JP3456334B2 - 水溶性固形描画材 - Google Patents

水溶性固形描画材

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JP3456334B2 JP03298696A JP3298696A JP3456334B2 JP 3456334 B2 JP3456334 B2 JP 3456334B2 JP 03298696 A JP03298696 A JP 03298696A JP 3298696 A JP3298696 A JP 3298696A JP 3456334 B2 JP3456334 B2 JP 3456334B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、画用紙などの被描
画面に描画後、描画跡に水を含む筆で加筆する事によ
り、水彩絵の具のような描画面が得られる描画材及び水
を含ませた画筆でその表面を数回こするだけで使用する
色を速やかに画筆に含ませることができる固形絵具など
の水溶性固形描画材に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種の水溶性固形描画材は、特
開平3−153778号や特開昭63−199775号
といった出願がある。特開平3−153778号公報に
は、水溶性結合材、滑剤、顔料、界面活性剤を主剤とし
て使用し、前記滑剤の少なくとも一部としてポリエチレ
ングリコールを含有することを特徴とする水彩色鉛筆芯
が開示されており、特開昭63−199775号公報に
は、常温で固形のワックス類、HLB価10以上の非イ
オン系界面活性剤及びヒドロキシル価80以上のワック
ス類からなる基剤に着色料を配合してなることを特徴と
する水溶性固形描画材が開示されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特開平
3−153778号公報に記載された水彩色鉛筆芯は、
画用紙に描画後、水を含む筆で加筆したとき溶解した描
画材の伸びが悪く、水に溶解した描画跡が画用紙に浸透
したりして描画面がまだらになるという問題があり、更
に、この水彩色鉛筆芯の製造においては、鉛筆芯の原料
に水を加え混練、成形する為、その後、長時間乾燥する
という工程を伴ない、製造工程上にも問題を有するもの
だった。また、特開昭63−199775号公報に記載
された水溶性固形描画材は、水溶性は良好だが、描画材
がもろく折損強度が弱い、更に描画跡が柔らかく手指、
画用紙などを汚してしまうという問題があった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、顔料と、ワッ
クスと、界面活性剤と、ポリエステルポリオール樹脂と
から少なくともなる水性固形描画材を要旨とする。 【0005】以下、本発明を詳述する。本発明の水溶性
固形描画材に使用する顔料は、着色材として使用するも
のであって、従来公知の、カーボンブラック、酸化チタ
ン、鉄黒、群青、弁柄、酸化亜鉛、フタロシアニンブル
ー、フタロシアニングリーン、ワッチングレッド、カー
ミン6B、ハンザイエロー等の無機顔料、有機顔料を問
わず使用可能であって、単独又は2種以上混合して用い
ても良い。その使用量は、顔料の種類によって大きく異
なるが、発色並びに描画性を考慮すれば水溶性固形描画
材全量に対して3〜40重量%が好ましい。 【0006】本発明の水溶性固形描画材に使用するワッ
クスは、水溶性固形描画材の塗布性能を向上するために
使用するものであって、蜜ろう、鯨ろう、虫白ろう等の
動物系ワックス、キャンデリラワックス、カルナバワッ
クス、木ろう等の植物系ワックス、モンタンワックス、
オゾケライト等の鉱物系ワックス、パラフィンワック
ス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス
といった天然ワックスや、フィッシャートロプシュワッ
クス、低分子量ポリエチレン及びこれらの誘導体、モン
タンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタ
リンワックスの各々の誘導体、セチルアルコール、ステ
アリン酸、ポリエチレングリコールステアレート、カス
ターワックス等の合成ワックス等が挙げられ、単独又は
2種以上混合して用いても良い。その使用量は、水溶性
固形描画材全量に対して5〜50重量%が好ましい。
尚、石油系及び低分子量ポリエチレン及びこれらの誘導
体は、一部の無機顔料と併用した場合凝集を起こす場合
もあるので、凝集が発生しないように適宜組み合わせる
ことが好ましい。 【0007】本発明の水溶性固形描画材に使用する界面
活性剤は、水溶性固形描画材を水に可溶化するために使
用するものであって、具体的には、アニオン系のアルキ
ルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン
酸塩、ノニオン系のグリセリン脂肪酸エステル、ポリグ
リセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリ
ン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン
ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビ
トール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・ポリオキ
シプロピレンアルキルエーテル等が挙げられ、単独又は
2種以上混合して用いても良い。その使用量は、水溶性
固形描画材全量に対して10.0〜40.0重量%が好
ましい。10.0重量%より少ないとその効果が充分に
得られない場合があり、また、40.0重量%より多い
と描画材表面にベトツキが発生し易くなる為である。上
記界面活性剤中、特に、ポリオキシエチレンのモル数が
20〜50モル、アルキル基の炭素数が16〜22のポ
リオキシエチレンアルキルエーテルは、吸湿と水への可
溶化のバランスがもっと好ましく、この界面活性剤を用
いた水溶性固形描画材は、多湿下に於いても水分を吸湿
しにくく、経時的に変化が少ないという利点を有する。 【0008】本発明の水溶性固形描画材に使用するポリ
エステルポリオール樹脂は、熱可塑性の水溶性樹脂であ
り塗膜強度と折損強度を上げる為に使用するものであ
る。ポリエステルポリオール樹脂の市販品としては、パ
オゲンPP−15、同EP−15(以上、第一工業製薬
(株)製が例示できる。その使用量は、水溶性固形描画
材全量に対して1.0重量%〜15.0重量%が好まし
い。これは、1.0重量%より少ないとその効果が十分
に得られない場合があり、また、15.0重量%より多
いと固形描画材が硬くなり、描画時の定着性が低下した
りカス出の原因となる為である。 【0009】尚、上記各成分以外、必要に応じて、増量
剤若しくは充填剤として従来公知のマイカ、クレー、カ
オリン、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウ
ム等の体質顔料を水溶性固形描画材全量に対して5〜5
0重量%併用し得ること勿論である。 【0010】本発明の水溶性固形描画材は、従来公知の
固形描画材の製造方法を用いて製造することができる。
例えば、上記各成分を加熱撹拌混合し、また必要に応じ
てニーダー、ロールミル等の混練機で混練し、これを冷
却し、粉砕してペレット化する。このペレットを、射出
・圧入若しくは押し出し成形機を用いて水溶性固形描画
材として成形するといった方法が挙げられる。 【0011】 【作用】本発明に係る水溶性固形描画材に用いるポリエ
ステルポリオール樹脂は、熱可塑性の水溶性樹脂であ
る。熱可塑性樹脂であるので容易に熱で溶解し混練、成
形が容易である。また、成形された水溶性固形描画材に
十分な折損強度を付与すると共に、描画跡の伸びを抑え
る為、手脂、画用紙などの摩過による描画跡の汚れが少
ない。そして、水溶け時、水溶性の樹脂であり、分子鎖
が長いので紙繊維へ入り込めず、従って、溶けた部分の
画用紙などへの浸透を抑え、かつ、画用紙への定着力を
上げる効果がある。故に、本発明に係る水溶性固形描画
材は、折損強度が十分であり、描画跡の画用紙などへの
定着性が良く、水溶け、伸びが良好となる。 【0012】 【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 実施例1 群青 20重量部 カルナバワックス 35重量部 ポリオキシエチレン(10)ラウリルリン酸ナトリウム 35重量部 パオゲンPP−15(ポリエステルポリオール樹脂) 10重量部 上記成分を100〜120℃で加熱混合撹拌し、クーリ
ングベルトで冷却し、粉砕してペレット化する。このペ
レットを90〜110℃に設定した射出成形機にて射出
成形し、長さ100mm、直径7.3mmの水溶性固形
描画材を得た。尚、ポリオキシエチレンの()内の数値
は、ポリオキシエチレンのモル数を示す。以下、同じ。 【0013】 実施例2 酸化チタン 3重量部 フタロイシアニングリーン 7重量部 牛硬化油 10重量部 12−ヒドロキシステアリン(ワックス) 15重量部 ポリオキシエチレン(40)モノステアレート 20重量部 パオゲンEP−15(ポリエステルポリオール樹脂) 13重量部 マイカ 20重量部 タルク 12重量部 上記成分を実施例1と同様になして水溶性固形描画材を得た。 【0014】 実施例3 酸化チタン 1重量部 ハンザイエロー 8重量部 ジヘプタデシルケトン(ワックス) 13重量部 カルバナワックス 15重量部 ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル 22重量部 パオゲンEP−15(ポリエステルポリオール樹脂) 7重量部 PEO−1(ポリエチレンオキサイド樹脂) 1重量部 炭酸カルシウム 1重量部 タルク 13重量部 上記成分を実施例1と同様になして水溶性固形描画材を得た。 