JP3468982B2 - 吸湿吸水性繊維および繊維製品 - Google Patents
吸湿吸水性繊維および繊維製品Info
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Description
て使用される吸湿吸水性繊維およびそれを含有する繊維
製品、例えば不織布、編織物、布団、フィルター等に関
する。
アクリル酸ナトリウムからなる吸水繊維が「ベルオアシ
ス」という商標で市販されている。この繊維は吸湿率が
大きく、20℃、相対湿度60%で吸湿率が40重量%
と他の繊維に比べると非常に大きい吸湿性を示してい
る。また、30℃、相対湿度100%で徐々に吸湿させ
ると500重量%を超える非常に大きい最大吸湿率を示
す。また、この繊維は生理食塩水を遠心脱水後も100
0重量%を超える程保持しているという非常に大きい吸
水性を示す。しかし、この吸水繊維は吸水すると繊維強
度が殆どなくなるという重大な欠点を持っている。従っ
て、洗濯する用途には適していない。
表面に近い部分をゲル化した吸水繊維が東洋紡績(株)
から「ランシール」という商標で市販されている。しか
し、この吸水繊維は吸湿性は大きくない。実測してみる
と「ベルオアシス」の約1/3以下の吸湿性である。
38という繊維が市販されているが、上記の「ランシー
ル」と同様の改質繊維である。繊維学会誌、1995年
VOL.51、5月号211〜212頁にその概要が記
載されている。
相対湿度60%で吸湿率が38重量%であり、優れた吸
湿性を持っていると記載されている。また、25℃、相
対湿度80.5%の条件でC−80熱量計を使用して測
定した発熱量は、乾燥繊維1g当り345calであ
り、羊毛の114.8calと較べて遥かに大きいと記
載されている。また、この発熱量は含水率に対応し、素
材による水1g当りの吸着熱(発熱)はこの繊維が67
9calで、羊毛が663calであると記載されてい
る。欠点としては色がピンクであると記載されている。
この繊維の生理食塩水の吸水率を測定した結果、標準状
態23℃、相対湿度65%で調湿した繊維は遠心脱水後
48重量%と吸水率は小さかった。
9762号公報に記載されている。この繊維は絶乾状態
から水中または高湿度雰囲気下に移すと、水素結合や溶
解熱やファンデルワールス力に関与した発熱を有すると
記載されている。また、20℃、相対湿度40%の環境
下で20℃に保たれた水100gの水中に投入するとそ
の発熱量は熱量の単位が異なるが、この繊維は約60J
/g、羊毛は約15J/gと記載され、湿度は80.5
%から水中へと増大しているにもかかわらず上記の学会
発表の値より発熱量は小さい。これは20℃、相対湿度
40%の環境下でこの繊維は既に22重量%の水分を含
有し、羊毛は12重量%の水分を含有しているため、絶
乾状態と比較するとその分の発熱がないので発熱量が小
さくなるためである(この繊維の場合約30J/gに相
当する)。しかし、逆に吸湿による発熱a以外に、吸水
および溶解による発熱bが加わるため、この値になって
いる。しかし、吸水量が小さいためその発熱bは小さ
い。従って、発汗量が大きい時やウエットスーツでの発
熱bは多くを期待できない欠点がある。
キーウエアの場合、発熱量は16〜24kJ程度が実用
的であると記載されている。この場合には衣料内気候と
して20℃、相対湿度が40→90%に高まって行く場
合を想定している。従って汗が流れ、相対湿度が100
%になるような状態は想定していない。
剤、調湿剤、発熱剤として使用する吸湿吸水性繊維およ
びその繊維製品を廉価に提供するにある。
「ベルオアシス」の欠点である吸水時の強力低下を改良
するための改質方法を研究し、本発明の完成に至った。
本発明の吸湿吸水性繊維は(メタ)アクリル酸を主成分
とし、吸水後も繊維形態を保持し、20℃、相対湿度6
5%での吸湿率が35重量%以上44重量%以下であ
り、0.9%生理食塩水の吸水率が800重量%以上1
290重量%以下である吸湿吸水性繊維である。
吸水性ポリマーと組成が類似したモノマーを使用する。
カルボン酸として例えば(メタ)アクリル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、ソルビ
