JP3445844B2 - 昇華転写記録用受像体 - Google Patents

昇華転写記録用受像体

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JP3445844B2
JP3445844B2 JP22339194A JP22339194A JP3445844B2 JP 3445844 B2 JP3445844 B2 JP 3445844B2 JP 22339194 A JP22339194 A JP 22339194A JP 22339194 A JP22339194 A JP 22339194A JP 3445844 B2 JP3445844 B2 JP 3445844B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱昇華性染料を含有す
るインキ層を有する熱転写記録媒体から加熱転写により
移行してくる熱昇華性染料を受容する染料受像層を有
し、画像形成のできる昇華転写記録用受像体に関し、よ
り詳しくは、昇華転写により染料受像層に形成された画
像を、更に、表面平滑性に乏しくかつ柔軟性と伸縮性と
に富んだ材料に、容易に貼着させることができる昇華転
写記録用受像体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、テレビやビデオの画像、あるいは
コンピューターグラフィックスの画像などからのカラー
ハードコピーの方法として、良好な階調性表現を実現で
きることから、熱昇華性染料を利用する昇華転写記録方
法が広く利用されるようになっている。この場合の画像
形成の原理は、熱昇華性染料含有インキ層を有する熱転
写記録媒体の当該インキ層側と、熱昇華性染料を受容で
きる染料受容層が基材上に積層されている受像体の当該
染料受像層側とを対向させておき、画像情報に応じて熱
転写記録媒体のインキ層を加熱することにより熱昇華性
染料を染料受像層に移行させて画像を形成するものであ
る。
【0003】ところで、このような昇華転写記録方法で
形成された画像を、更に任意の物品上に転写することが
広く行われているが、その代表的な方法としては、あら
かじめ受像体の染料受像層と反対側の基材面に粘着材層
と離型シートを積層しておき、染料受像層に画像を形成
した後に、離型シートを剥がし、受像体を所望の物品の
表面に粘着剤層を介して貼り付けるという方法がある。
【0004】しかし、このような粘着剤付き受像体を、
薄葉紙、プラスチックフィルム、布あるいは軟質のプラ
スチックやゴムなどのような柔軟性や伸縮性に富んだ材
料や、また、表面が粗く平滑性の乏しい材料に対して貼
り付けた場合には、遅からず剥がれ落ち易いという問題
点がある。このため、柔軟性あるいは伸縮性に富んだ材
料や、表面が粗く平滑性の乏しい材料に、前記のような
画像を転写する方法として、受像体の染料受像層を基材
から剥離可能としておき、染料受像層に画像を形成した
後に、染料受像層と所望の物品の表面とを対向させ、そ
の間にホットメルトタイプの接着シートを介在させ、受
像体の基材側からアイロン等で加熱加圧して染料受像層
と物品とを接着し、最後に前記の基材を染料受像層から
引き剥がすという方法も行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
染料受像層と基材とを剥離可能とした受像体を使用する
従来の技術においては、接着シートを別途に容易する必
要があり、このことは、受像体と接着シートとをそれぞ
れ切り抜いて位置合わせする操作があることから、作業
が非常に繁雑になってしまうという問題があった。
【0006】また、このような従来の技術に係わる受像
体の染料受像層は、接着シートを使用することが前提と
なっているので、それ自身が接着性を示す必要がなく、
むしろ、昇華転写時に熱転写記録媒体のインキ層と融着
を防止することが要求される。そのため染料受像層とし
ては、熱可塑性樹脂をイソシアネート等の硬化剤で硬化
させた樹脂や熱硬化性樹脂が使用されている。
【0007】従って、接着シートを介して所望の物品に
染料受像層を転写させるときに、その物品がニットのよ
うな伸縮性が非常に大きいものである場合には、物品の
伸縮性に追随できず、ひび割れてしまうという問題があ
った。
【0008】本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みな
されたものであり、受像体の染料受像層を硬化させるこ
となく、熱により容易に粘着性を示す染料受像層を設け
ながら、保存安定性に優れ、その染料受像層に対して昇
華転写記録方法により得られる画像を、接着シートを用
いることなく任意の材料に、特には柔軟性あるいは伸縮
性に富んだ材料に対して、また表面が粗く平滑性に乏し
い材料に対しても、良好に転写することができ、転写後
の画像の箔落ちやひび割れが生じたりせず、そのうえ、
