JP3460682B2 - 産業車両の制動制御装置 - Google Patents

産業車両の制動制御装置

Info

Publication number
JP3460682B2
JP3460682B2 JP2000207901A JP2000207901A JP3460682B2 JP 3460682 B2 JP3460682 B2 JP 3460682B2 JP 2000207901 A JP2000207901 A JP 2000207901A JP 2000207901 A JP2000207901 A JP 2000207901A JP 3460682 B2 JP3460682 B2 JP 3460682B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
braking
auxiliary
wheel
deceleration
wheels
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2000207901A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002019602A (ja
Inventor
和男 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyota Industries Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Industries Corp filed Critical Toyota Industries Corp
Priority to JP2000207901A priority Critical patent/JP3460682B2/ja
Priority to DE10133228A priority patent/DE10133228A1/de
Priority to AU54294/01A priority patent/AU760385B2/en
Publication of JP2002019602A publication Critical patent/JP2002019602A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3460682B2 publication Critical patent/JP3460682B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Regulating Braking Force (AREA)
  • Forklifts And Lifting Vehicles (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)
  • Hydraulic Control Valves For Brake Systems (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リーチ型フォーク
リフトトラック等の産業車両において、駆動輪のスリッ
プを抑えて制動距離を短くする制動制御が行われる産業
車両の制動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、リーチ型フォークリフトトラック
(以下、リーチ型フォークリフトという)は、車体前部
に設けられた左右一対のレグにそれぞれ従動輪である前
輪を支持し、運転席が設けられた車体後部の下側に駆動
操舵輪(以下駆動輪と称す)およびキャスタ輪を後輪と
して備えている。そして、左右のレグの間には、マスト
装置が前後方向に移動可能に装備されている。リーチ型
フォークリフトでは、前進・後進の切り替えはアクセル
レバーを中立位置から操作する方向を切り替えることで
行われる。そしてフォークリフトの走行中にアクセルレ
バーを進行方向と逆方向へ操作するスイッチバック操作
をすると、走行用モータが回生制動されるなどの電気制
動によって駆動輪が制動される。
【0003】リーチ型フォークリフトでは、荷物重量や
マスト位置によって駆動輪の輪重が大きく変化する。例
えば最大積載荷重で最大リーチさせた状態では、車両重
心が前方へ変位して駆動輪の輪重が最も小さくなり、こ
の状態で水濡れ路面や冷凍倉庫内の凍結路面などの低摩
擦路面上でスイッチバック操作すると、フォークリフト
の制動時に駆動輪がスリップする。このため、車両を迅
速に減速できず制動距離が長くなるうえ、車体の後部が
左右に流れる原因となっていた。また駆動輪のスリップ
はタイヤを早期に摩耗させる原因ともなっていた。
【0004】例えば特開平11−122721号公報に
は、前輪が補助モータにより従動輪から一時的に駆動輪
に切り換わるリーチ型フォークリフトにおいて、ブレー
キペダルを操作する制動時に後輪(駆動輪)がロックし
てスリップすると、前輪(従動輪)を逆転駆動させて停
止を補助する技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
は、前輪に補助制動力が加わるものの、後輪はスリップ
したままであった。このため、後輪のスリップ時は非ス
リップ時に比べると制動距離がかなり長くなるという問
題があった。また前輪の制動は補助モータを逆転駆動さ
せる構成であるため、補助制動力発生のためにバッテリ
電力を多く消費し、フォークリフトの稼働時間を長くす
るうえで非常に不利であるが、そのわりには制動力が小
さいという問題があった。さらに前輪用の補助モータを
有する3輪駆動式リーチ型フォークリフトには適用し易
い技術ではあるが、一般に多く使用されている前輪が純
粋な従動輪であるリーチ型フォークリフトには、前輪を
逆転駆動させるための減速機やモータを増設しなければ
ならず、構造複雑化および製造コスト上昇の問題も伴
う。
【0006】また実開平5−2501号公報には、駆動
輪回転数と非駆動輪回転数からの回転情報を基に回転数
差が大きいほど弱い回生制御信号を生ずるようにして、
制動時に駆動輪のスリップを抑えるトラクション制御を
行う車両が開示されている。しかし、駆動輪の制動力を
弱めることでスリップを抑えるトラクション制御をリー
チ型フォークリフトに適用しても、最大荷物重量で最大
リーチさせた状態にあり駆動輪の輪重がかなり小さくな
った状態で、水濡れや凍結のある低摩擦路面を走行する
ときにスイッチバック操作したときは、駆動輪は非常に
スリップし易い状態にある。このようなスリップし易い
条件下で制動時にトラクション制御が行われても、スリ
ップを防止できるという点で制動力を向上することはで
きても、制動距離がかなり延びるというこの種の産業車
両特有の問題は依然解決されない。
【0007】また前輪を逆転駆動する前者の従来技術に
おいて、上記のトラクション制御の技術を採用した場
合、トラクション制御がなされて駆動輪(後輪)がスリ
ップしなくなると、前輪と駆動輪(後輪)との偏差信号
が零を挟む所定範囲内に小さくなって前輪が逆転駆動し
なくなってしまう。このため、前輪に補助制動力が付与
されず、後輪だけの制動となるので制動距離が長くなる
問題は解決されない。
【0008】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであって、その目的は、作業装置が駆動輪の輪
重を小さくする作業状態にある状態で駆動輪を制動する
際、駆動輪のスリップを抑える制御だけでは制動距離短
縮が効果的でないものに駆動輪と前後反対側の車輪に制
動を加えて制動距離を効果的に短くすることができる産
業車両の制動制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1に記載の発明は、所定作業を行うための作業
装置と、制動用の操作手段の操作に基づき電気制御によ
り制動される駆動輪とを備え、前記作業装置の作業状態
に応じて前記駆動輪の輪重が影響を受け、該駆動輪の輪
重が小さく変化するときに該駆動輪と前後反対側の車輪
の輪重が大きく変化する産業車両において、産業車両の
制動制御装置は、前記駆動輪を制動する制動手段と、前
記駆動輪と前後反対側の車輪を制動する補助制動手段
と、前記駆動輪のスリップ検出値を得るためのスリップ
検出手段と、前記制動用の操作手段の操作に基づいて前
記制動手段を制御して前記駆動輪を制動するとともに、
前記駆動輪のスリップを抑えるように前記スリップ検出
手段の検出値を基に前記駆動輪の制動力を低減させるス
リップ抑制制御を前記制動手段に対して行う制動制御手
段と、前記制動制御手段が前記スリップ抑制制御を行う
ときは、前記補助制動手段を作動させて前記駆動輪と前
後反対側の車輪に補助制動力を付与する補助制動制御手
段とを備えている。
【0010】この発明によれば、制動用の操作手段が操
作されて制動される駆動輪は、作業装置の作業状態によ
って輪重が変化する。例えば駆動輪の輪重が小さくなっ
た作業状態で走行するときに、制動用の操作手段が操作
されたときは駆動輪はスリップし易い。しかし、このよ
うな場合、制動制御手段によりスリップ抑制制御が行わ
れることにより駆動輪のスリップが抑えられ、駆動輪の
