JP3453264B2 - インクジェットプリンタヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットプリンタヘッドの製造方法

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JP3453264B2
JP3453264B2 JP31728796A JP31728796A JP3453264B2 JP 3453264 B2 JP3453264 B2 JP 3453264B2 JP 31728796 A JP31728796 A JP 31728796A JP 31728796 A JP31728796 A JP 31728796A JP 3453264 B2 JP3453264 B2 JP 3453264B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電部材を用いた
オンデマンド方式のインクジェットプリンタヘッドの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、インク供給部に接続されて並設さ
れた多数のインク室の先端に、インク吐出口を有するノ
ズル板を固定し、インク室の圧力を高めてインク吐出口
からインク滴を飛翔させるようにしたインクジェットプ
リンタヘッドがある。このようなインクジェットプリン
タヘッドにおいて、インク室のインク圧を高める方法と
しては、特開昭63−247051号公報に開示された
技術がある。すなわち、インク室の両側に配列された側
壁の少なくとも一部を圧電部材により形成し、その側壁
の側面に電極を形成し、この電極に電圧を印加すること
により側壁を変形させ、この時の印加電圧の極性により
側壁の変形方向を変えることにより、インク室の容積を
拡張してインク供給部からインクを吸引したり、インク
室の容積を縮小させて内部のインクをインク吐出口から
吐出させるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述の特開昭63−2
47051号公報で開示された構造のインクジェットプ
リンタヘッドのヘッド本体は、少なくとも一方が圧電部
材よりなる上部基板と下部基板とを接着により一体化し
て基板を形成し、この基板に天板を接着剤により接着
し、かつ、基板と天板とが一体化されたものにノズル板
を接着すると云う手段により形成されている。
【0004】このようなインクジェットプリンタヘッド
の製造過程において、接着工程が必須のものとなってい
るが、接着面に気泡が混入することは許されない。すな
わち、基板と天板とノズル板とにより互いに近接して多
数のインク室が並設されるものであるが、接着時に気泡
が混入すると、その気泡のためにインク室間でリークが
生じ、所望のインク室の圧力を高めることができず、イ
ンクジェットプリンタヘッドとしては致命的な欠陥とな
る。
【0005】このようなことから、接着面に気泡が入ら
ないようにする技術として、技術分野は異なるが、特開
昭61−292244号公報に記載されたものがある。
すなわち、接着面に接着剤を塗布した接着部材を真空雰
囲気中におくことにより接着剤中から脱泡する方法であ
る。この方法は、接着剤からの脱泡と云う観点からは優
れたものであるが、前述の技術では、接着すべき部材の
接合が部材の自重によるものであるため、両者間の圧接
力が不足して浮き上がることがあり、そのままであると
大気圧に戻した時に、浮き上がった部分に気泡が発生す
ることになり、所期の目的を達成することができないと
云う問題がある。
【0006】本発明は、特開昭61−292244号公
報に記載された技術を利用するとともに上部基板と下部
基板、基板と天板、基板とノズル板との間に気泡が混入
することなく確実に接着することができ、かつ、接着層
の厚さを薄くすることができるインクジェットプリンタ
ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
板厚方向に分極した少なくとも1枚以上の圧電部材を積
層した基板を形成し、この基板に互いに平行な複数の溝
とこれらの溝を隔てる少なくとも一部が前記圧電部材か
らなる側壁とを等間隔に形成し、前記側壁を形成する圧
電部材に電圧を印加する電極とこれらの電極に接続され
た配線パターンとを前記基板に形成し、前記溝の上部を
覆う天板と前記溝の正面部を覆うノズル板とを取り付け
て複数のインク室を形成したインクジェットプリンタヘ