画像のにじみの少ないことを兼ね備えた、安定した昇華
転写記録用受像体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明において上記目的
を達成するために、まず第1の発明では、少なくとも基
材、剥離層、染料受像層が、この順に積層されてなる昇
華転写記録用受像体において、 (イ)基材の剥離層とは反対側に、背面層が積層されて
いること、 (ロ)剥離層と染料受像層との間に、染料受像層の柔軟
性と伸縮性を補う中間接着層と、該中間接着層への染料
の移行を防止するための染料浸透、拡散、透過し難い光
透過性の樹脂材料による染料移行防止層とがこの順に設
けられていること、 (ハ)中間接着層の引張伸度は300%以上、引張強度
は200kg/cm 2 以上であること、 (ニ)染料受像層は、熱転写記録時に熱転写記録媒体に
対して熱融着しないようにオイル状若しくはフィラー状
の離型剤を1〜30重量%配合した熱可塑性樹脂又はワ
ックス類を用い且つ熱溶融することにより粘着性を示す
こと、以上(イ)から(ニ)を具備することを特徴とす
る昇華転写記録用受像体である。
【0010】
【0011】また、第2の発明では、第1の発明におい
て、前記染料移行防止層が、中間接着層への染料の移行
を防止するための浸透、拡散、透過し難い光透過性アク
リル樹脂によることを特徴とする昇華転写記録用受像体
である。
【0012】さらに、第3の発明では、第1又は第2の
発明において、前記基材の裏面に背面層を備え、該背面
層が離型剤を0.1〜10重量%配合した耐熱性樹脂材
料によるブロッキング防止層であることを特徴とする昇
華転写記録用受像体である。
【0013】さて、本発明者らは、背面層を設けること
で熱可塑性の染料受像層を持った受像体の保存安定性を
向上させ、しかも受像体の染料受像層を任意の物品に転
写するときに、まず、加熱加圧により染料受像層自体が
接着性を示すようにし、さらに特定の数値以上の伸度を
示す中間接着層を染料受像層と剥離層との間に形成する
ことにより、上述の目的が達成できることを見いだした
ものである。
【0014】なお、昇華性染料としては、温度上昇に伴
い、固体から気体へ一気に層変化を起こすものに限ら
ず、完全な昇華性は示さずほんの僅かだけ液体の状態を
経て気体へ層変化する材料も、本発明でいう昇華性染料
と見なすことにする。すなわち、基材、剥離層および染
料受像層が順次積層されてなる昇華転写記録用受像体に
おいて、基材の剥離層とは反対面に背面層が設けられ、
かつ、剥離層と染料受像層との間に中間接着層が設けら
れ、該中間接着層を形成する樹脂の引張伸度が300%
以上であり、しかも染料受像層が溶融もしくは軟化する
ことにより接着性を示すことを特徴とする昇華転写記録
用受像体を提供している。
【0015】また、このような引張伸度が300%以上
である樹脂で中間接着層を形成する場合、引張伸度が3
00%以上である樹脂は染料染色性が強いことから、染
料受像層と隣接させて中間接着層を設けた場合、染料受
像層に形成された染料画像の染料が経時的に中間接着層
に移行し拡散してしまうために、画像が滲んでぼやけて
しまう。
【0016】そこで、染料染色性、染料の拡散性、そし
て透過性の少ない材料を用いて中間接着層と染料受像層
との間に染料移行防止層を形成し、これにより染料画像
の安定化を図るものである。
【0017】
【作用】上記のように本発明によれば、昇華転写記録用
受像体の染料受像層は、溶融または軟化することにより
粘着性を示すので、昇華転写記録方法により得られる画
像を、接着シートを用いることなく、任意の材料に転写
可能となる。
【0018】また、隣接して300%以上の伸度を有す
る樹脂からなる中間接着層が形成されているので、染料
受像層が被転写材に転写された後に、染料受像層の柔軟
性と伸縮性を十分補うことができる。
【0019】さらに、中間接着層と染料受像層との間に
染料移行防止層が設けてあるため、染料受像層に形成さ
れた染料画像が中間接着層に移行し、拡散、浸透、透過
等しないので、画像の滲みやぼやけが発生しない。
【0020】
【実施例】以下、まず図面に基づいて本発明を詳細に説
明する。図1は、本発明の好ましい態様の昇華転写記録
用受像体の断面図である。同図にあるように、この昇華
転写用受像体(10)は、背面層(16)、基材(1
1)、剥離層(12)、中間接着層(13)、染料移行
防止層(14)および染料受像層(15)が順次積層さ
れた構造を有する。
【0021】本発明において使用する基材(11)とし
ては、従来から感熱記録媒体の基材として使用されてい
るものと同等なものを使用することができ、機械的強靱
性、柔軟性、耐熱性などを考慮して適宜選択することが
できる。
【0022】このような基材の具体例としては、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど
のポリエステルとか、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、
ポリカーボネート、ポリエステル、ポリサルファン、ポ
リイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、
アラミドフィルムなどのプラスチックフィルムとか、上
質紙、コート紙、合成紙などの紙基材とか、あるいはこ
れらを組み合わせたシート等を例示することができる。
なかでも、平滑性、強度、コストなどの点からポリエス
テルフィルムを好ましく使用できる。
【0023】基材(11)の厚さには特に限定はない
が、プリンターの搬送性等を考慮すると、一般的には2
5〜250μm、好ましくは75〜200μmとする。
【0024】剥離層(12)は画像が形成された染料受
像層(15)を任意の物品(被転写材)に転写できるよ
うに、それ自身と基材(11)との界面を容易に剥離さ
せるものであり、さらに剥離した後は転写画像の表面保
護層として機能するものである。
【0025】従って、このような剥離層(12)として
は、基材(11)からの剥離性が良好で、かつ、中間接
着層(13)と強固に接着し、さらに耐熱性、耐擦過
性、耐水性、耐薬品性等に優れ、熱昇華性染料が浸透、
拡散、透過しにくく、光透過性の材料を使用する。
【0026】このような材料としては、例えば、ブチラ
ール樹脂、飽和ポリエステル、ポリウレタン、アクリ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリアミド、スチレン−ブタジエン共重合
体等の種々の熱可塑性樹脂や、これらの架橋生成物、あ
るいは、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、けい素樹脂、ア
ルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬
化性樹脂、の中から1種以上を適宜選択して使用するこ
とができる。
【0027】なお、剥離層(12)の厚みには特に制限
はないが、薄すぎると被転写材に転写した染料画像の種
々の耐性が低下し、厚すぎると画像品位の低下が生じる
ので、一般的には、1〜10μmとすることが好まし
い。
【0028】中間接着層(13)は、染料受像層(1
5)の柔軟性と伸縮性を補い、そのひび割れや箔落ちを
防止するための層である。このような中間接着層(1
3)としては、引張伸度が300%以上、好ましくは4
00〜1000%の樹脂とワックスの混合物を使用す
る。さらに、そのような伸度の樹脂の中でも、引張強度
が200kg/cm2 以上の樹脂を使用することが好ま
しい。
【0029】引張伸度が300%未満であると、染料受
像層(15)の柔軟性と伸縮性とを十分に補うことがで
きない。また、引張強度が200kg/cm2 未満であ
ると染料受像層(15)が破断し易く、ひび割れ等が発
生し易い。
【0030】このような中間接着層(13)に使用する
樹脂の具体例としては、飽和ポリエステル、ポリウレタ
ン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ブタジエン−塩化
ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリア
ミド、スチレン−ブタジエン共重合体等の熱可塑性樹脂
が使用できる。
【0031】これらの樹脂は、単独で使用しても良い
し、各種混合して使用しても良い。また、これらにブロ
ッキング防止剤として、ポリエチレンワックス、パラフ
ィンワックス、カルナバワックス、キャンデリラワック
ス、エステルワックス、酸化ワックス、ライスワック
ス、モンタンワックス、石油樹脂系ワックス等のワック
ス類を添加しても良い。
【0032】なお、中間接着層(13)の厚みには特に
制限はないが、薄すぎると染料受像層(15)の柔軟性
と伸縮性とを十分に補うことができなくなり、厚すぎる
と画像品位の低下が生じるので、一般的には、10〜1
00μmとすることが好ましい。
【0033】染料移行防止層(14)は、染料受像層
(15)から中間接着層(13)へ染料が移行、拡散す
るのを防止し、形成した画像の滲みや、ぼやけ等を防止
して染料画像を安定させるための層である。このような
染料移行防止層(14)としては、熱昇華性染料が浸
透、拡散、透過しにくい光透過性の材料が使用できる。
【0034】このような材料としては、例えば、ブチラ
ール樹脂、飽和ポリエステル、ポリウレタン、アクリ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリアミド、スチレン−ブタジエン共重合
体等の種々の熱可塑性樹脂や、これらの架橋生成物、あ
るいは、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、けい素樹脂、ア
