JP3444967B2 - 微細パターン形成用マスク板およびその製造方法 - Google Patents

微細パターン形成用マスク板およびその製造方法

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JP3444967B2 JP12455894A JP12455894A JP3444967B2 JP 3444967 B2 JP3444967 B2 JP 3444967B2 JP 12455894 A JP12455894 A JP 12455894A JP 12455894 A JP12455894 A JP 12455894A JP 3444967 B2 JP3444967 B2 JP 3444967B2
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  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微細パターン形成用マス
ク板およびその製造方法、特に、製造工程途中の半導体
装置を構成する材料層について、その一部を除去するこ
とによって所定の微細パターンを形成するパターニング
工程に用いるマスク板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な半導体装置は、半導体基板上に
複数の層をそれぞれ様々なパターンで積層させた構造を
もつ。このため、半導体装置の製造工程では、半導体基
板上への層の形成と、形成した層に対するパターニング
とが繰り返し行われる。従来用いられている最も一般的
なパターニング方法は、フォトリソグラフィ法である。
この方法では、パターニング対象となる層の上にレジス
ト層を形成し、このレジスト層上に所定のパターンが描
かれたマスクを載せた状態で露光し、レジスト層を現像
して露光部分または非露光部分を除去し、残ったレジス
ト層を保護膜として用い、パターニング対象層のエッチ
ングが行われる。
【0003】上述したフォトリソグラフィ法では、対象
となる1つの層をパターニングするために、レジスト
層の形成、マスクを用いた露光、レジスト層の現
像、エッチング、レジスト層の除去、という5つの
段階が必要になる。一般に、1つの半導体装置を製造す
るためには、多数の層に対するパターニングが必要にな
るため、全製造プロセスを完了するまでには、非常に多
数の段階からなる複雑な処理を行わねばならない。この
ため、製造に時間がかかりコストも高くなるという問題
があった。
【0004】このような問題を解決することができる新
規なパターニング方法が、本願発明者によって提案さ
れ、特願平4−343461号明細書および特願平5−
207117号明細書に開示されている。この新規なパ
ターニング方法では、物理的な開口窓をもったマスク板
によって、パターニング対象となる材料層の一部が物理
的に覆われる。この状態で、所定の反応性ガスの雰囲気
中におくか、あるいは所定の反応性イオンを照射する
と、マスク板の開口窓から露出した材料層に対して化学
反応が生じ、この露出部分についてのみ別な化合物が形
成される。結局、マスク板で覆われていた部分はもとの
材料層のままであるが、開口窓によって露出していた部
分には別な化合物が形成されたことになる。そこで、も
との材料層と別な化合物との間でエッチングレートが異
なる方法でエッチングを行えば、露出部分と非露出部分
とのいずれか一方を選択的に除去することができ、所望
のパターニングが可能になる。この方法によれば、反
応性ガスあるいはイオンによる化合物形成、エッチン
グ、という2段階の処理により、1つの層に対するパタ
ーニングが完了する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した新規なパター
ニング方法では、通常のフォトリソグラフィ法で用いる
マスク板とは全く異なるマスク板を用いる必要がある。
すなわち、通常のフォトリソグラフィ法で用いるマスク
板は、所定のパターン領域について、選択的に光を透過
させる機能があればよい。これに対して、上述した新規
なパターニング法に用いるマスク板は、反応性ガス分子
やイオンを物理的に通過させる機能が必要になる。この
ため、マスク板上には物理的な開口窓を形成する必要が
ある。ところが、微細パターンをもった開口窓を形成す
るマスク板を作成するには、必然的にマスク板の厚みを
薄くせざるを得ない。
【0006】たとえば、厚みが100μm程度の金属板
をマスク板として用いた場合、直径100μm程度の微
細円形パターンを形成するのが限界であり、これより細
かなパターンを精度よく形成することは困難である。し
たがって、幅100μm以下の微細なパターンが必要な
場合には、厚みが100μm以下のマスク板を用意しな
ければならない。しかしながら、マスク板が薄くなれば
なるほど、パターニング時にマスク板に撓みが生じた
り、皺がよったりする可能性が高くなり、工程が難しく
なるという弊害がある。近年は、半導体デバイスの集積
度が益々向上しており、半導体マスクパターンは益々微
細化する傾向にある。このような微細化に上述の方法を
適用させるためには、より微細な開口窓が形成されたマ
スク板を用意せざるを得ない。
【0007】また、パターニング時におけるマスク板の
撓みや皺といった問題が仮に解決されたとしても、幅1
00μm以下の微細パターン開口窓をもったマスク板を
製造することは、従来の製造方法では非常に困難であ
る。通常、蒸着法やスパッタ法に用いられる従来のメタ
ルマスクの加工寸法は数mmのオーダーであり、数μm
程度の微細パターンをもったメタルマスクを、従来の一
般的な方法で作成することは非常に困難である。従来知
られている方法では、ドライエッチングなどの異方性エ
ッチングを利用し、横方向(マスク板の主面に沿った方
向)にはエッチングを進行させず、縦方向(マスク板の
主面に垂直な方向)にのみエッチングを進行させる方法
を利用することも考えられるが、この方法では、高価な
真空設備が必要な上、エッチング条件の設定が難しく、
エッチングレートも遅いため、実用的ではない。
【0008】そこで本発明は、物理的な微細開口窓を有
し、しかも、撓みや皺が生じることのない十分な剛性を
もったマスク板およびこのようなマスク板を効率良く製
造することができる製造方法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【課題を解決するための手段】 (1) 本発明の第1の態
様は、製造工程途中の半導体装置を構成する材料層につ
いて、その一部を除去することによって所定の微細パタ
ーンを形成するパターニング工程に用いられ、金属から
なる層とセラミックからなる層との積層構造を有し、両
層を貫通するように微細パターンの開口窓が形成された
微細パターン形成用マスク板 を製造する方法において、
平坦な基板上に第1の金属からなる第1の層を形成する
第1の段階と、第1の層上にレジスト層を形成する第2
の段階と、このレジスト層に対して、所定の微細パター
ンを有するフォトマスクを用いた露光を行い、現像を行
うことにより微細パターンに対応した部分だけを残存レ
ジスト層として残す第3の段階と、第1の層の表面に対
して、第2の金属を鍍金することにより、残存レジスト
層が存在しない領域に、残存レジスト層の厚みよりも小
さな厚みをもった第2の金属からなる第2の層を形成す
る第4の段階と、この第2の層上に、第3の金属からな
る第3の層を形成する第5の段階と、残存レジスト層を
除去する第6の段階と、第1の層から第2の層を剥離す
る第7の段階と、第3の層を陽極酸化法によって酸化す
ることにより、第3の層の少なくとも一部を酸化物から
なる層に変える第8の段階と、を行い、金属からなる第
2の層と、酸化物からなる第3の層と、の積層構造を有
するマスク板を作成するようにしたものである。
【0015】(2) 本発明の第の態様は、製造工程途
中の半導体装置を構成する材料層について、その一部を
除去することによって所定の微細パターンを形成するパ
ターニング工程に用いられ、金属からなる層とセラミッ
クからなる層との積層構造を有し、両層を貫通するよう
に微細パターンの開口窓が形成された微細パターン形成
用マスク板を製造する方法において、平坦な基板上に第
1の金属からなる第1の層を形成する第1の段階と、こ
の第1の層上にレジスト層を形成する第2の段階と、こ
のレジスト層に対して、所定の微細パターンを有するフ
ォトマスクを用いた露光を行い、現像を行うことにより
微細パターンに対応した部分だけを残存レジスト層とし
て残す第3の段階と、第1の層の表面に対して、第2の
金属を鍍金することにより、残存レジスト層が存在しな
い領域に、残存レジスト層の厚みよりも小さな厚みをも
った第2の金属からなる第2の層を形成する第4の段階
と、この第2の層上に、第3の金属からなる第3の層を
形成する第5の段階と、残存レジスト層を除去する第6
の段階と、第3の層を陽極酸化法によって酸化すること
により、第3の層の少なくとも一部を酸化物からなる層
に変える第7の段階と、第1の層から第2の層を剥離す
る第8の段階と、を行い、金属からなる第2の層と、酸
化物からなる第3の層と、の積層構造を有するマスク板
を作成するようにしたものである。
【0016】(3) 本発明の第の態様は、製造工程途
中の半導体装置を構成する材料層について、その一部を
除去することによって所定の微細パターンを形成するパ
ターニング工程に用いられ、金属からなる層とセラミッ
クからなる層との積層構造を有し、両層を貫通するよう
に微細パターンの開口窓が形成された微細パターン形成
用マスク板を製造する方法において、上面が平坦な基板
面を形成し、この基板面を維持するのに十分な厚みをも
った第1の金属からなる第1の層を用意する第1の段階
と、この第1の層上にレジスト層を形成する第2の段階
と、このレジスト層に対して、所定の微細パターンを有
するフォトマスクを用いた露光を行い、現像を行うこと
により微細パターンに対応した部分だけを残存レジスト
層として残す第3の段階と、第1の層の表面に対して、
第2の金属を鍍金することにより、残存レジスト層が存
在しない領域に、残存レジスト層の厚みよりも小さな厚
みをもった第2の金属からなる第2の層を形成する第4
の段階と、第2の層上に、第3の金属からなる第3の層
を形成する第5の段階と、残存レジスト層を除去する第
6の段階と、第1の層から第2の層を剥離する第7の段
階と、第3の層を陽極酸化法によって酸化することによ
り、第3の層の少なくとも一部を酸化物からなる層に変
える第8の段階と、を行い、金属からなる第2の層と、
酸化物からなる第3の層と、の積層構造を有するマスク
板を作成するようにしたものである。
【0017】(4) 本発明の第の態様は、製造工程途
中の半導体装置を構成する材料層について、その一部を
除去することによって所定の微細パターンを形成するパ
ターニング工程に用いられ、金属からなる層とセラミッ
クからなる層との積層構造を有し、両層を貫通するよう
に微細パターンの開口窓が形成された微細パターン形成
用マスク板を製造する方法において、上面が平坦な基板
面を形成し、この基板面を維持するのに十分な厚みをも
った第1の金属からなる第1の層を用意する第1の段階
と、この第1の層上にレジスト層を形成する第2の段階
と、このレジスト層に対して、所定の微細パターンを有
するフォトマスクを用いた露光を行い、現像を行うこと
により微細パターンに対応した部分だけを残存レジスト
層として残す第3の段階と、第1の層の表面に対して、
第2の金属を鍍金することにより、残存レジスト層が存
在しない領域に、残存レジスト層の厚みよりも小さな厚
みをもった第2の金属からなる第2の層を形成する第4
の段階と、第2の層上に、第3の金属からなる第3の層
を形成する第5の段階と、残存レジスト層を除去する第
6の段階と、第3の層を陽極酸化法によって酸化するこ
とにより、第3の層の少なくとも一部を酸化物からなる
層に変える第7の段階と、第1の層から第2の層を剥離
する第8の段階と、を行い、金属からなる第2の層と、
酸化物からなる第3の層と、の積層構造を有するマスク
板を作成するようにしたものである。
【0018】(5) 本発明の第の態様は、製造工程途
中の半導体装置を構成する材料層について、その一部を
除去することによって所定の微細パターンを形成するパ
ターニング工程に用いられ、金属からなる層とセラミッ
クからなる層との積層構造を有し、両層を貫通するよう
に微細パターンの開口窓が形成された微細パターン形成
用マスク板を製造する方法において、上面が平坦な第1
の金属からなる金属基板上に、所定の微細パターンをも
ったレジスト層を形成し、このレジスト層によって覆わ
れていない金属基板の露出部分に第2の金属からなる鍍
金層を形成し、この鍍金層を金属基板から剥離し、この
剥離した鍍金層を、マスク板を構成する金属層として用
いるようにしたものである。
【0019】(6) 本発明の第の態様は、上述の第
の態様に係るマスク板の製造方法において、上面が平坦
な第1の金属からなる金属基板上に第1のレジスト層を
形成する第1の段階と、この第1のレジスト層に対し
て、所定のパターニングを行い、第1の微細パターンに
対応した部分だけを第1の残存レジスト層として残す第
2の段階と、金属基板の露出面に対して、第2の金属を
鍍金することにより、第1の残存レジスト層が存在しな
い領域に、第1の残存レジスト層の厚みよりも小さな厚
みをもった第2の金属からなる金属層を形成する第3の
段階と、この金属層上に、セラミック層を形成する第4
の段階と、このセラミック層上に、第2のレジスト層を
形成する第5の段階と、この第2のレジスト層に対し
て、所定のパターニングを行い、第1の微細パターンを
反転させることにより得られる第2の微細パターンに対
応した部分だけを第2の残存レジスト層として残す第6
の段階と、第2の残存レジスト層に覆われていないセラ
ミック層の露出部分をエッチングにより除去する第7の
段階と、第1の残存レジスト層および第2の残存レジス
ト層を除去する第8の段階と、金属基板から金属層を剥
離する第9の段階と、を行い、金属層と、残存したセラ
ミック層と、の積層構造を有するマスク板を作成するよ
うにしたものである。
