JP3452216B2 - 多層構造体及びその製造方法 - Google Patents

多層構造体及びその製造方法

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JP3452216B2 JP21217594A JP21217594A JP3452216B2 JP 3452216 B2 JP3452216 B2 JP 3452216B2 JP 21217594 A JP21217594 A JP 21217594A JP 21217594 A JP21217594 A JP 21217594A JP 3452216 B2 JP3452216 B2 JP 3452216B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレン−酢酸ビニル
共重合体ケン化物(以下EVOHと略す)と特定のポリ
アミド系樹脂を含有する樹脂組成物を用いてなる多層構
造体に関し、更に詳しくはレトルト殺菌処理前後の酸素
ガスバリヤー性及びフィルムの外観性に優れ、かつレト
ルト殺菌処理用多層フィルム包材、レトルト殺菌処理用
容器、レトルト殺菌処理用ふた材等の用途に有用な多層
構造体及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】多層構造体、とりわけ多層フィルムを用
いた食品包装として、内容品を袋(パウチ)等に充填、
密封シールした後、高温加熱殺菌を行って缶詰と同等の
保存効果が求められるレトルト包材がある。該包材用途
においては一般的にアルミ箔を含むタイプと塩化ビニリ
デンからなる透明タイプのものがある。
【0003】しかし、アルミ箔は、不透明であるため内
容物を確認することができないという欠点があり、又塩
化ビニリデンでは、所望の酸素ガスバリヤー性を得るた
めには60〜80μの厚みが必要となり、その結果包材
が黄色味を帯びたり、透明性が低下したりするため、通
常は15〜30μ程度で使用されいるのが現状で、充分
な酸素ガスバリヤー性が得られていないという問題点が
ある。
【0004】かかる問題点を解決するため、特開昭62
−202735号公報では、エチレン含有率が20〜6
0モル%、ケン化度が90モル%以上のEVOH樹脂層
の両側にポリオレフィン樹脂層を設けた基材の片側に、
エチレン含有率が20〜60モル%、ケン化度が90モ
ル%以上のEVOH層を設けたレトルト殺菌処理用積層
材が開示されている。
【0005】又、特開平1−308628号公報には、
エチレン含有率が20〜50モル%のEVOH55〜9
7重量%とポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、
ポリエステル系樹脂およびポリカーボネート系樹脂から
選ばれた樹脂45〜3重量%からなる組成物の層を最外
層とし内層に低湿度の熱可塑性樹脂を使用することを特
徴とする酸素ガスバリヤー性多層包装体が開示されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
62−202735号公報開示技術では、ボイル処理に
対してはある程度の効果を発揮するものの、レトルト殺
菌処理においては外層のEVOH層がレトルト処理時に
吸水、膨潤すると同時に溶融流動してしまいレトルト包
材としての実用性に耐えうるものではない。又、ポリオ
レフィン層に挟まれたEVOH層はレトルト処理時に吸
水してしまい、レトルト殺菌処理後の酸素ガスバリヤー
性がレトルト殺菌処理前より悪くなるという問題点があ
る。
【0007】又、特開平1−308628号公報開示技
術では、レトルト殺菌処理後の酸素ガスバリヤー性の回
復速度の向上は認められるものの、常温常湿時及びレト
ルト殺菌処理後の酸素ガスバリヤー性において未だ不充
分であり、更に同公報開示技術では、ポリアミド系樹脂
とEVOHとの化学反応性が大きい為か、長期運転時に
成形物中にゲルやフィッシュアイ等が発生し商品価値を
著しく低下せしめたり、延伸等の加工性が不良となると
いう問題点があり、常温常湿時の酸素ガスバリヤー性及
びレトルト殺菌処理後の酸素ガスバリヤー性の回復速度
が良好で、レトルト殺菌処理前後の酸素ガスバリヤー性
変化が少なく、かつゲルやフィッシュアイ等の発生のな
い良好なフィルム外観をもつ多層構造体の出現が望まれ
ていた。
【0008】
【課題を解決する為の手段】かかる問題点を解決すべ
く、本発明者等は鋭意検討した結果、透湿度(40℃、
90%RH下で測定)が10〜500g/m2・day
値を有する熱可塑性樹脂層(I)の両側に、エチレン含
有率が20〜60モル%でケン化度が90モル%以上の
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(a)、末端調
製剤により末端COOH基の数(x)と末端CONR
R′基(但し、Rは炭素数1〜22の炭化水素基、R′
は水素又は炭素数1〜22の炭化水素基)の数(y)
が、100×y/(x+y)≧5を満足するように調整
した末端調整ポリアミド系樹脂(b)、ヒンダードフェ
ノール系化合物(c)、脂肪族カルボン酸アルカリ土類
金属塩(d)及びエチレンビス脂肪酸アマイド,高級脂
肪酸金属塩,高分子エステル,脂肪酸エステル,炭化水
素系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(e)
からなり、(a):(b)の重量比が70:30〜9
6:4で、(a)と(b)の合計量に対する(c)の配
合割合が0.01〜1重量%で、(a)と(b)の合計
量に対する(d)の配合割合が金属換算で0.5〜15
μmol/gで、(a)と(b)との合計量に対する
(e)の配合割合が0.01〜1重量%である酸素ガス
バリヤー性樹脂組成物層(II)を形成し、更に最内層と
して熱可塑性樹脂層(I)よりも低い透湿度(40℃、
90%RH下で測定)を有する熱可塑性樹脂層(III)
を設けることにより、レトルト殺菌処理前後の酸素ガス
バリヤー性の変化が少なく、ゲルやフィッシュアイの発
生もなく耐レトルト性が良好な多層構造体が得られ、と
りわけパウチ、ふた材等のボイル又はレトルト殺菌処理
用フィルム包材に適していることを見いだし本発明の完
成に至った。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
