JP2019001867A - 樹脂組成物、樹脂ワニス、積層板の製造方法、熱硬化性成型材料および封止材 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂ワニス、積層板の製造方法、熱硬化性成型材料および封止材 Download PDF

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Abstract

【課題】充分な耐熱性を確保しつつ、柔軟性および靭性に優れた硬化物を形成できる樹脂組成物の提供。【解決手段】液状多価ヒドロキシ樹脂とマレイミド化合物とを含み、液状多価ヒドロキシ樹脂は、式(u1)で表される構成単位と、式(u2)で表される構成単位とを有し、式(m2)で表される化合物を含み、式(u2)で表される構成単位と式(m2)で表される化合物の含有量が70〜90質量%であり、Mwが800〜1600である樹脂組成物。式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は不飽和基を含む炭素数10〜25の直鎖または分岐状の炭化水素基であり、Xは水素原子または水酸基であり、mおよびnはそれぞれ独立に0または1であり、Yは水素原子またはメチル基である。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、樹脂ワニス、積層板の製造方法、熱硬化性成型材料および封止材に関する。
熱硬化性を有する樹脂組成物は、その硬化性を利用し、樹脂ワニスや熱硬化性成型材料等として様々な分野に使用されている。たとえば、電子部品においては、繊維質基材に樹脂ワニスを含浸させたプリプレグと銅箔を積層して硬化させた銅張積層板や、熱硬化性成型材料の硬化物からなる封止材等が挙げられる。
熱硬化性を有する樹脂組成物には、エポキシ樹脂に比べてガラス転移温度が高く耐熱性に優れることから、マレイミド樹脂を用いることが試みられている。しかし、マレイミド樹脂の硬化物は弾性率が高く、硬くて脆いため、電子部品の信頼性が低下するという欠点がある。
そこで、硬化物が硬くて脆いという欠点を改善するものとして、アリルフェノール樹脂とビスマレイミド類とを含む樹脂組成物が提案されている(特許文献1、2)。
特開平6−132426号公報 特開2015−117375号公報
しかし、特許文献1、2の樹脂組成物の硬化物でも硬くて脆いという欠点が充分に改善されているとは言えない。信頼性に優れた電子部品を得るには、硬化物の柔軟性および靭性をさらに向上させることが重要である。
本発明は、充分な耐熱性を確保しつつ、柔軟性および靭性に優れた硬化物を形成できる樹脂組成物、ならびに該樹脂組成物を用いた樹脂ワニス、積層板の製造方法、熱硬化性成型材料および封止材の提供を目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]液状多価ヒドロキシ樹脂と、1分子中にマレイミド基を2以上有するマレイミド化合物とを含有し、
前記液状多価ヒドロキシ樹脂は、下記式(u1)で表される構成単位と、下記式(u2)で表される構成単位とを有し、かつ下記式(m2)で表される化合物を含み、
前記液状多価ヒドロキシ樹脂の総質量に対する前記式(u2)で表される構成単位と前記式(m2)で表される化合物との合計質量の割合が70〜90質量%であり、
前記液状多価ヒドロキシ樹脂の質量平均分子量が800〜1600である、樹脂組成物。
Figure 2019001867
[式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは不飽和基を含む炭素数10〜25の直鎖または分岐状の炭化水素基であり、Xは水素原子または水酸基であり、mおよびnはそれぞれ独立に0または1であり、Yは水素原子またはメチル基である。]
[2]前記液状多価ヒドロキシ樹脂が有する不飽和基の合計に対する前記マレイミド化合物が有するマレイミド基の合計のモル比(マレイミド基/不飽和基)が、0.5〜3.0である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]エポキシ樹脂をさらに含む、[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記液状多価ヒドロキシ樹脂と前記マレイミド化合物との硬化反応を促進する硬化促進剤と、無機フィラーとをさらに含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]溶剤をさらに含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6][5]に記載の樹脂組成物からなる樹脂ワニス。
[7]繊維質基材に[6]に記載の樹脂ワニスを含浸させたプリプレグを含む積層物を加熱加圧し、硬化させて積層板を得る、積層板の製造方法。
[8][4]に記載の樹脂組成物からなる熱硬化性成型材料。
[9][8]に記載の熱硬化性成型材料の硬化物からなる封止材。
本発明によれば、柔軟性および靭性に優れた硬化物を形成でき、信頼性に優れた積層板や封止材等が得られる。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、液状多価ヒドロキシ樹脂と、1分子中にマレイミド基を2以上有するマレイミド化合物(以下、マレイミド化合物(I)ともいう。)とを含む。
[液状多価ヒドロキシ樹脂]
液状多価ヒドロキシ樹脂は、下記式(u1)で表される構成単位(以下、構成単位(u1)ともいう。)と、下記式(u2)で表される構成単位(以下、構成単位(u2)ともいう。)とを有し、かつ下記式(m2)で表される化合物(以下、化合物(m2)ともいう。)を含む。すなわち、液状多価ヒドロキシ樹脂は、構成単位(u1)および構成単位(u2)を有する重合体と、該重合体の製造に用いる非重合体である化合物(m2)等の原料(フェノール類等)を含む組成物である。
なお、「構成単位」は、重合体を構成する単位を示す。
液状多価ヒドロキシ樹脂は、典型的には、フェノールおよびメチルフェノールのいずれか一方または両方(後述する式(m1)で表される化合物)および化合物(m2)を含むフェノール類をホルムアルデヒドで重縮合させたものである。化合物(m2)は沸点が高く、蒸留では除去できずに液状多価ヒドロキシ樹脂中に残存しやすい。
Figure 2019001867
[式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは不飽和基を含む炭素数10〜25の直鎖または分岐状の炭化水素基であり、Xは水素原子または水酸基であり、mおよびnはそれぞれ独立に0または1であり、Yは水素原子またはメチル基である。]
「−*」は結合手を示す。式(u1)中の3つの結合手のうち少なくとも1つは他の構成単位(別の構成単位(u1)、構成単位(u2)等)に結合し、式(u2)中の3つの結合手のうち少なくとも1つは他の構成単位(別の構成単位(u2)、構成単位(u1)等)に結合する。各式中の結合手のうち、他の構成単位に結合しない結合手は、水素原子に結合する。
ただし、構成単位(u1)中のベンゼン環と構成単位(u2)中のベンゼン環とはメチレン基を介して結合し、直接結合しない。また、同一分子中に2以上の構成単位(u1)を有し、構成単位(u1)同士が直接結合している場合、各構成単位(u1)中のベンゼン環はメチレン基を介して結合し、直接結合しない。同様に、同一分子中に2以上の構成単位(u2)を有し、構成単位(u2)同士が直接結合している場合、各構成単位(u2)中のベンゼン環はメチレン基を介して結合し、直接結合しない。
