JP3251675B2 - 低アルコール香料組成物 - Google Patents

低アルコール香料組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低アルコール香料組成
物、特にその溶媒組成の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に香料はそれ単独で用いられること
は稀で、エチルアルコールを主成分とする香料用溶媒に
希釈して用いられる場合が多い。一方、近年環境問題に
対する関心が高まり、米国では揮発性有機化合物に関す
る規制が予定されている。この揮発性有機化合物の一種
として香料用溶媒であるエチルアルコールも指摘されて
おり、近く香料20重量%以下のアルコール香料組成物
については、エチルアルコールなどの揮発性有機化合物
の配合量を75重量%以下まで段階的に低減させること
が要求される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
香料15重量%以下の製品の場合、エチルアルコールを
75重量%以下とすれば、残量10重量%程度を他の溶
媒により補わなければならない。ところが、該溶媒はエ
チルアルコール或いは香料などを良好に溶解すると共
に、皮膚に塗布する等して用いられるため、無毒性、べ
たつきが少ないこと、さらには乾きやすいことなどが要
求され、前記揮発性有機化合物に関する規制に適合する
低揮発性有機溶媒を採用することは極めて困難であっ
た。本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたもので
あり、その目的は前記揮発性有機化合物に関する規制に
適合すると共に、使用感に影響を与えることのない低ア
ルコール香料組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明者らが鋭意検討した結果、香料成分が20重量
%以下で且つエチルアルコール75重量%以下という低
アルコール香料組成物において、他の香料用溶媒成分の
主成分をβ−フェニルエチル−2−エチルヘキサノエー
及びジエチレングリコールモノエチルエーテルとする
ことにより、優れた使用性を維持し得ることを見出し、
本発明を完成するに至った。すなわち、本出願の請求項
1記載の低アルコール香料組成物は、β−フェニルエチ
ル−2−エチルヘキサノエート及びジエチレングリコー
ルモノエチルエーテルを含み、β−フェニルエチル−2
−エチルヘキサノエート及びジエチレングリコールモノ
エチルエーテルの合計が10重量%以上、エチルアルコ
ール75重量%以下、他の溶媒成分合計10重量%以
下、香料成分が20重量%以下であり、実質上グリセリ
ンを含まないことを特徴とする。
【0005】前記揮発性有機化合物規制によると、例え
ば香料成分が15重量%の場合には溶媒量が85重量%
となる。一方、エチルアルコール使用可能量は75重量
%以下であるため、香料組成物の10重量%以上を他の
溶媒により置換しなければならない。一方、香料組成物
は直接皮膚に塗布する可能性もあるため、安全性が極め
て重要な要件となる。そこで、本発明者らは、従来より
香料組成物に用いられてきた香料用調整剤、香料用保留
剤に着目し、香料が20重量%以下、エチルアルコール
使用量が75重量%以下で、しかも使用性が良好な低ア
ルコール香料組成物を完成したのである。従来、これら
の香料用調整剤、或いは香料用保留剤は、香料に対して
5〜30重量%程度配合されるのが常であり、従って、
本発明のような低アルコール香料組成物にあっては例え
ば香料20重量%に対して5〜30重量%、すなわち低
アルコール香料組成物総量に対しては6%未満しか配合
されないものであった。
【0006】これは、例えば特開昭59−76011或
いは特開昭59−76012に記載されているように、
香料に対する保留ないし調整作用を期待した場合には、
香料に対してあまりに多く配合しすぎると、これらの作
用が強くなりすぎる傾向にあることに基づく。これに対
して本発明者らは、特定の香料用調整剤、或いは香料用
保留剤が希釈用エチルアルコールと共に用いられた場合
には、前記香料用調整剤或いは香料用保留剤としての機
能を適切に発揮し得ると共に、前記香料に対する配合量
をはるかに超える量を配合しても、低アルコール香料組
成物としての機能を損わないことを見出したのである。
【0007】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に
説明する。なお、配合量は特に指定のない限り重量%で
示す。まず、本発明者らは香料の希釈溶媒として、各種
保留剤、調整剤を検討した。
【表1】 ──────────────────────────────────── 香料 15% 15% 15% 15% 15% ────────────────────────────────────エチルアルコール 85% 75% 75% 75% 75% ──────────────────────────────────── β-フェニルエチル- 2-エチルヘキサノエート 0% 10% 0% 0% 0% ────────────────────────────────────ク゛リセロールトリアセテート 0% 0% 10% 0% 0% ────────────────────────────────────シ゛エチレンク゛リコールモノエチルエーテル 0% 0% 0% 10% 0% ────────────────────────────────────トリエチルサイトレート 0% 0% 0% 0% 10% ──────────────────────────────────── 溶解性 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 速乾性 ◎ ○ ○ ○ △ べたつき ◎ ◎ △ ◎ × ────────────────────────────────────
