JP3461746B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP3461746B2
JP3461746B2 JP03850199A JP3850199A JP3461746B2 JP 3461746 B2 JP3461746 B2 JP 3461746B2 JP 03850199 A JP03850199 A JP 03850199A JP 3850199 A JP3850199 A JP 3850199A JP 3461746 B2 JP3461746 B2 JP 3461746B2
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polycarbonate
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耕二 西田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流動性および衝撃
強度に優れるポリカーボネート系の熱可塑性樹脂組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは衝撃強度などの機械
的特性に優れているので、家電製品、OA機器のハウジ
ング材料など、様々な分野で用いられている。
【0003】ポリカーボネートには、流動性が低く、成
形加工性が劣るという欠点がある。また、流動性を向上
する為にポリカーボネート自体を低分子量化すると、衝
撃強度が低下してしまう。さらに、流動性を向上する為
にスチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体を
配合することがよく行われているが、有効な流動性を得
るには配合量が多くなり、衝撃強度が低下するのが現状
である。
【0004】そこで従来より、ポリカーボネートの流動
性と衝撃強度のバランスを改良する目的で、各種のビニ
ル重合体の添加が試みられている。これらを大別する
と、衝撃強度が高く流動性が低い高分子量ポリカーボネ
ート等の流動性を改良する試みと、流動性が高く衝撃強
度が低い低分子量ポリカーボネート等の衝撃強度を改良
する試みがある。
【0005】特開昭56−143239号公報、特開平
4−65461号公報、特開平1−268761号公報
には、アルキルアクリレートゴムを含有する重合体の添
加により、ポリカーボネートの衝撃強度が向上すると記
載されている。しかし、このようにして得た樹脂組成物
は、流動性と衝撃強度のレベルが不十分である。
【0006】特開昭62−138514号公報には、芳
香族ビニル単量体およびメチルメタクリレートからなる
重合体の添加によりポリカーボネートの流動性が向上す
ると記載されている。しかし、このようにして得た樹脂
組成物は衝撃強度が低い。
【0007】特開平5−140435号公報には、芳香
族ビニル単量体およびアルキルアクリレートからなる低
分子量重合体の添加により、ポリカーボネートの流動性
が向上すると記載されている。しかし、この低分子量重
合体は軟質成分を多く含むので粘着性を帯び、ブロッキ
ングし易いなど取扱性が不良であり、しかも高分子量ポ
リカーボネートに添加した場合、その衝撃強度が低下し
てしまう。
【0008】特開平1−268761号公報には、高分
子量アルキルメタクリレート重合体の添加が、ポリカー
ボネートの押出成形時の垂れ防止に有効であると記載さ
れている。しかし、この添加は流動性向上には効果が無
い。
【0009】以上の通り、従来技術においては各種のビ
ニル重合体の添加が試みられたが、その何れも、ポリカ
ーボネートの流動性と衝撃強度のバランスを改良する点
では未だ不十分であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】すなわち本発明は、ポ
リカーボネートが本来有する優れた機械的特性(衝撃強
度等)が損なわれること無く、その成形加工性(流動性
等)が改良され、両特性のバランスに優れたポリカーボ
ネート系の熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、二段重合により得られ
る特定の重合体をポリカーボネートに添加することが非
常に有効であることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0012】すなわち本発明は、アルキル基の炭素数が
2〜20であるアルキル(メタ)アクリレート(a−
1)35〜99.9重量%および芳香族ビニル単量体
(a−2)65〜0.1重量%を重合して得た重合体の
存在下に、芳香族ビニル単量体(a−3)を重合して得
られるゲルを含有しない重合体(A)と、ポリカーボネー
ト(B)とを主成分として含む熱可塑性樹脂組成物であ
る。
【0013】なお、本発明において「(メタ)アクリレ
ート」は、「アクリレートおよび/またはメタクリレー
ト」を意味する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて説明する。
【0015】本発明で用いるアルキル(メタ)アクリレ