つまり、式(u1)中のベンゼン環から伸びる結合手は、他の構成単位に結合するか、または水素原子に結合する。他の構成単位に結合する場合、該結合手は、該他の構成単位(別の構成単位(u1)、mおよびnの少なくとも一方が1である構成単位(u2)等)のメチレン基に結合する。
式(u1)中のメチレン基から伸びる結合手は、他の構成単位(構成単位(u2)、別の構成単位(u1)等)のベンゼン環に結合する。
式(u2)中のベンゼン環から伸びる結合手は、他の構成単位に結合するか、または水素原子に結合する。他の構成単位に結合する場合、該結合手は、該他の構成単位(構成単位(u1)、mおよびnの少なくとも一方が1である別の構成単位(u2)等)のメチレン基に結合する。
式(u2)中のmが0(またはnが0)である場合、−(CH−*(または−(CH−*)は、前記ベンゼン環から伸びる結合手と同様の結合手(−*)を示す。すなわち、他の構成単位に結合するか、または水素原子に結合する。他の構成単位に結合する場合、該結合手は、前記ベンゼン環から伸びる結合手と同様に、他の構成単位のメチレン基に結合する。
式(u2)中のmが1(またはnが1)である場合、−(CH−*(または−(CH−*)はメチレン基であり、その結合手は、他の構成単位(構成単位(u1)、別の構成単位(u2))のベンゼン環に結合するか、または水素原子に結合してメチル基を形成する。ただし、mおよびnの両方が1である場合、−(CH−*および−(CH−*の少なくとも一方は他の構成単位のベンゼン環に結合する。つまり式(u2)中のベンゼン環にメチル基が2個結合することはない。
式(u1)中、Rは水素原子またはメチル基である。構成単位(u1)を有することで、耐熱性の良好な硬化物を得やすい。
がメチル基である場合、式(u1)中、ベンゼン環におけるRの結合位置は、安価である点および合成した樹脂が容易に液状化する点で、水酸基の結合した位置(1位)に対してオルソ位(2位または6位)が好ましい。
ベンゼン環における単結合およびメチレン基の結合位置はそれぞれ、特に限定されない。典型的には、水酸基の結合した位置(1位)に対してオルソ位(2位または6位)およびパラ位(4位)のいずれかである。
構成単位(u1)は、Rがメチル基である構成単位(以下、クレゾール単位ともいう。)のみからなるものであってもよく、Rが水素原子である構成単位(以下、フェノール単位ともいう。)のみからなるものであってもよく、クレゾール単位とフェノール単位とからなるものであってもよい。
構成単位(u1)中、クレゾール単位の割合が高いほど、液状多価ヒドロキシ樹脂の粘度が低く、ゲル化時間が長くなり、硬化物の弾性率が低く、ガラス転移温度が低くなる傾向がある。逆に、フェノール単位の割合が高いほど、液状多価ヒドロキシ樹脂の粘度が高く、ゲル化時間が短くなり、硬化物の弾性率が高く、ガラス転移温度が高くなる傾向がある。クレゾール単位とフェノール単位との比率は、これらの特性を考慮して適宜設定できる。
低粘度、低弾性率の観点から、構成単位(u1)は少なくともクレゾール単位を含むことが好ましい。
クレゾール単位の含有量は、構成単位(u1)の全量(100質量%)に対し、0〜100質量%が好ましく、30〜100質量%がより好ましい。
したがって、フェノール単位の含有量は、構成単位(u1)の全量に対し、0〜100質量%が好ましく、0〜70質量%がより好ましい。
または、フェノール単位の含有量は、構成単位(u2)に対し、10質量%以下が好ましい。
式(u2)中、Rは不飽和基を含む炭素数10〜25の直鎖または分岐状の炭化水素基である。炭素数が10以上であることにより、液状多価ヒドロキシ樹脂の常温での粘度を低くしやすく、また低弾性率で高靭性の硬化物を得られる。炭素数が25以下であることにより、硬化物の耐熱性が良好である。
前記炭化水素基の炭素数は10〜25が好ましく、15〜20がより好ましい。
不飽和基としては、ビニル基、ビニレン基等が挙げられる。前記炭化水素基に含まれる不飽和基は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記炭化水素基としては、炭素−炭素二重結合を有する不飽和炭化水素基が挙げられ、具体的には、−(CHCH=CH(CHCH、−(CHCH=CHCHCH=CH(CHCH、−(CHCH=CHCHCH=CHCH=CHCH、−(CHCH=CHCHCH=CHCHCH=CH等が挙げられる。
式(u2)中、Xは、硬化物の吸水性が低い点で、水素原子であることが好ましい。
式(u2)中、ベンゼン環におけるRの結合位置は、ホルムアルデヒドとの反応性の点で、水酸基の結合した位置(1位)に対してメタ位(3位または5位)が好ましい。なお、Xが水酸基である場合、1位は、Xの結合位置ではなく、式中に「OH」として示される水酸基の結合位置を示すものとする。
ベンゼン環におけるX、Yそれぞれの結合位置は特に限定されない。Xが水酸基である場合、ホルムアルデヒドとの反応性の点で、式中に「OH」として示される水酸基の結合した位置(1位)に対してメタ位が好ましい。Yがメチル基である場合、水酸基の結合した位置(1位)に対してオルソ位が好ましい。
ベンゼン環における単結合、−(CH−*および−(CH−*の結合位置はそれぞれ特に限定されない。典型的には、水酸基の結合した位置(1位)に対してオルソ位(2位または6位)およびパラ位(4位)のいずれかである。
液状多価ヒドロキシ樹脂に含まれる重合体は、構成単位(u1)および構成単位(u2)に加えて、構成単位(u1)および構成単位(u2)以外の構成単位(以下、構成単位(u3)ともいう。)をさらに有していてもよい。
構成単位(u3)としては、たとえば、下記式(u31)で表される構成単位(以下、構成単位(u31)ともいう。)等が挙げられる。
Figure 2019001867
[式中、Rはアリル基である。]
式(u31)中のベンゼン環から伸びる結合手は、式(u1)中のベンゼン環から伸びる結合手と同様に、他の構成単位に結合するか、または水素原子に結合する。他の構成単位に結合する場合、該結合手は、該他の構成単位のメチレン基に結合する。また、メチレン基から伸びる結合手は、他の構成単位のベンゼン環に結合する。
液状多価ヒドロキシ樹脂の総質量に対する構成単位(u2)および化合物(m2)の合計質量の割合は、70〜90質量%であり、70〜85質量%が特に好ましい。
構成単位(u2)および化合物(m2)はいずれも、Rを有する。構成単位(u2)および化合物(m2)の割合が前記下限値以上であれば、アリル基が導入されていなくても(たとえば前記構成単位(u31)を有さなくても)、液状多価ヒドロキシ樹脂の常温での粘度が低い。また、低弾性率の硬化物が得られる。構成単位(u2)および化合物(m2)の割合が前記上限値以下であれば、硬化性および耐熱性が良好である。
構成単位(u2)および化合物(m2)の合計に対する構成単位(u2)の割合は、液状多価ヒドロキシ樹脂の質量平均分子量が800〜1600になる限り特に限定されない。
液状多価ヒドロキシ樹脂中の構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の割合は、液状多価ヒドロキシ樹脂の製造に使用したフェノール類の使用量から算出する方法や核磁気共鳴分光法等の公知の分析方法により確認できる。
液状多価ヒドロキシ樹脂中の構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の割合は、たとえば、後述する製造方法(i)により液状多価ヒドロキシ樹脂を製造する場合の化合物(m2)に対するホルムアルデヒドの比率、反応条件(触媒量・種、温度、時間)等により調整できる。
