JP3714114B2 - 産業車両における制動用油圧制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォークリフトなどの産業車両において使用され、制動距離を短縮するのに有効なブレーキシステムの油圧制御に使用される産業車両における制動用油圧制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車では、アンチロックブレーキシステム(ABS)制御が採用されている。例えばABS制御では、ブレーキペダル操作時に駆動輪のロックを検出すると、ブレーキ油圧を抜いてブレーキ操作力に相当する値よりブレーキ力を弱める制御をしている。従来、フォークリフトなどの産業車両では、ABS制御などは採用されていなかった。しかし、安定な荷役走行を実現するうえで、ABS制御などの自動ブレーキ圧調整制御を採用することが望ましい。
【0003】
例えば特開平9−20229号公報には、ABS制御に対応できる自動車用のブレーキシステム(油圧回路)として図10に示すものが開示されている。このブレーキシステムは、ブレーキペダルの操作に応じてブレーキ油圧を制御するものである。
【0004】
このブレーキシステムは、ブレーキペダル101の操作力に応じた油圧を発生するマスタシリンダ102、ブレーキ装置103を作動させるホイールシリンダ104、可変容量ポンプ105、ポンプ駆動用の電動モータ106、アキュムレータ107、逆止弁108、一定流量化弁109、電磁可変絞り(リニアソレノイド)110、2つの電磁開閉弁111,112などを備える。
【0005】
可変容量ポンプ105は、ホイールシリンダ104にブレーキ油圧を発生させる高圧源として機能する。可変容量ポンプ105が適正な吐出圧を発生している正常時は、電磁開閉弁111が遮断状態となり、電磁開閉弁112が導通状態となる。アキュムレータ107には逆止弁108の開弁圧に等しい油圧が蓄圧される。
【0006】
ブレーキペダル101の踏込みがスイッチ113により検知されると、可変容量ポンプ105の容量が増大され、吐出圧が逆止弁108の開弁圧に達すると一定流量化弁109を通って一定流量の作動油がホイールシリンダ104側へ供給される。ECU(電子制御ユニット)114は、マスタシリンダ102の油圧とホイールシリンダ104の油圧を2つの圧力センサ115,116からの検出値に基づいて把握する。そして、各検出油圧値を比較して、ホイールシリンダ104とリザーバタンク117間に位置する電磁可変絞り110を、ホイールシリンダ圧がマスタシリンダ圧と予め記憶した増幅比との乗算値となるように電流値制御する。例えばタイヤスリップを検出した場合は、電磁可変絞り110をブレーキ圧を弱めるように電流値制御する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
例えばフォークリフトなどの産業車両では、積荷の有無などの荷役状態によって駆動輪の輪重(輪圧)が変化する。すなわち、フォークに荷を積載した積荷状態では、車両の重心が前方へ移るため後輪の輪重が相対的に小さくなり、空荷状態ではこれとは逆に後輪の輪重が相対的に大きくなる。特にリーチ型フォークリフトでは、ブレーキ操作時にブレーキのかかる駆動輪が後輪で積荷時にその輪重が小さくなるうえ、マスト装置がリーチアウトして前方に荷が位置するときには後輪の輪重が一層小さくなる。このため、リーチ型フォークリフトなどでは、特に積荷状態で例えば水濡れ路面や冷凍倉庫内の凍結路面でブレーキ操作した際、駆動輪(後輪)のスリップが比較的起き易かった。
【0008】
これを防ぐため、上記のブレーキシステムを装備してABS制御を採用すると、タイヤロック検出時にブレーキ油圧を抜く制御をすることによりロックしない範囲で最大の制動力を得ることはできる。しかし、水濡れ路面や凍結路面でブレーキ操作して駆動輪がスリップした際は、路面とタイヤの摩擦係数がかなり小さく、駆動輪に加わる制動力がABS制御によってかなり低く抑えられるため、乾燥路面でのブレーキ操作時に比べ、車両の制動距離が長く伸びてしまうという問題があった。特に積荷時は車両総重量が重い分、制動時の慣性力も大きく制動距離が長くなる傾向にあるうえ、タイヤの輪重も小さいため、水濡れ路面や凍結路面でブレーキ操作したときの制動距離の伸びが比較的長くなる傾向にあった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、制動操作したときに制動輪のスリップなど制動距離が長くなる要因があったときでも、制動操作に独立した自動ブレーキ制御によって車両の制動距離を効果的に短縮することができ、しかも自動ブレーキ制御のための油圧制御に適した産業車両における制動用油圧制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、駆動輪である前輪または後輪を制動する主制動手段を作動させるための操作手段が制動操作された際、駆動輪の制動を補助する必要があると判定されたときに前記駆動輪と前後反対側の車輪に補助的な制動力を付与する油圧式の補助制動手段を作動させる制動用油圧制御装置であって、油圧ポンプから圧油が入力される入力ポートと、前記補助制動手段を作動させるための圧油を出力する出力ポートと、前記補助制動手段の制動力として予め設定された値に応じた油圧を出力ポートから出力する油圧制