ート(a−1)は、炭素数が2〜20のアルキル基を有
し、そのアルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよい。その具
体例としては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アク
リレート、3−メチルブチル(メタ)アクリレート、ヘ
キシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリ
レート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘ
キシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレ
ート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メ
タ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステ
アリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アク
リレート等が挙げられる。これらは一種または二種以上
を併用できる。
【0016】樹脂組成物の流動性およびコストを考慮す
ると、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メ
タ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートが
好ましい。これらのうち、特に、エチル(メタ)アクリ
レート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0017】本発明で用いる芳香族ビニル単量体(a−
2)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチ
レン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、
2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモス
チレン等が挙げられる。これらは一種または2種以上を
併用できる。樹脂組成物の流動性およびコストを考慮す
ると、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン
が好ましい。
【0018】単量体(a−1)および(a−2)を重合
する際には、エチレン、プロピレン等のα−オレフィ
ン;酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル;グリ
シジル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテ
ル、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を含有す
る化合物;無水マレイン酸等のジカルボン酸無水物;ア
ミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボン酸基、
カルボン酸無水物、ジカルボン酸、ハロゲン基、ハロゲ
ン化カルボニル等の官能基を含有するビニル単量体;
(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート等の
共重合可能な成分の一種または二種以上を、重合成分全
体の50重量%以下となるように併用することができ
る。
【0019】本発明で用いる芳香族ビニル単量体(a−
3)の具体例としては、上述した芳香族ビニル単量体
(a−2)と同様のものが挙げられる。
【0020】芳香族ビニル単量体(a−3)を重合する
際には、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アリレート、トリデシル(メタ)
アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のア
ルキル(メタ)アクリレート;エチレン、プロピレン等
のα−オレフィン;酢酸ビニル等のビニルアルコールの
エステル;グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルグ
リシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のエポ
キシ基を含有する化合物;無水マレイン酸等のジカルボ
ン酸無水物;アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、
カルボン酸基、カルボン酸無水物、ジカルボン酸、ハロ
ゲン基、ハロゲン化カルボニル等の官能基を含有するビ
ニル単量体;等、共重合可能な成分の一種または二種以
上を、重合成分全体の50重量%以下となるように併用
することができる。
【0021】本発明で用いる重合体(A)は、二段階の
重合により得られる。第一段目の重合においては、アル
キル(メタ)アクリレート(a−1)および必要に応じ
