JP3638440B2 - X線マスクおよびこの製造方法 - Google Patents

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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線マスクに関し、特にマイクロ部品の製作に使われるX線マスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
放射光を用いるX線リソグラフィはX線のもつ短波長によって極小の微細パターンを高精度に転写できる露光技術として位置づけられている。この利用分野の主なものに、0.2μm以下の微小寸法を形成するSiLSIのプロセス技術開発と高アスペクト比を使って立体的なマイクロマシンを製作するLIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)プロセス技術開発があり、どちらも研究開発が活発である。LIGAプロセスは例えば電気学会のマイクロマシン研究会資料;MM−97−6(1997年2月)に述べられている。X線マスクはX線を透過しやすい材料の薄膜基板上にX線を透過しにくい吸収体のパターンによって構成されている。図23は従来構造のX線マスクである。Siウエーハ上にSiNの薄膜基板202とAuの吸収体パターン203を形成し、周辺のSi205を残して裏面からSiをエッチングで加工した構造が従来ではよく使われている。通常、Siウエーハは強固な支持枠204に接着して使われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のX線マスクはSiNの薄膜基板の厚さが約1μmであることから分かるように薄膜の強度が弱く、大きな露光面積のマスクを実現することは難しかった。また、この構造ではAuの吸収体パターンの接着力が弱いため、高アスペクト比の吸収体のパターンを形成することも難しかった。ここで、アスペクト比とは、吸収体パターンの上面もしくは下面の一辺の長さ(短辺)と側面の高さ(長辺)との比をいうこととする。
【0004】
本発明の第一の目的は、大きな露光面積にわたり高アスペクト比の吸収体パターンを再現性よく製造でき、使用にたいして耐久性あるX線マスクの構造を提供することにある。また、本発明の第二の目的は、上記構造のX線マスクを歩留りよく、安価に製造する製造方法を提供することにある。また、本発明の第三の目的は、本発明のX線マスクを用いて高精度なマイクロ部品を安価に提供することにある。本発明は、主としてLIGAプロセスに最適なX線マスク構造を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
従来技術の課題を解決するための手段を以下に記す。本発明の基本とするX線マスクは図1に示すように吸収体パターン3が樹脂からなる透過材2に固定された構造を特徴としている。吸収体パターンはよく張った樹脂系透過材に接着固定されているので高精度であり、高アスペクト比の吸収体パターンを持つX線マスクが容易に実現できる。また、透過材にはポリイミドの様な温度安定性と機械的強度に優れた樹脂を選択できるので、約3μmの膜厚でも大きな露光面積のマスクが容易に作れ、照射時間の低減がはかれる。
【0006】
上記第一の目的は、吸収体パターンを樹脂からなる透過材に接着固定したX線マスクの構造により達成される。また上記第二の目的は、導電性基板上に電解鍍金用マスクパターンを形成する工程と、電解鍍金でX線を吸収する金属パターンを形成する工程と、上記電解鍍金用マスクパターンを除去する工程と、上記金属パターンを、支持枠に張力をかけて固定した樹脂系透過材の表面に固定する工程と、上記金属パターンを導電性基板より取り除く工程とを有する製造方法を用いることにより達成される。また上記第三の目的は、上記X線マスクを用いてマイクロ部品を製造することにより達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1〜8を用いて説明する。
【0008】
実施形態1