【0020】(7) 本発明の第の態様は、上述の第
の態様に係るマスク板の製造方法において、上面が平坦
な第1の金属からなる金属基板上に第1のレジスト層を
形成する第1の段階と、この第1のレジスト層に対し
て、所定のパターニングを行い、第1の微細パターンに
対応した部分だけを第1の残存レジスト層として残す第
2の段階と、金属基板の露出面に対して、第2の金属を
鍍金することにより、第1の残存レジスト層が存在しな
い領域に、第1の残存レジスト層の厚みよりも小さな厚
みをもった第2の金属からなる金属層を形成する第3の
段階と、この金属層上に、セラミック層を形成する第4
の段階と、このセラミック層上に、第2のレジスト層を
形成する第5の段階と、金属基板から金属層を剥離する
第6の段階と、第2のレジスト層に対して、金属層をマ
スクとした背面露光を行うことにより所定のパターニン
グを行い、第1の微細パターンを反転させることにより
得られる第2の微細パターンに対応した部分だけを第2
の残存レジスト層として残す第7の段階と、第2の残存
レジスト層に覆われていないセラミック層の露出部分を
エッチングにより除去する第8の段階と、第1の残存レ
ジスト層および第2の残存レジスト層を除去する第9の
段階と、を行い、金属層と、残存したセラミック層と、
の積層構造を有するマスク板を作成するようにしたもの
である。
【0021】(8) 本発明の第の態様は、上述の第
の態様に係るマスク板の製造方法において、上面が平坦
な第1の金属からなる金属基板上に第1のレジスト層を
形成する第1の段階と、この第1のレジスト層に対し
て、所定のパターニングを行い、第1の微細パターンに
対応した部分だけを第1の残存レジスト層として残す第
2の段階と、金属基板の露出面に対して、第2の金属を
鍍金することにより、第1の残存レジスト層が存在しな
い領域に、第1の残存レジスト層の厚みよりも小さな厚
みをもった第2の金属からなる金属層を形成する第3の
段階と、第1の残存レジスト層を除去する第4の段階
と、金属基板上および金属層上に、セラミック層を形成
する第5の段階と、このセラミック層上に、第2のレジ
スト層を形成する第6の段階と、第2のレジスト層に対
して、所定のパターニングを行い、第1の微細パターン
を反転させることにより得られる第2の微細パターンに
対応した部分だけを第2の残存レジスト層として残す第
7の段階と、第2の残存レジスト層に覆われていないセ
ラミック層の露出部分をエッチングにより除去する第8
の段階と、第2の残存レジスト層を除去する第9の段階
と、金属基板から金属層を剥離する第10の段階と、を
行い、金属層と、残存したセラミック層と、の積層構造
を有するマスク板を作成するようにしたものである。
【0022】(9) 本発明の第の態様は、上述の第
の態様に係るマスク板の製造方法において、上面が平坦
な第1の金属からなる金属基板上に第1のレジスト層を
形成する第1の段階と、この第1のレジスト層に対し
て、所定のパターニングを行い、第1の微細パターンに
対応した部分だけを第1の残存レジスト層として残す第
2の段階と、金属基板の露出面に対して、第2の金属を
鍍金することにより、第1の残存レジスト層が存在しな
い領域に、第1の残存レジスト層の厚みよりも小さな厚
みをもった第2の金属からなる金属層を形成する第3の
段階と、第1の残存レジスト層を除去する第4の段階
と、金属基板上および金属層上に、セラミック層を形成
する第5の段階と、このセラミック層上に、第2のレジ
スト層を形成する第6の段階と、金属基板から金属層を
剥離する第7の段階と、第2のレジスト層に対して、金
属層をマスクとした背面露光を行うことにより所定のパ
ターニングを行い、第1の微細パターンを反転させるこ
とにより得られる第2の微細パターンに対応した部分だ
けを第2の残存レジスト層として残す第8の段階と、こ
の第2の残存レジスト層に覆われていないセラミック層
の露出部分をエッチングにより除去する第9の段階と、
第2の残存レジスト層を除去する第10の段階と、を行
い、金属層と、残存したセラミック層と、の積層構造を
有するマスク板を作成するようにしたものである。
【0023】(10) 本発明の第10の態様は、製造工程
途中の半導体装置を構成する材料層について、その一部
を除去することによって所定の微細パターンを形成する
パターニング工程に用いられ、金属からなる層とセラミ
ックからなる層との積層構造を有し、両層を貫通するよ
うに微細パターンの開口窓が形成された微細パターン形
成用マスク板を製造する方法において、上面が平坦な第
1の金属からなる金属基板上に、第2の金属を鍍金し、
この第2の金属からなる金属層を形成する第1の段階
と、この金属層上にコーティングガラスを塗布し、これ
を乾燥硬化させた後、上面を研磨して平坦にし、コーテ
ィングガラスからなるセラミック層を形成する第2の段
階と、このセラミック層上に、レジスト層を形成する第
3の段階と、このレジスト層に対して、所定の微細パタ
ーンを有するフォトマスクを用いた露光を行い、現像を
行うことにより微細パターンに対応した部分だけを残存
レジスト層として残す第4の段階と、この残存レジスト
層に覆われていないセラミック層の露出部分をエッチン
グにより除去するとともに、これにより露出した金属層
の部分領域をエッチングにより除去し、微細パターンに
対応した形状をもつ残存セラミック層および残存金属層
を形成する第5の段階と、残存レジスト層を除去する第
6の段階と、金属基板から残存金属層を剥離する第7の
段階と、を行い、残存金属層と、残存セラミック層と、
の積層構造を有するマスク板を作成するようにしたもの
である。
【0024】(11) 本発明の第11の態様は、製造工程
途中の半導体装置を構成する材料層について、その一部
を除去することによって所定の微細パターンを形成する
パターニング工程に用いられ、金属からなる層とセラミ
ックからなる層との積層構造を有し、両層を貫通するよ
うに微細パターンの開口窓が形成された微細パターン形
成用マスク板を製造する方法において、上面が平坦な第
1の金属からなる金属基板上に、第2の金属を鍍金し、
この第2の金属からなる金属層を形成する第1の段階
と、この金属層上にレジスト層を形成する第2の段階
と、このレジスト層に対して、所定の微細パターンを有
するフォトマスクを用いた露光を行い、現像を行うこと
により微細パターンに対応した部分だけを残存レジスト
層として残す第3の段階と、少なくとも上記金属層の露
出領域上にコーティングガラスを塗布し、これを乾燥硬
化させた後、上面が平坦になり、かつ、残存レジスト層
の上面が露出するまで研磨することにより、微細パター
ンに対応した形状をもち、コーティングガラスからなる
セラミック層を形成する第4の段階と、残存レジスト層
を除去し、これにより露出した金属層の部分領域をエッ
チングにより除去し、微細パターンに対応した形状をも
った残存金属層を形成する第5の段階と、金属基板から
残存金属層を剥離する第6の段階と、を行い、残存金属
層と、セラミック層と、の積層構造を有するマスク板を
作成するようにしたものである。
【0025】
【0026】(12) 本発明の第12の態様は、製造工程
途中の半導体装置を構成する材料層について、その一部
を除去することによって所定の微細パターンを形成する
パターニング工程に用いるマスク板であって、セラミッ
クからなる層を、金属からなる2つの層の間に挟むよう
にして積層させ、これら各層を貫通するように、微細パ
ターンの開口窓を形成してなる微細パターン形成用マス
ク板を製造する方法において、上面が平坦な金属からな
る金属基板上に、所定の微細パターンに対応した開口窓
が形成された第1の金属鍍金層と、同じく所定の微細パ
ターンに対応した開口窓が形成され、第1の金属鍍金層
上に積層されたセラミック層と、が形成された構造体を
用意する第1の段階と、セラミック層の上面に、中間金
属層を蒸着法またはスパッタ法により形成する第2の段
階と、中間金属層の上面に、第2の金属鍍金層を形成す
る第3の段階と、金属基板から第1の金属鍍金層を剥離
する第4の段階と、を行い、第1および第2の金属鍍金
層と、セラミック層と、の積層構造を有するマスク板を
作成するようにしたものである。
【0027】(13) 本発明の第13の態様は、上述の第
1〜第11の態様に係る製造方法によって製造されたマ
スク板マスク板本体として、更に、中央部に開口部を
有し、平面的に伸縮自在な構造をもったメッシュ状支持
層と、このメッシュ状支持層の外周部を、メッシュ状支
持層に対して張力を作用させた状態で支持する枠体と、
を設け、メッシュ状支持層の開口部の周囲部分に、マス
ク板本体を接着固定したものである。
【0028】(14) 本発明の第14の態様は、上述の第
13の態様に係るマスク板を製造する方法において、マ
スク板本体を平坦に保持することができる十分な剛性お
よび平坦性をもったマスク板支持体上に、剥離可能な状
態でマスク板本体を形成する第1の段階と、平面的に伸
縮自在な構造をもったメッシュ膜を、平面的に引き伸ば
して張力を作用させた状態で、その外周部を枠体に張り
付ける第2の段階と、マスク板本体の一方の面に、所定
の閉領域を囲うような接着領域を定義し、この接着領域
に接着剤を塗布することにより、マスク板本体を、マス
ク板支持体によって支持された状態のまま、メッシュ膜
の中央部に接着する第3の段階と、マスク板支持体を、
マスク板本体から剥離除去する第4の段階と、所定の閉
領域に対応するメッシュ膜の所定部分を切り抜き、開口
部を設けることによりメッシュ状支持層を形成する第5
の段階と、を行うようにしたものである。
【0029】
【作 用】本発明に係るマスク板は、金属からなる層と
セラミックからなる層との積層構造を有する。一般に金
属の薄板は可撓性を有するため、これを単独でマスク板
として使用すると、撓みや皺が生じる可能性がある。こ
れに対して、セラミックは脆くクラックが発生しやすい
ため、単独でマスク板として使用すると、容易に割れて
しまう可能性がある。本発明に係るマスク板は、両者を
積層構造にしたため、これらの欠点を相互に補い合うこ
とができる。すなわち、セラミック(たとえば、金属の
酸化物あるいは金属の窒化物)からなる層は、可撓性を
もった金属層に支持されているため、クラックが生じに
くくなり、逆に、金属の層は、剛性をもったセラミック
層に支持されているため、撓みや皺が生じにくくなる。
この結果、全体的な厚みをかなり小さくしても、撓みや
皺が生じることのない十分な剛性をもったマスク板を実
現することができる。また、金属の層のみからなるマス
ク板では、熱膨張率が高いため、温度変化によりパター
ン精度が低下するという問題があるが、熱膨脹率の低い
セラミック層との積層構造を採ることにより、このよう
な問題も解決される。
【0030】一方、本発明の一態様に係るマスク板の製
造方法では、上述した構造を有するマスク板を製造する
ために、まず、2種類の金属層を積層した積層板が用意
される。そして、この積層板を構成する一方の金属層を
酸化することによって酸化物からなる層を形成する。こ
れにより、金属層とセラミック層(酸化物層)との2層
構造を有する上述のマスク板を効率良く作成することが
できる。
【0031】また、本発明の別な一態様に係るマスク板
の製造方法では、上述した構造を有するマスク板におい
て、金属層を鍍金により構成している。すなわち、表面
が平坦な土台となる別な金属層上に、微細パターンをも
ったレジスト層を形成し、レジストで覆われていない露
出面に鍍金を施すことによりマスク板となるべき金属層
が形成される。このように金属層を鍍金により形成する
ことにより、微細パターンを高精度で形成することが可
能になる。また、鍍金層は、土台となる金属層から剥離
しやすい性質を有するため、後に容易に剥離が可能にな
る。
【0032】更に、本発明に係るマスク板を、2枚の金
属層の間にセラミック層を挟んだ構造にすることによ
り、熱膨張の影響によるマスク板の反りを抑えることが
できるようになる。また、マスク板本体を、枠体に張ら
れたメッシュ状支持層に接着した構造を採ることによ
り、マスク板として使用する際に、撓みや皺が発生しに
くくなり、より実用的なマスク板を提供することができ
る。メッシュ状支持層の中央部に開口部を形成しておく
と、作用する張力は周囲の枠体の方向、すなわち、外側
に向いたものとなり、接着されたマスク板本体に対して
も、外側へと引き伸ばす力が作用するようになる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基づいて説
明する。
【0034】§1. 新規なパターニング方法 本発明は、特願平4−343461号明細書あるいは特
願平5−207117号明細書に開示されている新規な
パターニング方法に用いるのに適した微細パターン形成
用マスク板に関するものである。そこで、まず、この新
規なパターニング方法を簡単に説明しておく。
【0035】ここでは、ガラス基板上でCrからなる金
属配線層をパターニングするプロセスに、この新規な方
法を適用した実施例を、図1の断面図を参照しながら説
明する。まず、図1(a) に示すように、ガラス基板10
上にCrを堆積させ、Cr材料層20を形成する。Cr
を堆積させる方法としては、従来から用いられている一
般的な成膜方法を用いればよい。たとえば、真空蒸着
法、スパッタ法、CVD法、鍍金法などを用いることが
できる。
【0036】続いて、図1(b) に示すように、このCr
材料層20の上に、本発明に係るマスク板30をのせて
覆うようにする。このマスク板30には、金属配線層に
形成すべき所定のパターンに対応する形状の開口窓31
が設けられている。開口窓31は貫通孔を形成してお
り、Cr材料層20の表面のうち、開口窓31に対応す
る部分は露出した状態となる。これらをこの状態のま
ま、反応性ガスの雰囲気中に入れる。ここで用いる反応
性ガスとしては、Cr材料層20の表面と化学反応を起
こしてCrとは別の化合物を生成するようなガスであれ
ば何でもよいが、ここでは、弗素を含んだガス(C
,SF等)をプラズマ化したものを反応性ガスと
して用いている。このように、図1(b) に示すものを、
弗素を含んだプラズマガス雰囲気中におくことにより、
