JP3449892B2 - 透湿性および消臭性に優れた人工皮革 - Google Patents

透湿性および消臭性に優れた人工皮革

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JP3449892B2 JP25816297A JP25816297A JP3449892B2 JP 3449892 B2 JP3449892 B2 JP 3449892B2 JP 25816297 A JP25816297 A JP 25816297A JP 25816297 A JP25816297 A JP 25816297A JP 3449892 B2 JP3449892 B2 JP 3449892B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、靴のライニングや
中敷など、汗によるムレを吸収するとともに、ムレによ
る悪臭を除去するのに有効な銀付調の人工皮革およびそ
れを用いた靴用中敷や靴用ライニングに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、靴のライニングの用途において吸
汗性、吸放湿性を有する人工皮革が提案されてきた。汗
を吸ったライニング材において吸放湿性を有していれば
水分は除去されるが、汗に含まれるオレイン酸などの物
質は除去されない。そのため悪臭が発生しやすい。従
来、吸汗性と同時に抗菌性を有する原反は提案されてい
たが、吸汗性、吸放湿性を有しかつ消臭性を有する人工
皮革は提案されていなかった。
【0003】消臭用靴中敷として、特開平2−6340
3号公報には、カルボン酸−遷移金属塩を含有する高分
子からなる繊維を用いた中敷が提案されているが、消臭
材を繊維に練り込んでいるため、布帛の引裂強度、摩耗
強度を強くするために弾性重合体等を含浸したときに繊
維表面が該重合体により被覆され消臭性が低下するため
好ましくない。また繊維表面を露出させた織編物の状態
では表面摩耗性が弱いためライニング材として好ましく
ない。
【0004】また特開平1−280073号公報には、
透湿消臭性コーティング布帛が提案されているが、コー
ティング方法がダイレクトコートに限定されており、塗
布量が多くライニング材としての風合いが柔らかくない
ため好ましくない。また、透湿性についてもライニング
としてはレベルが低く、ムレが発生しやすく好ましくな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
を解決し、吸汗性、透湿性を有しムレることなくかつ悪
臭を除去する消臭性を有する靴のライニングに好適な人
工皮革を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の目的
を達成するため鋭意検討した結果、本発明の到達した。
すなわち本発明は、繊維質基体およびその表面に非連続
状に塗布された弾性重合体により形成された銀面層から
なる人工皮革において、銀面層が、弾性重合体の塗布部
分が全体面積の80〜98%であり、表面に繊維質基体
内部に通ずる0.3〜20μm径の大きさの連通孔を有
し、光触媒性機能を有する物質と吸着性機能を有する物
質が銀面層部または繊維質基体内部に存在している人工
皮革であり、好ましくはこのような人工皮革において、
銀面層が表面に有する、繊維質基体内部に通ずる連通孔
の内部に、光触媒性機能を有する物質と吸着性機能を有
する物質が存在することによりライニングや中敷に使用
した際に、有効な透湿性、吸汗性を有しかつ柔軟性をも
有する人工皮革に関する。また本発明は、銀面層が表面
に有する、繊維質基体内部に通ずる連通孔の内部に、光
触媒性機能を有する物質と吸着性機能を有する物質が平
均径0.05〜5μmの混合された同一の粒体で存在す
ることを特徴とする透湿、消臭性に優れた人工皮革に関
するものである。なお、本文中の説明において消臭剤と
は悪臭を除去する能力を有する物質を指し、本発明にお
いては消臭剤とは光触媒性機能を有する物質と吸着性機
能を有する物質の混合体を指す。
【0007】本発明に用いる繊維質基体層を構成する極