て芳香族ビニル単量体(a−2)を重合する。第二段目
の重合においては、第一段目の重合で得た重合体の存在
下に、芳香族ビニル単量体(a−3)を重合する。
【0022】第一段目の重合におけるアルキル(メタ)
アクリレート(a−1)と芳香族ビニル単量体(a−
2)の割合は、(a−1)35〜99.9重量%、(a
−2)65〜0.1重量%であり、好ましくは(a−
1)45〜70重量%、(a−2)55〜30重量%で
ある。アルキル(メタ)アクリレート(a−1)の割合
を適度に多くすれば樹脂組成物の衝撃強度がより向上
し、芳香族ビニル単量体(a−2)の割合を適度に多く
すれば樹脂組成物の射出成形時の層状剥離等の成形外観
不良をより良好に防止できる。
【0023】第二段目の重合における第一段目の重合体
と芳香族ビニル単量体(a−3)の割合は、所望に応じ
て適宜決定すれば良く、本発明において特に制限は無
い。ただし、各単量体の使用量を基準にすると、(a−
1)および(a−2)の合計10〜90重量%、(a−
3)90〜10重量%が好ましく、(a−1)および
(a−2)の合計30〜70重量%、(a−3)70〜
30重量%がより好ましい。芳香族ビニル単量体(a−
3)の割合を適度に多くすれば重合体(A)の粘着性を
抑えてブロッキングを良好に防止でき、取扱性がより向
する。また、芳香族ビニル単量体(a−3)の割合を適
度に少なくすれば、樹脂組成物の衝撃強度がより向上す
る。
【0024】第一段目の重合後の重合体の重量平均分子
量は、樹脂組成物の成形加工性を考慮すると、3000
〜30万が好ましく、3000〜5万がより好ましい。
また第二段目の重合後の重合体(A)の重量平均分子量
は、3000〜100万が好ましく、3000〜60万
がより好ましい。
【0025】重合体(A)は、実質的にゲルを含有しな
い。ここでゲルとは、三次元網目構造を有する重合体ま
たは重合体粒子等である。このようなゲルは、例えば、
架橋剤の存在下でビニル単量体を重合して得られる。架
橋剤としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、側鎖(メ
タ)アクリル変性重合体など、重合性官能基を2つ以上
有する単量体または重合体が挙げられる。
【0026】重合体がゲルを含まないことを確認する手
法としては、その重合体を溶解する溶媒の有無を確認す
る方法が用いられる。その重合体を溶解する溶媒が存在
するのであれば、その重合体は実質的にゲルを含まない
と言える。さらに、架橋剤の使用量が少ないか、あるい
は反応性が低ければ、その架橋剤の存在下でビニル単量
体を重合しても、目視で不溶物が確認されない重合体の
溶液を得ることができる場合がある。この場合も、その
重合体は実質的にゲルを含まないと言える。
【0027】重合体(A)の分子構造は、実質的にゲル
を含まない限りにおいて、特に限定されない。例えば、
直鎖型、櫛型、分岐型、星型、カスケード型などが挙げ
られる。
【0028】重合体(A)を得る為の二段階の重合の方
法は特に限定されず、例えば、バルク、溶液、乳化、懸
濁等の系において、ラジカル重合、アニオン重合、カチ
オン重合など、従来より知られる各種の重合方法を用い
ることができる。また、重合の際には、重合開始剤、重
合触媒、連鎖移動剤、分子量調節剤、有機溶媒、分散
媒、乳化剤、分散剤剤など、従来より知られる各種の重
合添加剤を用いることができる。
【0029】ラジカル重合の重合開始剤としては、例え
ば、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒ
ドロパーオキサイド等の過酸化物;アゾビスイソブチロ
ニトリル等のアゾ系開始剤;酸化剤、還元剤を組み合わ
せたレドックス系開始剤が挙げられる。レドックス系開
始剤の具体例としては、硫酸第一鉄、エチレンジアミン
四酢酸二ナトリウム塩、ロンガリッド、ヒドロパーオキ
サイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が挙げ
られる。
【0030】乳化剤としては、例えば、ノニオン性乳化
剤、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性イオン
乳化剤が挙げられる。ノニオン性乳化剤の具体例として
は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンアルキルアリルエーテル、ジアルキルフェノキ
シポリ(エチレンオキシ)エタノール、ポリビニルアル
コール、ポリアクリル酸、アルキルセルロースが挙げら
れる。アニオン性乳化剤の具体例としては、脂肪酸塩
類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸
エステル塩類、脂肪族アミンおよび脂肪族アマイドの硫
酸塩類、脂肪アルコールリン酸エステル塩類、二塩基性
脂肪酸エステルのスルホン塩類、脂肪酸アミドスルホン
酸塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類、ホルマリン縮
合物のナフタリンスルホン酸塩類等が挙げられる。カチ
