JP3139762B2 - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、耐熱性、機械的強度にすぐれ、且つ成形加
工容易な、新規な熱硬化性樹脂組成物に関する。
〔従来の技術〕
フェノール系樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒ
ドを酸性触媒の存在下で、重縮合して得られるノボラッ
ク型フェノール樹脂と、塩基性触媒の存在下で重縮合し
て得られるレゾール型フェノール樹脂があり、自己硬化
性のレゾール型フェノール樹脂に対し、ノボラック型フ
ェノール樹脂は硬化剤として、ヘキサメチレンテトラミ
ンを用いるのが一般的である。
ヘキサメチレンテトラミンは、硬化剤として成形加工
性がすぐれている反面、フェノール系樹脂との結合様式
がメチレン結合(−CH2−)で、架橋、硬化反応が行わ
れるため、耐酸化性が悪く、成形材料、積層材料とした
場合、長期にわたる耐熱性に問題を生じていた。
かかる事情から、近年、フェノール系樹脂と、p−キ
シリレングリコールとを重縮行させて得られる熱硬化性
樹脂が開発され、メチレン結合に替えて、キシリレン結
による耐熱性の向上が試みられている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記試みは耐熱性は向上するものの、
p−キシリレングリコールがモノマーであり、分子量が
138.17と小さく、且つ、フェノール系樹脂との重縮合時
に、1分子当たり2ケのH2Oを放出するため、成形時に
多量のガスを発生し、成形品にクラックや巣を生じ、結
果として機械的強度の低下を招いていた。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、上記問題点を解決するため鋭意検討し
た結果、キシリレングリコールを予め脱水重縮合させた
ポリキシリレングリコールを使用することにより、本発
明に到ったものである。
即ち、本発明は、フェノール系樹脂および硬化剤とし
て一般式−O−(式中、Rはキシリレン基)で表される
構造単位からなり、かつ、数平均分子量が300〜4000で
あるポリキシリレングリコールよりなる熱硬化性樹脂組
成物。
本発明に用いられるフェノール系樹脂には、フェノー
ル、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ビス
フェノールA、パラターシャリーブチルフェノール、パ
ラオクチルフェノール等のフェノール類と、ホルムアル
デヒド水溶液、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等
のホルムアルデヒド類を用いて反応させて得られるノボ
ラック型フェノール樹脂、およびフェノール性水酸基を
有する化合物と二塩化パラキシレン等のパラキシリレン
ジハライド、およびフェノール性水酸基を有する化合物
とパラキシリレンジメチルエーテル等のパラキシリレン
ジアルキルエーテルから誘導されるフェノールアラルキ
ル樹脂(例えば、商品名「ミレックスXL−225」(三井
東圧化学株式会社製)等)がある。これらフェノール系
樹脂は一種以上併用してもよい。一般式 (式中、nは1〜100までの整数)で表されるポリキシ
リレングリコールは、公知の方法、即ちキシリレングリ
コールに酸触媒を添加後、加熱溶融し、重縮合反応を行
い、生成する水を不活性ガスにより系外に除去すること
によって、容易に得られる(例えば、文献J.Am.Chem.So
c.,72,2216(1950)参照)。ポリキシリレングリコール
の数平均分子量は、GPC(ゲルパーミュエイションクロ
マトグラフ)による分析値で300〜4000が好ましい。数
平均分子量が300未満であると、成形時の発生ガスが多
くなり、成形品にクラックや巣を生じ、4000を越える
と、フェノール系樹脂と混合しにくくなり、好ましくな
い。
フェノール系樹脂とポリキシリレングリコールの混合
割合は、フェノール系樹脂100重量部に対し、ポリキシ
リレングリコールが2重量部以上あれば良く、ヘキサミ
ン等の従来の硬化剤を併用して使用することもできる。
ポリキシリレングリコールの量が2重量部未満の場合
は、本発明の目的とする耐熱性の向上が見られない。
本発明は必要に応じて、以下の様な酸性触媒を添加し
て使用しても良い。酸性触媒としては、無機酸あるいは
有機酸、すなわち、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱
酸、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化第2錫、塩化第
2鉄、三フッ化ホウ素などのルイス酸、メタンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸など
の有機スルホン酸などが挙げられ、これらを単独あるい
は併用して使用することができる。酸性触媒の使用量
は、フェノール系樹脂とポリキシリレングリコールの合
計量100重量部に対し、2重量部以下、好ましくは1.0重
量部以下が良い。使用量が2重量部を越えると、本発明
の熱硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が悪くなる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、フェノール系樹脂、
ポリキシリレングリコール、および必要に応じて酸性触
媒を粉砕して混合するか、または、80〜170℃の温度で
数分間加熱し、溶融させて混合するか、あるいは、3者
の共通溶剤、例えばメタノール、エタノール、プロパノ
ール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなど
のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シク
ロヘキサノンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒド
ロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどの
エーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類
等の一種以上の溶剤に溶解、混合することによって容易
に得られる。
以上により得られた熱硬化性樹脂組成物は、耐熱性、