細繊維束は、少なくとも2種類のポリマーを混合紡糸あ
るいは複合紡糸して得られる従来公知の極細繊維発生型
繊維から製造される。例えば、海成分が溶剤または水酸
化ナトリウム等の分解剤により分解することで該繊維か
ら海成分が除去され、島成分が残ってフィブリル化する
抽出型繊維あるいは機械的にまたは処理剤によって各ポ
リマーからなる極細繊維にフィブリル化する分割型繊維
等が挙げられるが、立毛シートとしての風合いから海成
分を抽出する方法で極細繊維を発生する極細繊維発生型
繊維が好ましい。
【0008】極細繊維を構成するポリマーの代表例とし
ては、6−ナイロン、6,6−ナイロンをはじめとする
溶融紡糸可能なポリアミド類、ポリエチレンテレフタレ
ート類、ポリブチレンテレフタレート、カチオン可染型
変性ポリエチレンテレフタレートをはじめとする溶融紡
糸可能なポリエステル類、ポリプロピレンで代表される
ポリオレフィン類などが挙げられ、これらから選ばれた
少なくとも1種類のポリマーが用いられる。抽出型繊維
で抽出または分解除去される成分は、極細繊維成分と溶
剤または分解剤に対する溶解性または分解性を異にし、
極細繊維成分との相溶性の小さいポリマーであり、かつ
紡糸条件下で極細繊維成分より溶融粘度が小さいかある
いは表面張力が小さいポリマーであり、例えば、ポリエ
チレン、ポリスチレン、ポリエチレンプロピレン共重合
体、変性ポリエステル類などのポリマーから選ばれた少
なくとも1種類のポリマーである。極細繊維束を構成す
る極細繊維は、風合いおよび折れしわ、表面の平滑性の
出し易さから0.15dr以下であることが好ましい。
0.15drを超えると抽出成分除去後の空隙にかかわ
らず風合いが硬くなるため好ましくない。また、折れし
わも極細繊維の単糸drが大きくなることにより折れ曲
がりにくくなり、天然皮革のような細かい折れしわが得
られないため好ましくない。より好ましくは0.001
ないし0.1drである。また、悪臭を発生する気体を
吸着する性質をもつポリマーで極細繊維を得る場合、極
細繊維のdrが細かくなることにより気体を吸着する表
面積が増加し、悪臭が除去できる副次的な効果が現れる
ため極細繊維の単糸drは小さい方が好ましい。
【0009】極細繊維発生型繊維は、カードで解繊し、
ウェッバーを通してウェッブを形成し、得られた繊維ウ
ェッブは、所望の重さ、厚さに積層し、次いで、ニード
ルパンチや水流絡合などの公知の方法で絡合処理を行っ
て繊維絡合不織布とする。繊維絡合不織布は内部に編織
物等を積層したものであってもよい。繊維絡合不織布
は、樹脂液の含浸に先立って、必要に応じて水溶性樹脂
などの仮固定用の樹脂液を含浸させたりプレス処理によ
り表面平滑化することも好ましい。
【0010】上記の処理により得られた繊維シートに弾
性重合体を含浸する。含浸方法については、弾性重合体
を含む溶液を塗布あるいは含浸後凝固させる方法など繊
維シートの少なくとも表面層を含む範囲に付与できる方
法であれば特に限定されない。含浸するポリマーに関し
ては、繊維中の海成分を除去するための、アルカリ水溶
液や溶剤による抽出処理する工程を通過するため耐アル
カリ性または耐溶剤性、耐加水分解性、耐熱水性を備え
ていれば特に限定されないが、柔軟性、皮革様の風合い
の点からポリマーとしてはポリウレタンが好ましい。
【0011】その中でも、耐加水分解性、耐アルカリ
性、耐溶剤性の点から好ましいポリウレタンとして、炭
素数6以上10以下のアルカンジオールとジカルボン酸
またはそのエステル形成性誘導体とを反応させて得られ
るポリエステルジオール、ポリラクトンジオール、ポリ
カーボネートジオール、ポリエーテルジオールからなる
群より選ばれ、かつ1分子中に2個以上の一級水酸基を
有した、数平均分子量が500〜5000の少なくとも
1種のポリマーポリオールを使用し、ジイソシアネート
および低分子鎖伸長剤を反応せしめて得られるポリウレ
タンエラストマーが挙げられる。上記炭素数6以上10
以下のアルカンジオールとしては、3−メチル−1,5
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メ