オン性乳化剤の具体例としては、脂肪族アミン塩類、第
四アンモニウム塩類、アルキルピリジニウム塩等が挙げ
られる。両性イオン乳化剤の具体例としては、アルキル
ベタイン等が挙げられる。
【0031】連鎖移動剤としては、例えば、n−オクチ
ルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等が
挙げられる。
【0032】第一段目の重合を、例えば、乳化ラジカル
重合により行なう場合は、水、乳化剤、アルキル(メ
タ)アクリレート(a−1)、芳香族ビニル単量体(a
−2)、重合開始剤、連鎖移動剤等からなる混合物に、
必要に応じて重合触媒を添加し高温下で単量体を重合さ
せればよい。そして、この乳化ラジカル重合を行った後
の重合系中に、芳香族ビニル単量体(a−3)を供給
し、第一段目の重合を行えば、重合体(A)を得ること
ができる。
【0033】第一段目の重合および第二段目の重合にお
いて、各単量体を供給する方法は特に限定されず、一括
して供給してもよいし、少量ずつ供給してもよい。
【0034】この乳化重合によると、重合体(A)のラ
テックスが得られ、このラテックス中に凝固剤を注ぐこ
とで、重合体(A)を分離し回収できる。凝固剤として
は、例えば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸ア
ルミニウム等の金属塩、硫酸等を使用できる。
【0035】また重合体(A)は、一種類を単独で用い
てもよいし、二種以上の混合物として用いてもよい。
【0036】本発明で用いるポリカーボネート(B)と
しては、代表的には、4,4'−ジヒドロキシジフェニル
−2,2−プロパン(すなわちビスフェノールA)系ポ
リカーボネート等の4,4'−ジオキシジアリールアルカ
ン系ポリカーボネートが挙げられる。このポリカーボネ
ート(B)の分子量は、所望に応じて適宜決定すればよ
く、本発明において特に制限は無い。ただし、ポリカー
ボネート(B)の重量平均分子量は、2万〜10万が好
ましく、4万〜7万がより好ましい。
【0037】ポリカーボネート(B)は従来より知られ
る各種の方法で製造すればよい。例えば4,4'−ジヒド
ロキシジフェニル−2,2−プロパン系ポリカーボネー
トを製造する場合は、4,4'−ジヒドロキシジフェニル
−2,2−プロパンを原料として用い、アルカリ水溶液
および溶剤の存在下、ホスゲンを吹き込んで反応させる
製造方法や、4,4'−ジヒドロキシジフェニル−2,2
−プロパンと炭酸ジエステルとを、触媒の存在下にエス
テル交換反応させる製造方法が挙げられる。
【0038】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した
重合体(A)およびポリカーボネート(B)を主成分と
して含有する組成物である。両者の割合は、所望の物性
等に応じて適宜決定すればよく、本発明において特に制
限は無い。ポリカーボネート樹脂組成物として、ポリカ
ーボネート本来の性能(衝撃強度等)を低下させること
無く有効な流動性改良効果を得る為には、重合体(A)
およびポリカーボネート(B)の合計100重量部を基
準として、好ましくは(A)0.01〜20重量部、
(B)99.99〜80重量部、より好ましくは(A)
0.01〜10重量部、(B)99.99〜90重量部で
ある。
【0039】さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物に
は、必要に応じて、従来より知られる各種の添加剤、安
定剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤等を配合
してもよい。
【0040】また、予め重合体(A)の比率を大きくし
て重合体(A)とポリカーボネート(B)を混合したマ
スターバッチを調製し、その後、このマスターバッチと
ポリカーボネート(B)とを再度混合し、所望の組成物
を得ることもできる。
【0041】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、
上述した各成分を混合することにより得られる。混合の
方法としては、従来より知られる各種の配合方法および
混練方法を用いることができる。例えば、ヘンシェルミ
キサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、
二軸スクリュー押出機、2本ロール、ニーダー、ブラベ
ンダー等を使用する方法が挙げられる。
【0042】このようにして得た本発明の熱可塑性樹脂
組成物を原料として用い、例えば、射出成形、中空成
形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形など、従来よ
り知られる各種の成形法により成形を行えば、流動性と
衝撃強度のバランスに優れた各種の成形品が得られる。
【0043】本発明の熱可塑性樹脂組成物の具体的な物
性値は、所望に応じて適宜調整すればよく、本発明にお
いて特に制限は無い。ただし、流動性に関しては、後述
する実施例の測定条件に従った溶融粘度が1500pois
e以下であることが好ましい。また、衝撃強度に関して