機械的強度にすぐれ、しかも成形時の発生ガスが少な
く、成形品にクラックや巣を全く生じないという特徴を
有する。
次に、本発明の熱硬化性樹脂組成物の用途例について
述べる。成形材料の用途には、本発明の組成物にさら
に、木粉、タルク、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、
ガラス繊維などの充填材、滑剤、着色剤等を添加し、80
〜170℃の温度で混練した後、冷却、粉砕して成形材料
とすることができる。このようにして得られた成形材料
は、圧縮成形機、トランスファー成形機、射出成形機な
どにより、120℃〜250℃の温度および30〜500kg/cm2
圧力で、成形品のクラックや巣を発生することなく、容
易に成形することができる。得られた成形体は高温にお
ける長時間の熱履歴による物性の低下が少なく、また、
機械的強度にすぐれている。
積層材料の用途には、本発明の組成物を前記共通溶剤
に溶解させワニスとし、これをガラスクロス等の積層板
用基材に含浸し、乾燥後、加熱、加圧成形して積層板を
得る。得られた積層板は、耐熱性にすぐれているため、
250℃における連続使用が可能である。
さらに、本発明の組成物をブレーキ材に使用する場合
には、本発明の組成物にアスベスト、金属繊維、ガラス
繊維などの繊維質基材、硫酸バリウム、炭酸カルシウ
ム、カシューダスト、ラバー粉末などの無機質または有
機質充填材、銅粉、アルミニウム粉、カップリング剤な
どの添加剤を加え均一に混合後、温度150〜200℃、圧力
100〜300kg/cm2の条件で成形することができ、得られた
ブレーキ材料は、機械的強度にすぐれ、摩擦、摩耗特性
の熱劣化が少ないという特徴を有している。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例および比較例により、さらに具
体的に説明する。各例の「部」は「重量部」を表す。
実施例1 ノボラック型フェノール樹脂(三井東圧化学(株)
製、ノボラック「#2000」、以下ノボラック「#2000」
と略称)100部、数平均分子量400のポリp−キシリレン
グリコール50部に、テトラヒドロフラン200部を加え、5
0℃に攪拌、溶解させワニスとした。このワニスを真空
乾燥機にて50℃で乾燥、テトラヒドロフランを除去して
熱硬化性樹脂組成物Aを得た。
実施例2 ノボラック「#2000」100部、数平均分子量1200のポ
リp−キシリレングリコール60部およびメタンスルホン
酸0.1部を粉砕機に入れ、5分間粉砕して、粒度42メッ
シュ以下の熱硬化性樹脂組成物Bを得た。
実施例3 ノボラック「#2000」100部、数平均分子量2100のポ
リp−キシリレングリコール80部を110度の熱ロールに
て溶融混練し、得られたシートを冷却、粉砕して、熱硬
化性樹脂組成物Cを得た。
実施例4 フェノールアラルキル樹脂(三井東圧化学(株)製、
ミレックス「XL−225」以下ミレックス「XL−225」と略
称)100部、数平均分子量750のポリm−キシリレングリ
コール30部、および塩化亜鉛1.3部を粉砕機に入り、5
分間粉砕混合し、粒度42メッシュ以下の熱硬化性樹脂組
成物Dを得た。
実施例5 ミレックス「XL−225」100部、数平均分子量1250のポ
リp−キシリレングリコール40部を、110℃の熱ロール
にて溶融混練し、得られたシートを冷却、粉砕して、熱
硬化性樹脂組成物Eを得た。
実施例6 ミレックス「XL−225」100部、数平均分子量3500のポ
リp−キシリレングリコール60部、およびp−トルエン
スルホン酸0.8部を、110℃の熱ロールにて溶融混練し、
得られたシートを冷却、粉砕して熱硬化性樹脂組成物F
を得た。
比較例1 ノボラック「#2000」100部、p−キシリレングリコ
ール60部、およびメタンスルホン酸0.1部を粉砕機に入
れ、5分間粉砕して、粒度42メッシュ以下の熱硬化性樹
脂組成物Gを得た。
比較例2 ノボラック「#2000」100部、およびヘキサメチレン
テトラミン10部を110℃の熱ロールにて溶融混練し、得
られたシートを冷却、粉砕して、熱硬化性樹脂組成物H
を得た。
比較例3 ミレックス「XL−225」100部、およびヘキサメチレン
テトラミン10部を110℃の熱ロールにて溶融混練し、得
られたシートを冷却、粉砕して、熱硬化性樹脂組成物I
を得た。
試験例 実施例1〜6、比較例1〜3で得られた熱硬化性樹脂
組成物A〜熱硬化性樹脂組成物Iについて、以下の試験
を行った。
試験例1 熱オーブン中、150℃×30分+180℃×30分+210℃×3
0分の条件で硬化させたものにつき、熱重量分析を行
い、5%重量減少温度を測定した。
試験例2 165℃の熱オーブン中で30分間加熱硬化させ、揮発減
量(発生ガス)を測定した。
試験例3 37トン圧縮成形機にて、圧力150kg/cm2、温度165℃、
プレス時間5分の条件で、JISK6911による曲げ試験片を
作製し、成形品中のクラック、巣の有無、および曲げ強
度を測定した。
以下の結果を表1に示す。
〔発明の効果〕 本発明による熱硬化性樹脂組成物は、表1に示すよう
に、耐熱分解性、機械的強度にすぐれ、また、成形加工
時の揮発減量が少なく、成形品にクラックや巣を全く生
じないという特性を有するため、成形材料、積層材料、
各種結合材料等熱硬化性樹脂の広汎な用途に応用できる
ものである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−264310(JP,A) 特公 昭48−17472(JP,B1) 米国特許3578611(US,A) 米国特許3669929(US,A) 米国特許3769249(US,A) 米国特許3560428(US,A) 米国特許3555108(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 61/04 - 61/16 C08L 71/00 - 71/14 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フェノール系樹脂および硬化剤として一般
    式−OR−(式中、Rはキシリレン基)で表される構造単
    位からなり、かつ、数平均分子量が300〜4000であるポ
    リキシリレングリコールよりなる熱硬化性樹脂組成物。
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