多層構造体の中間層に用いられる透湿度(40℃、90
%RH下で測定)が10〜500g/m2・day値を
有する熱可塑性樹脂層(I)とは、40℃、90%RH
下で10〜500g/m2・dayの透湿度を有する熱
可塑性樹脂を用いた層であれば特に限定されず、該熱可
塑性樹脂としては、具体的にはナイロン6、ナイロン6
・12、ナイロン6・66、ナイロン6・9、ナイロン
6・12、ナイロン12、ナイロン6・4、非晶性ポリ
アミド等のポリアミド系樹脂、高密度、中密度、低密度
ポリエチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、ある
いはブテン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなど
のα−オレフィン類を共重合したポリエチレン、アイオ
ノマー樹脂、ポリプロピレンホモポリマー、エチレンを
グラフト共重合したポリプロピレン、あるいはエチレ
ン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オ
レフィン類を共重合したポリプロピレン、ポリ−1−ブ
テン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等のポリオレフィ
ン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポ
リ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレ
ン系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂は単独または2種
以上混合されて使用され得ることができ、好ましくはナ
イロン6、ナイロン6と非晶性ポリアミドのブレンド
物、ナイロン6・66と非晶性ポリアミドのブレンド物
等が用いられ、特に、ナイロン6と非晶性ポリアミドの
ブレンド物が良好な延伸性やフィルム強度を示すという
点より好適に用いられる。
【0010】本発明においては、上記の如き熱可塑性樹
脂を用いた熱可塑性樹脂層(I)の透湿度が40℃、9
0%RH下で10〜500g/m2・dayの範囲であ
ることが重要であり、該樹脂層(I)の透湿度が10g
/m2・day未満であるとレトルト殺菌処理後の酸素
ガスバリヤー性の回復速度が遅いという問題があり、又
500g/m2・dayより大きくなると内層側に位置
する酸素ガスバリヤー性樹脂層(II)が外気の水分を吸
水してしまい常温常湿下での酸素ガスバリヤー性が不足
するという問題点が生じ、好ましくは15〜450g/
2・day、更に好ましくは20〜400g/m2・d
ayである。又、熱可塑性樹脂層(I)が上記の透湿度
を満足するものであれば、上記の熱可塑性樹脂を2層以
上積層した多層積層体を採用することも可能である。
【0011】尚、本発明の透湿度の規定方法としては、
JIS Z 0208に規定される方法、即ち、吸湿剤
を入れたカップにフィルムを取り付け、密封、固定した
後、40℃、相対湿度90%に調節された恒温恒湿装置
内に放置し、重量増加速度を測定することにより求める
方法による。本発明の多層構造体において、熱可塑性樹
脂層(I)の両側に配される酸素ガスバリヤー性樹脂組
成物層(II)とは、EVOH(a)、末端調整ポリアミ
ド系樹脂(b)、ヒンダードフェノール系化合物
(c)、脂肪族カルボン酸アルカリ土類金属塩(d)及
びエチレンビス脂肪酸アマイド、高級脂肪酸金属塩、高
分子エステル、脂肪酸エステル、炭化水素系化合物から
選ばれる少なくとも一つの化合物(e)からなるもの
で、EVOH(a)としては、エチレン含有率20〜6
0モル%(好ましくは25〜55モル%)、酢酸ビニル
単位のケン化度が90モル%以上(好ましくは95モル
%以上、更に好ましくは98モル%以上)のものが用い
られる。エチレン含有率が20モル%未満では溶融成形
性の低下を招き、逆にエチレン含有率が60モル%を越
えると酸素ガスバリヤー性の低下を招き、ケン化度が9
0モル%未満では耐熱水性が劣り不適当である。
【0012】また、EVOH(a)は、少量であれば、
α−オレフィン、不飽和カルボン酸系化合物、不飽和ス
ルホン酸系化合物、(メタ)アクリロニトリル、(メ
タ)アクリルアミド、ビニルエーテル、塩化ビニル、ス
チレンなどの他のコモノマーで「共重合変性」されても
差し支えない。又、本発明の趣旨を損なわない範囲で、
ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化など「後変
性」されても差し支えない。
【0013】末端調整ポリアミド系樹脂(b)として
は、末端調整剤により末端COOH基の数(x)と末端
CONRR′基(但し、Rは炭素数1〜22の炭化水素
基、R′は水素又は炭素数1〜22の炭化水素基)の数
(y)が、 100×y/(x+y)≧5 を満足するように調整した末端調整ポリアミド系樹脂が
用いられる。このような末端調整ポリアミド系樹脂
(b)は、ポリアミド原料を炭素数1〜22のモノアミ
ン又はこれと炭素数2〜23のモノカルボン酸の存在下
に重縮合させることにより製造される。
【0014】ここでポリアミド原料としては、ラクタム
類(ε−カプロラクタム、エナントラクタム、カプリル
ラクタム、ラウリルラクタム、α−ピロリドン、α−ピ
ペリドン等)、ω−アミノ酸類(6−アミノカプロン
酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11
−アミノウンデカン酸等)、二塩基酸(アジピン酸、グ
ルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキ
サデカンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、ジグリコ
ール酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、キシレン
ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、
テレフタル酸、イソフタル酸等)、ジアミン類(ヘキサ
メチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ノナメチ
レンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチ
レンジアミン、2,2,4(または2,2,4−)トリ
メチルヘキサメチレンジアミン、ビス−(4,4′−ア
ミノシクロヘキシル)メタン、メタキシレンジアミン
等)が挙げられる。
【0015】炭素数1〜22のモノアミンとしては、脂
肪族モノアミン(メチルアミン、エチルアミン、ピロピ
ルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルア
ミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘ
キシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシ
ルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラ
デシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミ
ン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、ドコシル
アミン)、脂環式モノアミン(シクロヘキシルアミン、
メチルシクロヘキシルアミン等)、芳香族モノアミン
(ベンジルアミン、β−フェニルエチルアミン等)、対
称第二アミン(N,N−ジブチルアミン、N,N−ジヘ
キシルアミン、N,N−ジオクチルアミン、N,N−ジ
デシルアミン等)、混成第二アミン(N−メチル−N−
エチルアミン、N−メチル−N−ブチルアミン、N−メ
チル−N−ドデシルアミン、N−メチル−N−オクタデ
シルアミン、N−エチル−N−ヘキサデシルアミン、N
−エチル−N−オクタデシルアミン、N−プロピル−N
−ヘキサデシルアミン、N−メチル−N−シクロヘキシ
ルアミン、N−メチル−N−ベンジルアミン等)などが
挙げられる。
【0016】ここで炭素数2〜23のモノカルボン酸と
しては、脂肪族モノカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、
酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、
カプリン酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル
酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリトレイン酸、パ
ルメチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、
アラキン酸、ベヘン酸等)、脂環式モノカルボン酸(シ
クロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボ
ン酸等)、芳香族モノカルボン酸(安息香酸、トルイン
酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸等)などが挙げられ
る。
【0017】又、必要に応じて、上記モノアミンまたは
これとモノカルボン酸のほかに、脂肪族ジアミン(エチ
レンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレン
ジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミ
ン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,
4,4−)トリメチルヘキサメチレンジアミン)等)、
脂環式ジアミン(シクロヘキサンジアミン、ビス−
(4,4′−アミノシクロヘキシル)メタン等)、芳香
族ジアミン(キシレンジアミン等)、脂肪族ジカルボン
酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ
メリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ド
デカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ヘキサデカン
ジオン酸、オクタデカンジオン酸、オクタデセンジオン
酸、エイコサジオン酸、エイコセンジオン酸、ドコサン
ジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸等)、脂
環式ジカルボン酸(1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸等)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタ
ル酸、キシレンジカルボン酸等)などのジアミン類やジ
カルボン酸類を共存させることもできる。
【0018】末端調整ポリアミド系樹脂(b)を製造す
るにあたっては、上記のポリアミド原料を用い、常法に
従って反応を開始すればよく、上記カルボン酸及びアミ
ンは反応開始時から減圧下の反応をはじめるまでの任意
の段階で添加することができる。又、カルボン酸とアミ
ンは同時に加えても別々に加えてもよい。
【0019】カルボン酸とアミンの使用量は、そのカル
ボキシル基およびアミン量として、ポリアミド原料1モ
ル(繰り返し単位を構成するモノマーまたはモノマーユ
ニット1モル)に対してそれぞれ2〜20meq/モ
ル、好ましくは3〜19meq/モルである(アミノ基
の当量は、カルボン酸1当量と1:1で反応してアミド
結合を形成するアミノ基の量を1当量とする)。この量
が余りに少ないと本発明の効果を有するポリアミド系樹
脂を製造することができなくなり、逆に多すぎると粘度
の高いポリアミドを製造することは困難となり、ポリア
ミド系樹脂の物性に悪影響を及ぼすようになる。
【0020】反応圧力は反応終期を400Torr以
下、好ましくは300Torr以下で行うのがよく、反
応終期の圧力が高いと希望する相対粘度のものが得られ
ない。圧力が低いことは特に不都合はない。減圧反応時
間は0.5時間以上、通常は1〜2時間程度とするのが
よい。
【0021】末端調整ポリアミド系樹脂(b)が末端に
有する−CONRR′基におけるRまたはR′で示され
る炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル
基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、
トリデシル基、テトラデシル基、テトラデシレン基、ペ
ンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オク
タデシル基、エイコシル基、ドコシル基等)、脂環式炭
化水素基(シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル
基、シクロヘキシルメチル基等)、芳香族炭化水素基
(フェニル基、トルイル基、ベンジル基、β−フェニル
エチル基等)などが挙げられる。
【0022】末端調整ポリアミド系樹脂(b)の末端−
COOH基の−CONRR′基への変換割合は、ポリア
ミド系樹脂製造時にアミンまたはこれとカルボン酸を存
在させることによって調節されるが、本発明においては
この変換の程度は末端−COOH基の数(x)と末端−
CONRR′基の数(y)との関係が、100×y/
(x+y)≧5、好ましくは100×y/(x+y)≧
10を満足するように、−COOH基が−CONRR′
基に変換されていることが好ましく、かつ、変換されて
いない−COOH基の量は50μeq/g・ポリマー以
下、好ましくは40μeq/g・ポリマー以下、特に好
ましくは、20μeq/g・ポリマー以下であることが
望ましい。この変換の程度が小さいと本発明の効果が期
待できなくなり、逆に変換の程度を大きくすることは物
性の面から不都合はないが、製造の困難となるので、変
性されない末端カルボキシル基量が1μeq/g・ポリ
マーとなる程度にとどめるのが得策である。
【0023】上記−CONRR′で示される炭化水素基
は、ポリアミド系樹脂を塩酸を用いて加水分解後、ガス
クロマトグラフィーにより測定することができる。−C
OOH基は、ポリアミド系樹脂をベンジルアルコールに
溶解し、0.1N苛性ソーダで滴定することにより測定
できる。ポリアミド系樹脂の末端基としては、上記の−
CONRR′基の他に、上記のポリアミド原料に由来す
る−COOH基及び−NH2 基がある。
【0024】末端アミノ基については変性されていても
変性されていなくても差し支えないが、流動性及び溶融
熱安定性がよいことから、上記の炭化水素基で変性され
ていることが望ましい。又、ポリアミド原料としては、
より良好な耐ボイル性及び耐レトルト性が得られるとい
う点よりε−カプロラクタムが特に好ましい。
【0025】ヒンダードフェノール系化合物(c)とし
ては、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、1,
1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t
−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−
3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート〕、n−オクタデシル−β−
(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェ
ニル)プロピオネート、2,2′−メチレンビス(4−
メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチ
レンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
4,4′−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾー
ル)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチ
ルフェノール)、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート〕などが挙げられ、好ましくはN,
N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、1,3,5−トリ
メチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリ
チル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕から少なくと
も一つ選ばれる。
【0026】脂肪族カルボン酸アルカリ土類金属塩
(d)としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、
カプロン酸、カプリン酸など炭素数1〜9程度の脂肪族
カルボン酸のベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウ
ム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩が挙げられ、特に
炭素数2〜4の脂肪族カルボン酸のマグネシウム塩とカ
ルシウム塩が重要である。
【0027】化合物(e)としては、エチレンビスステ
アリルアマイド等のエチレンビス脂肪酸(炭素数16〜
18)アマイド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アル
ミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグ
ネシウム等の高級脂肪酸金属塩、ポリプロピレングリコ
ールのアジペート系縮合物、ポリプロピレンのセバケー
ト系縮合物、高分子エステル〔例えば、スパームアセチ
(日本油脂製)、ヘキストワックス−E(ヘキストジャ
パン製)、ライトール(三和油脂製)、木ろう(野田ワ
ックス製)〕、脂肪酸エステル〔例えば、ブチルステア
レート、ニッサンカスターワックス−A(日本油脂
製)、TB−121(松本油脂製薬製)〕、粘度法によ
る分子量が900〜30000のポリエチレン等の低分
子量ポリオレフィン、粘度法による分子量が1000〜
20000で酸価が5〜100の範囲の変性ポリエチレ
ン、変性ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンが
挙げられ、好ましくはエチレンビス脂肪酸(炭素数16