ン酸、ケイ皮酸、クロトン酸、ベータアクリルオキシプ
ロピオン酸、およびこれらのアルカリ金属塩を用いるこ
とが出来る。好ましくは(メタ)アクリル酸が経済的に
推奨される。
2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、スルホン酸エチ
ル(メタ)アクリレート、スチレンスルホン酸、ビニル
スルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホ
ン酸およびこれらのアルカリ金属塩を用いることが出来
る。スルホン酸が含有されると生理食塩水の吸水率が向
上し、好ましい。
(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレートおよびそのエチレンオキサイド、プロピレンオ
キサイドの付加物等が用いられる。架橋剤の量が多すぎ
ると吸水率が低下するため適当に選択する必要がある。
吸水ポリマーの場合は多官能基を利用するが繊維の場合
は多官能基でない方がゲル化が発生し難く、紡糸上好ま
しい。
時点で行う。エステル結合による架橋であるので加熱に
よる脱水によって架橋は促進される。これに類似した吸
水繊維として鐘紡(株)製の「ベルオアシス」がある。
この吸水繊維の特徴は高吸水性であって、吸湿性は2次
的な効果である。逆に吸湿性が高いと紡績性等にとって
悪影響が及ぶので、吸湿性を抑え、吸水性をより大きく
するよう、架橋度を抑制する方向で種々の研究がなされ
ている。
理条件の選択により適度に進行させることによって、吸
水時の形態を保ち、且つ吸湿率を保持することができ
た。この熱処理は多段に分割して行っても良く、上記の
「ベルオアシス」をさらに熱処理することによっても製
造することができる。しかし、過度に熱処理すると部分
的には架橋が進行するが、部分的には架橋が破壊され、
形態保持が悪くなることが判明した。本発明の吸湿吸水
性繊維の製造の際に用いる熱処理条件は210℃以上
で、温度Y℃、処理時間X分とすると、 210≦Y<308−(80/110)X 5≦X≦120 の範囲で行うことが好ましい。熱処理温度と熱処理時間
がこの範囲より小さいと吸水時の強度低下が著しく、形
態安定性が十分ではない。熱処理温度と熱処理時間がこ
の範囲より大きいと形態保持性、吸湿率に悪影響を与え
る。
式熱風乾燥機で実施できるが、綿を積層し、熱風を綿の
上から吹き付け、下から吸引する場合には熱処理斑が小
さく好ましい。このタイプの熱処理機を使用する場合に
は処理時間を短縮できるが、適当な形態保持性を得るた
めには 210≦Y≦295−X 5≦X≦80 の範囲で行うことが好ましい。
の「ベルオアシス」繊維と変わらず、20℃、相対湿度
65%で含水率が35重量%以上である。徐々に吸湿さ
せると500%以上の吸湿率を示す。また、架橋の程度
は進行しているにも拘らず、生理食塩水の吸水率は減少
傾向ではあるが800重量%以上で殆ど減少しない。イ
オン交換水の吸水率は架橋の進行により著しく減少し、
原料の「ベルオアシス」繊維は4000重量%以上であ
るが、本発明の吸湿吸水性繊維は2000重量%以下に
低下する。
り発熱する。吸湿量、吸水量共に大きいため、絶乾サン
プルを水中に入れた時のトータル発熱量は大きく、15
0J/g以上発熱する。
湿吸水繊維を含有する繊維製品である。繊維製品には例
えば不織布、編織物、布団綿、中綿並びに紡績糸等があ
る。これらの繊維製品には本発明の吸湿吸水性繊維を5
重量%以上含有することが好ましい。この吸湿吸水性繊
維は天然繊維で最も吸湿性の大きいウールより2倍以上
の吸湿性を示す。例えば20℃、65%相対湿度で35
%以上の吸湿性を示す。従って、例えば吸湿性の殆どな
い合成繊維のポリエステルに5%含有すると7%の吸湿
性を示すことになり、天然繊維のコットンと同程度の吸
湿性を示すことになる。
記の吸湿吸水性繊維を混合し、カーディング、クロスレ
イによりウェッブを作成する方法がある。このウェッブ
をボンディングする方法として、サーマルとニードリン
グ法がある。
には熱融着繊維を混綿して用いるか、熱融着パウダー、
例えばポリエチレンパウダーを散布して用いても良い。
