JP3437945B2 - ポリエステル複合繊維及びその製造方法 - Google Patents
ポリエステル複合繊維及びその製造方法Info
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Description
る2種類のポリエステル重合体が並列に接合した潜在捲
縮性の複合繊維であって、ソフトな膨らみ感、ストレッ
チ性及び仕立て映えのある独特な表面感を有する織編物
を提供することを可能とするポリエステル複合繊維及び
その製造方法に関する。
優れた性能を有することから合成繊維の主流として用い
られている。一方、衣料用途では、近年、着用時の快適
性を追求するために織編物にストレッチ性を付与する試
みがされている。織編物にストレッチ性を付与する手段
としては、ポリウレタン系弾性糸を使用する方法が一般
的であるが、非常にコストが高く、ポリウレタン系弾性
糸の耐熱性に起因する染色条件の制約がある。一方、衣
料用途における快適性を得るためには、ポリウレタン系
弾性糸ほどの弾性性能は必要でなく、ポリブチレンテレ
フタレート繊維の仮撚加工糸や溶融粘度の異なる2種類
のポリエステルポリマーからなる複合繊維を収縮成分と
して使用した織編物が提案されている。特開平11−8
1069号公報には、熱収縮特性の異なる2種類のポリ
エステルポリマーからなる複合繊維をリラックス熱処理
して捲縮を顕在化した後、織編物に使用することが提案
されている。しかし、このような織編物においては、複
合繊維が織編物を構成する複合糸条の収縮成分として使
用される場合が多く、複合繊維の構成比率が低く、織編
物にストレッチ性能を十分付与することは難しい。ま
た、織編物に張り・腰感を付与するため、比較的単繊維
繊度の大きな原糸設計となっている。
あり、織編物としてソフトな膨らみ感、ストレッチ性及
び仕立て映えのある独特な表面感を付与することを可能
とするポリエステル複合繊維及びその製造方法を提供す
るものである。
第3成分を9〜15モル%共重合したエチレンテレフタ
レート単位主体の共重合ポリエステルで、該第3成分と
してアジピン酸を8〜12モル%及びスルホイソフタル
酸金属塩を1〜3モル%共重合したカチオン染料可染性
の共重合ポリエステル(A)と、実質的にエチレンテレ
フタレート単位よりなるポリエステル(B)とからなる
接合型複合繊維であって、下記(1)〜(4)の特性を
同時に満足することを特徴とするポリエステル複合繊維
にあり、第二の要旨は、第3成分を9〜15モル%共重
合したエチレンテレフタレート単位主体の共重合ポリエ
ステルで、該第3成分としてアジピン酸を8〜12モル
%及びスルホイソフタル酸金属塩を1〜3モル%共重合
したカチオン染料可染性の共重合ポリエステル(A)
と、実質的にエチレンテレフタレート単位よりなるポリ
エステル(B)とを紡糸口金の上流部で複合流とした
後、該複合流を先端部が円錐状に吐出部に向かって開口
した形状を有する紡糸吐出孔より吐出して、800以上
3000以下の紡糸ドラフト比で引き取ることを特徴と
するポリエステル複合繊維の製造方法にある。
て説明する。
(A)と実質的にエチレンテレフタレート単位よりなる
ポリエステル(B)を並列に接合した複合繊維であり、
該ポリエステル(A)、(B)の熱収縮特性の違いによ
り捲縮を発現する。
は、第3成分が9〜15モル%共重合されていることが
必要である。共重合成分が9モル%未満の場合には、捲
縮発現力が不十分であり、15モル%を越える場合に
は、得られる該共重合ポリエステル(A)の融点が低下
し、該ポリエステル(B)との融点温度差が拡大し、溶
融複合紡糸の際、該共重合ポリエステル(A)の溶融粘
度が低下し、該ポリエステル(B)との溶融粘度差が確
保できなくなるばかりか逆転することにもなり捲縮発現
力が不十分となる。
を該ポリエステル(B)に比べ高粘度とすることで得ら
れる複合繊維の捲縮発現力を向上させることが可能とな
り、該共重合ポリエステル(A)の紡糸時の固有粘度と
該ポリエステル(B)の紡糸時の固有粘度の差が0.1
より大きいことが好ましい。