〜18)アマイド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸
鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウ
ム、粘度法による分子量が1000〜20000で酸価
が5〜100の範囲の変性ポリエチレン、変性ポリプロ
ピレンが挙げられ、特に好ましくは、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸カルシウムが挙げられる。
【0028】本発明の酸素ガスバリヤー性樹脂組成物層
(II)は、上述した如くEVOH(a)、末端調整ポリ
アミド系樹脂(b)、ヒンダードフェノール系化合物
(c)、脂肪族カルボン酸アルカリ土類金属塩(d)及
びエチレンビス脂肪酸アマイド、高級脂肪酸金属塩、高
分子エステル、脂肪酸エステル、炭化水素系化合物から
選ばれる少なくとも一つの化合物(e)からなるもので
あるが、(a)と(b)との配合割合は重量比で70:
30〜96:4であることが必要で、末端調整ポリアミ
ド系樹脂(b)の配合割合が該重量比よりも少ない場合
は、耐ボイル性、耐レトルト性の改良効果が充分に現れ
ず、逆に多い場合は、EVOH(a)の有する酸素ガス
バリヤー性が損なわれる。好ましくは80:20〜9
0:10である。
【0029】ヒンダードフェノール系化合物(c)の配
合割合は、(a)と(b)の合計量に対して0.01〜
1重量%の範囲にあることが必要である。ヒンダードフ
ェノール系化合物(c)の配合割合が上記範囲より少な
いときは、酸化防止性が不足するため成形中に酸化性ゲ
ルやダイス滞留物を生じやすくなったり、上記に示した
脂肪族カルボン酸アルカリ土類金属塩(d)、化合物
(e)との相乗効果が低下しフィルム外観に優れた多層
構造体が得られない。一方その配合割合を上記範囲より
多くしても高温酸化性ゲルの抑制効果及び脂肪族カルボ
ン酸アルカリ土類金属塩(d)、化合物(e)との相乗
効果は一定限度以上には改善されず、またコスト的に不
利となり、好ましくは0.05〜0.8重量%、さらに
好ましくは0.1〜0.5重量%である。
【0030】更に、脂肪族カルボン酸アルカリ土類金属
塩(d)の配合割合は、(a)と(b)との合計量に対
し、金属換算で0.5〜15μmol/g、好ましくは
1〜9μmol/gであることが必要であり、0.5μ
mol/g未満では溶融粘度の上昇を招き、逆に15μ
mol/gを越えると成形時にゲルの発生や発泡を生じ
させたり、酸素ガスバリヤー性樹脂組成物層(II)の着
色や成形性の不安定化を招くことがあり不適当である。
又、化合物(e)の配合割合は(a)と(b)との合計
量に対して0.01〜1重量%であることが必要であ
り、0.01重量%未満では押出機やダイス内の滞留物
の増加を招き、逆に1重量%を越えると成形時にサージ
ング現象が多くなり安定した多層構造体が得られなくな
り不適当であり、好ましくは0.1〜1重量%である。
【0031】上記酸素バリヤー性樹脂組成物層(II)に
は、可塑剤、フィラー、ブロッキング防止剤、着色剤、
帯電防止剤等の添加剤を適宜配合することができる。ま
た、本発明の多層構造体の最内層に用いられる熱可塑性
樹脂層(III)としては、樹脂製容器や袋等のヒートシ
ールに用いられる公知のシーラント(ヒートシール)用
熱可塑性樹脂を任意に用いることができるが、本発明の
効果を得る為には上記の熱可塑性樹脂層(I)よりも透
湿度が低い低透湿度性の熱可塑性樹脂でなければならな
い。該熱可塑性樹脂層(III)の透湿度が熱可塑性樹脂
層(I)のそれよりも高い場合には酸素バリヤー性樹脂
組成物(II)が内容物の水分を吸収して酸素バリヤー性
が低下し不適当である。
【0032】本発明の熱可塑性樹脂層(III)に用いら
れる熱可塑性樹脂としては、具体的にポリプロピレンホ
モポリマー、エチレンをグラフト重合したポリプロピレ
ン、前記ポリプロピレンをベースとし、高密度ポリエチ
レン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等をブレンドしたも
の、ポリプロピレン以外の高密度ポリエチレン等のポリ
オレフィン系樹脂、コポリエステル等が挙げられ、ヒー
トシール性、透明性及びレトルト分野であることを考慮
するとポリプロピレンホモポリマー、エチレンをグラフ
ト重合したポリプロピレン、前記ポリプロピレンをベー
スとし高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖
状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体
等をブレンドしたものが特に好適に使用される。
【0033】本発明の多層構造体の製造にあたっては、
T−ダイ法、インフレーション法等の共押出法、ブロー
成形法、共射出法等の公知の方法を採用することがで
き、特に限定されるものではないが、製造法の一例とし
て共押出法による多層構造体の製造法を以下に説明す
る。
【0034】本発明の多層構造体を共押出法によって製
造する場合には、酸素ガスバリヤー性樹脂層(II)と熱
可塑性樹脂層(I)、酸素ガスバリヤー性樹脂層(II)
と熱可塑性樹脂層(III)とは、接着性樹脂を挟んで積
層する通常の方法が採用される。該接着性樹脂としては
ポリプロピレン、ポリエチレン、あるいはエチレンと共
重合しうるモノマー(酢酸ビニル、アクリル酸エステル
等)の共重合体等のポリオレフィン系樹脂を無水マレイ
ン酸など付加して変性した樹脂が用いられ、酸素ガスバ
リヤー性樹脂層(II)の樹脂温度を235〜260℃、
好ましくは240〜250℃とし、(II)/接着性樹脂
/(I)/接着性樹脂/(II)/接着性樹脂/(III)の
4種7層の共押出成形装置により、フィルム外観の良好
な多層構造体が得られる。
【0035】また、ドライラミネーション法、エクスト
ルージョンラミネーション法等を用いて上記の如き多層
構造体を得ることもできる。つまり、上記の(I)、(I
I)、(III)各層を2軸押出機等であらかじめ成形して
おき、該各層をウレタン系等の接着性樹脂によりドライ
ラミネートする方法や上記の如く共押出成形した(II)
/接着性樹脂/(I)/接着性樹脂/(II)の積層体に
(III)をドライラミネートする方法等が挙げられる。
