JP3451715B2 - 光記録媒体及び光記録再生装置 - Google Patents

光記録媒体及び光記録再生装置

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JP3451715B2
JP3451715B2 JP09850094A JP9850094A JP3451715B2 JP 3451715 B2 JP3451715 B2 JP 3451715B2 JP 09850094 A JP09850094 A JP 09850094A JP 9850094 A JP9850094 A JP 9850094A JP 3451715 B2 JP3451715 B2 JP 3451715B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学的に情報の記録,
再生が行われる光記録媒体及び光記録再生装置に関する
ものであり、特に有機色素を記録材料とする光記録媒体
の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザー光の照射により情報の記録再生
を行なう光記録媒体は、磁気記録媒体等と比較してトラ
ック幅を狭くすることができ、高密度記録が可能である
ことから、大量情報保存用の記録媒体として注目され、
記録情報量の向上を図るべく盛んに研究が行われてい
る。
【0003】一般に、このような光記録媒体に対して記
録,再生を行うレーザー光としては、赤〜赤外領域のも
のが用いられ、これに対応した記録媒体が広く普及して
いる。例えば、追記型の光記録媒体(いわゆるCDW
O:CD write once )のようなユーザーによる書き込み
が可能であるディスク状光記録媒体もその一例である。
【0004】このCDWOは、基板上に例えば有機色素
等よりなる記録層が形成された構成とされ、通常,ヒー
トモードで信号記録が行われる。すなわち、記録層にレ
ーザ光を照射すると、有機色素の光吸収によって光のエ
ネルギーが熱に変換され、この発生した熱によってピッ
トが形成される。そして、このピットは、レーザ光を照
射したときの、当該ピットが形成された部分と形成され
ていない部分との反射率の差によって検出される。
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】ところで、従来のCD
WOでは記録用のレーザ光と再生用のレーザ光の波長は
同一とされているが、この場合、長期に亘る再生を行う
と、再生用レーザ光による記録ピットの破壊もしくは記
録層材料の光劣化の虞れがある。
【0006】このような再生用レーザ光による記録ピッ
トの破壊,記録層材料の光劣化を防止するために、記録
用レーザ光と再生用レーザ光の波長は異なる方が望まし
い。
【0007】また、レーザ光において、レーザスポット
の最小径はその波長に依存し、波長の短いレーザ光程レ
ーザスポットを小さくできる。したがって、赤〜赤外線
領域の波長の長いレーザ光ではレーザスポットの小径化
に制限があり、一定面積に記録される情報量を増加させ
るためには、いわゆる超解像の様な工夫が必要である。
【0008】このような工夫なしで記録情報量を増加さ
せるには、レーザ光そのものを例えば青色光領域(波長
400〜500nm)にまで短波長化する必要がある。
【0009】さらに、従来のCDWOは感度が低く、高
速記録再生に対応するために高感度化が望まれる。
【0010】すなわち、CDWOでは、信頼性の向上及
び高密度記録化に向けて、記録用レーザ光と再生用レー
ザ光の波長を異ならしめること、レーザ光を例えば青色
光領域にまで短波長化すること、そして記録層の感度を
上げることが課題として提示される。
【0011】これら課題を解決し得る材料の1つとし
て、ポルフィリンがある。ポルフィリンは、中心金属に
原子団が配位した構造の金属錯体であり、最低38個の
π電子を含む(このπ電子の数は置換基によって増加す
る)。
【0012】このポルフィリンでは、分子吸光スペクト
ルにおいて、その16員環(18個π電子系)に由来し
た,ソーレー帯(soret帯)と称される吸収帯を短
波長側に有している。このソーレー帯は、数十万ともい