開口窓31から露出しているCr材料層20の露出面が
化学反応を起こし、その表面に弗素化合物膜21が形成
される。なお、条件によっては、弗素によるコーティン
グ膜が形成される場合もあるが、ここでは、このような
弗素コーティング膜も含めて弗素化合物膜21と呼ぶこ
とにする。図1(c) は、マスク板30を除去したときの
状態を示す図であり、Cr材料層20の表面に弗素化合
物膜21が形成された状態が明瞭に示されている。
【0037】上述したプラズマガス雰囲気中における化
学反応を行うにあたって重要なことは、Cr材料層20
の露出面のみについて反応が起こり、非露出面には反応
が起こらないようにすることである。そのためには、プ
ラズマガスが露出面だけに供給され、非露出面には触れ
ないようにしなければならない。これは、Cr材料層2
0の上面とマスク板30の下面との物理的密着性を向上
させることにより可能である。一般に、ガラス基板10
の上面はかなりの平滑度を有しており、この上に真空蒸
着法、スパッタ法、CVD法、鍍金法などによって堆積
されたCr材料層2の上面もかなり平滑度をもった面と
なる。そこで、同程度の平滑度をもった下面を有するマ
スク板30を用い、このマスク板30がCr材料層20
の上に密着した状態を保つようにして反応を行わせれ
ば、両者間におけるプラズマガスの回り込みを阻止する
ことができ、Cr材料層20の露出面のみに弗素化合物
膜21が形成されることになる。後述する本発明に係る
製造方法では、下面が十分な平滑度をもったマスク板3
0を作成することができる。
【0038】なお、このプラズマガスの回り込みを十分
に阻止するために、図1(b) に示すように、Cr材料層
20の露出面に対して垂直な方向に電界Eをかけるよう
にし、方向性をもった化学反応が行われるようにすると
よい。すなわち、電界Eをかけることにより、プラズマ
ガスによる反応方向が図の垂直方向に偏ることになり、
プラズマガスの回り込みにより、非露出面に対する反応
が行われるのを防ぐことができる。あるいは、プラズマ
ガスの代わりに、たとえば弗素イオンをCr材料層20
の露出面に対して垂直な方向から照射してもよい。この
場合は、マスク板30をCr材料層20の表面に必ずし
も密着させる必要はない。
【0039】さて、図1(c) に示すように、弗素化合物
膜21が所定のパターンで形成されたら、これに対して
選択的なエッチングを行う。すなわち、Cr材料層20
と弗素化合物膜21との間で、エッチングレートの異な
るエッチング方法を行うのである。たとえば、硝酸第2
セリウムアンモン液を用いたエッチングを行えば、Cr
材料層20に対するエッチング速度は、弗素化合物膜2
1に対するエッチング速度の10倍程度となり、エッチ
ング速度の遅い弗素化合物膜21をマスクとして用い、
Cr材料層20のうち弗素化合物膜21が形成されてい
ない部分のみをエッチング除去することが可能である。
こうして、図1(d) に示すように、Cr材料層20のう
ち、Crパターニング層22だけがエッチング除去され
ずに残ることになり、このCrパターニング層22が目
的の金属配線層となる。なお、別なエッチング方法とし
て、CClを用いたドライエッチングを行っても、同
程度のエッチング選択比が得られる。
【0040】§2. 本発明に係るマスク板 図2に、本発明の一実施例に係るマスク板30の基本構
造を示す。本発明の特徴は、金属層35とセラミック層
36との二層によってマスク板30を構成した点にあ
る。微細パターンの開口窓31は、両層を貫通するよう
に形成されている。この実施例では、金属層35はニッ
ケル(Ni)から構成されており、セラミック層36は
金属の酸化物、すなわち、酸化アルミニウム(Al
)によって構成されている。この実施例では、説明の
便宜上、マスク板30には、6本のスリット状の開口窓
31が形成された例を示してあるが、実際には、半導体
デバイスなどの製造プロセスで用いるためのより複雑な
微細パターンをもった開口窓が形成されることになり、
通常、幅が100μm以下の開口窓が形成されることに
なる。このため、マスク板30も薄くせざるを得ない。
【0041】たとえば、図3の断面図に示すように、厚
みTのマスク板30に直径Dの円形パターン状の開口窓
31を形成する場合を考える。この場合、直径D>>厚
みTであれば、開口窓31の形成は非常に容易である。
ところが、直径Dが小さくなればなるほど、開口窓31
を形成するプロセスが困難になり、一般的な開口窓形成
プロセスでは、直径D=厚みTほどの大きさの開口窓3
1を形成するのが限界である。別言すれば、直径D<厚
みTのような開口窓31を形成することは非常に困難で
ある。このような理由から、より微細なパターンをもっ
た開口窓31を形成しようとすればするほど、マスク板
30の厚みは薄くせざるを得なくなり、開口窓31の幅
が100μm以下になる微細パターンを形成するには、
マスク板30の厚みも100μm以下にする必要があ
る。ところが、マスク板30が薄くなればなるほど、図
1(b) に示すパターニング時に、マスク板30に撓みが
生じたり、皺がよったりする可能性が高くなる。このよ
うな撓みや皺の発生は、正確なパターニングを阻害する
原因となり好ましくない。
【0042】本発明は、このような弊害を生じないマス
ク板を提供するものである。すなわち、図2に示すよう
な積層構造を採れば、かなり薄いマスク板でも、このよ
うな撓みや皺が発生しにくくなる。これは、セラミック
層36が剛性を有するためである。この実施例では、セ
ラミック層36は酸化アルミニウムであり、金属の酸化
物からなるセラミック素材である。撓みや皺を生じる可
能性のある金属層35は、このセラミック層36によっ
て支持されているため、マスク板30全体としては撓み
や皺が発生しにくくなるのである。一方、セラミックは
脆くクラックが発生しやすいが、可撓性をもった金属層
35によって支持されているため、マスク板30全体と
しては割れにくくなっている。この結果、全体的な厚み
をかなり小さくしても、撓みや皺が生じることのない十
分な剛性をもったマスク板を実現することができる。
【0043】なお、本発明に係るマスク板は、金属層3
5とセラミック層36との少なくとも2層からなる構造
を有していれば、全体として3層以上の構造にしてもか
まわない。たとえば、金属層35を2種以上の金属から
なる多層構造にすることもできるし、セラミック層36
を2種以上のセラミック素材からなる多層構造にするこ
ともできる。また、セラミック層は、金属の酸化物に限
らず、金属の窒化物などの他のセラミック材料で構成し
てもよい。
【0044】なお、金属層35およびセラミック層36
としては、できるだけ熱膨脹率の低い材料を用いるのが
好ましい。これは、開口窓31が微細パターンとして形
成されるため、熱膨脹率の高い材料を用いると、パター
ン精度が確保できなくなるからである。本願発明者が行
った実験によれば、上述の実施例の他、金属層35とし
てニッケルを用い、セラミック層36として次の〜
に示すような材料を用いた場合にも良好な結果が得られ
た。 蒸着法,スパッタ法に代表されるPVD法やCVD
法で成膜されたシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜。 蒸着法,スパッタ法で成膜したアルミニウム、チタ
ンまたはタンタル膜を、陽極酸化法で酸化して得られる
金属酸化膜。 ペースト状のコーティングガラス(たとえば、酸化
シリコン化合物)を膜状にコーティングし、熱処理によ
りガラス化した膜。
【0045】§3. 本発明に係るマスク板の製造方
法:実施例1 続いて、図2に示すような積層構造をもったマスク板3
0を製造する方法を、一実施例に基づいて説明する。こ
の方法では、まず、図4に示すようなフォトマスク40
を用意する。ここでは、開口窓31を形成すべき領域a
が透光性を有し、それ以外の領域bが遮光性を有するネ
ガ型のフォトマスク40を用意しているが、これとは逆
に、領域aが遮光性を有し、それ以外の領域bが透光性
を有するポジ型のフォトマスクを用意してもよい。以
下、図5および図6に示す断面図に基づいて、この製造
方法を段階に分けて説明する。
【0046】第1の段階 まず、図5(a) に示すように、上面が平坦なガラス基板
50上に、第1の金属層60を形成する。この実施例で
は、第1の金属層60として、厚み2μm程度のクロム
(Cr)の層をスパッタ法により成膜した。この第1の
金属層60は、後述する第4の段階で電解鍍金を行う際
の電極膜として機能する層であり、このような鍍金用電
極膜として利用できる金属であれば、どのような金属を
用いてもかまわない。また、この実施例では、この第1
の金属層60を形成するための基板として、ガラス基板
50を用いているが、これは上面が平坦な基板としてガ
ラス基板50が容易に入手できるためであり、本発明を
実施する上では、特にガラス基板50である必要はな
い。要するに上面が平坦な基板であれば、どのような材
質の基板を用いてもよい。
【0047】第2の段階 続いて、図5(b) に示すように、第1の金属層60の上
面にレジスト層70を形成する。この実施例では、図4
に示すようなネガ型のフォトマスク40を用意している
ので、レジスト層70としては、感光部が硬化するネガ
型のレジストを用いている。具体的には、東京応化株式
会社製の光感光性有機レジスト(OMR−85 cp3
5)をスピンコート(条件:500rpmで5秒間、続
いて、2000rpmで30秒間、塗布を行った)し
て、厚み5μm程度のレジスト層70を形成した後、8
5℃で30分間プリベークを行った。なお、ポジ型のフ
ォトマスクを用意した場合には、ポジ型のレジストを用
いればよい。
【0048】第3の段階 ここで、図4に示すフォトマスク40を用いて、レジス
ト層70に対する露光を行い、続いて、レジスト層70
を現像する。この結果、図5(c) に示すように、レジス
ト層70のうち感光した部分だけが残存レジスト層71
として残り、未感光部分は現像液中に溶出する。この実
施例では、東京応化株式会社製のレジスト現像液(OM
R用現像液にOMR用リンス液を加えたもの)を用いて
現像を行った後、135℃で30分間ポストベークを行
った。
【0049】第4の段階 図5(c) に示すように、残存レジスト層71を残した状
態で、第1の金属層60の表面に対して鍍金処理を行
い、第2の金属層80(鍍金層)を形成する。この結
果、図5(d) に示す構造を得る。この第2の金属層80
は、最終的に作成されるマスク板30の金属層35とな
る層である。この実施例では、ニッケル(Ni)鍍金に
より、ニッケルからなる第2の金属層80を形成してい
る。もちろん、第2の金属層80は必ずしもニッケルに
する必要はなく、鍍金処理により形成できる金属であれ
ばどのような金属を用いてもかまわない。
【0050】この第2の金属層80を鍍金層にする第1
の理由は、鍍金処理により形成することにより、高度な
パターン精度が得られるからである。すなわち、鍍金処
理によれば、図5(d) に示すように、残存レジスト層7
1が形成されていない領域だけに、第2の金属層80を
正確に形成することができる。また、第2の理由は、後
の第7の段階における剥離を容易に行うためである。第
1の金属層60の表面に鍍金処理により形成した第2の
金属層80は、後に容易に剥離することができる。な
お、この実施例では、基板全体をスルファミン酸ニッケ
ル鍍金液に浸し、4.5μm程度の厚みの第2の金属層
80を形成している。また、この第2の金属層80の厚
みは、残存レジスト層71の厚みを越えない範囲の厚み
になるように、鍍金処理条件を調節する。別言すれば、
残存レジスト層71が存在しない領域にのみ、第2の金
属層80が形成されるようにする。
【0051】第5の段階 続いて、図6(a) に示すように、第2の金属層80の層
上に、第3の金属層90を形成する。この第3の金属層
90は、最終的に作成されるマスク板30の金属の酸化
物層36の元になる層である。すなわち、この第3の金
属層90を後に陽極酸化することによって、金属の酸化
物層36が形成されることになる。この実施例では、ア
ルミニウム(Al)により第3の金属層90を構成して
いるので、この層を後の工程で陽極酸化することによ
り、酸化アルミニウムからなる酸化物層36が形成され
ることになる。もちろん、第3の金属層90は必ずしも
アルミニウムにする必要はなく、酸化が可能な金属であ
れば、どのような金属を用いてもかまわない。この実施
例では、アルミニウムからなる第3の金属層90を、蒸
着法を用いて、厚み3.2μm程度成膜した。なお、こ
の第3の金属層90の厚みも、上面のレベルが残存レジ
スト層71の上面を越えない範囲の厚みになるようにす
る。別言すれば、第2の金属層80の上面の領域に形成
された第3の金属層90と、残存レジスト層71の上面
の領域に形成された第3の金属層90とが接触しないよ
うにする。
【0052】第6の段階 次に、図6(a) に示す状態において、残存レジスト層7
1の除去を行う。これは、一般的なリフトオフ法を用い
ればよい。これにより、残存レジスト層71の上面の領
域に形成されていた第3の金属層90は、残存レジスト
層71とともに除去されることになり、図6(b) に示す
構造を得る。
【0053】第7の段階 続いて、図6(b) に示す状態において、第1の金属層6
0から第2の金属層80を剥離して、図6(c) に示す構
造を得る。前述のように、第2の金属層80は鍍金層で
あるため、比較的容易に剥離が可能である。
【0054】第8の段階 最後に、図6(c) に示す構造体を、所定の陽極酸化用溶
液に浸し、第3の金属層90に正の電圧を印加して陽極
酸化を行う。このような陽極酸化により、第3の金属層
90は酸化物層91に変化することになる。第3の金属
層90に比べて、酸化物層91は厚みが増すため、図6
(d) のような構造を得る。この実施例では、図7に示す
ように、0.4Mリン酸溶液(HPO)中に、図6
(c) に示す構造体を対極としての白金板とともに浸し、
両者間に構造体側が正になるような電圧を印加して陽極
酸化を行った。電流密度50A/m、温度25℃、と
いう条件で30分間にわたって陽極酸化を行った結果、
3.2μmの膜厚の第3の金属層90(Al)は、4.