の第三成分としては、カチオン染料可染性を付与するた
めに、アジピン酸とスルホイソフタル酸金属塩の併用が
必要である。
ボン酸類、脂肪族ジカルボン酸類、脂肪族ジオール類、
脂環式ジオール類、芳香族ジオール類を用いることがで
き、具体的にはイソフタル酸、セバシン酸、1,4−ブ
タンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノー
ルAのエチレンオキシド付加物等を単独で、または2種
以上を組み合わせて用いることができる。
重合成分を使用する場合には合計の共重合率である。
ト単位よりなるポリエステル(B)は、第3成分を共重
合していないポリエステルホモポリマーであり、無機粒
子、アルキルスルホン酸、PEG等の添加剤、改質剤を
含有していても構わない。
ポリマーの複合比率、すなわちA成分/B成分の接合時
の重量比率が4/6以上6/4以下であることが必要で
あり、この範囲を外れる場合には捲縮発現力が不足した
複合繊維となる。
ストレッチ性能を高くするためには、該複合繊維を単独
で使用するか、または該複合繊維の使用混率を高くする
必要がある。この場合、織編物のストレッチ性能を維持
しつつ風合をソフトにするためには、該複合繊維の単繊
維繊度が0.6dtex以上3.3dtex以下が必要
であり、さらに好ましくは1.1dtex以上2.2d
tex以下であることが望ましい。単繊維繊度が0.6
dtex未満の場合は、該複合繊維から得られる織編物
がストレッチ性能に劣るだけでなく、風合的にも張り・
腰感の不足したものとなる。また、単繊維繊度が3.3
dtexを越える場合は、該複合繊維から得られる織編
物が風合的に硬く、ソフト感に欠けるものとなる。 ま
た、本発明の複合繊維の沸水収縮率は、10%以下であ
る必要がある。ここで定義する沸水収縮率は沸水処理に
より発現する捲縮による収縮を除いた繊維自体の収縮率
であり、10%を越える場合には該複合繊維から得られ
る織編物の収縮が大きく風合的に硬く、ソフト感に欠け
るものとなる。
0.222cN/dtex以上である必要がある。熱収
縮応力が0.222cN/dtex未満の場合は、該複
合繊維から得られる織編物がストレッチ性及び張り・腰
感に欠けるものとなる。
リマー2成分の複合流を紡出する場合には、大きなニー
リングが発生する。ニーリングを防止する手段は、複合
流の溶融粘度を低くして高粘度側の表面張力を低下する
ことと、吐出線速度を通常の速度よりも小さくすること
が有効である。前者については、複合流の固有粘度を
0.590以下とすることで、該ポリエステル(A)、
(B)両成分の固有粘度差が大きくても紡糸可能とな
る。後者の吐出線速度低減手段については、吐出線速度
を10cm/秒以下とすることでニーリングを効果的に
防止できる。吐出線速度を上記のように小さくするに
は、紡糸口金の吐出孔面積を大きくすることにより達成
できる。
に吐出孔径を大きくした場合、紡糸口金の圧力損失が小
さくなり、各吐出孔への溶融ポリマーの分配が不均一と
なるだけでなく、吐出圧力が極度に低下し、吐出線速度
の変動が生じる。その結果、糸長方向に脈動が起こり繊
維の太さ斑が発生する。また、引取り速度とのドラフト
比が大きくなり糸切れが発生する。
うに、各吐出孔間への溶融ポリマーの均一分配を可能と
するに十分な圧力損失が得られる細孔部を吐出孔内に確
保し、その細孔部から吐出開口部に向けて円錐状に孔径
が拡大する吐出孔形状とするとともに、紡糸ドラフト比
が800以上3000以下の範囲で吐出開口部の外径と
引取り速度を決定することで安定した紡出状態を確保す
ることができる。ドラフト比が800未満の場合は十分
なストレッチ性能が得られず、ドラフト比が3000を
越えると紡糸口金直下での糸切れが発生し安定な製糸性
が確保できない。
部のテーパー角(θ)は10〜25°が好ましく、テー
パー角が10°未満ではオリフィス長が長くなり紡糸口
金の製造コストが大きくなりやすく、テーパー角が25
°より大きい場合はオリフィス内の圧力変化が大きくな
り糸切れが発生しやすく品質にも影響がでやすい。