われる非常に大きな分子吸光係数を有しており、この大
きな吸収帯を利用することで青色光領域での高感度な光
記録が可能である。
【0013】またこのポルフィリンを用いた記録層で
は、記録用レーザ光と再生用レーザ光の波長を異ならし
めることで記録ピットの破壊なしで高い変調度をもって
信号再生できることが確認されており、信頼性の高い高
密度記録用の記録材料として期待される。
【0014】しかし、ポルフィリンは、その構造の対称
性から結晶化し易く,溶剤に溶け難い。このため、溶液
としてスピンコートするのが困難であり、記録層として
成膜するにあたっては、真空装置等の大掛かりな装置を
必要とする真空蒸着法によらなければならない。このた
め、生産性の向上に不利であるといった問題がある。
【0015】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、青色光領域において高感
度な光記録が可能であり、また記録ピットの破壊なしで
高い変調度をもって信号再生することができ、しかもス
ピンコート法による記録層の成膜が可能な光記録媒体及
びそれを適用する光記録再生装置を提供することを目的
とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の光記録媒体は、透明基板上に光学的に情
報の記録及び再生が可能は記録層が形成されてなり、上
記記録層は、化5で示されるポルフィリン誘導体、上記
ポルフィリン誘導体に対して配位能を持つ分子化合物及
び高分子よりなり、上記ポルフィリン誘導体が化6で示
されるテトラベンゾポルフィリンであり、上記テトラベ
ンゾポルフィリンが亜鉛錯体であり、上記高分子がポリ
フェニルメタクリレートであることを特徴とするもので
ある。
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】本発明が適用される光記録媒体は、例えば
図1に示した様な構造を有するものである。すなわち、
基板1上に記録層2及び反射層3を順次成膜し、さらに
その上に保護層4を形成してなるものである。この光記
録媒体では、記録層2にレーザ光5を照射することによ
って発生する熱によってピットを形成する,ヒートモー
ド方式によって記録が行われる。
【0020】本発明では、このような光記録媒体の記録
層を、ポルフィリン誘導体、前記ポルフィリン誘導体に
対して配位能を持つ分子化合物及び高分子によって構成
することとする。
【0021】ポルフィリン誘導体は、上記化5の構造式
で表されるものであり、波長400〜500nmの青色
光領域に、ソーレー帯と称される強く鋭い吸収帯を有し
ている。
【0022】ポルフィリン誘導体を含有する光記録層で
は、この大きな吸収帯を利用することで青色光領域での
高感度な光記録が可能である。また、記録用レーザ光と
再生用レーザ光の波長を異ならしめることで記録ピット
の破壊なしで高い変調度をもって信号再生することがで
きる。したがって、信頼性の高い高密度記録がなし得
る。
【0023】本発明では、光記録層を、このようなポル
フィリン誘導体と、該ポルフィリン誘導体に対して配位
能を持つ分子化合物及び高分子によって構成する。これ
は、スピンコート法による記録層の形成を可能ならしめ
るためである。
【0024】すなわち、ポルフィリン誘導体は、その構
造の対称性から結晶化しやすくそれだけでは溶剤に溶け
難い。
【0025】このポルフィリン誘導体を、配位能を持つ
分子化合物及び高分子とともに溶剤(沸点のある程度低
い有機溶媒)に溶解させると、ポルフィリンが結晶化す
ることなく良好な溶解性で溶解する。そして、このよう
に調製された色素溶液を基板上にスピンコートすると、
ポルフィリン同士のスタックのない分散性に優れた記録
層が形成される。
【0026】また、このようにして形成された光記録層
は、ポルフィリン誘導体の中心金属に上記配位能を有す
る分子化合物が配位しており、これによってソーレー帯
の吸収波長が長波長側にシフトする。このため、ポルフ
ィリン誘導体単独では吸収をほとんど持たない波長にお
いても書き込みが可能になる。
【0027】すなわち、ポルフィリン誘導体の中心金属