ッドにおいて、少なくとも一方が圧電部材よりなる上部
基板又は下部基板のいずれかに接着剤を塗布し、弾性部
材により上部容器と下部容器とに上下に分割された前記
下部容器に前記上部基板と前記下部基板とを非接触状態
で前記弾性部材に近接した側を弾発的に保持して配置
し、前記上部容器と前記下部容器との両者の内部を真空
として放置し、所定時間経過後に前記上部容器を大気圧
に戻して前記上部基板と前記下部基板とを互いに圧接す
るようにしたことを特徴とするものである。したがっ
て、上部基板と下部基板とは下部容器内の真空中に放置
されている間に接着剤からの脱泡が有効になされ、つい
で、上部容器を大気圧にすることによりその大気圧と下
部容器の内部圧力との差により上部基板と下部基板とが
均等に圧接され、これにより、大気圧に戻した時に両者
間に気泡がない状態で、かつ、接着剤の層が薄い状態で
両者を接着することができるものである。
【0008】請求項2記載の発明は、板厚方向に分極し
た少なくとも1枚以上の圧電部材を積層した基板を形成
し、この基板に互いに平行な複数の溝とこれらの溝を隔
てる少なくとも一部が前記圧電部材からなる側壁とを等
間隔に形成し、前記側壁を形成する圧電部材に電圧を印
加する電極とこれらの電極に接続された配線パターンと
を前記基板に形成し、前記溝の上部を覆う天板と前記溝
の正面部を覆うノズル板とを取り付けて複数のインク室
を形成したインクジェットプリンタヘッドにおいて、前
記基板又は前記天板のいずれかに接着剤を塗布し、弾性
部材により上部容器と下部容器とに上下に分割された前
記下部容器に前記基板と前記天板とを非接触状態で前記
弾性部材に近接した側を弾発的に保持して配置し、前記
上部容器と前記下部容器との両者の内部を真空として放
置し、所定時間経過後に前記上部容器を大気圧に戻して
前記基板と前記天板とを互いに圧接するようにしたもの
である。したがって、基板と天板とは下部容器内の真空
中に放置されている間に接着剤からの脱泡が有効になさ
れ、ついで、上部容器を大気圧にすることによりその大
気圧と下部容器の内部圧力との差により基板と天板とが
均等に圧接され、これにより、大気圧に戻した時に両者
間に気泡がない状態で、かつ、接着剤の層が薄い状態で
両者を接着することができるものである。
【0009】請求項3記載の発明は、板厚方向に分極し
た少なくとも1枚以上の圧電部材を積層した基板を形成
し、この基板に互いに平行な複数の溝とこれらの溝を隔
てる少なくとも一部が前記圧電部材からなる側壁とを等
間隔に形成し、前記側壁を形成する圧電部材に電圧を印
加する電極とこれらの電極に接続された配線パターンと
を前記基板に形成し、前記溝の上部を覆う天板と前記溝
の正面部を覆うノズル板とを取り付けて複数のインク室
を形成したインクジェットプリンタヘッドにおいて、前
記基板又は前記ノズル板のいずれかに接着剤を塗布し、
弾性部材により上部容器と下部容器とに上下に分割され
た前記下部容器に前記基板と前記ノズル板とを非接触状
態で前記弾性部材に近接した側を弾発的に保持して配置
し、前記上部容器と前記下部容器との両者の内部を真空
として放置し、所定時間経過後に前記上部容器を大気圧
に戻して前記基板と前記ノズル板とを互いに圧接するよ
うにしたものである。したがって、基板とノズル板とは
下部容器内の真空中に放置されている間に接着剤からの
脱泡が有効になされ、ついで、上部容器を大気圧にする
ことによりその大気圧と下部容器の内部圧力との差によ
り基板とノズル板とが均等に圧接され、これにより、大
気圧に戻した時に両者間に気泡がない状態で、かつ、接
着剤の層が薄い状態で両者を接着することができるもの
である。
【0010】請求項4記載の発明は、下部容器内に配置
される接着剤が塗布された部材の下地を接着剤の粘度が
最も低くなる温度に設定したものである。したがって、
接着剤をスクリーン印刷等により塗布した時に発生する
メッシュ跡の凹凸を低下させて接着剤との濡れ性を向上
させることができ、接着層を平滑な塗膜にすることがで
きるものである。
【0011】請求項5記載の発明は、上部容器と下部容
器との真空度は、30torr以下とするものである。
したがって、接着剤層に残留していた気泡の除去を有効
に行うことができるものである。
【0012】請求項6記載の発明は、弾性部材の硬度
は、20〜50(JIS−A)、厚さは0.5〜5mm
であるものである。したがって、上部容器の内部を大気
圧に戻したときに、下部容器内に配設された部材に有効
に圧接力を作用させることができるものである。
【0013】