まず、第一の実施形態を図1により詳細に説明する。これはX線マスク1の断面構造でAuの吸収体パターン3がポリイミド樹脂からなる透過膜2上に固定された構造である。このポリイミド樹脂層は例えば厚さ3μmのフィルムで、強固な金属からなる支持枠4に張力を加えて平坦に接着する。フィルムは引っぱられているのでこのX線マスク1の熱膨張係数は支持枠4の材質で決められる。図1(b)はマスクパターンの主要部の拡大である。Auの吸収体パターン3の断面形状はX線照射後の製造工程において離型しやすいよう、垂直より10度前後の傾斜(テーパ)を持たせている。傾斜角度はこれに限定されるものではない。この例では底部の幅5μm、スペース10μm、厚さ15μm、また、ポリイミド樹脂2の厚さは3〜5μmで、Auの吸収体パターンは有機剤で接着、固定してある。15μmのAuの吸収体パターン3の厚さに対して透過材であるポリイミド樹脂2の厚さは3μmであるので約0.2〜0.8nmのX線波長の露光に対してマスクのコントラストは十分えられる値である。この構造では直径約300mmの大きな露光面積を持つX線マスク1がえられることがわかった。このX線マスク1を用いれば高機能のマイクロ部品を量産によって低コストで供給できるようになる。X線マスク1の大面積化は従来に比べ約10倍(長さ比)の改善である。
【0009】
また、このX線マスク1で15mmの厚さのPMMA(ポリメチルメタクリレート)から成るX線レジストへの露光現像を行った。すなわち、上方からシンクロトロン放射性の波長が約0.2〜0.8nmのX線をX線マスク1に照射し、その下方に配置したPMMAに露光現像させた。その現像後のPMMAのテーパは約1°となり、マイクロ部品製作用の金型の抜きテーパとして非常に有効なものとなった。
【0010】
実施形態2
次に、第二の実施形態を図2により詳細に説明する。これはX線マスク21の断面構造でAuの吸収体パターン23の全体がポリイミド樹脂22によって埋め込まれてマスクパターンを構成し、このポリイミド樹脂層が強固な金属からなる支持枠24に接着され、X線マスク21を構成している。図2(b)はマスクパターンの主要部の拡大である。Auの吸収体パターン23の寸法例は幅5μm、スペース5μm、厚さ(s)15μm、また、ポリイミド樹脂22の上面と下面の厚さt1,t2はどちらも5μmである。15μmのAuの吸収体パターン23の厚さに対して透過材であるポリイミド樹脂22の厚さは25μmである。これは約0.2〜0.8nmのX線波長の露光に対して十分なマスクのコントラストがえられる値である。本発明の構造のようにAuの吸収体パターン23がポリイミド樹脂22の中心に埋め込まれて薄膜の中立面にあるため、マスクが多少変形してもこのパターン位置は動きにくい特徴がある。この樹脂の厚さを厚くするとこの効果がさらに高まり、高精度の寸法加工を必要とするマイクロ部品の製造には樹脂の全厚を100μm程度まで厚くしてもよい。また、上面と下面の厚さをマスクの仕様に応じて同じに揃える必要もなく、任意に変化を持たせることができる。本発明の構造のもう一つの特徴はAuの吸収体パターンは樹脂によって包み覆われているので汚れやキズに強く、また、表面に吸収体の異物が付着しても洗浄が可能なので、マスクの耐久性が著しく向上できる。この構造で直径300mm以上の大きな露光面積を持つX線マスクの実現が達成でき、高機能のマイクロ部品が量産化により低コストで供給できるようになった。
【0011】
実施形態3
次に、第三の実施形態を図3により詳細に説明する。第一と第二の実施形態で述べた構造と異なる点はX線マスク31の上面にあたるAuの吸収体パターン33を除くそのほかの面にポリイミド樹脂32が包み囲む如く設けられていることである。実際のX線マスクでは露出したAuの吸収体パターン33の表面を支持枠34に接して固定した、図3と逆の構成であってもよい。
【0012】
実施形態4
次に、第四の実施形態を図4により詳細に説明する。これはX線マスク31のパターン部に特徴があり、拡大したAuの吸収体パターン43の断面構造例である。その他の構造は図1〜3と同様である。このような断面構造の形状は後述する製造方法により、電解鍍金する前のレジストパターンを2回の重ね合わせ露光で形成し、これに電解鍍金することによって作成することができる。このような断面構造を持つX線マスクは、Auの膜厚によってX線の透過量が異なるので、露光するとPMMAに同形の断面構造が転写される。このような断面形状は図1で述べたテーパ状と同様に、電解鍍金でえられるマイクロ部品を離型しやすくした目的の他、マイクロ部品の縦形状を任意に設計できることが新たな特徴である。