ルキド樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂等の熱硬化性
樹脂、の中から1種以上を適宜選択して使用することが
できる。
【0035】また、その他の金属、無機物を蒸着等の方
法により薄膜化し、染料移行防止層(14)を形成して
も良い。その中でも特に、熱昇華性染料が浸透、拡散、
透過しにくく、光透過性に優れたアクリル樹脂を主成分
として用いることが好ましい。
【0036】なお、染料移行防止層(14)の厚みに特
に制限はないが、薄すぎると染料移行防止効果が少なく
なり、厚すぎると被転写材に転写後の層全体の柔軟性お
よび伸縮性が低下するので、0.1〜5.0μmとする
ことが好ましい。
【0037】染料受像層(15)は、熱転写記録媒体の
インキ層の昇華性染料を受容して画像が形成される層で
あると共に、形成された画像をさらに他の被転写材に転
写する場合に、別途に接着シートを使用せずに加熱加圧
により被転写材に染料受像層(15)自体が直接接着す
る機能を有する。
【0038】このような染料受像層(15)としては、
染料染着性を有する、例えば、ブチラール樹脂、ポリウ
レタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポ
リアミド、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビ
ニルアセタール、ケトン、あるいはこれらの変性樹脂や
ブレンド品などの熱可塑性樹脂や、ポリエチレンワック
ス、パラフィンワックス、カルナバワックス、キャンデ
リラワックス、エステルワックス、酸化ワックス、ライ
スワックス、石油樹脂系ワックス等のワックス類などを
使用することができる。これらは単独でも、2種類以上
を混合しても良い。
【0039】なお、これらの熱可塑性の樹脂やワックス
は、受像体に形成された染料画像を被転写材に加熱加圧
により転写する場合に良好な粘着性を示さなければなら
ない点を考慮すると、その融点もしくは軟化点が160
°C以下のものが好ましく、特には50〜130°Cの
ものがより好ましい。
【0040】染料受像層(15)の厚さは、薄すぎると
画像の反射濃度が低下し、さらに表面が粗い被転写材へ
の接着性が不十分となり転写不良が生じる。一方、厚す
ぎると画像品位の低下などが生じる。従って、一般的に
は1〜50μm、好ましくは3〜10μmとする。
【0041】なお、染料受像層(15)には、画像形成
時の熱転写記録媒体への熱融着を防止する目的で、種々
の離型剤を含有させることが好ましい。このような離型
剤としては、公知の離型剤を適宜選択して使用すること
ができる。例えば、シリコーン系、フッ素系、リン酸エ
ステル系、といった各種オイルや、界面活性剤や、金属
酸化物、シリカ等の各種フィラー等が使用でき、中で
も、シリコーンオイルを使用することが好ましい。ま
た、その添加量は、染料受像層(15)の構成条件によ
り異なるが、一般的には、1〜30重量%で配合するこ
とが好ましい。
【0042】背面層(16)は、容易に粘着性を示す染
料受像層(15)とのブロッキングを防止するための層
であり、つまりは本発明の昇華転写記録用受像体の保存
安定性を向上させるための層である。このような背面層
(16)としては、当然常温ではタックフリーであり、
しかも耐熱性に優れた材料が使用できる。
【0043】このような材料としては、例えば、フェノ
ール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジ
アリルフタレート樹脂、けい素樹脂、アルキド樹脂、ポ
リイミド樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂とか、
ウレタン、エポキシ、アクリル、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体等の架橋生成物、の中から1種以上を適宜選
択して使用することができる。その中でも特に、タック
フリーの温度範囲が広く、しかも耐熱性に優れたシリコ
ーン樹脂を主成分として用いることが好ましい。
【0044】なお、背面層(16)の厚みには特に制限
はないが、薄すぎると保存性向上の効果が半減する、厚
すぎると染料受像層(15)を被転写材に加熱加圧によ
り転写する場合、よりエネルギーが必要となるほか、エ
ネルギーが不足すると染料受像層(15)の被転写材へ
の接着性が不十分となり転写不良が生じるので、0.1
〜3μmとすることが好ましい。
【0045】なお、背面層(16)には、保存安定性を
さらに向上する目的と、プリンター内の搬送性を向上す
る目的で、種々の離型剤を含有させることが好ましい。
このような離型剤としては、公知の離型剤を適宜選択し
て使用することができる。例えば、シリコーン系、フッ
素系、リン酸エステル系、といった各種オイルや、界面
活性剤や、金属酸化物、シリカや、樹脂等の微粉末、等
の各種フィラー等が使用でき、中でも、耐熱性に優れた