御をする電磁式弁手段を有する油圧回路とを備え、前記油圧回路には、前記補助制動手段に出力する油圧を検出する圧力センサが備えられ、前記電磁式弁手段は、前記出力ポートの上流と下流に設けられた一対の電磁開閉弁を備え、該一対の電磁開閉弁は、油圧源からの圧油を前記出力ポート側に供給する供給用電磁開閉弁と、前記出力ポート側に供給された圧油を排出する排出用電磁開閉弁とからなり、前記補助制動手段の作動時には、前記圧力センサの検出値に基づいて予め設定された油圧を前記出力ポートから出力するように開閉制御されることを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、操作手段が制動操作された際、駆動輪の制動を補助する必要があると判定されると、油圧回路内の電磁式弁手段が制御され、補助制動手段の制動力として予め設定された値に応じた油圧が出力ポートから出力される。この結果、油圧式の補助制動手段が作動され、主制動がかけられた駆動輪と前後反対側の車輪に補助的な制動力が付与される。例えば駆動輪がスリップしたことによる車両のスリップ時の制動距離が短縮される。また、一対の電磁開閉弁と圧力センサとを使って圧力制御をする構成なので、電磁比例式圧力調整弁(リニアソレノイド弁など)のように複雑・高価な電磁弁を使用せず、比較的簡単な構成で実現可能である。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記主制動手段による制動が付与される前記駆動輪は、前輪と後輪のうち車両に装備された荷役装置の積載荷重が大きいほど輪重が小さくなる側の車輪であり、前記補助制動手段による補助的な制動が付与される車輪は、前記荷役装置の積載荷重が大きいほど輪重が大きくなる側の車輪であることを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、荷役装置の積載荷重が大きいときは、車両総重量が重く慣性によって制動距離が長くなる傾向にあり、しかも主制動のかかる駆動輪の輪重が小さくスリップし易いことからも制動距離が長くなり易い。しかし、補助制動は積荷によって輪重が大きくなる(増える)側の車輪に加えられるので、積荷時のような制動距離が長くなり易い場合にも有効に制動距離を短縮することが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、産業車両は、車両に設けられた荷役装置を作動させるための圧油を供給する荷役用ポンプと、該荷役用ポンプを駆動する電動モータとを備え、前記油圧回路の前記入力ポートには前記荷役用ポンプからの作動油が供給されることを要旨とする。
【0018】
この構成によれば、荷役装置のための荷役ポンプや電動モータを、油圧式の補助制動手段を作動するための油圧供給源として流用するので、補助制動用専用にポンプやモータを設ける必要がなく、産業車両の大型化を招き難い。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、産業車両は、駆動輪である後輪が前記主制動手段により制動されると共に、前記補助制動手段により前輪に補助的な制動力が付与されるリーチ型フォークリフトであることを要旨とする。
【0020】
この構成によれば、補助制動手段および制動用油圧制御装置を備えたリーチ型フォークリフトにおいて、後輪の主制動を補助する必要があると判定されたときに前輪に補助的な制動力が付与され、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明と同様の作用が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0022】
図5,6に示すように、産業車両としてのリーチ型フォークリフトトラック10(以下、フォークリフトという)は、前二輪・後一輪の3輪車タイプである。車体(機台)11の前部には左右一対のリーチレグ12が前方へ延出している。左右の前輪(従動輪)13は、左右のリーチレグ12を構成する各リーチレール12aの先端部にそれぞれ回転可能に支持されている。図6に示す後輪は操舵輪を兼ねた駆動輪14となっている。駆動輪14は車幅方向左寄りにオフセットされて位置し、その右隣に所定距離離れた位置に図示しない補助輪(キャスタ)が設けられている。
【0023】
車体11の後部右側部分には立席タイプの運転席(運転室)15(図5に示す)が設けられている。図6に示すように運転席15の前側にあるインストルメントパネル11Aには荷役レバー16およびアクセルレバー17が設けられ、運転席15の左隣に立設する収容ボックス11Bの上面にはハンドル(ステアリングホイール)18が設けられている。
【0024】
車体11の前側に装備された荷役装置としてのマスト装置19は、左右一対のリーチレグ12に沿って前後方向に移動可能に設けられている。マスト装置19は車体11に配設されたリーチシリンダ(油圧シリンダ)20のピストンロッド20aと連結されており、荷役レバー16のうちリーチレバーを操作することでオイルコントロールバルブ21から作動油が給排されてリーチシリンダ20が伸縮駆動することにより、マスト装置19は所定ストローク範囲内を前後に移動する。
【0025】
また、マスト装置19はフォーク22とリフトシリンダ23を備え、荷役レバー16のうちリフトレバーを操作することでオイルコントロールバルブ21から作動油が給排されてリフトシリンダ23が伸縮駆動することにより、フォーク22が昇降するようになっている。