5μmの膜厚の酸化物層91(酸化アルミニウム:Al
)に変化した。なお、このとき、第3の金属層9
0の厚み0.1μmの部分が酸化されずに残ったので、
結果的には、図6(d) に示す構造体において、第2の金
属層80と酸化物層91との間に厚み0.1μm程度の
第3の金属層90が残った形になり、3層の構造が得ら
れたことになる。なお、陽極酸化用の溶液としては、こ
の他、硫酸、しゅう酸,クロム酸、ホウ酸などを用いる
ことができる。
【0055】こうして、図6(d) に示すような構造体が
得られるが、この構造体が最終的に作成すべきマスク板
30である。
【0056】§4. 本発明に係るマスク板の製造方
法:実施例2 上述した実施例1において、第7の段階と第8の段階と
は、順序を逆にすることが可能である。すなわち、第6
の段階が完了して図6(b) に示す構造が得られた後、実
施例1では、第2の金属層80を第1の金属層60から
剥離して図6(c) に示す構造体を得て、この構造体に対
して陽極酸化を行い図6(d) に示す構造体を得ていた。
これに対して、この実施例2では、図6(b) に示す構造
が得られたら、この状態のまま陽極酸化を行う。これに
より、第3の金属層90は酸化物層91に変化し、図8
に示すような構造体が得られる。この後に、第2の金属
層80を第1の金属層60から剥離すれば、やはり図6
(d) に示す構造をもったマスク板30が得られる。
【0057】§5. 本発明に係るマスク板の製造方
法:実施例3 上述した実施例1では、図5(a) に示すように、ガラス
基板50上に第1の金属層60を形成し、この上に、図
5(b) に示すように、レジスト層70を形成していた。
これに対し、この実施例3では、図9に示すように、上
面が平坦であり、この平坦面を維持するのに十分な厚み
をもった第1の金属(SUS板:鉄の合金からなる板、
具体的には、日本金属株式会社製のSUS板、型番43
0BAを用いた)からなる第1の金属層基板65を用意
し、この上に、レジスト層70を形成し、以降の処理を
行う。別言すれば、実施例1におけるガラス基板50お
よび第1の金属層60の機能を、第1の金属層基板65
に兼ねさせたものである。
【0058】§6. 本発明に係るマスク板の製造方
法:実施例4 上述した実施例3と同様に、第1の金属層基板65を用
い、更に、上述した実施例2と同様に、第7の段階と第
8の段階とを逆に行うこともできる。
【0059】§7. 本発明に係るマスク板の製造方
法:実施例5 上述した実施例1〜4は、いずれも金属層を陽極酸化す
ることによって金属の酸化物層を形成し、この金属の酸
化物層をセラミック層として用い、図2に示すような積
層構造をもったマスク板30を製造していた。以下に示
す実施例5〜9は、陽極酸化によってセラミック層を形
成するのではなく、SiNxあるいはSiOなどのセ
ラミック層をはじめから形成する方法である。まず、実
施例5の方法を、図10〜図12に示す断面図に基づい
て、段階に分けて説明する。
【0060】第1の段階 まず、図10(a) に示すように、上面が平坦な金属製の
基板100を用意する。ここでは、SUS基板(上述の
例と同様に、日本金属株式会社製のSUS板、型番43
0BAを用いた)を用いているが、他の金属板を用いて
もかまわない。そして、このSUS基板100の全面
に、図10(b) に示すように、レジスト層110を形成
する。用いるレジストは上述の各実施例と同様でよい。
【0061】第2の段階 続いて、図4に示すフォトマスク40を用いて、レジス
ト層110に対する露光現像を行い、図10(c) に示す
ように、レジスト層110のうち感光した部分だけを残
存レジスト層111として残す。
【0062】第3の段階 ここで、図10(c) に示すように、残存レジスト層11
1を残した状態で、SUS基板100の表面に対して鍍
金処理を行い、金属層120(鍍金層)を形成する。こ
の結果、図10(d) に示す構造を得る。この金属層12
0は、最終的に作成されるマスク板30の金属層35と
なる層である。この実施例では、ニッケル(Ni)鍍金
により、ニッケルからなる金属層120を形成してい
る。もちろん、この金属層120は必ずしもニッケルに
する必要はなく、鍍金処理により形成できる金属であれ
ばどのような金属を用いてもかまわない。なお、金属層
120の厚みは、残存レジスト層111の厚みよりも小
さくなるようにする。
【0063】金属層120を鍍金層にする理由は既に述
べたとおりである。すなわち、第1に、鍍金処理により
高度なパターン精度を得るためであり、第2に、後の段
階でSUS基板100からの剥離を容易に行うためであ
る。
【0064】第4の段階 次に、図11(a) に示すように、この基板上の全面にセ
ラミック層130を形成する。この実施例および以下の
各実施例においては、いずれもSiNxからなるセラミ
ック層130を、CVD法あるいはスパッタ法などによ
り成膜しているが、SiOxや他のセラミック材料を用
いてもかまわない。また、成膜方法もどのような方法を
用いてもかまわない。このセラミック層130は、少な
くとも、金属層120上に形成すれば足りるが、CVD
法やスパッタ法などの一般的な成膜法を用いると、図1
1(a) に示すように、基板全面にセラミック層が堆積形
成されることになる。
【0065】第5の段階 続いて、図11(b) に示すように、セラミック層130
の上面に、レジスト層140を形成する。
【0066】第6の段階 次に、このレジスト層140をパターニングして、図1
1(c) に示すように、その一部分だけを残存レジスト層
141として残すようにする。このときのパターニング
は、第2の段階においてレジスト層110をパターニン
グしたときと陰陽が反転したパターニングを行うように
する。たとえば、第2の段階と同様に、図4に示すフォ
トマスク40を用いる場合には、レジスト110として
はネガ型のレジストを用いていたのに対し、レジスト1
40としてはポジ型のレジストを用いればよい。あるい
は、レジスト140としてネガ型のレジストを用いる場
合には、図4に示すフォトマスク40の陰陽パターンを
反転させたフォトマスクを用いた露光を行えばよい。
【0067】第7の段階 さて、図11(c) に示すような構造が得られたら、残存
レジスト141をマスクとして用い、セラミック層13
0に対するエッチングを行う。このエッチングにより、
セラミック層130の露出部分が除去され、図12(a)
に示す構造が得られる。すなわち、セラミック層130
のうち、残存セラミック層131だけが残ることにな
る。
【0068】第8の段階 続いて、残存レジスト層111および141を除去す
る。この実施例では、はく離液としてのクリーンストッ
プ液を100〜120℃程度の温度に保ち、基板全体を
5分間浸し、続いて室温のストップリンス液に1分間浸
し、室温のイソプロピルアルコールに1分間浸した後、
水洗いした。この結果、図12(b) に示す構造が得られ
る。
【0069】第9の段階 最後に、金属層120をSUS基板100から剥離すれ
ば、図12(c) に示すような構造体が得られる。これ
は、金属からなる層とセラミックからなる層との二層構
造を有するマスク板である。
【0070】§8. 本発明に係るマスク板の製造方
法:実施例6 この実施例6における第1の段階〜第5の段階までは、
前述した実施例5における第1の段階〜第5の段階まで
と全く同じである。すなわち、図11(b) に示すよう
に、セラミック層130の上面に、レジスト層140が
形成される段階まで、上述の実施例と同じ工程を実施す
る。続く、第6の段階以降は、次のような工程を行う。
【0071】第6の段階 図11(b) に示す構造において、SUS基板100か
ら、金属層120を剥離する。これにより、図13(a)
に示す構造体が単体として得られることになる。前述し
た実施例5では、この剥離工程は第9の段階として最後
に行っていたが、この実施例6では、この第6の段階の
時点で剥離を行ってしまう。基本的には、実施例5と実
施例6との相違は、この剥離を行う順序の相違だけであ
る。
【0072】第7の段階 続いて、レジスト層140をパターニングして、図13
(b) に示すように、その一部分だけを残存レジスト層1
41として残すようにする。
【0073】第8の段階 図13(b) に示すような構造が得られたら、残存レジス
ト141をマスクとして用い、セラミック層130に対
するエッチングを行う。このエッチングにより、セラミ
ック層130の露出部分が除去され、図13(c) に示す
構造が得られる。すなわち、セラミック層130のう
ち、残存セラミック層131だけが残ることになる。
【0074】第9の段階 最後に、残存レジスト層111および141を除去すれ
ば、図13(d) に示すような構造体が得られる。これ
は、前述した実施例5によって作成された図12(c) に
示すマスク板と同じものである。
【0075】上述したように、この実施例6は、金属層
120の剥離を行う順序が、実施例5と異なっている
が、この順序の相違により特有のメリットが得られる。
それは、第7の段階におけるパターニングに、背面露光
を利用することができる点である。図13(a) における
各層について、レジストに対する露光波長に関する透光
度を考えてみると、遮光性を有する層は金属層120だ
けであり、他の層はいずれもある程度の光の透過率を有
する。別言すれば、レジストに対する露光波長に関して
は、金属層120だけが不透明であり、他の層はいずれ
も透明である。図14(a) では、不透明な金属層120
にのみハッチングを施して示してある。
【0076】そこで、金属層120をフォトマスクとし
て用い、背面露光により、レジスト層140をパターニ
ングすることが可能になる。図14(b) にこの背面露光
の原理を示す。これまでの実施例におけるパターニング
では、図の上方にフォトマスクを置き、上方から下方に
向けて光が照射されたのに対し、この背面露光では、光
は、図の下方から上方に向けて照射される。しかも、金
属層120自身がフォトマスクとして機能するため、別
にフォトマスクを用意する必要がなくなる。照射光のう
ち、金属層120の領域に照射されたものは遮光されて
しまうが、金属層120の形成されていない領域に照射
されたものはレジスト層140にまで到達する。この結
果、レジスト層140は、図14(b) にハッチングを施
した感光部145と、非感光部146と、に分かれるこ
とになる。ここで、レジスト層140としてポジ型のレ
ジストを用いておけば、現像により感光部145が溶出
し、図14(c) に示すように、非感光部146が残存レ
ジスト層141として残ることになる。
【0077】このような背面露光の工程では、フォトマ
スクが必要ないため、作業が単純化されるとともに、金
属層120は自己整合性を有するフォトマスクとして機
能するため、いわゆるアライメント誤差が生じることも
ない。
【0078】§9. 本発明に係るマスク板の製造方
法:実施例7 この実施例7における第1の段階〜第3の段階までは、
前述した実施例5あるいは実施例6における第1の段階
〜第3の段階までと全く同じである。すなわち、SUS
基板100の上面に、レジスト層110を形成し、これ
をパターニングして図10(c) に示す構造を得た後、鍍
金によりニッケルからなる金属層120を形成し、図1
0(d) に示す構造を得る段階まで、上述の実施例と同じ
工程を実施する。続く、第4の段階以降は、次のような
工程を行う。
【0079】第4の段階 図10(d) に示す構造において、残存レジスト層111
を除去する。その結果、図15(a) に示すように、SU
S基板100上に、金属層120が形成された構造が得
られる。
【0080】第5の段階 次に、図15(b) に示すように、この基板上の全面にセ
ラミック層130を形成する。この実施例では、SiN
xからなるセラミック層130を、CVD法あるいはス
パッタ法などにより成膜しているが、SiOxや他のセ
ラミック材料を用いてもかまわない。また、成膜方法も
どのような方法を用いてもかまわない。
【0081】第6の段階 続いて、図15(c) に示すように、セラミック層150
の上面に、レジスト層160を形成する。
【0082】第7の段階 次に、このレジスト層160をパターニングして、図1
6(a) に示すように、その一部分だけを残存レジスト層
161として残すようにする。このときのパターニング
は、第2の段階においてレジスト層110をパターニン
グしたときと陰陽が反転したパターニングを行うように
する。たとえば、第2の段階と同様に、図4に示すフォ
トマスク40を用いる場合には、レジスト層110とし
てはネガ型のレジストを用いていたのに対し、レジスト
層160としてはポジ型のレジストを用いればよい。あ
るいは、レジスト層160としてネガ型のレジストを用
いる場合には、図4に示すフォトマスク40の陰陽パタ
ーンを反転させたフォトマスクを用いた露光を行えばよ
い。
【0083】第8の段階 さて、図16(a) に示すような構造が得られたら、残存
レジスト層161をマスクとして用い、セラミック層1
50に対するエッチングを行う。このエッチングによ
り、セラミック層150の露出部分が除去され、図16
(b) に示す構造が得られる。すなわち、セラミック層1
50のうち、残存セラミック層151だけが残ることに
なる。
【0084】第9の段階 続いて、残存レジスト層161を除去する。この結果、
図16(c) に示す構造が得られる。
【0085】第10の段階 最後に、金属層120をSUS基板100から剥離すれ
ば、図16(d) に示すような構造体が得られる。これ
は、前述した実施例5あるいは実施例6によって作成さ
れたマスク板と同じものである。
【0086】§10. 本発明に係るマスク板の製造方
法:実施例8 この実施例8における第1の段階〜第6の段階までは、
前述した実施例7における第1の段階〜第6の段階まで
