JP3466818B2 - 真空成膜プロセス装置及び該装置用の搬送キャリア兼マスキング部材 - Google Patents

真空成膜プロセス装置及び該装置用の搬送キャリア兼マスキング部材

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JP3466818B2
JP3466818B2 JP17668096A JP17668096A JP3466818B2 JP 3466818 B2 JP3466818 B2 JP 3466818B2 JP 17668096 A JP17668096 A JP 17668096A JP 17668096 A JP17668096 A JP 17668096A JP 3466818 B2 JP3466818 B2 JP 3466818B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空成膜プロセス
装置及び該装置用の搬送キャリア兼マスキング部材に係
り、特に真空室内で表面処理が施される真空処理装置に
おける搬送装置に関するものである。また、真空室内ハ
ンドであって、特に真空室内で表面処理が施される真空
処理装置に好適に使用される技術に関するものである。
また、基板を略水平方向に搬送する基板の搬送装置及び
搬送方法に関し、特に真空室内で基板に表面処理を施す
真空処理装置に使用される基板の搬送装置及び搬送方法
に関するものである。そして、基板を略水平方向に搬送
する基板の搬送装置に関し、特に真空室内で基板に表面
処理を施す真空処理装置に使用される基板の搬送装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、基板に対して成膜をおこなう
ためにCVD装置に対して連続搬送して処理を行う真空
処理装置が使用されている。添付の図面を参照して、述
べると、図39〜図42は、従来の真空処理装置の構成
例を示したものである。
【0003】図40と図42において、基板10に内周
マスキング板9がセットされ、外周をマスクするマスキ
ング板1011に保持されて搬送される。マスキング板
1011には、保持バー及び搬送バー1033と係合す
るピン1010a、1010bが設けられている。
【0004】基板移載手段1500にはマスク部材10
11を保持するためのフィンガー1054、1053を
備え、基板を上下方向にクランプして保持するようにな
っている。
【0005】供給ストッカー部に収納されているマスク
板1011を基板移載手段1500によりクランプし、
搬送バーの傾斜角度まで旋回して、マスク板1011を
アンクランプして搬送バー1033に載せる。搬送バー
に載せられたマスク板1011は搬送ピッチ分移送され
る。次に、再び供給ストッカー部に収納されているマス
ク板1011を基板移載手段1500によりクランプ
し、マスク板1011を順次搬送バー1033に載せる
ように構成されている。
【0006】次に、図43に従来の真空処理装置の投入
チャンバーの構成例を示す。
【0007】図43において、真空室であるチャンバー
2010内には、表面処理が施されるべき基板10を予
め保持したマスキング板11を把持するための保持手段
2006と、この保持手段6を図示のように対称位置に
おいて二つ備えた搬送手段2007とが内蔵されてい
る。
【0008】また、このチャンバー2010に設けられ
た開口部2011、2012に対して上記の保持手段2
006を当接させるように移動するための直線駆動手段
2003が搬送手段2007に取り付けられている。
【0009】直線駆動手段2003は保持手段2006
と直結しており、直線駆動部2008をチャンバー20
10内の雰囲気と隔離するためのシール部材2009で
覆われている。
【0010】以上の構成において、保持手段2006が
図示のように開口部2011に当接するように移動し
て、隔離された状態になった密閉空間は、開口部201
1に設けられたポンプ接続口2002により所定の真空
圧になるまで不図示の真空ポンプにより引かれるように
構成されている。
【0011】また、図44は搬送手段の他の従来構成例
を示した要部断面図である。
【0012】図44において、直線駆動手段2003の
駆動源2008は、チャンバー2010の外に設けられ
ているが、直線駆動の案内は旋回中心と同心になるよう
に設けられている。
【0013】また、例えば、特開平6−264241号
公報に開示されているように、物品の保持機構はチャン
バーの開口部の領域内において所定位置決めされたとき
に、機械的に開閉操作するように構成されている。
【0014】そして、図45は従来の真空成膜装置にお
いて、基板が略水平方向に搬送されている状態を示した
正面図である。
【0015】図45において、基板3101は、その内
周部に内周マスク3103がセットされており、更に外
周をマスキングするためのマスキング板3102に保持
された状態で矢印方向に搬送されるように構成されてお
り、互いに隣り合う板の縁部が当接するようにしてい
る。
【0016】さらに、図46は略水平方向に搬送される
マスキング板3102を垂直方向から見た平面図であ
る。
【0017】図46において、マスキング板3102の
鉛直方向における外形部は、基板面に対して直角もしく
は成型時に必要な抜き勾配Θを以って形成されることが
一般的である。そして、成膜のための空間内を通過する
際には、隣り合うマスキング板同士が互いに密着して搬
送されるように使用される。
【0018】また、このようなマスキング板3102を
切削加工する場合には、所定厚さのアルミニウム板材や
ステンレス板材を削りだして製作するようにしていた。
【0019】一方、従来より、真空成膜装置などにおけ
る基板の搬送は、図47に示すような方法で行われてい
た。
【0020】図47において、基板4510は、その内
周部に内周マスク4503がセットされ、さらに基板の
外周をマスクするマスキング板4502に保持された状
態で紙面の表裏方向に搬送される。ガイド部材4504
は、マスキング板4502が倒れないようにガイドする
ものである。また、マスキング板4502は搬送用ロー
ラーチェーン4505上に載置されており、不図示の駆
動装置によりローラーチェーン4505が駆動される
と、ガイド部材4504によってガイドされながらロー
ラーチェーン4505の進行方向に搬送されるように構
成されている。
【0021】また、マスキング板4502は、通常はア
ルミニウムやステンレス製の板素材から切削加工して製
作されていた。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図39
〜図42に示したような従来例では、基板移載手段がマ
スク部材を直接搬送バーに載せるため、次のような問題
があった。
【0023】基板移載手段がマスク部材をクランプし、
搬送バーにマスク部材を載せた後アンクランプする際、
先に載せたマスク部材との干渉を避けるため、マスク部
材にクランプするための爪は左右方向に取り付けること
ができず、上下方向に取り付けられていた。そのため、
マスク部材をクランプ、またはアンクランプする際に上
方向に配設された爪とマスク部材との間から生じた塵
が、基板表面に落下しやすいという問題があった。
【0024】一方、図43に示した従来構成によれば、
チャンバー2010内に配設される搬送手段において直
線駆動機構2008が設けられているために、搬送手段
全体の重量が大きくなる。このために旋回駆動するため
の駆動源が大きくなるという欠点がある。
【0025】また、直線駆動のための駆動源がチャンバ
ー2010内に配設されていることから、駆動源そのも
のや、電気、エアーなどの駆動力をシールするための機
構が非常に複雑化するという欠点があった。
【0026】また、開口部2011において真空ポンプ
への接続口を設ける構成であるために、開口部2011
に通じるオリフィス径を小さくせざるを得なくなり、こ
の結果コンダクタンスを悪化させて使用するポンプ容量
を大きくしなければならないという欠点があった。ま
た、従来構成例によれば、物品である基板を保持したり
開放するためには、基板を保持している工作物収容部
を、チャンバーの開口部に対して当接させるための直線
的に移動する移送機構に加えて、別の手段である機械的
な把持動作を行うための機構が必要となる。
【0027】この結果、別に駆動源を必要とする上に、
チャンバー外部にその駆動源を設ける場合は、さらにシ
ール機構が必要となり、装置が複雑化してしまうという
欠点があった。
【0028】また、コンダクタンスを改善するためにオ
リフィス径を大きくすると、開口部の密閉空間の容積が
大きくなり、所定の真空圧にするのに時間がかかるとい
う欠点があった。
【0029】また、直線駆動2008の案内部材が旋回
中心と同心に設けられていると、二つの開口部201
1、2012内の圧力に差が生じた場合において、バラ
ンスが悪くなり旋回アーム2004への偏荷重の作用に
よりアームが変形するなどの欠点があった。
【0030】また、図45に示した従来構成例によれ
ば、マスク板を製作する際のそりや平面度の狂い等によ
り、隣り合うマスク板が互いに密着せず隙間Saが生じ
たり、バリ110により隙間Sbが生じたりするという
問題があった。
【0031】その結果、成膜空間において、生じた隙間
から搬送部の部品が露出するため膜が付着し、その膜が
剥がれて異物不良の原因となることがあった。そのた
め、定期的に装置を停止させて、付着した膜を除去する
メンテナンスを行う必要があった。