【0026】
フォークリフト10はバッテリ車であって、車体11の前部にはバッテリ24が収納されている。駆動輪14を駆動するドライブモータ25はバッテリ24を電源として駆動され、アクセルレバー17の操作に基づき制御ユニット26により駆動制御される。制御ユニット26にはドライブモータ25に回生制動を付与するための回生制動回路が内蔵されており、アクセルレバー17を進行方向と反対側に倒すスイッチバック操作をしたときにドライブモータ25に回生ブレーキが働くようになっている。なお、回生ブレーキを発生させる制御ユニット26及びドライブモータ25により主制動手段が構成され、この場合、回生ブレーキをかけるための制動操作となるスイッチバック操作をするためのアクセルレバー17が操作手段となる。
【0027】
図5に示すように、収容ボックス11B内には電動モータとしての荷役用モータ27が配設され、荷役用モータ27により油圧ポンプとしての荷役用ポンプ28が駆動される。荷役用ポンプ28は、車体前部右側に配設されたオイルタンク29とオイルコントロールバルブ21(以下、コントロールバルブ)とを接続するホース30上に介在し、ホース30を通じてオイルタンク29から汲み上げた作動油をコントロールバルブ21に吐出する。
【0028】
制動用油圧制御装置としてのブレーキ・コントロール・バルブユニット(以下、ブレーキバルブユニット)31は、バッテリ24の下方に配置され、コントロールバルブ21とオイルタンク29に接続されている。左右の前輪13には油圧式の補助制動手段としての補助ブレーキ装置(ドラムブレーキ装置)32が装備されており、ブレーキバルブユニット31は2本のホース33,34を通じて左右の補助ブレーキ装置32と接続されている。また運転席15の床面にはデッドマンタイプのブレーキペダル35が設けられ、ブレーキペダル35の踏込みが解除された状態で後輪14にブレーキがかかり、パーキングブレーキも兼ねている。
【0029】
図4に示すようにドライブモータ25は、リアサスペンション機構を構成するリンク部材40の上面に組付けられており、リンク部材40の下面に相対回動可能に設けられたギヤボックス42の下部に後輪(駆動輪)14は回転可能に支持されている。ギヤボックス42の上端部に形成されたステアリングギヤ41はハンドル18と作動連結されており、後輪14はハンドル18の操作に応じて操舵される。
【0030】
ドライブモータ25の上部にはディスク43をブレーキパッド44aで挟圧することによりドライブモータ25に制動を加える主制動手段としての主ブレーキ装置(ディスクブレーキ装置)44が組付けられている。主ブレーキ装置44はリンク機構45を介して操作手段としてのブレーキペダル35と機械的に連結されている。またドライブモータ25の上面には2つの回転数センサ46,47が90度位相のずれた位置に併設されており、各回転数センサ46,47はディスク43の基部外周面上の被検出部(図示せず)を検出して位相の90度ずれたパルス信号をそれぞれ出力する。制御ユニット26は2つの回転数センサ46,47から入力した両パルス信号の比較から回転方向を検出し、一方のパルス信号の単位時間当たりのパルス計数値から回転速度を検出する。また、ステアリングギヤ41の近傍には操舵角センサ48が設けられ、操舵角センサ48はステアリングギヤ41の回転位置を検出して後輪14の操舵角(タイヤ角)に応じた電圧値の信号を出力する。制御ユニット26は操舵角センサ48からの入力信号の電圧値から後輪14の操舵角を把握する。またブレーキペダル35の下方にはブレーキペダル35が踏込まれていないブレーキ作動位置にあることを検知するブレーキスイッチ49が設けられている。
【0031】
図3は前輪13の断面を示す。前輪13は、リーチレール12aに固着された車軸50に対しベアリング51を介して回転可能に支持されたホイール52と、ホイール52の外周面上にベースバンド53aによって嵌められたタイヤ53とからなる。補助ブレーキ装置32は車軸50に組付けられた状態でホイール52の内周部分に配置されている。ホイール52の内側側面には凸状の被検出部52aが周方向に一定ピッチで多数形成されている。
【0032】
リーチレール12aの下面には回転数センサ54がガード材55に覆われた状態で配設されている。回転数センサ54はリーチレール12aの下面に固定されたガード材55の底部から上方へ延出するブラケット55aに取付支持されており、被検出部52aと対向する姿勢で位置決めされている。本実施形態では被検出部52aは鉄系金属からなり、回転数センサ54はホール素子タイプの磁気センサで、被検出部52aを検出する度に1パルスを出力する。制御ユニット26は、回転数センサ54からの単位時間当たりの入力パルス数を計数して前輪13の回転速度を算出する。
【0033】
図1はフォークリフト10の油圧系回路及び電気系回路を示す。リフトレバー16A、リーチレバー16Bおよびティルトレバー(図示省略)はコントロールバルブ21と機械的に連結されており、3つの各レバー16A,16Bが操作されたことは3つの荷役操作検知用スイッチ61,62(同図では1つ省略)により検知される。3つのスイッチ61,62のうちいずれか一つが検知状態となると、制御ユニット26により荷役用モータ27が駆動され、荷役用ポンプ28によりオイルタンク29から汲み上げられた作動油が管路(ホース)30を通じてコントロールバルブ21に吐出され、レバー16A,16Bの操作に応じてリフトシリンダ23、リーチシリンダ20、ティルトシリンダ(図示省略)が駆動される。
