JP3466810B2 - ダンパ装置 - Google Patents

ダンパ装置

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JP3466810B2
JP3466810B2 JP05232896A JP5232896A JP3466810B2 JP 3466810 B2 JP3466810 B2 JP 3466810B2 JP 05232896 A JP05232896 A JP 05232896A JP 5232896 A JP5232896 A JP 5232896A JP 3466810 B2 JP3466810 B2 JP 3466810B2
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昌司 山田
泰彦 井上
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Matsushita Electric Works Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸に入力され
る回転力を減衰させるためのダンパ装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】洋式便器の便座は、一般的に、便器本体
に重合した位置と若干後傾した起立位置との間で回動可
能なように便器本体に枢着されているが、起立位置から
重合位置への戻し操作を無造作に行うと、回動中に便座
が加速して便器本体へ激しく衝突することがあるので好
ましくない。一方、この衝突を避けるために便座を手で
保持しながら回動させるのも不便である。そこで、便座
を枢支する回転軸への抵抗付与手段を設けて回転力を減
衰させ、便座の回動を緩やかに行わせるようにすると、
衝撃を緩和すると共に使い勝手が向上するので好都合で
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような抵抗付与手
段としては、流体の粘性抵抗や、部材間の摺動摩擦抵抗
を用いた各種のダンパ装置が知られているが、これら従
来のダンパ装置は、双方向に抵抗が加わるため、これを
便座に適用すると、引き起こす際に重くなる不都合があ
った。抵抗が加わる方向を限定するには、一方向クラッ
チを設ける等せねばならず、構造が複雑化しがちであ
り、製造コスト低減の要望を十分に満たすことができな
かった。
【0004】本発明は、このような従来技術の不都合を
解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、
回転軸に作用する回転力を効果的に減衰させることがで
きると共に構造が簡単で容易に製造可能なダンパ装置を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的は、本発
明によれば、回動体の自重により回転軸に入力される回
転力を減衰させて回動体の動作を緩やかに行わせるため
のダンパ装置であって、有底筒状をなし、その中心部に
前記回転軸を回転可能かつ軸線方向移動不能に支持する
ケーシングと、該ケーシング内に相対回転不能かつ軸線
方向変位可能に挿設されると共に前記回転軸をその中心
孔に枢着するスライダと、該スライダの内端と前記ケー
シングの底面間に狭設されるゴム部材と、前記回転軸の
回転動作を前記スライダの内向き動作に変換するべく、
該スライダの外端面に形成されたカム及び該カムに係合
するべく前記回転軸から径方向に突出した突起とを有
し、前記回転軸の回転に応じて内向きに変位する前記ス
ライダに押圧されて前記ゴム部材が変形し、その内周面
が前記回転軸に圧接するようにしてなり、前記ゴム部材
が、前記回転軸の中心線を含む平面で切断した断面形状
が円形となる円環状をなし、かつ可撓性に富むゴム材に
て形成されたことを特徴とするダンパ装置を提供するこ
とにより達成される。
【0006】特に、前記ゴム部材が、中空に形成された
ものとすると好ましい。さらに、前記カムが、前記回転
軸の軸線に直交する面と平行となるように平坦に形成さ
れた頂部並びに谷部と、この頂部並びに谷部の間に形成
された傾斜部とを有し、前記スライダの外端に軸線方向
に突出した態様で、前記回転軸に対して対称形をなすよ
うに一対形成されたものとすると良い。これに加えて前
記回動体が、洋式便器の便座であると好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面に示された実施
形態に基づいて本発明の構成を詳細に説明する。
【0008】図1は、本発明に基づき構成されたダンパ
装置を示している。このダンパ装置は、洋式便器の便座
を枢支するヒンジ部に左右対称に一対設けられるもので
あり、有底筒状のケーシング1と、このケーシング1の
内部に受容されるゴムリング2と、このゴムリング2の
外側からケーシング1の内部に嵌挿されるスライダ3
と、これらのスライダ3、ゴムリング2、並びにケーシ
ング1の円環状の底板部4の各々に設けられた中心孔5
・6・7に挿通される回転軸8と、ケーシング1の中心
孔7から抜け出た回転軸8の端部に嵌着されるE形止め
輪9とからなっている。
【0009】ケーシング1は、底板部4の外周縁から延
出された円筒部10と、底板部4の中心孔7の開口縁部
から外向きに突出した環状ボス部11と、下面側からビ