チル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオ
ール、1,10−デカンジオールなどがあげられる。ア
ルカンジオールにおいて炭素数が6より小さいと、ポリ
ウレタンとした場合に耐久性、特に耐加水分解性が悪く
なってしまう場合がある。また、炭素数が10より大き
いとポリウレタンとした場合に硬くなり得られたシート
の風合いが悪くなったりする場合がある。
【0012】上記ジカルボン酸の代表例としては、コハ
ク酸、フタル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバチン酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル
酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などがあげ
られる。ポリマージオールの数平均分子量は500〜5
000にあるものが好ましい。ポリマージオールはポリ
エステル、ポリラクトン、ポリカーボネート、ポリエー
テルの中から単独または任意の割合で混合して用いるこ
とができる。ポリマージオールの数平均分子量が500
未満の場合には、柔軟性に欠け、皮革様の風合いが得ら
れないため好ましくない。ポリマージオールの数平均分
子量が5000を越える場合はウレタン基濃度が減少す
るため柔軟性および耐久性、耐加水分解性にバランスの
取れたシートが得にくい。
【0013】また、低分子鎖伸長剤としては例えばエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオー
ル、ヘキサンジオールなどがあげられる。また、芳香族
イソシアネートとして、たとえば4,4’−ジフェニル
メタンイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フ
ェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト等が挙げられる。
【0014】上記のような弾性重合体を溶剤あるいは分
散剤に溶解あるいは分散させて得た弾性重合体液を繊維
絡合不織布に含浸、湿式凝固によりスポンジ構造を形成
させ、繊維質基体を得るが、この弾性重合体溶液には必
要に応じて着色剤、凝固調節剤、酸化防止剤、分散剤等
の添加剤を配合する。繊維質基体に占める弾性重合体の
比率は、基体に柔軟な風合いと弾性回復性を持たせるた
めに固形分として重量比で10%以上、好ましくは30
〜50%の範囲で含有させるのがよい。弾性体比率が1
0%未満では緻密な弾性体多孔質層の孔が形成されず、
平滑な面感が得られず、風合いも硬くなるので好ましく
ない。
【0015】次に、弾性重合体を含有した繊維質基体を
極細繊維及び弾性重合体の非溶剤であり、かつ極細繊維
発生型繊維の分散媒成分(海成分)の溶剤または分解剤
等によって処理するかあるいは機械的な処理を加えるこ
とで極細繊維束を発生させる。このような方法を用いる
ことにより、表面から裏面に達する無数の連通孔が形成
されることとなる。そして繊維質基体と弾性重合体から
なる繊維質基体をライニングに使用するに好適な厚みと
なるように公知の方法を用いて厚みを合わせる。厚みを
合わせる方法はバンドナイフによるスライス、加熱ロー
ルによるプレス、サンドペーパーによるバフィング等が
挙げられ、このいずれの方法を組み合わせて用いても良
いが、柔軟性の点から裏面をサンドペーパーにてバフィ
ングする方法が好ましい。
【0016】繊維質シートに銀面層を付与する方法につ
いては、柔軟性を損なわず、かつ透湿性を付与するため
繊維質シートの連通孔の存在する表面に銀面層を構成す
る弾性重合体を非連続状に塗布し、表面に連通孔の一部
を残すことが好ましい。なお、本発明でいう非連続状と
は、繊維質シート表面全面には銀面を構成する弾性重合
体が付与されていない状態をいい、ある方向には銀面を
構成する弾性重合体層が存在しているが、ある方向には
銀面を構成する弾性重合体層が不連続に存在しているよ
うな状態、及びすべての方向に対して銀面を構成する弾
性重合体層が不連続に存在しているような状態を意味し
ている。本発明において、任意の1cm四方の大きさの