【0034】
ブレーキバルブユニット31は、入力ポートとしてのポンプポートP、タンクポートT、出力ポートとしての2つのブレーキポートB1,B2の計4ポートを備える。ブレーキバルブユニット31のポンプポートPには管路30の途中から分岐した供給管路63が接続されており、荷役用ポンプ28からの圧油が供給管路63を通じてポンプポートPに入力される。タンクポートTに接続された排出管路64はオイルタンク29に接続されている。また2つのブレーキポートB1,B2は2本の管路(ホース)33,34を通じて左右の補助ブレーキ装置32,32の各ホイールシリンダ67,67にそれぞれ接続されている。また管路30上には供給管路63の分岐箇所より下流側(コントロールバルブ21側)に絞り弁68が設けられており、荷役用ポンプ28の駆動時には絞り弁68の存在によってその上流側に位置する供給管路63に所定の油圧が発生するようになっている。
【0035】
ブレーキバルブユニット31は、アキュムレータ69、減圧弁70、逆止弁71、圧力スイッチ72、2つの電磁開閉弁(オンオフ弁)73,74および圧力センサ75を備えている。ポンプポートPとタンクポートTを接続する油路76上には、減圧弁70、逆止弁71および2つの電磁開閉弁73,74が直列に設けられている。ブレーキバルブユニット31の油圧回路は、アキュムレータ69、減圧弁70、逆止弁71、圧力スイッチ72等からなる蓄圧機能部と、2つの電磁開閉弁73,74および圧力センサ75等からなる油圧制御部とからなる。
【0036】
蓄圧機能部は、アキュムレータ69を補助ブレーキ装置32の油圧源として使用するため、ポンプポートPから供給される作動油をアキュムレータ69に蓄圧するための油圧回路部である。アキュムレータ69は油路77を通じて油路76と接続されている。減圧弁70はポンプポートPから入力する圧油を所定圧に減圧する。逆止弁71はアキュムレータ69の蓄圧値(油圧)が設定圧に達するまで開弁するようにその開弁圧が設定されている。圧力スイッチ72はアキュムレータ69の蓄圧値が下限値に達したことを検知するもので、その検知信号は制御ユニット26に出力される。制御ユニット26は、圧力スイッチ72から検知信号を入力したときは、荷役操作検知用スイッチ61,62からの検知信号入力時と同様に、荷役用モータ27を駆動させるようになっている。
【0037】
次に油圧制御部について説明する。油路76は2つの電磁開閉弁73,74の間で、油路78を通じてブレーキポートB1,B2と接続されると共に、油路79を通じて圧力センサ75と接続されており、ホイールシリンダ67,67の油圧が圧力センサ75によって検出されるようになっている。2つの電磁開閉弁73,74は、各々のソレノイド73A,74Aを励消磁制御する制御ユニット26により開閉制御される。電磁開閉弁73はソレノイド73Aの消磁時に閉弁し、励磁時に開弁する。一方、電磁開閉弁74はソレノイド74Aの消磁時に開弁し、励磁時に閉弁する。補助ブレーキ装置32の作動が必要でないときは両ソレノイド73A,74Aが共に消磁され、ブレーキポートB1,B2にアキュムレータ69の油圧が印加されないように電磁開閉弁73が閉弁すると共に、電磁開閉弁74が開弁してブレーキポートB1,B2がタンクポートTと連通する。
【0038】
制御ユニット26にはメモリ26Aが備えられ、メモリ26Aには前輪ブレーキが必要であるか否かを判定する判定プログラムおよびホイールシリンダ67の制動時の設定油圧のデータ等が記憶されている。制御ユニット26は、アクセルセンサ80の検出値を基にアクセルレバー17のスイッチバック操作を検出した時、またはブレーキスイッチ49の検知信号を基にブレーキペダル35の踏込解除操作(つまり制動操作)を検知した時に、判定プログラムを実行する。そして判定プログラムに基づき後輪14のスリップがしきい値を超えたことを検出すると、補助ブレーキ装置32を作動させる。つまり、供給用の電磁開閉弁73を開弁すると共に排出用の電磁開閉弁74を閉弁し、ブレーキポートB1,B2の出力油圧を立ち上げる。このままだとアキュムレータ69の蓄圧値と均衡する強さの過剰の制動力が前輪13にかかるため、排出用の電磁開閉弁74を開弁して適宜油を抜くことにより、圧力センサ75の検出油圧が設定油圧となるように両電磁開閉弁73,74を開閉制御する。補助ブレーキ装置32の制動力は、ホイールシリンダ67に導入される油圧に応じて決まる。
【0039】
本実施形態では設定油圧のデータが一定値であり、制動操作時に後輪14がしきい値を超えるスリップをしたときに、フォークリフト10の制動距離があまり長くならず、しかも急制動による荷崩れを招かないような補助制動力となるように設定油圧の値は設定されている。なお、後輪14のスリップ量に応じて補助ブレーキ装置32の制動力を可変(後輪のスリップ量が多いほど前輪の制動力を強く)させる設定とすることもできる。
【0040】