制動力の極端な低下が抑えられる。しかもスリップ抑制
制御が行われるこのときは補助制動手段が作動され、駆
動輪と前後反対側に位置して輪重が大きく変化している
車輪に補助制動力が付与される。よって、駆動輪の輪重
が小さくなる作業状態で、例えば水濡れや凍結などのあ
る低摩擦路面を走行するときに制動操作がなされたとし
ても、制動距離が効果的に短く抑えられる。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記補助制動手段は、摩擦制動式の補
助ブレーキ装置である。この発明によれば、補助ブレー
キ装置が摩擦制動式であるので、その作動時の消費電力
は、補助制動力付与にモータの逆転駆動を利用する構成
に比べ少なく済む。
【0012】請求項3に記載の発明は、所定作業を行う
ための作業装置と、制動用の操作手段の操作に基づき電
気制御により制動される駆動輪とを備え、前記作業装置
の作業状態に応じて前記駆動輪の輪重が影響を受け、該
駆動輪の輪重が小さく変化するときに該駆動輪と前後反
対側の車輪の輪重が大きく変化する産業車両において、
産業車両の制動制御装置は、制動用の操作手段の操作に
基づいて前記駆動輪を駆動する電動モータを電気制動制
御する制動制御手段と、前記駆動輪のスリップ検出値を
得るためのスリップ検出手段と、前記駆動輪と前後反対
側の車輪を制動する摩擦制動式の補助ブレーキ装置と、
前記駆動輪の電気制動中に前記スリップ検出手段の検出
値を基に前記電動モータに対して前記駆動輪のスリップ
を抑えるトラクション制御を行うトラクション制御手段
と、前記トラクション制御が行われるときは、前記補助
ブレーキ装置を作動させて前記駆動輪と前後反対側の車
輪に補助制動力を付与する補助制動制御手段とを備えて
いる。
【0013】この発明によれば、制動用の操作手段が操
作されると、電動モータが電気制動制御されることによ
り駆動輪が制動される。例えば作業装置が駆動輪の輪重
を小さくする作業状態にある状態で走行するときに、制
動用の操作手段が操作されると輪重の小さくなった駆動
輪はスリップし易い。しかし、このとき制動制御手段に
よりスリップ検出手段の検出値を基にトラクション制御
が行われるため、駆動輪のスリップが抑えられて駆動輪
の制動力の極端な低下が抑えられる。しかもトラクショ
ン制御が行われる際は補助ブレーキ装置が作動され、輪
重が大きく変化している駆動輪と前後反対側の車輪に補
助制動力が付与される。よって、駆動輪の輪重が小さく
なる作業状態で、例えば水濡れや凍結などのある低摩擦
路面を走行するときに制動操作がなされたとき、制動距
離が効果的に短く抑えられる。また摩擦制動式の補助ブ
レーキ装置を使用するため、その作動時の消費電力は、
補助制動力付与にモータの逆転駆動を利用する構成に比
べ少なく済む。
【0014】請求項4に記載の発明は、請求項2又は3
に記載の発明において、産業車両の減速度を検出する減
速度検出手段を備え、前記補助制動制御手段は、前記減
速度検出手段により検出された実減速度が予め設定され
た適正範囲内に収まるように前記補助ブレーキ装置を制
御することを要旨とする。
【0015】この発明によれば、請求項2又は3の発明
の作用に加え、電気制動中に作動された補助ブレーキ装
置は、減速度検出手段により検出された実減速度が適正
範囲内に収まるように制御される。よって、例えば車両
総重量や路面摩擦係数、駆動輪輪重などの条件が異なっ
ても産業車両は適正な減速度で制動される。
【0016】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の発明において、前記補助ブレーキ装置の補助ブレーキ
力が複数設定されるとともに、前記各補助ブレーキ力毎
に減速度適正範囲が設定されており、前記補助制動制御
手段は、前記実減速度が減速度適正範囲を満たす補助ブ
レーキ力を選択するように補助ブレーキ装置を制御する
ことを要旨とする。
【0017】この発明によれば、請求項4の発明の作用
に加え、電気制動中に作動された補助ブレーキ装置は、
減速度検出手段により検出された実減速度が減速度適正
範囲を満たす補助ブレーキ力を選択するように制御され
る。よって、適切な補助ブレーキ力が選択され、産業車
両は適切な減速度で制動される。また補助ブレーキ力を
決めるための制御内容が比較的簡単で済むうえ、早期に
適正減速度が得られる。
【0018】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の発明において、前記各補助ブレーキ力毎に設定された
減速度適正範囲は、補助ブレーキ力の値が大きいほど減
速度適正範囲が小さな値をとるように設定されているこ
とを要旨とする。
【0019】この発明によれば、請求項5の発明の作用
に加え、補助ブレーキ力の値が大きいほど減速度適正範
囲が小さな値をとるように設定されているので、スリッ
プ以外の制動距離の変動要因、例えば車両総重量が考慮
された減速度となり、スリップ時と非スリップ時で制動
距離がさほど変動しない。
【0020】請求項7に記載の発明は、請求項4〜6の
いずれか一項に記載の発明において、前記補助ブレーキ
装置が作動されてから減速度が安定したとみられる所定
待機時間経過後に前記減速度検出手段は減速度を検出す
ることを要旨とする。
【0021】この発明によれば、請求項4〜6のいずれ
か一項の発明の作用に加え、補助ブレーキ装置が作動さ
れてから減速度が安定したとみられる所定待機時間経過
後に減速度検出手段は実減速度を検出する。このため、
補助ブレーキ装置の作動直後で減速度が安定する前の不
適切な実減速度を基に補助ブレーキ装置が制御されるこ
とが回避され、適正な減速度を得るための補助ブレーキ
装置の制御に無駄がない。
【0022】請求項8に記載の発明は、請求項2〜7の
いずれか一項に記載の発明において、産業車両の車速を
検出する車速検出手段を備え、前記補助制動制御手段
は、前記制動用の操作手段が操作された時に前記車速検
出手段により検出された初速が低車速域にあるときは、
前記補助ブレーキ装置の作動を禁止することを要旨とす
る。
【0023】この発明によれば、請求項2〜7のいずれ
か一項の発明の作用に加え、制動用の操作手段が操作さ
れた時に車速検出手段により検出された初速が低車速域
にあるときは、トラクション制御が行われても補助ブレ
ーキ装置は作動されない。低車速域にあるときは補助ブ
レーキ装置が作動されなくとも制動距離は元々短いの
で、無駄な電力消費を抑えられる。
【0024】請求項9に記載の発明は、請求項2〜8の
いずれか一項に記載の発明において、産業車両の車速を
検出する車速検出手段を備え、前記電気制動中に作動が
開始された前記補助ブレーキ装置の作動を停止させる停
止条件は、前記車速検出手段により検出された車速が車
両停止直前の停止車速に達したときであることを要旨と
する。
【0025】この発明によれば、請求項2〜8のいずれ
か一項の発明の作用に加え、電気制動中に作動された補
助ブレーキ装置は、車速検出手段により検出された車速
が停止車速に達したときにその作動が停止される。この
結果、車両停止直前で補助ブレーキ装置の作動が停止さ
れるので、産業車両停止時の停止ショックが起き難い。
【0026】請求項10に記載の発明は、請求項2〜9
のいずれか一項に記載の発明において、前記制動用の操
作手段は、前後進の切換操作をするためのアクセル操作
手段であって、前記アクセル操作手段の操作が進行方向
と同じ力行と、進行方向と逆向きの回生とのどちらであ
るかを判別する操作判別手段を備え、前記制動制御手段
は、前記操作判別手段により前記アクセル操作手段の操
作がスイッチバック操作時の回生と判別されると前記電
動モータを電気制動制御として回生制動制御し、当該回
生制動中に作動が開始された前記補助ブレーキ装置の作
動を停止させる停止条件は、前記操作判別手段により前
記アクセル操作手段の操作が回生以外と判別されたとき
であることを要旨とする。
【0027】この発明によれば、請求項2〜9のいずれ
か一項の発明の作用に加え、アクセル操作手段がスイッ
チバック操作されると、その操作が回生と判別されて電
動モータが回生制動制御され、駆動輪が制動される。こ
の回生制動中に作動された補助ブレーキ装置は、操作判
別手段によりアクセル操作手段の操作が力行または中立
と判別されるとその作動が停止される。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明をリーチ型フォーク
リフトトラックの制動制御装置に具体化した一実施形態
を、図1〜図6に基づいて説明する。
【0029】図2,3に示すように、産業車両としての
リーチ型フォークリフトトラック(以下、リーチ型フォ
ークリフトという)10は、従動輪である左右の前輪1
1,11と、後輪である駆動輪としての駆動操舵輪(以
下、駆動輪という)12とを備えた三輪車である。駆動
輪12は車幅中心よりやや左側にずれて位置し、その右
隣に所定距離離れた位置には補助輪(キャスタ輪)13
が設けられている。
【0030】車体14には左右一対のリーチレグ15が
前方へ延出しており、左右の前輪11,11は各リーチ
レグ15,15の先端部にそれぞれ支持されている。前