皮革様シートを切り出した場合に、繊維質シート表面に
銀面を構成する弾性重合体層が存在している部分と銀面
を構成する弾性重合体が存在していない部分が常に共存
しているような銀面を構成する弾性重合体層の非連続が
好ましい。より好ましくは2mm四方のおおきさに上記両
部分が存在している場合である。
【0017】また、シート表面の連通孔の大きさとして
は、径が0.3〜20μmであるのが好ましい。グラビ
アロールなどで銀面を付与する場合、ロールメッシュの
加工性の点からさらに好ましくは7〜15μmの範囲で
ある。径が小さ過ぎる場合には、ライニング材としての
透湿性が低下し好ましくない。また、空隙の径が大きす
ぎる場合には、銀面層の摩耗性が低下するため好ましく
ない。
【0018】銀面層を構成する弾性重合体としては、繊
維質シートを構成する弾性重合体との接着性の点から同
種の弾性重合体、すなわちポリウレタンであることが好
ましい。また、風合い、耐表面摩耗性、エンボス等シボ
付けの加工性の点からもポリウレタンであることが好ま
しく、さらに好ましくは炭素数6以上10以下のアルカ
ンジオールから得られるポリエステル系またはポリカー
ボネート系ポリウレタンが好ましい。また、耐摩耗性を
向上させる基を構造内に導入しても構わない。塗布量
は、柔軟性の点から繊維質シート表面を構成する銀面層
用弾性重合体が固形分にて1〜50g/m2の範囲内に
あることが好ましい。弾性重合体の膜厚は風合いの点か
ら固形分にて0.1cm以下の厚みの範囲であることが
好ましい。塗布する方法として弾性重合体膜を均一にコ
ートする方法は透湿性が阻害されるため好ましくなく、
また均一コートした場合に、透湿性を上げるため膜厚を
薄くしたり、あるいは弾性重合体を発泡させた場合に
は、摩耗強度が低下するため好ましくない。以上のこと
より透湿性、吸汗性の点から弾性重合体を非連続状に塗
布する方法が好ましい。塗布する手段としてはどのよう
な方法を用いても構わないが、メッシュ状にカップを刻
印した金属ロールを用いて弾性重合体液をカップに満た
し、非連続状で繊維質シート表面に塗布する方法が好ま
しい。また、塗布する部分と塗布しない部分の面積比率
としては、塗布する部分が全体の面積の80〜98%の
範囲にあることが好ましい。塗布する面積比率が80%
未満のばあいには表面を構成する銀面層が構成される面
積が少ないため透湿性は向上するが対表面摩耗性か低下
するため好ましくない。また、塗布する面積比率が98
%を超える場合には、銀面層を構成する弾性重合体が非
連続な状態といえず柔軟性が阻害され、かつ透湿性も低
下するため好ましくない。
【0019】得られた銀面を有する繊維質シートにはラ
イニング或いは中敷として実用上有用な消臭性を付与す
る。特に、消臭性については光触媒型の消臭剤を使用す
ることにより消臭性を長期間有することができる。本発
明では、消臭剤として吸着機能と光触媒機能を有する消
臭剤が好ましく、吸着機能のみであれば悪臭を吸収して
飽和し、消臭機能が低下するため好ましくない。
【0020】本発明で使用される光触媒性機能とは、紫
外線などの光線の照射により活性酸素を生成させ、多く
の有害物、悪臭物を酸化分解し、光酸化触媒として機能
することをいう。そのため、光触媒性機能を有する物質
としては酸化性光触媒の範疇に属する場合が多い。この
ような光触媒機能を有する物質を用いると単なる吸着作
用ではなく、触媒的な分解を利用して消臭できるため、
消臭または脱臭効果が長期間にわたり持続する。さら
に、光触媒性機能により有害物、悪臭物を分解するだけ
でなく、殺菌作用の効果を有している。
【0021】光触媒性機能を有する物質としては、有機
または無機を問わず種々の光半導体が使用できるが、無
機光半導体である場合が多い。例えば、硫化物半導体、
金属カルコゲナイト、酸化物半導体などが挙げられ、硫
化物と酸化物以外の半導体としてGaAs,Si,Se
なども含まれる。これらの光触媒性機能を有する物質は
単独でまたは2種類以上組み合わせて使用できる。
【0022】これらの光触媒性機能を有する物質のう
ち、CdS,ZnSなどの硫化物半導体、TiO2、Z