尚、上記の層構成は接着性樹脂層を省略して記載したも
ので、層間接着時には必要に応じて上記の如き接着性樹
脂を採用することができるが、熱可塑性樹脂層(I)と
してポリアミド系樹脂が使用される場合には、酸素ガス
バリヤー性樹脂層(II)との接着の際、接着性樹脂を必
要としないこともある。
【0036】かかる多層構造体において、各層の厚みは
積層体(多層構造体)の種類により一概に言えないが、
ボイル殺菌またはレトルト殺菌処理用のフィルム包材と
した場合には、(II)は、5〜250μ、好ましくは1
0〜100μ、更に好ましくは10〜80μである。ま
た(I)及び(III)層は、透湿度により規定されるため
厚みは特に制限されない。本発明の多層構造体は、フィ
ルム包材、とりわけボイル殺菌またはレトルト殺菌処理
用のフィルム包材として使用したとき、最もその特徴が
発揮される。フィルム包材の用途としてはふた材、パウ
チ類、真空包装、スキンパック、深絞り包装、ロケット
包装が挙げられる。
【0037】本発明のふた材は、酸素ガスバリヤー性樹
脂を積層したポリプロピレン等の熱可塑性樹脂からなる
容器にヒートシール法によりヒートシールする方法が好
適に用いられる。本発明のふた材は、透明性に優れ、又
内容物を確認しながら開封することができる。本発明の
パウチ類は、三方シール、四方シール、ピロー、ガゼッ
ト、スタンデイングパウチなどの形態で使用される。
【0038】本発明の多層構造体は、上記フィルム包装
以外にカップまたはトレー等の容器としても優れた特性
を発揮することができる。容器の成形方法としては、共
押出成形によりシートを成形し、加熱軟化させた後、真
空成形法、プラグアシスト成形法、圧空成形法、CD法
等により所定の容器に成形する方法や射出成形法等の任
意の方法が用いられる。又、本発明の多層構造体はブロ
ー成形により、チューブ状またはボトル状にすることが
できる。
【0039】本発明の多層構造体をふた材、パウチ、ト
レー、カップ類あるいはボトル、チューブの形態で使用
した容器はレトルト殺菌処理、又はボイル殺菌処理とし
て公知の熱水加熱処理をすることができる。レトルト処
理は回収式、置換式、蒸気式、シャワー式、スプレー式
等各種の方法が採用される。本発明の多層構造体よりな
るふた材、パウチ、トレー、カップ類あるいはボトル、
チューブ等の容器にスープ、豚汁、ミートソース、おで
ん、ピラフ、うどん、酢豚、ハンバーグ、ステーキ、調
理済カレー等の食品を充填した状態で、レトルト殺菌処
理を行うことができる。
【0040】
【作 用】本発明の多層構造体は、常温常湿時の酸素バ
リヤー性及びレトルト殺菌処理後の酸素ガスバリヤー性
の回復性が良好で、且つレトルト殺菌処理後の酸素ガス
バリヤー性がレトルト殺菌処理前と同等のものが得ら
れ、ゲルやフィッシュアイ等の発生のないフィルム外観
の良好なレトルト殺菌処理用多層フィルム包材、レトル
ト殺菌処理用容器、レトルト殺菌処理用ふた材が得られ
大変有用であり、該多層構造体を製造するにあたり、酸
素ガスバリヤー性樹脂層を235〜260℃で押出成形
することにより比較的融点の高い樹脂との共押出しが可
能になると共にロングラン成形性も向上する。
【0041】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。以下の(a)〜(e)を用意した。EVOH(a) a−1:エチレン含有率32モル%、ケン化度99.5
モル%、MI(メルトインデックス)=3.0(210
℃、2160g荷重) a−2:エチレン含有率38モル%、ケン化度99.5
モル%、MI=8.0(同上)
【0042】末端調整ポリアミド系樹脂(b) b−1:ナイロン6 末端COOH基:9μeq/g・ポリマー 100×y/(x+y)=87、MI=2.5(230
℃、2160g) b−2:ナイロン6/66(ナイロン66構成成分20
重量%) 末端COOH基:3μeq/g・ポリマー 100×y/(x+y)=94、MI=11.2(同
上) b−3:ナイロン6 末端COOH基:20μeq/g・ポリマー 100×y/(x+y)=60、MI=3.6(同上)
【0043】ヒンダードフェノール系化合物(c) c−1:N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド) (チバ・ガイキー社製の「イルガノックス1098」) c−2:1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン (チバ・ガイキー社製の「イルガノックス1330」) c−3:ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕 (チバ・ガイキー社製の「イルガノックス1010」)
【0044】脂肪族カルボン酸アルカリ土類金属塩
(d) d−1:酢酸マグネシウム4水和物 d−2:プロピオン酸カルシウム d−3:酪酸マグネシウム
【0045】化合物(e) e−:ポリエチレン(粘度法による分子量3200、
酸価20KOHmg/g) e−:ステアリン酸亜鉛 e−:ステアリン酸マグネシウム e−:ステアリン酸亜鉛:ステアリン酸カルシウム=
1:0.5(重量比) e−:ステアリン酸亜鉛:ステアリン酸アルミニウム
=1:0.7(重量比)
【0046】実施例1 表1に示した如く上記(a)〜(d)成分をブレンド
後、二軸押出機により溶融押出後、冷却してペレット化
し、該ペレット化物を酸素ガスバリヤー性樹脂組成物層
(II)とし、一方ナイロン−6樹脂90重量%と非晶質
ポリアミド10重量%とを含有するポリアミド系樹脂を
熱可塑性樹脂層(I)とし、温度250℃に設定したT
ダイより(II)/(I)/(II)の層構成となる様に共
押出し、冷却水の循環するチルロールにより冷却してフ
ラット状の3層積層フィルムを作製し、尚、該共押出し
時の酸素ガスバリヤー性樹脂組成物層(II)の樹脂温度
は247℃であった。
【0047】次に、上記の3層積層フィルムに熱可塑性
樹脂層(III)として市販の無延伸ポリプロピレンフィ
ルム(東セロ化学(株)製、商品名:トーセロCP)をド
ライラミネートした。ドライラミネート用接着剤(東洋
モートン(株)製、アドコートAD−335A/CAT−
10)を使用し、ラミネート後40℃、1日間養生を実
施し、下記層構成の多層構造体を得て、以下の評価を行