液状多価ヒドロキシ樹脂は、環境面に優れ、マレイミド化合物(I)との硬化速度が速くなる点や耐熱性の点から、構成単位(u1)および構成単位(u2)を有する重合体、化合物(m2)以外のフェノール類およびホルムアルデヒドを含まないことが好ましい。
また、液状多価ヒドロキシ樹脂から構成単位(u2)および化合物(m2)を除いた残部は、構成単位(u1)であるか、または構成単位(u1)および構成単位(u3)からなることが好ましく、構成単位(u1)であることが特に好ましい。
液状多価ヒドロキシ樹脂における構成単位(u3)の含有量は、硬化物がより低弾性率になる観点から、構成単位(u2)に対し、10質量%以下が好ましく、0質量%が特に好ましい。すなわち、液状多価ヒドロキシ樹脂は、構成単位(u3)を有さないことが特に好ましい。
液状多価ヒドロキシ樹脂における構成単位(u31)の含有量は、硬化物がより低弾性率になる観点から、構成単位(u2)に対し、10質量%以下が好ましく、0質量%が特に好ましい。すなわち、液状多価ヒドロキシ樹脂は、構成単位(u31)を有さないことが特に好ましい。
液状多価ヒドロキシ樹脂の質量平均分子量(Mw)は、800〜1600であり、900〜1600が好ましく、1000〜1600がより好ましい。Mwが小さいほど、液状多価ヒドロキシ樹脂の25℃における粘度が低くなる。Mwが前記上限値以下であれば、液状多価ヒドロキシ樹脂が常温で優れた流動性を示す。Mwが前記下限値以上であれば、マレイミド化合物(I)との反応性に優れ、硬化物の耐熱性が良好である。
液状多価ヒドロキシ樹脂の分散度(Mw/数平均分子量(Mn))は、1.4〜1.6が好ましい。
MwおよびMnは、標準物質をポリスチレンとしたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
液状多価ヒドロキシ樹脂の25℃における粘度は、100Pa・s以下が好ましく、50Pa・s以下がより好ましく、30Pa・s以下が特に好ましい。25℃における粘度が前記上限値以下であれば、流動性に優れる。液状多価ヒドロキシ樹脂の25℃における粘度は低いほど好ましく、粘度の下限は特に限定されない。
液状多価ヒドロキシ樹脂の25℃における粘度は、E型(コーンプレート型)粘度計により測定される。
液状多価ヒドロキシ樹脂の粘度は、液状多価ヒドロキシ樹脂のMw、構成単位(u2)および化合物(m2)の合計質量の割合等により調整できる。
液状多価ヒドロキシ樹脂は、下記式(m1)で表される化合物(以下、化合物(m1)ともいう。)と、化合物(m2)と、ホルムアルデヒドとを反応させることにより製造できる。化合物(m1)と化合物(m2)とホルムアルデヒドとを反応させると、化合物(m1)または化合物(m2)に対するホルムアルデヒドの付加反応(メチロール化反応)と、生成したメチロール体と化合物(m1)または化合物(m2)との縮合反応が進行する。これにより、液状多価ヒドロキシ樹脂が生成する。
化合物(m1)、(m2)およびホルムアルデヒドとともに、化合物(m1)および化合物(m2)以外の他のフェノール類を反応させてもよい。
Figure 2019001867
[式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは不飽和基を含む炭素数10〜25の直鎖または分岐状の炭化水素基であり、Xは水素原子または水酸基であり、Yは水素原子またはメチル基である。]
式(m1)中のRは、前記式(u1)中のRと同じである。
反応に用いる化合物(m1)は、単一の化合物からなるものでも2種以上の混合物でもよく、たとえばフェノール、オルソクレゾール(2−メチルフェノール)、メタクレゾール(3−メチルフェノール)、パラクレゾール(4−メチルフェノール)等が挙げられる。
化合物(m1)としては、安価である点および合成した樹脂が容易に液状化する点で、フェノール、オルソクレゾールまたはそれらの混合物が好ましく、オルソクレゾール、またはオルソクレゾールとフェノールとの混合物が特に好ましい。
式(m2)中のR、Xはそれぞれ、前記式(u2)中のR、Xと同じである。
反応に用いる化合物(m2)は、単一の化合物からなるものでも2種以上の混合物でもよく、たとえばカシューナットシェルリキッドおよびその精製物、カルダノール、カルドール(カードルともいう。)、2−メチルカルドール、アナカルド酸、ウルシオール等が挙げられる。
化合物(m2)としては、比較的安価であり、反応性の制御が容易であり、得られる樹脂が液状を呈しやすく、低弾性率の硬化物を得やすいことから、カシューナットシェルリキッドまたはその精製物が好ましい。カシューナットシェルリキッドには、カルダノールを含む複数の化合物(m2)が含まれることが多い。
カシューナットシェルリキッドまたはその精製物としては、カシューナットシェルリキッドまたはその精製物の全質量に対し、カルダノールの含有量が70〜100質量%、カルドールの含有量が0〜25質量%、メチルカルダノールの含有量が0〜5質量%であり、カルダノールとカルドールとメチルカルダノールとの合計量(有効成分量)が70質量%以上であるものが好ましい。
他のフェノール類としては、たとえば、アリルフェノール等が挙げられる。他のフェノール類としてアリルフェノールを用いると、構成単位(u31)を有する液状多価ヒドロキシ樹脂が得られる。
液状多価ヒドロキシ樹脂の製造方法としては、以下の製造方法(i)が好ましい。
製造方法(i):化合物(m2)とホルムアルデヒドとを、または化合物(m1)と化合物(m2)とホルムアルデヒドとを、塩基性触媒の存在下で反応させ、その反応生成物と化合物(m1)とを酸性触媒の存在下で反応させて液状多価ヒドロキシ樹脂を得る方法。
化合物(m1)と化合物(m2)とでは、化合物(m2)の方がホルムアルデヒドとの反応性が低い。そのため、これらを一括してホルムアルデヒドと反応させると、反応生成物中に未反応の化合物(m2)が残留しやすい。化合物(m2)が液状多価ヒドロキシ樹脂中に残留すると、硬化物性の低下を招く。また、化合物(m2)は高沸点であるため、残留した化合物(m2)は容易に除去できない。
そこで、まず、化合物(m1)を反応させる前に先に化合物(m2)を反応させる(化合物(m1)の不在下で反応させる)、または液状多価ヒドロキシ樹脂の製造に使用する全量のうちの一部の化合物(m1)の存在下で化合物(m2)を反応させる。
化合物(m2)とホルムアルデヒドとを塩基性触媒の存在下で反応させると、化合物(m2)に1〜3分子のホルムアルデヒドが付加して下記式(3)で表されるメチロール体が生成する。化合物(m1)と化合物(m2)とホルムアルデヒドとを塩基性触媒の存在下で反応させると、化合物(m1)、化合物(m2)それぞれに1〜3分子のホルムアルデヒドが付加して下記式(4)で表されるメチロール体、前記式(3)で表されるメチロール体が生成する。
このようにして生成したメチロール体に化合物(m1)を付加することで、液状多価ヒドロキシ樹脂中に化合物(m2)が残留することを抑制できる。
Figure 2019001867
[式中、R、R、XおよびYはそれぞれ前記と同様であり、kは1〜3の整数であり、hは1〜3の整数である。]
反応生成物と化合物(m1)との反応は、塩基性触媒の存在下でも進行するが、塩基性触媒の存在下では、1段目の反応で生成したメチロール体同士が反応して構成単位(u2)のみから構成される構造が生成する反応や、メチロール体が反応することで生成されるホルムアルデヒドにより、さらにメチロール体が生成される反応等の副反応が生じやすく、質量平均分子量が大きくなりやすい。