後輪14のスリップ検出には、従動輪である前輪13と駆動輪である後輪14との各回転を比較する方法を採用している。すなわち、前輪13の回転速度(角速度)に前輪タイヤ径(半径)を乗じて算出した前輪車速VF と、後輪14の回転速度(角速度)に後輪タイヤ径(半径)を乗じて算出した後輪車速Vr とを比較して後輪14のスリップを求める。但し、車体旋回時における前輪13と後輪14の各旋回半径が異なることを考慮し、前輪車速VF に補正係数(K(θ):操舵角θの関数)を乗じて、前輪車速VF を後輪位置相当の車速(=Vf ・K(θ))に換算し、この換算車速Vfが後輪位置での車体速とみなせることから、この車体速Vfと後輪車速Vrとを比較してスリップを検出する。また、フォークリフト10は最大操舵角(最小旋回半径)付近で旋回内輪側の前輪13を中心とする旋回ができるようになっており、旋回内輪側の前輪13は車速「0」になることがあって不都合であるため、旋回外輪側の前輪13の回転速度を使用するようにしている。左右の前輪13のうち旋回外輪側がどちらであるかは操舵角センサ48の検出値から判断する。操舵角が0゜の直進時は左右どちらか一方の前輪車速を用いる。
【0041】
旋回外輪側の前輪13の回転速度から計算した前輪車速VF に、操舵角θに応じた補正係数K(θ)を乗じて算出した後輪位置相当の車体速Vf と、後輪車速Vr との速度差であるスリップ量(すべり速度)ΔV(=Vf −Vr )が、予め設定されたしきい値を超えたときに後輪14がスリップしていると判定する。なお、スリップ判定にはスリップ量ではなくスリップ率(=(Vf −Vr )/Vf )を採用することもできる。
【0042】
次にブレーキバルブユニット31の構成を説明する。
図2はブレーキバルブユニット31を示し、(a)は正面視、(b)は側面視、(c)は平面視である。ブレーキバルブユニット31は直方体形状のバルブ本体81を備える。バルブ本体81には、アキュムレータ69、減圧弁70、圧力スイッチ72、圧力センサ75および2つの電磁開閉弁73,74が組付けられている。またバルブ本体81にはポンプポートP、タンクポートT、2つのブレーキポートB1,B2の4ポートが取付けられている。なお、逆止弁71はバルブ本体81に内蔵されている。
【0043】
次にフォークリフト10の制動動作について説明する。
アキュムレータ69には下限値以上の油圧が蓄圧されている。フォークリフト10の運転中、制御ユニット26は所定時間間隔毎に所定の判定プログラムを実行する。
【0044】
フォークリフト10の走行中、アクセルレバー17をスイッチバック操作すると、ドライブモータ25に回生ブレーキがかかり後輪14に制動力が加えられる。またブレーキペダル35の踏込みを止めると、主ブレーキ装置44が作動されて後輪14に制動力が加えられる。例えば水濡れ路面や冷凍倉庫内の凍結路面で制動がかけられたとすると、後輪14がスリップする。特にフォークリフト10が積荷状態であるときは、後輪14の輪重が相対的に小さくなるため、後輪14と水濡れ路面や凍結路面との摩擦力がかなり小さくなる。
【0045】
制動操作の検知を契機に制御ユニット26は判定プログラムを実行し、後輪14のスリップがしきい値を超えると、制御ユニット26は補助ブレーキ装置32の作動を指令する。すなわち、両ソレノイド73A,74Aが励磁され、ブレーキバルブユニット31において電磁開閉弁73が開弁すると共に電磁開閉弁74が閉弁する。そして、圧力センサ75の検出値が設定油圧となるように2つの電磁開閉弁73,74が開閉制御され、各ブレーキポートB1,B2の出力油圧(つまりホイールシリンダ67の油圧)が設定油圧に調整される。この結果、後輪14がスリップすると、補助ブレーキ装置32,32が作動されて左右の前輪13,13に制動力が加えられ、車両の制動を補助する。この際、前輪13,13は積荷時は輪重が増えておりしかも補助的な比較的小さめな制動力が加わるだけなのでスリップすることはまずない。よって、水濡れ路面や凍結路面でブレーキ操作しても制動距離がさほど長くならないうえ、車幅中心からオフセットして位置する後輪14のスリップに起因し、車体11の後部が左右方向に流れる尻振り現象も起き難い。
【0046】
そして、フォークリフト10が停止または停止とみなせる低速になるか、制動操作が車両停止前に解除されたときは、補助ブレーキ装置32の作動が停止される。すなわち、制御ユニット26により2つのソレノイド73A,74Aが共に消磁され、電磁開閉弁73が閉弁すると共に電磁開閉弁74が開弁し、ホイールシリンダ67の圧油がオイルタンク29に排出され、補助ブレーキ装置32の作動が停止される。
【0047】
補助ブレーキ装置32の作動によってアキュムレータ69の油圧が低下し、その油圧が下限値を下回ったことが圧力スイッチ72により検知されると、荷役用モータ27が駆動され、アキュムレータ69に下限値に達するまでの圧油が補給される。またリフトレバー16Aやリーチレバー16Bが操作(リフト下降操作を除く)され、荷役作業のために荷役用モータ27が駆動される度に、供給管路63を通じてアキュムレータ69に圧油が補給され、アキュムレータ69には逆止弁71が閉弁して設定圧に達するまで圧油が蓄圧される。
【0048】
以上詳述したように本実施形態によれば、以下の各効果が得られる。
