ
ト酸、無水シクロペンタンテトラカルボン酸、無水ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス
トリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなど
のカルボン酸無水物;フェノールノボラック、クレゾー
ルノボラック、ポリビニルフェノールなどのフェノール
樹脂;その他ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂など
が挙げられる。
【0040】本発明の樹脂組成物における各成分の配合
量については、各成分の種類、組み合わせに応じて適宜
設定すればよい。一般的には硬化性樹脂100重量部に
対し、硬化促進剤が0.1〜50重量部、硬化剤が10
〜200重量部程度配合される。すなわち、硬化促進剤
の配合量が少なすぎると硬化が十分に行なわれなくなる
おそれがあり、硬化促進剤の配合量が多すぎると、硬化
時における作業性や混合の均一性、さらには硬化物にお
ける電気的特性の低下などを招きやすい。一方、硬化剤
の配合量が少なすぎると機械的強度、電気的特性の良好
な硬化物が得られ難く、硬化剤の配合量が多すぎると硬
化不十分でかえって機械的強度、電気的特性が損なわれ
る傾向がある。
【0041】さらに、特にエポキシ樹脂に対する有機ホ
スフィン化合物、イミダゾール化合物、第三アミン化合
物などラジカル系、カチオン系、アニオン系の硬化促進
剤が配合される場合、そのより好ましい配合量は0.1
〜10重量部である。ただし、上述したような硬化促進
剤をエポキシ樹脂との付加物として用いる場合は、硬化
促進剤を樹脂組成物の硬化物中に取り込ませることがで
きるので、10〜50重量部の配合量でも好ましく使用
され得る。また、エポキシ樹脂に対する硬化剤の配合量
は、硬化剤におけるエポキシ基と反応する官能基の数を
考慮して設定されることがより好ましい。具体的には、
全エポキシ基数に対する硬化剤の全官能基数の比が0.
6〜1.4となる範囲であり、全エポキシ数と全官能基
数とがほぼ当量となる配合量が最も好ましい。
【0042】本発明の樹脂組成物には、硬化物の特性を
向上させるために、適当な充填剤を混合してもよい。充
填剤としては、具体的には溶融シリカ、結晶シリカ、ア
ルミナ、マグネシア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、
窒化ホウ素などの粉末、短繊維、または長繊維からなる
無機系充填剤;熱可塑性樹脂などの有機系充填剤が挙げ
られる。これらの充填剤は、単独でまたは2種以上混合
して用いることができる。
【0043】本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を
失わない範囲内で、必要に応じてさらに希釈剤、可とう
性付与剤、離型剤、カップリング剤などの添加剤を添加
してもよい。
【0044】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。まず、本
発明に係るマイクロカプセル型硬化促進剤(MA1)〜
(MA10)を以下のようにして調製した。なお、試薬
は市販品を用い、反応は不活性ガス雰囲気下で行った。
また、ここでの調製例中、各成分の配合比は全て重量比
で換算したものである。
【0045】(MA1)シェル原料としてシロキサンポ
リマーを用いた例である。コア材料としての粉砕機によ
り平均粒径10μmに粉砕した2−フェニルイミダゾー
ル10部を、シェル原料としてのポリジエトキシシロキ
サン100部に混合して分散させた。これに3%希塩酸
5部を添加して30分撹拌した。反応終了後、メチルイ
ソブチルケトンで数回洗浄し、ガラスフィルターまたは
遠心分離器を用いて分離し、減圧下で乾燥することによ
りマイクロカプセル型硬化促進剤を得た。シェルの厚さ
は平均500nmであった。
【0046】(MA2)シェル原料としてシロキサンポ
リマーを用い、溶媒中で反応させた例である。コア材料
としての2−エチルイミダゾール10部を四級アンモニ
ウム系界面活性剤0.5部とともに水100部に分散さ
せた。この分散液にシェル原料としてのポリ−ジ−t−
ブトキシシロキサン20部をエタノール50部に溶解し
た溶液を加えた。次に、撹拌しながら水100部を徐々
に添加した。さらに3%希酢酸5部を添加し、60℃に
加熱して30分間撹拌した。反応終了後、メチルイソブ
チルケトンで数回洗浄し、ガラスフィルターまたは遠心
分離器を用いて分離し、減圧下で乾燥することによりマ
イクロカプセル型硬化促進剤を得た。シェルの厚さは平
均50nmであった。
【0047】(MA3)コア材料としてトリフェニルホ