と全く同じである。すなわち、図15(c) に示すよう
に、セラミック層150の上面に、レジスト層160が
形成される段階まで、上述の実施例7と同じ工程を実施
する。続く、第7の段階以降は、次のような工程を行
う。
【0087】第7の段階 図15(c) に示す構造において、SUS基板100か
ら、金属層120を剥離する。これにより、図17(a)
に示す構造体が単体として得られることになる。前述し
た実施例7では、この剥離工程は第10の段階として最
後に行っていたが、この実施例8では、この第7の段階
の時点で剥離を行ってしまう。基本的には、実施例7と
実施例8との相違は、この剥離を行う順序の相違だけで
ある。
【0088】第8の段階 続いて、レジスト層160をパターニングして、図17
(b) に示すように、その一部分だけを残存レジスト層1
61として残すようにする。
【0089】第9の段階 図17(b) に示すような構造が得られたら、残存レジス
ト161をマスクとして用い、セラミック層150に対
するエッチングを行う。このエッチングにより、セラミ
ック層150の露出部分が除去され、図17(c) に示す
構造が得られる。すなわち、セラミック層150のう
ち、残存セラミック層151だけが残ることになる。
【0090】第10の段階 最後に、残存レジスト層161を除去すれば、図17
(d) に示すような構造体が得られる。これは、前述した
実施例5〜7によって作成されたマスク板と同じもので
ある。
【0091】上述したように、この実施例8は、金属層
120の剥離を行う順序が、実施例7と異なっている
が、やはり、この順序の相違により背面露光を行うこと
ができるという特有のメリットが得られる。すなわち、
第8の段階におけるパターニングを、背面露光を利用し
て簡便に行うことができるようになる。これは、前述し
た実施例6のメリットと全く同様である。
【0092】§11. 本発明に係るマスク板の製造方
法:実施例9 続いて、もうひとつの別な実施例を述べておく。
【0093】第1の段階 まず、図18(a) に示すように、上面が平坦な金属製の
基板100を用意する。ここでは、やはりSUS基板を
用いているが、他の金属板を用いてもかまわない。そし
て、このSUS基板100の全面に、図18(b) に示す
ように、ニッケルからなる金属層170およびSiNx
からなるセラミック層180を形成する。もちろん、金
属層170あるいはセラミック層180に別な材料を用
いてもかまわないが、金属層170はSUS基板上に鍍
金により形成するようにする。これは、後に、両者の剥
離を容易にするためである。セラミック層180は、C
VD法やスパッタ法などの一般的な成膜法で形成すれば
よい。
【0094】第2の段階 続いて、セラミック層180の上面に、レジスト層19
0を形成し、図18(c) に示す構造を得る。
【0095】第3の段階 次に、図4に示すフォトマスク40を用いて、レジスト
層190に対する露光現像を行い、図18(d) に示すよ
うに、レジスト層190のうち感光した部分だけを残存
レジスト層191として残す。
【0096】第4の段階 ここで、図18(d) に示す構造において、残存レジスト
層191をマスクとして用い、セラミック層180に対
するエッチングを行う。このエッチングにより、セラミ
ック層180の露出部分が除去され、図19(a) に示す
ように、残存レジスト層191によって覆われていた部
分だけが残存セラミック層181として残ることにな
る。
【0097】第5の段階 更に、図19(a) に示す構造において、残存レジスト層
191および残存セラミック層181をマスクとして用
い、金属層170に対するエッチングを行う。このエッ
チングにより、金属層170の露出部分が除去され、図
19(b) に示すように、残存レジスト層191および残
存セラミック層181によって覆われていた部分だけが
残存金属層171として残ることになる。
【0098】第6の段階 続いて、残存レジスト層191を除去する。この結果、
図19(c) に示す構造が得られる。
【0099】第7の段階 最後に、残存金属層171をSUS基板100から剥離
すれば、図19(d) に示すような構造体が得られる。
【0100】§12. 本発明に係るマスク板の製造方
法:実施例10 ここでは、セラミック層としてコーティングガラスを用
いる実施例について述べることにする。コーティングガ
ラスは、室温においてペースト状の化合物であり、基板
上に塗布した後、乾燥させると硬化する性質を有する。
【0101】第1の段階 まず、図20(a) に示すように、上面が平坦なガラス基
板200上に、第1の金属層210を形成する。この実
施例では、第1の金属層として、厚み2μm程度のクロ
ム(Cr)の層をスパッタ法により成膜したが、チタン
(Ti)など他の金属を用いてもかまわない。要する
に、この第1の金属層210は、次の段階において鍍金
を行う際の電極膜として機能する層であり、このような
鍍金用電極膜として利用できる金属であれば、どのよう
な金属を用いてもかまわない。ただ、後の工程におい
て、この鍍金用電極層とその上に形成した鍍金層とをは
く離する必要があるため、できるだけはく離が容易な性
質をもった金属を用いるのが好ましい。また、鍍金層を
形成するためには鍍金用の溶液(通常は酸性の溶液が用
いられる)に浸すことになるので、この溶液に対して溶
解性の少ない金属を用いるのが好ましい。このような点
において、クロムやチタンは、第1の金属層210とし
て用いるのに最適の金属である。また、この実施例で
は、この第1の金属層210を形成するための基板とし
て、ガラス基板200を用いているが、上面が平坦な基
板であればどのような基板でもよい。このガラス基板2
00は、第1の金属層210を平坦に支持するためのも
のである。したがって、第1の金属層210として、そ
の上面が平坦に維持できる程度の十分な厚みをもった金
属基板を用意できれば、別言すれば、第1の金属層21
0自身が基板としての役割を果たすことができれば、ガ
ラス基板200を用いなくてもかまわない。
【0102】続いて、図20(b) に示すように、第1の
金属層210の上面に、第2の金属層220を鍍金によ
り形成する。この実施例では、ニッケル(Ni)鍍金に
より第2の金属層220を形成している。具体的には、
基板全体をスルファミン酸ニッケル鍍金液に浸し、4.
5μm程度の厚みの第2の金属層220を形成した。も
ちろん、この第2の金属層220は、他の金属の鍍金層
により形成してもかまわない。既に、前述の実施例にお
いて述べたように、第2の金属層220を鍍金層として
形成しておけば、後に、これを第1の金属層210から
容易に剥離することができる。
【0103】第2の段階 続いて、第2の金属層220の上面に、コーティングガ
ラスを塗布する。前述したように、このコーティングガ
ラスは、室温においてペースト状の化合物(金属酸化物
系のポリマー:たとえば、アルカリ金属、オルガノポリ
金属、オルガノアルコキシ金属、アルコキシ金属、変性
アセチルアセトネート金属などで、乾燥硬化させること
により、耐熱性、耐食性、硬度などに優れたセラミック
になる)であり、たとえば、ファイングラステクノロジ
ー株式会社製:GA−07、日本合成ゴム株式会社製:
JSR−グラスカ、東燃株式会社製:ポリシラザン、な
どの製品を用いることができる。コーティングガラスを
塗布した後、これを乾燥硬化させる。なお、本実施例で
は、内部に含まれている水分を除去するため、加熱下で
乾燥硬化させた。具体的には、室温から温度120℃ま
で10℃/分の割合で徐々に温度を上昇させ(急激な温
度上昇は、含まれている水分により気泡が発生するため
好ましくない。)、温度120℃の環境下に1時間おく
ことにより乾燥硬化させた。続いて、上面を研磨して平
坦にし、図20(c) に示すように、硬化したコーティン
グガラスからなるセラミック層230を形成する。
【0104】第3の段階 次に、図20(d) に示すように、このセラミック層23
0の上面に、レジスト層240を形成する。レジスト層
240としては、この実施例では金属を用いた。後の工
程で、このレジスト層240をマスクとして、セラミッ
ク層230のエッチングを行うことになるが、このセラ
ミック層230に対するエッチング液としては弗酸系の
エッチング液が用いられる。したがって、レジスト層2
40としては、耐弗酸性の材料を用いる必要がある。通
常のフォトレジストには、このような耐弗酸性をもった
適当なものがないため、金属をレジスト層240として
用いたのである。耐弗酸性の金属としては、ニッケル、
ニッケル合金(たとえば、モネル、インコネル、ハステ
ロイなど)、モリブデン、タングステン、などを用いれ
ばよい。これらの金属を蒸着法あるいはスパッタ法など
で、たとえば、0.2μm程度の厚みに堆積させて、レ
ジスト層240を形成すればよい。
【0105】第4の段階 続いて、このレジスト層240に対して、図4に示すよ
うな所定の微細パターンを有するフォトマスク40を用
いたパターニングを行い、図21(a) に示すように、こ
の微細パターンに対応した部分だけが残存レジスト層2
41として残るようにする。そのためには、レジスト層
240上に通常のフォトレジストを形成し、フォトマス
クを用いた露光現像を行い、残ったフォトレジストを用
いて金属からなるレジスト層240をエッチングすれば
よい。
【0106】第5の段階 次に、この残存レジスト層241に覆われていないセラ
ミック層230の露出部分を、前述したように弗酸系の
エッチング液を用いてエッチングにより除去する。更
に、このエッチングにより露出した第2の金属層220
の部分領域をエッチングにより除去する。その結果、図
21(b) に示すように、微細パターンに対応した形状を
もつ残存セラミック層231および残存金属層221が
形成される。
【0107】第6の段階 続いて、残存レジスト層241を除去することにより、
図21(c) に示す構造を得る。
【0108】第7の段階 最後に、残存金属層221を第1の金属層210から剥
離することにより、図21(d) に示すように、残存金属
層221と、残存セラミック層231と、の積層構造を
有するマスク板が作成できる。
【0109】§13. 本発明に係るマスク板の製造方
法:実施例11 ここでは、セラミック層としてコーティングガラスを用
いるもうひとつの実施例を述べる。
【0110】第1の段階 前述の実施例11と同様に、図22(a) に示すように、
上面が平坦なガラス基板200上に、第1の金属層21
0を形成する。この実施例では、やはり厚み2μm程度
のクロム(Cr)の層をスパッタ法により成膜すること
により、第1の金属層210を形成している。続いて、
図22(b) に示すように、この第1の金属層210の上
面に、第2の金属層220を鍍金により形成する。ここ
でもやはり、ニッケル(Ni)鍍金により第2の金属層
220を形成している。
【0111】第2の段階 続いて、図22(c) に示すように、第2の金属層220
の上面に、レジスト層250を形成する。このレジスト
層250は、通常のフォトレジストでよい。
【0112】第3の段階 そして、このレジスト層250に対して、図4に示すよ
うな所定の微細パターンを有するフォトマスク40を用
いた露光を行い、現像を行う。その結果、図22(d) に
示すように、この微細パターンに対応した部分だけを残
存レジスト層251として残す(この残存レジスト層2
51は、前述の実施例11における残存レジスト層24
1とは、ネガ/ポジが逆の関係になったパターンであ
る)。
【0113】第4の段階 続いて、図23(a) に示すように、基板上面にコーティ
ングガラスを塗布し、これを乾燥硬化させる(前述の実
施例と同様に、加熱下で乾燥させるのがよい)。コーテ
ィングガラスとしては、前述の実施例で述べたものと同
様のものを用いればよい。この実施例では、残存レジス
ト層251を覆い隠すようにコーティングガラスの塗布
を行っているが、コーティングガラスは、少なくとも第
2の金属層220の露出領域上に所定の厚みで塗布され
ればよい。塗布したコーティングガラスが硬化したら、
その上面を研磨する。このとき、図23(b) に示すよう
に、上面が平坦になり、かつ、残存レジスト層251の
上面が露出するまで研磨を行うようにする。この結果、
コーティングガラスからなる層は、微細パターンに対応
した形状をもったセラミック層261を形成することに
なる。
【0114】第5の段階 次に、図23(b) に示す状態から、残存レジスト層25
1を除去し、これにより露出した第2の金属層220の
部分領域をエッチングにより除去する。この結果、図2
3(c) に示すように、微細パターンに対応した形状をも
った残存金属層221が形成される。
【0115】第6の段階 最後に、第1の金属層210から残存金属層221を剥
離すれば、図23(d)に示すように、残存金属層221
と、セラミック層261と、の積層構造を有するマスク
板が作成できる。
【0116】§14. サンドイッチ構造をもったマス
ク板 以上、種々の実施例において述べてきたマスク板は、い
ずれも、1枚の金属層と1枚のセラミック層との2層構
造を採るものである。このような2層構造により、撓み
や皺が生じやすいという金属層の欠点と、脆くクラック
が発生しやすいというセラミック層の欠点と、を互いに
補い合うことできることは既に述べたとおりである。し
かしながら、このような異質の材質からなる二層構造
は、いわゆるバイメタル効果による反りが生じるという
別な問題を有する。このバイメタル効果は、異なる2つ
の材質により二層構造を形成した場合に、これら2つの
材質の熱膨張率の相違に基づいて、二層構造体に反りが
発生する現象である。一般に、金属とセラミックとで
は、熱膨張率が相違する。このため、上述の種々の実施
例で述べてきた、1枚の金属層と1枚のセラミック層と
の2層構造を採るマスク板では、温度変化が生じた場合