輪11,11には、それぞれ補助制動手段としての補助
ブレーキ装置16,16が設けられている。補助ブレー
キ装置16は前輪11との摩擦力によって前輪11に制
動力を付与する摩擦制動式の油圧ブレーキ装置で、例え
ば油圧式ドラムブレーキ装置からなる。また両リーチレ
グ15の間には、作業装置としてのマスト装置17がリ
ーチレグ15に沿って前後方向に移動可能に装備されて
いる。
【0031】車体14の後部左側には、駆動輪12を駆
動するドライブユニット18が設けられている。ドライ
ブユニット18は電動モータからなる走行用モータ19
を上部に備え、走行用モータ19によりドライブユニッ
ト18の下部に支持された駆動輪12が駆動される。な
お、本実施形態では走行用モータ19は交流誘導モータ
である。
【0032】また車体14の後部右側には立席式の運転
席20が設けられている。運転席20の前側には操作盤
21が設けられ、操作盤21には制動用の操作手段であ
るアクセル操作手段としてのアクセルレバー22、およ
び荷役レバー23が設けられている。また運転席20の
左側にはハンドル24が設けられ、ハンドル24を操作
することによって駆動輪12が操舵される。
【0033】ドライブユニット18とキャスタ輪13
は、図示しないサスペンション機構によって互いに上下
逆向きに変位可能に支持されている。サスペンション機
構は、車両重心が前後に変化しても駆動輪12に必要な
輪重が確保されるように、駆動輪12とキャスタ輪13
の輪重を適切な比率に配分する。
【0034】図1は、リーチ型フォークリフトにおける
制動制御装置の電気系および油圧系の構成を示す。まず
補助ブレーキ装置16を制御するための油圧回路につい
て説明する。
【0035】車体後部には図1に示すオイルタンク3
0、荷役用モータ31、オイルポンプ32、ブレーキ制
御バルブユニット33等が設けられている。荷役用モー
タ31はオイルポンプ32を駆動してオイルタンク30
の作動油を所定の油圧でブレーキ制御バルブユニット3
3およびオイルコントロールバルブ34に供給する。な
お、オイルコントロールバルブ34はリフトシリンダ、
リーチシリンダ及びチルトシリンダに対して供給する作
動油を制御するためのバルブユニットであって、各荷役
レバー23によってそれぞれ操作される。
【0036】ブレーキ制御バルブユニット33は、補助
ブレーキ装置16を作動制御するための油圧回路を内蔵
し、この油圧回路はリニアソレノイド弁35を内蔵する
とともにアキュームレータ36を有する。アキュームレ
ータ36はオイルポンプ32から供給される作動油を蓄
圧し、前記油圧回路の油圧源として機能する。リニアソ
レノイド弁35は、油圧源であるアキュームレータ36
から前記油圧回路を通じて補助ブレーキ装置16,16
へ出力される作動油の液圧値を制御するもので、その出
力液圧値はリニアソレノイド弁35に通電される電流値
によって一義的に定まる。補助ブレーキ装置16の作動
によって前輪11に付与されるブレーキ力はこの出力液
圧値によって一義的に定まる。
【0037】次に、制動制御装置の電気的構成を説明す
る。走行系および制動系の電気的制御は、図1に示すコ
ントローラ40が行う。コントローラ40の入力側に
は、アクセルセンサ41、進行方向検出スイッチ42,
43、車速検出手段としての前輪回転数センサ44,4
4、モータ回転数センサ45,46、操舵角センサ4
7、圧力スイッチ48が電気的に接続されている。また
コントローラ40の出力側には、走行用モータ19、荷
役用モータ31およびリニアソレノイド弁35が電気的
に接続されている。
【0038】アクセルセンサ41は、アクセルレバー2
2のアクセル開度、即ち、中立位置での操作量を「0」
として前進側および後進側のアクセル開度Accを検出
して出力する。
【0039】進行方向検出スイッチ42,43は、アク
セルレバー22の操作方向が前進か後進かを検出するた
めのものである。両スイッチ42,43はアクセルレバ
ー22が中立位置にあるときに共にオフとなり、アクセ
ルレバー22が中立位置から前進側に操作されたときに
スイッチ42がオフからオンとなって前進信号SF を出
力し、アクセルレバー22が中立位置から後進側に操作
されたときにスイッチ43がオフからオンとなって後進
信号SR を出力する。
【0040】前輪回転数センサ44,44は、前輪1
1,11と同期回転する被検出部(ギヤ)を検出可能な
状態でリーチレグ15に支持されており、それぞれ前輪
11の被検出部を検出することで、前輪回転数NF に比
例する周波数のパルス信号を生成してコントローラ40
に出力する。
【0041】モータ回転数センサ45,46は、走行用
モータ19の出力軸に固定された図示しないギヤを被検
出体として検出することにより、モータ回転数(回転速
度)Nに比例する周波数のパルス信号を生成して出力す
る。各回転数センサ45,46は、被検出体の位相で9
0゜ずれた位置に並設されており、それぞれからコント
ローラ40が入力する2つのパルス信号の位相ずれ方向
が走行用モータ19の回転方向に応じて反転する。コン
トローラ40はパルス信号の単位時間当たりの入力パル
ス数を計数することによりモータ回転数Nを求めると共
に、両パルス信号の位相のずれ方向をみることでモータ
回転方向、つまり車両の進行方向を判断する。
【0042】操舵角センサ47は、駆動輪12を支持す
るギヤボックス18A(図2参照)の近傍に設けられ、
ギヤボックス18Aの回動を検出することで駆動輪12
の直進状態を「0」として右操舵および左操舵の操舵角
θを間接的に検出し、その検出信号をコントローラ40
に出力する。
【0043】圧力スイッチ48は、ブレーキ制御バルブ
ユニット33に設けられ、アキュームレータ36の蓄圧
値が許容下限値を下回ったことを検知し、その検知信号
をコントローラ40に出力する。コントローラ40は、
圧力スイッチ48からの検知信号を入力したときと、荷
役レバー23の操作(但しリフト下降操作は除く)を検
知する荷役操作検知用の各種スイッチ(図示省略)から
の検知信号を入力したときに、荷役用モータ31を運転
する。
【0044】コントローラ40は、マイクロコンピュー
タ(以下、単にマイコンという)50と、三相インバー
タ回路等からなるモータ駆動回路51を内蔵している。
なお、本実施形態では、コントローラ40(マイコン5
0,モータ駆動回路51)により制動制御手段およびト
ラクション制御手段が構成される。また前輪回転数セン
サ44、モータ回転数センサ45、操舵角センサ47お
よびマイコン50によりスリップ検出手段が構成され
る。またブレーキ制御バルブユニット33およびコント
ローラ40(マイコン50)などにより補助制動制御手
段が構成される。また前輪回転数センサ44およびマイ
コン50により減速度検出手段が構成される。さらにマ
イコン50により操作判別手段が構成される。
【0045】マイコン50が内蔵するメモリには、図4
に示すモータトルクを設定するために使用されるマップ
M1と、図6に示すブレーキ制御用プログラムなどが記
憶されている。ブレーキ制御用プログラムは、スイッチ
バック操作時の回生制動時に駆動輪12のスリップを抑
えるトラクション制御と、トラクション制御が行われる
ときに補助ブレーキ装置16,16を作動させて前輪1
1,11に補助制動力を付与する補助ブレーキ制御とを
行うためのものである。
【0046】マイコン50は、進行方向検出スイッチ4
2,43から入力する前進・後進信号SF ,SR を基に
アクセル操作方向を認知し、アクセル操作方向に応じた
モータ回転方向のトルクが発生するように走行用モータ
19を制御する。またマイコン50は、アクセルセンサ
41からの入力値から得られるアクセル開度Accと、
モータ回転数センサ45からの入力値から得られるモー
タ回転数Nとの2つをパラメータとし、2つのパラメー
タAcc,Nを基に図4のマップM1を参照して目標ト
ルク(モータトルク)を求める。そしてこの目標トルク
と後述するトルク上昇速度とから決まるトルク指令値を
モータ駆動回路51に出力することにより、走行用モー
タ(交流誘導モータ)19をトルク制御する。走行用モ
ータ19はモータ駆動回路51によってトルク指令値に
応じた電流・周波数に制御される。
【0047】図4のマップM1では、アクセル操作方向
を正(プラス)方向と定め、モータ回転方向がアクセル
操作方向と同じ正方向であればそのときのモータ回転数
を「正」の値にとり、モータ回転方向がアクセル操作方
向と逆である負方向であればそのときのモータ回転数を
「負」の値にとる。マップM1において、アクセル操作
方向が進行方向と同じでモータ回転数Nが正の値をとる
領域が力行モード、アクセル操作方向が進行方向と逆で
モータ回転数Nが負の値をとる領域が回生モードとな
る。アクセル操作方向が進行方向と逆になるスイッチバ
ック操作中はこの回生モードとなる。回生モードでは目
標トルクが大きいほど制動トルクが大きくなる。
【0048】マイコン50のメモリには、モータトルク
を目標トルクに上昇または下降させる際のトルク上昇速
度(またはトルク下降速度)が設定されており、これら
の速度を決めるために制御サイクル1回毎のトルク増量
値(減量値)が予め設定されている。