nO,WO3、SnO2などの酸化物半導体が好ましく、
特に酸化物半導体、例えばTiO2、ZnOなどが好ま
しい。前記光触媒性機能を有する物質を構成する光半導
体の結晶構造は特に制限されない。例えばTiO2は、
アナターゼ型、ブルカイト型、ルチル型、アモルファス
型などのいずれであっても良い。好ましいTiO2には
アナターゼ型酸化チタンが含まれている。
【0023】光触媒性機能を有する物質はゾルやゲル状
で使用できるとともに粉粒状で使用してもよい。光触媒
性機能を有する物質を粉粒状で使用する場合、光触媒性
機能を有する物質の平均粒子径は光活性及び脱臭効果を
損なわない範囲で選択できる。好ましい範囲としては
0.01〜25μmで連通孔内に存在するため、さらに
好ましくは0.05〜5μmの範囲である。また、光触
媒性機能を有する物質の付着量は、表面または内部に人
工皮革1平方メートル当たり0.1g以上が好ましく、
さらに好ましくは0.3g以上である。本発明で用いる
消臭剤が粉体の場合もあるため多量に付着すると凝集し
て欠点となるため表面の面感が変化しない程度に付着さ
せることが好ましい。
【0024】また、前記光触媒性機能を有する物質を吸
着性機能を有する物質とを組み合わせて使用することに
より消臭性を顕著に高めることができる。つまり、遮光
下において光触媒機能が発揮されない状況下においても
消臭性を発揮することができる。光触媒機能を有する物
質と吸着性を有する物質の比率は適当に選択でき、吸着
性機能を有する物質100重量部に対して1〜1000
重量部、好ましくは20〜500重量部である。また、
消臭剤として光触媒性機能を有する物質と吸着性機能を
有する物質は混合され同一の粒体で存在していることが
好ましい。別々で存在する場合、すなわち吸着性機能を
有する物質が単独で存在する場合には、吸着機能のみが
作用し、飽和して消臭能力が低下するため好ましくな
い。
【0025】吸着性機能を有する物質は、悪臭成分のガ
スを吸着し、かつ光触媒性機能を有する物質により悪臭
の分解させるまでの吸着場所としての働きをもつ。光触
媒性機能を有する物質が粒体の場合には、物理吸着によ
る吸着性機能も有するので光触媒性機能を有する物質も
吸着性機能を有する物質も同一の物質となり好ましい。
吸着性機能を有する物質は物理吸着により気体を吸着す
ることが好ましく、吸着性機能を有する物質としては、
光触媒性機能の活性を阻害しない化合物であれば公知の
吸着性物質が挙げられ、特に限定されないが、好ましい
吸着性機能を有する物質としては4価金属のリン酸塩お
よび/または2価金属の水酸化物や二酸化チタン等が挙
げられる。
【0026】消臭剤を付与する方法としては銀面層を形
成する弾性重合体中に混合する方法、繊維質シートに含
浸して付与する方法が挙げられ、条件を満たすものであ
れば特に限定されないが、後処理による消臭性の低下が
ないことと連通孔内に消臭剤を存在させられることから
最終処理にて消臭剤を分散した液中に該シートを含浸す
る方法が好ましい。消臭剤を液中に分散する場合、液と
しては、繊維質シートを変質させないことと消臭剤の性
能を低下させなければ特に限定されるものでないが、水
および浸透剤としてアルコール類を添加した水が好適に
使用される。消臭性の低下がなければ消臭剤の凝集を防
ぐため界面活性剤等を添加しても構わない。また、含浸
する方法を用いることにより、連通孔を消臭剤の含浸液
が通過し搾液されることにより連通孔内部に消臭剤が存
在するようになる。また、液中の消臭剤の濃度について
は消臭性および処理後の面感から0.01重量%〜30
重量%の範囲にあることが好ましい。さらに好ましくは
0.5〜5重量%の範囲である。
【0027】また、銀面に模様付けのためエンボス処理
などを施しても構わない。また、実用に供するため染色
処理、撥水処理などを施しても構わない。
【0028】
【実施例】次に、本発明の実施態様を具体的な実施例に
て説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。なお、実施例中の部、%はことわりの無い
かぎり重量に関するものである。本文中に記載されてい
る透湿性についてはJIS L−1099 A−1法に