った。 酸素ガスバリヤー性樹脂組成物層(II)20μ 熱可塑性樹脂層(I) 35μ、透湿度140g/m2・day 酸素ガスバリヤー性樹脂組成物層(II)10μ 熱可塑性樹脂層(III) 50μ、透湿度 6g/m2・day
【0048】〔評価内容〕成形性 上記(II)/(I)/(II)の3層積層体を同条件で7
日間のロングラン成形を行い該積層体の外観を目視によ
り評価した。判定基準は以下のとうり。 ○ −−−製膜開始後、7日間経過しても異物、ゲル又
はサージングの発生が無い。 △ −−−製膜開始後、3〜6日で異物、ゲル又はサー
ジングが発生した。 × −−−製膜開始後、3日以内で異物、ゲル又はサー
ジングが発生した。
【0049】耐レトルト性(1) 上記で得られた多層構造体をレトルト装置(ヤマト科学
(株)製,オートクレーブSM−31)を用いて121℃
水蒸気雰囲気中で30分間レトルト殺菌処理を行った
後、室温30分間放置後の多層構造体の外観を目視観察
した。判定基準は以下のとうり。 ○ −−− 透明で変色は認められなかった。 × −−− ヘイズ又は白化して変色が認められた。耐レトルト性(2) 上記の耐レトルト性(1)の評価において、レトルト殺
菌処理前とレトルト殺菌処理後3時間後の多層構造体の
酸素透過度を酸素透過度測定装置(OXTRAN−10
/50A、MOCON社製)を用いて測定し、下式によ
りレトルト殺菌処理後の回復性を調べた。 A=レトルト殺菌処理後3時間後の酸素透過度/レトル
ト殺菌処理前の酸素透過度 判定基準は以下のとうり。 ○ −−− A<3 △ −−− 3≦A≦5 × −−− 5<A
【0050】実施例2〜及び比較例1〜11 表1〜5に示したガスバリヤー性樹脂層(II)を用いた
以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果も表
1〜5に併せて示す。尚、表1〜5に示す(c)及び
(e)成分の数字は、(a)と(b)の合計量に対する
それぞれの配合割合をppm値で表したものであり、
(d)成分の金属名の後の数値は、(a)と(b)の合
計量に対する金属の配合量(μmol/g)を表したも
のである。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】 注)比較例1は成形性不良(ゲル多量発生)の為、満足
な多層構造体が得られず、耐レトルト性については評価
せず。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】 注)比較例7は成形性不良(サ―ジング発生)の為、満
足な多層構造体が得られず、耐レトルト性については評
価せず。
【0055】
【表5】 注)d' は酢酸ナトリウム 比較例9は成形性不良(ゲル多量発生)の為、満足な多
層構造体が得られず、耐レトルト性については評価せ
ず。
【0056】比較例12 熱可塑性樹脂層(I)として、厚み30μ、透湿度9g
/m2・dayのポリプロピレンを用いた以外は実施例
1に準じて評価を行った。
【0057】比較例13 下記多層構造体(総厚み105μ)を用いた以外は実施
例1に準じて評価を行った。 熱可塑性樹脂層(I) 35μ、透湿度140g/m2・day 酸素ガスバリヤー性樹脂組成物層(II)30μ 熱可塑性樹脂層(III) 50μ、透湿度 6g/m2・day 比較例12及び13の評価結果を表6に示す。
【0058】
【表6】
【0059】実施例 実施例1〜で使用したものと同じ多層構造体をふた材
として水の入ったポリプロピレン製のカップ状容器に無
延伸ポリプロピレン層を内面としてヒートシーラーによ
り熱接着を行った。これを前述の実施例及び比較例で示
したレトルト装置を使用して121℃、30分のレトル
ト殺菌処理を行った。レトルト処理直後、ふたのフィル
ムは透明であり、波模様などもなく外観良好であった。
【0060】実施例 実施例1〜で使用したものと同じ多層構造体をパウチ
状にヒートシール加工し、中に水を入れて口部をヒート
シールした。これを前述の実施例及び比較例で示したレ
トルト装置を使用して121℃、30分のレトルト殺菌
処理を行った。レトルト処理直後、パウチは透明であ
り、波模様などもなく外観良好であった。
【0061】実施例 実施例1〜で使用したものと同じ酸素ガスバリヤー性
樹脂を用いて実施例1と同様なドライラミネートを実施
し、下記多層構造体を得た。酸素ガスバリヤー性樹脂組
成物層(II)180μ 熱可塑性樹脂層(I) 315μ、透湿
度16g/m2・day 酸素ガスバリヤー性樹脂組成物層(II) 90μ 熱可塑性樹脂層(III) 450μ、透湿
度0.7g/m2・day (ポリプロピレンシート) この多層構造体を真空圧空成形機((株)浅野製作所
製)を使用してタテ100mm、ヨコ80mm、高さ5
0mmの角型トレー容器を成形した。この容器の平均厚
みは(II)/(I)/(II)/(III)=40/75(透
湿度67g/m2・day)/25/110(透湿度3
g/m2・day)(μ)である。このトレーを窒素ガ
スで置換後5mlの水を封入して前述の実施例及び比較
例で示したレトルト装置を使用して121℃、30分の
レトルト殺菌処理を行った。レトルト処理直後、容器は
透明であり、外観良好であった。この容器を20℃、6
5%RH下で12ケ月間放置後容器内の酸素濃度を測定
したところ約1ppmであった。
【0062】比較例14及び15 実施例1において酸素ガスバリヤー性樹脂組成物層(I
I)の押出し時の樹脂温度を230℃(比較例14)及
び270℃(比較例15)で行ったが、フィッシュア
イ、異物(比較例14)や発泡、目ヤニ(比較例15)
が発生して良好な積層フィルムが得られなかった。
【0063】
【発明の効果】本発明の多層構造体は、常温常湿時の酸
素ガスバリヤー性及びレトルト殺菌処理後の酸素ガスバ
リヤー性の回復性が良好で、かつレトルト殺菌処理後の
酸素ガスバリヤー性がレトルト殺菌処理前と同等のもの
が得られ、ゲルやフィッシュアイ等の発生のないフィル
ム外観の良好なレトルト殺菌処理用多層フィルム包材、
レトルト殺菌処理用容器、レトルト殺菌処理用ふた材が
得られ大変有用であり、該多層構造体を製造するにあた
り、酸素ガスバリヤー性樹脂層を235〜260℃で押
出成形することにより比較的融点の高い樹脂との共押出
が可能になると共にロングラン成形性も向上するという