に配位子が配位するとポルフィリンンの紫外−可視吸収
スペクトルに変化が現れることは良く知られたことであ
る。その変化は、特に上述のソーレー帯に顕著に現れ、
ソーレー帯が若干長波長側にシフトし、その分子吸光係
数が増加する。
【0028】したがって、ポルフィリン誘導体と配位能
を持つ分子化合物が共存する記録層では、このようなポ
ルフィリン誘導体の配位子が配位することによるソーレ
ー帯の長波長シフト及び分子吸光係数の増大を利用する
ことによって、ポルフィリン誘導体単独では吸収をほと
んどもたない波長に吸収を持たせることができ、レーザ
光波長の選択の自由度が広がるといった副次的効果が得
られる。
【0029】ポルフィリン誘導体としては、化5のBn
〜Bn+1 (n:1,3,5,7)がC4 で環状に
結合した、化7で示されるテトラベンゾポルフィンの亜
鉛錯体を用いる。
【0030】
【化7】
【0031】また、配位能を有する分子化合物として
は、1−メチルイミダゾール,2−メチルイミダゾール
等のイミダゾール誘導体、1−メチルピリジン,2−メ
チルピリジン,3−メチルピリジン等のピリジン誘導
体、1−メチルイソキノリン,3−メチルイソキノリン
等のキノリン誘導体、パラメチルフェノール,パラメト
キシフェノール等のフェノール誘導体等が挙げられる。
これら分子化合物は、いずれもポルフィリンの中心金属
に軸配位する。
【0032】なお、ポルフィリン誘導体,配位能を有す
る分子化合物,高分子の組成比は、ポルフィリン誘導
体:配位能を有する分子化合物:高分子を構成するモノ
マー=1:50:50(モル比)以上、すなわち分子化
合物,高分子を構成するモノマーがともにポルフィリン
誘導体に対して50倍以上のモル比で存在するように設
定することが好ましい。
【0033】高分子を、それを構成するモノマーがポル
フィリン誘導体に対して50倍以上のモル比で存在する
ように含有させることで、ポルフィリンをスタックさせ
ずに記録層中に良好に分散させることができる。また、
配位能を持つ分子化合物をポルフィリン誘導体に対して
50倍以上のモル比で存在させることにより、ポルフィ
リン誘導体と配位子が良好に相互作用し、これによって
ソーレー帯の長波長化及び分子吸光係数の増大が達成さ
れる。
【0034】また、高分子を構成するモノマー:分子化
合物は1:2(モル比)以下,すなわち高分子を構成す
るモノマーが分子化合物に対して1/2倍以上のモル比
で存在するように組成比を設定することが好ましい。高
分子に対する分子化合物の量が多すぎると、分子化合物
が析出する虞れがある。
【0035】なお、記録層には、ポルフィリン誘導体,
配位能を持つ分子化合物,高分子の他に、耐光性向上の
目的でヒンダードアミン類,ニッケル錯体等を30重量
部以内の量、好ましくは0.1〜10重量部添加しても
良い。
【0036】以上のような記録層が形成される透明基板
は、通常の光記録媒体に用いられているものが使用可能
であり、例えば、ガラス、ポリカーボネート(PC)、
ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられ
る。
【0037】反射層も、通常の光記録媒体において用い
られているものが使用可能であり、例えば、アルミニウ
ムの蒸着膜,金の蒸着膜などが挙げられる。
【0038】さらに、本発明の光記録媒体には、走行特
性,耐光性,耐薬品性,耐摩耗性の向上のために、潤滑
層および保護層を設けても構わない。保護層としては、
紫外線硬化樹脂(例えば,商品名SD17,大日本イン
キ化学社製)をスピンコートし、紫外線照射によって硬
化することで得られる紫外線硬化膜が適当である。ま
た、上記光記録媒体への記録再生は、図2に示すような
光学ピックアップ装置によって行われる。
【0039】すなわち、この光学ピックアップ装置は、
レーザ光源11,コリメータレンズ12,整形プリズム
13,対物レンズ14,1/4波長板15,偏光ビーム
スプリッター16,光検出器17よりなり、記録再生が
行われる光ディスク18は上記対物レンズ14と対向し
て配置される。
【0040】この光学ピックアップ装置での記録は、レ
ーザ光源11から発散されたレーザ光Lを、コリメータ