【0015】 実施例4 カーボンブラック 7重量部 群青 2重量部 モンタンワックス 18重量部 ライスワックス 15重量部 ポリオキシエチレン(25)オレイルエーテル 15重量部 ポリオキシエチレン(30)ベヘニルエーテル 5重量部パオゲン EP−15(ポリエステルポリオール樹脂) 10重量部 クレー 28重量部 上記成分を実施例1と同様になして水溶性固形描画材を得た。 【0016】 実施例5 酸化チタン 5重量部 フタロシアニンブルー 8重量部 130°Fパラフィンワックス 2重量部 キャンデリラワックス 20重量部 ポリオキシエチレン(20)ノニルフェニルエーテル 25重量部 パオゲンEP−15(ポリエステルポリオール樹脂) 8重量部 PEO−3(ポリエチレンオキサイド樹脂) 1重量部 炭酸カルシウム 20重量部 タルク 6重量部 ステアリン酸 5重量部 上記成分を実施例1と同様になして水溶性固形描画材を得た。 【0017】比較例1 実施例1において、パオゲンEP−15を除いた他は実
施例1と同様になして水溶性固形描画材を得た。 【0018】 比較例2 酸化チタン 6重量部 カーミン6B 10重量部 カスターワックス 2重量部 キャンデリラワックス 25重量部 ポリオキシエチレン(15)グリセリンモノステアレート 25重量部 炭酸カルシウム 30重量部 上記成分を実施例1と同様になして水溶性固形描画材を得た。 【0019】比較例3 実施例3において、パオゲンEP−15の代わりにポリ
エチレングリコールを用いた他は実施例3と同様になし
て水溶性固形描画材を得た。 【0020】比較例4 実施例4において、パオゲンEP−15及びPOE−1
を除いた他は実施例4と同様になして水溶性固形描画材
を得た。 【0021】比較例5 実施例3において、パオゲンEP−15を除いた他は実
施例3と同様になして水溶性固形描画材を得た。 【0022】 比較例6 酸化チタン 6重量部 カーミン6B 10重量部 カスターワックス 2重量部 キャンデリラワックス 25重量部 ポリオキシエチレン(15)グリセリンモノステアレート 25重量部 PEO−15(ポリエチレンオキサイド樹脂) 2重量部 炭酸カルシウム 30重量部 上記成分を実施例1と同様になして水溶性固形描画材を得た。 【0023】上記実施例1〜及び比較例1〜で得ら
れた水溶性固形描画材を用いて、水溶け性試験、伸び試
験、折損強度試験を行った。結果を表1に示す。 【0024】水溶け性試験:画用紙に上記水溶性固形描
画材を用い、塗布圧300gf±100gfで幅2c
m、長さ5cmの区間に塗布する。水を含ませた絵筆
(10号画筆、ぺんてる(株)製)を用い幅2cmの描
画跡に対して上下に3cmづつの区間を3往復させる。
画用紙を乾燥した後、カラーコンピューター(Mode
lSM−4、スガ試験機(株)製)にて、各部分のY値
を測定し、下記式に従って水溶け率を算出した。 A:描画した部分中、上記絵筆でなぞり、溶解した部分
のY値。 B:描画した部分中、上記絵筆でなぞっていない部分の
Y値。 C:画用紙自体のY値。 水溶け率=((C−B)/(C−A))×100
(%) 尚、水溶け率は、値が大きい程水溶け性がよい事を示
す。 【0025】伸び試験:画用紙に上記水溶性固形描画材
を用い、塗布圧300gf±100gfで3×3cmの
区間に縦横1回づつ塗布する。この描画跡を水を含ませ
た絵筆(10号画筆、ぺんてる(株)製)を用いて塗布
部を上下に3往復させた後、上下に幅3cm±1cm間
でふでを上下させながら塗布部より右に20cm移動さ
せる。試験後、色の伸び具合を伸ばした部分の着色部の
目視によって評価した。 ◎:最後まで色が濃く伸びが
非常に良好。 ○:色が少々薄くなるが伸びが良好。 △:色が薄くなり伸びが悪い。 ×:色が画用紙に浸透する。 【0026】折損強度試験:上記水溶性固形描画材を支
点間距離40mmに支持し、その中央部に先端形状が半
径5mm、幅5mmの折損用治具を用いて、速度2cm
/分で水溶性固形描画材に荷重を加え、水溶性固形描画
材が折損したときの荷重を5本測定し、その平均値を求
める。 【0027】 【表1】【0028】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る水溶性固形描画材は、折損強度が十分で、水溶け、伸
びが良好であり、水性固形描画材として優れた特性を示
すものである。尚、特に実施例3、4で得られた水溶性
固形描画材は、多湿下において、他の実施例とも比較し
ても吸湿率が非常に少なく、経時安定性に非常に優れた
品質を示した。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 顔料と、ワックスと、界面活性剤と、
    リエステルポリオール樹脂とから少なくともなる水性固
    形描画材。
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