【0032】また、マスク部材は金属を削り出しで製作
するため、コストがかかり、また複雑な形状にすること
は困難であった。
【0033】また、金属製マスクは生産工程において大
量に必要であり、生産コストのアップになっていた。し
かもマスクに付着した膜が剥がれて異物不良の原因とな
るため、マスクのホーニング、洗浄を必要とし、ランニ
ングコストのアップにもなっていた。
【0034】また、図47に示した従来構成例によれ
ば、ガイド部材4504とマスキング板4502との間
のクリアランスを大きく設定すると、マスキング板45
02の姿勢が安定しないという問題があった。一方、ク
リアランスを小さく設定すると、マスキング板4502
がガイド部材4504に対して接触するようになり、引
っかかりやすくなることから、安定した搬送ができない
という問題があった。
【0035】また、プロセスチャンバーの成膜空間にお
いて、搬送部の部品が直に露出するためにこれらの部品
に膜が付着して、その膜が分厚く形成され、やがて剥が
れるようになり、異物不良の原因となることがあった。
【0036】また、マスキング板は金属板を切削機械加
工して製作するために、コストがかかり、また複雑な形
状にすることは困難であった。さらにまた、このように
製造されるマスキング板は重量が大きいために搬送部の
剛性を大きくしなければならず、そのため複雑でコスト
のかかる搬送装置となっていた。
【0037】また、金属製マスキンング板は生産工程に
おいて大量に必要であり、生産コストのアップになって
いた。しかもマスキング板に付着した膜が剥がれて異物
不良の原因となるために、マスキング板のホーニング、
洗浄を必要とし、ランニングコストのアップにもなって
いた。
【0038】したがって、本発明は上述した問題点に鑑
みてなされたものであり、その目的とするところは、マ
スキング板と保持手段から発生する塵を基板表面に落下
させることなく、基板に所望の膜を堆積させ、高品質の
膜を得るための真空処理装置における基板搬送装置を提
供することにある。
【0039】また、本発明のさらなる目的は、余分な膜
が搬送部に付着するのを防ぎ、塵による品質低下を防止
すると共に、メンテナンスを不要にする事にある。
【0040】また、本発明の目的は、複雑な形状を施し
ても安価に製作でき、大量に製作しても生産コストを低
く抑えることができるとともに、使い捨てにすることも
可能となりマスキング板のホーニング、洗浄を不要と
し、ランニングコストを低く抑えた基板搬送キャリア兼
マスキング部材を提供することにある。
【0041】また、本発明の目的は、装置を複雑化させ
ることなく基板を装置外部から真空室、成膜処理室へと
送り込み、また短時間で所定の真空圧に到達できる真空
処理装置を提供することにある。
【0042】また、本発明の目的は、基板の搬送姿勢を
安定にし、引っかかりをなくして安定した搬送が行える
とともに、構造を複雑化させることなく安価な搬送装置
を提供することにある。
【0043】また、本発明の目的は、余分な膜が搬送部
に付着するのを防ぎ、塵による品質低下を防止すると共
に、メンテナンスを不要にするものである。
【0044】また、本発明の目的は、基板のマスキング
が同時に行なえて、かつ安定した搬送が行える搬送装置
を提供することにある。
【0045】また、本発明の目的は、安定した搬送を得
るために複雑な形状を施しても安価に製作できると共
に、保持部材の重量が軽くなることにより剛性を大きく
することなく安価な搬送装置を提供することにある。
【0046】また、本発明の目的は、安価で安定した搬
送部に真空成膜装置を取り付けることにより、製造コス
トの低い膜を成膜することができるような、搬送装置を
提供することにある。
【0047】
【0048】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決し、
目的を達成するために、本発明によれば、基板をセット
したマスキング板を大気中から減圧投入チャンバー内に
連続供給し、前記減圧投入チャンバーに連通する搬送部
に対して前記マスキング板を受け渡してから、前記基板
の表面上に所定膜を成膜するプロセスチャンバー内を連
続搬送し、前記搬送部に連通する減圧排出チャンバーか
ら前記マスキング板を外部に取出すように構成された真
空成膜プロセス装置であって、一対の開口部を有する第
1の減圧投入チャンバーと、前記第1の減圧投入チャン
バーに対して前記開口部の一方を介して連通して設けら
れるとともに前記マスキング板を略起立状態の姿勢に保
ちつつ前記プロセスチャンバー内を搬送する搬送手段
と、前記搬送手段にに連通して設けられる第2の減圧投
入チャンバーと、前記第1の減圧投入チャンバーの前記
開口部の他方に対して前記マスキング板を供給するため
の第1の移載手段と、前記第1の減圧投入チャンバー内
に配設されてなり、前記一対の開口部の間で旋回駆動さ
れるとともに、前記開口部の他方に供給された前記マス
キング板の両側面部位を把持部により把持して他方の開
口部に移載する第の移載手段と、一対の開口部を有す
前記第2の減圧投入チャンバー内に配設されてなり、
前記開口部の他方と前記搬送部の上流側との間で旋回駆
動されるとともに、前記開口部の一方に供給された前記
マスキング板の両側面部位を把持部により把持して移載
する第の移載手段とを具備することを特徴としてい
る。
【0049】
【0050】
【0051】また、基板をセットしたマスキング板を大
気中から減圧投入チャンバー内に連続供給し、前記減圧
投入チャンバーに連通する搬送部に対して前記マスキン
グ板を受け渡してから、前記基板の表面上に所定膜を成
膜するプロセスチャンバー内を連続搬送し、前記搬送部
に連通する減圧排出チャンバーから前記マスキング板を
外部に取出すように構成された真空成膜プロセス装置用
の搬送キャリア兼マスキング部材において、前記基板を
縦方向の姿勢に保持するとともに、該基板の裏面側に突
出し、キャリア兼マスキング部材を搬送する搬送手段と
係合する係合部を有し、前記基板の外周縁部を被覆する
マスキング部を有する基板搬送キャリア兼マスキング部
材であって、互いに隣り合うマスキング部材と接する部
位における鉛直方向の外形部の、成膜面側で接する稜線
と背面側で接する稜線とが、搬送方向に対して、相対的
に所定距離だけずれるように形成することを特徴として
いる。
【0052】また、基板をセットしたマスキング板を大
気中から減圧投入チャンバー内に連続供給し、前記減圧
投入チャンバーに連通する搬送部に対して前記マスキン
グ板を受け渡してから、前記基板の表面上に所定膜を成
膜するプロセスチャンバー内を連続搬送し、前記搬送部
に連通する減圧排出チャンバーから前記マスキング板を
外部に取出すように構成された真空成膜プロセス装置で
あって、前記搬送部を前記マスキング板を縦方向の姿勢
に保持するために、前記マスキング板の裏面側から突出
され、左右一対に離間して配置された係合部を有する基
板本体と、前記係合部を支持し、少なくとも一対以上の
ローラによって支持されたエンドレスワイヤーと、前記
エンドレスワイヤーを略鉛直方向に一対以上配置して連
続搬送するように構成することを特徴としている。
【0053】
【発明の実施の形態】
[第一実施形態]以下に本発明の好適な各実施形態につ
いて、添付図面に基づき具体的に説明すると、図1は本
発明の第一の実施形態に係わる真空処理装置の概略的な
装置構成を示す平面図である。
【0054】本図において真空処理装置1は中央の搬送
部2において成膜処理部であるCVD法によるプロセス
チャンバー5が取り付けられている。被成膜体として矢
印方向に順次搬送される基板10は、図5の正面図に示
すように基板10の外周領域をマスキングするためのマ
スキング板11によって予め保持されるとともに、基板
10の回転中心部となる内周孔部には内周マスキングプ
レート9が嵌合されており、この状態において矢印方向
に搬送されつつ成膜が行われる。
【0055】再度、図1において、搬送部2および成膜
処理部であるプロセスチャンバー5は、成膜に必要な真
空度で真空空間を形成する密閉構造となっている。
【0056】搬送部2の左側に配設された入り口部に
は、基板10をセットした状態のマスキング板11を複
数投入するための投入チャンバー3が取り付けられてい
る。また、搬送部2の右側の出口部には基板10を排出
するための排出チャンバー4が取り付けられている。
【0057】図2は図1のX‐X矢視断面図である。本
図において、投入チャンバー部3の下には、供給ストッ
カーチャンバー7が取り付けられており、ゲートバルブ
装置12と扉6によって密閉する構造となっている。ゲ
ートバルブ装置12が閉められた状態で、扉6を開き、
作業者又は不図示の投入手段によりストッカーチャンバ
ー5内に基板10が投入される。扉6が閉められると、
所定の圧力に減圧される。ゲートバルブ装置12はフラ
ンジ部13fにOリング14が取り付けられており、こ
のOリング14が供給ストッカーチャンバー部の上面3
a−1と当接する状態になることにより、投入チャンバ
ー部3と供給ストッカーチャンバー部7の間を遮断す
る。
【0058】このために、フランジ部13fにはバルブ
シャフト13が取り付けられており、その端部において
ジョイント17を介して不図示の基部に固定されたシリ
ンダ18に取り付けられている。以上の構成において、
このシリンダ18が上下駆動することにより、ゲートバ
ルブ装置12が開閉するようになっている。また、大気
中に突出しているバルブシャフト13と、真空状態にな