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の第一の形態を図面
に基づいて説明する。図1はインクジェットプリンタヘ
ッド1の全体構造を示すもので、板厚方向に分極した2
枚の圧電部材よりなる上部基板2と下部基板3とをその
分極方向が逆向きとなるように接着して二層構造の基板
4を形成する。次に、この基板4に対して、研削加工を
施すことにより、上部基板2の表面から下部基板3の内
部に達する複数の溝5とこの溝5の両側に位置する側壁
6を形成する。なお、この研削作業に際しては、ICウ
ェハーの切断用に用いるダイシングソーのダイヤモンド
ホィール等を用いる。
【0015】次に、無電解メッキにより電極7と配線パ
ターン8とを以下の工程に従って形成する。まず、基板
4にドライフィルムを貼り付け、このドライフィルムの
上にレジスト用マスクを載せて露光、現像をしてパター
ンレジスト膜を形成する。この基板4にメッキの前処理
として、センシタイジング・アクチベーション処理を施
す。前処理液は、センシタイジングとしてSn混合液、
一段目のアクチベーションとしてAg混合液、二段目の
アクチュベーションとしてPd混合液と順次行い、溝5
の内面と配線パターン形成部とに無電解メッキの触媒核
となるPdを吸着させる。そして、Pdを吸着させた後
にパターンレジスト膜を剥離する。次に、メッキ液に浸
漬させることでPdが吸着した部分のみにメッキが析出
する。つまり、溝5の内部及び配線パターン形成部にメ
ッキが析出し、電極7及び配線パターン8が析出する。
【0016】このような基板4の上面に、前記溝5を覆
ってインク室9を形成する天板10を接着する。この天
板10の内面には、全ての溝5に交差して連通する共通
インク室11が形成され、この共通インク室11には、
図示しないインク供給管が接続される。
【0017】天板10を接着した後に、この天板10と
基板4との先端面は、切削又は研磨等の機械加工により
仕上げて平坦な開口面12を形成する。このようにして
先端部分を平坦に仕上げて開口面12を形成した後に、
この開口面12にインク吐出口13を備えたノズル板1
4を接着してインクジェットプリンタヘッド1を完成さ
せる。
【0018】このような構成において、インク吐出の動
作は、次のように行われる。まず、インク室9にインク
を供給した状態でインク室9の両側に位置する側壁6を
分極方向が相反する上部基板2及び下部基板3のシェア
モード変形により湾曲させ徐々に離反させ、これを急激
に初期位置に復帰させてインク室9のインクを加圧する
ことでインク吐出口13からインク滴を吐出させる。こ
のとき、クロストークを防止するため、偶数番目のイン
ク室9と奇数番目のインク室9とを交互に加圧するよう
に圧力発生手段として作用する側壁6を駆動する。さら
に、この側壁6は、インク室9にインクを吸引して充填
する場合に徐々に変形し、インク室9に充填したインク
を加圧する場合には急激に変形する。なお、インク吐出
口13の断面形状は、内方が拡開し外方が縮径するよう
にテーパ状に形成されているため、インク室9で加圧し
たインクの吐出は効率良く行なわれる。
【0019】ついで、上部基板2と下部基板3とを接着
する工程を図5〜図8に基づいてその装置とともに説明
する。まず、下部基板3の上面に、インクに対する耐性
のある接着剤15(例えば、加熱硬化型の一液性エポキ
シ接着剤)をスクリーン印刷版16を用いてスクリーン
印刷する。このスクリーン印刷によれば、接着剤15を
5〜10数μmの厚さに塗布することができる。しかし
ながら、その接着層には、誇張して図示するが、気泡1
7が存在する可能性が高い。
【0020】なお、接着剤15の種類は、インクジェッ
トプリンタに用いるインクに耐性があれば有機接着剤で
も無機接着剤でもよいが、接着剤15の塗布方法は、他
にスピンコータ、スプレー塗布、刷毛塗り等を使用する
接着剤15に合わせて選択可能である。
【0021】このように接着剤15が塗布された下部基
板3と上部基板2とは、真空容器18内に配設される。
すなわち、この真空容器18は、弾性部材19で仕切ら
れた上部容器20と下部容器21とよりなり、この下部
容器21の内部には、下部基板3と上部基板2とを保持
する保持手段22が設けられている。この保持手段22
は、下部基板3を固定するベース23と上部基板2を保
持するプレート24とこれらのベース23とプレート2
4との間に配設されたスプリング25とよりなる。この
ように形成された保持手段22に上部基板2と下部基板