に、一方の層が他方の層に比べて大きく伸縮し、全体と
して反りが生じるおそれがある。
【0117】ここで述べるサンドイッチ構造をもったマ
スク板は、2枚の金属層の間に、1枚のセラミック層を
挟み込むようにして積層させたものであり、バイメタル
効果により反りを抑制できるようにしたものである。図
24は、このようなサンドイッチ構造をもったマスク板
の一実施例の構造を示す斜視図である。このマスク板3
8は、2枚の金属層35,37(この例では、ニッケル
の鍍金層)の間に、1枚のセラミック層36を挟み込ん
だ3層構造を有する。2枚の金属層35,37を、同じ
材質、同じ厚みの金属層にすれば、両層は温度変化に対
して同じ伸縮特性を有することになるので、マスク板3
8が片方に反りを生じるような現象は生じにくくなる。
また、セラミック層36は、2枚の金属層35,37で
挟まれるため、脆くて破損しやすいセラミック層が、金
属層によって両面から補強された状態になり、セラミッ
ク層36に対するクラックなどの発生が抑制できる。
【0118】このようなサンドイッチ構造をもったマス
ク板38を作成するには、これまで述べてきた2層構造
をもったマスク板の作成工程に、数工程だけ追加すれば
よい。たとえば、§4において実施例2として述べた方
法に数工程だけ追加してサンドイッチ構造をもったマス
ク板38を作成する場合を例として説明しよう。まず、
この実施例2の方法により、図8に示す構造を得る。続
いて、酸化物層91(セラミック層)の上面に、中間金
属層95を蒸着法またはスパッタ法により形成し、この
中間金属層95の上面に、第3の金属層96を鍍金によ
り形成すれば、図25に示す構造が得られる。この後、
第2の金属層80を第1の金属層60から剥離すれば、
図26に示す構造体が得られる。この図26に示す構造
体は、図24に示すマスク板38と同様に、サンドイッ
チ構造をもったマスク板である。すなわち、第2の金属
層80が金属層35に対応し、酸化物層91がセラミッ
ク層36に対応し、中間金属層95および第3の金属層
96が金属層37に対応することになる。
【0119】この実施例では、中間金属層95も、第3
の金属層96も、いずれも第2の金属層80と同じニッ
ケルによって構成してある。中間金属層95の厚みと第
3の金属層96の厚みの和が、第2の金属層80の厚み
と等しくなるようにすれば、酸化物層91は、両側から
同じ厚みのニッケル金属層によって挟まれた状態にな
り、上述したバイメタル効果による反りの発生を抑制す
ることができる。
【0120】中間金属層95を形成する理由は、酸化物
層91が絶縁体であるため、その上面に直接ニッケル鍍
金層(第3の金属層96)を形成することができないた
めである。このため、酸化物層91(セラミック層)の
上面に、ニッケルを蒸着法またはスパッタ法により堆積
させて中間金属層95を形成し、この中間金属層95を
鍍金電極として利用して、その上面に、ニッケル鍍金を
行い、第3の金属層96を鍍金形成するのである。した
がって、中間金属層95は、鍍金電極として機能するた
めに必要な厚み(たとえば、0.2μm程度)だけあれ
ばよい。
【0121】なお、酸化物層91の上面に、蒸着法ある
いはスパッタ法により第2の金属層80と同程度の厚み
をもった金属層を堆積形成させる方法を採れば、中間金
属層95と第3の金属層96という2層構造にする必要
はないが、一般に、蒸着法あるいはスパッタ法によって
ある程度の厚みをもった金属層を堆積形成することは困
難であり、また、これらの方法で堆積させた金属層には
応力歪みが発生しやすい。したがって、上述のように、
鍍金電極として必要な厚みをもった中間金属層95を、
蒸着法あるいはスパッタ法により堆積形成し、その上に
鍍金により第3の金属層を形成する方法を採るのが好ま
しい。
【0122】なお、このサンドイッチ構造は、上述の種
々の実施例で述べたいずれのマスク板に対しても同様に
適用可能である。また、4層以上の多層構造にすること
も可能である。
【0123】§15. より実用的な構造をもったマス
ク板 これまでの実施例において述べてきたマスク板は、金属
層およびセラミック層を有する多層構造をもった構造体
であるが、その厚みは、数10μm〜100μmのオー
ダのものであり(図面では、便宜上、厚みを拡大して示
してあるが、実際には非常に薄いフィルム状の薄膜体で
ある)、実際のパターニング作業においてマスク板とし
て利用するには取り扱いが不便である。すなわち、パタ
ーニング作業中に、取り扱い操作に起因した皺や反りが
生じやすくなる。
【0124】そこで、ここでは、これまでの実施例にお
いて述べてきたマスク板(以下、マスク板本体と呼ぶ)
に、より実用性をもたせるための工夫を述べることにす
る。図27は、このような実用的なマスク板の構造を説
明するための原理図である。この実施例の基本原理は、
マスク板本体300を、枠体310上に張られたメッシ
ュ状支持層320上に接着して用いることにある。この
実施例では、マスク板本体300は、金属層301とセ
ラミック層302との2層構造を有する。ここで、メッ
シュ状支持層320は、平面的に伸縮自在な構造をもっ
た膜であり、具体的には、金属性の網あるいはテトロン
製の網(網目のピッチ:20本/mm程度)を用いれば
よい。また、このメッシュ状支持層320の中央部に
は、開口部321(この実施例では円形)が形成されて
おり、周囲部は、枠体310に固着されている。枠体3
10は、文字どおり支持枠として機能する部材であり、
この実施例では金属製の方形枠を用いている。メッシュ
状支持層320は、この枠体310に張力を作用させた
状態で張られており、中央に開口部321を有するた
め、メッシュ状支持層320には外側へ向かう方向に張
力が作用した状態になっている。このメッシュ状支持層
320の開口部321の周囲部分(図にX印を付した部
分)には、接着剤が塗布され、この接着剤によって、マ
スク板本体300がメッシュ状支持層320に接着され
ることになる。なお、図27の例では、セラミック層3
02側がメッシュ状支持層320に接着されているが、
逆に、金属層301側をメッシュ状支持層320に接着
するようにしてもかまわない。ただ、一般的には、セラ
ミック層302のパターン精度は金属層301のパター
ン精度よりも低いため、マスク板としては、パターン精
度の低いセラミック層302側をメッシュ状支持層32
0に接着する方が好ましい。
【0125】ここで、メッシュ状支持層320を外側に
張るように作用した張力は、マスク板本体300を外側
へと引っ張る力を与え、マスク板本体300はピンと張
られた状態になる。前述のように、マスク板本体300
の厚みは、数10μm〜100μmのオーダのものであ
るが、このように、メッシュ状支持層320に作用する
張力によってピンと張られた状態になるため、平面性が
保たれることになる。また、パターニング作業を行う際
には、枠体310を保持することによって、このマスク
板全体を容易に取り扱うことができる。
【0126】なお、開口部321の形状および接着領域
の分布形状は、ここに示す実施例では、いずれも円形と
なっているが、必ずしも円形にする必要はなく、方形や
多角形としてもよい。ただ、外側方向へ均一な引っ張り
力を作用させるためには、いずれも円形にするのが好ま
しい。
【0127】図27に示すマスク板の断面図を図28に
示す(図27に示す状態とは上下が逆向きになってい
る)。メッシュ状支持層320の外周部が枠体310に
よって固着支持され、メッシュ状支持層320の中央部
には開口部321が形成され、この開口部321の周囲
に接着剤330によってマスク板本体300が接着され
ている状態が明瞭に示されている。メッシュ状支持層3
20には、図に矢印Tで示す方向に張力が作用してお
り、マスク板本体300はピンと張られた状態で支持さ
れることになる。
【0128】最後に、このような実用的な構造をもった
マスク板の製造方法の一例を以下に示しておく。
【0129】第1の段階 まず、マスク板本体300を用意する。このマスク板本
体300の製造方法については、前述した種々の実施例
において述べたとおりである。ただし、このマスク板本
体300自体は、上述したように、厚みが数10μm〜
100μm程度のフィルム状のものであるため、前述し
た種々の実施例で述べた製造方法における最後の工程ま
では行わずに、所定のマスク板支持体340上に形成さ
れた状態で用意する。ここで、マスク板支持体340
は、マスク板本体300を平坦に保持することができる
十分な剛性および平坦性をもった構造体で、マスク板本
体300を剥離可能な状態で保持する機能を有する。こ
のマスク板支持体340は、前述した種々の実施例にお
ける、ガラス基板+第1の金属層、あるいはSUS基板
に相当するものである。
【0130】たとえば、図8に示す例では、ガラス基板
50と第1の金属層60とからなる構造体がマスク板支
持体340に相当し、第2の金属層80と酸化物層91
とからなる構造体がマスク板本体300に相当する。こ
こで、第2の金属層80を第1の金属層60から剥離す
ることによって、最終的なマスク板本体300が作成で
きることは既に述べたとおりである。このマスク板本体
300をメッシュ状支持層320に接着する場合には、
図8に示すような剥離を行う前の構造体を用意しておく
のである。
【0131】同様に、図12(b) に示す例では、SUS
基板100がマスク板支持体340に相当し、金属層1
20と残存セラミック層131とからなる構造体がマス
ク板本体300に相当する。ここで、SUS基板100
を剥離すれば、図12(c) に示すように、最終的なマス
ク板本体300が作成できるが、マスク板本体300を
メッシュ状支持層320に接着する場合には、図12
(b) に示すような剥離を行う前の構造体を用意すること
になる。
【0132】図16(c) や図19(c) に示す例も全く同
様である。SUS基板100がマスク板支持体340に
相当し、金属層120と残存セラミック層151,18
1とからなる構造体がマスク板本体300に相当する。
ここで、SUS基板100を剥離すれば、図16(d) や
図19(d) に示すように、最終的なマスク板本体300
が作成できるが、マスク板本体300をメッシュ状支持
層320に接着する場合には、図16(c) や図19(c)
に示すような剥離を行う前の構造体を用意しておくこと
になる。
【0133】全く同様に、コーティングガラスを用いた
前述の実施例の場合は、図21(c)や図23(c) に示す
状態の構造体を用意し、サンドイッチ構造の実施例の場
合には、図25に示す状態の構造体を用意することにな
る。
【0134】第2の段階 続いて、枠体310を用意し、この枠体310の片面
に、図29(a) に示すように、メッシュ膜325を張
る。ここで、メッシュ膜325は、平面的に伸縮自在な
構造をもち、この平面的な伸縮が弾性変形によって行わ
れるような材質のシート状のものであれば、どのような
ものを用いてもかまわないが、具体的には、前述したよ
うな金属性の網あるいはテトロン製の網を用いるのが好
ましい。ここで、メッシュ膜325は、平面的に引き伸
ばして張力を作用させた状態で、その外周部を枠体に張
り付けるようにする。いわば、このメッシュ膜325
は、太鼓の鼓動膜のように、枠体310にピンと張られ
た状態になる。
【0135】第3の段階 次に、第1の段階で用意したマスク板本体300をメッ
シュ膜325に接着する。このとき、マスク板本体30
0は、まだマスク板支持体340から剥離されておら
ず、マスク板支持体340によって支持された状態のま
まである。したがって、図29(b) に示すように、マス
ク板本体300とともにマスク板支持体340が一体と
なって、メッシュ膜325に接着されることになる。
【0136】なお、マスク板本体300を接着する際に
は、マスク板本体300の一方の面に、所定の閉領域を
囲うような接着領域を定義し、この接着領域にのみ接着
剤を塗布するようにする。この実施例では、マスク板本
体300は矩形をしているが、この矩形のほぼ内接円に
沿った円環状の接着領域が定義され、この円環状の接着
領域に接着剤330が塗布されて接着が行われている。
マスク板本体300は、メッシュ膜325の中央部に接
着するのが好ましい。
【0137】第4の段階 マスク板本体300がメッシュ膜325に接着された
ら、マスク板支持体340をマスク板本体300から剥
離して除去する。前述したように、マスク板本体300
を構成する金属層301を、鍍金により形成しておけ
ば、この剥離作業は比較的容易に行うことができる。こ
うして、図29(c) に示すような構造が得られる。
【0138】第5の段階 図29(c) に示す構造において、円環状に塗布された接
着剤330の内周に沿って、メッシュ膜325の内側部
分を切り抜けば、図28に示すように、開口部321が
形成される。このように、メッシュ膜325から、一部
の領域を切り抜いて開口部321を形成したものが、メ
ッシュ状支持層320となる。前述したように、メッシ
ュ膜325は、太鼓の鼓動膜のようにピンと張られてい
るため、その中央部分を切り抜いて開口部321を形成
すると、この開口部321の周囲部分には、図28に矢
印Tで示したように、外側方向に向かう引っ張り力が作
用することになる。この引っ張り力により、マスク板本
体300の外周部分が外側へと引っ張られ、ピンと張ら
れた状態を維持することになるのである。
【0139】なお、メッシュ膜325として、テフロン
製の網を用いておけば、この第5の段階における切り抜
き処理を、熱を利用して容易に行うことができる。ま
た、このように、メッシュ状支持層320に接着する態
様で利用する場合には、マスク板本体300を、必ずし
も金属層およびセラミック層という構造にする必要はな
く、マスク板本体300をセラミック層単体で構成して
もよい。
【0140】以上、本発明を図示する実施例に基づいて
説明したが、本発明はこれらの実施例のみに限定される