るように密閉された投入チャンバー部3との間の密閉状
態を常に保つために、直動シール16が取り付けられて
いる。この直動シール16には、一般的によく使われる
ベルーズシールや、ウイルソンシールのような物が良
い。
【0059】不図示の真空装置により所定の圧力に減圧
されると、ゲートバルブ装置12が起動して、図示の状
態に移動する一方で、テーブル28上に載置されたマス
キング板11がテーブル上下駆動機構20の作用によっ
て図示の位置まで上昇する状態に移行する。
【0060】このテーブル28は、テーブルシャフト2
1が取り付けられたスライド板24に取り付けられてい
る。テーブル上下駆動機構20はサーボモーター29と
ボールネジ26とで構成されている。以上の構成におい
て、サーボモーター29への通電によりボールネジ26
が回転されると、ボールネジナット25が上下移動する
結果、ナット25が取り付いているスライド板24が上
下移動するので、マスキング板11を上昇させる。
【0061】また、大気中に突出しているテーブルシャ
フト21と、真空に密閉された供給ストッカーチャンバ
ー部5との間の密閉状態を保つために、直動シール23
が取り付けられている。この直動シール23は、一般的
によく使われるベローズシールや、ウイルソンシールの
ような物であってもよい。
【0062】上記のテーブル上下駆動機構20によって
上昇させられたマスキング板11は取り出しハンド54
によって一枚ずつ取り出されて、受け渡しユニット8に
供給される。受け渡しユニット8は旋回して、受け取っ
たマスキング板11を搬送バー33に載せる。
【0063】このようにして、基板10を収容したマス
キング板11は一枚ずつ搬送部2に移載され、搬送部2
によって順次間欠送りされる。そして、搬送部2の中央
部に取りつけられたプロセスチャンバー5を通過する際
に、所望の膜が堆積される。プロセスチャンバー5を通
過して、排出側受け渡しユニット8で基板10が、搬送
部2から排出チャンバー4に移載される。排出チャンバ
ー部4は投入チャンバー部3と略同様の構造となってお
り、不図示の排出ハンドが排出側受け渡しユニット8よ
り基板101を受け取り、旋回してから収納ストッカー
チャンバー部5のテーブル上にマスキング板11を積み
重ねる。
【0064】図3は、図1に示す装置構成の搬送部2を
破断して示した正面図であり、下方にモータ47a、b
を設けた様子を示した図である。
【0065】本図において、搬送部2のチャンバー31
内には、保持バー32、搬送バー33がそれぞれ図中の
矢印方向に移動可能なように支持されている。搬送バー
33の両端には、ガイドシャフト35a、35bが取り
付けられている。ガイドシャフト35a、35bは、リ
ニアガイド34a、34bによって、チャンバー31に
対して直線移動可能に支持されている。
【0066】大気中に突出しているガイドシャフト35
a、35bと、真空に密閉された搬送部チャンバー11
間の密閉を保つために、直動シール33a、33bが取
り付けられている。この直動シール33a、33bに
は、一般的によく使われるベローズシールや、ウイルソ
ンシールが良い。
【0067】一対となっているガイドシャフトの片側の
ガイドシャフト14aには、連結バー38が回転可能な
ように軸支されている。この連結バー38の他端には、
クランクレバー37が回転可能なように取り付けられて
いる。このクランクレバー37は、搬送レバー駆動モー
ター36と不図示のキーとクランプボルトにて固着され
ており、モーター36の回転駆動力がクランクレバー3
7に伝達されるようになっている。
【0068】以上の構成において、搬送バー駆動モータ
ー36が回転すると、このリンク機構により、搬送バー
33が往復運動される。尚、ここでは一例としてリンク
機構を取りあげたが、ボールネジやラック&ピニオンな
どのように、直線運動をするものならどのようなもので
あってもよい。
【0069】続いて、上記のように搬送バー33が横方
向に往復運動可能なように支持されていたのに対して、
保持バー32は上下方向に移動可能なように支持されて
いる。このために保持バー32の両端部側には、ガイド
シャフト41a、41bが取り付けられている。ガイド
シャフト41a、41bは、それぞれリニアガイド40
a、40bによって、チャンバー31において直線移動
可能なように支持されている。
【0070】また、大気中に突出しているガイドシャフ
ト41a、41bと、真空に密閉された搬送部チャンバ
ー31間の密閉を保つために、直動シール39a、39
bが取り付けられている。この直動シールは、一般的に
よく使われるベローズシールや、ウイルソンシールが良
い。
【0071】ガイドシャフト41a、41bの先端に
は、カムフォロアー42a、42bが回転可能なように
軸支されている。またガイドシャフト41a、41b
は、バネ42a、42bによって下方に付勢されてい
る。このバネ42a、42bにより、カムフォロアー4
2a、42bは保持バー駆動カム45a、45bに当接
されるようになっている。この保持バー駆動カム45
は、キー47a−1によって保持バー駆動モーター47
a、47bと連結されており、保持バー駆動モーターの
回転力が保持バー駆動カム45a、45bに伝達される
ようになっている。従って、保持バー駆動モーター47
a、47bへの通電により回転すると、保持バー32が
上下動作することになる。
【0072】尚、図3では一対のガイドシャフト41
a、41bに対して、それぞれ保持バー駆動モーター4
7a、47bが取り付けられていたが、一対のガイドシ
ャフト41a、41bを連結バーなどで連結して、その
中央にカムフォロアーを設けて、一つのカムとモーター
で上下に駆動するように構成することも可能である。
【0073】図4は、図3のA‐A矢視断面図である。
既に説明済みの構成には同一符号を付して説明を割愛し
て相違する構成に限定して述べると、直動シールをベロ
ーズシールにしている。
【0074】このために、リニアガイド40aはベロー
ズシールの内部に取り付けられているが、ベローズシー
ルの外部にあってもよい。また、保持バー32は、シャ
フト連結ブロック51によりガイドシャフト41aと連
結されている。保持バー32はガイドシャフト41aに
対して、ある傾斜角Θをもって取り付けられている。保
持バー32は図示のように略コの字形をしており、この
間に搬送バー33が配置されている。また、搬送バー3
3も同じ傾斜角Θをもって取り付けられている。この傾
斜角Θは、マスキング板11を安定に搬送できる角度で
あるとともに、成膜に影響を及ぼさない角度であること
が望ましい。
【0075】次に、図5は基板10とマスキング板11
の構成を示す平面図である。また、図6は、図5のX‐
X矢視断面図である。両図において、円形状の基板10
は外周の周辺領域を被覆するとともに、搬送の際に基板
10を保持するためのマスキング板11に取り付けた状
態で固定されている。
【0076】また、基板10は内周の周辺領域を被覆す
る、内周マスキング板9が中央部に取り付けられてい
る。マスキング板11には、保持バー32と係合するピ
ン11a、搬送バー33と係合するピン11bが上下対
称位置に設けられている。これにより、マスキング板1
1が上下逆さまでも使えるようになっている。
【0077】次に、図7は投入チャンバー部3の平面図
であり、図8は図7のA‐A矢視断面図である。両図に
おいて、上記の排出チャンバー部4にも略同様に構成さ
れているので、説明は割愛して投入チャンバー部3で代
表して述べる。両図において、受け渡しユニット8は、
受け渡しブロック78a及び旋回ブロック84aと駆動
部から構成される。このために、マスキング板11を受
け渡しする受け渡しブロック84aの下部において旋回
ブロック84aが取り付いている。この旋回ブロック8
4aには、旋回シャフト79aが固着されており、この
シャフトを矢印方向に回転させると固定されている受け
渡しブロック78aが旋回するようになっている。
【0078】図7において、この旋回シャフト79aは
磁気シールユニット80aに固着されており、この磁気
シールユニット80aによって投入チャンバー部3の密
閉度が保たれるように構成されている。一方、この磁気
シールユニット80aの片端はカップリング81aを介
してサーボモーター82aに接続されている。
【0079】次に、図9は、取り出しハンド機構の詳細
を示した平面図である。本図において、枠状のベース5
6には旋回軸57が固定されており、図7に示す二重磁
気シールユニット70の第一軸に対して固着されてい
る。また、二重磁気シールユニット70の第二軸にはカ
ムシャフト58が固着されている。このように構成され
る磁気シールユニット70によって投入チャンバー部の
密閉度を保つように構成されている。
【0080】カムシャフト58は破線図示のベアリング
59。60によってベース56に対して回動可能に支持
されており、また、カムシャフト58の略中央部位にお
いてベルカム61が固着されている。
【0081】フィンガー53、54はベース56に植設
された一対の回転軸62とフィンガー53、54に埋設
された一対のベアリング63によって、上記のベース5
6に対して回動可能に支持されている。また、フィンガ
ー53、54の端部には、一部破線で図示したカムフォ
ロア69が夫々軸体68廻りに回動自在に設けられてい
る。
【0082】また、フィンガー53、54にはバネ掛け
64においてバネ65が張設されており、上記のカムフ
ォロア69の夫々がベルカム61の当接面と当接するよ
