JP3460203B2 - フェノール樹脂組成物 - Google Patents

フェノール樹脂組成物

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JP3460203B2
JP3460203B2 JP07211198A JP7211198A JP3460203B2 JP 3460203 B2 JP3460203 B2 JP 3460203B2 JP 07211198 A JP07211198 A JP 07211198A JP 7211198 A JP7211198 A JP 7211198A JP 3460203 B2 JP3460203 B2 JP 3460203B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、フェノール樹脂組
成物に関するものであり、塗料用、研磨布紙用、砥石
用、摩擦材用、積層板用、耐火物、繊維強化プラスチッ
ク等のバインダーとして、樹脂の経時安定性、フィラー
の配合性に優れ、硬化後の硬化色相、機械的強度、耐腐
食性、耐燃性に優れたフェノール樹脂組成物に関するも
のである。 【0002】 【従来の技術】レゾール型フェノール樹脂は、一般にア
ルカリ触媒を用いて反応させる。レゾール型フェノール
樹脂は、中和しない場合もあるが、経時安定化、あるい
は成形物への触媒の影響を抑える目的で、乳酸、蓚酸、
ホウ酸などの酸を中和剤として用いる場合もある。ま
た、レゾール型フェノール樹脂は酸を多量に添加混合す
る事によって酸硬化することが知られている。酸硬化は
使用時に酸を添加して、常温あるいは50〜80℃程度
の温度域で硬化させるシステムであり、一般に硬化時の
pHは、4.0以下となっている。酸硬化剤としては、
塩酸、硫酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスル
ホン酸などの酸が用いられる。 【0003】酸性リン酸エステルは、酸硬化の硬化剤と
して用いられることが知られている(米国特許第233
0286号明細書、特開昭61−136527号公報、
特開昭63−75039号公報、特開平6−32223
3号公報)。これらは、酸性リン酸エステルを硬化剤と
して用いた時、硬化に至るまでの作業性改善、あるいは
硬化後の硬化色相、機械的強度、耐燃性、耐腐食性の改
善が目的であり、事実これらの技術に従ったフェノール
樹脂は、低温でも硬化しており経時安定性がない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、樹脂
の経時安定性、フィラーの配合性に優れ、硬化後の硬化
色相、機械的強度、耐腐食性、耐燃性が優れた樹脂を得
るべく鋭意研究した結果、特定の酸性リン酸エステルを
中和剤として用いることによって本発明を完成するに至
ったものである。 【0005】 【問題を解決するための手段】本発明は、フェノール類
(P)に対するアルデヒド類(F)のモル比(F/Pモ
ル比)を0.7/1.0〜6.0/1.0とし、アルカ
リ触媒で反応させ得られたフェノール樹脂に、中和剤と
して酸価が50〜350(mgKOH/g)の酸性リン
酸エステルを配合して、pH(25℃)を5.0〜1
2.0としてなるフェノール樹脂組成物である。 【0006】本発明に用いられるフェノール類として
は、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、
パラクレゾール、キシレノール、パラターシャリーブチ
ルフェノール、パラオクチルフェノール、パラフェニル
フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レ
ゾルシンなどのフェノール類から選ばれた少なくとも1
種以上のフェノール類であり、特に限定はしない。しか
し、硬化色相を改良したい時、キノン構造をとりにくい
パラクレゾール、パラターシャリーブチルフェノール、
パラオクチルフェノール、パラフェニルフェノール、ビ
スフェノールAなどのパラ置換フェノールが有効であ
る。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセト
アルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレインやこれら
の混合物であり、これらのアルデヒド類の発生源となる
物質あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を使用するこ
とも可能である。 【0007】アルカリ触媒としては、リチウム、ナトリ
ウム、カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、マグネシ
ウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属水酸
化物及びこれらと同等の作用効果を示す炭酸塩等の塩類
及び酸化物が使用でき、アミン、アンモニア等のアミン
類、さらにその他のアルカリ触媒を単独あるいは併用使
用する事ができる。フェノール類(P)に対するアルデ
ヒド類(F)のモル比(F/Pモル比)は0.7/1.
0〜6.0/1.0であり、好ましくは1.0/1.0
〜4.0/1.0である。アルデヒド類のモル比が0.