効果も奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透湿度(40℃、90%RH下で測定)
    が10〜500g/m2・day値を有する熱可塑性樹
    脂層(I)の両側に、エチレン含有率が20〜60モル
    %でケン化度が90モル%以上のエチレン−酢酸ビニル
    共重合体ケン化物(a)、末端調製剤により末端COO
    H基の数(x)と末端CONRR′基(但し、Rは炭素
    数1〜22の炭化水素基、R′は水素又は炭素数1〜2
    2の炭化水素基)の数(y)が、100×y/(x+
    y)≧5を満足するように調整した末端調整ポリアミド
    系樹脂(b)、ヒンダードフェノール系化合物(c)、
    脂肪族カルボン酸アルカリ土類金属塩(d)及びエチレ
    ンビス脂肪酸アマイド,高級脂肪酸金属塩,高分子エス
    テル,脂肪酸エステル,炭化水素系化合物から選ばれる
    少なくとも1種の化合物(e)からなり、(a):
    (b)の重量比が70:30〜96:4で、(a)と
    (b)の合計量に対する(c)の配合割合が0.01〜
    1重量%で、(a)と(b)の合計量に対する(d)の
    配合割合が金属換算で0.5〜15μmol/gで、
    (a)と(b)との合計量に対する(e)の配合割合が
    0.01〜1重量%である酸素ガスバリヤー性樹脂組成
    物層(II)を形成し、更に最内層として熱可塑性樹脂層
    (I)よりも低い透湿度(40℃、90%RH下で測
    定)を有する熱可塑性樹脂層(III)を設けたことを特
    徴とする多層構造体。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂層(I)がポリアミド系樹
    脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ
    カーボネート系樹脂のいずれかの樹脂であることを特徴
    とする請求項1記載の多層構造体。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂層(I)がナイロン−6と
    非晶性ポリアミドからなるポリアミド系樹脂であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の多層構造体。
  4. 【請求項4】 ヒンダードフェノール系化合物(c)が
    N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチ
    ル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、1,3,5−
    トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブ
    チル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリ
    スリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル
    −4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕から選ば
    れる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃
    至3のいずれかに記載の多層構造体。
  5. 【請求項5】 脂肪族カルボン酸アルカリ土類金属塩
    (d)が炭素数2〜4の脂肪族カルボン酸のマグネシウ
    ム塩であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか
    に記載の多層構造体。
  6. 【請求項6】 化合物(e)が炭素数16〜18のエチ
    レンビス脂肪酸アマイド、ステアリン酸亜鉛、ステアリ
    ン酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネ
    シウム、粘度法による分子量が1000〜20000で
    酸価が5〜100の範囲の低分子量ポリオレフィンから
    選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項
    1乃至5のいずれかに記載の多層構造体。
  7. 【請求項7】 末端調整ポリアミド系樹脂(b)のポリ
    アミド原料がε−カプロラクタムであることを特徴とす
    る請求項1乃至6のいずれかに記載の多層構造体。
  8. 【請求項8】 熱可塑性樹脂層(III)がポリオレフィ
    ン系熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項1乃
    至7のいずれかに記載の多層構造体。
  9. 【請求項9】 ボイル殺菌又はレトルト殺菌用多層フィ
    ルムに用いることを特徴とする請求項1乃至8のいずれ
    かに記載の多層構造体。
  10. 【請求項10】 ボイル殺菌又はレトルト殺菌用容器に
    用いることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記
    載の多層構造体。
  11. 【請求項11】 ボイル殺菌又はレトルト殺菌用パウチ
    に用いることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに
    記載の多層構造体。
  12. 【請求項12】 ボイル殺菌又はレトルト殺菌用ふた材
    に用いることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに
    記載の多層構造体。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至12のいずれかに記載の
    多層構造体を製造するにあたり、235℃〜260℃の
    樹脂温度で酸素ガスバリヤー樹脂組成物層(II)を押出
    成形することを特徴とする多層構造体の製造方法。
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