3とを一定の間隔をあけて取り付ける。もちろん、下部
基板3の接着剤塗布面は、上部基板2に対向するように
上向きになっている。
【0022】ついで、前記真空容器18には、真空装置
26が接続されている。この真空装置26は、真空圧を
発生させるロータリポンプ27を備えているものであ
り、このロータリポンプ27は、固定弁28を介して下
部容器21に接続されているとともに、真空圧切換手段
として作用する吸引弁29を介して上部容器20に接続
されている。また、この上部容器20には、リーク弁3
0が接続されている。
【0023】そこで、前述のように下部容器21内に上
部基板2と下部基板3とを配置した後に、リーク弁30
を閉塞し、固定弁28と吸引弁29とを開放した状態で
ロータリポンプ27を始動する。これにより、上部容器
20と下部容器21との内部が同時に真空圧になる。す
なわち、ロータリポンプ27により30torr以下の
真空度が形成され、上部基板2と下部基板3とはその真
空雰囲気中に所定時間(例えば、1分〜1時間)放置さ
れる。この間に、接着剤15中に含まれていた気泡は脱
泡される。ここで、真空度に応じて気泡17が除去され
る時間が異なるため、放置する時間を変化させる。30
torr以上の真空度の場合には、接着剤15中の気泡
17が抜けにくく、気泡17が完全に抜けない場合があ
り、さらに、放置する時間は長くなり、生産性が低下す
る。しかしながら、真空度を30torr以下とすれ
ば、短時間(数分間)で接着剤15中の気泡が除去さ
れ、真空雰囲気中の放置時間も短くなり、生産性も向上
する。
【0024】また、保持手段22のベース23の内部に
は、ヒータ31が内蔵されている。このヒータ31は、
下部基板3を加熱するためのものである。すなわち、前
述のようにスクリーン印刷により接着剤15が塗布され
るが、塗布された接着剤15は平滑でなく、スクリーン
印刷版16のメッシュ跡と思われる凹凸、または、接着
剤15が下部基板3と完全に濡れないために発生する凹
凸等がある。前述のベース23に内蔵されたヒータ31
を用いてベース23を加熱し、接着剤15の粘度が最も
低下する温度にすることにより、スクリーン印刷版16
のメッシュ跡と思われる凹凸等を低下させ、また、温度
を上げて接着剤15の粘度を低下させることにより、接
着剤15と下部基板3との濡れ性を向上させ、下部基板
3上の接着剤15を凹凸のない平滑な塗膜にすることが
可能である。
【0025】次に、吸引弁29を閉じ、リーク弁30を
開放する。これにより、上部容器20の内部は大気圧に
なり、下部容器21内の気圧との差圧により弾性部材1
9が変形し、図7に示すように上部基板2と下部基板3
とはスプリング25の弾発力に抗してその全面が均等に
圧接する。これにより、上部基板2と下部基板3との両
者は、極めて薄い接着層32をもって均等に接着され
る。ここで、弾性部材19は、例えば、硬度20〜50
度(JIS−A)、厚さ0.2〜5mm のゴムシートで
ある。上部基板2を押し込む量によって弾性部材19を
選択する必要があり、弾性部材19の厚さが薄ければ、
ゴム硬度は固くても可能であり、弾性部材19の厚さが
厚い場合には、ゴム硬度がやわらかい必要がある。つい
で、固定弁28をも開放し、下部容器21の内部を大気
圧に戻してから上部容器20と下部容器21とを開放
し、接着された基板4を取り出す。
【0026】このようにして接着された基板4は、図示
しないオートクレーブ装置に入れて加圧加熱し接着剤1
5を硬化させる。この場合の加圧力は、1〜5kgf/
cm2 、加熱温度は40〜200℃の範囲内で接着剤1
5の種類に適した温度が選択される。この硬化温度も使
用する接着剤15により異なるが、圧電部材の分極に影
響を与えない程度の温度である(200℃以上で分極の
劣化が始まるので、注意が必要である)。
【0027】しかして、接着剤15の接着層32の厚さ
が薄くなることにより、側壁6をシェアモード変形させ
た際におけるインク室9内の容積変化が大きくなり、イ
ンク吐出口13からのインク滴の吐出性能が向上する。
図8は、上部基板2と下部基板3との接着層32の厚さ
を変えることによりシェアモード変形時のインク室9容
積変化率を説明するものであり、図8(a)はスクリーン
印刷することによって接着剤15を薄く塗布した状態で
あり、図8(b)は接着剤15を厚く塗布した場合であ
る。ここで、接着剤15はシェアモード変形しないた
め、この接着層32の膜厚が厚くなるにつれてインク室
