JP3464045B2 - 低アルコール香料組成物 - Google Patents

低アルコール香料組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低アルコール香料組成
物、特にその溶媒組成の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に香料は、それ単独で用いられるこ
とは稀で、エチルアルコールを主成分とする香料用溶媒
に希釈して用いられることが多い。一方、近年環境問題
に対する関心が高まり、米国では揮発性有機化合物に関
する規制が予定されている。この揮発性有機化合物の一
種として有機溶媒であるエチルアルコールも指摘されて
おり、近く香料20重量%以下のアルコール香料組成物
については、エチルアルコールなどの揮発性有機化合物
の配合量を75重量%以下まで段階的に逓減させること
が要求される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
香料15重量%以下の製品の場合、エチルアルコールを
75重量%以下とすれば、残量10重量%程度以上を他
の溶媒により補わなければならない。ところが、該溶媒
はエチルアルコール、或は香料などを良好に溶解すると
ともに、皮膚に塗布する等して用いるため、無毒性、べ
とつきが少ないことさらには乾きやすいことが要求さ
れ、前記揮発性有機化合物に関する規制に適合する低揮
発性有機溶媒を採用することは極めて困難であった。ま
た、引火点の存在しない水などを活性剤を用いずに処方
中に10重量%以上含有することは、極めて困難であっ
た。
【0004】本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされ
たものであり、その目的はエチルアルコール使用量を減
らしつつ、香料の溶解性及び香料組成物としての使用性
を低下させることのない低アルコール香料組成物を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明者らが鋭意検討した結果、香料成分が20重量
%以下かつエチルアルコール75重量%以下という低ア
ルコール香料組成物において、他の香料用溶媒成分の主
成分を低級アルコール及び水とすることにより、優れた
使用性を維持し得ることを見出し、本発明を完成するに
至った。すなわち、本出願の請求項1記載の低アルコー
ル香料組成物は、3−メチル−メトキシブタノール及び
/又は3−メトキシ−1−ブタノールが10重量%以
上、エチルアルコール75重量%以下、水40重量%以
下、香料成分が20重量%以下であり、界面活性剤を実
質的に含まないことを特徴とする。なお、エチルアルコ
ールは10〜75重量%であり、且つ3−メチル−メト
キシブタノール及び/又は3−メトキシ−1−ブタノー
:水が2:3〜4:1であることが好適である。
【0006】また、3−メチル−3−メトキシブタノー
ルからなり、3−メチル−メトキシブタノールと水の量
比は図1に示す相図の溶解域にあることが好適である。
前記揮発性有機化合物規制によると、例えば香料成分が
15重量%の場合には溶媒量が85重量%になる。一
方、エチルアルコール使用可能量は75重量%以下であ
るため、溶媒量の10重量%以上を揮発性有機溶媒の規
制対象外の溶媒等に置換しなければならない。一方、香
料組成物は直接皮膚に塗布する可能性もあるため、安全
性が極めて重要な要件となる。
【0007】そこで、本発明者は、主鎖の炭素数4以上
の低級アルコールに着目し、香料20重量%以下、エチ
ルアルコール使用量が75重量%以下で、しかも使用性
が極めて良好な低アルコール香料組成物を完成したので
ある。従来、これらの低級アルコールは、化粧水、洗浄
料、乳液など化粧品にて10重量%以下配合されるのが
常であり、従って、本発明のような低アルコール香料組
成物に用いられることがないものであった。
【0008】また、本発明者の実験によると、主鎖の炭
素数4以上の低級アルコールには、油分である香料と水
の双方を溶解する、両親媒性と呼ばれる性質がある。図
1には、本発明者が香料の一例としてローズ様香料を用
い、低級アルコールの一例として3−メチル−3−メト
キシブタノール(MMB)を用いて行った、溶解性の実
験の結果が示されている。この図からも明らかなとお
り、使用性について配慮しなければ、エチルアルコール
を用いずとも、水と3−メチル−3−メトキシブタノー
ルを用いて香料を溶解することができる。本発明者ら
は、低級アルコール化合物の持つこの両親媒性の性質に
着目し本発明を完成させた。すなわち、本発明の請求項
1記載の低アルコール組成物において、水40重量%以
下としてあるのはすなわち、低級アルコールの両親媒性
によるものである。また、処方中に水をおよび低級アル
コールを含むので肌に塗布した場合使用感がよく、また
保湿作用もある。
【0009】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に
説明する。なお、配合量は特に指定のない限り重量%で
示す。
【0010】まず、本発明者らは香料の希釈溶媒とし
て、低級アルコールを検討した。
【表1】 ───────────────────────────────── 香 料 20 20 20 20 20 20 エチルアルコール 35 35 35 35 35 80 3-メチル-3-メトキシフ゛タノール 30 0 0 45 0 0 3-メトキシ-1-フ゛タノール 0 30 0 0 0 0 1-メトキシ-2-フ゛タノール 0 0 30 0 0 0 イオン交換水 15 15 15 0 45 0 ───────────────────────────────── 溶解性 ◎ ◎ ◎ ◎ × ◎ 速乾性 ◎ ◎ ◎ ◎ − ◎ べたつき ◎ ◎ ◎ ○ − ◎ 溶剤臭 ◎ ○ △ ○ − ◎ ─────────────────────────────────
【0011】以上の結果から、香料以外をエチルアルコ
ールとした場合には、優れた溶解性、速乾性を有し、べ
たつきも極めて少ない。一方エチルアルコールを35
%、イオン交換水を15%とし、他の部分を低級アルコ
ール化合物である3−メチル−3−メトキシブタノー
ル、3−メトキシ−1−ブタノール,1−メトキシ−2