うにして従動するように構成されている。以上の構成に
より、ベルカム61の回動に伴う当接面61bのカムリ
フト量によりフィンガー53、54が図9に示すように
開閉するように構成されている。
【0083】一方、図10を参照して、フィンガー5
3、54の先端部には、合計で4個分のフランジ付きベ
アリング67の軸体66廻りに回動自在に設けられてお
り、これらのフランジ付きベアリング67により、マス
キング板11の縁部を両側からクランプするように構成
されている。即ち、一方のフィンガー53に取り付けら
れている2個のフランジ付きベアリング67により、マ
スキング板11の面取り部を把持する一方で、フィンガ
ー54に取り付けられている2個のフランジ付きベアリ
ング67により、マスキング板11の側面部と当接する
ようにして両側から把持するように構成されている。以
上の作用により、マスキング板11がフィンガー53、
54の把持作用によって上下、左右に自動位置決めされ
るように構成されている。
【0084】また、図8は取り出しハンド8を受け渡し
ユニット部までマスキング板11を移動させた状態を示
した図であって、取り出しハンド8のフィンガー53、
54は図示のようなZ字状の横断面形状を有しており、
ストッカー部と受け渡しユニットの間を移動するのに都
合の良い形状となっている。
【0085】一方、受け渡しブロック78aは概コの字
型をしており、上記のように横方向に反復往復駆動され
る搬送バー33の傾斜角以上に矢印方向に旋回できるよ
うにするために、上記の保持バー32より奥行きの深い
コの字型となっている。取り出しハンド8により上記の
ようにして把持されたマスキング板11は、マスキング
板11に取り付けられている保持バー係合ピン11bの
下面部位と、受け渡しブロック78aの上面部位との間
において若干の隙間ができるような位置関係で保持され
ている。
【0086】以上の構成において、取り出しハンド8の
フィンガー部がアンクランプ状態にされてマスキング板
11を離す状態にすると、保持バー係合ピン11bが受
け渡しブロック78aの上面部位上に自重で落下するの
で、マスキング板11の受け渡しが行われる。
【0087】図11は、受け渡しブロック78aが搬送
バー33の傾斜角と同じ角度まで旋回駆動されて、搬送
バー33の位置にまで、マスキング板11を移動させた
状態を示した図である。また、図12は受け渡しユニッ
ト部と搬送部の外観斜視図である。
【0088】両図において、マスキング板11は重力に
より受け渡しブロック78aに保持されているが、この
時にマスキング板11の搬送バー係合ピン11aと搬送
バー33の上面との間には若干の隙間ができるような位
置関係で保持されている。また、受け渡しブロック78
aが、搬送バー33の傾斜角以上にまで旋回駆動される
と、マスキング板11は搬送バー33の上面に落下する
ようにして受け渡されるようにしている。
【0089】[第二実施形態]次に、図13は本発明の
第二実施形態に係わる真空処理装置の概略的な装置構成
を示す平面図である。本図において、既に説明済みの構
成には同一符号を付して説明を割愛して相違する構成に
限定して述べる。
【0090】先ず、第一の搬送手段90は不図示の基板
ストッカーより基板10を保持したマスキング板11を
受け取り、真空処理装置のプロセスチャンバー5内へ送
り込むためのものであって、図示のように右側において
配設されている。
【0091】また、第二の搬送手段100はチャンバー
150に設けられた開口部151を介して第一の搬送手
段90から基板10を保持したマスキング板11を受け
取ってから、旋回した後に、第三の搬送手段155にマ
スキング板11を渡すためのものである。
【0092】この第三の搬送手段155はチャンバー1
50に設けられた開口部152を介して第二の搬送手段
100からマスキング板11を受け取り、旋回したのち
に成膜処理室5に移送する移送手段2にマスキング板1
1を渡すように構成されている。
【0093】マスキング板11は移送チャンバー内の搬
送部2の搬送作用によって、順次矢印方向の下流へと送
られて、プロセスチャンバー5を通過する際に所定の膜
が堆積生成された後に、図中の左側に配設された排出側
の搬送手段160、162、161、163とより装置
外へ排出されるように構成されている。
【0094】チャンバー150の二つの開口部151、
152は、大気圧と成膜に必要な圧力(移送チャンバー
内の圧力)の差を解消するように、圧力勾配を発生させ
る、いわゆる差動排気をするための密閉空間となるもの
である。
【0095】この密閉空間は、例えばチャンバー150
の一つの開口部151において、第一の搬送手段90の
マスキング板11を保持する保持手段と、第二の搬送手
段100におけるマスキング板11を保持する保持手段
がそれぞれ、開口部151に当接するように構成され
る。
【0096】以上のように構成することにより、圧力差
に応じて、例えばより高真空が必要な場合は搬送手段の
数を増やすことで、同じサイクルタイムでより高い高真
空を得ることができるようになる。
【0097】次に、図14は図13における第二の搬送
手段100の構成を詳細に示した要部断面図である。両
図において、チャンバー150内には二つの保持手段1
01a、101bが設けられており、夫々が旋回アーム
116によって支持されている。これらの保持手段10
1a、101bはマスキング板11を把持するフィンガ
ー104とフィンガーを固定するフランジ部とから構成
されている。マスキング板11はフィンガー104に設
けられた爪105によって、クランプされる。フランジ
102は、旋回アーム116に対して矢印方向に直進移
動が可能に保持されており、旋回アーム116側に取り
付けられているブッシュ106により案内されている。
【0098】また、フランジ102は、コイルバネ10
7によって後退側(図中の上方に移動するよう)に付勢
されている。このフランジ102がチャンバー150の
内面と当接する部分において、フランジ102側に環状
のシール103が設けられている。
【0099】このフランジ102の後面側には、直線駆
動装置120が、フランジ102の中心である開口部1
51の中心と合致するように取り付けられている。
【0100】また、このフランジ102の後面は、直線
駆動装置120の押し付けフランジ109に設けられた
シール110を介して、押し付けフランジ109と当接
している。この押し付けフランジ109がチャンバー1
50から大気中に突出している部分は図示のような直動
シール111によって密閉状態が保たれている。この直
動シール111は、一般的によく使われるベローズシー
ルや、ウイルソンシールが良い。
【0101】さらに、この押し付けフランジ109の後
面には接続フランジ112が設けられており、ジョイン
ト114を介して不図示の取り付け板によってチャンバ
ー150の外に固定されているシリンダ115が取り付
けられている。このシリンダ115への所定圧力の供給
により前後駆動することで、押し付けフランジ109が
矢印方向に前後移動する。
【0102】一方、図15の外観斜視図を参照して、フ
ランジ102の後端部には対称位置において一対の引掛
けブロック108が取り付けられている。これは、例え
ばチャンバー150の内圧とチャンバー外の圧力の間に
おいて圧力差が大分あって、チャンバー150の内圧の
方が高い場合は圧縮状態になっているバネ107の復元
力のみではフランジ102が戻らない場合に備えて設け
られるものである。
【0103】このために押し付けフランジ109が上記
のシリンダ115の作用により後退する前に、これらの
引掛けブロック108が矢印方向に旋回移動した時に図
示のようにフランジ109の鍔部109fの上に位置す
ることで、フランジ102を強制的に後退させることが
できるように構成されている。
【0104】また、フランジ112には、破線図示のポ
ンプ接続口113が取り付けられており、不図示のバル
ブを介して真空ポンプに接続されている。また、接続フ
ランジ112の内部には、破線で示すように、真空ポン
プにより吸引可能な孔が設けられている。
【0105】一方、押し付けフランジ109、およびフ
ランジ102も中空構造となっている。フィンガー10
4の中心部においても、同様に破線で示す孔が貫通して
設けられている。
【0106】以上の構成において、直線駆動機構120
を駆動させて、押し付けフランジ109がフランジ10
2と当接し、かつフランジ102がチャンバー150と
当接する状態にした後に、不図示のバルブを開くことに
より、開口部151中の空間を真空ポンプで引くことが
できるようになり所定圧に減圧することができるように
なる。
【0107】また、二つの保持手段101a、101b
は旋回アーム116によって矢印方向に移動可能に支持
されている。さらに、この旋回アーム116は、旋回支
持部材117によってチャンバー150に対して回動可
能に支持されている。チャンバー150の外部には回転
シール118が取り付けられており、これによってチャ
ンバー150内部の気密が保たれている。さらに回転シ
ール118にはモーター119が取り付けられており、
このモーター119への通電によって旋回アーム116
が旋回するように構成されている。
【0108】図16は直線駆動手段120の作用により
フランジが後退した状態を示した要部断面図である。本
図において、既に説明済みの構成には同一符号を付して
説明を割愛して、動作について述べると、バネ107に
よって後退側に付勢されているフランジ102は、旋回