準拠して測定した。また表面摩耗性についてはJIS
L−1096に準拠してテーバ法にて測定した。また、
ポリウレタンの強度の評価として強伸度曲線を測定し、
伸度100%での強度、100%モジュラス(以下M1
00)を測定した。また消臭性の評価として、延べ10
0時間着用したライニング材より発生する悪臭を試料近
辺のガスを採取し有識者による判定で消臭性を評価し
た。また代表的な悪臭ガスとして酢酸、硫化水素のガス
についてテドラーバック内に測定するガスと原反2gを
封入し初期および24h後のガス濃度を北川式ガス検知
管を用いて測定して除去率を下式にて算定し評価した。 除去率<%>=(初期ガス濃度−24hrガス濃度)/
初期ガス濃度*100 実施例1
【0029】光触媒性消臭剤の調製 Cu(II)−Ti(IV)−SiO2−TiO2組成物 硫酸銅結晶(CuSO4・5H2O)を43.9gを蒸留
水1lに溶解し、得られた水溶液に30%硫酸チタン溶
液60gを添加し、Cu(II)イオン0.175モル
を含んだpH=1の水溶液を得た。室温下で混合液を撹
拌しながら15%リン酸溶液110gを滴下し白色沈澱
物を生成させ、その後24h撹拌を続けた。上記沈澱物
を含有する液(A液)と珪酸ナトリウムを含む水溶液
(B液)471gとを別々のビーカー中で撹拌しながら
蒸留水500mlを入れた容器中に並行して滴下したと
ころ、Cu(II)−Ti(IV)−SiO2を含む青
白色の混合沈澱物が生成した。A液とB液との混合時の
pHは常に約7.0となるよう滴下量を調整した。な
お、B液は、珪酸ナトリウムを蒸留水で30%に希釈
し、15%の水酸化ナトリウム溶液30mlを滴下する
ことにより調整した。
【0030】A液とB液の混合液を室温下で沈澱物を吸
引濾過し、加温した脱イオン水で十分洗浄し、40℃に
て乾燥した。乾燥物を乳鉢で粉砕し、Cu(II)−T
i(IV)−SiO2を含む青白色の光触媒性機能を有
する粉末を得た。得られた青白色粉末80部に対し吸着
性機能成分として酸化チタン粉末20重量部を添加し平
均径が約1μm前後の光触媒性消臭剤組成物を調製し
た。 繊維質シートの製造
【0031】ナイロン/ポリエチレンをチップで50/
50の量率で混合して、押出機にて紡糸を行い海島状繊
維(ナイロンが島成分、ポリエチレンが海成分)を紡糸
し、延伸、カットした4デニールの短繊維を絡合して不
織布を得た。この繊維質シートにポリウレタン(ポリメ
チルペンタンアジペートとポリエチレングリコールから
なる平均分子量2000のポリマージオール、4、4’
−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびブタンジオ
ールからなるポリウレタン)のジメチルホルムアミド溶
液を含浸し、湿式凝固させた後、繊維成分の海成分を抽
出除去し、目付270g/m2、厚み0.8mmポリウ
レタンと繊維の比率が55/45の基体層を得た。得ら
れたシートのナイロン極細繊維の繊度は0.06デニー
ルであり、かつ、柔軟な皮革様の風合いを有していた。
【0032】得られた基体層の片面にM100=40kg
/cm2ポリメチルペンタン系ポリエステル系ポリウレ
タンを10%含む溶液を150メッシュのグラビアロー
ルで乾燥後20g/m2になるよう塗布し、柔軟で実用
に耐え得る表面摩耗性をもつ繊維質シートを得た。この
とき弾性重合体層が存在する部分は面積比率で96%
で、シート表面に存在する連通孔の多くが径約10μm
であった。前記消臭剤を3%水中分散した分散液に繊維
質シートを含浸し、乾燥し消臭剤をシートに付着させ
た。このシートを染色、撥水仕上げしてライニング材と
したところ150g/m2/hの透湿性を有した。ま
た、顕微鏡にて連通孔内部に消臭剤が存在していること
を確認した。また、悪臭ガスの除去性として消臭性を測
定したところ除去率で酢酸、硫化水素とも99%以上で
あった。また、実着用試験として靴の中敷に貼り合わせ
100時間着用して評価したところ悪臭は感じられなか
った。
【0033】比較例1 実施例1に用いた基体層の片面に、前記消臭剤組成物を
組成物/樹脂(P/R)=0.3の比率にて混合した前