ス留めされて便器本体に固定される取り付け部12とか
らなり、合成樹脂材にて一体的に形成されたものであ
る。円筒部10の前後壁には、後述するスライダ3の外
周面に突設された一対の抜け留め片13がそれぞれ係合
する軸線方向に沿う長孔14が一対開設されている。そ
して円筒部10の上下壁の内面には、スライダ3の外周
面に突設された一対の突条15がそれぞれ係合する一対
のガイド溝16が軸線方向に延設されている。
【0010】ゴムリング2は、中空の無端円環状をなす
ように可撓性に富むゴム材にて形成されており、その中
心孔6は、回転軸8の外径よりやや大径に形成されてい
る。
【0011】スライダ3は、図2に併せて示すように、
ケーシング1の円筒部10の内周面に嵌合する円筒状の
外筒部17と、回転軸8が挿通される中心孔5を形成す
る内筒部18と、これら外筒部17並びに内筒部18を
同軸的に相互連結する4つの径方向リブ19と、円環状
の底板部20とからなり、合成樹脂材にて一体的に形成
されたものである。外筒部17の外端側の外周面の前後
には、上記した抜け留め片13が一対形成されており、
これが円筒部10の長孔14に係合し、スライダ3がケ
ーシング1から抜け出すのを防止するようになってい
る。また、外筒部17の外周面の上下には、上記した突
条15が軸線方向に一対延設されており、これが円筒部
10のガイド溝16に係合し、ケーシング1に嵌挿され
たスライダ3が、ケーシング1に対する相対回転を規制
された状態で軸線方向に摺動し得るようになっている。
【0012】スライダ3の内筒部18の外端には、軸線
方向に突出したカム21が、中心軸に対して対称形をな
すように一対形成されている。このカム21には、図3
に併せて示すように、軸線に直交する面と平行となるよ
うに平坦に形成された頂部22並びに谷部23が、各々
45度の範囲に渡って形成されている。また、この谷部
23に左回りに隣接して、頂部22に向けて傾斜した傾
斜部24が90度の範囲に渡って形成されている。
【0013】回転軸8は、ステンレス鋼材にて丸棒状に
形成されたものである。この回転軸8の軸線方向中間部
には、スプリングピン25が直径方向に挿設されてお
り、スライダ3に設けられた一対のカム21に、このス
プリングピン25の各端部がそれぞれ係合するようにな
っている。また回転軸8には、後記する便座30と相対
回転不能に連結するためのキー面26と、E形止め輪9
が係合する環状溝27とが形成されている。このE形止
め輪9は、後述のように回転軸8の回転に伴ってスプリ
ングピン25がカム21を介してスライダ3を押圧する
際の反力を得るためのものである。
【0014】このようにしてなるダンパ装置は、図2に
示すように、回転軸8を支持する軸受け部材28を介し
て便器本体29に固定される。
【0015】回転軸8の端部に連結された便座30は、
図3に併せて示すように、やや後傾した起立状態に安定
保持される。この状態では、回転軸8のスプリングピン
25は、スライダ3に設けられたカム21の谷部23に
当接している。
【0016】この起立状態から便座30を前傾させる
と、便座30が自重で回転軸8を支点に回動を始める。
このとき、回転軸8のスプリングピン25がカム21の
傾斜面24に係合することで、回転軸8に作用する回転
力が、スライダ3を軸線方向内向きに押し込む押圧力に
変換される。これにより、回転軸8の回転に伴ってスラ
イダ3がゴムリング2を押圧する。したがって、回転軸
8は、ゴムリング2の弾発力に抗して回動することにな
り、その結果、便座30の前傾運動に抵抗が加わること
となる。
【0017】一方、スライダ3に押圧されたゴムリング
2は、回転軸8の回転に応じて次第に径方向に扁平化
し、これに伴ってゴムリング2の中心孔6が縮径して、
その内周面が回転軸8の外周面に全周に渡って圧接する
ようになる。このため、ゴムリング2に対して相対回転
する回転軸8に摩擦力が作用する。この摩擦力による制
動効果により、回転軸8に作用する回転力が減衰され、
上述のゴムリング2の弾発力と相まって、便座30を緩
やかに前傾させることができる。
【0018】このとき、回転軸8が回転して便座30の
傾斜角度が小さくなると、これに応じて、便座30の重
量によって回転軸8に作用する回転力が漸増する。一
方、回転軸8の回転に伴ってゴムリング2の扁平化が進
むに連れて回転軸8の締め付け力も増大する。このた
め、両者を略均衡させて便座30を略一定速度で回動さ
せたり、あるいは減速傾向で回動させたりすることが可
能となる。
【0019】また、ゴムリング2の中心孔6の内径が回
転軸8の外径より大径に形成されているため、ゴムリン
グ2の扁平化が所定程度進んだ段階で、その内周面が回
転軸8の外周面に圧接するようになっており、ここで初
めて制動効果を得ることができる。このため、起立状態
からの回動初期においては制動効果がなく、便座30は
加速傾向で回動する。そして、所定の傾斜角度に達した
ところで制動効果が発生し、その後、傾斜角度が小さく
なるに従って徐々に制動力が増す。この制動力は、便座
30が便器本体29に重合するときに最大となり、十分
に回動速度が落ちたところで便器本体29に重合させる
ことができる。したがって、便座30を速やかに回動さ
せると共に重合時の衝撃を効果的に緩和することができ
る。
【0020】これとは逆に、便器本体29に重合した状
態から便座30を引き上げる際には、回転軸8にゴムリ