9の容積変化率が小さくなり、インク吐出性能が低下す
る。すなわち、前述のように接着層32の膜厚を薄くす
ることにより、インク吐出の性能が向上する。また、接
着層32の膜厚が薄いと真空雰囲気中で気泡17が短時
間で抜け易くなり、生産性が向上する。このようなこと
から、接着層32の厚さは、5〜10数μm程度とする
ことが好ましい。
【0028】本発明の実施の第二の形態を説明する。本
実施の形態は、上部基板2と下部基板3とが接着されて
一体化された基板4に天板10を接着するものであり、
基板4と天板10との対向面のいずれか一方に図5で示
したスクリーン印刷等の方法で接着剤15を塗布し、こ
の接着剤15を塗布した基板4又は天板10を下部容器
21内のベース23に固定し、他方の基板4又は天板1
0をプレート24に取り付け、前述の実施の第一の形態
の場合と同様に、真空中に所定時間放置してから上部容
器20内の気圧を大気圧に戻して基板4と天板10とを
接着するものである。この場合、基板4と天板10との
接着面は、基板4に多数の溝5が形成されているため、
両者の接触面積は小さいことから、気泡17の混入は前
述の上部基板2と下部基板3とを接着する場合よりもそ
の可能性は低い。しかしながら、万一、気泡17が混入
した状態で接着された場合には、隣り合うインク室11
間のリークが発生し易く、致命的な欠陥となる。このよ
うな欠陥を前述の手段により解消することができるもの
である。
【0029】本発明の第三の形態を説明する。本実施の
形態は、天板10が接着された基板4の平坦な開口面1
2にノズル板14を接着する場合のものであり、基板4
とノズル板14との対向面のいずれか一方に図5で示し
たスクリーン印刷等の方法で接着剤15を塗布し、この
接着剤15を塗布した基板4又はノズル板14を下部容
器21内のベース23に固定し、他方の基板4又はノズ
ル板14をプレート24に取り付け、前述の実施の第一
及び第二の形態の場合と同様に、真空中に所定時間放置
してから上部容器20内の気圧を大気圧に戻して基板4
とノズル板14とを接着するものである。この場合、基
板4とノズル板14との接着面は、基板4に多数の溝5
が形成されているため、両者の接触面積は小さいことか
ら、気泡17の混入は前述の上部基板2と下部基板3と
を接着する場合よりもその可能性は低い。しかしなが
ら、万一、気泡17が混入した状態で接着された場合に
は、隣り合うインク室11間のリークが発生し易く、致
命的な欠陥となる。このような欠陥を前述の手段により
解消することができるものである。
【0030】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、板厚方向に分極
した少なくとも1枚以上の圧電部材を積層した基板を形
成し、この基板に互いに平行な複数の溝とこれらの溝を
隔てる少なくとも一部が前記圧電部材からなる側壁とを
等間隔に形成し、前記側壁を形成する圧電部材に電圧を
印加する電極とこれらの電極に接続された配線パターン
とを前記基板に形成し、前記溝の上部を覆う天板と前記
溝の正面部を覆うノズル板とを取り付けて複数のインク
室を形成したインクジェットプリンタヘッドにおいて、
少なくとも一方が圧電部材よりなる上部基板又は下部基
板のいずれかに接着剤を塗布し、弾性部材により上部容
器と下部容器とに上下に分割された前記下部容器に前記
上部基板と前記下部基板とを非接触状態で前記弾性部材
に近接した側を弾発的に保持して配置し、前記上部容器
と前記下部容器との両者の内部を真空として放置し、所
定時間経過後に前記上部容器を大気圧に戻して前記上部
基板と前記下部基板とを互いに圧接するようにしたの
で、上部基板と下部基板とは下部容器内の真空中に放置
されている間に接着剤からの脱泡が有効になされ、つい
で、上部容器を大気圧にすることによりその大気圧と下
部容器の内部圧力との差により上部基板と下部基板とが
均等に圧接され、これにより、大気圧に戻した時に両者
間に気泡がない状態で、かつ、接着剤の層が薄い状態で
両者を接着することができると云う効果を有する。
【0031】請求項2記載の発明は、板厚方向に分極し
た少なくとも1枚以上の圧電部材を積層した基板を形成
し、この基板に互いに平行な複数の溝とこれらの溝を隔
てる少なくとも一部が前記圧電部材からなる側壁とを等
間隔に形成し、前記側壁を形成する圧電部材に電圧を印
加する電極とこれらの電極に接続された配線パターンと
を前記基板に形成し、前記溝の上部を覆う天板と前記溝
の正面部を覆うノズル板とを取り付けて複数のインク室