レンズ12,整形プリズム13,対物レンズ14を通過
させることで円形に集光し、対物レンズ13と対向して
配置された光ディスク18に照射することで行う。円形
に集光されたレーザ光が照射された光ディスク18は、
記録層に含有される色素の光吸収によって光のエネルギ
ーが熱に変換され、この発生した熱によってピットが形
成される。
【0041】また、再生は、同様にして円形に集光した
レーザ光を光ディスク18に照射し、この光ディスク1
8から反射した反射光を1/4波長板15,偏光ビーム
スプリッター16によって光検出器17に導き、この光
検出器17でその光量変化を検出することで行う。光デ
ィスク18の反射率は、ピットが形成された部分と形成
されていない部分とで異なるので、反射光量の変化によ
ってピットの有無が検出できることになる。
【0042】
【作用】ポルフィリン誘導体、該ポルフィリンに対して
配位能を持つ分子化合物及び高分子よりなる記録層は、
ポルフィリン誘導体が400〜500nmの青色光領域
に強く鋭い吸収を有していることから、この青色光領域
で高感度な光記録がなされる。また、記録用レーザ光と
再生用レーザ光の波長を異ならしめることで記録ピット
の破壊なしで高い変調度の信号再生がなされる。
【0043】また、ポルフィリン誘導体は、配位能を有
する分子化合物,高分子と一緒であれば、結晶化するこ
となく良好な溶解性で溶媒に溶解する。したがって、上
記記録層は、大掛かりな装置が必要な真空蒸着法によら
なくともスピンコート法によって形成し得る。
【0044】さらに、上記記録層では、ポルフィリン誘
導体の中心金属に上記配位能を有する分子化合物が配位
しており、これによってソーレー帯の吸収波長が長波長
側にシフトする。このため、ポルフィリン誘導体単独で
は吸収をほとんど持たない波長においても書き込みが可
能である。
【0045】
【実施例】本発明の好適な実施例について実験結果に基
づいて説明する。
【0046】本実施例で用いた透明基板及び記録層材
料,反射層材料を示す。以下の実験例1〜実験例3で
は、これら材料を用いて各種検討を行った。
【0047】基板:スライド硝子(松浪硝子社製,但
し、ディスポーザ液,混酸,ミリポア水の順で洗浄し
た) 記録層材料:ポルフィリン誘導体:テトラフェニルテト
ラベンゾポルフィン亜鉛錯体(Zn〔TPTBP〕;分
子量877) 配位子:2−メチル−イミダゾールまたは1−メチル−
イミダゾール(1−MeIm,2−MeIm;東京化成
社製,分子量82) 高分子:ポリフェニルメタクリレート(PPhMA;A
LDRICH社製,分子量162) 2−メチル−イミダゾール,1−メチル−イミダゾール
及びポリフェニルメタクリレートの構造を化8,化9,
化10にそれぞれ示す。
【0048】
【化8】
【0049】
【化9】
【0050】
【化10】
【0051】反射層材料:Au実験例1 本実験例では、ポルフィリン誘導体(テトラフェニルテ
トラベンゾポルフィン亜鉛錯体)に高分子(ポリフェニ
ルメタクリレート)を混合することによる分散効果を検
討した。
【0052】テトラフェニルテトラベンゾポルフィン亜
鉛錯体とポリフェニルメタクリレートを表1に示す重量
で計り採り、メチルエチルケトン300μlに溶解して
色素溶液を調製した。
【0053】この色素溶液を、スピンナー(MIKAS
A社製)を用いて回転数1000rpmで基板上にスピ
ンコートした。そして、この色素溶液が塗布された基板
を温度60℃の真空オーブン中に一昼夜放置して溶媒を
完全に除去することで記録層を形成し、サンプルディス
ク(サンプルディスク1〜サンプルディスク7)を作製
した。
【0054】このようにして作製されたサンプルディス
ク1〜サンプルディスク7について、記録層中における
ポルフィリン誘導体の分散状態を調べた。
【0055】分散状態は、これらサンプルディスク1〜
サンプルディスク7について紫外−可視吸収スペクトル
を観測し、その最大吸収波長λmax及びλmaxでの
半値幅から評価した。
【0056】すなわち、一般に紫外−可視吸収スペクト
ルは分子単独(希薄溶液中等)で測定した場合と分子凝
集体(固体膜等)で測定した場合とで異なったものとな