【0008】以上の結果から、香料以外をエチルアルコ
ールとした場合には、優れた溶解性、速乾性を有し、べ
たつきも極めて少ない。一方、エチルアルコールを75
%とし、他の部分をβ−フェニルエチル−2−エチルヘ
キサノエートにないしジエチレングリコールモノエチル
エーテルに変更した場合、速乾燥性がやや低下するもの
の、溶解性、べたつきは良好で、充分に実用可能であ
る。しかも従来、保留剤は香料に対して30%以上配合
すると、むしろ塗布初期の香りのバランスが崩れる傾向
があったが、該β−フェニルエチル−2−エチルヘキサ
ノエートないしジエチレングリコールモノエチルエーテ
ルを多量のエチルアルコールと共存させることにより、
塗布初期より香りのバランスを崩すことはなく、しかも
保留剤としての機能も充分に発揮された。
【0009】一方、グリセロールトリアセテート、トリ
エチルサイトレート等に関しては、いずれも溶解性は問
題ないものの、べたつき、速乾性などに問題を生じ、主
成分とすることはできない。次に、β−フェニルエチル
−2−エチルヘキサノエートないしジエチレングリコー
ルモノエチルエーテルと他の希釈溶媒の配合について検
討した。
【表2】 香料 10% 10% 10% 10% 10% 10% 10% エチルアルコール 75% 75% 75% 75% 75% 75% 75% β-フェニルエチル-2- エチルヘキサノエート 10% 10% 10% 5% 5% 5% 3% シ゛エチレンク゛リコールモノエチルエーテル 5% 0% 0% 5% 5% 5% 2% ク゛リセロールアセテート 0% 5% 0% 0% 5% 0% 10% トリエチルサイトレート 0% 0% 5% 0% 0% 5% 5% グリセリン 0% 0% 0% 5% 0% 0% 0% 溶解性 ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ 速乾性 ○ ○ ○ × ○ ○ △ べたつき ○ ○ ○ × ○ △ △ 前記表2より明らかなように、β−フェニルエチル−2
−エチルヘキサノエート及びジエチレングリコールモノ
エチルエーテルを主溶媒とし、他の溶媒を添加した場合
には、該他の溶媒の量が5〜10%程度までならば、使
用性は若干低下するものの、製品価値を維持することが
できる。しかしながら、β−フェニルエチル−2−エチ
ルヘキサノエートないしジエチレングリコールモノエチ
ルエーテルの合計量が10%以下となり、且つ他の溶剤
量が10%を超えると、使用性、特にべたつきが著しく
なり、製品価値を低下させる傾向にある。また、グリセ
リンを配合すると、速乾性、べたつきにおいて、使用性
を低下させる傾向にある。
【0010】以上の結果、β−フェニルエチル−2−エ
チルヘキサノエート及びジエチレングリコールモノエチ
ルエーテルを含み、β−フェニルエチル−2−エチルヘ
キサノエート及びジエチレングリコールモノエチルエー
テルの合計量が10%以上であり、且つ他の溶剤量が1
0%以下である範囲で、グリセリンを実質上含まない
料組成物を生成することで、使用性を維持しつつ、エチ
ルアルコールの使用量を低下させることができる。な
お、同様の傾向は香料が20%程度まで認められ、25
%以上では他の溶媒組成を用いることが好適であること
が明かとされている。
【0011】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる低
アルコール香料組成物によれば、β−フェニルエチル−
2−エチルヘキサノエート及びジエチレングリコールモ
ノエチルエーテルを含み、β−フェニルエチル−2−エ
チルヘキサノエート及びジエチレングリコールモノエチ
ルエーテルの合計を10重量%以上とし、実質上グリセ
リンを含まないことにより、使用性を低下させることな
く、エチルアルコールの使用量を低減させることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植原 計一 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株式会社 資生堂 第一リサーチセンタ ー内 (72)発明者 徳田 勝彦 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株式会社 資生堂 第一リサーチセンタ ー内 (56)参考文献 特開 平6−108086(JP,A) 特開 平6−158087(JP,A) 特開 昭55−133303(JP,A) 特開 昭57−64608(JP,A) 特開 昭57−139039(JP,A) 特開 昭59−1410(JP,A) 特開 昭55−158051(JP,A) 特開 昭57−125752(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C11B 9/00 A61K 7/46 CA(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 β−フェニルエチル−2−エチルヘキサ
    ノエート及びジエチレングリコールモノエチルエーテル
    を含み、β−フェニルエチル−2−エチルヘキサノエー
    ト及びジエチレングリコールモノエチルエーテルの合計
    が10重量%以上、 エチルアルコール75重量%以下、 他の溶媒成分合計10重量%以下、 香料成分が20重量%以下であり、実質上グリセリンを
    含まないことを特徴とする低アルコール香料組成物。
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