ものではなく、この他にも種々の態様で実施可能であ
る。特に、上述の実施例で示した各種材料は、一例とし
て示したものであり、同様の機能をもった材料によって
適宜おきかえることができる。
【0141】
【発明の効果】以上のとおり本発明に係るマスク板は、
金属からなる層とセラミックからなる層との積層構造と
したため、物理的な微細開口窓を有し、しかも、撓みや
皺が生じることのない十分な剛性をもったマスク板を実
現できる。また、本発明に係るマスク板の製造方法で
は、上述した構造を有するマスク板を製造するために、
まず、2種類の金属層を積層した積層板を用意し、一方
の金属層を酸化することによって酸化物からなる層を形
成するようにしたため、上述のマスク板を効率良く作成
することができる。更に、金属層を鍍金により形成する
ことにより、微細パターンを高精度で形成することが可
能になり、土台となる金属層からの剥離も容易になる。
また、2枚の金属層の間にセラミック層を挟んだ構造に
することにより、反りの生じにくいマスク板を実現でき
る。更に、マスク板本体を、枠体に張られたメッシュ状
支持層に接着した構造を採れば、マスク板として使用す
る際に、撓みや皺が発生しにくくなり、より実用的なマ
スク板が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマスク板を用いる新規なパターニ
ング方法の手順を説明する断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係るマスク板30の基本構
造を示す斜視図である。
【図3】マスク板30の厚みと開口窓31との寸法関係
を示す断面図である。
【図4】本発明に係るマスク板の製造方法に用いるフォ
トマスクの一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係るマスク板の製造方
法の前半の工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係るマスク板の製造方
法の後半の工程を示す断面図である。
【図7】図6に示す工程で用いる陽極酸化法の説明図で
ある。
【図8】本発明の第2の実施例に係るマスク板の製造方
法の一工程を示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施例に係るマスク板の製造方
法の一工程を示す断面図である。
【図10】本発明の第5の実施例に係るマスク板の製造
方法の前段階の工程を示す断面図である。
【図11】本発明の第5の実施例に係るマスク板の製造
方法の中段階の工程を示す断面図である。
【図12】本発明の第5の実施例に係るマスク板の製造
方法の後段階の工程を示す断面図である。
【図13】本発明の第6の実施例に係るマスク板の製造
方法の工程を示す断面図である。
【図14】本発明の第6の実施例に係るマスク板の製造
方法に適用できる背面露光の原理を説明する断面図であ
る。
【図15】本発明の第7の実施例に係るマスク板の製造
方法の前半の工程を示す断面図である。
【図16】本発明の第7の実施例に係るマスク板の製造
方法の後半の工程を示す断面図である。
【図17】本発明の第8の実施例に係るマスク板の製造
方法の工程を示す断面図である。
【図18】本発明の第9の実施例に係るマスク板の製造
方法の前半の工程を示す断面図である。
【図19】本発明の第9の実施例に係るマスク板の製造
方法の後半の工程を示す断面図である。
【図20】本発明の第10の実施例に係るマスク板の製
造方法の前半の工程を示す断面図である。
【図21】本発明の第10の実施例に係るマスク板の製
造方法の後半の工程を示す断面図である。
【図22】本発明の第11の実施例に係るマスク板の製
造方法の前半の工程を示す断面図である。
【図23】本発明の第11の実施例に係るマスク板の製
造方法の後半の工程を示す断面図である。
【図24】本発明の一実施例に係るサンドイッチ構造を
もったマスク板を示す斜視図である。
【図25】図24に示すサンドイッチ構造をもったマス
ク板の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図26】図24に示すサンドイッチ構造をもったマス
ク板の一実施例の構造を示す断面図である。
【図27】本発明に係るより実用的な構造をもったマス
ク板の基本構造を示す斜視図である。
【図28】図27に示すマスク板の構造を示す断面図で
ある。
【図29】図27に示すマスク板の製造方法の工程を示
す断面図である。
【符号の説明】
10…ガラス基板 20…Cr材料層 21…弗素化合物膜 22…Crパターニング層 30…マスク板 31…開口窓 35…金属層 36…セラミック層 37…金属層 38…マスク板 40…フォトマスク 50…ガラス基板 60…第1の金属層(Cr) 65…第1の金属層基板(SUS板) 70…レジスト層 71…残存レジスト層 80…第2の金属層(Ni) 90…第3の金属層(Al) 91…酸化物層(Al) 95…中間金属層(Ni蒸着層) 96…第3の金属層(Ni 金層) 100…SUS基板 110…レジスト層 111…残存レジスト層 120…金属層(Ni) 130…セラミック層(SiNx) 131…残存セラミック層 140…レジスト層 141…残存レジスト層 145…感光部 146…非感光部 150…セラミック層(SiNx) 151…残存セラミック層 160…レジスト層 161…残存レジスト層 170…金属層(Ni) 171…残存金属層 180…セラミック層(SiNx) 181…残存セラミック層 190…レジスト層 191…残存レジスト層 200…ガラス基板 210…第1の金属層(Cr) 220…第2の金属層(Ni) 221…残存金属層 230…セラミック層(コーティングガラス) 231…残存セラミック層 240…レジスト層 241…残存レジスト層 250…レジスト層 251…残存レジスト層 260…コーティングガラス層 261…セラミック層(コーティングガラス) 300…マスク板本体 310…枠体 320…メッシュ状支持層 321…開口部 325…メッシュ膜 330…接着剤 340…マスク板支持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03F 1/00 - 1/16

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製造工程途中の半導体装置を構成する材
    料層について、その一部を除去することによって所定の
    微細パターンを形成するパターニング工程に用いられ、
    金属からなる層とセラミックからなる層との積層構造を
    有し、両層を貫通するように微細パターンの開口窓が形
    成された微細パターン形成用マスク板を製造する方法で
    あって、 平坦な基板上に第1の金属からなる第1の層を形成する
    第1の段階と、 前記第1の層上にレジスト層を形成する第2の段階と、 前記レジスト層に対して、所定の微細パターンを有する
    フォトマスクを用いた露光を行い、現像を行うことによ
    り前記微細パターンに対応した部分だけを残存レジスト
    層として残す第3の段階と、 前記第1の層の表面に対して、第2の金属を鍍金するこ
    とにより、前記残存レジスト層が存在しない領域に、前
    記残存レジスト層の厚みよりも小さな厚みをもった第2
    の金属からなる第2の層を形成する第4の段階と、 前記第2の層上に、第3の金属からなる第3の層を形成
    する第5の段階と、 前記残存レジスト層を除去する第6の段階と、 前記第1の層から前記第2の層を剥離する第7の段階
    と、 前記第3の層を陽極酸化法によって酸化することによ
    り、前記第3の層の少なくとも一部を酸化物からなる層
    に変える第8の段階と、 を有し、金属からなる前記第2の層と、酸化物からなる
    前記第3の層と、の積層構造を有するマスク板を作成す
    ることを特徴とする微細パターン形成用マスク板の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 製造工程途中の半導体装置を構成する材
    料層について、その一部を除去することによって所定の
    微細パターンを形成するパターニング工程に用いられ、
    金属からなる層とセラミックからなる層との積層構造を
    有し、両層を貫通するように微細パターンの開口窓が形
    成された微細パターン形成用マスク板を製造する方法で
    あって、 平坦な基板上に第1の金属からなる第1の層を形成する
    第1の段階と、 前記第1の層上にレジスト層を形成する第2の段階と、 前記レジスト層に対して、所定の微細パターンを有する
    フォトマスクを用いた露光を行い、現像を行うことによ
    り前記微細パターンに対応した部分だけを残存レジスト
    層として残す第3の段階と、 前記第1の層の表面に対して、第2の金属を鍍金するこ
    とにより、前記残存レジスト層が存在しない領域に、前
    記残存レジスト層の厚みよりも小さな厚みをもった第2
    の金属からなる第2の層を形成する第4の段階と、 前記第2の層上に、第3の金属からなる第3の層を形成
    する第5の段階と、 前記残存レジスト層を除去する第6の段階と、 前記第3の層を陽極酸化法によって酸化することによ
    り、前記第3の層の少なくとも一部を酸化物からなる層
    に変える第7の段階と、 前記第1の層から前記第2の層を剥離する第8の段階
    と、 を有し、金属からなる前記第2の層と、酸化物からなる
    前記第3の層と、の積層構造を有するマスク板を作成す
    ることを特徴とする微細パターン形成用マスク板の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 製造工程途中の半導体装置を構成する材
    料層について、その一部を除去することによって所定の
    微細パターンを形成するパターニング工程に用いられ、
    金属からなる層とセラミックからなる層との積層構造を
    有し、両層を貫通するように微細パターンの開口窓が形
    成された微細パターン形成用マスク板を製造する方法で
    あって、 上面が平坦な基板面を形成し、この基板面を維持するの
    に十分な厚みをもった第1の金属からなる第1の層を用
    意する第1の段階と、 前記第1の層上にレジスト層を形成する第2の段階と、 前記レジスト層に対して、所定の微細パターンを有する
    フォトマスクを用いた露光を行い、現像を行うことによ
    り前記微細パターンに対応した部分だけを残存レジスト
    層として残す第3の段階と、 前記第1の層の表面に対して、第2の金属を鍍金するこ
    とにより、前記残存レジスト層が存在しない領域に、前
    記残存レジスト層の厚みよりも小さな厚みをもった第2
    の金属からなる第2の層を形成する第4の段階と、 前記第2の層上に、第3の金属からなる第3の層を形成
    する第5の段階と、 前記残存レジスト層を除去する第6の段階と、 前記第1の層から前記第2の層を剥離する第7の段階
    と、 前記第3の層を陽極酸化法によって酸化することによ
    り、前記第3の層の少なくとも一部を酸化物からなる層
    に変える第8の段階と、 を有し、金属からなる前記第2の層と、酸化物からなる
    前記第3の層と、の積層構造を有するマスク板を作成す
    ることを特徴とする微細パターン形成用マスク板の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 製造工程途中の半導体装置を構成する材
    料層について、その一部を除去することによって所定の
    微細パターンを形成するパターニング工程に用いられ、
    金属からなる層とセラミックからなる層との積層構造を
    有し、両層を貫通するように微細パターンの開口窓が形
    成された微細パターン形成用マスク板を製造する方法で
    あって、 上面が平坦な基板面を形成し、この基板面を維持するの
    に十分な厚みをもった第1の金属からなる第1の層を用
    意する第1の段階と、 前記第1の層上にレジスト層を形成する第2の段階と、 前記レジスト層に対して、所定の微細パターンを有する
    フォトマスクを用いた露光を行い、現像を行うことによ
    り前記微細パターンに対応した部分だけを残存レジスト
    層として残す第3の段階と、 前記第1の層の表面に対して、第2の金属を鍍金するこ
    とにより、前記残存レジスト層が存在しない領域に、前
    記残存レジスト層の厚みよりも小さな厚みをもった第2
    の金属からなる第2の層を形成する第4の段階と、 前記第2の層上に、第3の金属からなる第3の層を形成
    する第5の段階と、 前記残存レジスト層を除去する第6の段階と、 前記第3の層を陽極酸化法によって酸化することによ
    り、前記第3の層の少なくとも一部を酸化物からなる層
    に変える第7の段階と、 前記第1の層から前記第2の層を剥離する第8の段階
    と、 を有し、金属からなる前記第2の層と、酸化物からなる
    前記第3の層と、の積層構造を有するマスク板を作成す
    ることを特徴とする微細パターン形成用マスク板の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 製造工程途中の半導体装置を構成する材
    料層について、その一部を除去することによって所定の
    微細パターンを形成するパターニング工程に用いられ、
    金属からなる層とセラミックからなる層との積層構造を
    有し、両層を貫通するように微細パターンの開口窓が形
    成された微細パターン形成用マスク板を製造する方法で