対して酸性触媒の存在下では、1段目の反応で生成したメチロール体と、過剰にある化合物(m1)との反応が優先的に進行しやすく、メチロール体の反応により生成されるホルムアルデヒドが過剰にある化合物(m1)と優先的に反応し、前記のような副反応が生じにくい。そのため質量平均分子量が前記上限値以下に制御された液状多価ヒドロキシ樹脂が得られやすい。
以下、製造方法(i)により液状多価ヒドロキシ樹脂を製造する場合について詳しく説明する。
製造方法(i)では、まず、化合物(m2)とホルムアルデヒドとを、または化合物(m1)と化合物(m2)とホルムアルデヒドとを、塩基性触媒の存在下で反応させる1段目の反応を行う。
化合物(m2)は、通常、液状多価ヒドロキシ樹脂の製造に使用される全量が1段目の反応に用いられる。
1段目の反応に用いられる化合物(m1)の量は、化合物(m2)に対し、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。前記上限値以下であれば、得られる多価ヒドロキシ樹脂の粘度がより低くなる傾向がある。この量の下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
化合物(m1)がフェノールを含む場合、フェノールの少なくとも一部を1段目で用いることで、フェノール単位をより確実に液状多価ヒドロキシ樹脂の構造中に導入できる。しかし、1段目の反応に用いられる化合物(m2)に対するフェノールの割合が多くなると、構成単位(u2)を有しない縮合体が増えたり、未反応のまま残存する化合物(m2)の量が増えたりして、硬化物性が低下するおそれがある。そのため、より優れた硬化物性を得る観点からは、1段目の反応に用いられるフェノールの量は、化合物(m2)の全量に対し、10質量%以下が好ましい。
ホルムアルデヒドは、固形のものを用いても水溶液を用いてもよい。安価であり、反応の制御が容易である点から、水溶液を用いることが好ましい。
ホルムアルデヒドの塩基性触媒の存在下で反応させる量、つまり1段目の反応において、化合物(m2)、または化合物(m1)および化合物(m2)と反応させるホルムアルデヒドの量は、化合物(m2)に対して10〜80質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましい。
ホルムアルデヒドと化合物(m2)とのモル比(ホルムアルデヒド/化合物(m2))は、0.5〜4.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましい。
ホルムアルデヒドの量が前記範囲内で少ないほど、液状多価ヒドロキシ樹脂中の構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の含有量が多くなる傾向がある。ホルムアルデヒドの量が前記範囲内で多いほど、前記合計の含有量に対する化合物(m2)の割合が少なくなる傾向がある。
ホルムアルデヒドの量が少なすぎると、生成した液状多価ヒドロキシ樹脂中に未反応の化合物(m2)が多く残留し、ガラス転移温度や硬化速度等の硬化物性が低下するおそれがある。ホルムアルデヒドの量が多すぎると、生成した液状多価ヒドロキシ樹脂中に余剰のホルムアルデヒドが残留し、その除去が必要であり、コストアップに繋がり好ましくない。
なお、カシューナットシェルリキッドには化合物(m2)以外の成分が含まれることがある。カシューナットシェルリキッドを用いる場合、カシューナットシェルリキッドの有効成分の量(カルダノールとカルドールとメチルカルダノールとの合計量)が化合物(m2)の量である。
塩基性触媒としては、反応が進行すれば特に制限はない。たとえばアルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アンモニア水、3級アミン(トリエチルアミン等)、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物および水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ性物質が挙げられる。塩基性触媒は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
1段目の反応において、塩基性触媒の使用量は、化合物(m1)と化合物(m2)との合計(化合物(m1)を反応させない場合は化合物(m2)のみ)に対して1.3〜40質量%が好ましく、6.7〜20質量%がより好ましい。
塩基性触媒と、化合物(m1)と化合物(m2)との合計(化合物(m1)を反応させない場合は化合物(m2)のみ)とのモル比(塩基性触媒/{化合物(m1)+化合物(m2)})は、0.1〜3.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。
塩基性触媒の使用量が少なすぎると反応速度が遅く、使用量が多すぎると反応が急激に進み反応をコントロールすることが難しくなる。
1段目の反応は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の炭素数1〜4のアルコールの存在下で行うことが好ましい。これにより、1段目の反応中に化合物(m2)や反応生成物が凝集することを防止できる。
炭素数1〜4のアルコールは1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。炭素数1〜4のアルコールとしては、メタノールが特に好ましい。
炭素数1〜4のアルコールの使用量は、化合物(m1)と化合物(m2)との合計(化合物(m1)を反応させない場合は化合物(m2)のみ)に対して10〜100質量%が好ましい。
この後の酸性触媒下での化合物(m1)との反応(2段目の反応)において、反応系に残存する炭素数1〜4のアルコールはアルキル化剤としても機能する。1段目の反応でメチロール化された化合物(m2)(式(3)のメチロール体)のメチロール基(−CHOH)が炭素数1〜4のアルコールのアルキル基(以下、Rと略記する。)でキャップされ、−CHO−Rとなる(キャップ化メチロール体)。これにより、メチロール基がそのままの状態で存在している場合に比べて、2段目の反応の際に化合物(m2)のメチロール体同士が反応するような副反応が生じにくい。
一方、前記メチロール体およびキャップ化メチロール体は、過剰に存在する化合物(m1)とは容易に反応するため、目的の樹脂が得られやすい。
1段目の反応での反応温度は、0〜100℃が好ましく、30〜60℃がより好ましい。反応温度があまりに低いと反応は進まず、あまりに高すぎると反応をコントロールすることが難しくなり、目的の液状多価ヒドロキシ樹脂を安定的に得ることが難しくなる。
1段目の反応の終了時、1段目の反応で得られた反応生成物に酸を添加して塩基性触媒を中和してもよい。
次に、1段目の反応で得られた反応生成物と化合物(m1)とを酸性触媒の存在下で反応させる2段目の反応を行う。
化合物(m1)の塩基性触媒の存在下で反応させる量および酸性触媒の存在下で反応させる量の合計量、つまり、1段目の反応における化合物(m1)の使用量と2段目の反応における化合物(m1)の使用量との合計量は、1段目の反応で使用した化合物(m2)に対して、72〜361質量%が好ましく、108〜324質量%がより好ましい。