【0049】マイコン50は、スイッチバック操作時の
回生モードにおいて、駆動輪12の目標トルクをスリッ
プが発生しない適正範囲内に小さく制限してスリップを
抑えるトラクション制御を行う。またマイコン50は、
スイッチバック操作中においてこのトラクション制御が
実行されるときは、駆動輪12の回生制動力がトラクシ
ョン制御によって不足する分を少なくとも補う目的で、
補助ブレーキ装置16を作動させて前輪11に補助制動
力を付与する補助ブレーキ制御を行う。
【0050】トラクション制御を行うときは、マイコン
50は、マップM1を参照して2つのパラメータAc
c,Nから得られた目標トルクに対し、予め設定された
所定補正係数(<1)を乗じてトラクション制御用の目
標トルクを求める。
【0051】駆動輪12のスリップの検出方法は次のよ
うである。マイコン50は、前輪回転数センサ44から
の単位時間当たりの入力パルス数を基に前輪車速(従動
輪換算車速)Vf を算出する。またマイコン50は、モ
ータ回転数センサ45からの単位時間当たりの入力パル
ス数を基に後輪車速(駆動輪換算車速)Vr を算出す
る。ここで、フォークリフト10は、左右の前輪11,
11を結ぶ線分の中点を中心とするその場旋回が可能
で、ハンドル24が一杯近くにまで切られた最大操舵角
付近では旋回内輪側の前輪11の回転速度が零になる不
都合があるので、前輪車速Vf を求めるのに旋回外輪側
の前輪回転数センサ44からの入力信号を優先して使用
している。マイコン50は操舵角センサ47から入力す
る操舵角θを基に、旋回外輪側の前輪11が左右どちら
であるかを判定する。なお、直進走行(θ=0)時は、
左右のうち予め定められた一方の前輪回転数センサ44
からの入力信号のみ使用する。
【0052】本例では、車両旋回時における前輪11と
駆動輪12の各旋回半径が異なることを考慮した補正係
数K(θ)(操舵角θの関数)をその時の操舵角θに応
じて求め、前輪車速Vf にその補正係数K(θ)を乗じ
て、後輪位置相当に換算した車速Vを求める。この車速
Vは駆動輪12がスリップしていないときの後輪車速V
r に相当する。そしてマイコン50は、この車速Vと後
輪車速Vr との差を「すべり速度」ΔV(=V−Vr )
として算出し、このすべり速度ΔVが予め設定されたし
きい値Va を超えたときを、駆動輪12のスリップと判
定する。しきい値Va には、駆動輪12と路面との摩擦
係数が静止摩擦領域から動摩擦領域に移行する境界付近
の値が設定されており、例えばスリップ率換算で0.2
付近の値が設定されている。図6のステップ30の処理
が、駆動輪12のスリップを検出するスリップ検出処理
である。なお、スリップ検出にはすべり速度ΔVに代
え、スリップ率(=(V−Vr )/V)を使用すること
もできる。
【0053】スイッチバック操作中に駆動輪12のすべ
り速度ΔVがしきい値Va を超えると、マイコン50は
リニアソレノイド弁35を電流値制御してブレーキ制御
バルブユニット33からその通電電流値に応じた油圧の
作動油を出力させ、補助ブレーキ装置16,16を作動
させる。このときフォークリフト10の減速度は、駆動
輪12の制動力と前輪11,11に付与される補助制動
力とによって決まることになる。補助制動力(補助ブレ
ーキ力)は、ブレーキ制御バルブユニット33から出力
される補助ブレーキ液圧値に応じて一義的に決まる。マ
イコン50は、フォークリフト10の減速度が適正範囲
に収まるように補助制動力を制御し、補助制動力を制御
するために図5のグラフで示されるようなデータをメモ
リに記憶している。
【0054】図5のグラフは、補助制動力を一義的に決
定する補助ブレーキ液圧値(以下、液圧値という)PK
を設定するためのもので、本例では液圧値を「0」を含
め4段階の液圧値P0 ,P1 ,P2 ,P3 が設定されて
いる。液圧値P2 が基準値でその値は「P」である。液
圧値「P」は、駆動輪12のスリップを抑えるトラクシ
ョン制御が実行されたときに適正な減速度を期待できる
と走行実験から得られた標準的な補助ブレーキ力に相当
する値である。P0 の液圧値は「0」、P1 の液圧値は
基準値Pの30%減の値「0.7 P」、P3 の液圧値は基
準値Pの30%増の値「1.3 P」が設定されている。
【0055】4段階の液圧値PK (K=0 ,1 ,2 ,3
)のうちどの液圧値を選択するかは、車両の減速度β
を基に決定される。各PK (K=0 ,1 ,2 ,3 )毎に
減速度βの適正範囲が設定されている。すなわち図5の
グラフに示すように適正範囲は、P0 (=0)ではβ≧
β5、P1 (=0.7 P)ではβ3≦β≦β6、P2 (=
P)ではβ1≦β≦β4、P3 (=1.3 P)ではβ≦β
2が設定されている(但し、減速度の値は0<β1<β
2<β3<β4<β5<β6)。
【0056】補助ブレーキ装置16が基準値「P」の液
圧で作動開始されるように、液圧値P2を初期値として
いる。車両制動中に計測した車両の減速度βが、そのと
きの液圧値PKの適正範囲内にあれば液圧値PKをそのま
ま維持する。減速度βがそのときの液圧値PKの適正範
囲外であれば液圧値PKを変更する。すなわち、図5の
グラフ中に矢印で示すように、減速度βがそのときの液
圧値PKの適正範囲を上限オーバーしたときは液圧値PK
を1段階下げ(PK ←PK-1 )、減速度βがそのときの
液圧値PKの適正範囲の下限未満のときは液圧値PKを1
段階上げる(PK ←PK+1 )。
【0057】各液圧値PK (K=0 ,1 ,2 ,3 )毎に
設定されたβの適正範囲は、PK とPK+1 のように液圧
値が隣合うもの同士間で、各々の適正範囲が一部重複す
るように設定されている。このため、PK で適正範囲を
上限オーバーして1段階下のPK-1 とし、このPK-1 で
減速度βが適正範囲の下限未満となれば元の液圧値PK
に戻す。またPK で適正範囲の下限未満となって1段階
上のPK+1 とし、このPK+1 で減速度βが適正範囲を上
限オーバーしたときは元の液圧値PK に戻す。このよう
に各PK (K=0 ,1 ,2 ,3 )毎のβ適正範囲を一部
重複させることで、液圧値PK からPK-1 やPK+1 へ切
り替わる制御にヒステリシスをもたせている。
【0058】マイコン50は、モータ回転数センサ4
5,46から入力する2つのパルス信号の位相のずれを
みて車両の進行方向を判断し、進行方向検出スイッチ4
2,43からの入力信号を基に認知したアクセル操作方
向が車両の進行方向と逆方向であると、スイッチバック
操作がなされた回生モードであると判断する。スイッチ
バック中は2つの検出値Acc Nをパラメータとして
マップM1を参照して目標トルクを求め、走行用モータ
19は回転方向と逆向きの目標トルク(制動トルク)が
かかるように回生制動される。このスイッチバック中は
駆動輪12のスリップ検出が行われる。
【0059】このスイッチバック中には減速トラクショ
ン制御用プログラムが実行され、駆動輪12のすべり速
度ΔVが閾値Vaを超えると、目標トルクが小さく制限
されるトラクション制御が行われる。図6の補助ブレー
キ制御プログラムは、スイッチバック操作が検出される
と、マイコン50によって減速トラクション制御プログ
ラムと共に実行される。
【0060】以下、補助ブレーキ制御プログラムについ
て図6を用いて説明する。まずステップ(以下Sと記
す)10においては、制動信号入力後初回目(1回目)
の制御処理であるか否かを判断する。初回目であればS
20に進む。2回目以降の場合はS40に進む。
【0061】S20においては、車速(スイッチバック
操作開始時の初速)Vo が設定車速Vc 以上であって低
車速域でないか否かを判断する。Vo ≧Vc であればS
30に進み、低車速域(Vo <Vc ) であれば当ルー
チンを終了する。
【0062】S30においては、スリップが検出された
か否かを判断する。すなわちすべり速度ΔVが閾値Va
を超えればスリップが検出されたと判断し、すべり速度
ΔVが閾値Va 以下であれば非スリップと判断する。ス
リップが検出されるとS50に進む。スリップが検出さ
れなければ当ルーチンを終了する。
【0063】S50においては、補助ブレーキ作動開始
から所定待機時間であるt秒が経過したか否かを判断す
る。t秒経過前であればS110に進み、t秒経過以後
であればS60に進む。ここで、t秒は減速度βが安定
するまでの待機時間で例えば100〜300ミリ秒程度
の短時間である。
【0064】S60においては、減速度βを計測する。
すなわち前輪回転数センサ44,44からの単位時間当
たりの入力パルス数(前輪回転数)を基に車速Vを算出
し、この車速Vの時間変化(前回の検出車速と今回の検
出車速との差分)から減速度βを計算する。なお、減速
度βを算出するために使う車速Vは、例えば左右の前輪
回転数から得られる2つの従動輪換算車速Vfの平均値
を使用する。
【0065】次のS70においては、減速度βが現在設
定されている液圧値PK にとっての適正範囲内にあるか
否かを判断する。すなわち図5のグラフに示された各液
圧値P0 (=0),P1 (=0.7 P),P2 (=P),
P3 (=1.3 P)毎に設定された減速度適正範囲内にあ