(1)アクセルレバー17のスイッチバック操作に伴うドライブモータ25の回生制動時や、ブレーキペダル35の踏込解除操作に伴う主ブレーキ装置44の作動時に、後輪14にしきい値を超えるスリップが発生すると、制御ユニット26により補助ブレーキ装置32が作動され、前輪13に制動力が加えられることでフォークリフト10の制動を補助する。このため、例えば水濡れ路面や凍結路面で制動操作がなされて後輪14がスリップしてもフォークリフト10の制動距離がさほど長くならないうえ、スリップ時に駆動輪14に加わる横方向力(サイドフォース)による横滑りによって車体後部が左右方向に流れる尻振り現象を小さく抑えることができる。
【0049】
(2)ブレーキバルブユニット31は圧力センサ75の検出油圧が設定油圧となるように2つの電磁開閉弁(オンオフ弁)73,74を開閉制御する圧力制御方式を採用する。このため、補助ブレーキ装置32のホイールシリンダ67への出力油圧を制御するブレーキバルブユニット31を、電磁式弁手段として2つの電磁開閉弁73,74を使用する比較的簡単な構成で実現できる。
【0050】
(3)フォークリフト10に既存装備された荷役用モータ27及び荷役用ポンプ28を補助ブレーキ装置32の油圧源として流用するので、専用ポンプや専用モータを増設する必要がない。このため、この種の専用部品の増設やその配設スペースの確保に伴うフォークリフト10の大型化を回避できる。さらに圧力スイッチ72のオン時に限らず、荷役作業のため荷役用モータ27が駆動される度にアキュムレータ69への作動油の蓄積が進むため、圧力スイッチ72をオンさせるアキュムレータ69の油圧下限値を低めに設定するなどすれば、アキュムレータ69への作動油の蓄積のみを目的とする荷役用モータ27の駆動頻度を少なくでき、バッテリ24の消費電力の節約に寄与できる。
【0051】
(4)荷役用ポンプ28が大型でその駆動時に多少の立ち上がり遅れがあるものの、ブレーキバルブユニット31の油圧源として予め蓄圧されているアキュムレータ69を利用するので、補助ブレーキ装置32の早い作動応答性を確保できる。
【0052】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について図7,図8に基づき説明する。この実施形態は、ブレーキバルブユニットの構造が前記第1の実施形態と異なる例である。第1の実施形態と共通の構成については同じ符号を付して説明を省略し、特に異なる点についてのみ説明する。
【0053】
図7はフォークリフト10の油圧系回路及び電気系回路を示す。同図においては、ブレーキバルブユニット31の構成のみが前記第1の実施形態と異なるので、ブレーキバルブユニット31の油圧回路構成についてのみ説明する。
【0054】
ブレーキバルブユニット31は、入力ポートとしてのポンプポートP、タンクポートT、出力ポートとしての2つのブレーキポートB1,B2の計4ポートを備える。ポンプポートPには荷役用ポンプ28からの圧油が供給管路63を通じて入力される。タンクポートTから排出される作動油は排出管路64を通じてオイルタンク29に排出される。また2つのブレーキポートB1,B2は2本の管路(ホース)33,34を通じて左右の補助ブレーキ装置32,32の各ホイールシリンダ67,67にそれぞれ接続されている。
【0055】
ブレーキバルブユニット31は、アキュムレータ69、減圧弁70、逆止弁71、圧力スイッチ72、シャットオフ弁(電磁開閉弁)82、電磁比例式圧力調整弁としてのリニアソレノイド弁83を備えている。
【0056】
ブレーキバルブユニット31の油圧回路は、アキュムレータ69、減圧弁70、逆止弁71、圧力スイッチ72等からなる蓄圧機能部と、シャットオフ弁82およびリニアソレノイド弁83等からなる油圧制御部とからなる。蓄圧機能部は、前記第1の実施形態と同じ油圧回路構成である。
【0057】
減圧弁70、逆止弁71、シャットオフ弁82およびリニアソレノイド弁83が直列に設けられた油路76は、ポンプポートPとブレーキポートB1,B2とを接続している。
【0058】
シャットオフ弁82はそのソレノイド82Aが制御ユニット26により励消磁制御されることで開閉制御され、ソレノイド82Aの消磁時にバネの付勢力により閉弁し、ソレノイド82Aの励磁時に開弁する。リニアソレノイド弁83は、制御ユニット26により電流値制御(例えばデューティ制御)されることにより、ソレノイド83Aを流れる電流値に応じて開度制御され、シャットオフ弁82が開弁して導入される油圧が油路76を通じてその入力ポートに印加された状態において、ソレノイド83Aを流れる電流値に比例する油圧を出力ポートから出力する。リニアソレノイド弁83の出力ポートは2つのブレーキポートB1,B2と接続され、その排出ポートは管路78を通じてタンクポートTと接続されている。
【0059】
制御ユニット26のメモリ26Aには前記第1の実施形態と同様の判定プログラムおよび補助ブレーキ作動指令時にリニアソレノイド弁83に出力すべき電流指令値のデータが記憶されている。予め決まった設定値の電流をソレノイド83Aに流せばその電流値から一義的に決まる油圧がブレーキポートB1,B2を通じてホイールシリンダ67,67に出力され、補助ブレーキ装置32,32が所定の制動力で作動する。なお、シャットオフ弁82は、リニアソレノイド弁83に油圧が印加されたままであると起きる油漏れを防いでこの油漏れによるアキュムレータ69の油圧低下を防ぐ役目をしている。特にリニアソレノイド弁83の油漏れが十分小さければ、シャットオフ弁82を廃止することもできる。
【0060】