1段目の反応における化合物(m1)の使用量と2段目の反応における化合物(m1)の使用量との合計量と、1段目の反応で使用した化合物(m2)とのモル比(化合物(m1)/化合物(m2))は、2.0〜10.0が好ましく、3.0〜9.0がより好ましい。
化合物(m1)の比率が低すぎると、液状多価ヒドロキシ樹脂の質量平均分子量が大きくなり、常温での粘度が高くなる。化合物(m1)の比率が高すぎると、歩留まり低下し、コストアップに繋がる。
酸性触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛等が挙げられる。酸性触媒は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記の内、比較的安価に入手できる点では、塩酸、硫酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸が好ましい。
2段目の反応において、酸性触媒の使用量は、1段目の反応で使用した化合物(m2)に対して0.04〜12.6質量%が好ましく、0.4〜4.2質量%がより好ましい。
酸性触媒と化合物(m2)とのモル比(酸性触媒/化合物(m2))は、0.001〜0.3が好ましく、0.01〜0.1がより好ましい。
酸性触媒の使用量が少なすぎると反応速度が遅く、使用量が多すぎると反応が急激に進み反応をコントロールすることが難しくなる。
2段目の反応での反応温度は、30〜150℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。反応温度があまりに低いと反応は進まず、あまりに高すぎると反応をコントロールすることが難しくなり、目的の液状多価ヒドロキシ樹脂を安定的に得ることが難しくなる。
2段目の反応により得られる反応生成物は、構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の割合が70〜90質量%であり、質量平均分子量が800〜1600であれば、そのまま本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂とすることができる。
2段目の反応の後、必要に応じて、反応生成物に対し、蒸留等による未反応の原料の除去、濃縮、精製(洗浄、カラムクロマトグラフィー、等)等の処理を行ってもよい。未反応のホルムアルデヒドおよび化合物(m1)は洗浄や蒸留等により除去することが好ましい。他のフェノール類を用いた場合は他のフェノール類も除去することが好ましい。
製造方法(i)において、化合物(m1)、(m2)およびホルムアルデヒドとともに他のフェノール類を反応させる場合、他のフェノール類を反応させるタイミングは、ホルムアルデヒドとの反応性に応じて適宜設定できる。たとえば一段目の反応の際に反応させてもよく、二段目の反応の際に反応させてもよく、それらの両方の際に反応させてもよい。
他のフェノール類がアリルフェノールである場合、アリルフェノールは、化合物(m1)と同様、化合物(m2)よりもホルムアルデヒドとの反応性が高い。そのため、他のフェノール類がアリルフェノールである場合、化合物(m2)とホルムアルデヒドとを反応させた後、その反応生成物と反応させることが好ましい。つまり、化合物(m2)とホルムアルデヒドとを塩基性触媒の存在下で反応させ、その反応生成物と化合物(m1)と他のフェノール類とを酸性触媒の存在下で反応させることが好ましい。
[マレイミド化合物(I)]
マレイミド化合物(I)は、1分子中にマレイミド基を2以上有するマレイミド化合物である。マレイミド化合物(I)としては、たとえば、1分子中にマレイミド基を2つ有するビスマレイミド類、ポリフェニルメタンマレイミド等が挙げられる。
ビスマレイミド類としては、たとえば、アルキルビスマレイミド、ジフェニルメタンビスマレイミド、フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼンが挙げられる。
ポリフェニルメタンマレイミドは、マレイミド基が置換した3以上のベンゼン環がメチレン基を介して結合した重合体である。
マレイミド化合物(I)としては、液状多価ヒドロキシ樹脂との相溶性に優れる点、および比較的安価である点から、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミドが好ましい。
マレイミド化合物(I)は、市販品を用いてもよい。具体的には、たとえば、大和化成工業社製の製品名「BMI−1100」(4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド)、製品名「BMI−2300」(ポリフェニルメタンマレイミド)が挙げられる。
マレイミド化合物(I)としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物では、液状多価ヒドロキシ樹脂の構成単位(u2)におけるRに含まれる不飽和基と、マレイミド化合物(I)のマレイミド基とが反応することで硬化が進行する。このように、本発明では、液状多価ヒドロキシ樹脂がマレイミド化合物(I)に対する硬化剤として機能する。
樹脂組成物中の液状多価ヒドロキシ樹脂が有する不飽和基の合計に対するマレイミド化合物(I)が有するマレイミド基の合計のモル比(マレイミド基/不飽和基)は、0.5〜3.0が好ましく、0.8〜2.0がより好ましく、0.9〜1.5がさらに好ましい。前記モル比が前記下限値以上であれば、得られる硬化物に耐熱性が良好かつ低弾性率の物性が付与できる。前記モル比が前記上限値以下であれば、耐熱性が良好である。
[他の成分]
本発明の樹脂組成物は、液状多価ヒドロキシ樹脂およびマレイミド化合物(I)に加えて、液状多価ヒドロキシ樹脂およびマレイミド化合物(I)以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、エポキシ樹脂、液状多価ヒドロキシ樹脂以外の他のマレイミド硬化剤、硬化促進剤、無機フィラー、溶剤、離型剤、表面処理剤、着色剤、可撓性付与剤等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、硬化物の密着性に優れる点、および硬化反応が進行しやすく硬化物の分子量が大きくなりやすい点から、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。液状多価ヒドロキシ樹脂とエポキシ樹脂は、液状多価ヒドロキシ樹脂の水酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基が反応することにより硬化反応が進行する。
エポキシ樹脂としては、特に限定されず、たとえば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、リン原子含有エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂として、液状多価ヒドロキシ樹脂の水酸基の少なくとも一部がエポキシ化されたエポキシ樹脂を用いてもよい。水酸基のエポキシ化は、公知の方法により実施できる。たとえば液状多価ヒドロキシ樹脂とエピクロロヒドリンとを反応させることで、液状多価ヒドロキシ樹脂の水酸基の一部または全部が−OZ(ここで、Zはグリシジル基である。)となった構造のエポキシ樹脂を得ることができる。
エポキシ樹脂は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