シリコーンパウダーを使用することが好ましい。また、
その添加量は、背面層(16)の構成条件により異なる
が、一般的には、0.1〜10重量%で配合することが
好ましい。
【0046】なお、本発明の昇華転写記録用受像体(1
0)を構成する各層には、必要に応じて各種の添加剤を
添加することができ、例えば、接着強度を調整するため
のフィラーや界面活性剤、層の柔軟性や強度を向上させ
るための可塑剤や硬化剤、画像の耐光性を向上させるた
めの紫外線吸収剤などを添加することができる。
【0047】本発明の昇華転写記録用受像体(10)
は、通常の方法により製造することができ、例えば、基
材上に背面層形成用組成物をグラビアやメイヤーバー、
ロールコートなどの塗工方法により塗工、乾燥して、背
面層を形成し、さらに基材のもう一方側に同様にして剥
離層、中間接着層、染料受像層を形成することにより製
造することができる。
【0048】本発明の昇華転写記録用受像体(10)に
染料画像を形成する場合、通常の昇華記録型の熱転写記
録媒体とプリンターとを用いて行うことができる。な
お、プリンーとしては、被転写材に染料受像層を転写す
るときに画像が反転するので、原稿ソースに対し鏡面画
像を形成できるものが好ましい。
【0049】図1に示した本発明の昇華転写記録用受像
体(10)の染料受像層に染料画像を形成した後に、こ
の染料受像層を被転写材に転写する場合には、図2に示
すように、染料受像層(15)を被転写材(17)に重
ね、市販の熱ロールを利用したラミネーターや熱板を用
いたホットプレス機、ホットスタンプ機、あるいは家庭
用アイロンなどの加熱装置(18)で、基材(11)側
から加熱加圧することにより染料受像層(15)を被転
写材(17)に接着させ、最後に基材(11)を剥離層
(12)から剥離する。
【0050】さらに、本発明を具体的な実施例に基づき
説明する。厚さ188μmの乳白色のポリエチレンテレ
フタレートフィルム(ダイヤホイル株式会社製、商品
名:W900)の一方の面に、以下の配合組成の背面層
形成用組成物を、メイヤーバーコーターにより塗工、乾
燥して、乾燥厚で1μmの背面層(16)を形成する。
【0051】 〈背面層組成〉 ・シリコーン樹脂液(信越化学工業株式会社製、商品名:KS−3703、固 形分 30%) 30重量部 ・シリコーンパウダー(信越化学工業株式会社製、商品名:KMP−590) 0.18重量部 ・白金触媒液(信越化学工業株式会社製、商品名:CAT PL−50T) 0.82重量部 ・溶剤(トルエンおよび酢酸エチル、重量比 1:1) 69重量部
【0052】ついで、前記ポリエチレンテレフタレート
フィルムのもう一方の面に、剥離層形成用組成物、中間
接着層形成用組成物、染料移行防止層形成用組成物およ
び染料受像層形成用組成物をこの順序で、順次、メイヤ
ーバーコーターにより塗工、乾燥を繰り返し、各々、乾
燥厚で、2μmの剥離層(12)、40μmの中間接着
層(13)、1μmの染料移行防止層(14)、5μm
の染料受像層(15)を積層することにより、本発明の
昇華転写記録用受像体(10)を作製した。
【0053】 〈剥離層組成〉 ・ブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製、商品名:SLec−BH3) 10重量部 ・溶剤(トルエンおよびメチルエチルケトン、重量比 1:1)90重量部
【0054】 〈中間接着層組成〉 ・ウレタン樹脂液(旭電化工業株式会社製、商品名:HUX−160、固形分 35%、引張伸度 725%、引張強度 302kg/cm2 ) 100重量部
【0055】 〈染料移行防止層組成〉 ・アクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社製、商品名:BR−80) 10重量部 ・溶剤(トルエンおよびメチルエチルケトン、重量比 1:1)90重量部
【0056】 〈染料受像層組成〉 ・ブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製、商品名:SLec−BM2) 10重量部 ・シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、商品名:KP−301) 2重量部 ・溶剤(トルエンおよびイソプロピルアルコール、重量比 1:1) 90重量部
【0057】得られた昇華転写記録用受像体に対して、
以下に示すような環境下で背面層と染料受像層が接した
状態での保存試験を実施したところ、(環境1)、(環
境2)いずれの場合にも全くブロッキング等は発生しな
かった。一方、背面層を設けていないものについては、
双方の環境下でブロッキングが発生し、特に(環境2)
では染料受像層が一方の基材に融着してしまい、剥離層
のところから剥がれてしまう現象が発生した。
【0058】(環境1)常温常湿環境下、50g/cm