判定プログラムの内容は前記第1の実施形態と同様で、制御ユニット26は、アクセルレバー17のスイッチバック操作時またはブレーキペダル35の踏込解除操作時に判定プログラムを実行する。そして後輪14のスリップがしきい値を超えたことを検出すると、シャットオフ弁82を開弁させると同時にリニアソレノイド弁83に設定値の電流を出力し、補助ブレーキ装置32を予め設定された制動力で作動させる。
【0061】
次にブレーキバルブユニット31の構成を説明する。
図8はブレーキバルブユニット31を示し、(a)は正面視、(b)は側面視、(c)は底面視である。ブレーキバルブユニット31は直方体形状のバルブ本体84を有し、バルブ本体84にはポンプポートP、タンクポートT、2つのブレーキポートB1,B2が取付けられている。またバルブ本体84には、アキュムレータ69、減圧弁70、圧力スイッチ72、シャットオフ弁82、リニアソレノイド弁83が組付けられている。前記第1の実施形態に比べ圧力センサ75が無い分、組付け部品点数が少なく、バルブ本体84の体格が小さくなっている。
【0062】
以上詳述したように本実施形態によれば、前記第1の実施形態と同様の効果(1),(3),(4)が得られる他、以下の効果が得られる。
(5)リニアソレノイド弁83を使用したことにより出力油圧は電流値に一義的に決まるので、前記第1の実施形態で使用した圧力センサ75がなくてもブレーキポートB1,B2から所望する値の油圧を確実に取り出せる。よって、前記圧力センサ75を廃止でき、ブレーキバルブユニット31を前記第1の実施形態の構成に比べ小型にすることができる。
【0063】
尚、実施の形態は上記実施の形態に限らず、以下のように変更してもよい。
○ リーチ型フォークリフト10においてブレーキバルブユニット31の配置位置は適宜変更することができる。図9に示すように、例えばリアサスペンション機構の構造を工夫して運転席15の下方にスペースを確保し、運転席15の下方における同図の位置にブレーキバルブユニット31を配置する。この構成によれば、ブレーキバルブユニット31から補助ブレーキ装置32に延びる管路(ホース)33,34を、図5のようにリーチレール12aを迂回する屈曲経路を避け、管路33,34を屈曲の少ないスムーズな経路に配管できる。
【0064】
○ 補助制動手段としての補助ブレーキ装置32は、アクセルレバー17のスイッチバック操作や、ブレーキペダル35の踏込解除操作などの制動操作がなされたときに常に作動されてもよい。例えば制動操作時に、主ブレーキがかかる後輪にしきい値を超えるスリップが検出されたときには、補助ブレーキ装置32の制動力を通常時(後輪の非スリップ時)の制動力より補助の分だけ強くする。この構成によっても、車両の制動距離を短くすることができる。
【0065】
○ 補助ブレーキ装置を作動させる条件は後輪(駆動輪)14のスリップ時に限定されない。制動距離が長くなるその他の条件(例えば高車速時など)が成立した時に制動距離が長くなることを抑えるため、あるいは積極的に制動距離を短くするために、補助ブレーキ装置を作動させることもできる。
【0066】
例えば制動時の減速度が予め設定された設定値より小さければ補助ブレーキ装置を作動させたり、高速走行時のブレーキ操作時に補助ブレーキ装置を作動させる構成でもよい。その他の目的で補助ブレーキ装置を作動させてもよい。要するに主ブレーキ装置を補助する目的、さらには自動制御によって補助的にブレーキが必要な場合に広く補助ブレーキ装置を使用できる。
【0067】
○ ポンプは荷役用ポンプに限定されない。例えば制動用の専用ポンプを設け、この専用ポンプからブレーキバルブユニットに圧油を供給する構成でもよい。○ 前輪が従動輪であることに限定されない。例えば前輪が駆動輪である3輪駆動(3WD)タイプのリーチ型フォークリフトに適用してもよい。例えば後輪のスリップは後輪の減速度をみてその減速度が通常の制動ではあり得ない値となったときにスリップと判定し、補助ブレーキ装置を作動させる。3WDタイプのフォークリフトに適用しても、制動距離が長くなることをなるべく抑えることができる。
【0068】
○ 前輪に主ブレーキ装置による主制動がかかり、後輪に補助ブレーキ装置による補助ブレーキがかかる構成でもよい。例えばフォークリフトの場合、空荷のときには前輪の輪重が相対的に小さくなり前輪がスリップし易いが、前輪がスリップしたときに後輪に補助ブレーキがかかる、あるいは通常の制動力より強くなることにより、制動距離が長くなることを回避できる。
【0069】
○ 補助ブレーキ装置はドラムブレーキ装置に限定されない。例えば油圧式のディスクブレーキ装置を採用することもできる。
○ 制動用油圧制御装置は各種弁などの複数の構成部品を一体にユニット化したブレーキバルブユニット31としたが、減圧弁70や電磁弁73,74,82,83などが個別に配管で接続された構成でもよい。
【0070】
○ 絞り弁68はコントロールバルブ21に内蔵されてもよい。
○ 後輪14は車幅中心からオフセットして位置することに限定されない。例えば後輪(駆動輪)が車幅中央に1個、あるいは後輪(駆動輪)が左右に2輪ある構成でもよい。
【0071】
○ 産業車両はリーチ型フォークリフトに限定されない。後輪が駆動輪で主ブレーキがかけられる構成で、マスト装置のリーチ機構を備えないフォークリフトでもよく、このようなフォークリフトの前輪に補助ブレーキ装置を備える構成でもよい。例えばオーダーピッカー型フォークリフトに適用できる。また無人フォークリフトに適用することもできる。