るか否かを判断する。減速度βが適正範囲内にあればS
110に進む。減速度βが適正範囲外であればS80に
進む。
【0066】S80においては、減速度βの適正範囲か
らのずれが上限側か下限側かを判断する。減速度βが適
正範囲を上限オーバーしたときはS90に進む。減速度
βが適正範囲の下限未満のときはS100に進む。
【0067】S90においては、液圧値PK を1段階下
げる(PK ←PK-1 )。但し、PKが「0」であれば既
に液圧が最低値であるので、そのままの液圧値「0」を
維持する。
【0068】またS100においては、液圧値PK を1
段階上げる(PK ←PK+1 )。但し、PK が「1.3P」
であれば既に液圧が最高値であるので、そのままの液圧
値「1.3 P」を維持する。
【0069】そしてS110においては、液圧PK に応
じた電流値をリニアソレノイド弁35に通電する電流値
指令をすることで補助ブレーキ装置16を作動指令す
る。スリップ検出直後の最初は液圧値の初期値「P2
(=P)」に応じた電流値が指令され、この補助ブレー
キ作動開始からt秒経過するまではこの初期値Pが維持
される。そしてt秒経過して減速度βが安定してから
は、S60〜S110の処理が実行されて減速度βと適
正範囲との比較を通じて適切な液圧値PK が選択され
る。
【0070】ここでS40は、2回目以降の制御におい
て、補助ブレーキ作動中でなければS30のスリップ検
出を行い、補助ブレーキ作動中であればスリップ検出を
行わないようにするための判断処理である。これはスリ
ップが検出された場合は制動距離が長くなる傾向にある
ので、一旦スリップが検出されればその後スリップが検
出されなくなっても補助ブレーキをかけ続けることで制
動距離の短縮を図るためである。
【0071】S120とS130は、補助ブレーキ装置
16の作動を停止するための停止条件である。これらの
うち一方の停止条件が成立すれば、S140において、
補助ブレーキ装置16の作動を停止する。
【0072】S120では、アクセルレバー22が車両
の進行方向と同じ方向に操作されてアクセル操作が力行
になったか否か、またはアクセルレバー22が中立位置
になったか否かを判断する。アクセル操作が力行(力行
モード)または中立位置になると、S160で補助ブレ
ーキ装置16の作動を停止する。
【0073】S130においては、車速Vが停止車速V
s 以下であるか否かを判断する。ここで、停止車速Vs
とは、車両が停止する直前の車速で例えば1km/hであ
る。車速Vが停止車速Vs に達すると、S140で補助
ブレーキ装置16の作動を停止する。このため、車両停
止直前で補助ブレーキが解除されるので、車両停止時に
車体に働く停止ショックが緩和される。
【0074】次にリーチ型フォークリフトの作用につい
て説明する。車両が走行中にアクセルレバー22をスイ
ッチバック操作すると、走行用モータ19が回生制動さ
れることで駆動輪12に進行方向とは逆向きの制動トル
クがかかる。この結果、駆動輪12が制動されることに
より車両が減速する。
【0075】この車両減速中に駆動輪12のすべり速度
ΔVが閾値Va を上回ると、マイコン50はトラクショ
ン制御を実行して目標トルクを適正範囲内に小さく制限
し、駆動輪12のスリップが抑えられる。その結果、駆
動輪12の路面に対する制動力の低下が抑制される。
【0076】例えばマスト装置17を最大荷物重量で最
大リーチさせたリーチ型フォークリフト10が水濡れ路
面を走行するときに、アクセルレバー22をスイッチバ
ック操作をすると、駆動輪12と路面との摩擦係数が非
常に小さいためにすべり速度ΔVが閾値Vaを上回りト
ラクション制御が実行される。またすべり速度ΔVが閾
値Vaを上回るこのときに補助ブレーキ装置16,16
が作動され、前輪11,11に補助制動力が付与され
る。従って、トラクション制御によって駆動輪12の制
動力が低いながらも確保されるとともに、トラクション
制御による制動力の低下を補助する補助制動力が左右の
前輪11,11に付与され、フォークリフト10は駆動
輪12の制動力と左右の前輪11,11の補助制動力と
によってしっかり制動される。
【0077】ここでスイッチバック減速中の車両の減速
度βは、積載荷重(荷物重量)、駆動輪輪重、路面状態
(路面摩擦係数)などに影響される。すなわち、駆動輪
12が路面から受ける制動力Fb は、その輪重(抗力)
fn と路面摩擦係数μとの積で表され(Fb =fn ・
μ)、減速度βは車両総重量(質量)Mを使って、β=
Fb /Mで表される。よって、減速度βは、制動力Fb
が小さく、車両総重量Mが大きいほど小さくなる。例え
ば最大荷物重量で最大リーチした状態では、輪重fn が
最小かつ車両総重量Mが最大となるため、減速度βがか
なり小さくなる。さらにこの状態で路面が水濡れや凍結
のため路面摩擦係数μが小さければ、減速度βはさらに
小さくなる。
【0078】このように減速度βは、駆動輪輪重fn 、
路面摩擦係数μ、車両総重量Mに依存して変動するが、
トラクション制御が実行されるほど制動条件が悪いとき
は、補助ブレーキ装置16を作動して前輪11,11に
付与する補助制動力を、減速度βが適正範囲に入るよう
に制御する。この場合、前輪11,11が路面から受け
る補助制動力をFa とすると、減速度βは、β=(Fb
+Fa )/Mで表される。
【0079】トラクション制御が実行されて補助ブレー
キ装置16が作動される際、最初は初期液圧P2 (=
P)のブレーキ力が付与され、所定待機時間t秒経過後
の減速度βがその適正範囲(β1≦β≦β4)内にあれ
ばそのブレーキ力が維持される。また減速度βがその適
正範囲を上限オーバーすれば、液圧を30%低いP1
(=0.7 P)に切り換える。そして減速度βがその適正
範囲(β3≦β≦β6)内にあればそのブレーキ力が維
持されるが、ブレーキ力を弱めたために減速度βがその
適正範囲の下限未満となれば、液圧をP2 (=P)に戻
して初期のブレーキ力に戻す。また液圧P1でも適正範
囲を上限オーバーすれば、液圧をP0 (=0)とし、補
助ブレーキ装置16の作動を停止する。そして補助ブレ
ーキ装置16を停止させたために減速度βがβ5未満と
なれば、液圧P1 (=0.7 P)に戻して弱めの補助ブレ
ーキをかける。
【0080】また最初の液圧P2 (=P)で、その適正
範囲(β1≦β≦β4)の下限未満となれば、液圧を3
0%高いP3 (=1.3 P)に切り換える。そして減速度
βがβ2以下にあればそのブレーキ力が維持されるが、
ブレーキ力を強めたために減速度βがその適正範囲を上
限オーバーすれば、液圧をP2 (=P)に戻して初期の
ブレーキ力に戻す。なお、減速度βは、液圧P0 (=
0)のときはおおよそβ5〜β6付近で推移し、液圧P
3 (=P3 )のときはおおよそβ1〜β2付近で推移す
る。このように減速度βを一定の適正範囲(β1≦β≦
β4)に収束させるように補助制動力(液圧)を調整す
る。
【0081】また車速Vが停止車速Vs に達すると、補
助ブレーキ装置16の作動が停止される。このため、フ
ォークリフト10は停止ショックなくスムーズに停止す
る。また、回生制動中にフォークリフト10を加速させ
ようとしてアクセルレバー22をスイッチバック操作か
ら進行方向と同じ方向の操作へ切り換えて力行モードに
すると、補助ブレーキ装置16の作動が停止される。こ
のため、フォークリフト10の加速時に補助ブレーキ力
によって加速が妨げられることが回避される。
【0082】以上詳述したように本実施形態のリーチ型
フォークリフトによれば、以下の効果を得ることができ
る。 (1) スイッチバック操作による回生制動時に、走行
用モータ19がトラクション制御されるときは、補助ブ
レーキ装置16を作動して前輪11,11に補助制動力
を付与する。このため、例えばマスト装置17を最大荷
物重量で最大リーチさせて駆動輪12の輪重が非常に小
さくなった状態で、水濡れや凍結などのある低摩擦路面
を走行しているときにスイッチバック操作したときで
も、駆動輪12の制動力がトラクション制御により低い
ながらも確保されるとともに、輪重が大きくなった前輪
11,11に補助制動力が付与される。よって、フォー
クリフト10の制動距離を短く抑えることができるう
え、車体14の後部が流れる尻振り量を小さく抑えるこ
とができる。また駆動輪12のスリップが減ることから
そのタイヤが摩耗し難くなる。
【0083】(2) 補助ブレーキ装置16が油圧ブレ
ーキ装置であることから、補助制動力発生時の消費電力
がリニアソレノイド弁35への通電電流程度の小電力で
済む。よって、従来技術で述べた従動輪(前輪)を補助
モータの逆転駆動で制動させる構成に比べ、補助制動力
発生に要する電力値を1桁程度小さくできる。リーチ型
フォークリフト10のようなバッテリ車では、長い稼働
時間を確保するために電力消費をなるべく抑える要求が
あるが、このように補助制動力の発生に要する電力が小
電力で済むことから、フォークリフト10の長い稼働時
間をほとんど損なわずに制動距離の短縮を図ることがで
きる。
【0084】(3) 補助ブレーキ装置16を作動させ
た後、実減速度βが減速度適正範囲(目標範囲)内に収