    あって、 上面が平坦な第1の金属からなる金属基板上に、所定の
    微細パターンをもったレジスト層を形成し、このレジス
    ト層によって覆われていない前記金属基板の露出部分に
    第2の金属からなる鍍金層を形成し、この鍍金層を前記
    金属基板から剥離し、この剥離した鍍金層を、マスク板
    を構成する金属層として用いることを特徴とする微細パ
    ターン形成用マスク板の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のマスク板を製造する方
    法において、 上面が平坦な第1の金属からなる金属基板上に第1のレ
    ジスト層を形成する第1の段階と、 前記第1のレジスト層に対して、所定のパターニングを
    行い、第1の微細パターンに対応した部分だけを第1の
    残存レジスト層として残す第2の段階と、 前記金属基板の露出面に対して、第2の金属を鍍金する
    ことにより、前記第1の残存レジスト層が存在しない領
    域に、前記第1の残存レジスト層の厚みよりも小さな厚
    みをもった第2の金属からなる金属層を形成する第3の
    段階と、 前記金属層上に、セラミック層を形成する第4の段階
    と、 前記セラミック層上に、第2のレジスト層を形成する第
    5の段階と、 前記第2のレジスト層に対して、所定のパターニングを
    行い、前記第1の微細パターンを反転させることにより
    得られる第2の微細パターンに対応した部分だけを第2
    の残存レジスト層として残す第6の段階と、 前記第2の残存レジスト層に覆われていない前記セラミ
    ック層の露出部分をエッチングにより除去する第7の段
    階と、 前記第1の残存レジスト層および前記第2の残存レジス
    ト層を除去する第8の段階と、 前記金属基板から前記金属層を剥離する第9の段階と、 を有し、前記金属層と、残存した前記セラミック層と、
    の積層構造を有するマスク板を作成することを特徴とす
    る微細パターン形成用マスク板の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載のマスク板を製造する方
    法において、 上面が平坦な第1の金属からなる金属基板上に第1のレ
    ジスト層を形成する第1の段階と、 前記第1のレジスト層に対して、所定のパターニングを
    行い、第1の微細パターンに対応した部分だけを第1の
    残存レジスト層として残す第2の段階と、 前記金属基板の露出面に対して、第2の金属を鍍金する
    ことにより、前記第1の残存レジスト層が存在しない領
    域に、前記第1の残存レジスト層の厚みよりも小さな厚
    みをもった第2の金属からなる金属層を形成する第3の
    段階と、 前記金属層上に、セラミック層を形成する第4の段階
    と、 前記セラミック層上に、第2のレジスト層を形成する第
    5の段階と、 前記金属基板から前記金属層を剥離する第6の段階と、 前記第2のレジスト層に対して、前記金属層をマスクと
    した背面露光を行うことにより所定のパターニングを行
    い、前記第1の微細パターンを反転させることにより得
    られる第2の微細パターンに対応した部分だけを第2の
    残存レジスト層として残す第7の段階と、 前記第2の残存レジスト層に覆われていない前記セラミ
    ック層の露出部分をエッチングにより除去する第8の段
    階と、 前記第1の残存レジスト層および前記第2の残存レジス
    ト層を除去する第9の段階と、 を有し、前記金属層と、残存した前記セラミック層と、
    の積層構造を有するマスク板を作成することを特徴とす
    る微細パターン形成用マスク板の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載のマスク板を製造する方
    法において、 上面が平坦な第1の金属からなる金属基板上に第1のレ
    ジスト層を形成する第1の段階と、 前記第1のレジスト層に対して、所定のパターニングを
    行い、第1の微細パターンに対応した部分だけを第1の
    残存レジスト層として残す第2の段階と、 前記金属基板の露出面に対して、第2の金属を鍍金する
    ことにより、前記第1の残存レジスト層が存在しない領
    域に、前記第1の残存レジスト層の厚みよりも小さな厚
    みをもった第2の金属からなる金属層を形成する第3の
    段階と、 前記第1の残存レジスト層を除去する第4の段階と、 前記金属基板上および前記金属層上に、セラミック層を
    形成する第5の段階と、 前記セラミック層上に、第2のレジスト層を形成する第
    6の段階と、 前記第2のレジスト層に対して、所定のパターニングを
    行い、前記第1の微細パターンを反転させることにより
    得られる第2の微細パターンに対応した部分だけを第2
    の残存レジスト層として残す第7の段階と、 前記第2の残存レジスト層に覆われていない前記セラミ
    ック層の露出部分をエッチングにより除去する第8の段
    階と、 前記第2の残存レジスト層を除去する第9の段階と、 前記金属基板から前記金属層を剥離する第10の段階
    と、 を有し、前記金属層と、残存した前記セラミック層と、
    の積層構造を有するマスク板を作成することを特徴とす
    る微細パターン形成用マスク板の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項5に記載のマスク板を製造する方
    法において、 上面が平坦な第1の金属からなる金属基板上に第1のレ
    ジスト層を形成する第1の段階と、 前記第1のレジスト層に対して、所定のパターニングを
    行い、第1の微細パターンに対応した部分だけを第1の
    残存レジスト層として残す第2の段階と、 前記金属基板の露出面に対して、第2の金属を鍍金する
    ことにより、前記第1の残存レジスト層が存在しない領
    域に、前記第1の残存レジスト層の厚みよりも小さな厚
    みをもった第2の金属からなる金属層を形成する第3の
    段階と、 前記第1の残存レジスト層を除去する第4の段階と、 前記金属基板上および前記金属層上に、セラミック層を
    形成する第5の段階と、 前記セラミック層上に、第2
    のレジスト層を形成する第6の段階と、 前記金属基板から前記金属層を剥離する第7の段階と、 前記第2のレジスト層に対して、前記金属層をマスクと
    した背面露光を行うことにより所定のパターニングを行
    い、前記第1の微細パターンを反転させることにより得
    られる第2の微細パターンに対応した部分だけを第2の
    残存レジスト層として残す第8の段階と、 前記第2の残存レジスト層に覆われていない前記セラミ
    ック層の露出部分をエッチングにより除去する第9の段
    階と、 前記第2の残存レジスト層を除去する第10の段階と、 を有し、前記金属層と、残存した前記セラミック層と、
    の積層構造を有するマスク板を作成することを特徴とす
    る微細パターン形成用マスク板の製造方法。
  10. 【請求項10】 製造工程途中の半導体装置を構成する
    材料層について、その一部を除去することによって所定
    の微細パターンを形成するパターニング工程に用いら
    れ、金属からなる層とセラミックからなる層との積層構
    造を有し、両層を貫通するように微細パターンの開口窓
    が形成された微細パターン形成用マスク板を製造する方
    法であって、 上面が平坦な第1の金属からなる金属基板上に、第2の
    金属を鍍金し、この第2の金属からなる金属層を形成す
    る第1の段階と、 前記金属層上にコーティングガラスを塗布し、これを乾
    燥硬化させた後、上面を研磨して平坦にし、コーティン
    グガラスからなるセラミック層を形成する第2の段階
    と、 前記セラミック層上に、レジスト層を形成する第3の段
    階と、 前記レジスト層に対して、所定の微細パターンを有する
    フォトマスクを用いた露光を行い、現像を行うことによ
    り前記微細パターンに対応した部分だけを残存レジスト
    層として残す第4の段階と、 前記残存レジスト層に覆われていない前記セラミック層
    の露出部分をエッチングにより除去するとともに、これ
    により露出した前記金属層の部分領域をエッチングによ
    り除去し、前記微細パターンに対応した形状をもつ残存
    セラミック層および残存金属層を形成する第5の段階
    と、 前記残存レジスト層を除去する第6の段階と、 前記金属基板から前記残存金属層を剥離する第7の段階
    と、 を有し、前記残存金属層と、前記残存セラミック層と、
    の積層構造を有するマスク板を作成することを特徴とす
    る微細パターン形成用マスク板の製造方法。
  11. 【請求項11】 製造工程途中の半導体装置を構成する
    材料層について、その一部を除去することによって所定
    の微細パターンを形成するパターニング工程に用いら
    れ、金属からなる層とセラミックからなる層との積層構
    造を有し、両層を貫通するように微細パターンの開口窓
    が形成された微細パターン形成用マスク板を製造する方
    法であって、 上面が平坦な第1の金属からなる金属基板上に、第2の
    金属を鍍金し、この第2の金属からなる金属層を形成す
    る第1の段階と、 前記金属層上にレジスト層を形成する第2の段階と、 前記レジスト層に対して、所定の微細パターンを有する
    フォトマスクを用いた露光を行い、現像を行うことによ
    り前記微細パターンに対応した部分だけを残存レジスト
    層として残す第3の段階と、 少なくとも前記金属層の露出領域上にコーティングガラ
    スを塗布し、これを乾燥硬化させた後、上面が平坦にな
    り、かつ、前記残存レジスト層の上面が露出するまで研
    磨することにより、前記微細パターンに対応した形状を
    もち、コーティングガラスからなるセラミック層を形成
    する第4の段階と、 前記残存レジスト層を除去し、これにより露出した前記
    金属層の部分領域をエッチングにより除去し、前記微細
    パターンに対応した形状をもった残存金属層を形成する
    第5の段階と、 前記金属基板から前記残存金属層を剥離する第6の段階
    と、 を有し、前記残存金属層と、前記セラミック層と、の積
    層構造を有するマスク板を作成することを特徴とする微
    細パターン形成用マスク板の製造方法。
  12. 【請求項12】 製造工程途中の半導体装置を構成する
    材料層について、その一部を除去することによって所定
    の微細パターンを形成するパターニング工程に用いるマ
    スク板であって、セラミックからなる層を、金属からな
    る2つの層の間に挟むようにして積層させ、これら各層
    を貫通するように、微細パターンの開口窓を形成してな
    る微細パターン形成用マスク板を製造する方法であっ
    て、 上面が平坦な金属からなる金属基板上に、所定の微細パ
    ターンに対応した開口窓が形成された第1の金属鍍金層
    と、同じく前記所定の微細パターンに対応した開口窓が
    形成され、前記第1の金属鍍金層上に積層されたセラミ
    ック層と、が形成された構造体を用意する第1の段階
    と、 前記セラミック層の上面に、中間金属層を蒸着法または
    スパッタ法により形成する第2の段階と、 前記中間金属層の上面に、第2の金属鍍金層を形成する
    第3の段階と、 前記金属基板から前記第1の金属鍍金層を剥離する第4
    の段階と、 を有し、前記第1および第2の金属鍍金層と、前記セラ
    ミック層と、の積層構造を有するマスク板を作成するこ
    とを特徴とする微細パターン形成用マスク板の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜11のいずれかに記載の製
    造方法によって製造されたマスク板マスク板本体とし
    て、更に、 中央部に開口部を有し、平面的に伸縮自在な構造をもっ
    たメッシュ状支持層と、 前記メッシュ状支持層の外周部を、前記メッシュ状支持
    層に対して張力を作用させた状態で支持する枠体と、 を備え、前記メッシュ状支持層の前記開口部の周囲部分
    に、前記マスク板本体を接着固定したことを特徴とする
    微細パターン形成用マスク板。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載のマスク板を製造す
    る方法であって、 マスク板本体を平坦に保持することができる十分な剛性
    および平坦性をもったマスク板支持体上に、剥離可能な
    状態でマスク板本体を形成する第1の段階と、 平面的に伸縮自在な構造をもったメッシュ膜を、平面的
    に引き伸ばして張力を作用させた状態で、その外周部を
    枠体に張り付ける第2の段階と、 前記マスク板本体の一方の面に、所定の閉領域を囲うよ
    うな接着領域を定義し、この接着領域に接着剤を塗布す
    ることにより、前記マスク板本体を、前記マスク板支持
    体によって支持された状態のまま、前記メッシュ膜の中
    央部に接着する第3の段階と、 前記マスク板支持体を、前記マスク板本体から剥離除去
    する第4の段階と、 前記所定の閉領域に対応する前記メッシュ膜の所定部分
    を切り抜き、開口部を設けることによりメッシュ状支持
    層を形成する第5の段階と、 を有することを特徴とする微細パターン形成用マスク板
    の製造方法。
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