市販されている熱融着繊維の例としては、例えばチッソ
(株)製の芯にポリプロピレン、鞘にポリエチレンを用
いた「ES」(商標名)や、鐘紡(株)製の鞘にポリエ
チレン、または変性ポリエステル、芯にポリエステルを
用いた「ベルコンビ」等がある。
繊維、及び/又は熱融着パウダーを5〜20重量%混合
すれば良い。5重量%未満の場合はニードルパンチング
を併用すると良い。
の小さい本発明の吸湿吸水性繊維は、単繊維を太く、ま
た混綿する他の繊維はその単繊維を細くするのが良い。
細い繊維がカードの針の下に沈み、針の上の方にある太
い繊維を包み込むようにしてウェッブを形成することが
出来る。このように混綿する繊維の単繊維の太さを選択
することにより、ウェッブを形成する際の繊維の脱落を
少なくすることが出来る。繊維強度の低い吸湿吸水性繊
維の太さは6デニール以上、15デニール以下が好まし
く、繊維強度の大きい繊維の太さは2デニール以上、5
デニール以下が好ましい。ウェッブの均一性は余り重要
ではないので、シリンダーが1つの紡毛タイプのローラ
ーカードで良い。デニールが大きいためフラットカード
より、ローラーカードの方が好ましい。また、繊維長は
50〜75mmが繊維損傷も少なく好ましい。同じ意味
で、通常とは逆に太くて繊維強度の低い繊維の繊維長を
短くする方が好ましい。
する別の方法として、エアレイ法を用いることが出来
る。サーマルボンディングの場合は熱融着繊維、及び/
又は熱融着パウダーからなるバインダーを5〜20重量
%混合すれば良い。5重量%未満ではボンディングが不
十分となるので、取扱いのためには他の不織布または紙
で支持する必要がある。この支持体を用いると熱融着繊
維または熱融着パウダーを用いずに水分を付与すること
により、吸湿吸水性繊維または吸湿性ポリマーを相互に
自己接着することが出来る。従って、この場合には熱融
着繊維、及び/又は熱融着パウダーを用いずに脱落を防
止することが出来る。
強度の低い吸湿吸水性繊維の太さは6デニール以上、1
5デニール以下が分散し易く好ましい。この吸湿吸水性
繊維の繊維長は4〜15mmが同じ意味で好ましい。こ
の方法で用いる他の繊維は主体となる吸湿吸水性繊維と
似通った性質を持っていることが好ましい。
法、例えば短紡、長紡、紡毛、セミソ毛、ラップヤー
ン、結束紡績等で紡績し、紡績糸を製造することができ
る。吸湿性が大きいため温湿度管理を十分に行うことが
好ましく、混紡率によっても異なるが、吸湿吸水性繊維
の含有量が30重量%未満でも、相対湿度が60%以下
の環境で紡績することが好ましい。より好ましくは55
%以下である。調合率、撚数、構成本数等は吸湿吸水性
繊維の繊維強度が小さいため、吸湿吸水性繊維が含まれ
ていないものと計算から除外して設計する方が良い。
易に製造することができる。また、交撚、交編、交織し
て編織物を製造することができる。さらには、布団綿等
は吹き込み成形にて本発明の吸湿吸水性繊維を混合し、
使用することができる。
繊維等を混合する等によりその性能を付与したり、後加
工により種々の加工をすることができる。本発明の吸湿
吸水性繊維は吸水性をも保持しているため、上記の繊維
製品は吸水剤としての性能を併せ持つことができる。吸
水後も繊維強度は家庭洗濯に耐える程度は残っているた
め、水洗濯が可能であり、洗濯後も繰り返し使用するこ
とができる。
し、吸湿、脱湿することができ、吸湿率が90%未満で
は非常に速やかに吸湿、脱湿を行うことができる。繊維
製品が薄い不織布状であれば風がなくても、15分程度
で平衡値に到達する。
製品の表面材を適宜選択することにより、適宜調節する
ことができる。即ち、速度を大きくするには空気との接
触面積、空気の透過速度を大きくすれば良い。逆に小さ
くするには透湿性のないフィルム等で被覆し、フィルム
に適正数穴を開ける等、空気との接触面積、空気の透過
速度を調整すれば良い。
吸湿性がある他の素材を組み合わせて使用することもで
きる。例えば、吸湿性の大きい天然繊維、シルク、ウー
ル、コットン、パルプ等、吸水ポリマー、吸水繊維及び
シリカゲル等がある。これらの素材は混合または、積層
等により併用することができる。
繊維製品の吸湿率は所定の温湿度にコントロールされた