まるように液圧値PK を切り換えるフィードバック制御
を採用した。このため、積載荷重やリーチ位置、駆動輪
輪重、路面摩擦係数などの諸条件に依存することなく、
フォークリフト10を適正な減速度で制動させることが
でき、フォークリフト10の制動距離のばらつきを小さ
く抑えることができる。
【0085】(4) 補助ブレーキ装置16を作動させ
る液圧値PK (K=0,1,2,3)を段階的に設定し、実減速
度がその対応する減速度適正範囲を満たす液圧値PK を
選択する制御方法を採用するので、補助ブレーキ装置1
6の作動開始後、少ない制御回数で早期に適正な補助制
動力に定まる。
【0086】(5)各補助ブレーキ液圧値毎に設定され
た減速度適正範囲は、補助ブレーキ液圧値が大きいほど
小さな値の範囲をとるように設定した。このため、荷物
重量に合った適切な補助ブレーキ液圧が選ばれる。つま
り、荷物が重く減速度が小さいときには強い補助ブレー
キ液圧が選ばれ、荷物が軽く減速度が大きいときには弱
い補助ブレーキ液圧が選ばれる。よって、補助ブレーキ
液圧を決めるためのパラメータが減速度のみで、荷物重
量(車両総重量)をパラメータとして使っていないが、
スリップ発生時も非スリップ時と同程度の制動距離が得
られ、オペレータが違和感を感じにくい。
【0087】(6) 値の隣合う液圧値PK 間で減速度
適正範囲を一部重複して設定し、液圧値PK の選択にヒ
ステリシスをもたせたので、段階的な液圧値PK の設定
であるものの、その割には適切な減速度が得られる。
【0088】(7) 補助ブレーキ装置16が作動開始
された後、所定待機時間(t秒)待って減速度が安定し
てから実減速度による補助ブレーキ液圧のフィードバッ
ク制御を開始する。このため、補助ブレーキ装置16の
作動開始直後の不適切な実減速度に基づく不適切な補助
ブレーキ液圧が選択される不都合を回避できる。例えば
補助ブレーキ効き始め初期の小さな値の実減速度を基に
補助ブレーキ装置16が一時的に最大ブレーキ力で不適
切に作動される不具合を回避できる。
【0089】(8) スイッチバック操作開始時の車速
(初速)Vo が低車速域(Vo<Vc)にあって補助制動
力を付与しなくても十分制動距離が短くなるときは、補
助ブレーキ装置16を作動させないので、補助ブレーキ
装置16の無駄な作動を防いでバッテリの節電に寄与で
きる。
【0090】(9) フォークリフト10の車速Vが停
止車速Vs に達した停止直前に補助ブレーキ装置16の
作動を停止するので、車両停止時の停止ショックを防ぐ
ことができる。
【0091】実施の形態は上記に限定されず、以下の態
様で実施することもできる。 ○ 上記実施形態では、液圧値を段階的に設定し、減速
度βに応じて液圧値(つまり補助制動力)を適切な値に
切り換える制御を採用したが、補助制動力が一定値であ
っても構わない。つまり図7に示す補助ブレーキ制御プ
ログラムを採用する。このフローチャートにおいて、S
210〜S240の各処理は、図6におけるS10〜S
40の各処理と同内容であり、またS250〜S280
の各処理は、図6におけるS110〜S140の各処理
と同内容である。つまり減速度βによって液圧値Pを適
正値に変更する処理が廃止された制御内容であり、補助
ブレーキ装置16が作動されるときは常に液圧値Pに応
じた一定の補助制動力が付与される。このような制御内
容であっても、スリップ発生時と非スリップ時で減速度
や制動距離が多少変動するものの、トラクション制御と
補助制動力付与の採用によって制動距離を短くできるう
え車体の後部が流れる尻振り量を小さく抑えることがで
きる。
【0092】○ 上記実施形態で、スイッチバック操作
に伴う回生制動時だけでなく、アクセルレバー22を中
立位置に戻すときのような力行時における制動制御にお
いて、減速トラクション制御と補助ブレーキ装置の作動
を実施する。この場合、駆動輪12の輪重が十分でない
状態で滑り易い路面上で駆動輪12が制動されても車両
を迅速に減速できるうえ、車体の後部が左右に振られな
いようにすることができる。
【0093】○ 操作手段はアクセルレバーに限定され
ない。例えばブレーキペダルでもよい。例えばブレーキ
ペダルの操作量(踏込量)をセンサで検出し、その検出
信号を基に電動モータを回生制動などの電気制動制御す
る構成であれば適用できる。
【0094】○ 駆動輪の電気制動は回生制動に限定さ
れない。例えばプラギング制動であっても構わない。そ
の他、電動モータを電気的に制御することによって電動
モータに制動トルクを発生させることができる電気制動
であれば足りる。
【0095】○ 駆動輪の制動は電気制動に限定されな
い。例えば制動手段が油圧制御される油圧式のブレーキ
装置であって、このブレーキ装置を作動のため油圧制御
する油圧回路中の電磁弁(例えばリニアソレノイド弁)
を電気制御するものであっても構わない。この場合、駆
動輪のスリップ検出時(ΔV>Va成立時)は、スリッ
プ抑制制御として、電磁弁を制御して制動力を弱めてス
リップを抑えるABS(アンチブレーキシステム)制御
を行う。この構成でも、駆動輪の輪重が小さくなる荷役
状態(作業状態)で低摩擦路面を走行するときにブレー
キペダルを制動操作したとき、ABS制御により駆動輪
の制動力が低下するものの、輪重が大きくなっている前
輪に補助制動力が付与されることで、制動距離を効果的
に短くすることができる。
【0096】○ 補助ブレーキ液圧毎に減速度適正範囲
を異なる値に設定したが、各液圧値で減速度適正範囲が
共通の値に設定されていてもよい。 ○ 予め複数の補助ブレーキ液圧を段階的に設定してお
き、実減速度を基にこの中から液圧値を選択するフィー
ドバック方法をとったが、例えば実減速度と目標減速度
との差分をフィードバック計算式に入れて液圧値(補助
制動力)を決めるフィードバック制御方法をとることも
できる。例えばPID制御を採用できる。
【0097】○ 積載荷重によって変動する制動距離が
スリップ時と非スリップ時で同程度となるようにする制
御方法は、前記実施形態のように補助ブレーキ液圧値が
大きいほど減速度適正範囲の値を小さくする設定とする
方法に限定されない。例えば荷重センサを設けて積載荷
重を検出し、補助ブレーキ装置をフィードバック制御す
る際の目標減速度としてその検出積載荷重(車両総重
量)に応じた値を設定し、積載荷重に応じた減速度で制
動されるフィードバック制御とすることにより、スリッ
プ時と非スリップ時で制動距離が同程度となる制御とす
る。
【0098】○ トラクション制御と補助ブレーキ制御
の開始条件を異ならせてもよい。例えば補助ブレーキ制
御を開始するスリップの閾値を、トラクション制御を開
始するスリップの閾値より小さな値に設定し、補助ブレ
ーキ装置の方がスリップ(すべり速度ΔV)の少ない段
階から先に作動開始されるようにしてもよい。この構成
としても、トラクション制御が行われるときは補助ブレ
ーキ装置は作動され得るので、同様の効果が得られる。
またトラクション制御が行われるときに補助ブレーキ装
置が作動されるのであれば、補助ブレーキ装置の作動開
始条件はスリップ(すべり速度ΔV)以外のパラメータ
から判断する方法でも構わない。
【0099】○ 上記実施形態で、走行用モータ19を
直流モータとしてもよい。この場合、直流モータでスイ
ッチバック操作時の回生制御をするために従来からリー
チ型フォークリフトで使用されている公知の回生回路を
使用する。そして車両回生制動中のスリップ検出時に直
流モータの駆動電圧(電流)をチョッパ制御などで低下
させて制動トルクを弱めるトラクション制御と補助ブレ
ーキ装置の作動とを実施する。
【0100】○ 補助ブレーキ装置のブレーキ力を調整
する方法は、ブレーキ液圧の選択に限定されない。例え
ば補助ブレーキ装置の作動・非作動を細かな周期で切り
換えるとともにその1サイクル中の作動時間の割合を変
化させることにより、ブレーキ力を調整する方法を採る
ことができる。
【0101】○ 補助ブレーキ装置は、油圧式ドラムブ
レーキ装置に限定されず他の方式のブレーキ装置を採用
できる。例えば補助ブレーキ装置として油圧式ディスク
ブレーキ装置を採用できる。さらに補助ブレーキ装置は
油圧ブレーキ装置に限定されず、例えば電磁ブレーキ装
置を使用することもできる。
【0102】○ 補助制動手段は、摩擦制動式のブレー
キ装置に限定されない。例えば従来技術で示したように
前輪を駆動輪として切換え可能な従動輪とし、この従動
輪を逆転駆動させる制動方式を採用することもできる。
この場合、マイコンは、すべり量が閾値を超えたこと、
またはトラクション制御を開始したことを契機として、
前輪用の補助モータを逆転駆動させる指令を出す。この
構成では、補助制動力発生時の消費電力が増えるもの
の、駆動輪の輪重を小さくする荷役状態(作業状態)で
制動操作がなされても、制動距離を効果的に短くするこ
とはできる。
【0103】○ 産業車両に設けられた作業装置は、マ
スト装置などの荷役装置に限定されない。例えば土砂な
どの運搬のため土砂をすくうショベルを有する作業装置
でもよい。
【0104】○ フォークリフトは前輪が従動輪で後輪
が駆動輪である構成に限定されない。例えば、前輪が駆
動輪で後輪が従動輪でもよい。また、前輪および後輪が