樹脂組成物中の液状多価ヒドロキシ樹脂の水酸基当量に対するエポキシ樹脂のエポキシ基当量の当量比(エポキシ基/水酸基)は、0.7〜1.5が好ましく、0.9〜1.1がより好ましい。当量比が前記範囲内であれば、得られる硬化物がより低弾性率なものになる。
他のマレイミド硬化剤としては、例えば、アリルノボラック型フェノール樹脂等のノボラック型樹脂が挙げられる。
硬化促進剤としては、液状多価ヒドロキシ樹脂とマレイミド化合物(I)との硬化反応を促進する硬化促進剤(以下、硬化促進剤(P)ともいう。)、硬化促進剤(P)以外の、液状多価ヒドロキシ樹脂とエポキシ樹脂との硬化反応を促進する硬化促進剤(以下、硬化促進剤(Q)ともいう。)が挙げられる。
硬化促進剤(P)としては、たとえば、イミダゾール類、有機過酸化物類が挙げられる。樹脂組成物がエポキシ樹脂を含む場合、硬化促進剤(P)としてイミダゾール類を用いれば、液状多価ヒドロキシ樹脂とエポキシ樹脂との硬化反応も促進される。
イミダゾール類としては、たとえば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、1−プロピル−2−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノメチル−2−メチル−イミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールが挙げられる。
有機過酸化物類としては、たとえば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステルが挙げられる。
硬化促進剤(P)としては、高温で比較的安定で、溶剤溶解性が良好で、取り扱いが容易なものが好ましく、イミダゾール類では2−エチル−4−メチルイミダゾール、有機過酸化物類ではジアルキルパーオキサイドのジクミルパーオキサイドが好ましい。
硬化促進剤(P)としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤(P)の含有量は、マレイミド化合物(I)に対し、0.1〜5.0質量%が好ましい。
硬化促進剤(Q)としては、特に限定されず、たとえば、リン系化合物、第3級アミン、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。
リン系化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリス−2,6−ジメトキシフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、亜リン酸トリフェニル等が挙げられる。第3級アミンとしては、2−ジメチルアミノメチルフェノール、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化促進剤(Q)としては、硬化性、耐熱性、電気特性がより優れる点、耐湿信頼性が低下しにくい点で、リン系化合物(特にトリフェニルホスフィン)が好ましい。
硬化促進剤(Q)の含有量は、エポキシ樹脂に対し、0.1〜5質量%が好ましい。
無機フィラーとしては、結晶性シリカ粉、溶融性シリカ粉、石英ガラス粉、タルク、ケイ酸カルシウム粉、ケイ酸ジルコニウム粉、アルミナ粉、炭酸カルシウム粉等が挙げられ、結晶性シリカ粉、溶融性シリカ粉が好ましい。
本発明の樹脂組成物中の無機フィラーの含有量は、樹脂組成物全体に対して、30〜90質量%が好ましい。
本発明の樹脂組成物を、封止材を形成する熱硬化性成型材料として用いる場合、本発明の樹脂組成物には硬化促進剤(P)と無機フィラーを配合することが好ましい。
本発明の樹脂組成物に溶剤を配合し、液状多価ヒドロキシ樹脂およびマレイミド化合物(I)を溶剤に溶解させることで樹脂ワニスとすることができる。
溶剤としては、液状多価エポキシ樹脂、マレイミド化合物(I)等を溶解するものであれば特に制限はなく、典型的には、極性溶剤が用いられる。極性溶剤としては、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、エタノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラヒドロフランが挙げられる。溶剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
離型剤としては、たとえばカルナバワックス等の各種ワックス類等が挙げられる。
表面処理剤としては、公知のシランカップリング剤等が挙げられる。
着色剤としては、カーボンブラック等が挙げられる。
可撓性付与剤としては、シリコーン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリルゴム等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物の硬化は、硬化温度を100〜250℃に制御して行うことが好ましい。硬化操作の一例としては、一旦前記の好適な硬化温度で30秒間以上3時間以下の硬化を行った後、さらに、前記の好適な硬化温度で1〜20時間の後硬化を行う方法が挙げられる。
以上説明したように、本発明の樹脂組成物は、特定の条件を満たす液状多価ヒドロキシ樹脂と、マレイミド化合物(I)とを含んでいるため、充分な耐熱性を確保しつつ、柔軟性及び靱性に優れた硬化物を形成できる。
このような効果が得られる要因としては、以下のように考えられる。液状多価ヒドロキシ樹脂が有する構成単位(u2)の長鎖のRに含まれる不飽和基がマレイミド化合物(I)のマレイミド基と反応するため、従来のアリルフェノール樹脂を用いる場合に比べて、硬化物が低弾性率化し、高靭性化すると考えられる。また、液状多価ヒドロキシ樹脂とマレイミド化合物(I)とで硬化させるため、充分な耐熱性も確保されると考えられる。
また、本発明の樹脂組成物により得られる硬化物は、高温貯蔵弾性率が低く熱的安定性に優れ、誘電率および誘電正接が低く電気特性にも優れている。熱的安定性および電気特性の向上にも、マレイミド化合物(I)のマレイミド基と反応させる液状多価ヒドロキシ樹脂のRがアリルフェノール樹脂のアリル基に比べて長いことが起因していると考えられる。
このように本発明の樹脂組成物の硬化物は、高ガラス転移温度、高靭性、低曲げ弾性率、高温での低貯蔵弾性率、低誘電率、低誘電正接であるため、高機能性高分子材料として極めて有用である。
本発明の樹脂組成物の用途としては、たとえば、半導体等の電子部品の封止材、電気絶縁材料、銅張り積層板用樹脂、レジスト、液晶のカラーフィルター用樹脂、各種コーティング剤、接着剤、ビルドアップ積層板材料、繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。
<樹脂ワニス>
本発明の樹脂ワニスは、液状多価ヒドロキシ樹脂と、マレイミド化合物(I)と、溶剤とを必須成分とする本発明の樹脂組成物からなる。本発明の樹脂組成物を用いることで、銅張り積層板等の積層板を製造できる。
樹脂ワニス中の溶剤の含有量は、樹脂ワニスの固形分濃度に応じて適宜設定される。樹脂ワニスの固形分濃度は、用途によっても異なるが、30〜80質量%が好ましく、50〜70質量%がより好ましい。
なお、樹脂ワニスの固形分濃度は、樹脂ワニスの総質量に対する、樹脂ワニスから溶剤を除いた質量の割合である。
本発明の樹脂ワニスは、マレイミド化合物(I)と液状多価ヒドロキシ樹脂と溶剤とを混合することで製造できる。各成分の混合は、常法により行うことができる。マレイミド化合物(I)と液状多価ヒドロキシ樹脂と溶剤とを混合する際、または混合した後に、必要に応じて、硬化反応触媒や他の成分をさらに混合してもよい。