を形成したインクジェットプリンタヘッドにおいて、前
記基板又は前記天板のいずれかに接着剤を塗布し、弾性
部材により上部容器と下部容器とに上下に分割された前
記下部容器に前記基板と前記天板とを非接触状態で前記
弾性部材に近接した側を弾発的に保持して配置し、前記
上部容器と前記下部容器との両者の内部を真空として放
置し、所定時間経過後に前記上部容器を大気圧に戻して
前記基板と前記天板とを互いに圧接するようにしたの
で、基板と天板とは下部容器内の真空中に放置されてい
る間に接着剤からの脱泡が有効になされ、ついで、上部
容器を大気圧にすることによりその大気圧と下部容器の
内部圧力との差により基板と天板とが均等に圧接され、
これにより、大気圧に戻した時に両者間に気泡がない状
態で、かつ、接着剤の層が薄い状態で両者を接着するこ
とができると云う効果を有する。
【0032】請求項3記載の発明は、板厚方向に分極し
た少なくとも1枚以上の圧電部材を積層した基板を形成
し、この基板に互いに平行な複数の溝とこれらの溝を隔
てる少なくとも一部が前記圧電部材からなる側壁とを等
間隔に形成し、前記側壁を形成する圧電部材に電圧を印
加する電極とこれらの電極に接続された配線パターンと
を前記基板に形成し、前記溝の上部を覆う天板と前記溝
の正面部を覆うノズル板とを取り付けて複数のインク室
を形成したインクジェットプリンタヘッドにおいて、前
記基板又は前記ノズル板のいずれかに接着剤を塗布し、
弾性部材により上部容器と下部容器とに上下に分割され
た前記下部容器に前記基板と前記ノズル板とを非接触状
態で前記弾性部材に近接した側を弾発的に保持して配置
し、前記上部容器と前記下部容器との両者の内部を真空
として放置し、所定時間経過後に前記上部容器を大気圧
に戻して前記基板と前記ノズル板とを互いに圧接するよ
うにしたので、基板とノズル板とは下部容器内の真空中
に放置されている間に接着剤からの脱泡が有効になさ
れ、ついで、上部容器を大気圧にすることによりその大
気圧と下部容器の内部圧力との差により基板とノズル板
とが均等に圧接され、これにより、大気圧に戻した時に
両者間に気泡がない状態で、かつ、接着剤の層が薄い状
態で両者を接着することができると云う効果を有する。
【0033】請求項4記載の発明は、下部容器内に配置
される接着剤が塗布された部材の下地を接着剤の粘度が
最も低くなる温度に設定したので、接着剤をスクリーン
印刷等により塗布した時に発生するメッシュ跡の凹凸を
低下させて接着剤との濡れ性を向上させることができ、
接着層を平滑な塗膜にすることができると云う効果を有
する。
【0034】請求項5記載の発明は、上部容器と下部容
器との真空度は、30torr以下とするので、接着剤
層に残留していた気泡の除去を有効に行うことができる
と云う効果を有する。
【0035】請求項6記載の発明は、弾性部材の硬度
は、20〜50(JIS−A)、厚さは0.5〜5mm
であるので、上部容器の内部を大気圧に戻したときに、
下部容器内に配設された部材に有効に圧接力を作用させ
ることができると云う効果を有する。
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第一の形態を示すインクジェッ
トプリンタヘッドの全体構造を示す一部を切り欠いた斜
視図である。
【図2】溝部分に電極を形成した基板の斜視図である。
【図3】基板に天板を接着した状態の斜視図である。。
【図4】基板の一部の正面図である。
【図5】下部基板に接着剤をスクリーン印刷により塗布
した状態の斜視図である。
【図6】真空容器に上部基板と下部基板とを設置した状
態の縦断正面図である。
【図7】上部容器を大気圧に戻して上部基板と下部基板
とを圧接している状態の縦断正面図である。
【図8】インク室の容積変化を示す正面図であり、(a)
は接着膜の厚さが薄い状態であり、(b)は接着膜の厚さ
が厚い場合である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタヘッド 2 上部基板 3 下部基板 4 基板 5 溝 6 側壁 7 電極 8 配線パターン 9 インク室 10 天板 11 インク室 14 ノズル板 15 接着剤 19 弾性部材 20 上部容器 21 下部容器 22 保持手段 26 真空装置 29 真空圧切換手段

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板厚方向に分極した少なくとも1枚以上
    の圧電部材を積層した基板を形成し、この基板に互いに