は、後述する実施例の測定条件(ASTM D256)
に従ったアイゾット衝撃強度が500J/m以上である
ことが好ましい。このような物性を併せ持つ熱可塑性樹
脂組成物は、流動性と衝撃強度のバランスに非常に優れ
ているといえる。
【0044】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。な
お、以下の記載において「部」は特に断らない限り「重
量部」を意味する。
【0045】また、実施例、比較例における諸物性は次
の方法により測定した。
【0046】(1)固形分 重合後のラテックスを170℃、30分で乾燥した後の
重量を測定し、固形分を求めた。
【0047】(2)重量平均分子量(Mw) ゲルパーミションクロマトグラフ(GPC)を用いて、
溶離液クロロホルム、ポリメチルメタクリレート換算で
測定した。
【0048】(3)溶融粘度 樹脂組成物について、キャピラリー式レオメーター(東
洋精機(株)製、商品名キャピログラフ)を用い、ノズ
ルD=1mm、L/D=10、バレル温度250℃、せ
ん断速度6080sec-1の条件で測定した。
【0049】(4)アイゾット衝撃強度(Izd.) ASTM D256に準じて、試験片の厚み3.2m
m、ノッチ付き、温度23℃、湿度50%RHの条件で
測定した。なお、試験片は、射出成形機(東芝機械
(株)製IS−100)を用いて成形した。
【0050】<製造例1.重合体(A−I)の製造>冷
却管および撹拌装置を備えたセパラブルフラスコに、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部、蒸留水
188部を仕込み、窒素雰囲気下、水浴中60℃まで加
熱した。次いで、硫酸第一鉄0.0004部、エチレン
ジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0012部、ロンガ
リット0.48部を、蒸留水6部に溶かして加え、この
後、スチレン25部、ブチルアクリレート25部、クメ
ンヒドロパーオキサイド0.25部、n−オクチルメル
カプタン0.5部の混合物を90分間かけて滴下した。
その後60分間攪拌し、第一段目の重合を完了した。こ
のようにして得たエマルションを少量採取し、第一段目
の重合体の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、
そのMwは3万であった。
【0051】このエマルション中に、さらに、硫酸第一
鉄0.0004部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウ
ム塩0.0012部、ロンガリット0.48部を、蒸留水
6部に溶かして加え、この後、スチレン50部、クメン
ヒドロパーオキサイド0.25部、n−オクチルメルカ
プタン0.5部の混合物を90分間かけて滴下した。そ
の後60分間攪拌し、第二段目の重合を完了した。この
ようにして得たエマルションの固形分を測定したところ
32%であった。
【0052】このエマルションを、塩化カルシウム水溶
液中に注ぎ、生じた沈殿物を乾燥し、重合体(A−I)
を得た。そのMwは3万であった。
【0053】<製造例2.重合体(A−II)の製造>製
造例1において、第一段目の組成で、スチレン25部、
ブチルアクリレート25部に代えて、スチレン25部、
2−エチルヘキシルメタクリレート25部を用いたこと
以外は製造例1と同様の操作を行い、重合体(A−II)
を得た。固形分は32%、分子量については、第一段目
の重合後でMw3万、第二段目の重合後でMw3万であ
った。
【0054】<製造例3.重合体(A−III)の製造>
冷却管および撹拌装置を備えたセパラブルフラスコに、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部、蒸留
水194部を仕込み、窒素雰囲気下、水浴中60℃まで
加熱した。次いで、硫酸第一鉄0.0008部、エチレ
ンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0024部、ロン
ガリット0.96部を、蒸留水6部に溶かして加え、こ
の後、スチレン70部、ブチルアクリレート30部、ク
メンヒドロパーオキサイド0.5部、n−オクチルメル
カプタン1.0部の混合物を180分間かけて滴下し
た。その後60分間攪拌し、重合を完了した。このよう
にして得たエマルションの固形分を測定したところ32
%であった。
【0055】このエマルションを、塩化カルシウム水溶
液中に注ぎ、生じた沈殿物を乾燥し、重合体(A−II
I)を得た。そのMwは3万であった。また、この重合
体(A−III)は粘着性を帯び、ブロッキングし易いも
のであった。
【0056】<製造例4.重合体(A−IV)の製造>製
造例1において、第一段目のモノマー組成で、スチレン
25部、ブチルアクリート25部に加えて、エチレング
リコールジメタクリレート2.5部を用いたこと以外は
製造例1と同様の操作を行い、重合体(A−IV)を得
た。固形分は32%であった。なお、この重合体(A−
IV)はクロロホルムにも不溶なゲルであった。