本発明の樹脂ワニスは、マレイミド化合物(I)と液状多価ヒドロキシ樹脂と溶剤とを混合した後、マレイミド化合物(I)と液状多価ヒドロキシ樹脂とを前反応させてもよい。ワニス状態で前反応を行うことで、結晶性が高いマレイミド化合物(I)が樹脂ワニスから析出することを抑制できる。
前反応を行う際の反応温度は、50〜150℃が好ましく、70〜130℃がより好ましく、80〜120℃がさらに好ましい。反応温度があまりに低いと反応は進まない。また、反応温度があまりに高すぎると反応をコントロールすることが難しくなり、樹脂ワニスを安定的に得ることが難しくなる。
本樹脂ワニスから得られる硬化物は、高ガラス転移温度、高靭性、高温での低貯蔵弾性率、低誘電率、低誘電正接である。また、他部材(たとえば銅張積層板に用いられる銅箔や、ガラスクロス等の繊維質基材等)との密着性に優れる。そのため、本発明の樹脂ワニスは、電子部品に用いられる積層板の製造用の材料として有用である。
<積層板の製造方法>
本発明の積層板の製造方法は、繊維質基材に本発明の樹脂ワニスを含浸させたプリプレグを含む積層物を加熱加圧し、硬化させて積層板を得る方法である。
積層物におけるプリプレグの積層数は、1層であってもよく、2層以上であってもよい。積層物においては、プリプレグ以外の他の基材を積層してもよい。他の基材としては、たとえば、銅箔等の金属箔が挙げられる。
繊維質基材を構成する繊維としては、たとえば、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ステンレス繊維等の無機繊維;綿、麻、紙等の天然繊維;ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の合成有機繊維が挙げられる。これらの繊維は、いずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
繊維質基材の形状は、特に限定されず、例えば、短繊維、ヤーン、マット、シート等が挙げられる。
本発明の積層板の製造方法で製造される積層板は、繊維質基材と樹脂ワニスの硬化物とを含む繊維強化樹脂層を備える。積層板が備える繊維強化樹脂層の数は1層でもよく2層以上でもよい。積層板は、銅箔等の金属箔層を有していてもよい。
本発明の積層板の製造方法の一例としては、たとえば、以下の方法が挙げられる。樹脂ワニスを繊維質基材に含浸させ、乾燥し、溶剤を除去してプリプレグとする。プリプレグと、必要に応じて使用する他の基材とを積層して積層物を形成し、該積層物を加熱加圧して硬化させ、積層板を得る。
繊維質基材に含浸させる本樹脂ワニスの量としては、特に限定されず、たとえば、含浸される樹脂ワニスの固形分量が、繊維質基材(100質量%)に対して30〜50質量%程度となるようにする。
積層物を加熱加圧する際の加熱温度は、前述の硬化温度が好ましい。加圧条件としては、2〜20kN/mが好ましい。
本発明の積層板の製造方法により得られる積層板は、繊維質基材と本発明の樹脂ワニスの硬化物とを含む繊維強化樹脂層を備えている。該繊維強化樹脂層は、樹脂ワニスの硬化物が高ガラス転移温度、高靭性、高温での低貯蔵弾性率、低誘電率、低誘電正接である。また、金属箔層を備える場合の金属箔層と繊維強化樹脂層との間の密着性や、繊維強化樹脂層内での繊維質基材と樹脂ワニスの硬化物との間の密着性も優れている。
<熱硬化性成型材料>
本発明の熱硬化性成型材料は、本発明の樹脂組成物からなる。本発明の熱硬化性成型材料は、溶剤を含まないことが好ましい。
<封止材>
本発明の封止材は、本発明の熱硬化性成型材料の硬化物からなる。
封止材の形状は、特に限定されず、たとえば、公知の半導体等で採用される形状と同様の形状を採用できる。
本発明の熱硬化性成型材料を用いて封止材を形成する方法としては、たとえばトランスファー成型法、圧縮成型法等を用いて半導体を封止する方法が挙げられる。
本発明の封止材は、高ガラス転移温度、高靭性、高温での低貯蔵弾性率、低誘電率、低誘電正接である。そのため、高温に曝された際や衝撃による破損が発生しにくく、信頼性および電気特性に優れた電子部品が得られる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
以下の各例において「%」は、特に限定のない場合は「質量%」を示す。
[質量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)]
質量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、下記の測定装置およびカラムを使用し、ゲル浸透クロマトグラフ分析(GPC)により、標準物質をポリスチレンとして測定した。
測定装置:東ソー社製 HLC8120GPC、
カラム:TSKgel G3000H+G2000H+G2000H。
[水酸基当量]
自動滴定装置(平沼産業製COM−1700S)を用い、無水酢酸によるアセチル化法で水酸基当量を測定した。
[不飽和基当量]
13C−NMRにより、不飽和基当量を測定した。
[粘度]
25℃に設定したE型粘度計(TOKIMEC製)により粘度を測定した。
[ガラス転移温度(Tg)]
得られた成型物を幅10.0mm×長さ5.5mm×厚さ1.0mに加工し、粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス社製 DMA7100)を用いて、2℃/分の昇温速度で30℃〜400℃の範囲でTgを測定した。
[貯蔵弾性率]
得られた成型物を幅10.0mm×長さ5.5mm×厚さ1.0mに加工し、粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス社製 DMA7100)を用いて、2℃/分の昇温速度で15℃〜400℃の範囲で測定し、25℃と200℃における貯蔵弾性率を求めた。
[曲げ弾性率、曲げ強度]
成型物の曲げ弾性率および曲げ強度を、JIS K 6911:1995に準拠した方法により測定した。
[誘電率、誘電正接]
得られた成型物を幅50.0mm×長さ50.0mm×厚さ1.5mmに加工し、空洞共振摂動法により、1GHzにおける誘電率および誘電正接を求めた。
<製造例1>
精製カシューナットシェルリキッド(精製CNSL)として、GOLDEN CASHEW PRODUCTS PVT社製、商品名:CARDANOLを用意した。この精製CNSLは、カルダノールの含有量が90.44%、カルドールの含有量が4.02%、メチルカルドールの含有量が1.04%で、それらの合計(有効成分量)が95.5%であった。
温度計、撹拌機、冷却管を備えた内容量3Lのガラス製フラスコに、精製CNSL300g、フェノール6g、メタノール150g、50%ホルムアルデヒド水溶液120g(2.0モル、精製CNSLに対し40%)を仕込み、その混合液に30%水酸化ナトリウム水溶液133gを35℃で2時間かけて滴下した。その後、35℃にて精製CNSLのメチロール化反応を6時間行った。次いで、オルソクレゾールを648g(6モル、精製CNSLに対し216%)添加し、水洗を行い、中和塩を除去後、シュウ酸6.49gを添加して系内を酸性にし、100℃で4時間、オルソクレゾールの付加反応を行った。次いで、水洗を行い、その後、過剰のオルソクレゾールを留去し、液状多価ヒドロキシ樹脂Aを得た。