共に駆動輪である3輪または4輪駆動式のフォークリフ
トであってもよい。この場合、スリップ検出は、例えば
モータ回転数センサにより検出された駆動輪回転数の時
間変化を計算して駆動輪の加速度(減速度)を求め、こ
の減速度が通常の走行では起こり得ない過大な値をとる
ときをスリップとみなすスリップ検出方法を採用する。
【0105】○ 産業車両はリーチ型フォークリフトに
限定されず、例えばカウンタバランス型やオーダーピッ
キング型などの他のタイプのフォークリフトに適用する
こともできる。その他、電気制動される駆動輪がスリッ
プしたときに減速トラクション制御に加え、この駆動輪
と前後反対側の車輪に補助制動力を付与する技術を、フ
ォークリフト以外の他の産業車両で実施することもでき
る。
【0106】以下、前記実施形態等から把握される技術
的思想を、以下に記載する。 (1)請求項1又は3において、前記作業装置は重量変
化を伴う作業を行うもので、前輪と後輪のうち前記作業
装置が重量を増す作業状態になるときに輪重が小さく変
化する側が駆動輪である。この構成によれば、作業装置
が重量を増す作業状態にあって駆動輪の輪重が小さくな
った状態で低摩擦路面を走行するときに制動操作がなさ
れても、スリップ抑制制御(トラクション制御)によっ
て駆動輪の制動力の極端な低下が抑えられるうえ、駆動
輪と前後反対側の車輪に補助制動力が付与されるため、
制動距離を効果的に短くすることができる。またこの制
動時は作業装置が重量を増す作業状態にあって車両総重
量が大きくなっているため、制動距離が延びる傾向にあ
るものの、制動距離を効果的に短くできる。
【0107】(2)請求項5又は6において、各補助ブ
レーキ力毎に設定された減速度適正範囲は、補助ブレー
キ力の値が隣合うもの同士が一部重複するように設定さ
れている。この構成によれば、電気制動時により適正な
減速度が得られる。
【0108】(3)請求項2又は3の発明において、産
業車両の減速度を検出する減速度検出手段を備え、前記
補助制動制御手段は、前記減速度検出手段により検出さ
れた実減速度を基に前記補助ブレーキ装置をフィードバ
ック制御する。この構成によれば、電気制動中はスリッ
プ発生時でも適正な減速度で制動させることができる。
【0109】(4)請求項4又は前記技術的思想(3)
において、積載荷重を検出する荷重検出手段を備え、前
記補助制動制御手段は、前記荷重検出手段により検出さ
れた荷重に応じて目標減速度(適正範囲)を設定する。
この構成によれば、積載荷重が考慮されて目標減速度
(適正範囲)が決まるので、スリップ時と非スリップ時
で制動距離がさほど違わない。
【0110】(5)請求項2〜10及び前記技術的思想
(2)〜(4)のいずれかにおいて、前記補助ブレーキ
装置は油圧ブレーキ装置である。この構成によれば、補
助ブレーキ装置を作動させる油圧制御のための電磁弁
(35)に通電する程度の小電力で済む。
【0111】(6)請求項1〜10及び前記技術的思想
(1)〜(5)のいずれかにおいて、 前記作業装置は
荷物を積載するための荷役装置(17)であって、該荷
役装置の積載荷重が大きいほど、前記駆動輪の輪重が小
さくなるとともに前記補助制動力が付与される車輪の輪
重が大きくなることを要旨とする。この構成によれば、
荷役装置の積載荷重が大きいときは駆動輪は輪重が小さ
くなってスリップし易いが、このとき輪重が大きくなる
側の車輪に補助制動力が付与されるので、車輪の補助制
動がしっかり効き、積荷状態でのスリップ発生時でも制
動距離を効果的に短くできる。
【0112】(7)前記(6)の技術的思想において、
産業車両は、前記駆動輪が後輪で、前記補助制動力が付
与される車輪が前輪であると共に、車体の前側に荷役装
置(17)を前後移動可能に装備するリーチ型フォーク
リフトである。この構成によれば、荷役装置が荷物を積
んでリーチした作業状態にあるとき、後輪の輪重がかな
り小さくなり、この状態で例えば水濡れや凍結などのあ
る低摩擦路面で操作手段が操作されたとき、駆動輪のス
リップが抑えられてその制動力が小さいながらも確保さ
れる。しかもこのとき輪重が大きくなった前輪に補助制
動力が付与されるため、制動距離が効果的に短く抑えら
れる。
【0113】
【発明の効果】請求項1〜10に記載の発明によれば、
作業装置が駆動輪の重量を小さくする作業状態にある状
態で駆動輪を制動する際、駆動輪のスリップを抑える制
御だけでは制動距離短縮が効果的でないものに駆動輪と
前後反対側の車輪に補助制動を加えるので、制動距離を
効果的に短くすることができる。
【0114】請求項2〜10に記載の発明によれば、補
助制動力を発生させる制動方式が摩擦制動式なので、補
助制動力発生時の消費電力が少なく済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フォークリフトの走行制御装置を示す概略構
成図。
【図2】 リーチ型フォークリフトの側面図。
【図3】 同じく平面図。
【図4】 モータトルク指令値を決めるためのマップ
図。
【図5】 補助ブレーキ液圧値を決めるための設定条件
を示すグラフ。
【図6】 補助ブレーキ制御ルーチンを示すフローチャ
ート。
【図7】 別例の補助ブレーキ制御ルーチンを示すフロ
ーチャート。
【符号の説明】
10…産業車両としてのリーチ型フォークリフトトラッ
ク、11…駆動輪と前後反対側の車輪としての前輪(従
動輪)、12…駆動輪としての駆動操舵輪、16…補助
制動手段としての補助ブレーキ装置、17…作業装置と
してのマスト装置、19…電動モータとしての走行用モ
ータ、22…制動用の操作手段およびアクセル操作手段
としてのアクセルレバー、33…補助制動制御手段を構
成するブレーキ制御バルブユニット、35…リニアソレ
ノイド弁、40…制動制御手段、トラクション制御手段
および補助制動制御手段を構成するコントローラ、44
…スリップ検出手段、減速度検出手段および車速検出手
段を構成する前輪回転数センサ、45…スリップ検出手
段を構成するモータ回転数センサ、47…スリップ検出
手段を構成する操舵角センサ、50…制動制御手段、ス
リップ検出手段、トラクション制御手段、補助制動制御
手段、減速度検出手段および操作判別手段を構成するマ
イコン、51…制動制御手段およびトラクション制御手
段を構成するモータ駆動回路、Vo …初速、V…車速、
停止車速Vs 、ΔV…スリップを検出するための検出値
としてのすべり速度、Va …閾値。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/58 B60T 8/26 B60L 7/24

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定作業を行うための作業装置と、制動
    用の操作手段の操作に基づき電気制御により制動される
    駆動輪とを備え、前記作業装置の作業状態に応じて前記
    駆動輪の輪重が影響を受け、該駆動輪の輪重が小さく変
    化するときに該駆動輪と前後反対側の車輪の輪重が大き
    く変化する産業車両において、 前記駆動輪を制動する制動手段と、 前記駆動輪と前後反対側の車輪を制動する補助制動手段
    と、 前記駆動輪のスリップ検出値を得るためのスリップ検出
    手段と、 前記制動用の操作手段の操作に基づいて前記制動手段を
    制御して前記駆動輪を制動するとともに、前記駆動輪の
    スリップを抑えるように前記スリップ検出手段の検出値
    を基に前記駆動輪の制動力を低減させるスリップ抑制制
    御を前記制動手段に対して行う制動制御手段と、 前記制動制御手段が前記スリップ抑制制御を行うとき
    は、前記補助制動手段を作動させて前記駆動輪と前後反
    対側の車輪に補助制動力を付与する補助制動制御手段と
    を備えた産業車両の制動制御装置。
  2. 【請求項2】 前記補助制動手段は、摩擦制動式の補助
    ブレーキ装置である請求項1に記載の産業車両の制動制
    御装置。
  3. 【請求項3】 所定作業を行うための作業装置と、制動
    用の操作手段の操作に基づき電気制御により制動される
    駆動輪とを備え、前記作業装置の作業状態に応じて前記
    駆動輪の輪重が影響を受け、該駆動輪の輪重が小さく変
    化するときに該駆動輪と前後反対側の車輪の輪重が大き
    く変化する産業車両において、 制動用の操作手段の操作に基づいて前記駆動輪を駆動す
    る電動モータを電気制動制御する制動制御手段と、 前記駆動輪のスリップ検出値を得るためのスリップ検出
    手段と、 前記駆動輪と前後反対側の車輪を制動する摩擦制動式の
    補助ブレーキ装置と、 前記駆動輪の電気制動中に前記スリップ検出手段の検出
    値を基に前記電動モータに対して前記駆動輪のスリップ
    を抑えるトラクション制御を行うトラクション制御手段
    と、 前記トラクション制御が行われるときは、前記補助ブレ
    ーキ装置を作動させて前記駆動輪と前後反対側の車輪に
    補助制動力を付与する補助制動制御手段とを備えた産業