る。分子凝集体でのスペクトルは、分子同士の相互作用
によって新たな振動準位が生成し、分子単独でのスペク
トルよりもブロードになる。さらに、分子凝集体でのス
ペクトルは分子単独でのスペクトルよりも長波長側にシ
フトするのが常である。
【0057】したがって、上記最大吸収波長λmax及
びλmaxでの半値幅によって、最大吸収波長λmax
が短波長側にある程、またλmaxでの半値幅が狭い
程、ポルフィリン誘導体がスタックせず記録層中に良好
な状態で分散していると評価することができる。
【0058】なお、ここでは紫外−可視吸収スペクトル
は自記分光光度計(商品名U−3210,日立計測社
製)を用いて観測した。
【0059】各サンプルディスクの最大吸収波長λma
xを色素溶液の組成とともに表1に示す。また、高分子
を構成するモノマーのポルフィリン誘導体に対するモル
比と最大吸収波長λmaxの関係を図3に、モノマーの
ポルフィリン誘導体に対するモル比と最大吸収波長λm
axでの半値幅の関係を図4に示す。
【0060】
【表1】
【0061】図3を見てわかるように、最大吸収波長λ
maxは高分子の組成比が大きくなる程、短波長側にシ
フトしており、また図4を見るとλmaxでの半値幅は
高分子の組成比が大きくなる程狭くなる。
【0062】このことから、ポルフィリン誘導体は、高
分子と混合することによってスタックが抑えられ、記録
層中における分散性が改善されることがわかる。
【0063】そして、特に最大吸収波長λmax及びλ
maxでの半値幅の変化は、高分子を構成するモノマー
のモル比が50となったところで略飽和することから、
ポルフィリン誘導体と高分子の組成比は、ポルフィリン
誘導体:高分子を構成するモノマー=1:50以上,す
なわちポルフィリン誘導体に対して高分子を構成するモ
ノマーが50倍以上のモル比(テトラフェニルテトラベ
ンゾポルフィン亜鉛錯体とポリフェニルメタクリレート
の場合では重量比で8倍以上)で存在するように設定す
れば十分であることがわかる。
【0064】実験例2 本実験例では、配位能を持つ分子化合物(1−メチル−
イミダゾール)を混合することによるポルフィリン誘導
体(テトラフェニルテトラベンゾポルフィン亜鉛錯体)
の紫外−可視吸収スペクトルの変化を検討した。
【0065】テトラフェニルテトラベンゾポルフィン亜
鉛錯体と1−メチル−イミダゾールを、表2に示す濃度
でトルエンに溶解し、色素溶液(色素溶液1〜色素溶液
7)を調製した。そして、これら色素溶液について、紫
外−可視吸収スペクトルを観測した。色素溶液1〜色素
溶液7の紫外−可視吸収スペクトルを図5に示す。ま
た、この紫外−可視吸収スペクトルの波長460nmで
の吸光度を色素溶液の組成と併せて表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】図5を見てわかるように、ソーレー帯は、
1−メチル−イミダゾールの組成比によって波長,吸光
度が変化する。
【0068】このことから、ポルフィリン誘導体溶液の
紫外−可視吸収スペクトルは、配位能を持つ分子化合物
を共存させることによって制御できることがわかる。
【0069】実験例3 本実験例では、ポルフィリン誘導体(テトラフェニルテ
トラベンゾポルフィン亜鉛錯体),配位能を持つ分子化
合物(2−メチル−イミダゾール)及び高分子(ポリフ
ェニルメタクリレート)よりなる記録層の紫外−可視吸
収スペクトル及び書き込み特性を検討した。
【0070】テトラフェニルテトラベンゾポルフィン亜
鉛錯体,2−メチル−イミダゾール及びポリフェニルメ
タクリレートを表3に示す重量で計り採り、メチルエチ
ルケトン300μl(但し、2−メチル−イミダゾール
が80mgの系のみメチルエチルケトン400μl)に
溶解して色素溶液を調製した。
【0071】この色素溶液を実験例1と同様にして基板
上にスピンコートし、溶媒を除去して記録層を形成し
た。
【0072】そして、この記録層上に金を蒸着すること
で反射膜を形成し、サンプルディスク(サンプルディス
ク8〜サンプルディスク13)を作製した。
【0073】これらサンプルディスクについて、紫外−