アーム116と当接する状態になって、後退側の位置が
決められる。また、シリンダ115のストロークは、そ
の停止位置よりやや下がった位置に設定されているの
で、引掛けブロック108との当接面との間において寸
法δの隙間ができる。このように隙間を設けることによ
り、旋回アーム116が上記のように旋回しても、押し
付けフランジ109の鍔部109fに干渉して衝突する
ことがなくなるようにしている。
【0109】以上説明したように、マスキング板11を
保持する保持手段を備え、マスキング板11を送り込む
ためにチャンバーに設けられた一つ以上の開口部に対し
て平行に旋回するように支持され、保持手段を開口部に
当接させるために旋回平面に対し垂直方向に移動可能な
直線駆動手段が開口部の位置に設けられているので、二
つの開口部内に圧力差があってもバランス良くスムーズ
に移動させることができる。
【0110】また、直線駆動手段の駆動源は、チャンバ
ー外に設けられているので、搬送手段の重量を軽くする
ことができるし、また旋回のために必要な駆動力を小さ
くすることができる。
【0111】さらに、駆動源そのものにはシール機構が
不要となり、また駆動力伝達部のシール構造を簡単にす
ることができる。
【0112】また、直線駆動手段により保持手段が開口
部を密閉可能なように、直線駆動手段が保持手段と当接
する部分にシール機構を備え、保持手段が開口部と当接
する部分にシール機構を備えているので容易に密閉空間
をつくることができる。
【0113】また、直線駆動手段にポンプ接続口が設け
られているのでコンダクタンスを悪化させることがな
く、ポンプ容量を小さくすることができる。また、所定
の圧力に短時間で到達することができる。
【0114】[第三実施形態]添付図により本発明に係
わる真空室内ハンドの構成につき以下に具体的に説明す
る。
【0115】図17は本発明の第一の実施例に係わる真
空処理装置の概略的な装置構成を示した保持手段である
ハンドの平面図である。
【0116】本図において、チャンバー150の二つの
開口部151、152は、大気圧と成膜に必要な圧力差
を解消するように、圧力勾配を発生させるための、いわ
ゆる差動排気をするための密閉空間となるものである。
【0117】このためにチャンバー150の密閉空間
は、例えば一つの開口部151において、第一の搬送手
段のマスキンギ板を保持する保持手段と、第二の搬送手
段であるマスキング板を保持する保持手段がそれぞれ、
開口部151において当接するように構成される。
【0118】したがって、圧力差に応じて、例えばより
高真空が必要となる場合には搬送手段の数を増やしてゆ
けば、同じサイクルタイムでより高真空を達成すること
ができるようになる。
【0119】続いて、図18はハンドの平面図であり、
また図19は図18のA‐A矢視断面図であってアンク
ランプの状態を示したものである。
【0120】両図において、フランジ202にはチャン
バー部150の開口部151、152の外周縁部と当接
する際に、密閉性を保つためのシール203が設けられ
ている。また、ブロック204には、左右一対の支持軸
207により夫々回動自在に軸支されているフィンガー
ブロック206が取り付けられている。
【0121】これらのフィンガーブロック206には、
ジョー205a、205bが取り付けられている。以上
の二つのフィンガーブロックの間には、一対のバネ掛け
209によりバネ210が張設されており、お互いのジ
ョー205a、205bを閉じる方向に付勢するように
構成されている。
【0122】次に、図20は、図19のC−C矢視断面
図である。また、図21は、図18のB−B矢視断面図
である。
【0123】両図において、ブロック204にはリニア
ガイドベアリング214が設けられており、またフラン
ジ202にはガイドシャフト213が取り付けられてお
り、ブロック204はフランジ202に対して移動可能
に構成されている。
【0124】このフランジ202には、バネ215が取
り付けられており、ブロック204を押し出す方向に付
勢している。また、リニアガイドベアリング214が取
り付けられている部分には、フタ216が取り付けられ
ており、ガイド部から発生する塵埃が外部に洩れること
を防いでいる。
【0125】図22は、二つのハンドがチャンバー15
0に対向して、それぞれ当接している状態と、フランジ
202がチャンバー150に当接する側の状態を中心線
を挟んで複合的に示した中心断面図である。
【0126】本図において、開口部151に設けられた
当接部151aに対してブロック204が当接する状態
になるまでは、ジョー205はバネ210により閉じる
方向であるクランプ状態になっている。
【0127】一方、当接部151aとブロック204と
が当接して、さらに距離dだけハンドが前進する状態に
移動されると、フランジ202の202a面がフィンガ
ーブロックに取り付けられているベアリング208を押
し上げることになり、フィンファーブロック206は支
持軸207を中心に回転して、ジョー205が開く状態
になり、アンクランプ状態となるように構成されてい
る。
【0128】続いて、図23は、二つのハンドがチャン
バー150に対向して、それぞれ当接している状態を示
した中心断面図である。
【0129】本図において、二つのフランジ202が開
口部151を完全に密閉する状態になるように当接した
状態となっており、二つのハンドはマスキング板11を
それぞれアンクランプする状態となっている。
【0130】しかし、マスキング板11に植設されたピ
ン11a、11bによりマスキング板11を支えるよう
にできるので、落下することはない。さらに、図21に
示したバックアップピン217によりそれぞれのハンド
側からマスキング板11を支える状態になっているので
落下防止することができる。
【0131】さらにこの状態から、図22に示すように
どちらか一方のハンドが後退を始めると、そのハンドは
クランプを開始して、距離dだけ後退すると、完全にマ
スキング板11をクランプする状態になる。しかし、こ
のときフランジ202のみが後退するので、マスキング
板11は開口部151内において以前として保持された
状態になっている。この状態から、さらに後退して距離
d以上後退すると、マスキング板11をクランプしたま
まの状態で、一方のハンドが後退し、他方のハンドが把
持していたマスキング板11を一方のハンドが受け取
り、受け渡しが完了する。 [第四実施形態]以下に添付図により本発明に係わる基
板搬送キャリア兼マスキング部材について具体的に説明
する。
【0132】図24(a)は基板搬送キャリア兼マスキ
ング部材の概略構成を示した正面図である。また、図2
4(b)は、図24(a)のA‐A矢視断面図である。
【0133】本図において、円形状の基板10はその外
周の周辺領域を被覆するとともに、搬送の際に基板10
を保持するためのマスキング板11に取り付けられてお
り不動状態になるように例えばパチン嵌合により固定さ
れている。
【0134】また、基板10は、内周の周辺領域を被覆
する、内周マスキング板9が中央部において例えばパチ
ン嵌合により取り付けられている。
【0135】以上のように構成されるマスキング板11
には、搬送部に対して係合するピン11a、11bが設
けられている。係合ピン11aは、図24(b)に示す
ように左右の一対分が搬送部によって支持される際に、
脱落しないようにするために一部が切り欠かれた突起部
11a−1、11b−1が形成された形状となってい
る。また、マスキング板11と係合ピン11a、11b
は、高分子材料で一体的に成形されるものである。
【0136】次に、図25は搬送部において、基板10
を床面に対して略垂直になるように縦方向の姿勢に保ち
つつ、略水平方向に搬送される状態を示した正面図であ
る。また、図26は、図25に図示の状態になっている
保持バー32と搬送バー33の動作フローチャートを示
す。
【0137】両図において、係合ピン11aは、図中の
矢印方向に上下運動する保持バー32に対して係合して
保持される。また、係合ピン11bは、搬送バー33と
係合するようにして搬送される。
【0138】このように搬送するために、係合ピン11
aは保持バー32と係合し、保持されている状態から、
ステップS1において保持バー32が下降すると、係合
ピン11bは搬送バー33に対して係合する状態にな
り、マスキング板11が搬送バー33に載る状態にな
る。
【0139】これに続いて、ステップS2に進み搬送バ
ー33が一定ストローク分前進されて、マスキング板1
1をストローク分搬送する。このストロークは、マスキ
ング板11の外形寸法と同一に設定されている。このよ
うにして、搬送バー33が前進端にまで到達すると、搬
送バー33は停止して、ステップS3において保持バー
32が上昇する。このようにして保持バー32が上昇端
に達すると、搬送バー33からマスキング板11が切り
離されて、次のマスキング板11を搬送するためにステ
ップS4において搬送バー33が後退端に戻る。以上の
動作が終了したかをステップS5に於いて判定して、以
降この動作を繰り返し実行してマスキング板11を一枚
ずつ順次搬送する。
【0140】次に、図27は、保持バー32に加工形成
された位置決めミゾ250の形状の一例を示す図であ
る。図27(a)に示された位置決めミゾ250aは、
V字型の形状である。また、図27(b)に示された位
置決めミゾ250bは、一方が垂直の壁面で、他方は斜
めにカットされた斜面で形成されている。そして、図2
7(c)に示された位置決めミゾ250cは、位置決め