    車両の制動制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3に記載の産業車両の制動
    制御装置において、 産業車両の減速度を検出する減速度検出手段を備え、 前記補助制動制御手段は、前記減速度検出手段により検
    出された実減速度が予め設定された適正範囲内に収まる
    ように前記補助ブレーキ装置を制御する産業車両の制動
    制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の産業車両の制動制御装
    置において、 前記補助ブレーキ装置の補助ブレーキ力が複数設定され
    るとともに、前記各補助ブレーキ力毎に減速度適正範囲
    が設定されており、前記補助制動制御手段は、前記実減
    速度が減速度適正範囲を満たす補助ブレーキ力を選択す
    るように補助ブレーキ装置を制御する産業車両の制動制
    御装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の産業車両の制動制御装
    置において、 前記各補助ブレーキ力毎に設定された減速度適正範囲
    は、補助ブレーキ力の値が大きいほど減速度適正範囲が
    小さな値をとるように設定されている産業車両の制動制
    御装置。
  7. 【請求項7】 請求項4〜6のいずれか一項に記載の産
    業車両の制動制御装置において、 前記補助ブレーキ装置が作動されてから減速度が安定し
    たとみられる所定待機時間経過後に前記減速度検出手段
    は減速度を検出する産業車両の制動制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項2〜7のいずれか一項に記載の産
    業車両の制動制御装置において、 産業車両の車速を検出する車速検出手段を備え、 前記補助制動制御手段は、前記制動用の操作手段が操作
    された時に前記車速検出手段により検出された初速が低
    車速域にあるときは、前記補助ブレーキ装置の作動を禁
    止する産業車両の制動制御装置。
  9. 【請求項9】 請求項2〜8のいずれか一項に記載の産
    業車両の制動制御装置において、 産業車両の車速を検出する車速検出手段を備え、 前記電気制動中に作動が開始された前記補助ブレーキ装
    置の作動を停止させる停止条件は、前記車速検出手段に
    より検出された車速が車両停止直前の停止車速に達した
    ときである産業車両の制動制御装置。
  10. 【請求項10】 請求項2〜9のいずれか一項に記載の
    産業車両の制動制御装置において、 前記制動用の操作手段は、前後進の切換操作をするため
    のアクセル操作手段であって、 前記アクセル操作手段の操作が進行方向と同じ力行と、
    進行方向と逆向きの回生とのどちらであるかを判別する
    操作判別手段を備え、 前記制動制御手段は、前記操作判別手段により前記アク
    セル操作手段の操作がスイッチバック操作時の回生と判
    別されると前記電動モータを電気制動制御として回生制
    動制御し、当該回生制動中に作動が開始された前記補助
    ブレーキ装置の作動を停止させる停止条件は、前記操作
    判別手段により前記アクセル操作手段の操作が回生以外
    と判別されたときである産業車両の制動制御装置。
JP2000207901A 2000-07-10 2000-07-10 産業車両の制動制御装置 Expired - Lifetime JP3460682B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000207901A JP3460682B2 (ja) 2000-07-10 2000-07-10 産業車両の制動制御装置
DE10133228A DE10133228A1 (de) 2000-07-10 2001-07-09 Antriebssteuervorrichtung für elektrische Betriebsfahrzeuge
AU54294/01A AU760385B2 (en) 2000-07-10 2001-07-10 Driving control apparatus for electric industrial vehicle

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000207901A JP3460682B2 (ja) 2000-07-10 2000-07-10 産業車両の制動制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002019602A JP2002019602A (ja) 2002-01-23
JP3460682B2 true JP3460682B2 (ja) 2003-10-27

Family

ID=18704586

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000207901A Expired - Lifetime JP3460682B2 (ja) 2000-07-10 2000-07-10 産業車両の制動制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3460682B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4396937B2 (ja) * 2005-03-16 2010-01-13 本田技研工業株式会社 ハイブリッド車両のトラクション制御装置
JP2008201391A (ja) * 2007-02-23 2008-09-04 Tcm Corp 電気駆動式荷役車両の前後進切替装置
JP4681016B2 (ja) * 2008-03-10 2011-05-11 株式会社豊田中央研究所 倒立振子型車輪移動体
JP2010183687A (ja) * 2009-02-04 2010-08-19 Hitachi Constr Mach Co Ltd 電動機駆動トラックの運転支援装置および方法
CN115217176B (zh) * 2022-07-06 2023-06-13 三一重机有限公司 电磁制动器的控制方法、装置及电动作业机械

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002019602A (ja) 2002-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1950171B1 (en) Travel control apparatus for industrial vehicle
JP2003252592A (ja) フォークリフトの制御装置及び制御方法
JP6169256B2 (ja) 車両のトラクション制御装置
JP3536785B2 (ja) 産業車両の走行制御装置
JP3460682B2 (ja) 産業車両の制動制御装置
JP3780827B2 (ja) 産業車両の走行制御装置
JP3659154B2 (ja) 産業車両の油圧制御装置
JP3876605B2 (ja) 産業車両におけるブレーキ制御装置
JP3596439B2 (ja) 産業車両の走行制御装置
JP3714114B2 (ja) 産業車両における制動用油圧制御装置
JP2630176B2 (ja) リーチ式フォークリフトの発進時における荷役制御装置
JP2544694B2 (ja) 大型ダンプトラックの4輪走行装置
JP3777954B2 (ja) 産業車両の駆動制御装置
CN116940479A (zh) 自卸卡车
JP3460681B2 (ja) 産業車両におけるブレーキ制御装置
JP3826259B2 (ja) 産業車両のブレーキ制御装置
JP3736307B2 (ja) 産業車両のブレーキ制御装置
JP2002019598A (ja) 産業車両のブレーキ制御装置
JP4669759B2 (ja) アンチロックブレーキシステム制御装置
JP3826262B2 (ja) 産業車両のブレーキ制御装置
JP4056297B2 (ja) 電動搬送車の走行動力制御装置
JP3539346B2 (ja) リーチ式フォークリフト
AU760385B2 (en) Driving control apparatus for electric industrial vehicle
JP2008043141A (ja) スリップ検出手段を備えた産業車両及びスリップ検出方法
JP2002027609A (ja) 産業車両の走行制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 3460682

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120815

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130815

Year of fee payment: 10

EXPY Cancellation because of completion of term