【0013】
実施形態5
次に、第五の実施形態を図5により詳細に説明する。これは2枚のX線マスク、即ち第一のAuの吸収体パターン53とこれを囲むポリイミド樹脂52からなるX線マスク51と第二のAuの吸収体パターン53’とこれを囲むポリイミド樹脂52’からなるX線マスク51’を精密に重ね合わせて接着剤55で固定した構造のX線マスクである。重ね合わせて接着するマスクは2枚以上であってもよい。実施形態4と同様に、このX線マスクを用いて露光を行って、マイクロ部品の点数を減らし、製造を容易にしたり、厚みのあるマイクロ部品の機能を高度化した用途に使われるX線マスクであることが特徴である。従来では試料表面のマークに合わせてX線マスクを多数枚、使用する方式が使われているが、本発明のようにあらかじめ2枚以上のマスクを張合せて用いると、作業時間が短縮され著しく生産性が上がる特徴もある。これは量産になるほど効果が大きい。
【0014】
実施形態4と実施形態5は厚みの方向にマイクロ部品の形状を任意に設計する目的に適したマスク構造である。
【0015】
以上、実施形態1〜5で、吸収体パターンはAuの例を述べたが、X線の透過しにくい、Pt、Pd、Ag、PbやPbSnおよびNiWなど、原子番号の大きな材料で電解鍍金ができれば良いことを付言する。また、透過材にポリイミド樹脂を用いた例を述べてきたが、本発明の主旨からして、吸収体パターンの精度が所望の条件で満たされれば、別の樹脂であってもよく、また、これは樹脂だけに限定されるものではない。プラズマや光励起のCVD(Chemical Vapor Deposition)等による絶縁膜を吸収体パターンを包み囲む材料として用い、この場合の構造は樹脂との複合体であってもよい。透過材を支持枠に固定する工程では透過材に適当な張力をかけてX線マスクの膨張係数を調整できることが特徴である。
【0016】
実施形態6
次に、第六の実施形態を図6により詳細に説明する。これは実施形態1のX線マスク1を製造する主要工程の流れを示す。(a)表面洗浄したステンレススチール基板7(以下SUS板と略す)にホトレジストまたはX線レジスト8を約10μmの厚さに塗布する。(b)これに遮光マスクを通して平行光(遠紫外線またはX線)で露光を行い、現像をしてレジストにパターン(電解鍍金用マスクパターン)9を形成する。このパターン9の断面形状は露光条件の最適化によって垂直から任意の角度に形成が可能である。(c)続いてSUS板7を電極としてAuの電解鍍金を約10μmの厚さになるまでおこないAuの吸収体パターン3を形成する。(d)支持枠4に3μmの厚さのポリイミドフィルム2を張力を加えて接着し、この表面に約2μmの厚さの接着剤を塗布する。このように準備した支持枠4表面に、(c)で形成した試料を対向させる。(d)支持枠4上のポリイミドフィルム2にAuの吸収体パターン3を密着させて接着固定する。(e)続いてSUS板7を取り除き、さらに薬液によってパターン(電解鍍金用マスクパターン)9を剥離し、X線マスク1を製造する。この方法では製造工程中の熱処理温度が低いので、Auの吸収体パターンに配列誤差を生じさせる要因が少なく、高い寸法精度をもったマスクを提供することができる。
【0017】
この製造方法において図2と図3の様に吸収体パターンを埋め込む構造を得るためには、今まで述べた工程に続いてAuの吸収体パターンの露出している表面にポリイミド樹脂等を塗布し、この樹脂を硬化する工程を追加すればよい。
【0018】
実施形態7