【0072】
○ エンジン車の産業車両に適用してもよい。エンジン車であっても、主ブレーキ側の車輪と前後反対側の車輪に補助ブレーキをかけることにより従来技術に比べ制動距離を短縮することはできる。またエンジン車の場合は車両運転中は荷役ポンプがエンジンの動力によって常時駆動されているので、アキュムレータを廃止しても、補助ブレーキ装置の早い作動応答性を得ることができる。
【0073】
前記各実施形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
前記油圧回路は前記油圧ポンプから入力した圧油を蓄圧する蓄圧器を備えている。この構成によれば、蓄圧器が油圧源となってその蓄圧された圧油が電磁式弁手段を通じて所定の油圧に調整されて直ちに出力されるので、例えば産業車両がバッテリ車で荷役ポンプが電動モータにより必要時のみ駆動される構成であっても、補助制動手段の早い作動応答性を得ることができる。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、主制動のかかる車輪の制動を補助する必要があるときはこの車輪と前後反対側の車輪に補助的な制動力を付与する自動ブレーキ制御によって車両の制動距離を効果的に短縮でき、しかも油圧回路の電磁式弁手段により補助制動手段への出力油圧を必要な補助制動力が得られるように巧く制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態における補助ブレーキ系の油圧回路。
【図2】 ブレーキバルブユニットを示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図。
【図3】 前輪の模式正断面図。
【図4】 後輪のドライブ機構の背面図。
【図5】 リーチ型フォークリフトの平断面図。
【図6】 同じく側面図。
【図7】 第2の実施形態における補助ブレーキ系の油圧回路。
【図8】 ブレーキバルブユニットを示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図。
【図9】 別例のリーチ型フォークリフトの平断面図。
【図10】 従来技術のブレーキシステムを示す油圧回路。
【符号の説明】
10…産業車両としてのリーチ型フォークリフト、13…前輪、14…駆動輪(後輪)、17…操作手段としてのアクセルレバー、19…荷役装置としてのマスト装置、25…主制動手段としてのドライブモータ、27…電動モータとしての荷役用モータ、28…油圧ポンプとしての荷役用ポンプ、31…制動用油圧制御装置としてのブレーキバルブユニット、32…補助制動手段としての補助ブレーキ装置、35…操作手段としてのブレーキペダル、44…主制動手段としてのディスクブレーキ装置、72…圧力センサ、73…電磁式弁手段を構成する供給用電磁開閉弁、74…電磁式弁手段を構成する排出用電磁開閉弁、82…電磁式弁手段を構成するシャットオフ弁、83…電磁式弁手段を構成するとともに電磁比例式圧力調整弁としてのリニアソレノイド弁、P…入力ポートとしてのポンプポート、B1,B2…出力ポートとしてのブレーキポート。
Claims (4)
- 駆動輪である前輪または後輪を制動する主制動手段を作動させるための操作手段が制動操作された際、駆動輪の制動を補助する必要があると判定されたときに前記駆動輪と前後反対側の車輪に補助的な制動力を付与する油圧式の補助制動手段を作動させる制動用油圧制御装置であって、
油圧ポンプから圧油が入力される入力ポートと、
前記補助制動手段を作動させるための圧油を出力する出力ポートと、
前記補助制動手段の制動力として予め設定された値に応じた油圧を出力ポートから出力する油圧制御をする電磁式弁手段を有する油圧回路とを備え、
前記油圧回路には、前記補助制動手段に出力する油圧を検出する圧力センサが備えられ、
前記電磁式弁手段は、前記出力ポートの上流と下流に設けられた一対の電磁開閉弁を備え、該一対の電磁開閉弁は、油圧源からの圧油を前記出力ポート側に供給する供給用電磁開閉弁と、前記出力ポート側に供給された圧油を排出する排出用電磁開閉弁とからなり、前記補助制動手段の作動時には、前記圧力センサの検出値に基づいて予め設定された油圧を前記出力ポートから出力するように開閉制御される産業車両における制動用油圧制御装置。 - 前記主制動手段による制動が付与される前記駆動輪は、前輪と後輪のうち車両に装備された荷役装置の積載荷重が大きいほど輪重が小さくなる側の車輪であり、前記補助制動手段による補助的な制動が付与される車輪は、前記荷役装置の積載荷重が大きいほど輪重が大きくなる側の車輪である請求項1に記載の産業車両における制動用油圧制御装置。
- 産業車両は、車両に設けられた荷役装置を作動させるための圧油を供給する荷役用ポンプと、該荷役用ポンプを駆動する電動モータとを備え、
前記油圧回路の前記入力ポートには前記荷役用ポンプからの作動油が供給される請求項1又は2に記載の産業車両における制動用油圧制御装置。 - 産業車両は、駆動輪である後輪が前記主制動手段により制動されると共に、前記補助制動手段により前輪に補助的な制動力が付与されるリーチ型フォークリフトである請求項1〜3のいずれか一項に記載の産業車両における制動用油圧制御装置。
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