液状多価ヒドロキシ樹脂Aの25℃における粘度は25.1Pa・s、Mwは1380、Mw/Mnは1.492、水酸基当量は203g/eq、不飽和基当量は合計で176.7g/eqであった。また、液状多価ヒドロキシ樹脂Aの総質量に対し、構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の割合は75.4%(残部が24.6%)、化合物(m2)の割合は6.6%であった。これらの割合は、液状多価ヒドロキシ樹脂Aの質量、使用した精製CNSL量およびGPCにより求めた(以下、同様。)。
<製造例2>
温度計、撹拌機、冷却管を備えた内容量3Lのガラス製フラスコに、製造例1で用いたのと同じ精製CNSL300g、メタノール150g、50%ホルムアルデヒド水溶液90g(1.5モル、精製CNSLに対し30%)を仕込み、その混合液に30%水酸化ナトリウム水溶液133gを35℃で2時間かけて滴下した。その後、35℃にて精製CNSLのメチロール化反応を6時間行った。次いで、オルソクレゾールを648g(6モル、精製CNSLに対し216%)添加し、30%酢酸220gを用いて中和した後、水洗を行い、中和塩を除去後、シュウ酸6.49gを添加して系内を酸性にし、100℃で4時間、オルソクレゾールの付加反応を行った。次いで、水洗を行い、その後、過剰のオルソクレゾールを留去し、液状多価ヒドロキシ樹脂Bを得た。
液状多価ヒドロキシ樹脂Bの25℃における粘度は7.8Pa・s、Mwは1326、Mw/Mnは1.514、水酸基当量は206g/eq、不飽和基当量は合計で185.1g/eqであった。また、液状多価ヒドロキシ樹脂Bの総質量に対し、構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の割合は80.0%(残部が20.0%)、化合物(m2)の割合は11.2%であった。
<製造例3>
温度計、撹拌機、冷却管を備えた内容量3Lのガラス製フラスコに、製造例1で用いたのと同じ精製CNSL300g、メタノール150g、50%ホルムアルデヒド水溶液120g(2.0モル、精製CNSLに対し40%)を仕込み、その混合液に30%水酸化ナトリウム水溶液133gを35℃で2時間かけて滴下した。その後、35℃にて精製CNSLのメチロール化反応を6時間行った。次いで、オルソクレゾールを648g(6モル、精製CNSLに対し216%)添加し、水洗を行い、中和塩を除去後、シュウ酸6.49gを添加して系内を酸性にし、100℃で4時間、オルソクレゾールの付加反応を行った。次いで、水洗を行い、その後、過剰のオルソクレゾールを留去し、液状多価ヒドロキシ樹脂Cを得た。
液状多価ヒドロキシ樹脂Cの25℃における粘度は24.4Pa・s、Mwは1374、Mw/Mnは1.489、水酸基当量は201g/eq、不飽和基当量は合計で175.2g/eqであった。また、液状多価ヒドロキシ樹脂Cの総質量に対し、構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の割合は75.5%(残部が24.5%)、化合物(m2)の割合は6.3%であった。
<製造例4>
比較対象として、アリルフェノールホルムアルデヒド樹脂D(群栄化学工業社製、製品名:XPL−4437E)を用意した。アリルフェノールホルムアルデヒド樹脂Dは常温で液状であり、25℃における粘度は31Pa.s、不飽和基当量は合計で135.7g/eqであった。
<実施例1>
製造例1で得た液状多価ヒドロキシ樹脂Aと、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(大和化成工業社製、製品名:BMI−1100)とを、モル比(マレイミド基/不飽和基)が1となるように、表1に示す配合量で混合して樹脂組成物を得た。
前記樹脂組成物を135℃で溶融させ、幅100mm×長さ100mm×厚さ1mmのキャビティを有する金型に流し込み、200℃でプレス成型した後、230℃で5時間加熱して後硬化反応を行い、幅100mm×長さ100mm×厚さ1mmの成型物を得た。
<実施例2〜4、比較例1、2>
樹脂組成物の組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、成型物を作製した。
各例で得た成型物の評価結果を表2に示す。
Figure 2019001867
なお、表1における略号は以下の意味を示す。
BMI−1100:4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(大和化成工業社製、製品名:BMI−1100)、
BMI−2300:ポリフェニルメタンマレイミド(大和化成工業社製、製品名:BMI−2300)。
Figure 2019001867
表2に示すように、本発明で規定する特定の液状多価ヒドロキシ樹脂とマレイミド化合物(I)を含む樹脂組成物を用いた実施例1〜4の硬化物は、ガラス転移温度が高く耐熱性に優れ、曲げ強度が高く靱性に優れ、また200℃の貯蔵弾性率(高温貯蔵弾性率)が低く熱的安定性に優れ、また誘電率および誘電正接が低く電気特性に優れていた。
一方、液状多価ヒドロキシ樹脂の代わりにアリルフェノールホルムアルデヒド樹脂を用いた比較例1、2の硬化物は、実施例1〜4に比べて、曲げ強度が低く靱性が劣り、また高温貯蔵弾性率が高く熱的安定性が劣り、また誘電率および誘電正接が高く電気特性が劣っていた。

Claims (9)

  1. 液状多価ヒドロキシ樹脂と、1分子中にマレイミド基を2以上有するマレイミド化合物とを含み、
    前記液状多価ヒドロキシ樹脂は、下記式(u1)で表される構成単位と、下記式(u2)で表される構成単位とを有し、かつ下記式(m2)で表される化合物を含み、
    前記液状多価ヒドロキシ樹脂の総質量に対する前記式(u2)で表される構成単位と前記式(m2)で表される化合物との合計質量の割合が70〜90質量%であり、
    前記液状多価ヒドロキシ樹脂の質量平均分子量が800〜1600である、樹脂組成物。
    Figure 2019001867
    [式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは不飽和基を含む炭素数10〜25の直鎖または分岐状の炭化水素基であり、Xは水素原子または水酸基であり、mおよびnはそれぞれ独立に0または1であり、Yは水素原子またはメチル基である。]
  2. 前記液状多価ヒドロキシ樹脂が有する不飽和基の合計に対する前記マレイミド化合物が有するマレイミド基の合計のモル比(マレイミド基/不飽和基)が、0.5〜3.0である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. エポキシ樹脂をさらに含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記液状多価ヒドロキシ樹脂と前記マレイミド化合物との硬化反応を促進する硬化促進剤と、無機フィラーとをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 溶剤をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項5に記載の樹脂組成物からなる樹脂ワニス。
  7. 繊維質基材に請求項6に記載の樹脂ワニスを含浸させたプリプレグを含む積層物を加熱加圧し、硬化させて積層板を得る、積層板の製造方法。
  8. 請求項4に記載の樹脂組成物からなる熱硬化性成型材料。
  9. 請求項8に記載の熱硬化性成型材料の硬化物からなる封止材。
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