    平行な複数の溝とこれらの溝を隔てる少なくとも一部が
    前記圧電部材からなる側壁とを等間隔に形成し、前記側
    壁を形成する圧電部材に電圧を印加する電極とこれらの
    電極に接続された配線パターンとを前記基板に形成し、
    前記溝の上部を覆う天板と前記溝の正面部を覆うノズル
    板とを取り付けて複数のインク室を形成したインクジェ
    ットプリンタヘッドにおいて、少なくとも一方が圧電部
    材よりなる上部基板又は下部基板のいずれかに接着剤を
    塗布し、弾性部材により上部容器と下部容器とに上下に
    分割された前記下部容器に前記上部基板と前記下部基板
    とを非接触状態で前記弾性部材に近接した側を弾発的に
    保持して配置し、前記上部容器と前記下部容器との両者
    の内部を真空として放置し、所定時間経過後に前記上部
    容器を大気圧に戻して前記上部基板と前記下部基板とを
    互いに圧接するようにしたことを特徴とするインクジェ
    ットプリンタヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 板厚方向に分極した少なくとも1枚以上
    の圧電部材を積層した基板を形成し、この基板に互いに
    平行な複数の溝とこれらの溝を隔てる少なくとも一部が
    前記圧電部材からなる側壁とを等間隔に形成し、前記側
    壁を形成する圧電部材に電圧を印加する電極とこれらの
    電極に接続された配線パターンとを前記基板に形成し、
    前記溝の上部を覆う天板と前記溝の正面部を覆うノズル
    板とを取り付けて複数のインク室を形成したインクジェ
    ットプリンタヘッドにおいて、前記基板又は前記天板の
    いずれかに接着剤を塗布し、弾性部材により上部容器と
    下部容器とに上下に分割された前記下部容器に前記基板
    と前記天板とを非接触状態で前記弾性部材に近接した側
    を弾発的に保持して配置し、前記上部容器と前記下部容
    器との両者の内部を真空として放置し、所定時間経過後
    に前記上部容器を大気圧に戻して前記基板と前記天板と
    を互いに圧接するようにしたことを特徴とするインクジ
    ェットプリンタヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 板厚方向に分極した少なくとも1枚以上
    の圧電部材を積層した基板を形成し、この基板に互いに
    平行な複数の溝とこれらの溝を隔てる少なくとも一部が
    前記圧電部材からなる側壁とを等間隔に形成し、前記側
    壁を形成する圧電部材に電圧を印加する電極とこれらの
    電極に接続された配線パターンとを前記基板に形成し、
    前記溝の上部を覆う天板と前記溝の正面部を覆うノズル
    板とを取り付けて複数のインク室を形成したインクジェ
    ットプリンタヘッドにおいて、前記基板又は前記ノズル
    板のいずれかに接着剤を塗布し、弾性部材により上部容
    器と下部容器とに上下に分割された前記下部容器に前記
    基板と前記ノズル板とを非接触状態で前記弾性部材に近
    接した側を弾発的に保持して配置し、前記上部容器と前
    記下部容器との両者の内部を真空として放置し、所定時
    間経過後に前記上部容器を大気圧に戻して前記基板と前
    記ノズル板とを互いに圧接するようにしたことを特徴と
    するインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 下部容器内に配置される接着剤が塗布さ
    れた部材の下地を接着剤の粘度が最も低くなる温度に設
    定したことを特徴とする請求項1記載のインクジェット
    プリンタヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 上部容器と下部容器との真空度は、30
    torr以下とすることを特徴とする請求項1記載のイ
    ンクジェットプリンタヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 弾性部材の硬度は、20〜50度(JI
    S−A)、厚さは0.5〜5mmであることを特徴とす
    る請求項1記載のインクジェットプリンタヘッドの製造
    方法
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