ミゾ250bと左右対称の形状をなしているものであ
る。
【0141】ここで、搬送バー33で搬送されたマスキ
ング板11の位置と、保持バー32でマスキング板11
を位置決めする位置の間には当然幾分かのズレがある
が、上記のような形状の位置決めミゾ250にすること
で、そのズレ量を吸収できるようになる。また、溝の形
状は上記の形状に限定されず、少なくとも谷部において
ピン11aを不動状態で保持できるものであればどんな
形状であってもよい。
【0142】また、図28は、搬送バー33により搬送
されたマスキング板11の停止位置と、保持バー32に
設けられた位置決めミゾ250の位置関係を示した正面
図である。本図において、位置決めミゾ250の形状と
してV字型の形状のもので説明する。
【0143】搬送バー33に搭載されている状態でのマ
スキング板11の停止位置は、保持バー32に設けられ
た位置決めミゾ250の位置決めセンター位置250k
に対して、距離δだけ左側にずれた位置に設定されてい
る。したがって、搬送バー33により搬送されたマスキ
ング板11がこの位置で停止して、次に保持バー32が
上昇してマスキング板11が上に持ち上げられると、マ
スキング板11は位置決めミゾ250の斜面をすべり、
距離δだけ右側にずれた位置で停止することになる。
【0144】図29は、投入された直後のマスキング板
11Aと搬送後のマスキング板11Bの位置関係を示す
図である。
【0145】先ず、図29(a)において、移送手段に
より搬送部にマスキング板11Aが投入された直後の状
態を示す。また、図29(b)は、搬送バー33により
マスキング板11A(二点鎖線図示)が、マスキング板
の外形寸法のピッチPで搬送された状態を示しており、
実線図示のマスキング板11Bは、搬送後のマスキング
板の位置を示すものである。この時、係合ピン11aの
センター位置は、保持バー32に設けられている位置決
めミゾ250のセンター位置250kとは、距離δだけ
ズレている。この状態から、保持バー32が上昇する
と、マスキング板11Bは位置決めミゾ250の斜面を
滑り降り、距離δだけズレた位置のセンター位置に位置
決めされる。
【0146】図29(c)は、このようにして位置決め
されたマスキング板11Cの状態を示すものである。以
上の一連の動作により、マスキング板11Cはその左隣
に投入されてくるマスキング板11Aとの間において、
隙間δを持つことになる。
【0147】従って、次に搬送部に投入されるマスキン
グ板11Aは、その隣りに位置しているマスキング板1
1Cと干渉することなく投入することができるので、衝
突等が防止できるようになる。
【0148】以上の動作は、搬送部の下流側においてマ
スキング板を排出する場合も略同様である。つまり、マ
スキング板11Aを上流側から送られてくるマスキング
板とし、マスキング板11Cを排出する位置にあるもの
とすると、前述したようにマスキング板11Cは、上流
側にあるマスキング板11Aとは距離δだけズレた位置
において位置決めされることになるので、上流側に位置
するマスキング板11Aと干渉することなく排出するこ
とができるようになる。
【0149】図30は、搬送部上流側におけるマスキン
グ板と保持バーの位置決めミゾの位置関係を示す図であ
る。
【0150】本図において、Wはマスキング板11に設
けられた保持バー係合ピン11aと、保持バー32に設
けられた一対の位置決めミゾ250の谷部の間のピッチ
距離である。またPは、マスキング板の外形寸法と同寸
法の搬送ピッチである。
【0151】先ず、マスキング板11Aを位置決めする
ための一対の位置決めミゾ250aと、マスキング板1
1Bを位置決めする一対の位置決めミゾ250bとの距
離は、P+αだけ離れている。これにより保持バー32
によって位置決めされたマスキング板11Aとマスキン
グ板11Bは、距離αだけ離れることになる。
【0152】また同様に、マスキング板11Bを位置決
めする一対の位置決めミゾ250bと、マスキング板1
1Cを位置決めするための一対のミゾ250cとの距離
は、P+βだけ離れている。これにより保持バー32に
よって位置決めされたマスキング板11Bとマスキング
板11Cの間は、距離βだけ離れることになる。
【0153】一方、マスキング板11Cを位置決めする
一対の位置決めミゾ250cと、マスキング板11Dを
位置決めする一対の位置決めミゾ250dとの間の距離
は、P−Δだけ近ずいている。この距離Δは、マスキン
グ板11の外形寸法P±Δの寸法公差分に設定されてい
る。このように設定することにより、マスキング板11
の外形寸法がP−Δであって、より寸法が小さいものが
投入された場合であっても、マスキング板11Cとマス
キング板11Dとの間には隙間が生じないようにしてい
る。一方、マスキング板11の外形寸法がP+Δと大き
いものが投入された場合には、どちらかのマスキング板
の係合ピン11aが位置決めミゾ250の斜面上に位置
することになるが、やはりマスキング板11Cとマスキ
ング板11Dとの間には、隙間が生じないようにでき
る。
【0154】以下同様に、マスキング板11Dとマスキ
ング板11Eとの間にも隙間が生じないようにできる。
【0155】上記の隙間αは、マスキング板11Aが投
入されるときに隣のマスキング板11Bと干渉しない寸
法であって、かつ搬送ピッチPで搬送されたときにマス
キング板11の係合ピン11aが位置決めミゾ250の
ミゾ幅に入る距離であれば、如何なる値であってもよ
い。また隙間βは、互いに接し合うマスキング板11C
〜102Eの外形寸法公差が全て最大寸法公差の場合で
あっても、その左側にあるマスキング板11Cが隣のマ
スキング板11Bと干渉しない距離であれば、如何なる
値でも良い。
【0156】図31は、搬送部の全長にわたるマスキン
グ板11Aから11Jの位置関係を示す正面図である。
図30においては、搬送部の上流側について述べたが、
マスキング板を排出する下流側も上流側と同じように、
マスキング板と係合する一対の位置決めミゾのピッチを
変えることにより、隙間α・βを作り、マスキング板1
1Jを排出する際の隣り合うマスキング板11Iと干渉
しないように構成されている。
【0157】また、中央部において搬送途中のマスキン
グ板11D〜11Gは、プロセスチャンバーに対向する
状態になっており、膜が堆積されるものであるが、上記
のようにそれぞれ隣り合うマスキング板11D〜11G
を密着するようにしているために、背面に位置する搬送
バー33や保持バー32には膜が堆積されないようにで
きるので、従来のように頻繁に行われていた清掃作業を
排除することができるようになる。
【0158】図32は、隣り合うマスキング板11の平
面図である。また、図33は隣り合うマスキング板11
の接触部の拡大図である。両図において、マスキング板
11が搬送される方向に対して直角方向となる外形部
は、基板表面Fに対して角度Aだけ傾斜する平行四辺形
となっている。
【0159】マスキング板11の外形部においてバリ1
1kや成形時のひけ等に起因する変形などがあると、隣
り合うマスキング板11は密着せずに隙間Sを持つこと
になる。このような隙間Sによる成膜面F側にできる開
口部H1と、背面側にできた開口部H2とは距離L1だ
けずれを生ずることになる。即ち、成膜面F側に開口部
H1が生じてもそこから付着する膜成分は背面側の搬送
部側には光学的に影となるため、搬送部材には不要な膜
が付着しにくくなる。
【0160】このように成膜空間部では、隣り合うマス
キング板11の鉛直方向における外形部が、互いに重な
り合う形になるが、この重なり量の最大値L2は、図3
1で示されているαよりも小さい値に設定されている。
以上のように設定することにより、マスキング板11の
投入部3、および排出部4において隣接するマスキング
板11と互いに干渉する事なく投入、排出を行なうこと
ができるようになる。図34に別の実施形態を示した正
面図を示す。
【0161】本図において、隣り合うマスキング板11
の外形部は図示のように段状になっており、隣り合うマ
スキング板11同士が互いに入れ子状となるように外形
部が形成されている。このようにする場合も、成膜面F
側にできた開口部H1と、背面側にできた開口部H2と
は距離L1だけずれを生ずる。すなわち、成膜面F側に
開口部H1が生じても、そこから付着する膜成分は背面
側の搬送部側には光学的に影となるため、搬送部材には
不要な膜が付着しにくくなるようにできる。
【0162】また、段状を形成する突出量L2は、図3
1で示されているαよりも小さい値に設定されている。
これにより、マスキング板11の投入部、および排出部
では隣接するマスキング板と干渉することなく投入、排
出を行なうことができるようになる。 [第五実施形態]図35は真空処理装置の概略的な構成
を示した平面図である。また、図36は図35のA‐A
矢視の正面図であって、搬送部の構成を示すために要部
を破断した図である。
【0163】両図において、既に説明済みの構成には同
一符号を付して説明を割愛して相違する構成について以
下に述べると、搬送部2の中央部には成膜処理部である
プロセスチャンバー5が取り付けられている。基板10
は、基板10の外周領域をマスキングするマスキング板
11によって保持・搬送される。
【0164】搬送部2および成膜処理部であるプロセス
チャンバー5は、成膜に必要な真空度で真空空間を形成
するよう密閉構造となっている。
【0165】搬送部2の入口部は、マスキング板11を
投入するための投入チャンバー3が取り付けられてい