スフィンを用いた以外は(MA1)と同様にしてマイク
ロカプセル型硬化促進剤を得た。 (MA4)コア材料としてアゾビスイソブチロニトリル
を用いた以外は(MA1)と同様にしてマイクロカプセ
ル型硬化促進剤を得た。
【0048】(MA5)シェル原料として金属アルコキ
シドを用いた例である。コア材料としての粉砕機により
平均粒径1μmに粉砕した2−フェニルイミダゾールと
ビスフェノールA型エポキシ樹脂との2:1アダクト
(融点120℃)10部を四級アンモニウム系界面活性
剤0.5部とともに、シェル材料としてのテトラエトキ
シシラン100部に分散させた。次に、3%希酢酸5部
を添加し、60℃に加熱して30分間撹拌した。反応終
了後、メチルイソブチルケトンで数回洗浄し、ガラスフ
ィルターまたは遠心分離器を用いて分離し、減圧下で乾
燥することによりマイクロカプセル型硬化促進剤を得
た。シェルの厚さは平均100nmであった。
【0049】(MA6)シェル原料として金属アルコキ
シドを用い、溶媒中で反応させた例である。コア材料と
しての粉砕機により平均粒径1μmに粉砕した2−エチ
ル−4−メチルイミダゾールとビスフェノールA型エポ
キシ樹脂との2:1アダクト(融点67℃)10部をメ
チルイソブチルケトン500部に分散させた。次に、こ
の分散液にシェル原料としてのジアセトキシ−ジ−t−
ブトキシシロキサン100部を溶解させ、3%希塩酸5
部を添加して30分間撹拌した。さらに60℃に加熱し
て30分間撹拌した。反応終了後、メチルイソブチルケ
トンで数回洗浄し、ガラスフィルターまたは遠心分離器
を用いて分離し、減圧下で乾燥することによりマイクロ
カプセル型硬化促進剤を得た。シェルの厚さは平均20
0nmであった。
【0050】(MA7)コア材料として過酸化ベンゾイ
ルを用いた以外は(MA6)と同様にしてマイクロカプ
セル型硬化促進剤を得た。 (MA8)シェル原料としてアルカリケイ酸塩を用いた
例である。コア材料としての粉砕機により平均粒径1μ
mに粉砕した2−エチル−4−メチルイミダゾールとビ
スフェノールA型エポキシ樹脂との2:1アダクト25
部を、ポリアクリル酸の塩5部を溶解した水250部に
分散させた。この分散液に硫酸アルミニウム2部を溶解
した水80部を加え、ポリアクリル酸アルミニウムの架
橋塩をコア材料の表面に析出させた後、ろ過し、水で洗
浄した。得られたコア材料を水500部に再度分散さ
せ、これをケイ酸ナトリウム50部を含む水溶液130
0部にゆっくりと加えた。再度ろ過して洗浄した後、四
級アンモニウム系界面活性剤1部を溶解した水1200
部に再度分散させた。この分散液をpH10に調整した
後、撹拌しながら90℃に加熱した。さらに、3%希硫
酸10部およびケイ酸ナトリウム水溶液100部を添加
し30分撹拌した。反応終了後、水で数回洗浄し、ガラ
スフィルターまたは遠心分離器を用いて分離し、減圧下
で乾燥することによりマイクロカプセル型硬化促進剤を
得た。シェルの厚さは平均100nmであった。
【0051】(MA9)シェル原料として固体粉末をコ
ア材料の表面に帯電付着させた例である。コア材料とし
ての粉砕機により平均粒径5μmに粉砕した2−エチル
−4−メチルイミダゾールとビスフェノールA型エポキ
シ樹脂との2:1アダクト100部を、平均粒径200
nmのシェル原料としての二酸化チタン100部ととも
に、自動乳鉢を用いて30分間撹拌して二酸化チタンを
コア材料表面に被覆した。
【0052】(MA10)シェル原料としてペルヒドロ
ポリシラザンを用いた例である。ペルヒドロポリシラザ
ンのm−キシレン10%溶液100部に、コア材料とし
て粉砕機により平均10μmに粉砕した2−フェニルイ
ミダゾール10部を分散させた。撹拌しながら130℃
に加熱し、3時間反応させた。反応終了後、ガラスフィ
ルターまたは遠心分離器を用いて分離し、減圧下で乾燥
することによりマイクロカプセル型硬化促進剤を得た。
シェルの厚さは平均200nmであった。
【0053】また、比較のために、以下のようにして従
来の硬化促進剤(A1)〜(A3)を調製した。 (A1)粉砕機により平均粒径5μmに粉砕した2−エ
チル−4−メチルイミダゾールとビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂との2:1アダクト(融点70℃)をそのま
ま硬化促進剤として用いた。
【0054】(A2)コア材料としての粉砕機により平
均粒径1μmに粉砕した2−エチル−4−メチルイミダ
ゾールとビスフェノールA型エポキシ樹脂との2:1ア
ダクト(融点70℃)60部を四級アンモニウム系界面
活性剤0.5部とともにヘキサン100部に分散させ
た。この分散液にシェル原料としてのトリレンジイソシ