ング2の締め付けによる摩擦力が作用するものの、ゴム
リング2の弾発力が引き上げ方向に付与されることか
ら、比較的小さな操作力で引き上げることができる。
【0021】なお、本実施形態においては、スライダ3
の内端とケーシング1の底面間に狭設されるゴム部材と
して中空の無端円環状をなすゴムリング2を用いたが、
本発明におけるゴム部材は、中空ではなく中実に形成さ
れたものでも良い。さらに、例えば、真直なゴム材を曲
成して有端円環状に形成したり、あるいは複数のゴム材
を全体として実質的に円環状になるように配設したりし
たものであっても良い。
【0022】
【発明の効果】このように本発明によれば、回転軸の回
転に応じてゴム部材が弾性変形して回転軸を締め付ける
ようになり、このとき生じる摩擦力で回転力が効果的に
減衰され、洋式便器の便座等の回動体の動作を緩やかに
行わせることができるようになる。このため、回動体が
所定位置に衝止される際の衝撃を緩和すると共に、利便
性や使用感を高めるうえで大きな効果がある。その上、
逆方向には抵抗力が質的に作用しない構造なので、一方
向クラッチのような方向性の付与手段が不要であり、構
造が簡単で部品点数が少なく、組み付けが極めて容易で
あるため、安価に製造することができる。また、上述の
ように回転軸の回転に伴って制動力が増大するため、便
座のように垂直状態から水平状態に向けて自重で回動す
るために回動に応じて回転力が増大するものに特に適し
ている。特に、ゴム部材が回転軸を全周に渡って外囲す
るように実質的に円環状をなすものとすると、摩擦力を
回転軸に全周に渡って略均等に作用させることができ、
さらに上記実施例のように無端円環状とすると組み付け
が容易になるといった利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づき構成されたダンパ装置を示す分
解斜視図。
【図2】図1に示したダンパ装置の組立状態を示す縦断
面図。
【図3】図2に示したIII−III線で分断して示す縦断面
図。
【符号の説明】
1 ケーシング 2 ゴムリング 3 スライダ 4 底板部 5・6・7 中心孔 8 回転軸 9 E形止め輪 10 円筒部 11 環状ボス部 12 取り付け部 13 抜け留め片 14 長孔 15 突条 16 ガイド溝 17 外筒部 18 内筒部 19 径方向リブ 20 底板部 21 カム 22 頂部 23 谷部 24 傾斜部 25 スプリングピン 26 キー面 27 環状溝 28 軸受け部材 29 便器本体 30 便座
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 根津 幹夫 神奈川県横浜市戸塚区舞岡町184番地1 株式会社ニフコ内 (56)参考文献 特開 平7−197971(JP,A) 特開 平5−26227(JP,A) 特開 平8−226433(JP,A) 実開 昭63−151034(JP,U) 実開 平3−95482(JP,U) 実開 平1−144520(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16C 11/04 - 11/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回動体の自重により回転軸に入力され
    る回転力を減衰させて回動体の動作を緩やかに行わせる
    ためのダンパ装置であって、 有底筒状をなし、その中心部に前記回転軸を回転可能か
    つ軸線方向移動不能に支持するケーシングと、 該ケーシング内に相対回転不能かつ軸線方向変位可能に
    挿設されると共に前記回転軸をその中心孔に枢着するス
    ライダと、 該スライダの内端と前記ケーシングの底面間に狭設され
    るゴム部材と、 前記回転軸の回転動作を前記スライダの内向き動作に変
    換するべく、該スライダの外端面に形成されたカム及び
    該カムに係合するべく前記回転軸から径方向に突出した
    突起とを有し、 前記回転軸の回転に応じて内向きに変位する前記スライ
    ダに押圧されて前記ゴム部材が変形し、その内周面が前
    記回転軸に圧接するようにしてなり、 前記ゴム部材が、前記回転軸の中心線を含む平面で切断
    した断面形状が円形となる円環状をなし、かつ可撓性に
    富むゴム材にて形成されたことを特徴とするダンパ装
    置。
  2. 【請求項2】 前記ゴム部材が、中空に形成されたこ
    とを特徴とする請求項1に記載のダンパ装置。
  3. 【請求項3】 前記カムが、前記回転軸の軸線に直交
    する面と平行となるように平坦に形成された頂部並びに
    谷部と、この頂部並びに谷部の間に形成された傾斜部と
    を有し、前記スライダの外端に軸線方向に突出した態様
    で、前記回転軸に対して対称形をなすように一対形成さ
    れたことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載
    のダンパ装置。
  4. 【請求項4】 前記回動体が、洋式便器の便座である
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記
    載のダンパ装置。
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