る。なお、実施例中の各特性値の測定、判定は、以下の
方法に従った。
エタン(重量比で50/50)の混合溶媒に溶解し、ウ
ベローデ粘度計を使用して25℃で測定した。
表示デシテックスの1/33gの張力を掛けながら25
0mの糸条を採取し、天秤で重量を測りデシテックス換
算した。
して、10回巻カセを採取し、表示デシテックスの2/
11gの荷重を掛けて原糸長(L0)を測定した。荷重
を除去した後、ガーゼに軽く包んだカセを沸騰水中に入
れて30分間処理した。処理したカセを自然乾燥した
後、沸水処理前と同様に、表示デシテックスの2/11
gの荷重を掛けて原糸長(L1)を測定し、次の式によ
り沸水収縮率を算出した。 沸水収縮率(%)=((L0−L1)/L0)×100
(株)製熱応力試験機「KET−1型」を使用して測定
した。常温から200℃まで加熱した時の収縮応力変化
をUゲージで検出し、YEW製X−Yレコーダーで記録
した。測定条件は、試長100mm、昇温速度1.67
℃/SEC、初荷重は表示デシテックスの1/33gと
した。チャートから最大応力値(g)とピーク温度
(℃)を読みとり次式から熱収縮応力を求めた。 熱収縮応力(g)=最大応力値/2
際のニ−リング現象の程度を評価した。 ○:ニーリング現象は発生するが、紡糸口金の洗浄をす
ることなく48時間以上の安定製糸が可能。 △:ニーリング現象が発生し、24時間毎の紡糸口金の
洗浄を実施することで、安定製糸が可能。 ×:ニーリング現象がひどく、紡出糸がノズル面に付着
し、製糸が不可能。 ○または△を合格レベルとする。
糸を施し、70℃90%RHの雰囲気下で40分間撚止
セットした後、WJLで該サンプル糸を緯糸に使用した
平織物を作成した。織物上に緯糸方向に1mの間隔で印
を付けた後、経糸方向に10cm幅のサンプル布帛を切
り出し130℃で30分間湿熱処理する。湿熱処理した
サンプル布帛を風乾後、経糸方向の10cm幅の部分を
緯糸が垂直になるように固定し、下方の他端に0.55
g/dtexの荷重を付与して、先に付けた印の間隔
(Lcm)を測定し、次式により織物収縮率を算出し
た。 織物収縮率(%)=100−L
ンプル布帛の引っ張り弾性を触感で評価した。 ○:ソフト感とストレッチ性があり、非常に良好であ
る。 △:ソフト感及びストレッチ性があり、良好である。 ×:ソフト感またはストレッチ性のいずれかが不十分で
ある。 ○または△を合格レベルとした。
が0.685の共重合ポリエチレンテレフタレートをA
成分とし、第3成分を共重合していない固有粘度が0.
516のポリエチレンテレフタレートをB成分として使
用した。紡糸温度を290℃とし、紡糸吐出孔上流側で
A、B成分が面対称に合流する吐出孔を36孔有し細孔
部が直径0.5mm長さ1.5mmの細孔に引き続いて
テーパー角度15°で円錐状に開口し吐出出口となる先
端部の直径が0.7mmとなっている複合紡糸口金よ
り、5:5の吐出量比率でA、B成分の接合型複合流を
形成した。該紡出糸条を冷却・給油後、2100m/分
の引取り速度で巻取り95デシテックス36フィラメン
トの複合ポリエステル繊維の未延伸糸を得た。得られた
未延伸糸を1.7倍程度に延伸・熱処理して、55デシ
テックス36フィラメントの複合ポリエステル繊維を得
た。主な製糸条件、製糸性、評価結果を表1に示した。
得られた複合繊維からなる布帛はストレッチ性、ソフト
感共に非常に優れたものであったが、カチオン染料可染
性のないものであった。
比較例1と同様にして、複合ポリエステル繊維を得た。
主な製糸条件、製糸性、評価結果を表1に示した。比較
例2、3で得られた複合繊維からなる布帛はストレッチ
性、ソフト感共に優れたものであったがカチオン染料可
染性がなく、比較例4では単繊維繊度が大きくソフト感
に欠けるものとなった。比較例5では単繊維繊度が大き
く熱収縮応力が小さいため、ストレッチ性、ソフト感に
欠けるものとなった。比較例6ではドラフト比が300
0を超えるため糸切れが多発し製糸安定性が不良で十分
なサンプリングが困難となり布帛での評価はできなかっ
た。
が0.675の共重合ポリエチレンテレフタレートをA