【0057】<製造例5.重合体(A−V)の製造>製
造例1において、第一段目のモノマー組成で、スチレン
25部、ブチルアクリレート25部に代えて、スチレン
25部、メチルメタクリレート25部を用いたこと以外
は製造例1と同様の操作を行い、重合体(A−IV)を得
た。固形分は32%、分子量については、第一段目の重
合後でMw3万、第二段目の重合後でMw3万であっ
た。
【0058】<実施例1〜2および比較例1〜4>ポリ
カーボネート(三菱エンジニアリングプラスチック(株)
製、E2000、Mw約6万)および製造例1〜5で得
た各重合体(A−I)〜(A−V)を、下記表1に示す
割合で配合し、30mmφ二軸押出機(WERNER&
PFLEIDERER製、ZSK30)を用いて、バレ
ル温度270℃、スクリュー回転数200rpmの条件
で押し出して、熱可塑性樹脂組成物を製造し、それらの
溶融粘度と衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】 表中の略号 St:スチレン BA:ブチルアクリレート EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート MMA:メチルメタクリレート EDMA:エチレングリコールジメタクリレート PC:ポリカーボネート。
【0060】<評価>表1に示す結果から明らかな通
り、実施例1では、溶融粘度が1500poise以下であ
り、アイゾット衝撃強度が500J/m以上であり、流
動性と衝撃強度のバランスに優れていた。
【0061】一方、比較例1では、重合体(A)を使用
せず、ポリカーボネート(B)のみを使用しているの
で、流動性が劣っていた。また比較例2では、アルキル
(メタ)アクリレート(a−1)の使用量が少ない重合
体(A−III)を使用しているので、その重合体(A−I
II)自体の取扱性が劣っており、かつ樹脂組成物の衝撃
強度も劣っていた。また比較例3では、架橋されたゲル
の重合体(A−IV)を使用しているので、樹脂組成物の
流動性が劣っていた。また比較例4では、アルキル基の
炭素数が少ない(1個)メチルメタクリレートから得た
重合体(A−V)を使用しているので、樹脂組成物の衝
撃強度が劣っていた。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ポリカーボネートが本来有する優れた機械的特性(衝撃
強度等)を損なうこと無く、その成形加工性(流動性
等)を飛躍的に向上でき、両特性のバランスに優れたポ
リカーボネート系の熱可塑性樹脂組成物を得ることがで
きる。
【0063】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、機械的特
性と成形加工性のバランスに優れているので、特に家電
製品、OA機器のハウジング等の各種分野において成形
品の大型化および薄肉化を可能にするものであり、その
工業的価値は絶大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−323061(JP,A) 特開 平10−95911(JP,A) 特開 平10−53695(JP,A) 特開 平4−91159(JP,A) 特開 平4−65461(JP,A) 特開 昭56−143239(JP,A) 特開 平5−140435(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 51/00 C08L 69/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキル基の炭素数が2〜20であるア
    ルキル(メタ)アクリレート(a−1)35〜99.9
    重量%および芳香族ビニル単量体(a−2)65〜0.
    1重量%を重合して得た重合体の存在下に、芳香族ビニ
    ル単量体(a−3)を重合して得られるゲルを含有しな
    い重合体(A)と、ポリカーボネート(B)とを主成分とし
    て含む熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 アルキル(メタ)アクリレート(a−
    1)が、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)
    アクリレート、および、2−エチルヘキシル(メタ)ア
    クリレートから成る群より選ばれる一種以上の単量体で
    ある請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 アルキル基の炭素数が2〜20であるア
    ルキル(メタ)アクリレート(a−1)35〜99.9
    重量%および芳香族ビニル単量体(a−2)65〜0.
    1重量%を重合して得た重合体の重量平均分子量が、3
    0万以下である請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組
    成物。
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