記M100=40kg/cm2のポリエステル系ポリウレタ
ンを25%含む溶液をダイレクトコートで乾燥後30g
/m2になるよう全面に塗布し、柔軟で実用に耐え得る
表面摩耗性をもつ繊維質シートを得た。このシートを染
色、撥水仕上げしてライニング材としたところ、消臭性
は有していたが透湿性が、10.4g/m2/hしかな
く実着用試験にてムレが発生した。消臭剤の効果により
一応悪臭は検知されなかった。また、実着用時に表面に
付着した消臭剤が靴下との擦れにより脱落がみられた。
【0034】比較例 実施例1に用いた基体層の片面に実施例1と同じM100
=40kg/cm2のポリエステル系ポリウレタンを1
0%含む溶液を150メッシュのグラビアロールで乾燥
後10g/m2になるよう塗布し、柔軟で実用に耐え得
る表面摩耗性をもつ繊維質シートを得た。このとき弾性
重合体層が存在する部分は面積比率で96%であった。
このシートに消臭剤を付与せず、染色、撥水仕上げして
ライニング材としたところ125g/m2/hの透湿性
を有したが、実着用テストにて約30時間の着用テスト
にて汗が原因と推定される悪臭が発生した。また、悪臭
ガスの除去性を調べたところ酢酸ガスは20%あった
が、硫化水素ガスは5%しか除去されていなかった。
【0035】[比較例] 実施例1に用いた基体層の片面にM100=40kg/c
2のポリエステル系ポリウレタンを10%含む溶液を
150メッシュのグラビアロールで乾燥後10g/m2
になるよう塗布し、柔軟で実用に耐え得る表面摩耗性を
もつ繊維質シートを得た。前記消臭剤組成物で吸着成分
の酸化チタンを混合せず光触媒成分のみを水中に2.4
%の濃度で分散した分散液に繊維質シートを含浸し、乾
燥し消臭剤をシートに付着させた。このシートを染色、
撥水仕上げしてライニング材としたところ125g/m
2/hの透湿性を有したが、吸着成分が添加されていな
いため悪臭ガスの吸着、分解が進まず実着用テストにて
約30時間の着用テストにて汗が原因と推定される悪臭
が発生した。また、悪臭ガスの除去性を調べたところ酢
酸ガスは60%あったが、硫化水素ガスは40%であり
消臭性能が吸着成分を添加していないことにより消臭性
能が低下していた。
【0036】
【発明の効果】本発明の消臭、透湿性に優れたライニン
グ用人工皮革は光触媒性物質および吸着性物質が表面に
付与されているため種々の臭気成分を分解するため長時
間着用しても悪臭が発生しない。また、銀面層を有しな
がら連通孔を有することにより透湿性を保持しながら表
面摩耗性に優れ、ムレがなくかつ実用的な耐久性を有す
る。また、表面に存在する連通孔内に光触媒性物質およ
び吸着性物質が存在することにより表面の擦れによる光
触媒性物質および吸着性物質の脱落が発生せず長期間消
臭分解性を保持できる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維質基体およびその表面に非連続状に
    塗布された弾性重合体により形成された銀面層からなる
    人工皮革において、銀面層が、弾性重合体の塗布部分が
    全体面積の80〜98%であり、表面に繊維質基体内部
    に通ずる0.3〜20μm径の大きさの連通孔を有し
    光触媒性機能を有する物質と吸着性機能を有する物質が
    銀面層部または繊維質基体内部に存在していることを特
    徴とする人工皮革。
  2. 【請求項2】 銀面層が表面に有する、繊維質基体内部
    に通ずる連通孔の内部に、光触媒性機能を有する物質と
    吸着性機能を有する物質が存在する請求項1に記載の人
    工皮革。
  3. 【請求項3】 銀面層が表面に有する、繊維質基体内部
    に通ずる連通孔の内部に、光触媒性機能を有する物質と
    吸着性機能を有する物質が平均径0.05〜5μmの混
    合された同一の粒体で存在する請求項1に記載の人工皮
    革。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の人工皮
    革を用いた靴用ライニングまたは中敷。
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