7未満では、硬化が遅く、成形物の強度が十分でなく、
6.0を越えるとアルデヒド類が過剰なため、発泡、臭
気、硬化速度が速すぎるなどの問題があり実用的でな
い。 【0008】本発明に中和剤として用いられる酸性リン
酸エステルは、リン酸の一価あるいは二価のエステル結
合化合物である。そして、これらの化合物の内、酸価が
50〜350(mgKOH/g)の酸性リン酸エステル
であり、好ましくは酸価が150〜250(mgKOH
/g)の酸性リン酸エステルである。また、これらの化
合物の混合物でも、酸価が50〜350(mgKOH/
g)であれば構わない。酸価が350(mgKOH/
g)を越えた酸性リンエステルは、少量の添加でも経時
安定性が悪化してしまい、酸価が50(mgKOH/
g)未満の酸性リン酸エステルでは、経時安定性、フィ
ラーの配合性、硬化色相の改善の効果が得られない。 【0009】本発明において使用できる酸価が50〜3
50(mgKOH/g)の酸性リン酸エステルとして
は、ジ−2−エチルヘキシルリン酸エステル、モノ−2
−エチルヘキシルリン酸エステル、ジブチルリン酸エス
テル、ジ−イソデシルリン酸エステル、モノ−ジ−イソ
デシルリン酸エステル、モノポリオキシエチレンノニル
フェニルリン酸エステル、ジポリオキシエチレンノニル
フェニルリン酸エステル、モノテトラコシルリン酸エス
テル、ジテトラコシルリン酸エステル、モノステアリル
リン酸エステル、ジステアリルリン酸エステル、モノオ
レイルリン酸エステル、ジオレイルリン酸エステルなど
がある。酸性リン酸エステルを中和剤として用いた時の
pHは、5.0〜12.0であり、好ましくは6.0〜
9.0である。pHが5.0未満では、酸性が強いので
硬化が進み経時安定性が悪い。pHが12.0より高い
と中和の効果が得られず、経時安定性、及び硬化色相、
耐腐食性が良くない。中和を行う方法としては、一般に
反応終了時に直ちに添加するが、反応の途中あるいは、
フェノール樹脂の反応後で使用前であれば特に限定され
ない。 【0010】本発明のフェノール樹脂組成物において、
メラミン樹脂、尿素樹脂などのアミノ樹脂、エポキシ樹
脂などの他の熱硬化性樹脂や、ポリビニルブチラール樹
脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、フェ
ノキシ樹脂などの熱可塑性樹脂を、樹脂特性改質のため
添加あるいは変性させることもできる。また、ノニオン
型、アニオン型、カチオン型など各種界面活性剤や発泡
剤などの改質剤を含んでも良い。また、希釈溶剤とし
て、メタノール、エタノール、n−ブタノール、エチレ
ングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、
ブチルセロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトー
ル、メトキシプロパノール、アセトン、セロソルブアセ
テート、3−メチル−3−メトキシブタノール、メチル
エチルケトンなどの有機溶剤を含んでも良い。樹脂の硬
化は、一般的には熱硬化であるが、硬化剤による常温硬
化、紫外線などによる硬化でも良い。 【0011】 【実施例】以下本発明を実施例により詳細に説明する。
ここで記載されている「部」及び「%」は全て「重量
部」及び「重量%」を示す。 【0012】実施例1 4つ口フラスコに、フェノール(P)100部、37%
ホルムアルデヒド(F)121部(F/Pモル比1.
5)及び20%苛性ソーダ5部を仕込み、80℃で3時
間反応させ、ジ−2−エチルヘキシルリン酸エステル
(酸価=175 大八化学工業(株) DP−8R)5部
を添加して真空脱水を行い、pH7.5、粘度10ポイ
ズ/25℃、不揮発分75%のレゾール型フェノール樹
脂Aを得た。 【0013】実施例2 4つ口フラスコに、ビスフェノールA(P)100部、
37%ホルムアルデヒド(F)142部(F/Pモル比
4.0)及び20%苛性ソーダ10部を仕込み、80℃
で3時間反応させ、ジ−2−エチルヘキシルリン酸エス
テル(酸価=175 大八化学工業(株) DP−8R)
5部を添加して真空脱水を行い、pH8.2、粘度10
ポイズ/25℃、不揮発分65%のレゾール型フェノー
ル樹脂Bを得た。 【0014】比較例1 4つ口フラスコに、フェノール(P)100部、37%
ホルムアルデヒド(F)121部(F/Pモル比1.