2 荷重、3日間放置 (環境2)40°Cドライ環境下、50g/cm2
重、3日間放置
【0059】さらに昇華転写型のカラー熱転写記録媒体
(シャープ株式会社製、商品名:GZ−Y100)とビ
デオプリンター(シャープ株式会社製、商品名:GZ−
P10W)とを用いて昇華転写記録を行ったところ、受
像体の染料受像層が熱転写記録媒体に熱融着せず、良好
なフルカラー画像が得られた。
【0060】また、この画像が形成された受像体の染料
受像層を綿ニット布に重ね、受像体側から(背面層側か
ら)アイロンで60秒間、加熱加圧(180°C、10
0g/cm2 )した後に、受像体のポリエチレンテレフ
タレート基材を引き剥がしたところ、基材と剥離層との
界面で剥離し、布地に良好な染料画像を転写することが
できた。そして布を伸縮させたところ、染料画像もその
伸縮に追随し、剥離やひび割れが生じなかった。さらに
この画像が転写された布を、常温で3ケ月放置したとこ
ろ、染料移行防止層を設けない場合と比べて、画像の滲
みが少なかった。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、昇華転写記録用受像体
の染料受像層は、溶解または軟化することにより粘着性
を示すので、昇華転写記録方法により得られる画像を、
接着シートを用いることなく、柔軟性や伸縮性の富んだ
材料に対しても、また、表面が粗く平滑性の乏しい材料
に対しても、良好な転写が可能となる。
【0062】また、300%以上の伸度を有する樹脂か
らなる中間接着層が形成されているので、染料受像層が
被転写材に転写された後に、染料受像層の柔軟性と伸縮
性を十分補うことができ、そのひび割れや箔落ちを防止
することが可能となる。
【0063】さらに、中間接着層と染料受像層との間に
染料移行防止層が設けてあるため、染料受像層に形成さ
れた染料画像が中間接着層に移行し、拡散、浸透、透過
等しないので、画像の滲みやぼやけが発生せず、任意の
被転写材に転写後も安定した画像で濃度低下の少ない画
像を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の昇華転写記録用受像体に係わる一実施
例について、その断面を示す説明図である。
【図2】本発明に係わる昇華転写記録用受像体を使用し
て、被転写材へ画像を転写する方法を断面で示す模式説
明図である。
【符号の説明】
10‥‥昇華転写記録用受像体 11‥‥基材 12‥‥剥離層 13‥‥中間接着層 14‥‥染料移行防止層 15‥‥染料受像層 16‥‥背面層 17‥‥被転写材 18‥‥加熱装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−115272(JP,A) 特開 平4−93290(JP,A) 特開 昭56−167490(JP,A) 特開 昭62−238791(JP,A) 特開 平6−183184(JP,A) 特開 平5−177957(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/38 - 5/40

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも基材、剥離層、染料受像層が、
    この順に積層されてなる昇華転写記録用受像体におい
    て、 (イ)基材の剥離層とは反対側に、背面層が積層されて
    いること、 (ロ)剥離層と染料受像層との間に、染料受像層の柔軟
    性と伸縮性を補う中間接着層と、該中間接着層への染料
    の移行を防止するための染料浸透、拡散、透過し難い光
    透過性の樹脂材料による染料移行防止層とがこの順に設
    けられていること、 (ハ)中間接着層の引張伸度は300%以上、引張強度
    は200kg/cm 2 以上であること、 (ニ)染料受像層は、熱転写記録時に熱転写記録媒体に
    対して熱融着しないようにオイル状若しくはフィラー状
    の離型剤を1〜30重量%配合した熱可塑性樹脂又はワ
    ックス類を用い且つ熱溶融することにより粘着性を示す
    こと、 以上(イ)から(ニ)を具備することを特徴とする昇華
    転写記録用受像体。
  2. 【請求項2】前記染料移行防止層が、中間接着層への染
    料の移行を防止するための浸透、拡散、透過し難い光透
    過性アクリル樹脂によることを特徴とする請求項1に記
    載の昇華転写記録用受像体。
  3. 【請求項3】前記基材の裏面に背面層を備え、該背面層
    が、離型剤を0.1〜10重量%配合した耐熱性樹脂材
    料によるブロッキング防止層であることを特徴とする請
    求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の昇華転写記
    録用受像体。
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