次に、第七の実施形態を図7及び図8を用いて詳細に説明する。図7及び図8は実施形態2のX線マスクを製造する主要工程の流れを示す図である。図7の(a)表面洗浄したステンレススチール基板101(以下SUS板と略す)にホトレジストまたはX線レジスト102を約15μmの厚さに塗布する。(b)これに遮光マスクを通して平行光(遠紫外線またはX線)で露光を行い、現像をしてレジストにパターン103を形成する。このパターンの断面形状はほぼ垂直の約3のアスペクト比とする。(c)続いてSUS板101を電極としてAuの電解鍍金を約15μmの厚さになるまでおこなう。(d)レジストにパターン103を剥離、洗浄しこれによってAuの吸収体パターン73が形成される。(e)続いてポリイミド樹脂72を塗布し、熱処理によってこの樹脂を硬化する。硬化後のポリイミド樹脂72の膜厚は約20μmになるよう調節する。これによってAuの吸収体パターン73はポリイミド樹脂52によって埋め込まれた構造になる。図8の(f)SUS板からなる支持枠74をポリイミド樹脂72の表面に接着剤を用いて張り付ける。(g)この後SUS板101を支持枠74とポリイミド樹脂72とAuの吸収体パターン73とからなるX線マスクから取り外す。(h)続いてAuの吸収体パターン73の露出している表面にポリイミド樹脂72’を塗布し、熱処理によってこの樹脂を硬化する。硬化後のこのポリイミド樹脂72’の膜厚は約5μmになるよう調節する。(i)Auの吸収体パターン73をポリイミド樹脂72の中心に配置したX線マスクが製造される。
【0019】
実施形態6と7で述べた製造方法は従来、よく使っている製造装置により生産ができるのでX線マスクの製造コストは安価である特徴がある。また、従来法では吸収体パターンが倒れたり剥がれたり接着力が弱かったが本発明の構成上、これが強固になり、また、透過材が破損するもともなくなったので生産歩留が著しく上がった。
【0020】
実施形態8
次に、第八の実施形態を図9により説明する。これは実施形態1のX線マスクを用いて微細穴をもつメッシュ205を製造した例である。例えばメッシュの幅10μm、ピッチ30μm、高さ20μmのNiメッシュの作成を説明すると以下のようになる。本発明による大面積X線マスクの一部を(a)に示す。樹脂膜82上に高さ5μmのAu の各柱パターン83が規則的に配列されているマスクを用いてシンクロトロン放射光の約0.2〜0.8nmのX線波長を使ってPMMAに露光、現像した結果を(b)に示す。これで金属板201上に厚さ20μmのPMMAパターン202が形成された。この後、電解鍍金によって約20μmの厚さにNiをPMMAパターン202のすき間に形成し、上記金属板201とPMMAパターンを取り去ると高精度のNiメッシュ205が形成される(c)。このマスクを使えば従来よりも容易にメッシュを高く(厚く)できるので、同じピッチならメッシュの穴を大きくでき、これによって開孔率が上がりフィルタ効率が著しく向上する。また、メッシュの強度があるので、耐圧が高くなって、このフィルタを使って作る装置の用途が拡大した。本発明のマスクは大面積なので一回の露光で高精度の寸法のメッシュが大量に製造でき、高級なマイクロ部品を低コストで供給できる特徴がある。
【0021】
実施形態9
図10、図11及び図12を用いて、第九の実施形態について説明する。この実施形態では、先ず上記の実施形態6と同じ手法でX線マスク91(図10)を製作する。すなわち、概略的に述べると、遮光マスクに平行光を照射してその下方のレジストに電解鍍金用マスクパターンを形成し、その電解鍍金用マスクパターンに電解鍍金を施してAuの吸収体パターンを含む試料を形成し、その試料を反転させて張力を加えたポリイミド樹脂膜上に接着固定し、その後電解鍍金用マスクパターンを薬剤で除去し剥離する。このようにして、図10に示すような、ポリイミド樹脂膜92と、その上に接着固定されたAuの吸収体パターン93とから成るX線マスク91を形成する。吸収体パターン93の中央には、遮光マスクの形状に応じて直線長さ(ストローク)が約350μmで、幅が30μmの蛇行した形状の空隙部99が形成されている。なお、ポリイミド樹脂膜92の厚さは20μm、その上の吸収体パターン93の厚さは2、5μmである。
【0022】
次に、上記のようにして得られたX線マスク91を用いて露光と現像を行う。すなわち、上方からシンクロトロン放射性の波長が約0.2〜0.8nmのX線を、このX線マスク91に照射し、その下方に配置した、厚さが130μmのPMMA(X線レジスト)95に露光現像する。その結果、PMMA95には、上記の空隙部99に対応して蛇行した形状の空隙部99Aが形成される(図11)。
【0023】