可視吸収スペクトルを観測した。サンプルディスク8〜
サンプルディスク13の紫外−可視吸収スペクトルを図
6に示す。また、最大吸収波長λmaxでの吸光度を色
素溶液の組成とともに表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】図6を見ると、紫外−可視吸収スペクトル
は、2−メチル−イミダゾールの組成比が大きいサンプ
ルディスク程、長波長側にシフトしており、吸光度が全
体に上昇している。
【0076】このことから、実際の記録層においても、
配位能を持つ分子化合物を共存させることによってポル
フィリン誘導体の紫外−可視吸収スペクトルが制御でき
ることがわかる。
【0077】そして、特にこの紫外−可視吸収スペクト
ルの変化は、2−メチル−イミダゾールのテトラフェニ
ルテトラベンゾポルフィン亜鉛錯体に対する重量比が4
倍以上になったところで飽和していることから、ポルフ
ィリン誘導体と配位能を有する分子化合物の組成比は、
ポルフィリン誘導体:配位能を有する分子化合物=1:
50(モル比)以上となるように、すなわち配位能を有
する分子化合物がポルフィリン誘導体に対して50倍以
上のモル比(テトラフェニルテトラベンゾポルフィン亜
鉛錯体と2−メチル−イミダゾールの場合、重量比で4
倍以上)で存在するように設定すれば良いことがわか
る。
【0078】なお、サンプルディスク13は、記録層が
白濁してしまい、紫外−可視吸収スペクトルの観測が不
可能であった。これは、ポリフェニルメタクリレートに
対して2−メチル−イミダゾールの混合量が過剰にな
り、よく分散できなかったために生じたものと思われ
る。したがって、高分子と配位能を有する分子化合物
は、高分子を構成するモノマー:分子化合物=1:2
(モル比)以下,すなわち高分子を構成するモノマーが
分子化合物に対して1/2倍以上のモル比(ポリフェニ
ルメタクリレートと2−メチル−イミダゾールの場合、
重量比で等量以上)で存在するように組成比を設定する
のが好ましい。
【0079】次に、上記サンプルディスクのうちサンプ
ルディスク12について、書き込みによる反射率スペク
トルの変化を調べた。
【0080】なお、書き込み及びピットの生成の確認、
ピットの生成による記録層の反射スペクトルの測定には
図7に示すように、Arレーザ21,パルスジェネレー
タ22,音響光学変換器(AOM)23,試料部24に
対向して配置された光学顕微鏡25,顕微分光光度計2
6及びCCDモニター27よりなる評価システムによっ
て行った。
【0081】ここで、Arレーザの波長は488nmで
あり、レーザ出力は14mWである。レーザ光照射前の
反射スペクトル,レーザ光照射後の反射スペクトルを併
せて図8に示す。
【0082】図8から、反射スペクトルがレーザ光照射
前後で変化しており、ポルフィリン誘導体,配位能を有
する分子化合物及び高分子よりなる記録層は、波長48
8nmのレーザ光によって書き込み可能であることが確
認される。
【0083】なお、比較のため、記録層がテトラフェニ
ルテトラベンゾポルフィン亜鉛錯体のみよりなるサンプ
ルディスク(比較ディスク1)及び記録層がテトラフェ
ニルテトラベンゾポルフィン亜鉛錯体とポリフェニルメ
タクリレートよりなるサンプルディスク(比較ディスク
2)の紫外−可視吸収スペクトルを図9,図10にそれ
ぞれ示す。
【0084】このように比較ディスク1,比較ディスク
2は、488nmにほとんど吸収を有しておらず、波長
488nmのレーザ光では書き込み不可能である。
【0085】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の光記録媒体は、透明基板上に光学的に情報の記録及
び再生が可能な記録層が形成されてなり、上記記録層
が、ポルフィリン誘導体、前記ポルフィリン誘導体に対
して配位能を持つ分子化合物及び高分子よりなるので、
青色光領域において高感度な光記録が可能であり、また
記録ピットの破壊なしで高い変調度の信号再生ができ、
しかもスピンコート法による記録膜の成膜が可能で、記
録層中のポリフィリン誘導体の分散性が高く、さらにポ
ルフィリン誘導体単独では吸収をほとんどもたない波長