−ブタノール,ジアセチン(グリセロールα,α−ジア
セテート),2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオ
ールのいずれかにした場合、1−メトキシ−2−ブタノ
ール及びジアセチンで溶剤の臭いが感じられるが、その
他の主鎖の炭素数4以上の低級アルコール化合物では実
用的に全く問題がない。特に、3−メチル−3−メトキ
シブタノール、3−メトキシ−1−ブタノールの場合に
ついては、速乾性、原料臭についても問題がなかった。
【0012】次に、主鎖が炭素数4以上の低級アルコー
ルの一例として3−メチル−3−メトキシブタノールを
用いて、希釈溶媒の配合について検討を行った。
【表2】 ────────────────────────────────── 香料 20 20 20 20 20 20 20 20 エチルアルコール 40 35 30 25 20 15 10 5 3-メチル-3-メトキシフ゛タノール 27 30 33 37 40 43 47 50 イオン交換水 13 15 17 18 20 22 23 25 ────────────────────────────────── 溶解性 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 速乾性 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○ ○ 溶剤臭 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ △ △ △ べとつき ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○ △ △ ──────────────────────────────────
【0013】3−メチル−3−メトキシブタノールとイ
オン交換水の割合を約2:1に固定し、エチルアルコー
ルの一部を置換した。この結果、エチルアルコールを1
0%まで減らしても、良好な利用適性を維持することが
でき、特に好ましくは20重量%まで置換することがで
きる。
【表3】 ───────────────────────────────── 香料 20 20 20 20 20 20 20 20 エチルアルコール 30 30 30 30 30 30 30 30 3-メチル-3-メトキシフ゛タノール 10 15 20 25 30 35 40 45 イオン交換水 40 35 30 25 20 15 10 5 ───────────────────────────────── 溶解性 × × ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 速乾性 − − ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ 溶剤臭 − − ◎ ◎ ◎ ◎ ○ △ べとつき − − ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○ ─────────────────────────────────
【0014】上記表3より明らかなように、3−メチル
−3−メトキシブタノールとイオン交換水との比は2:
3〜4:1であることが好適である。以上のように、低
級アルコールの配合量とイオン交換水の配合量及びエチ
ルアルコールの配合量を適当にとることによって製品価
値、使用性とも十分に維持することができる。
【0015】以上の結果、低級アルコールおよびイオン
交換水の合計量が10重量%以上であるような範囲で、
香料組成物を生成することで、使用性を維持しつつ、エ
チルアルコールの使用量を低下することができる。な
お、同様の傾向は、香料が50重量%程度まで認められ
ている。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる低
アルコール香料組成物によれば、3−メチル−メトキシ
ブタノール及び/又は3−メトキシ−1−ブタノール
10重量%以上配合することにより、使用性を低下させ
ることなくエチルアルコールの使用量を低減することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】低級アルコール、水及び香料の溶解図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−3582(JP,A) 特開 平5−279237(JP,A) 特開 昭64−13008(JP,A) 特開 平1−283213(JP,A) 特開 平5−279236(JP,A) 特開 平3−127722(JP,A) 特開 昭63−44507(JP,A) 特開 昭58−13507(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/46 C11B 9/00 CA(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3−メチル−3−メトキシブタノール及
    び/又は3−メトキシ−1−ブタノールが10重量%以
    上、エチルアルコール75重量%以下、水40重量%以
    下、香料成分が20重量%以下であり、界面活性剤を実
    質的に含まないことを特徴とする低アルコール香料組成
    物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の組成物において、エチル
    アルコールは10〜75重量%であり、且つ3−メチル
    −3−メトキシブタノール及び/又は3−メトキシ−1
    −ブタノール:水が2:3〜4:1であることを特徴と
    する低アルコール香料組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の組成物において、3−メ
    チル−3−メトキシブタノールからなり、3−メチル−
    3−メトキシブタノールと水の量比は図1に示す相図の
    溶解域にあることを特徴とする低アルコール香料組成
    物。
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