成分とする以外は実施例1と同様にして、55デシテッ
クス36フィラメントの複合ポリエステル繊維を得た。
主な製糸条件、製糸性、評価結果を表1に示した。得ら
れた複合繊維からなる布帛はストレッチ性、ソフト感共
に優れたものであったが、カチオン染料可染性がないも
のであった。
モル%、アジピン酸(ADE)を10モル%共重合した
極限粘度が0.670の共重合ポリエチレンテレフタレ
ートをA成分とし、第3成分を共重合していない極限粘
度が0.520のポリエチレンテレフタレートをB成分
として使用した。紡糸温度を285℃とし、紡糸吐出孔
上流側でA、B成分が面対称に合流する吐出孔を36孔
有し細孔部が直径0.5mm長さ1.5mmの細孔に引
き続いてテーパー角度15°で円錐状に開口し吐出出口
となる先端部の直径が0.7mmとなっている複合紡糸
口金より、5:5の吐出量比率でA、B成分の接合型複
合流を形成した。該紡出糸条を冷却、給油後、2100
m/分の引き取り速度で巻取り90デシテックス36フ
ィラメントの複合ポリエステル繊維の未延伸糸を得た。
得られた未延伸糸を1.6倍程度に延伸、熱処理して、
55デシテックス36フィラメントの複合ポリエステル
繊維を得た。主な製糸条件、製糸性、評価結果を表1に
示した。得られた複合繊維からなる布帛はストレッチ
性、ソフト感共に優れたものであった。またカチオン染
料に対しても良好な染色性を示した。
ン酸及びスルホイソフタル酸金属塩を共重合した共重合
ポリエステル(A)と実質的にエチレンテレフタレート
単位よりなるポリエステル(B)とからなる接合型複合
繊維の複合比率及び単繊維繊度、収縮特性を規定するこ
とで、織編物を構成する複合繊維の使用比率を大きくし
ても十分なストレッチ性が確保され、カチオン染料可染
性があり、ソフトな膨らみ感、ストレッチ性及び仕立て
映えのある独特な表面感を有する織編物を提供すること
ができる。
図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 第3成分を9〜15モル%共重合したエ
チレンテレフタレート単位主体の共重合ポリエステル
で、該第3成分としてアジピン酸を8〜12モル%及び
スルホイソフタル酸金属塩を1〜3モル%共重合したカ
チオン染料可染性の共重合ポリエステル(A)と、実質
的にエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステル
(B)とからなる接合型複合繊維であって、下記(1)
〜(4)の特性を同時に満足することを特徴とするポリ
エステル複合繊維。 (1)4/6≦複合比率(A/B)≦6/4 (2)0.6≦単繊維繊度(dtex)≦3.3 (3)沸水収縮率(%)≦10.0 (4)0.222≦熱収縮応力(cN/dtex) - 【請求項2】 第3成分を9〜15モル%共重合したエ
チレンテレフタレート単位主体の共重合ポリエステル
で、該第3成分としてアジピン酸を8〜12モル%及び
スルホイソフタル酸金属塩を1〜3モル%共重合したカ
チオン染料可染性の共重合ポリエステル(A)と、実質
的にエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステル
(B)とを紡糸口金の上流部で複合流とした後、該複合
流を先端部が円錐状に吐出部に向かって開口した形状を
有する紡糸吐出孔より吐出して、800以上3000以
下の紡糸ドラフト比で引き取ることを特徴とするポリエ
ステル複合繊維の製造方法。 - 【請求項3】 前記紡糸吐出孔の先端部が、テーパー角
度(θ)10〜25°で円錐状に吐出部に向かって開口
した形状を有する請求項2記載のポリエステル複合繊維
の製造方法。
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JP32964599A JP3437945B2 (ja) | 1999-11-19 | 1999-11-19 | ポリエステル複合繊維及びその製造方法 |
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