現像後はこのPMMA95の空隙部99Aに、硬さ500HvのNiを130μmの厚さで電着し、その後PMMA95を溶剤で除去し、SUS板96より剥離することで、図12に示すようなマイクロバネ90が得られる。このマイクロバネ90は、上記手法により多数同時に製作可能となる。これらのマイクロバネ90…はバネ性も一定し、機械的強度、寸法も再現性が良く、半導体素子検査用の半導体プローブに使用する接触端子として申し分のない性能を発揮した。
【0024】
実施形態10
次に、図13〜図22を用いて第十の実施形態について説明する。この実施形態10では、実施形態1と同様のX線マスクを用いてX線レジストをパターン化し、高アスペクト比のプラスチック成形用金型を製作する。その後、その金型を用いてプラスチック成形品を製作し、またそのプラスチック成形品を利用して金属製品を製作する。
【0025】
図13には、上記の実施形態6と同様の手法で製作したX線マスク101を示している。このX線マスク101は、ポリイミド樹脂膜102と、そのポリイミド樹脂膜102上に接着固定した吸収体パターン103とから成り、この吸収体パターン103は、テーパ角度10°、ピッチ250μm、厚さ10μmである。
【0026】
このX線マスク101を用いて、SUS106上にコートした、厚さ1mmのPMMAから成るX線レジスト105を露光、現像する。すなわち、上方からシンクロトロン放射性の波長が約0.2〜0.8nmのX線を、このX線マスク101に照射し、その下方に配置した、厚さが1mmのPMMA(X線レジスト)105に露光現像する。その結果、SUS106上には、X線マスク101の吸収体パターン103に対応してその形状に相似のパターン化されたPMMA105が形成される(図12)。このパターン化されたPMMA105の傾斜角は1°であった。この1°は後に述べるプラスチックの成形の抜きテーパとして、非常に有効に働くことが判明した。
【0027】
次に、このパターン化されたPMMA105に電着を施し、プラスチック成形用の金型107を製作し(図15)、その金型107をパターン化されたPMMA105より剥離する。そして、この金型107にプラスチックを充填してプラスチックの成形を行い、プラスチック成形品を作る(図16)。
【0028】
図17及び図18はこのようにして得られたプラスチック成形品を示し、図17のプラスチック成形品110は円筒型の穴を有するメッシュであり、図18のプラスチック成形品111は角柱型の穴を有するメッシュであり、いずれの場合も、テーパを持つ金型107を用いて製作したので、このテーパが抜きテーパとして有効に機能し、バリなしで極めてスムーズに製作することができた。
【0029】
図19〜図22はプラスチック成形体からさらに金属製品を製作する場合を示している。先ず、上記の金型107へのプラスチック成形時に、プラスチックのボトムを一体化させるために、金型107を図19に示すように、3mm程度持ち上げて窪みを持たせ、その窪みにプラスチックを充填し、プラスチック成形体112を形成する。次に、そのプラスチック成形体112の表面に、図20に示すように、導体化処理を施して導体化処理膜113を形成し、続いて、上端面の部位のみをワイピングして導体化処理膜113を除去し(図21)、その後、電解鍍金で導電性部位114に金属を析出させ充填させる。なお、導体化処理膜113が触媒性を有するPdのような金属の場合は、電圧を掛ける必要はなく、無電解でNiやCuを析出させることができる。
【0030】
その後、プラスチック成形体112から、金属析出物を剥離することで、例えば図22に示すような、メッシュ状の金属製品115が得られる。この手法によれば、X線マスク102の吸収体パターン103に形成したテーパに起因するプラスチック成形体112のテーパが有効に作用し、スムーズに金属析出物を剥離することができ、剥離時の製品の変形などが無いものが得られた。
【0031】
【発明の効果】
(1)大きな露光面積を持つX線マスクを、再現性よく提供できるようになった。
(2)高アスペクト比のX線マスクが容易に形成できるようになり、安価に提供できるようになった。
(3)吸収体が透過材によって覆われた構造なのでマスクの汚れが少なく、また、洗浄できるようになりX線マスクの寿命が長くなった。