アネート0.2部を溶解し、30分間撹拌した。反応終
了後、ヘキサンで数回洗浄し、ガラスフィルターまたは
遠心分離器を用いて分離し、減圧下で乾燥することによ
りマイクロカプセル型硬化促進剤を得た。シェルの厚さ
は平均50nmであった。
【0055】(A3)コア材料としての粉砕機により平
均粒径5μmに粉砕したアゾビスイソブチロニトリル5
部を四級アンモニウム系界面活性剤0.5部とともにキ
シレン100部に分散させた。この分散液にシェル原料
としてのポリスチレン5部を溶解し、撹拌しながら徐々
にヘキサン100部を添加した。反応終了後、ヘキサン
で数回洗浄し、ガラスフィルターまたは遠心分離器を用
いて分離し、減圧下で乾燥することによりマイクロカプ
セル型硬化促進剤を得た。シェルの厚さは平均300n
mであった。
【0056】次いで、上記で調製した硬化促進剤(MA
1)〜(MA10)および(A1)〜(A3)を用い、
表1に示す配合割合で樹脂、硬化剤および充填剤ととも
に混合し、試料(1)〜(16)および参照試料(1)
〜(5)の樹脂組成物を調製した。得られた各樹脂組成
物について、調製直後および40℃で1か月保存した後
にそれぞれ粘度を測定することにより、保存安定性を評
価した。評価基準は以下の通りである。すなわち、保存
後の粘度を調製直後の値と比較して、変化がない場合を
「優」、2倍以内である場合を「良」、2倍以上の場合
を「不可」とした。また、各樹脂組成物を120℃、
0.5〜2時間、さらに130℃、15時間の条件で硬
化させた。硬化物の曲げ強度について、硬化直後、沸騰
蒸留水中で2時間煮沸処理した後の値をそれぞれ測定し
た。ただし、曲げ強度の測定はJIS[K6911]に
従った。これらの結果を表1に併記する。
【0057】なお、表1における樹脂、硬化剤および充
填剤の記号は以下の材料を表す。 樹脂 (R1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂 (R2)ビスフェノールF型エポキシ樹脂 (R3)メタクリル酸メチル 硬化剤 (C1)ジエチレントリアミン (C2)無水メチルテトラヒドロフタル酸 (C3)クレゾールノボラック樹脂 充填剤 (F1)溶融シリカ粉末、平均粒径10μm (F2)アルミナ粉末、平均粒径5μm (F3)ガラス短繊維、直径5μm、平均長70μm
【0058】
【表1】
【0059】表1に示される通り、試料(1)〜(1
6)の樹脂組成物においては、いずれも長期保存後の粘
度の変化が小さく保存安定性が優れている。また参照試
料(2)、(3)の樹脂組成物とは異なり、シェル材料
が樹脂組成物の硬化後も不純物ではなく無機充填剤とし
て作用するので、高温高湿環境下での硬化物の強度低下
が抑えられていることがわかる。
【0060】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、硬
化促進剤を含有するコアを無機材料からなるシェルで被
覆したマイクロカプセル型硬化促進剤を提供でき、シェ
ルの耐薬品性、耐水性、耐熱性を生かし、使用される硬
化剤などの種類にかかわらず高い保存安定性を実現でき
る。また、このようなマイクロカプセル型硬化促進剤を
含有し、安定した硬化開始温度を示す樹脂組成物を提供
できる。さらに、硬化後に残留するシェルは無機材料で
あることから不純物を溶出することがなく、しかも無機
充填剤と同様に作用するため、硬化物としての信頼性を
向上することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−25470(JP,A) 特開 平2−300229(JP,A) 特開 平6−256746(JP,A) 特開 昭63−223027(JP,A) 特開 平3−122114(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 59/40 C08L 101/00 C08L 63/00 - 63/10 C08K 9/10 B01J 13/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬化促進剤を含有するコアを、ポリシラ
    ザンのガラス前駆体ポリマーをガラス化することにより
    製造されるシェルで被覆したことを特徴とするマイクロ
    カプセル型硬化促進剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のマイクロカプセル型硬
    化促進剤、及び硬化樹脂前駆体、及び/または硬化剤、
    及び/または充填材を含む樹脂組成物。
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