において書き込みが可能である。したがって、信頼性の
高い高密度記録が可能であるとともに光記録媒体の生産
性の向上に大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光記録媒体の一構成例を示す
模式図である。
【図2】光記録媒体に対して記録再生を行うための記録
再生装置の一構成例を示す模式図である。
【図3】ポルフィリン誘導体と高分子よりなる記録層の
高分子モル比と最大吸収波長λmaxの関係を示す特性
図である。
【図4】ポルフィリン誘導体と高分子よりなる記録層の
高分子モル比とλmaxでの半値幅の関係を示す特性図
である。
【図5】ポルフィリン誘導体と配位能を有する分子化合
物よりなる色素溶液において、配位能を有する分子化合
物を各種混合量で混合した場合の紫外−可視吸収スペク
トルを併せて示す特性図である。
【図6】記録層がポルフィリン誘導体,配位能を有する
分子化合物及び高分子よりなる記光記録媒体において、
分子化合物を各種混合量で混合した場合の紫外−可視吸
収スペクトルを併せて示す特性図である。
【図7】光記録媒体について書き込み状況を評価するた
めに用いた評価システムの構成を示す模式図である。
【図8】記録層がポルフィリン誘導体,配位能を有する
分子化合物及び高分子よりなる光記録媒体の書き込み前
後の反射率特性を併せて示す特性図である。
【図9】記録層がポルフィリン誘導体のみよりなる光記
録媒体の紫外−可視吸収スペクトルを示す特性図であ
る。
【図10】記録層がポルフィリン誘導体と高分子のみよ
りなる光記録媒体の紫外−可視吸収スペクトルを示す特
性図である。
【符号の説明】
1 基板 2 記録層 3 反射層 4 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−339865(JP,A) 特開 昭61−232448(JP,A) 特開 平1−294791(JP,A) 特開 昭59−67093(JP,A) 特開 平7−141642(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/26 G11B 7/24 516 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN) MARPAT(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上に光学的に情報の記録及び再
    生が可能は記録層が形成されてなり、 上記記録層は、化1で示されるポルフィリン誘導体、上
    記ポルフィリン誘導体とに対して配位能を持つ分子化合
    物及び高分子よりなり、上記ポルフィリン誘導体が化2で示されるテトラベンゾ
    ポルフィリンであり、 上記テトラベンゾポルフィリンが亜鉛錯体であり、 上記高分子がポリフェニルメタクリレートである ことを
    特徴とする光記録媒体。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 400〜500nmの記録波長で記録が
    行われることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  3. 【請求項3】 レーザ光源、レンズ、光検出器よりなる
    光学ピックアップ装置と、該光学ピックアップ装置の対
    物レンズと対向して配置される光記録媒体より構成され
    る光記録再生装置において、 上記レーザ光源のレーザ波長が、400〜500nmで
    あり、 上記光記録媒体が、透明基板上に、化3で示されるポル
    フィリン誘導体、上記ポルフィリン誘導体に対して配位
    能を持つ分子化合物及び高分子よりなる記録層が形成さ
    れてなり、上記ポルフィリン誘導体が、化4で示されるテトラベン
    ゾポルフィリンであり、 上記テトラベンゾポルフィリンが亜鉛錯体であり、 上記高分子がポリフェニルメタクリレートである ことを
    特徴とする光記録媒体装置。 【化3】 【化4】
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