人工気象室に試験品を置き、恒量になった重量と80℃
の熱風乾燥機で恒量になった絶乾重量の差を絶乾重量で
除し、%で求めた。イオン交換水の吸水率は遠心脱水法
によりDIN53814に準じて測定した。吸水後の繊
維形態の保持性の評価はポリエステルタフタ織物の袋に
試料を入れ、JISに準じて家庭洗濯を5回繰り返し行
い、その後で開袋し、目視で評価した。不織布や紡績糸
の繊維形態の保持性の評価も同様にして行った。
く、吸水量も大きい。また、吸湿速度が大きいため、被
覆材を選定することにより、吸湿速度を自由に選定する
ことができる。さらに、繰り返し吸湿、脱湿が可能であ
り、調湿剤としても使用することができる。吸湿性と併
せ、吸水性もありながら水洗濯にも耐えられる。吸湿、
吸水の際に発熱し、発熱量が大きい。逆に放湿、乾燥の
際には吸熱し、吸熱量が大きい。
相対湿度での吸湿率が44重量%の「ベルオアシス」9
デニール(以下dと記す)、51mmをサクション式熱
風乾燥機で温度と処理時間を変更して熱処理をし、架橋
を進行させた。熱処理後の吸水率、20℃、65%相対
湿度での吸湿率を測定し、表1に示した。試験No.1
〜6の吸湿吸水性繊維は家庭洗濯5回後も繊維形状を保
っていたが、試験No.7の参考例は家庭洗濯1回後に
繊維が3mm以下に切断され繊維形状を保っていなかっ
た。
度100%で170時間、徐々に吸湿させた結果、飽和
に達し、最大吸湿率は520重量%に達した。試験N
o.3の本発明の吸湿吸水性繊維を絶乾状態に乾燥した
後、20℃のイオン交換水、および0.9%生理食塩水
中に投入し、それぞれ発熱量を測定した。発熱量はそれ
ぞれ、185J/g、145J/gと非常に大きい値を
示した。
mmとパルプの重量比1対2の混合物を吸引ネット上の
坪量15g/m2 の紙の上に均一になるようにエアレイ
法により連続的に散布し、目付けが100g/m2 にな
るように積層した。目付けの調整はネットスピードと供
給量を連続的に計量して行った。次にこの第2層の上に
坪量15g/m2 の紙を積層し、3層構造とし、本発明
の吸湿吸水性繊維製品を製造した。この不織布の吸湿率
は20℃、60%相対湿度で13.7%とパルプのみの
2倍以上の大きい吸湿性を示した。
1mmと鐘紡(株)製ポリエチレンテレフタレート繊維
SD2d、51mmとを重量比1対2で混合し、短紡績
により本発明の吸湿吸水性繊維製品の10番双糸を製造
した。この糸の吸湿率は20℃、60%相対湿度で1
2.8%とポリエステル繊維とコットン等量の糸の3倍
以上の大きい吸湿性を示した。
1mmと鐘紡(株)製ポリエチレンテレフタレート繊維
SD2d、51mmとを重量比1対1で混合し、鐘紡
(株)製ポリエチレンテレフタレートフィラメントFD
Y75D/24Fを巻回し、ラップ紡績により本発明の
吸湿吸水性繊維製品の20番単糸を製造した。この糸を
20ゲージの丸編み機で天竺に編み上げた。この丸編地
の吸湿率は20℃、60%相対湿度で19.8%とポリ
エステル繊維とコットン等量の編地の約5倍の大きい吸
湿性を示した。
Claims (2)
- 【請求項1】 (メタ)アクリル酸を主成分とし、吸水
後も繊維形態を保持し、20℃、相対湿度65%での吸
湿率が35重量%以上44重量%以下であり、0.9%
生理食塩水の吸水率が800重量%以上1290重量%
以下である吸湿吸水性繊維。 - 【請求項2】 請求項1記載の吸湿吸水性繊維を5重量
%以上含有する繊維製品。
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JP24059195 | 1995-08-25 | ||
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JP7-350583 | 1995-12-22 | ||
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- 1996-03-27 JP JP09936196A patent/JP3468982B2/ja not_active Expired - Fee Related
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