5)及び20%カ性ソーダ5部を仕込み、80℃で3時
間反応させて真空脱水を行い、pH8.0、粘度10ポ
イズ/25℃、不揮発分75%のレゾール型フェノール
樹脂Cを得た。 【0015】比較例2 4つ口フラスコに、フェノール(P)100部、37%
ホルムアルデヒド(F)121部(F/Pモル比1.
5)及び20%カ性ソーダ5部を仕込み、80℃で3時
間反応させ、乳酸を3部添加して真空脱水を行い、pH
7.5/25℃、粘度10ポイズ/25℃、不揮発分7
5%のレゾール型フェノール樹脂Dを得た。 【0016】比較例3 4つ口フラスコに、フェノール(P)100部、37%
ホルムアルデヒド(F)121部(F/Pモル比1.
5)及び20%苛性ソーダ5部を仕込み、80℃で3時
間反応させ、メチルリン酸エステル(酸価=600以上
大八化学工業(株) AP−1)を0.5部添加して真
空脱水を行い、pH7.5/25℃、粘度10ポイズ/
25℃、不揮発分75%のレゾール型フェノール樹脂E
を得た。 【0017】比較例4 4つ口フラスコに、ビスフェノールA(P)100部、
37%ホルムアルデヒド(F)142部(F/Pモル比
4.0)及び20%苛性ソーダ10部を仕込み、80℃
で3時間反応させ真空脱水を行い、pH8.5、粘度1
0ポイズ/25℃、不揮発分65%のレゾール型フェノ
ール樹脂Fを得た。 【0018】これらのフェノール樹脂の製造直後と経時
加速試験(35℃にて1週間保存)後の特性について、
ゲル化時間、水溶性、分子量、及びフィラー配合時の状
態を比較した結果をそれぞれ表1及び表2に示す。 【0019】 【表1】 【0020】 【表2】【0021】(測定方法) 1.ゲル化時間:JIS K 6909 5.5 ゲル化時
間に準ずる。 2.水溶性(25℃):樹脂10mlをメスシリンンダ
ーに入れ、蒸留水を添加して白濁したときの蒸留水添加
量(ml)/レジン量(10ml)を求めた。 3.分子量:GPCによるポリスチレン換算数平均分子
量 4.フィラー配合時の状態:蒸留水を用いて不揮発分6
0%に調整した樹脂1.0部に対して、炭酸カルシウム
(三共製粉(株)製重質炭酸カルシウムA)を3.0部添
加混合後、室温で8時間放置後の状態を観察した。 【0022】更に、上記各フェノール樹脂から成形物を
成形し、常態強度及び耐水強度を測定し、また、フェノ
ール樹脂を濾紙に含浸して硬化したときの色相を比較し
た結果を表3に示す。 【0023】 【表3】 【0024】(成形物の成形条件)以下の配合のものを
ミキサーで5分間混合した。 A砥粒#60(日本カーリット(株)製サクランダムA#60)1000部 炭酸カルシウム(三共製粉(株)製重質炭酸カルシウムA) 100部 樹脂(蒸留水で不揮発分60%に調整) 60部 次いで、下記の条件にて成形物を成形した。 成形比重 2.5g/cm3 成形温度 100℃ 成形時間 30分 焼成条件 150℃、5時間 【0025】(特性測定方法) 1.常態強度:常温での曲げ強度(JIS K 7171
による) 2.耐水強度:40℃の水中に3日放置後の曲げ強度
(JIS K 7171による) 3.硬化色相評価方法:フェノール樹脂をメタノールを
希釈し不揮発分30%に調整し濾紙に1分間含浸させ、
30分間室温で風乾後、150℃の乾燥機で1時間硬化
させた。この濾紙を目視によって硬化色相を確認した。 【0026】 【発明の効果】本発明のフェノール樹脂組成物は、上記
の結果が示すように、経時安定性、フィラーの配合性、
硬化色相、機械的強度に優れたフェノール樹脂組成物で
ある。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 61/06 - 61/14 C08G 8/00 - 8/24 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 フェノール類(P)に対するアルデヒド
    類(F)のモル比(F/Pモル比)を0.7/1.0〜
    6.0/1.0とし、アルカリ触媒で反応させ得られた
    フェノール樹脂に、中和剤として酸価が50〜350
    (mgKOH/g)の酸性リン酸エステルを配合して、
    pH(25℃)を5.0〜12.0としてなることを特
    徴とするフェノール樹脂組成物。
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