(4)吸収体材と透過材が自由に選択できるようになって高精度のX線マスクから量産用マスクまで任意に製作できるようになった。
(5)本発明のX線マスクを用いることにより、高精度の高級なマイクロ部品を安価に提供できるようになった。
(6)張力を持たせた、樹脂膜から成る透過材に吸収体パターンを形成するようにしたので、高アスペクト比でテーパを持つ吸収体パターンを高精度で安定して形成することができる。したがって、このような吸収体パターンを持つX線マスクから製作した金型にもテーパを形成することができ、このテーパは成形品を剥離させるときの抜きテーパとして有効に機能するので、マイクロ部品を極めて円滑に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1のX線マスクの主要構成図。
【図2】本発明の実施形態2のX線マスクの主要構成図。
【図3】本発明の実施形態3のX線マスクの主要構成図。
【図4】本発明の実施形態4のX線マスクの主要構成図。
【図5】本発明の実施形態5のX線マスクの主要構成図。
【図6】本発明の実施形態1のX線マスクの主要製造工程図。
【図7】本発明の実施形態2のX線マスクの主要製造工程の前半を示す図。
【図8】本発明の実施形態2のX線マスクの主要製造工程の後半を示す図。
【図9】本発明の実施形態1のX線マスクを用いて製造したメッシュ構造のマイクロ部品図。
【図10】本発明の実施形態9におけるX線マスクを示す図。
【図11】本発明の実施形態9における現像後のX線レジストを示す図。
【図12】本発明の実施形態9において製作したマイクロバネを示す図。
【図13】本発明の実施形態10におけるX線マスクを示す図。
【図14】本発明の実施形態10における現像後のX線レジストを示す図。
【図15】本発明の実施形態10における金型の製作方法を示す図。
【図16】本発明の実施形態10におけるプラスチック成形品の製作方法を示す図。
【図17】本発明の実施形態10において製作したプラスチック成形品を示す図。
【図18】本発明の実施形態10において製作したプラスチック成形品を示す図。
【図19】本発明の実施形態10においてプラスチック成形体から金属製品を製作する場合の第1段階を示す図。
【図20】本発明の実施形態10においてプラスチック成形体から金属製品を製作する場合の第2段階を示す図。
【図21】本発明の実施形態10においてプラスチック成形体から金属製品を製作する場合の第3段階を示す図。
【図22】本発明の実施形態10においてプラスチック成形体から製作した金属製品を示す図。
【図23】従来のX線マスクの主要構成図。
【符号の説明】
1,21,31,41,51,71,91,101 X線マスク
2,22,32,42,52,92,102 ポリイミド樹脂膜
3,23,33,43,53,73,93,103 吸収体パターン
4,24,44,54,74 支持枠。

Claims (5)

  1. X線マスクの構成において、吸収体パターンが樹脂膜からなる透過材上に接着固定された構造であることを特徴としたX線マスク。
  2. 上記透過材に張力を持たせたことを特徴とする請求項1に記載のX線マスク。
  3. 上記吸収体パターンの形状のうち、側面にテーパを持たせたことを特徴とする請求項1または2に記載のX線マスク。
  4. 上記吸収体パターンの形状は、上面もしくは下面の一辺の長さ(短辺)と側面の高さ(長辺)との比が少なくとも1:2以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のX線マスク。
  5. X線マスクの製造において、導電性基板上に電解鍍金用マスクパターンを形成する工程と、上記電解鍍金用マスクパターンに電解鍍金を施して金属パターンを含む試料を形成する工程と、支持枠に透過材からなる膜を張力を加えて接着する工程と、この表面に上記電解鍍金で形成した金属パターンを含む試料を接着剤で固定する工程と、上記導電性基板を取り除く工程と、上記電解鍍金用マスクパターンを剥離する工程とを主体とすることを特徴としたX線マスクの製造方法。
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