る。投入チャンバー3の前後には、ゲートバルブ305
a、305bが取り付けられている。大気側ゲートバル
ブ305aを開き、不図示の投入手段で投入チャンバー
3内にマスキング板11が投入されて、ハンド308に
て保持される。
【0166】大気側ゲートバルブ305aが閉じられる
と、投入チャンバー3は搬送部2と同真空度になるま
で、不図示の真空ポンプにて排気される。同真空度にな
ると、搬送側ゲートバルブ305bが開き、投入アーム
306によりマスキング板11が搬送部2に移載され
る。
【0167】搬送部2は、一対の駆動プーリー322
a、322bと従動プーリー323a、323bとの間
に掛けられたエンドレスワイヤー321a、321b及
び駆動側アイドルプーリー324a、324b、325
a、325b及び従動側アイドルプーリー326a、3
26b、327a、327bとで構成されている。
【0168】基板10を保持しているマスキング板11
は、この基板の裏面側に突出する係合部を持ち投入アー
ム306及びハンド308にてエンドレスワイヤー32
1に掛けられる。
【0169】マスキング板11が一枚ずつ搬送部2に移
載されると、搬送部2によって順次間欠送りされる。搬
送部2の中央部に取り付けられたプロセスチャンバー5
を通過する際に、所望の膜がマスキング板11上に成膜
される。
【0170】プロセスチャンバー5を通過したマスキン
グ板11は出口部まで搬送されるが、搬送部2の出口部
には、マスキング板11を排出するための排出チャンバ
ー4が取り付けられている。
【0171】搬送側ゲートバルブ305bが開くと排出
アーム307が前進し、排出アーム307の先端に取り
付けられたハンド308によって、無端ベルト上のマス
キング板11を保持し、排出アーム307が後退するこ
とによって、マスキング板11が搬送部2から排出チャ
ンバー4に移載される。
【0172】次に、搬送側ゲートバルブ305bが閉じ
られ、排出チャンバー4内は大気圧に戻される。排出チ
ャンバー4内が大気圧に戻されると、大気側ゲートバル
ブ305aが開き、不図示の移送手段によって移送され
る。
【0173】このようにして、マスキング板11で保持
された基板10は、1枚ずつ投入されて順次間欠送りさ
れ、プロセスチャンバー5を通過する際に所望の膜が成
膜された後に、1枚ずつ排出されるように構成されてい
る。
【0174】搬送部2はチャンバー11により密閉構造
となっている。駆動プーリー322は、駆動源であるモ
ーター等の駆動力を伝達するために、軸端部がチャンバ
ー311から大気中に突出している。大気中に突出して
いる軸端部と、真空に密閉された搬送部チャンバー31
1間の密閉を保つために、回転シール328が取り付け
られている。この回転シール328は、一般的に良く使
われる磁気シールや、ウイルソンシールのような物であ
ってもよい。さらに、回転シールの軸端部には、カップ
リング329を介してモーター330が接続されてい
る。エンドレスワイヤー321に掛けられたマスキング
板11は、順次搬送されて、プロセスチャンバー5を通
過し、所望の膜が成膜される。
【0175】一対のエンドレスワイヤー321a、32
1bは上下方向に距離dだけ離れて配置されている。上
方に位置しているワイヤー321aは、マスキング板1
1の係合ピン11aと係合して、マスキング板11を搬
送するためのワイヤーとして機能するものである。ま
た、下方に位置しているワイヤー321bは、マスキン
グ板11の下部を支持して、マスキング板11が搬送中
において回転するのを防止するものである。
【0176】エンドレスワイヤー321aは、アイドル
プーリー324aにて下方に導かれ、さらにアイドルプ
ーリー325aにて従動側へと導かれる。従動側へ戻さ
れたワイヤー321aは、アイドルプーリー325aに
て上方に導かれ、更にアイドルプーリー327aにて従
動プーリー323aヘと導かれる。
【0177】エンドレスワイヤー321bは同様に、ア
イドルプーリー324bにて下方に導かれるが、エンド
レスワイヤー321aとの干渉を避けるために、距離L
2だけ離れて従動側に導かれるようにしている。
【0178】このようにして、マスキング板11がプロ
セスチャンバー5を通過する時、マスキング板11は成
膜両側から見ると、エンドレスワイヤー321a、32
1bがマスキング板11の陰になっており、マスキング
板11以外には存在しないようにできるようになる。ま
た、エンドレスワイヤー321a、321bはマスキン
グ板11を搬送した後において、従動側に戻る際は、プ
ロセスチャンバー5の下部を通過するようにしている。
【0179】次に、図37(a)は、基板10とマスキ
ング板11の構成を示す図であって、図37(b)は図
37(a)のA‐A矢視断面図である。
【0180】本図において、円形状のマスキング板11
は、その外周の周辺領域を被覆するとともに、搬送の際
に基板10を保持するためのマスキング板11に取り付
け固定されている。
【0181】また、マスキング板11は、内周の周辺領
域を被覆する、内周マスキング板9が中央部に取り付け
られている。このマスキング板11には、エンドレスワ
イヤー321と係合するピン11aが設けられている。
左右一対の係合ピン11aは、エンドレスワイヤー32
1によって支持される。また、係合ピン11aはエンド
レスワイヤー321から外れないように、ワイヤーとの
当接面が一部切り欠かれた突起状11a−1を形成して
いる。マスキング板11と係合ピン11aは、高分子材
料で一体的に成形される。
【0182】図38はマスキング板11と、エンドレス
ワイヤー321a、321bを搬送方向側から見た図で
ある。
【0183】本図において、マスキング板11の係合ピ
ン11aは、エンドレスワイヤー321aと係合してい
る。また、エンドレスワイヤー321aは、搬送方向に
送られるワイヤーである。また、エンドレスワイヤー3
21bはマスキング板11の下部を支持して、マスキン
グ板11が搬送中回転するのを防止するようにしてい
る。
【0184】以上のように構成することで、戻り側のワ
イヤーが成膜空間に存在することがないので、成膜余分
な膜が付着しないようにできる。また、マスキング板1
1をエンドレスワイヤー321に対して脱着するときの
干渉をなくすようにできる。
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
第1、第2、第3の移載手段と搬送手段を各チャンバー
設けたことにより、基板垂直方向での受け渡しが可
能となり、マスキング板を左右方向にクランプすること
が可能となったため、マスク部材と保持手段から発生す
る塵を基板表面に落下させることなく基板に所望の膜を
堆積させ、高品質の膜を得るための真空処理装置におけ
る基板搬送装置を得ることができる。
【0185】
【0186】また、前記基板は、中央及び周辺領域を被
覆するためのマスク手段に保持されているため、保持手
段により保持するための作用をマスク手段に加えること
ができるので、基板を汚染したり傷つけることなく保持
することができる。
【0187】また、本発明によれば、エンドレスワイヤ
ーを用いることにより、装置を複雑化させることなく、
安定した搬送が行えるとともに、成膜時搬送部の部材が
露出しないため、余分な膜が付着せず、クリーンな搬送
を行なうことができるとともに、メンテナンスを不要に
することができる。
【0188】また、ワイヤーを使用しているため、ワイ
ヤーの進行方向をアイドルプーリーにて自由にその進行
方向を変えることができる。そのため、アイドルプーリ
ーにて戻り側のワイヤーの位置を、成膜部の下部に配置
することにより、ワイヤーに余分な膜が付着せず、クリ
ーンな搬送を行なうことができるとともに、メンテナン
スを不要にすることができる。
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】また、本発明によれば、隣り合う基板搬送
キャリア兼マスキング部材と接する、その鉛直方向にお
ける外形部の、成膜面側で接する稜線と背面側で接する
稜線とが、搬送方向に対して、相対的にある距離だけず
れるよう形成されているため、搬送部材には不要な膜が
付着しなくなる。
【0194】その結果、不要な膜を取り除くためのメン
テナンスサイクルを大幅に減少させることができる。
【0195】
【0196】
【0197】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係わる真空処理装置
の概略構成を示した平面図である。
【図2】図1のX‐X矢視断面図であって、投入チャン
バー部の構成を示した正面図である。
【図3】図1の搬送部2の要部を破断して示した断面平
面図である。
【図4】図3のA‐A矢視断面図である。
【図5】基板10とマスキング板11の構成を示した平
面図である。
【図6】図5のX‐X矢視断面図である。
【図7】投入チャンバー部の要部を破断して示した平面
図である。
【図8】図7のA‐A矢視断面図であって取り出しハン
ドの詳細図である。
【図9】取り出しハンドの平面図である。
【図10】図9のX‐X矢視断面図であって、取り出し
ハンドにより受け渡しユニット部までマスキング板11
を旋回させた様子を示した図である。
【図11】受け渡しブロック78aが搬送バー33の傾
斜角まで旋回して、搬送バー33の位置にマスキング板
11を移動させた様子を示した図である。
【図12】受け渡しユニット部と搬送部の外観斜視図で
ある。
【図13】本発明の第二の実施形態に係わる真空処理装
置の概略的な装置構成を示す図である。
【図14】図13における第二の搬送手段の詳細な図面
である。
【図15】フランジ109の外観斜視図である。
【図16】直線駆動手段120によりフランジ109が
後退した状態を示した要部破断図である。
【図17】本発明の第三実施形態に係わる真空処理ハン
ドの概略的な装置構成を示す保持手段であるハンドの平
面図である。
【図18】ハンドの底面図である。
【図19】図18のA‐A矢視断面図である。
【図20】図19のC‐C矢視断面図である。
【図21】図18のB‐B矢視断面図である。
【図22】二つのハンドがチャンバー150に対向し
て、それぞれ当接している状態と、フランジ202がチ
ャンバー150に当接する前の状態を複合的に示した断
面図である。
【図23】二つのハンドがチャンバー150に対向し
て、それぞれ当接している状態を示す図である。
【図24】(a)は第四の実施形態に係わるマスキング
板11の平面図である。(b)は(a)のA‐A矢視断
面図である。
【図25】搬送部により、略水平方向に搬送される状態
を示した正面図である。
【図26】保持バー32と搬送バー33の動作フローチ
ャートである。
【図27】保持バー32に設けられた位置決めミゾ25
0の形状例を示す図である。
【図28】搬送されたマスキング板の停止位置と保持バ
ーに設けられた位置決めミゾの位置関係を示す正面図で
ある。
【図29】投入されたマスキング板と搬送後のマスキン
グ板の位置関係を示す正面図である。
【図30】搬送部上流側におけるマスキング板と保持バ
ーの位置決めミゾの位置関係を示す図である。
【図31】搬送部全長にわたるマスキング板の位置関係
を示す図である。
【図32】隣り合うマスキング板11の平面図である。
【図33】隣り合うマスキング板11の接触部の拡大図
である。
【図34】他の実施例を示す図である。
【図35】第五実施形態に係わる真空処理装置の概略構
成を示す平面図である。
【図36】図35のA‐A矢視断面図であって搬送部の
構成を示す背面図である。
【図37】基板10とマスキング板11の平面図
(a)、(a)のA‐A矢視断面図(b)である。
【図38】搬送部を正面から見た図である。
【図39】投入チャンバー部の従来構成例を示した要部
断面図である。
【図40】取り出しハンドの従来例を示した平面図であ
る。
【図41】従来例の取り出しハンドの側面図である。
【図42】従来例の取り出しハンドの側面の一部断面を
示す図である。
【図43】従来構成例を示す要部破断図である。
【図44】従来の他の搬送手段を示す図である。
【図45】従来構成例を示す平面図である。
【図46】図45において、マスキング板の平面図であ
る。
【図47】従来構成例を示す破断図である。
【符号の説明】
1 真空処理装置 2 搬送部 3 投入チャンバー 4 排出チャンバー 5 プロセスチャンバー 6 扉体 7 蓋供給ストッカーチャンバー 9 内周マスク板 10 基板 11 マスキング板 32 保持バー 33 搬送バー 34a、34b 直動ガイド 35a、35b 搬送バーガイドシャフト 36 搬送バー駆動モーター 37 クランクレバー 38 連結バー 39a、39b 直動シール 40a、40b リニアガイド 41a、41b 搬送バーガイドシャフト 42a、42b カムフォロアー 45a、45b 保持バー駆動カム 46a、46b 駆動モーター取り付け板 47a、47b 保持バー駆動モーター 50a、50b シール・ガイド取り付け間座 51 シャフト連結ブロック 90 供給側第一の搬送手段 91a、91b 保持手段 100 供給側第二の搬送手段 101a、101b 保持手段 102 フランジ 103 シール 104 フィンガー 105 爪 106 ブッシュ 107 バネ 108 引掛けブロック 109 押し付けフランジ 110 シール 111 直動シール 112 接続フランジ 113 ポンプ接続口 114 ジョイント 115 シリンダ 116 旋回アーム 117 旋回支持部材 118 回転シール 119 モーター 120 直線駆動手段 150 チャンバー 151 開口部 152 開口部 202 フランジ 203 シール 204 ブロック 205 爪 206 フィンガーブロック 207 支持軸 208 ベアリング 209 バネ掛け 210 バネ 211 ピン 212 ピン 213 ガイドシャフト 214 リニアガイドベアリング 215 バネ 216 フタ 217 バックアップピン 218 バネ 305a 大気側ゲートバルブ 305b 搬送側ゲートバルブ 306 投入アーム 307 排出アーム 308 ハンド 311 搬送部チャンバー 321 エンドレスワイヤー 322 駆動プーリー 323 従動プーリー 324 アイドルローラー 325 アイドルローラー 326 アイドルローラー 327 アイドルローラー 328 回転シール 329 カップリング 330 モーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 C23C 16/00 - 16/56

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板をセットしたマスキング板を大気中
    から減圧投入チャンバー内に連続供給し、前記減圧投入
    チャンバーに連通する搬送部に対して前記マスキング板
    を受け渡してから、前記基板の表面上に所定膜を成膜す
    るプロセスチャンバー内を連続搬送し、前記搬送部に連
    通する減圧排出チャンバーから前記マスキング板を外部
    に取出すように構成された真空成膜プロセス装置であっ
    て、 一対の開口部を有する第1の減圧投入チャンバーと、 前記第1の減圧投入チャンバーに対して前記開口部の一
    方を介して連通して設けられるとともに前記マスキング
    板を略起立状態の姿勢に保ちつつ前記プロセスチャンバ
    ー内を搬送する搬送手段と、前記搬送手段にに連通して
    設けられる第2の減圧投入チャンバーと、 前記第1の減圧投入チャンバーの前記開口部の他方に対
    して前記マスキング板を供給するための第1の移載手段
    と、 前記第1の減圧投入チャンバー内に配設されてなり、前
    記一対の開口部の間で旋回駆動されるとともに、前記開
    口部の他方に供給された前記マスキング板の両側面部位
    を把持部により把持して他方の開口部に移載する第
    移載手段と、一対の開口部を有する 前記第2の減圧投入チャンバー内
    に配設されてなり、前記開口部の他方と前記搬送部の上
    流側との間で旋回駆動されるとともに、前記開口部の一
    方に供給された前記マスキング板の両側面部位を把持部
    により把持して移載する第の移載手段とを具備するこ
    とを特徴とする真空成膜プロセス装置。
  2. 【請求項2】 基板をセットしたマスキング板を大気中
    から減圧投入チャンバー内に連続供給し、前記減圧投入
    チャンバーに連通する搬送部に対して前記マスキング板
    を受け渡してから、前記基板の表面上に所定膜を成膜す
    るプロセスチャンバー内を連続搬送し、前記搬送部に連
    通する減圧排出チャンバーから前記マスキング板を外部
    に取出すように構成された真空成膜プロセス装置用の搬
    送キャリア兼マスキング部材において、 前記基板を縦方向の姿勢に保持するとともに、該基板の
    裏面側に突出することで、マスキング部材を搬送する搬
    送手段と係合する係合部を有し、かつ前記基板の外周縁
    部を被覆するマスキング部を有し、互いに隣り合う前記
    マスキング部材と接する部位における鉛直方向の外形部
    の、成膜面側で接する稜線と背面側で接する稜線とが、
    搬送方向に対して、相対的に所定距離だけずれるように
    形成することを特徴とする真空成膜プロセス装置用の基
    板搬送キャリア兼マスキング部材。
  3. 【請求項3】 前記マスキング部材は、前記係合部と本
    体部とが高分子材料で一体的に形成されることを特徴と
    する請求項に記載の真空成膜プロセス装置用の基板搬
    送キャリア兼マスキング部材。
  4. 【請求項4】 基板をセットしたマスキング板を大気中
    から減圧投入チャンバー内に連続供給し、前記減圧投入
    チャンバーに連通する搬送部に対して前記マスキング板
    を受け渡してから、前記基板の表面上に所定膜を成膜す
    るプロセスチャンバー内を連続搬送し、前記搬送部に連
    通する減圧排出チャンバーから前記マスキング板を外部
    に取出すように構成された真空成膜プロセス装置であっ
    て、 前記搬送部を前記マスキング板を縦方向の姿勢に保持す
    るために、前記マスキング板の裏面側から突出され、左
    右一対に離間して配置された係合部を有する基板本体
    と、 前記係合部を支持し、少なくとも一対以上のローラによ
    って支持されたエンドレスワイヤーと、 前記エンドレスワイヤーを略鉛直方向に一対以上配置し
    て連続搬送するように構成することを特徴とする真空成
    膜プロセス装置。
  5. 【請求項5】前記エンドレスワイヤーは、少なくとも一
    対以上のアイドルローラにより、戻り方向側のワイヤー
    が送り方向側のワイヤーの下部に配置されることを特徴
    とする請求項に記載の真空成膜プロセス装置。
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